JP2003238674A - 分解性樹脂、その製造方法及び分解方法 - Google Patents
分解性樹脂、その製造方法及び分解方法Info
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Abstract
シル基とビニル基の2つの反応性官能基を再生する、有
機溶剤および樹脂との相溶性に優れた実装基板等に部品
を装着する際のはんだ付けフラックスおよびはんだペー
ストに好適な分解性樹脂を提供する。また、前記の分解
性樹脂の製造方法を提供する。またさらに、前記の分解
性樹脂の分解方法を提供する。 【解決手段】 1分子あたりカルボキシル基2個以上を
有する酸の無水物と、ヒドロキシビニルエーテル化合物
またはヒドロキシビニルチオエーテル化合物とを反応さ
せてなることを特徴とする重量平均分子量500〜10
0,000の分解性樹脂。および、下記式(1)で表さ
れる基を繰り返し単位として有する前記の分解性樹脂。 【化1】 (式中のR1、R2は2価の有機基であり、Yは酸素原子
又はイオウ原子である。)
Description
脂、その製造方法及びその樹脂の分解方法に関する。さ
らに詳しくは、本発明は、液状もしくは低融点をもち、
かつ、有機溶剤に対する溶解性や各種樹脂に対する相溶
性に優れ、良好な化学性能、物理性能及び貯蔵安定性を
有すると共に、特に分解性に優れ、低温条件下で分解す
る電材関係の用途に適用可能な分解性樹脂、特にフラッ
クス剤や接着剤の用途に適用可能な分解性樹脂、その製
造方法及び前記の分解性樹脂の分解方法に関する。
試薬、微生物などの作用により、分解し、モノマーある
いは低分子化合物を生成することが知られており、使用
済みの高分子の廃棄、焼却といった、資源、公害問題に
関連して多くの方法が提案されている。しかしながら、
従来の手法は、分解に高温条件を必要とし、また、モノ
マーの再生には、窒素雰囲気下あるいは、真空下の条件
を必要とする等の問題点があった。さらに、再生したモ
ノマー類は、樹脂合成用の原料として再利用されるのみ
であり、そのもの自体が、塗料、接着剤、プラスチック
成型品等の硬化剤あるい金属酸化物除去を目的としたフ
ラックスなどモノマー分子中の官能基を利用したその他
の分野で利用されることはほとんどないのが現状であ
る。本発明者らは、先に、ジカルボン酸化合物のカルボ
キシル基とジビニルエーテルを反応させることにより得
られるポリへミアセタールエステル樹脂を提案している
(国際公開特許WO00/4064号明細書、特許文献
1)。前記化合物は、比較的低い温度にてジカルボン酸
化合物とジビニルエーテルを再生し、再生したジカルボ
ン酸化合物は、塗料、接着剤、プラスチック成型品等の
硬化剤として有用であり、また、カルボキシル基を利用
したフラックス成分としても有用である(特開2001
−239395号公報、特許文献2)。しかしながら、
前記の樹脂は、カルボキシル基とジビニルエーテル基も
しくはジビニルチオエーテル基との反応を利用するのみ
であり、分解によって生成する反応性基は、カルボキシ
ル基のみであり、カルボキシル基と反応しない基に対し
ては利用できないなど問題があった。さらに、分解の際
に、ジビニルエーテルもしくはジビニルチオエーテルが
一部生成し、揮発するが、このジビニルエーテルもしく
はジビニルチオエーテルの毒性は極めて低く安全である
ものの、近年のVOC削減の観点から環境問題に対して
は好ましいとは必ずしもいえなかった。
書
術の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の
目的は、比較的低い温度で分解し、分解後にカルボキシ
ル基とビニル基の2つの反応性官能基を再生する、有機
溶剤および樹脂との相溶性に優れた実装基板等に部品を
装着する際のはんだ付けフラックスおよびはんだペース
トに好適な分解性樹脂を提供することにある。本発明の
第2の目的は、前記の分解性樹脂の製造方法を提供する
ことにある。また、本発明の第3の目的は、前記の分解
性樹脂の分解方法を提供することにある。
ましい性質を有する分解性樹脂を開発すべく鋭意研究を
重ねた結果、特定の酸無水物と、特定の1分子あたりビ
ニルエーテル基1個と水酸基(ヒドロキシル基)1個と
を有するヒドロキシビニルエーテル、または特定の1分
子あたりビニルチオエーテル基1個と水酸基(ヒドロキ
シル基)1個とを有するヒドロキシビニルチオエーテル
とを付加反応させることにより得られる分解性樹脂が、
その目的を達成しうることを見出し、これらの知見に基
づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、次の[1]〜[5]である。 [1] 1分子あたりカルボキシル基2個以上を有するカ
ルボン酸の無水物と、1分子あたりヒドロキシル基とビ
ニルエーテル基を少なくとも1個づつ有するヒドロキシ
ビニルエーテル化合物またはヒドロキシル基とビニルチ
オエーテル基を少なくとも1個づつ有するヒドロキシビ
ニルチオエーテル化合物とを反応させてなることを特徴
とする重量平均分子量500〜100,000の分解性
樹脂。 [2] 下記式(1)で表される基を繰り返し単位として
有する前記の[1]に記載の分解性樹脂。
Yは酸素原子又はイオウ原子である。)
上を有するカルボン酸の無水物を原料として、これとヒ
ドロキシビニルエーテル化合物またはヒドロキシビニル
チオエーテル化合物とを反応させることを特徴とする分
解性樹脂の製造方法。 [4] 前記の反応において、触媒として塩基触媒を使用
する[3]記載の分解性樹脂の製造方法。 [5] 前記の[3]または[4]に記載の製造方法で得ら
れた酸価が5.0mgKOH/gより高い樹脂に、さら
にアルキルビニルエーテルまたはアルキルビニルチオエ
ーテルを反応させて、樹脂酸価を5.0mgKOH/g
以下にすることを特徴とする分解性樹脂の製造方法。 [6] 前記の[1]または[2]に記載の分解性樹脂を温度
150〜300℃に加熱して樹脂を分解する方法。 [7] 前記の[1]または[2]に記載の分解性樹脂と酸触
媒とを配合してなる樹脂配合物を温度150〜300℃
に加熱して樹脂配合物を分解する方法。 [8] 酸触媒が、加熱時に活性を示す熱潜在性酸触媒
である[7]に記載の分解する方法。
本発明の分解性樹脂は、1分子あたりカルボキシル基2
個以上を有するカルボン酸の無水物と、1分子あたりヒ
ドロキシル基とビニルエーテル基とを少なくとも1個づ
つ有するヒドロキシビニルエーテル化合物またはヒドロ
キシル基とビニルチオエーテル基とを少なくとも1個づ
つ有するヒドロキシビニルチオエーテル化合物とを反応
させてなる重量平均分子量500〜100,000の樹
脂であることを特徴とする。またさらに、本発明の分解
性樹脂は、下記式(1)で表される基を繰り返し単位と
して有することを特徴とする。
基であり、好ましくは、二価の置換もしくは無置換の炭
素数1〜20の脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
さらに好ましくは二価の脂肪族又は芳香族の炭素数1〜
20の基であり、R2は二価の有機基であり、好ましく
は二価の置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキ
ル基またはグリコール残基であり、さらに好ましくは二
価の炭素数1〜20のアルキル基またはグリコール残基
である。またさらに、Yは酸素原子またはイオウ原子で
ある。式(1)中のR1の炭素数が21以上であると原
料が入手しにくい等の問題がある。また同様の理由から
式(1)中のR2の炭素数は、1〜20が好ましい。
で表される。
ある。またZ1、Z2はジカルボン酸無水物またはヒドロ
キシビニルエーテルもしくはヒドロキシビニルチオエー
テル由来の残基である。また、nは1〜400の整数で
ある。nが400を越える場合は、樹脂の分子量が大き
くなりすぎ合成しにくい。ここで、Z1は、水素原子ま
たは次式(3)で表され、Z2は、次式(4)で表され
る。
より製造することができる。すなわち、下記式(5)
で表される酸無水物を原料として、これと下記式(6)
た、Yは、酸素原子またはイオウ原子である。)で表さ
れるヒドロキシビニルエーテルまたはヒドロキシビニル
チオエーテルを、場合により用いられる塩基触媒の存在
下、好ましくは室温ないし200℃の温度で反応させる
ことにより、前記の分解性樹脂が得られる。
は、具体的には例えば、無水コハク酸、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ
無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル
テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無
水フタル酸(M−HHPA)、3−メチルテトラヒドロ
無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水フタル
酸、2,3−ジフェニル無水コハク酸、2,3−ピリジ
ンジカルボン酸無水物、1,1−シクロヘキサンジ酢酸
無水物、グルタル酸無水物、ジグリコール酸無水物など
の酸無水物が挙げられる。前記の酸無水物は1種単独で
用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの
酸無水物の中でも、無水コハク酸、4−メチルヘキサヒ
ドロ無水フタル酸は、入手性、作業性、ヒドロキシビニ
ルエーテルとの反応性及び得られる分解性樹脂の溶剤に
対する溶解性、樹脂に対する相溶性から好ましく挙げら
れる。
エーテル化合物としては、ヒドロキシメチルビニルエー
テル、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)、
ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチル
ビニルエーテル(HBVE)、ヒドロキシペンチルビニ
ルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒド
ロキシヘプチルビニルエーテル、ヒドロキシオクチルビ
ニルエーテル、ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−
ヒドロキシシクロへキシルビニルエーテル、3−ヒドロ
キシシクロへキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシシ
クロへキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノ
ールモノビニルエーテル(CHMVE)、ジエチレング
リコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコール
モノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビ
ニルエーテルなどが挙げられる。また、前記の式(6)
で表されるヒドロキシビニルチオエーテル化合物として
は、前記のヒドロキシビニルエーテルに対応するヒドロ
キシビニルチオエーテルなどが挙げられる。前記の式
(6)で表されるヒドロキシビニルエーテルまたはヒド
ロキシビニルチオエーテルは1種単独で用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。これらの中では、ヒド
ロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニル
エーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロ
ヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等が入手性及
び酸無水物との反応性の点から好ましく挙げられる。
と前記式(6)で表されるヒドロキシビニルエーテルま
たはヒドロキシビニルチオエーテル化合物を反応させる
際の反応比は、{前記式(5)で表される酸無水物/前
記式(6)で表されるヒドロキシビニルエーテルまたは
ヒドロキシビニルチオエーテル化合物}のモル比で、残
存する未反応物の残存量や樹脂に対する物性の点から、
モル比で、通常1.0:0.5〜1.0:5.0であれ
ばよく、好ましくは、1.0:0.8〜1.0:4.0
であり、特に好ましくは、1.0:1.0〜1.0:
3.0である。モル比が1.0:0.5より式(6)で
表される化合物が少ないと、酸無水物が多く未反応物と
して残存するので好ましくなく、前記のモル比が1.
0:5.0より式(6)で表される化合物が多いと式
(6)で表される化合物が多く未反応として残存するの
で好ましくない。また反応温度は、通常室温ないし20
0℃の範囲の温度であればよく、好ましくは室温〜15
0℃である。また、この反応の反応時間は、反応進行状
況に応じて適宜選定すればよいが、通常1〜100時間
でよい。この際、反応を促進させる目的で、塩基触媒を
使用することができる。
ル、ベンゾイミダゾール、2−ヒドロキノリン、3−ヒ
ドロキノリン、4−ヒドロキノリン、ピペリジン、ジヘ
キシルアミン、ジドデシルアミン、ジエチルアミン、ジ
プロピルアミン、ジアミルアミン、ジメチルアミン、メ
チルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、トリプ
ロピルアミン、アミルアミン、オクチルアミン、t−ブ
チルアミン、シクロへキシルアミン、s−ブチルアミ
ン、エチルアミン、フェニルプロピルアミン、2−メチ
ルキノリン、メチルピロリジン、メチルピペリジン、4
−メチル−8−ヒドロキノリン、フェニルエチルアミ
ン、トリエチルアミン、ビニルメチルアミン、アリルア
ミン、メトキシベンジルアミン、ベンジルピロリジン、
エタノールアミン、ジエチルベンジルアミン、エトキシ
メチルアミン、ベンジルアミン、2−ヒドロキシピリミ
ジン、ジメチルベンジルアミン、ジエタノールアミン、
モルフォリン、トリエタノールアミン、メチルイミダゾ
ール、ジメチルトルイジン、メチルモルフォリン、t−
ブチルアニリン、イミダゾール、2−ヒドロキシピリジ
ン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン
が挙げられる。これらの塩基触媒は、1種又は2種以上
を組合せて用いることができる。塩基触媒の使用量は、
特に制限ないが、酸無水物とヒドロキシビニルエーテル
またはヒドロキシビニルチオエーテルの合計量100重
量部に対して、通常0.0005〜5.0重量部が好ま
しく、特に0.001〜1.0重量部が好ましい。合成
する分解樹脂の分子量、その樹脂を使用する用途選択す
る配合系にもよるが、通常得られる樹脂の酸価は、50
mgKOH/g以下である。より好ましくは、樹脂の酸
価は、30mgKOH/g以下であり、さらに好ましく
は、5.0mgKOH/g以下である。特にフラックス
やはんだペーストに本発明の分解性樹脂を用いる場合に
は、樹脂の酸価が低い方が保存等においてより安定性に
優れるので望ましい。
目的で、分解性樹脂末端のカルボキシル基にさらにアル
キルビニルエーテルまたはアルキルビニルチオエーテル
を反応させることができる。そのようなアルキルビニル
エーテルまたはアルキルビニルチオエーテルとしては、
例えば、式(7)、(8)
有機基であり、Yは酸素原子またはイオウ原子であ
る。)
有機基であり、Yは酸素原子またはイオウ原子であ
る。)で表される。
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、
イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテ
ル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエー
テル、t−アミルビニルエーテル、2−エチルへキシル
ビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、ドデシルビニ
ルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロへキ
シルビニルエーテル、アミノプロピルビニルエーテル、
ジエチルアミノエチルビニルエーテル、プロペニルエー
テルプロピレンカーボネート等のモノビニルエーテル;
トリメチレングリコールジビニルエーテル、エチレング
リコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジ
ビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ペ
ンタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジ
ビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノール
ジビニルエーテル、1,4−ベンゼンジビニルエーテ
ル、ビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノー
ルFジビニルエーテル等のジビニルエーテル;及びこれ
らの対応するビニルチオエーテル、ジビニルチオエーテ
ルなどが挙げられる。
ル、ジビニルエーテル、ジビニルチオエーテルの中で
も、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエ
ーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルが入
手性及び反応性の点から好ましく挙げられる。
ルキルビニルチオエーテルは、1種または2種以上を組
合せて用いることができる。分解性樹脂の末端カルボキ
ル基と前記式(7)、(8)のアルキルビニルエーテル
またはアルキルビニルチオエーテル化合物を反応させる
際の反応比は、残存する未反応物の残存量や樹脂に対す
る物性の点から、当量比{(カルボキシル基/ビニルエ
ーテル)の当量比}で、通常1.0:1.0〜1.0:
5.0であればよく、好ましくは、1.0:2.0〜
1.0:5.0である。当量比が1.0:1.0より式
(7)、(8)で表される化合物が少ないと、分解性樹
脂の酸価が下がらないので好ましくなく、前記の当量比
が1.0:5.0より式(7)、(8)で表される化合
物が多いと式(7)、(8)で表される化合物が多く未
反応として残存するので好ましくない。また反応温度
は、通常室温ないし200℃の範囲の温度であればよ
く、好ましくは室温〜150℃である。また、この反応
の反応時間は、反応進行状況に応じて適宜選定すればよ
いが、通常1〜100時間でよい。
る目的で有機溶媒も使用することができる。そのような
有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフサ、テトラリ
ン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学
(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学
(株)登録商標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テ
トラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト(PMA)、酢酸メトキシブチル等のエステル及びエ
ーテルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘ
キサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイ
ソアミルケトン、エチルブチルケトン、エチルアミルケ
トン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプ
ロピルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン類;ト
リメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ
ブチルホスフェート等のリン酸エステル類、ジメチルス
ルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げら
れる。これらの有機溶媒は、1種又は2種以上を組合わ
せて用いることができる。また、これらの溶媒量として
は、特に限定されないが、原料である酸無水物とヒドロ
キシビニルエーテルまたはヒドロキシビニルチオエーテ
ルとの合計量100部に対して、5〜95重量部、より
好ましくは20〜80重量部が挙げられる。
外線や電子線のような活性線の照射により主鎖中のヘミ
アセタールエステル構造が分解し、対応する低分子量化
合物が生成する。ここで、ヘミアセタール構造とは、−
C(=O)−O−CH(CH 3)−O−を示す。その樹
脂を分解する温度としては、150〜300℃の範囲が
好ましく挙げられる。この分解反応は、熱潜在性酸触媒
により助長される。そのような熱潜在性酸触媒として
は、プロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス
酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアル
キルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、リ
ン酸エステル類、及びオニウム化合物類が好ましく挙げ
られる。
としては、例えば、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸
類、硫酸モノエステル類、リン酸モノ及びジエステル
類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノ及びジエステル
類等を、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルア
ミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、
シクロへキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエチノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン等の各種アミンもしくはトリアルキルホスフィン、ト
リアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、ト
リアリールホスファイトで中和した化合物、さらには、
酸−塩基ブロック化触媒として市販されているネイキュ
アー2500X、X−47−110、3525、522
5(商品名、キングインダストリー社製)などが挙げら
れる。また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物と
しては、例えば、BF3、FeCl3、SnCl4、Al
Cl3、ZnCl2などのルイス酸を前記のルイス塩基で
中和した化合物が挙げられる。あるいは上記ルイス酸と
トリアルキルホスフェートとの混合物も挙げられる。該
スルホン酸エステル類としては、例えば、式(9)
基、ナフチル基、置換ナフチル基またはアルキル基、R
6は一級炭素又は二級炭素を介してスルホニルオキシ基
と結合している炭素数3〜18のアルキル基、アルケニ
ル基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基、
飽和もしくは不飽和のシクロアルキルまたはヒドロキシ
シクロアルキル基である)で表される化合物が挙げられ
る。前記の化合物としては、具体的には例えば、メタン
スルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、
ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、
ノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類とn−
プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n
−オクタノ−ルなどの第一級アルコール類又はイソプロ
パノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オ
クタノ−ル、シクロヘキサノールなどの第二級アルコー
ル類とのエステル化物、さらには前記スルホン酸類とオ
キシラン基含有化合物との反応により得られるβ‐ヒド
ロキシアルキルスルホン酸エステル類などが挙げられ
る。該リン酸エステル類としては、例えば、下記式(1
0)
ル基、シクロアルキル基又はアリール基、Sは1又は2
である)で表される化合物が挙げられる。前記の化合物
としては、具体的には例えば、n−プロパノール、n−
ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノ−ル、2
−エチルヘキサノ−ル等の第一級アルコール類、及びイ
ソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、
2−オクタノ−ル、シクロヘキサノール等の第二級アル
コール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエス
テル類が挙げられる。
一般式(11)〜(14) [ R8 3NR9 ] + X - ・・・・・ (11) [ R10 3PR11 ] + X - ・・・・・ (12) [ R12 2OR13 ] + X - ・・・・・ (13) [ R14 2SR15 ] + X - ・・・・・ (14) (式中のR8、R10、R12、R14は炭素数1〜12のア
ルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール
基、アルカノール基またはシクロアルキル基であって、
2個のR9、R11、R13、R15は互いに結合してN、
P、O又はSをヘテロ原子とする複素環を形成していて
もよく、R9、R11、R13、R15は水素原子、炭素数1
〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アル
カリール基、X -はSbF6 -、AsF6 -、PF6 -又はB
F4 -である)で表される化合物などが挙げられる。ま
た、光酸触媒としては、β−ケトスルホン、イミノスル
ホナート、ベンゾインスルホナート、O−ニトロベンジ
ルスルホナート、アデカオプトマーSPシリーズ(商品
名、旭電化工業(株)製)等が利用できる。
種用いてもよいし、2種以上を組合わせてもよく、ま
た、その配合量は、前記の分解性樹脂100重量部あた
り、通常0.01〜10重量部の範囲で選ばれる。酸触
媒及び光酸触媒の量が0.01重量部未満では触媒効果
が十分に発揮されないし、10重量部を超えると、分解
した低分子化合物が着色したり、副反応を起こすことが
あり好ましくない。
で表される基を繰り返し単位として1種のみを有するも
のでもよいし、2種以上を有するものでもよく、また式
(1)で表される基を繰り返し単位とする以外に他の基
を繰り返し単位として含んでいてもよい。また、当該分
解性樹脂の重量平均分子量は、特に制限されるものでは
ないが、通常500〜100,000の範囲のものであ
り、好ましくは900〜50,000の範囲のものであ
る。さらに、本発明の分解性樹脂はそのままで、もしく
は、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリエス
テル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニル
エーテル樹脂等の汎用熱可塑性樹脂と本発明の分解性樹
脂と混合して使用することもできる。また、場合によ
り、着色顔料、フィラー、エラストマー、溶剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、流動調整剤等を配合して使用する
こともできる。
に分解することができる。また、前記の酸触媒や光酸触
媒を前記の分解性樹脂に配合したものは、さらに分解温
度を低下させるなど樹脂の設計に適用することができ
る。例えば その分解温度としては、120〜300℃
が挙げられる。従って、本発明の分解性樹脂は、前記の
ようにフラックス剤やハンダペースト用の材料として樹
脂の分解温度を目的に合わせて設計を行うことができる
ので有用である。なお本発明の分解性樹脂の分解して生
じた成分は、次式(15)で表わされる構造である。し
たがって、分解された成分は二重結合やカルボキシル基
を利用することができる。
同じ。
物であり、有機溶媒に対する溶解性や各種樹脂に対する
相溶性に優れる。また、本発明の分解性樹脂は、分解性
にも優れることから、リサイクルの面で有用であり、ま
た、分解後、カルボキシル基が生じることから、特に例
えば、実装基板等に部品を装着する際のはんだ付け用フ
ラックス、及びフラックスを含有したはんだぺ―ストな
どに好適に用いられる。また、分解して生じたヒドロキ
シビニルエーテルのジカルボン酸ハーフエステルもしく
はヒドロキシビニルチオエーテルのジカルボン酸ハーフ
エステルは、二重結合やカルボキシル基により他の反応
性基と反応することができる。また本発明の製造方法
は、酸無水物とヒドロキシビニルエーテルもしくはヒド
ロキシビニルチオエーテルと反応させるので容易に前記
の分解性樹脂を得ることができる製造方法である。ま
た、本発明の樹脂の分解方法は、前記樹脂を加熱する
か、あるいは酸触媒を配合して加熱することにより容易
に分解できる方法である。
る。次に用いた分析方法、評価方法を示す。 1.<IRの測定条件> 機種;日本分光(株)社製、FT/IR−600、 セル;臭化カリウムを用いた錠剤法、 分解;4cm-1、 積算回数;16回。 2.<13C−NMRの測定条件> 機種;日本ブルカー(株)社製、400MHzのAdv
ance400、 積算回数;20000、 溶媒;CDCl3、TMS基準。 3.<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)の測定条件> 機種;東ソー(株)社製、ゲル浸透クロマトグラフィー
SC−8010、 カラム;昭和電工(株)製SHODEX K−801、 溶離液;THF、 検出器;RI。 4.<不揮発分の測定>JIS K 5407−4に準
じて試料を140℃30分加熱乾燥させた後、冷却し
て、重量を測定して残存量より測定する。 5.<酸価の測定>JIS K 0070−3(199
2)の方法に準じて測定する。 5.<水酸基価の測定>JIS K 0070−7(1
992)の方法に準じて測定する。ただし、アセチル化
試薬として無水酢酸を使用する。 6.<TG−DTAの測定条件> 機種;セイコーインスツルメント(株)社製TG/DT
A220、 昇温速度;10℃/min、 窒素流量;50ml/min。
に、それぞれ表1記載の組成の単量体として無水コハク
酸16.3重量部、ヒドロキシエチルビニルエーテル
(HEVE)71.7重量部、溶媒としてプロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)1
2.0重量部を仕込み、温度を110℃〜120℃に保
ちながら5時間かき混ぜながら反応した。放冷後、分液
ロートに生成物を移した。得られた生成物は、10重量
%炭酸水素ナトリウム水溶液100重量部でアルカリ洗
浄後、洗浄液のpHが7以下になるまでに200重量部
の脱イオン水で洗浄を数回繰り返した。次いで硫酸マグ
ネシウムで有機層中を乾燥した後、浴温度35℃で減圧
濃縮した。さらに残査を真空乾燥し、淡黄色透明の分解
性樹脂(A)を43.5重量部得た。仕込み組成、反応
条件とポリスチレン換算によるゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)の測定、不揮発分の測定等
の分析結果を表1に示す。
造 表1に示したように仕込み組成や条件を変更した以外
は、実施例1と同様にして反応し、さらに精製して淡黄
色の分解性樹脂(B〜H)を得た。実施例1と同様に仕
込み組成とポリスチレン換算によるゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)の測定、不揮発分の測
定結果を表1に示す。
に、それぞれ表2記載の組成の単量体として無水コハク
酸36.0重量部、ヒドロキシエチルビニルエーテル
(HEVE)38.0重量部、溶媒としてプロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)2
5.0重量部、反応触媒としてトリエチルアミン1.0
重量部を仕込み、温度を60℃に保ちながら3時間かき
混ぜながら反応した。その後、温度を100℃に上昇さ
せ、100℃に保ちながら2時間撹拌しながら反応し
た。反応後の酸価が30mgKOH/g以下であること
を確認し、反応を停止させた。この後、生成物を分液ロ
ートに移し、ヘキサン/アセトン=9/1の混合溶液に
よりポリマー分の再沈精製を行った。さらに、ロータリ
ーエバポレーターを用い、混合液から溶剤を留去し、そ
の後、真空乾燥することにより、淡黄色透明の分解性樹
脂(I)を71.3重量部得た。仕込み組成、反応条件
とポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)の測定等の分析結果を表2に示
す。
の製造 表2に示したように仕込み組成や条件を変更した以外
は、実施例9と同様にして反応し、さらに精製して淡黄
色の分解性樹脂(J、K)を得た。実施例9と同様に仕
込み組成とポリスチレン換算によるゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)の測定等の分析結果を
表2に示す。
に、それぞれ表2記載の組成の単量体として無水コハク
酸30.0重量部、ヒドロキシエチルビニルエーテル
(HEVE)31.7重量部、溶媒としてプロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)2
1.0重量部、反応触媒としてトリエチルアミン0.8
重量部を仕込み、温度を60℃に保ちながら3時間かき
混ぜながら反応した。その後、温度を100℃に上昇さ
せ、100℃に保ちながら2時間撹拌しながら反応し
た。反応後の酸価が20mgKOH/g以下になった時
点でn−ブチルビニルエーテル16.5重量部を添加
し、さらに100℃で3時間かき混ぜながら反応した。
その後、混合物の酸価が5.0mgKOH/g以下であ
ることを確認し、反応を停止させた。この後、生成物を
分液ロートに移し、ヘキサン/アセトン=9/1の混合
溶液によりポリマー分の再沈精製を行った。さらに、ロ
ータリーエバポレーターを用い、混合液から溶剤を留去
し、その後、真空乾燥することにより、淡黄色透明の分
解性樹脂(L)を73.6重量部得た。仕込み組成、反
応条件とポリスチレン換算によるゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)の測定等の分析結果を表
2に示す。
の製造 表2に示したように仕込み組成や条件を変更した以外
は、実施例12と同様にして反応し、さらに精製して淡
黄色の分解性樹脂(M、N)を得た。実施例12と同様
に仕込み組成とポリスチレン換算によるゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)の測定等の分析結
果を表2に示す。
す。 *1) M−HHPA(4−メチルヘキサヒドロフタル酸
無水物)、 *2) HEVE(ヒドロキシエチルビニルエーテル)、 *3) HBVE(ヒドロキシブチルビニルエーテル)、 *4) CHMVE(シクロヘキサンジメタノールモノビ
ニルエーテル)、 *5) PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート)。
応触媒として塩基性触媒を用いることで、反応温度を低
くすることができ、さらに、カルボン酸の酸無水物とヒ
ドロキシビニルエーテル又はヒドロキシビニルチオエー
テルとの反応を効率よく進行させることができることか
ら、ヒドロキシビニルエーテル又はヒドロキシビニルチ
オエーテルの仕込み量を減らすことができ、収率も大幅
に改善することができる。また、上記反応で生じる樹脂
末端のカルボキシル基にアルキルビニルエーテルまたは
アルキルビニルチオエーテルを反応させることで、樹脂
酸価を5.0mgKOH/g以下にすることができる。
このような低酸価の分解性樹脂は、はんだペーストや導
電性ペースト等の金属組成物に配合した場合、金属とカ
ルボキシル基との金属石鹸反応を抑制できることから、
保存安定性の向上に有用である。
樹脂について赤外線吸収スペクトル測定(IRスペクト
ル)を行ったところ、それぞれ図1、図2、図3に示す
吸収チャートが得られた。この図より分解性樹脂のIR
スペクトルにおいては、カルボニルの吸収が1732c
m-1〜1736cm-1に観測され、また、ビニル基の吸
収が2800cm-1〜3000cm-1に観測されたこと
などから下記式(9)、(10)、(11)で表される
分解性樹脂が得られたことがわかる。また、生成物の13
C−NMR等からも構造を確認した。実施例2、4、5
で得られた分解性樹脂の13C−NMRのチャートを図
4、図5、図6に示す。なお、その他の実施例(実施例
1、3、6〜8)で得られた分解性樹脂に関しても、I
Rスペクトル、13C−NMRにより構造を確認した。
性樹脂の熱分解挙動を熱重量分析により測定を行ったと
ころ図7、図8、図9に示すような分解挙動を示すこと
が確認でき、低い温度で分解することが確認できた。
下記の溶解性試験および相溶性試験の方法により、溶剤
およびエピコート828の樹脂に対する相溶性を調べ
た。結果を表3に示す。
た樹脂(A〜H)10gと有機溶剤90gとをガラス瓶
に採取し、よくかき混ぜた。さらに3時間静置した後の
状態を観察することにより分解性樹脂の有機溶剤に対す
る溶解性を調べた。 (*1)溶解性の評価は、以下の基準に従って行った。 ○:均一溶液となった。 ×:不溶であった。 8.<相溶性試験>実施例1〜8で得られた分解性樹脂
(A〜H)10gとエピコート828(ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製商
品名)10gとをガラス瓶に採取し、よくかき混ぜた。
さらに3時間静置した後の状態を観察することにより実
施例1〜8で得られた分解性樹脂のエピコート828に
対する相溶性を調べた。 (*1)相溶性の評価は、以下の基準に従って行った。 ○:均一溶液となった。 ×:不溶であった。
1)、無水マレイン酸(比較例2)、4−メチルヘキサ
ヒドロフタル酸無水物(M−HHPA、比較例3)、さ
らに、コハク酸(比較例4)、マレイン酸(比較例
5)、4−メチルヘキサヒドロフタル酸(比較例6)を
使用して、実施例9〜16と同様にして溶解性と相溶性
を調べた。結果を表4に示す。
た分解性樹脂(A〜H)はいずれも有機溶剤及び樹脂に
対する溶解性、相溶性が優れていることがわかる。また
比較例である原料として用いた無水コハク酸、無水マレ
イン酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、さら
に、コハク酸、マレイン酸、4−メチルヘキサヒドロフ
タル酸の溶解性、相溶性は、実施例1〜8で得られた分
解性樹脂(A〜H)に比べて劣ることわかる。
の方法によりTG−DTAの測定を行った。結果を表5
に示す。 実施例23〜25、比較例7〜9 表6に示すように前記の樹脂B,D,Eとp−トルエン
スルホン酸/ピリジン塩を配合(実施例23;樹脂Bと
p−トルエンスルホン酸/ピリジン塩、実施例24;樹
脂Dとp−トルエンスルホン酸/ピリジン塩、実施例2
5;樹脂Eとp−トルエンスルホン酸/ピリジン塩)し
て前記の方法に準じて、TG−DTAの分析を行った。
また比較例としてポリエチレン(比較例7)、ポリメチ
ルメタクリレート(PMMA;比較例8)塩化ビニル
(PVC;比較例9)についても同様に熱分解性を調べ
た。結果を表6に示す。
それぞれ酸無水物とヒドロキシビニルエーテルの化合物
を選択することにより、一般的な樹脂と比較し、低い温
度で分解させることができる。また触媒を用いること
で、さらにその分解温度を低く設定できることがわか
る。
に、精製ロジン(荒川化学工業(株)社製、商品名:パ
インクリスタルKE−604)502g、トリエチレン
グリコールジビニルエーテル(日本カーバイド工業
(株)社製)298gを仕込み、30分かけて常温から
100℃まで上昇させた。続いて、100℃で4時間反
応させ、酸価が5mgKOH/g以下であることを確認
し、反応を停止させた。次いで、ロータリーエバポレー
ターにより未反応のトリエチレングリコールジビニルエ
ーテルを留去し、その後、真空ポンプにより真空乾燥す
ることにより、酸価3.9mgKOH/g、粘度1.5
ポイズの淡黄色透明液体を得た。
結果 前記の実施例2で得られた分解性樹脂Bを用いて、以下
の配合・方法によりはんだペーストを作成・評価を行っ
た。結果を表7に示す。樹脂成分として合成例1で得ら
れたブロック化ロジン2.0重量部、活性剤として実施
例2で得られた分解性樹脂5.5重量部、チクソトロピ
ー性付与剤として脂肪酸アミド0.7重量部、溶剤とし
てテトラエチレングリコールジメチルエーテル1.0重
量部、防錆剤としてベンゾトリアゾ−ル0.5重量部、
キレート化剤としてアセトニルアセトン0.3重量部、
エポキシ化合物としてデシルグリシジルエーテル(日本
油脂(株)社製、商品名:エピオールL−41)1.5
重量部を混合し、フラックス組成物を調整した。このフ
ラックス組成物に20〜30μmの粒度分布をもつ、S
n89/Zn8/Bi3(数値は金属の重量比を示す)
の鉛フリーはんだ粉末88.5重量部を添加し、プラネ
タリ−ミキサーにより混練し、はんだペーストを製造し
た。その後、以下に示す試験方法により評価を行った。
た分解性樹脂I、実施例12で得られた分解性樹脂Lに
変更し、実施例20と同じ条件ではんだペーストの製造
及び評価を行った。結果を表7に示す。
値は金属の重量比を示す)の鉛フリーはんだ粉末とを所
定の混合比率で配合、混練し、はんだペーストを製造し
た。得られたはんだペーストに対して、実施例20〜2
2と同様な評価を行った。結果を表8に示す。尚、10
0時間後の粘度測定は、はんだペーストが流動性のない
ボソボソの状態となり測定することができなかった。
のとおりであり、以下の凝集度1〜4の4段階のぬれ広
がり度合いの区分表示に従った。 1;はんだペーストから溶解したはんだが試験版をぬら
し、ペーストを塗布した面積以上に広がった状態、 2;はんだペーストを塗布した部分はすべてはんだがぬ
れた状態、 3;はんだペーストを塗布した部分の大半は、はんだが
ぬれた状態、(ディウエッティングも含まれる。) 4;試験版ははんだがぬれた様子はなく、溶融したはん
だは1つまたは複数のはんだボールとなった状態(ノン
ウエッティング) 10.<ソルダーボール試験(はんだの凝集度合い)> JIS Z 3284の附属書11に準じて行った。評
価は、以下の1〜5の5段階の広がり度合いの区分表示
に従った。 1;はんだ粉末が溶融して、はんだは1つの大きな球と
なり、周囲にソルダーボールがない状態、 2;はんだ粉末が溶融して、はんだは1つの大きな球と
なり、周囲に直径75μm以下のソルダーボールが3つ
以下である状態、 3;はんだ粉末が溶融して、はんだは1つの大きな球と
なり、周囲に直径75μm以下のソルダーボールが4つ
以上あり、半連続の環状に並んではいない状態、 4;はんだ粉末が溶融して、はんだは1つの大きな球と
なり、周囲に多数の細かい球が半連続の環状に並んでい
る状態、 5;1〜4以外の状態。
> 60mm2の銅板に、厚さ150μmのメタルマスクを
用いて、直径6mm×6個のパターンを印刷後、大気雰
囲気下でリフローした。次いで、カッターではんだと共
に銅板を切断した後、該はんだ部分を顕微鏡により観察
し、ボイドの発生状況を観察した。6個のパターンにつ
いて大きさが10μm以上のボイドを計測し、1個のパ
ターン当たりの平均個数が2個未満の場合を合格、2個
以上の場合を不合格とした。 12.<絶縁性> JIS Z 3284に基づき絶縁抵抗試験を行った。 ○:1011Ω以上〜、 △:109Ω以上 〜1011Ω未満、 ×: 〜109Ω未満。 13.<粘度の経時安定性> ハンダペースト製造後、25℃で7日間保存する加速試
験を行い、ハンダペースト製造直後の粘度と加速試験後
の粘度の比を指標とした。本加速試験の条件は大略3ヶ
月間、5℃の冷蔵保管に相当する。粘度の測定は、
(株)マルコム製スパイラル粘度計で測定した。測定条
件は、JIS Z 3284のスパイラル方式に基づき
行った。 14.<残渣の洗浄性> はんだペーストを塗布、リフロー後の櫛形基板を温度3
0℃に調節したD−リモネンに超音波中5分浸漬し、乾
燥してから、目視観察を行い、残渣の程度を3水準で評
価した。 ○:目視では残渣が確認できない。 △:わずかに残渣が認められる。 ×:明らかに残渣が残留した。 尚、使用した櫛形基板は、導体幅:0.318mm、導体間
隔:0.318mm、重ね代:15.75mm、基板寸法:50mm
×50mm×1.6mmに規定したものを使用した。また、
超音波の発振周波数は38kHzとした。
を配合したはんだペーストは、はんだ合金のぬれ性が良
好で、電気絶縁性、ボイド特性にも優れていた。また、
保存安定性にも優れており、25℃、7日間放置後も、
十分な流動性を有していた。さらに、樹脂の酸価を5m
gKOH/g以下にした分解性樹脂を配合した実施例2
2で、はんだペーストの保存安定性を飛躍的に向上させ
ることができた。これに対し、市販の材料を用いて製造
したはんだペーストは、はんだ合金のぬれ性、電気絶縁
性、ボイド特性が悪く、また、25℃、7日間後の保存
安定性に関しても、はんだペーストが増粘して、流動性
のないボソボソの状態となり、はんだ付けに使用できる
ような状態ではなかった。
吸収スペクトルチャートである。
吸収スペクトルチャートである。
吸収スペクトルチャートである。
−NMRスペクトルチャートである。
−NMRスペクトルチャートである。
−NMRスペクトルチャートである。
DTAチャートである。
DTAチャートである。
DTAチャートである。
Claims (8)
- 【請求項1】1分子あたりカルボキシル基2個以上を有
するカルボン酸の無水物と、1分子あたりヒドロキシル
基とビニルエーテル基を少なくとも1個づつ有するヒド
ロキシビニルエーテル化合物またはヒドロキシ基とビニ
ルチオエーテル基を少なくとも1個づつ有するヒドロキ
シビニルチオエーテル化合物とを反応させてなることを
特徴とする重量平均分子量500〜100,000の分
解性樹脂。 - 【請求項2】下記式(1)で表される基を繰り返し単位
として有する請求項1記載の分解性樹脂。 【化1】 (式中のR1、R2は2価の有機基であり、Yは酸素原子
又はイオウ原子である。) - 【請求項3】1分子あたりカルボキシル基2個以上を有
するカルボン酸の無水物を原料として、これとヒドロキ
シビニルエーテル化合物またはヒドロキシビニルチオエ
ーテル化合物とを付加反応させることを特徴とする分解
性樹脂の製造方法。 - 【請求項4】前記の反応において、触媒として塩基触媒
を使用する請求項3記載の分解性樹脂の製造方法。 - 【請求項5】請求項3または4に記載の分解性樹脂の製
造方法で得られた酸価が5.0mgKOH/gより高い
樹脂に、さらにアルキルビニルエーテルまたはアルキル
ビニルチオエーテルを反応させて、樹脂酸価を5.0m
gKOH/g以下にすることを特徴とする分解性樹脂の
製造方法。 - 【請求項6】請求項1または2に記載の分解性樹脂を温
度150〜300℃に加熱して樹脂を分解する方法。 - 【請求項7】請求項1または2に記載の分解性樹脂と酸
触媒とを配合してなる樹脂配合物を温度150〜300
℃に加熱して樹脂配合物を分解する方法。 - 【請求項8】酸触媒が、加熱時に活性を示す熱潜在性酸
触媒である請求項7に記載の分解する方法。
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JP2001379293 | 2001-12-12 | ||
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016181599A (ja) * | 2015-03-24 | 2016-10-13 | 株式会社タムラ製作所 | 電子部品の接合方法、並びに、その方法に用いるはんだ組成物および前処理剤 |
JP2018140437A (ja) * | 2017-02-28 | 2018-09-13 | 株式会社タムラ製作所 | フラックス組成物、はんだ組成物および電子基板 |
TWI658893B (zh) * | 2017-07-12 | 2019-05-11 | 日商千住金屬工業股份有限公司 | 焊接用助焊劑及焊膏 |
-
2002
- 2002-11-13 JP JP2002330049A patent/JP3945383B2/ja not_active Expired - Lifetime
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