JP2005187659A - 活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型組成物 Download PDF

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真 丹羽
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Abstract

【課題】粉体塗料として使用した場合、保存安定性に優れ、低温条件で容易に低粘度化し、得られる硬化膜が表面平滑性等の塗膜物性に優れる活性エネルギー線硬化型組成物の提供。
【解決手段】中心の単量体から多分岐状に反復して単量体が結合してなる樹状化合物であって、末端にマレイミド基を含有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物。当該組成物は、塗料として好ましく使用でき、より好ましくは粉体塗料として使用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、好ましくは活性エネルギー線硬化型塗料組成物、より好ましくは活性エネルギー線硬化型粉体塗料組成物に関するものであり、これらを使用する技術分野で賞用され得るものである。
近年、粉体塗料は、有機溶剤を必要としないため、化学物質が人体や環境に及ぼす影響を軽減しようとする観点から、省資源、低公害型塗料として注目を集めている。
しかしながら、従来の粉体塗料は、塗装後の加熱による架橋反応により塗膜を形成するものがほとんどであり、その加熱温度が120〜180℃に達するため、耐熱性を有する材料にしか使用されず、具体的には、自動車部品や家電製品の一部、特に金属基材上の塗装に用途が限られていた。
そこで、木材やプラスチック等の熱に弱い基材に対して塗装可能な技術として、紫外線硬化型粉体塗料等の活性エネルギー線硬化型粉体塗料が検討されている。
該技術は、紫外線等の活性エネルギー線を利用して硬化反応を進行させるため、基材に与える熱的ダメージが少なくなるため、適用できる基材の範囲を広くできることはもとより、生産効率に優れ、冷却作業スペースを削減できる等の利点も有している。
又、液状の紫外線硬化型塗料が、一般に高粘度で立体物基材に塗装し難いものであるのに対して、紫外線硬化型粉体塗料は、適用基材の形状に高い自由度を有するとの利点も有している。
従来の紫外線硬化型粉体塗料の代表的な例としては、結晶性ポリエステル構造の末端を(メタ)アクリル酸エステル化又はエポキシ化したもの(特許文献1)、又は結晶性不飽和ポリエステルと結晶性ビニルエーテルからなる2成分系のもの(DSM社製Uracross、例えば非特許文献1)を、バインダー成分として使用するものが挙げられる。
しかしこれらは、いずれも分子主骨格上に凝集性の高い化学構造を有する高分子化合物であるため、100℃以下の低温溶融条件では十分に低粘度化せず、十分なフロー性が得られないため、硬化膜の表面平滑性が不十分となることがあった。特に、プラスチック等の熱可塑性基材上で表面平滑性を得るためには、塗装条件の設定が難しく、加工し難いものであった。
又、フロー性を向上させ表面平滑性を改善する目的で、バインダーとして融点を低下させたものを使用した粉体塗料があるが、この場合は、保存時に自重で粒子と粒子が融着し、その結果、再度、粉砕する必要があったり、粒径が大きくなっていまい、塗装時にスプレーが詰まったりする問題を有するものであった。
本発明者らは、粉体塗料として使用した場合、保存安定性に優れ、低温条件で容易に低粘度化し、得られる硬化膜が表面平滑性等の塗膜物性に優れる活性エネルギー線硬化型組成物を見出すため、鋭意検討を行ったのである。
特開平8−301957号公報(特許請求の範囲) DSM社、"DSM社ホームページ、紫外線硬化(UV Curing)、配合及び製品(Formulations and products)"、[online]、[平成15年12月16日検索]、インターネット<http://www.dsm.com/en_US/html/dcr/uv_formulations.htm>
本発明者らは、上述した課題を解決するために、種々の検討を重ねた結果、バインダー成分として、結晶性の低い分子主骨格を有しかつマレイミド基末端を有する化合物を含む組成物が、活性エネルギー線による硬化性に優れ、100℃以下の低温条件で容易に低粘度化し、十分な表面平滑性を有する硬化膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書においては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
1.樹状化合物
本発明の樹状化合物は、中心単量体から多分岐状に反復して単量体が結合してなる樹状化合物であって、末端にマレイミド基を含有する化合物(以下単に樹状化合物という)である。
樹状化合物の分岐の形態としては、規則的に分岐したものであっても、不規則に分岐したものであっても良い。
樹状化合物において、高分子量体のものとしては、通常、ハイパーブランチポリマー及びデンドリマー等と称される高分子化合物が挙げられる。
樹状化合物としては、マレイミド基と、中心単量体から多分岐状に反復して単量体が結合して樹状となる中心骨格化合物とが、種々の結合形式で結合されたものが使用できる。
以下マレイミド基及び中心骨格化合物について説明する。
1)マレイミド基
樹状化合物におけるマレイミド基としては、種々のものがあり、下記式(1)で表されるものが好ましい。
Figure 2005187659
〔但し、式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基を表すか、又はR1及びR2は一つとなって炭素環を形成する炭化水素基を表す。〕
アルキル基としては、炭素数4以下のアルキル基が好ましい。アリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。一つとなって炭素環を形成する炭化水素基としては、5員環若しくは6員環を形成する炭化水素基が好ましく、飽和の炭化水素基としては、基−CH2CH2CH2−、基−CH2CH2CH2CH2−が挙げられ、不飽和の炭化水素基としては、基−CH=CHCH2−、基−CH2CH=CHCH2−等が挙げられる。尚、不飽和の炭化水素基において、マレイミド基が2量化反応するためには、最終的に得られる5員環又は6員環が芳香族性を有しないものを選択する必要がある。当該炭化水素基としては、飽和の炭化水素基が好ましい。
1及びR2としては、一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、R1及びR2の両方が炭素数4以下のアルキル基、並びにそれぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基が、重合体を容易に製造でき、溶解性、保存安定性に優れ、得られる組成物の架橋塗膜の耐水性に優れる点で好ましい。さらに、これらの中でも、それぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基がより好ましく、硬化性に優れ、かつ高い結晶性を有する点で、特に好ましくは基−CH2CH2CH2CH2−である。
マレイミド基の具体例を以下の式(2)〜式(7)に示す。これらの中でも、溶解性、保存安定性に優れる点で、式(2)又は式(3)で表されるマレイミド基が好ましい。
Figure 2005187659
Figure 2005187659
Figure 2005187659
樹状化合物中のマレイミド基の数としては、得られる硬化膜が、硬度及び強度に優れる点で、1分子中に1〜1000個が好ましく、より好ましくは5〜100個である。
マレイミド基と中心骨格化合物の結合形式としては、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びエーテル結合で結合されたものが挙げられる。
これらの中でも、製造が容易である点で、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合が好ましく、より好ましくは、エステル結合である。
この場合、原料のマレイミド基を有する化合物(以下マレイミド化合物という)としては、マレイミド基と官能基が、脂肪族単位又は芳香族炭化水素単位で結合されている化合物等が挙げられる。
この場合の官能基としては、水酸基、カルボキシル基及びイソシアネート基等が挙げられる。
マレイミド化合物の好ましい例を、以下の式(8)〜(10)に示す
Figure 2005187659
Figure 2005187659
Figure 2005187659
前記式(8)〜(10)において、R1及びR2は、前記と同様の基を表し、R3〜R5は、いずれも、芳香族基又は脂肪族基を表す。
3〜R5としては、脂肪族基が好ましく、脂肪族基としては、メチレン基及びアルキル基等のアルキル基が好ましい。
2)中心骨格化合物
中心骨格化合物としては、中心単量体から多分岐状に反復して単量体が結合してなる樹状化合物であり、且つ前記マレイミド化合物の官能基と結合可能な官能基を有するもの等が挙げられる。
中心骨格化合物の官能基としては、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基及びアミノ基等が挙げられる。
又、中心骨格化合物としては、必要に応じてこれら以外の官能基を有するものであっても良い。具体的には、ビニル基、アリル基及び(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基、メチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、並びにフェニル基等のアリール基等が挙げられる。
中心骨格化合物としては、中心単量体から多分岐状に反復して単量体が結合してなる樹状構造を有するものであれば、種々のものが使用でき、高分子の例としては、ハイパーブランチポリマー及びデンドリマー等が挙げられる。
本発明の組成物を後記する粉体塗料として使用する場合、結晶性に優れるため、中心骨格化合物としてデンドリマーが好ましい。
デンドリマーの構造としては、デンドリマー、ブロックデンドリマー、デンドリマー/線状ポリマーブロック共重合(Tadpole型デンドリマー、星型デンドリマー、彗星型デンドリマー)、ツインデンドリマー及びマルチプルデンドリマー等が挙げられる。
デンドリマーの化合物的な具体例としては、ポリエステルデンドリマー、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリトリメチレンイミンデンドリマー、ポリエーテルアミドデンドリマー、ポリエーテルデンドリマー及びポリエーテルケトンデンドリマー等が挙げられる。
本発明では、デンドリマーとして、ポリエステルデンドリマーが好ましい。以下、ポリエステルデンドリマーについて説明する。
この場合、中心骨格化合物の起点となる中心単量体としては、脂肪族、脂環式及び芳香族のモノアルコール、ジオール、トリオール及びテトラオール等のポリオール;ソルビトール及びマンニトール等の糖アルコール;アンヒドロエンネア−ヘプチトール、並びにα−メチルグルコシド等のα−アルキルグルコシド等の多価アルコールが挙げられる。又、これらアルコールのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ジオールの例としては、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロパン及びアルコキシル化トリメチロールプロパン及び1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール等が挙げられる。トリオールの好ましい例としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール及びアルコキシル化ペンタエリスリトール等が挙げられる。これ以上の水酸基を有する多価アルコールの例としては、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン及びジペンタエリトリトール等が挙げられる。
中心の単量体から鎖を樹状に延長させる単量体としては、2個以上のヒドロキシル基を有するモノカルボン酸が挙げられる。
この化合物の具体例としては、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオン酸(ジメチロールプロピオン酸)、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)−酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)−酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)−吉草酸及びα,α−ビス(ヒドロキシ)−プロピオン酸、並びに3,5−ジヒドロキシ安息香酸等のα−フェニルカルボン酸等が挙げられる。
この場合、必要に応じて反応を停止させる連鎖停止単量体を使用して製造されたものも使用可能である。
連鎖停止単量体の例としては、モノカルボン酸又はその無水物、多価カルボン酸又はその無水物、不飽和脂肪酸、不飽和カルボン酸、ジイソシアネート又はそのオリゴマー、酸のグリシジルエステル及び不飽和脂肪酸のエポキシド等が挙げられる。
モノカルボン酸及び多価カルボンとしては、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸のいずれも使用可能である。モノカルボン酸としては、飽和脂肪酸が好ましい。
飽和脂肪酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ酪酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、カプリル酸、ヘプタン酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、イソステアリン酸、イソノナン酸及び2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、大豆脂肪酸、アマニ脂肪酸、脱水ヒマシ脂肪酸、タル油脂肪酸、キリ油脂肪酸、ひまわり脂肪酸及びサフラワ脂肪酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸等が挙げられる。
又、本発明では、中心骨格化合物としてデンドリマー以外にも、低分子量の中心骨格化合物も好ましい化合物として使用できる。
本発明では、多価アルコール、無水カルボン酸及び環状エーテル基と水酸基を有する化合物(以下環状エーテルアルコールという)を使用して、開環交互重合させ製造された化合物が好ましく、当該化合物について説明する。
多価アルコールとしては、前記と同様のものが挙げられる。これらの中でも、トリオールが好ましく、具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。
無水カルボン酸としては、無水シクロヘキサンジカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸及び無水マレイン酸等が挙げられる。
環状エーテルアルコールとしては、グリシドール等のエポキシ基と水酸基を有する化合物、並びに3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等のオキセタン基と水酸基を有する化合物等が挙げられる。
次に製造方法について説明する。
まず、多価アルコールと無水カルボン酸を、塩基性触媒等の触媒の存在下に、エステル化反応を行い、カルボキシル基を有する化合物(以下カルボキシル化合物1という)を製造する。
カルボキシル化合物1に対して、環状エーテルアルコールをエステル化反応させ、環状エーテルを有する化合物(以下環状エーテル化合物2という)を製造する。
環状エーテル2に対して、無水カルボン酸を開環付加反応させ、カルボキシル基を有する化合物(以下カルボキシル化合物3という)を製造する。
カルボキシル化合物3に対して、環状エーテルアルコールをエステル化反応させ、エポキシ基を有する化合物を製造する。
以上の反応を、目的に応じて繰り返し、中心骨格化合物を製造することができる。
中心骨格化合物の分子量としては、数平均分子量で1,000〜50,000が好ましい。
中心骨格化合物としては、市販品を使用することも可能である。デンドリマーの例としは、Perstorp社製Boltorn等が挙げられる。
3)樹状化合物の製造方法
本発明の樹状化合物は、マレイミド化合物と中心骨格化合物とを、それぞれが有する官能基同士が反応し得る反応により得られる。
例えば、以下に示す反応等が挙げられる。
[1]中心骨格化合物が水酸基を有する化合物である場合
マレイミド化合物として、カルボキシル基を有するマレイミド化合物を使用し、エステル化反応を行うか、又はイソシアネート基を有するマレイミド化合物を使用し、ウレタン化反応により樹状化合物を製造する。
[2]中心骨格化合物がカルボキシル基を有する化合物である場合
マレイミド化合物として、水酸基を有するマレイミド化合物を使用し、エステル化反応により樹状化合物を製造する。
[3]中心骨格化合物がイソシアネート基を有する化合物である場合
マレイミド化合物として、水酸基を有するマレイミド化合物を使用し、ウレタン化反応により樹状化合物を製造する。
[4]中心骨格化合物がアミノ基有する化合物である場合
マレイミド化合物として、カルボキシル基を有する化合物を使用し、アミド化反応により樹状化合物を製造する。
本発明の樹状化合物は、マレイミド基を有するものを必須とするが、必要に応じて、その他の官能基を有するものであっても良い。
例えば、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、エチレン性不飽和基、エポキシ基、アルキル基、アリール基及び等が挙げられる。
エチレン性不飽和基の具体例としては、ビニル基、アリル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
組成物にさらなる硬化性を付与する目的のためには、樹状化合物に、エチレン性不飽和基及びエポキシ基等を有するものが使用される。又、得られる硬化膜に可撓性、基材密着性及びアルカリ剥離性等の性能を付与する目的のためには、樹状化合物に、アルキル基、アリール基、水酸基及びカルボン酸基等を有するものが使用される。
これらの官能基は、中心骨格化合物とエステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、カルボニル結合及びアミド結合等を介して結合される。
その他の官能基を有する樹状化合物の製造方法について、マレイミド基及び(メタ)アクリロイル基を有する樹状化合物を製造する例を挙げ説明すると、中心骨格化合物として水酸基を有する化合物を使用し、カルボキシル基を有するマレイミド化合物及び(メタ)アクリル酸とを使用してエステル化反応を行う方法等が挙げられる。
その他官能基は、樹状化合物の1分子中に0〜1000個が好ましい。
後記する通り、本発明の組成物は粉体塗料として使用することが好ましい。
この場合、低い溶融粘度を得ることができるため、中心骨格化合物として、凝集力の小さいポリエステル構造及びポリエーテル構造を有する化合物が好ましい。
さらに好ましくは、特許2574201号に示されたようなデンドリマー骨格を有するポリエステル構造を有する化合物が、溶融時に低粘度となる点で好ましい。
この場合、樹状化合物の融点又はガラス転移点(以下Tgという)としては、30〜100℃であることが好ましい。
尚、本発明において、融点又はTgとは、示差走査熱量測定法(DSC)で測定した変曲点における温度をいう。
30℃未満では粉体塗料として使用した場合、保存安定性が不十分となることがあり、100℃より高くなると、塗装時の加熱温度が高くなるため、熱に弱い基材への適用が困難となる場合がある。樹状化合物の融点が100℃を超えた場合、融点降下させるために他成分を配合する方法もあるが、この場合、他の成分の組成比が大きくなり、得られる硬化膜硬度が不足することがある。
樹状化合物の分子量としては、フロー性と保存安定性を両立できるという理由で、数平均分子量で1,500〜100,000が好ましい。
尚、本発明において、数平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下GPCと略す)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。
2.その他の成分
本発明の組成物は、前記樹状化合物を必須とするものであるが、必要に応じて活性エネルギー線硬化型組成物で通常配合される種々の成分を配合することができる。
1)エチレン性不飽和基を有する化合物
本発明の組成物においては、硬化膜の強度、柔軟性及び生産性の調整を行う目的のため、必要に応じて、樹状化合物以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下不飽和化合物という)を併用することができる。
不飽和化合物としては、樹状化合物以外のものであれば種々のものが使用でき、モノマー及びオリゴマーのいずれも使用できる。
モノマーとしては、(メタ)アクリレート及びビニルエーテル等が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノールのアルキレンオキシド付加物のアクリレート類及びそのハロゲン核置換体;エチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールの(メタ)アクリレート、並びにこれらポリオールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル及びヒドロキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記以外のモノマーの例としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド及びN−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等がある。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート及びポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付物等が挙げられる。
不飽和化合物としては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが、得られる硬化物の硬度及び耐摩耗性に優れるため好ましい。又、不飽和化合物としては、脂肪族及び脂環族の化合物を使用することが、芳香族環を有する化合物に比べ耐候性及び硬化性に優れるため好ましい。
この場合の、樹状化合物及び不飽和化合物の組成物中の割合は、樹状化合物と不飽和化合物の合計量を基準として、樹状化合物が5〜95質量%及び不飽和化合物が95〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは樹状化合物が10〜90質量%及び90〜10質量%である。樹状化合物が95重量%を超えるか不飽和化合物が5質量%に満たないと、硬化物の硬度や耐摩耗性が低下してしまうことがあり、他方樹状化合物が5質量%満たないか不飽和化合物が95重量%を超えると、硬化性が低下してしまうことがある。
2)光重合開始剤
本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射により架橋硬化させるものであり、樹状化合物がマレイミド基を有するため、活性エネルギー線により容易に硬化し、さらに紫外線により硬化させる場合でも、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を有するものである。
光重合開始剤を配合する場合において、光重合開始剤としては、ベンゾインとそのアルキルエーテル、アセトフェノン、アントラキノン、チオキサントン、ケタール、ベンゾフェノン及びキサントン等が挙げられる。光増感剤としては、安息香酸系及びアミン系光増感剤等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤の配合割合としては、樹状化合物100質量部に対して、又、不飽和化合物を配合する場合は、これらの合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
組成物の硬化性が不十分である場合、前記光重合開始剤の中でも、マレイミド基に対する光増感剤的効果が大きいチオキサントンを配合することが好ましい。チオキサントンとしては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
3)その他の成分
本発明の組成物は、塗料組成物として有用であり、特に粉体塗料として有用なものである。
本発明の組成物を、塗料として使用する場合の前記以外の成分としては、表面調整剤、レベリング剤、版嘔気借財、紫外線吸収剤、光安定剤、ハジキ防止剤、チキソトロピー付与剤、顔料、染料及び不活性有機ポリマー等を配合することが可能である。
これら以外にも、わき防止剤、可塑材、防食剤、酸化防止剤、顔料分散剤、充填材、有機系又は無機系ブロッキング防止剤、密着性向上剤及び他の樹脂等が挙げられる。
樹状化合物を溶剤型の組成物として使用する場合には、有機溶剤を配合することができ、エマルション型の組成物として使用する場合には、水を配合することができる。
3.使用方法及び用途
本発明の組成物は、前記樹状化合物と、必要に応じてその他の成分からなる混合物を使用して、常法に従い攪拌・混合して得ることができる。
使用方法としては、常法に従えば良く、基材に本発明の組成物を塗工した後、活性エネルギー線する方法等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射方法も常法に従えば良い。
活性エネルギー線としては、紫外線、X線及び電子線等が挙げられ、安価な装置を使用できることから、紫外線を使用することが好ましい。紫外線により硬化させる場合の光源としては、様々なものを使用することができ、例えば高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ及びカーボンアーク灯等が挙げられる。
本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射により、樹状化合物中のマレイミド基同士が分子間で架橋反応を起こし、その結果、得られた硬化膜が非常に優れた膜性能を発現するものである。
さらに、本発明の組成物は、活性エネルギー線により容易に硬化し、さらに紫外線により硬化させる場合でも、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を有する。これは、マレイミド基が、光重合開始剤の配合がなくとも活性エネルギー線の照射により、マレイミド基同士が二量化して架橋反応を起こすためであり、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を発揮するのである。
本発明の組成物は、種々の用途に使用可能である。具体的には、塗料、インキ、トナー、接着剤、光造形体等の成型体、及び充填材等が挙げられる。
本発明の組成物は、塗料組成物として有用であり、特に粉体塗料として有用なものである。以下、粉体塗料としての使用方法を説明する。
1)粉体塗料
本発明の組成物を粉体塗料として使用する場合の製造方法も、常法に従えば良く、例えば、バスコニーダーのような射出成型機中で、前記樹状化合物を含む混合物を60〜200℃の温度範囲で溶融混練した後に冷却し、固体となったものを細砕する等が挙げられる。
この場合の基材としては、従来活性エネルギー線硬化型粉体塗料で使用される全ての基材が使用できる。具体的には、プラスチック、木、紙、金属及びガラス等が挙げられる。本発明の組成物は、低温においても容易に低粘度化するため、特に、プラスチック、木及び紙の様な、低温において変形等を生じてしまう感熱基材に対しても使用できることができる。又、電子部品や配線を組み込んだ後のモーター又は電化製品の筐体面に例えられるような、高温条件に曝露することを避けたい部材に対しても使用することが可能である。
塗工量も、使用する用途に応じて適宜選択すれば良く、好ましい塗工量としては5〜1000g/m2であり、より好ましくは10〜300g/m2である。
塗装方法としては、粉体塗料で通常採用される方法に従えば良く、一般には、基材に粉体塗料を塗装した後、加熱溶融し、さらに活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
基材に粉体塗料を塗装する方法としては、粉体塗料で通常採用される方法に従えば良く、トリボ(Tribo)又はコロナ(Corona)充電式の塗装ガンを用いて、静電塗装する方法等が挙げられる。
粉体塗料を塗装後、加熱溶融する方法については、粉体塗料で通常採用される方法に従えば良く、一般的には、空気循環炉中又は短波若しくは中波赤外線のような輻射熱により加熱する方法等が挙げられる。
加熱溶融後に、活性エネルギー線により硬化する方法としては、活性エネルギー線硬化型組成物おいて通常使用される方法を採用すれば良い。
活性エネルギー線としては、前記と同様のものが挙げられ、前記と同様の理由で紫外線を使用することが好ましい。紫外線により硬化させる場合の光源としては、前記と同様ののものが使用できる。
本発明の組成物は、粉体塗料として使用した場合、溶融時に優れたフロー性を示し、さらに使用前の粉体塗料の保管においても優れた保存安定性を示す。
この理由としては、凝集力が小さい樹状の中心骨格と、結晶性の高いマレイミド基が、同一分子内に共存していることに起因すると推測している。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、特に粉体塗料として使用した場合、保存安定性に優れ、溶融時のフロー性に著しく優れる。さらに、低温で低粘度化し、溶融温度を低減できるため、低温で変形してしまうプラスチック等の基材にも適用することが可能となる。
本発明の組成物は、前記樹状化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物である。樹状化合物としては、前記一般式(1)で表されるマレイミド基を有するものが好ましい。
又、樹状化合物としては、中心骨格がポリエステル構造又はポリエーテル構造を有する化合物が好ましく、さらに数平均分子量が1,500〜100,000である化合物が好ましい。
本発明の組成物は、塗料組成物として好ましく使用され、粉体塗料組成物としてより好ましく使用される。この場合、樹状化合物の融点又はTgとしては、30〜100℃であるものが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、以下の記載において、「部」は質量部を、「%」は質量%を意味する。
○合成例1(マレイミド化合物の製造)
2,3,4,5−テトラヒドロ無水フタル酸912g、グリシン450g、トルエン774g、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン0.1g及びジメチルホルムアミド480gを、ディーンスタークトラップ(水分離器)、冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた3000mL容量の3つ口フラスコに仕込み、撹拌しながら加熱した。
イミド化反応中の生成水はトルエンとともに共沸させて除き、水が108g生成した時点で反応を停止した。反応温度は105〜125℃であった。
得られた反応液から溶媒を減圧除去した後に、アセトン中より再結晶精製を行い、654gの黄色透明結晶状の下記式で表される化合物を得た。以下、この化合物をM1という。
Figure 2005187659
○合成例2(中心骨格化合物の製造)
トリメチロールプロパン(以下TMPrという)120.1g、無水シクロヘキサンジカルボン酸(以下CHDAという)414.0g及びテトラブチルアンモニウムブロマイド(以下TBABという)2.0gを、冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた3つ口フラスコに仕込み、撹拌しながら120℃で2時間加熱した。酸価測定により、反応率は95%であった。
得られた反応液に、さらにTBAB5.0gを添加し、グリシドール(以下GLDLという)198.9gを滴下し、120℃で2時間、140℃で7時間攪拌した。酸価測定により、反応率は91%であった。
得られた反応液に、さらにTBAB5.0g、CHDA828.0gを添加し、140℃で4時間攪拌した。酸価測定により、反応率は90%であった。
得られた反応液に、さらにTBAB5.0gを添加し、GLDL397.9gを滴下し、120℃で2時間、140℃で7時間攪拌した。酸価測定により、反応率は89%であった。
この化合物は、模式的に下記式で表されるもので、TMPrを核としたCHDA及びGLDLの開環交互共重合反応により得られた樹状化合物であり、繰り返し数2で、末端官能基はGLDL由来の水酸基を有するものである。以下、この化合物を、D2という。
D2の数平均分子量1680、重量平均分子量2120、Tgは25℃であった。
Figure 2005187659
尚、上記式において、TMPは、TMPr残基を意味し、GLDは、GLDL残基を意味し、HHは、CHDA残基を意味する。
○合成例3(中心骨格化合物の製造)
TMPr102.4g、CHDA352.9g及びTBAB2.0gを、合成例2と同様のフラスコに仕込み、撹拌しながら120℃で2時間加熱した。酸価測定により、反応率は96%であった。
得られた反応液に、さらにTBAB5.0gを添加し、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(以下HMOXという)266.0gを滴下し、120℃で2時間、140℃で12時間攪拌した。酸価測定により、反応率は89%であった。
得られた反応液に、さらにTBAB5.0g、CHDA705.8gを添加し、140℃で4時間攪拌した。酸価測定により、反応率は90%であった。
得られた反応液に、さらにTBAB5.0gを添加し、HMOX532.0gを滴下し、140℃で14時間攪拌した。酸価測定により、反応率は80%であった。
この化合物は、模式的に下記式で表されるもので、TMPrを核としたCHDA及びHMOXの開環交互共重合反応により得られた樹状化合物であり、繰り返し数2で、末端官能基はHMOX由来の水酸基を有するものである。以下、この化合物をD3という。
D3の数平均分子量は1520、重量平均分子量2450、Tgは19℃であった。
Figure 2005187659
尚、上記式において、TMPは、TMPr残基を意味し、OXAは、HMOX残基を意味し、HHは、CHDA残基を意味する。
○合成例4(中心骨格化合物の製造)
D2の500g、CHDA360.1g及びTBAB4.0gを、合成例2と同様のフラスコに仕込み、撹拌しながら120℃で8時間加熱した。酸価測定により、反応率は94%であった。
この化合物は、TMPrを核としたCHDA及びGLDLの開環交互共重合反応により得られた樹状化合物であり、繰り返し数2.5で、末端官能基はCHDA由来のカルボン酸を有するものである。以下、この化合物をD4という。
D4の数平均分子量は2950、重量平均分子量は3900、Tgは56℃であった。
○合成例5(樹状化合物a1の製造)
M1の453g、BoltornH−20(Perstorp社製、水酸基末端デンドリマー型ポリエステル、水酸基価505、数平均分子量1747、以下D1という)217g、パラトルエンスルホン酸28g、メチルハイドロキノン1.4g、トルエン700gを、ディーンスタークトラップ(水分離器)、冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた2000mL容量の3つ口フラスコに仕込み、撹拌しながら加熱した。
エステル化反応中の生成水はトルエンとともに共沸させて除き、水が38g生成した時点で反応を停止した。反応温度は103〜112℃であった。
得られた反応液を20%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、20%硫酸アンモニウム水溶液で洗浄した。この洗浄した反応液から溶媒を減圧除去し、模式的に下記式で表される樹状化合物を393g得た。以下、この化合物をa1という。
a1の数平均分子量は3190、重量平均分子量は4690、Tgは44℃であった。
Figure 2005187659
○合成例6(樹状化合物a2の製造)
実施例1において、D1をD2に代えた以外は、全て実施例1と同様の成分及び条件で製造を行い、樹状化合物を得た。
この化合物は、模式的に下記式で表されるもので、この化合物をa2という。
a2の数平均分子量は2910、重量平均分子量は4950、Tgは53℃であった。
Figure 2005187659
尚、上記式において、TMPは、TMPr残基を意味し、GLDは、GLDL残基を意味し、HHは、CHDA残基を意味し、IMは、M1残基を意味する。
○合成例7(樹状化合物a3の製造)
実施例1において、D1をD3に代えた以外は、全て実施例1と同様の成分及び条件で製造を行い、樹状化合物を得た。
この化合物は、模式的に下記式で表されるもので、この化合物をa3という。
a3の数平均分子量は2840、重量平均分子量は4290、Tgは32℃であった。
Figure 2005187659
尚、上記式において、TMPは、TMPr残基を意味し、OXAは、HMOX残基を意味し、HHは、CHDA残基を意味し、IMは、M1残基を意味する。
○比較合成例1(樹状化合物b1の製造)
D1の500g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下MOIという)697.5g、テトラブチルスズラウレート0.1g及びメチルハイドロキノン(以下MQという)0.25gを、合成例1と同様のフラスコに仕込み、撹拌しながら100℃で6時間加熱した。
得られた樹状化合物をb1という。
b1の数平均分子量は3290、重量平均分子量は3880、Tgは25℃であった。
○比較合成例2(樹状化合物b2の製造)
D4の500g、グリシジルメタクリレート(以下GMAcという)211g、TBAB4.0g、MQ0.25gを、合成例1と同様のフラスコに仕込み、撹拌しながら120℃で6時間加熱した。酸価測定により、反応率は90%であった。
この化合物は、模式的に下記式で表されるもので、この化合物をb2という。
b2の数平均分子量は4930、重量平均分子量は6320、Tgは19℃であった。
Figure 2005187659
尚、上記式において、TMPは、TMPr残基を意味し、GLDは、GLDL残基を意味し、HHは、CHDA残基を意味し、GMAは、GMAc残基を意味する。
○実施例1(活性エネルギー線硬化型粉体塗料)
a1の100部に対して、レジミックス0.5部〔レジミックスRL−4、三井化学(株)製〕、フローレン326F〔共栄社化学(株)製〕0.5部をヘンシェルミキサーにて3分間混合した。その後にブスコニーダーPR46型(ブス社製連続溶融混練機)を用いて、80℃条件下で、常法に従い溶融混練を行なった。
冷却後、ヘンシェルミキサーにて粗砕操作を実施した後にZM1粉砕機にて細砕化せしめ、200メッシュ金網を通過した分を集め、粉体塗料を調製した。
得られた粉体塗料について、以下の評価方法に従い、粉体塗料としての性能を評価した。それらの結果を表2に示す。
・保存安定性
得られた粉体塗料30gを、直径40mmのポリカップに入れ、上面に1kg荷重をかけた条件下、30℃28日保管後の粉体のブロッキング状態により、以下の3段階で評価した。
○:全くブロッキングなし
△:直径5mm未満の塊が5個未満あり
×:直径5mm未満の塊が5個以上あるいは直径5mm以上の塊あり
・平滑性(各温度)
得られた粉体塗料をコロナ充電式塗装ガンを用いて、100g/m2となるように静電塗装を行った。尚、基材としては、厚さ0.8mmのボンデライト鋼板〔日本テストパネル(株)製PB−144〕を使用し、スプレーブース内に塗装面が垂直になるように設置した。
塗工後の基材を、空気循環炉を使用して指定した温度にて8分加熱した後、すぐにコンベア式集光型高圧水銀灯による紫外線を1000mJ/cm2照射した。全ての硬化膜は硬化し、表面タックが消滅した。このようにして得られた硬化膜の平滑性を表面粗さ計にて測定し、平均粗さ値を表中にμmで示した。
・鉛筆硬度
平滑性評価で得られた硬化膜の表面硬度を、JIS K 5400に準拠して鉛筆硬度として測定した。
・耐アセトン性
平滑性評価で得られた硬化膜の表面を、アセトンにて湿潤させた綿棒にてダブルラビングした。基材素地が露出するまでのラビング回数を表中に示した。
○実施例2〜同3、比較例1〜同5(活性エネルギー線硬化型粉体塗料)
樹状化合物として、表2に示す原料を用いる以外は、実施例1と同様の方法により粉体塗料を製造した。尚、使用した樹状化合物を、以下の表1に示す。
得られた粉体塗料について、実施例1と同様の方法によりの性能評価を行なった。それらの結果を、表3に示す。
Figure 2005187659
表1のc1、c2及びc3は、いずれも市販の紫外線硬化型粉体塗料用の樹脂である。Uvecoatは、UCB社の製品で、Uvecoat2100は、ポリエステル(メタ)アクリレート(Tg=57℃)であり、Uvecoat9010は、フロー性向上添加剤である半結晶性ポリエステル(メタ)アクリレート(融点=85℃)であり、Uvecoat3000は、ポリエステル(メタ)アクリレート(Tg=51℃)である。
Figure 2005187659
尚、表2における数は、部数を表し、略号は、以下の意味を表す。
1)Irg2959:チバスペシャリティケミカル社製イルガキュア2959、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−メチル−1−プロパン−1−オン
2)Irg819:チバスペシャリティケミカル社製イルガキュア819、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド
Figure 2005187659
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インキ及び塗料等の種々の用途に使用可能であり、好ましくは塗料として使用でき、より好ましくは粉体塗料として使用できる。





















Claims (7)

  1. 中心の単量体から多分岐状に反復して単量体が結合してなる樹状化合物であって、末端にマレイミド基を含有する化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
  2. 前記マレイミド基が下記一般式(1)で表される基である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
    Figure 2005187659
    〔但し、式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基を表すか、又はR1及びR2は一つとなって炭素環を形成する炭化水素基を表す。〕
  3. 前記化合物の中心骨格がポリエステル構造又はポリエーテル構造を有する化合物である請求項1又は請求項2記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  4. 前記化合物の数平均分子量が1,500〜100,000である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  5. 前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の組成物からなる活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  6. 前記請求項5の組成物からなる活性エネルギー線硬化型粉体塗料組成物。
  7. 前記化合物の融点又はガラス転移点が30〜100℃である請求項6記載の活性エネルギー線硬化型粉体塗料組成物。













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