JP2003236993A - 表示用基板材料 - Google Patents

表示用基板材料

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JP2003236993A
JP2003236993A JP2002045341A JP2002045341A JP2003236993A JP 2003236993 A JP2003236993 A JP 2003236993A JP 2002045341 A JP2002045341 A JP 2002045341A JP 2002045341 A JP2002045341 A JP 2002045341A JP 2003236993 A JP2003236993 A JP 2003236993A
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JP2002045341A
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English (en)
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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Kazuyuki Omote
和志 表
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種特性に優れる表示用基板材料を提供する 【解決手段】 樹脂成形体(A)と、前記樹脂成形体
(A)の少なくとも一部を被覆してなる被覆層(B)と
を含む表示用基板材料であって、前記樹脂成形体(A)
を特定のポリ・エーテル・エーテル・ケトンから形成
し、被覆層(B)を特定の有機ケイ素系組成物から形成
してなる表示用基板材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示機器など
に用いられる表示用基板材料に関し、より詳しくは、樹
脂成形体および被覆層として特定の材料を用いることに
より、各種特性の向上が達成された表示用基板材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】電子手帳、ICカード、携帯電話等のデ
ィスプレイには、小型化・軽量化に有利な液晶が広く用
いられている。通常、液晶を用いたディスプレイは、液
晶材料、電極、配向膜など画像表示材料が表示用基板材
料間に配置された構成を有する。表示用基板材料として
は、従来ガラスが用いられてきたが、近年、小型化・軽
量化に対する社会的要請が強まってきている。そこで、
樹脂成形体を用いた表示用基板材料の開発が強く所望さ
れている。
【0003】しかしながら、ガラスと比較して樹脂成形
体のガスバリア性が劣る。このため、樹脂成形体を用い
た表示用基板材料を使用する場合、大気中の酸素が樹脂
成形体を通過して液晶材料と接触し、気泡が発生したり
液晶材料が劣化したりする問題があった。特に、食品や
飲料品等と異なり、表示用基板材料は長ければ数年間に
渡って連続使用されるものであり、より高レベルの特性
が表示用基板材料には求められる。
【0004】この問題を解決するため、樹脂成形体上に
ガスバリア性の被覆層を形成した形態の表示用基板材料
を製造する試みがなされているが、未だ完全に満足のい
く表示用基板材料の形成には至っていない。特に、表示
用基板材料として用いる場合には、液晶表示機器の製造
時に高温にさらされるため、優れた耐熱性を有している
ことが求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、各種
特性(ガスバリア性、耐熱性、表面平滑性など)に優れ
る表示用基板材料(被覆体)を提供することを目的とす
る。
【0006】また本発明は、前記被覆体の形成に用いら
れる組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、樹脂成形体
(A)と、前記樹脂成形体(A)の少なくとも一部を被
覆してなる被覆層(B)とを含む表示用基板材料であっ
て、前記樹脂成形体(A)は、下記式(1):
【0008】
【化10】
【0009】(式中、mは0または1であり、R1は下
記式(2):
【0010】
【化11】
【0011】(式中、pは0または1であり、R2は2
価の有機基を示す))で表される繰り返し単位を含む重
合体からなり、前記被覆層(B)は、活性水素が結合し
た窒素原子を分子内に有する有機化合物(b−i)、前
記活性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成し
うる官能基を分子内に有する有機化合物(b−ii)、な
らびに、下記式(3):
【0012】
【化12】
【0013】(式中、R3は水素原子または前記活性水
素と反応しない官能基を有していてもよいアルキル基で
あり、R4は水素原子またはアルキル基であり、xは0
以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+y=
4であり、xまたはyが2以上の場合にはR3またはR4
は異なっていてもよい)で表される有機ケイ素化合物
(b−iii)および/またはその加水分解縮合物(b−i
v)を反応して得られた組成物を用いて形成されてな
る、表示用基板材料を提供するものである。
【0014】上記構成を有する本発明に係る表示用基板
材料は、樹脂成形体としてポリエーテルケトンを用いて
いる。本発明で規定する特定のポリエーテルケトンを用
いて製造された表示用基板材料は、耐熱性、透明性、機
械強度、化学的安定性、成形性、自己潤滑性などに特に
優れる。また、本発明に係る表示用基板材料において
は、ポリエーテルケトン表面の少なくとも一部に、有機
ケイ素系組成物を用いて形成された被覆層が形成されて
いる。本発明で規定する特定の有機ケイ素系組成物を用
いて形成された被覆層は、透明性、ガスバリア性、可撓
性に特に優れる。その上、本発明者らは、本発明におい
て規定するポリエーテルケトンおよび有機ケイ素系組成
物を組み合わせると、得られる効果は単なる加算以上の
ものとなることを見出した。すなわち、ポリエーテルケ
トンおよび有機ケイ素系組成物の相乗効果が発現し、形
成される表示用基板材料の特性が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明の一は、樹脂成形体
(A)と、前記樹脂成形体(A)の少なくとも一部を被
覆してなる被覆層(B)とを含む被覆体に関するもので
ある。該被覆体においては、厳密に区別する必要はない
が、樹脂成形体(A)が主に基材としての作用を担い、
被覆層(B)が被覆体のガスバリア性を高める作用を担
う。被覆体の適用用途としては、液晶表示機器などが挙
げられる。以下の説明においては、本発明の被覆体を表
示用基材材料として液晶表示機器に適用する実施形態を
例にとって説明するが、本発明の被覆体の用途を限定す
るものではない。
【0016】用いられる樹脂成形体(A)はポリエーテ
ルケトンから構成され、具体的には前記式(1)で表さ
れるポリエーテルケトンから構成される。前記式(1)
で表されるポリエーテルケトンから形成される樹脂成形
体(A)は、優れた透明性や耐熱性を有する。前記式
(1)で表されるポリエーテルケトンは、特開2001
−64226号公報に開示されている方法と同様の手順
により調製することができる。したがって前記式(1)
で表されるポリエーテルケトンを製造する際には、該公
報の記載を適宜参照することができる。樹脂成形体
(A)を合成する手順をある実施形態を参考にして至極
簡単に説明すると、まず下記式(4):
【0017】
【化13】
【0018】で示される原料化合物を準備する。前記式
(4)においてR5は、水酸基や2,3,4,5,6−
ペンタフルオロベンゾイル基などを用いることができ
る。この化合物をモノマーユニットとして用いて重合反
応を進行させることによって、前記式(1)で表される
ポリエーテルケトンを合成することができる。ただし該
公報記載の方法に限定されるものではなく、他の方法を
適用しても良いことは勿論である。樹脂成形体(A)の
所望する構造を変更させるためには、原料化合物を適宜
変更することによって対処することが可能である。
【0019】前記式(1)において、R1は前記式
(2)で表される二価の基である。mは0または1であ
る。即ち、R1は存在しなくてもよい。前記式(2)に
おいて、pは0または1であり、R2は2価の有機基を
表し、これらに限定されるものではないが、以下の2価
の有機基を好適に用いることができる。
【0020】
【化14】
【0021】これら2価の有機基の中では、以下の2価
の有機基がより好ましい。
【0022】
【化15】
【0023】前記式(1)で表される繰り返し単位の繰
り返し数は特に限定されるものではないが、2〜500
0であることが好ましく、5〜500であることがより
好ましい。さらに、本発明において、前記式(1)で表
されるポリエーテルケトンは、2以上の繰り返し単位を
分子中に含んでいても良い。繰り返し単位が2以上存在
する場合には、その繰り返し単位はブロック状であって
もランダム状であってもよい。
【0024】このようなポリエーテルケトンのモノマー
ユニットの具体的態様としては、以下の態様が挙げられ
る。
【0025】
【化16】
【0026】前記式(1)で表されるポリエーテルケト
ンの末端は、通常の合成条件に従えば、フッ素原子を含
むベンゼン環側がフッ素であり、R1側が水素原子とな
る。ただし、ポリエーテルケトンの末端を変化させるこ
とにより、得られるポリエーテルケトンの特性を高める
ことも可能である。具体的には、ポリエーテルケトンの
少なくとも一方の末端を、フェニルエチニル基および/
またはプロパギルオキシ基で置換するとよい。このよう
な架橋基性の置換基を用いて架橋されたポリマーは、高
い機械的強度および強靭性を有し、電気的特性、熱酸化
安定性、溶解性及び透明性に優れるため、表示用基板材
料としての有用性を高めることができる。また、架橋時
に分子量の増加に伴い溶解性が低下するため、溶剤への
溶出が抑えられて膜を容易に形成することができる。
【0027】架橋基の導入は、前記式(1)で表される
ポリエーテルケトンを、フェニルエチニルフェノール化
合物および/またはプロパギルオキシフェノール化合物
と反応させることによって行える。上記反応で使用され
るフェニルエチニルフェノール化合物としては、特に限
定されるものではないが、4−フェニルエチニルフェノ
ールが挙げられる。また、上記反応で使用されるプロパ
ギルオキシフェノール化合物としては、特に限定される
ものではないが、4−プロパギルオキシフェノールが挙
げられる。
【0028】フェニルエチニルフェノール化合物及びプ
ロパギルオキシフェノール化合物の製造方法は、公知の
方法を用いることが可能である。例えば、フェニルエチ
ニルフェノール化合物の好ましい一例である4−フェニ
ルエチニルフェノールは、Hyung−Jong Le
e et al.,Journal of Polym
er Science:Part A:Polymer
Chemistry,Vol.36,pp.2881
−2887(1998)に記載されるような公知の方法
に従って合成されうる。
【0029】また、ポリエーテルケトンとの反応性を考
慮すると、フェニルエチニルフェノール化合物および/
またはプロパギルオキシフェノール化合物は、溶媒中
で、塩基の存在下で予め塩の形態とすることが好まし
い。この際、溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジ
メチルアセトアミドなどが挙げられる。また、塩基とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リ
チウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸リチウム及び炭酸カリウム等のアルカリ金属
の炭酸塩などが挙げられ、これらのうち、水酸化カリウ
ム及び水酸化ナトリウムが好ましい。このとき用いられ
る溶媒の使用量は、フェニルエチニルフェノール化合物
および/またはプロパギルオキシフェノール化合物を効
率良く塩の形態にできるような量であれば特に制限され
ないが、溶媒におけるフェニルエチニルフェノール化合
物および/またはプロパギルオキシフェノール化合物の
濃度が、1〜70質量%、より好ましくは5〜50質量
%となるような量である。また、塩基の存在量もまた、
フェニルエチニルフェノール化合物および/またはプロ
パギルオキシフェノール化合物を効率良く塩の形態にで
きるような量であれば特に制限されず、化学量論的には
フェニルエチニルフェノール化合物および/またはプロ
パギルオキシフェノール化合物と等モルであるが、好ま
しくは、フェニルエチニルフェノール化合物および/ま
たはプロパギルオキシフェノール化合物1モルに対し
て、1〜10モル、より好ましくは1〜5モルである。
【0030】ポリエーテルケトンとフェニルエチニルフ
ェノール化合物および/またはプロパギルオキシフェノ
ール化合物(各々、塩を含む)との反応は、無溶媒下で
行なわれても溶媒中で行なわれてもよいが、反応性を考
慮すると、溶媒中で行なわれることが好ましい。この際
使用される溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピ
ロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド及びメタノ
ール等の極性溶媒やトルエンなどが挙げられる。これら
の有機溶媒は、単独でまたは2種以上の混合物の形態で
使用されてもよい。また、反応を溶媒中で行なわれる際
の溶媒の使用量は、ポリエーテルケトンとフェニルエチ
ニルフェノール化合物および/またはプロパギルオキシ
フェノール化合物(各々、塩を含む)との反応が効率良
く進行できる量であれば特に制限されないが、ポリエー
テルケトンの濃度が5〜50質量%であることが好まし
く、10〜30質量%であることが好ましい。
【0031】ポリエーテルケトンとフェニルエチニルフ
ェノール化合物および/またはプロパギルオキシフェノ
ール化合物(各々、塩を含む)との反応条件は、これら
の反応が効率良く進行する条件であれば特に制限されな
いが、例えば、反応温度は、好ましくは30〜200
℃、より好ましくは50〜150℃であり、反応時間
は、好ましくは1〜48時間、より好ましくは1〜24
時間である。また、上記反応は、加圧下、常圧下または
減圧下のいずれの圧力下で行なってもよいが、好ましく
は常圧下で行われる。
【0032】上述のように末端が置換されたポリエーテ
ルケトンの架橋方法は、公知の架橋方法が同様にして使
用できるが、特に熱架橋、電子線架橋及び化学的架橋に
よって、効果的にポリマーの架橋が行えることを見出し
た。
【0033】樹脂成形体(A)の形状は特に限定される
ものではなく、適用される機器に応じて決定される。例
えば、液晶表示機器に適用される場合には、液晶表示機
器に適合するサイズに成型される。ただし、生産性を考
慮すると、使用サイズへの適合は、シート状の完成品を
まず完成させた後、カッティング処理を施すことが好ま
しい。樹脂成形体の厚みは、50〜500μmが好まし
く、100〜200μm程度がより好ましい。上記範囲
よりも薄いと充分な耐熱性、成形性が確保できなくなる
恐れがあり、上記範囲より厚いと軽量性、透明性の点で
問題が生じる恐れがある。
【0034】一方、被覆層(B)は被覆層形成用組成物
を調製し、これを塗布することによって作製される。
【0035】被覆層形成用組成物は、前記式(1)で表
される重合体からなる樹脂成形体(A)を被覆する被覆
層(B)を形成するために用いられる。被覆層形成用組
成物の調製方法について以下説明するが、調製に際して
は特開平8−295848号公報などの記載されている
手法や化合物を適宜参照できる。
【0036】被覆層形成用組成物は、活性水素が結合し
た窒素原子を分子内に有する有機化合物(b−i)、前
記活性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成し
うる官能基を分子内に有する有機化合物(b−ii)、お
よび、前記式(3)で表される有機ケイ素化合物(b−
iii)および/またはその加水分解縮合物(b−iv)を
反応させることにより得られる。
【0037】有機化合物(b−i)は、活性水素が結合
した窒素原子を分子内に有するものであれば特に限定さ
れるものではない。本願において活性水素とは、反応性
が強く各種の試薬と反応する水素原子をいい、具体的に
は、−NH−(式中、Nには他に水素原子が結合してい
ない)または−NH2として分子中に存在する。有機化
合物(b−i)からなる成分が被覆層形成用組成物に含
まれる場合、形成される被覆層(B)の可撓性を高める
上で特に効果がある。
【0038】有機化合物(b−i)の分子量は特に限定
されるものではないが、形成される被覆層(B)の製膜
性や可撓性を考慮すると、高分子化合物であることが好
ましい。有機化合物(b−i)としての高分子化合物
は、数平均分子量が小さすぎると形成された被覆層
(B)の可撓性が劣る恐れや、樹脂成形体や他の被覆層
(B)上にコーティングして積層する際の製膜性が劣る
恐れがある。このため、有機化合物(b−i)としての
高分子化合物の数平均分子量は250以上であることが
好ましく、300以上であることがより好ましい。一
方、数平均分子量が大きすぎると形成される被覆層
(B)の透明性が劣る恐れがあり、また、被覆層(B)
の可撓性が劣る恐れがある。このため、有機化合物(b
−i)としての高分子化合物の数平均分子量は2000
00以下であることが好ましく、100000以下であ
ることがより好ましく、10000以下であることが特
に好ましい。ただし、数平均分子量では計測できない複
雑な構造を持つものも有機化合物(b−i)として使用
可能であり、本発明においてはこれらのものを排除する
ものではない。
【0039】有機化合物(b−i)の具体例としては、
エタノールアミンなどの低分子化合物や、ポリアルキレ
ンイミン、ポリアリルアミンなどの高分子化合物が挙げ
られる。
【0040】ポリアルキレンイミンとしては、ポリメチ
レンイミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミ
ン、ポリイソプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、
ポリイソブチレンイミンなどが挙げられる。ポリアルキ
レンイミンは各種公知の合成方法を用いて調製すること
ができ、また、市販品を用いてもよい。例えば、株式会
社日本触媒製のエポミンシリーズ;エポミンSP−00
3、エポミンSP−006、エポミンSP−012、エ
ポミンSP−018、エポミンSP−103、エポミン
SP−110、エポミンSP−200、エポミンSP−
300、エポミンSP−1000、エポミンSP−10
20(いずれも商品名)等のポリエチレンイミンを用い
ることができる。ポリアリルアミンとしては、各種公知
の方法で合成したものを用いることができるほか、日東
紡績株式会社製のPAA−L、PAA−H(いずれも商
品名)などを用いることができる。これらは1種単独で
用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。上
記列挙した有機化合物(b−i)のなかでは、被覆層
(B)の透明性、耐熱性、可撓性、密着性を考慮する
と、ポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイ
ミンが特に好ましい。
【0041】有機化合物(b−ii)は、有機化合物(b
−i)に含まれる窒素原子に結合した活性水素と反応し
てこの窒素原子と化学結合を形成しうる官能基を分子内
に有するものであれば特に限定されるものではない。こ
のような官能基としては、特に制限されるものではない
が、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、
チオイソシアネート基、オキサゾリニル基、(メタ)ア
クリル基、アルデヒド基、ケトン基、アルキルハライド
基などが挙げられる。窒素原子に結合した活性水素との
反応容易性、耐熱水性を考慮すると、エポキシ基である
ことが好ましい。なお、有機化合物(b−ii)からなる
成分を被覆層形成用組成物に含ませた場合、被覆層形成
用組成物の製膜性を向上させる上で特に効果がある。
【0042】有機化合物(b−ii)は、特に制限される
べきものではないが、2−エチルヘキシルグリシジルエ
ーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレング
リコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジル
エーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グ
リセロールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロ
パンジグリシジルエーテル等の脂肪族モノ−、ジグリシ
ジルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエーテ
ル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリ
シジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
ト、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、
ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のポ
リグリシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジルエス
テル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、フェニルグ
リシジルエーテル等の脂肪族および芳香族モノ−、ジグ
リシジルエステル類;ビスフェノールAジグリシジルエ
ーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヒドロ
キノンジグリシジルエーテル、ビシフェノールSジグリ
シジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテ
ルなどの芳香環またはその水素添加環(核置換誘導体も
含む)を有するグリシジル類;グリシジル基を官能基と
して有するオリゴマー類;ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、1,4−ジフェニル
メタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシ
アネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ト
リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソ
シアネート類;酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸
類;ポリアクリル酸等のカルボキシル基含有重合体;オ
キサゾリニル基含有重合体などが挙げられる。
【0043】これらは1種単独で用いてもよいし、2種
以上を併用して用いてもよい。なお、上記例示した有機
化合物(b−ii)の中では、芳香環またはその水素添加
環(核置換誘導体も含む)を有する有機化合物が好まし
い。芳香環またはその水素添加環を有する有機化合物を
使用することにより、被覆層(B)の耐水性を向上させ
得る。
【0044】有機化合物(b−ii)は、下記式(5):
【0045】
【化17】
【0046】で表される官能基(以下、「SiOR
6基」とも記載)を分子内に有していてもよい。式中、
6は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であ
る。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状アルキル基、
分岐状アルキル基、環状(脂環式)アルキル基のいずれ
であってもよい。アルキル基の中では、被覆層(B)を
緻密にする観点からは、メチル基またはエチル基が好ま
しい。
【0047】有機化合物(b−ii)中にSiOR6基を
有している場合には、有機化合物(b−i)と反応前ま
たは反応後にSiOR6基において加水分解縮合が進行
する。また、後述の有機ケイ素化合物に含まれる加水分
解性縮合基との間で共加水分解縮合が進行する。これら
の縮重合の作用により、速やかにハードコート性に優れ
た緻密な被覆層(B)の形成が可能となる。また、被覆
層(B)と樹脂成形体との密着性を高める効果も有す
る。なお、有機化合物(b−i)が低分子化合物である
場合には、有機化合物(b−ii)との反応前に加水分解
縮合しておくとよい。
【0048】SiOR6基を有する有機化合物(b−i
i)の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキ
シシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシ
ラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキ
シ基とSiOR6基を有するシランカップリング剤(以
下、単にエポキシ基含有シランカップリング剤と省略す
ることがある);γ−イソシアノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、
γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
イソシアノプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシ
アネート基およびSiOR6基含有シランカップリング
剤(以下、単にイソシアネート基含有シランカップリン
グ剤と省略することがある)などが挙げられる。これら
は、1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用
して用いてもよい。
【0049】有機ケイ素化合物(b−iii)は、前記式
(3)で表される。式(3)において、R3は水素原子
またはアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4
のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アル
キル基、イソプロピル基、イソブチル基といった分岐ア
ルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった
環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかで
は、緻密な被覆層(B)を形成する上での反応容易性の
観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。また、
これらのアルキル基は、有機化合物(b−i)に含まれ
る前記活性水素と反応しない官能基を有していても良
い。有機化合物(b−i)に含まれる前記活性水素と反
応しない官能基としては、特に限定されるものではない
が、ビニル基が挙げられる。ビニル基を有する場合、耐
熱性が向上する効果がある。なお、R3は、xが2以上
の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよ
い。
【0050】前記式(3)において、R4は水素原子ま
たはアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4の
アルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アル
キル基、イソプロピル基、イソブチル基といった分岐ア
ルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった
環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかで
は、緻密な被覆層(B)を形成する上での反応容易性の
観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。なお、
4は、yが2以上の場合には、同一であってもよい
し、異なっていてもよい。
【0051】前記式(3)において、xは0以上の整数
であり、yは1以上の整数であり、x+y=4である。
特に限定されるものではないが、形成される被覆層
(B)の耐熱性、耐煮沸性、耐水性を考慮すると、x=
0であり、y=4であることが好ましい。
【0052】有機ケイ素化合物(b−iii)の具体例と
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブ
トキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エ
チルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシ
シラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキ
シシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソ
プロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類
およびこれらの錯体化合物、メチルトリアセトキシシラ
ン、トリメチルシラノール、並びにこれらの化合物を含
む高分子有機ケイ素化合物類が挙げられる。この中で
は、被覆層(B)の耐湿性、耐水性などを考慮すると、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好まし
い。なお、これらは、1種単独で用いてもよいし、また
は2種以上を併用して用いてもよい。
【0053】有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(b−
iv)は、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物
(b−iii)の加水分解縮合によって得られる化合物で
ある。有機ケイ素化合物(b−iii)の代わりに、また
は有機ケイ素化合物(b−iii)に加えて、有機ケイ素
化合物の加水分解縮合物(b−iv)を含んでもよいと
したのは、被覆層(B)を形成する際における有機化合
物(b−ii)および有機ケイ素化合物(b−iii)の不
本意な乾燥を防止するためには、これらを予め加水分解
縮合させておくことが好ましいからである。つまり、本
発明の被覆層形成用組成物は、有機ケイ素化合物(b−
iii)を含むものであってもよく、有機ケイ素化合物
(b−iii)の加水分解縮合物(b−iii)を含むもので
あってもよい。両者を含むものであってもよいことは勿
論である。これらの加水分解縮合反応は、空気中に存在
する水分によっても進行するが、酸または塩基等の公知
の触媒を用いて反応効率を向上させてもよい。また、作
業性を考慮すると、加水分解反応は溶媒中で行うことが
好ましい。
【0054】なお、この有機ケイ素化合物(b−iii)
およびその加水分解縮合物(b−iv)は、有機化合物
(b−i)が有する窒素原子に結合した活性水素と反応
し得る官能基を有さない点で、有機化合物(b−ii)と
は明確に異なるものである。
【0055】本発明の被覆層形成用組成物を得るために
は、まず、上述の(b−i)〜(b−iv)を反応させ
て、これらが反応した組成物を調製する。反応の媒体
は、後述する溶媒(b−v)と同一の化合物を用いるこ
とができる。上述の(b−i)〜(b−iv)を反応さ
せて組成物を得る際の配合量は、他の添加剤の使用の有
無などによって決定されるべきものであり、一義的に規
定することはできないが、通常の量を以下に規定する。
【0056】有機化合物(b−i)の配合量は、被覆層
形成用組成物の構成成分(ただし、溶媒(b−v)を除
く)の合計配合量に対して、通常5〜70質量%、好ま
しくは10〜60質量%、より好ましくは15〜40質
量%の範囲である。
【0057】有機化合物(b−ii)の配合量は、被覆層
形成用組成物の構成成分(ただし、溶媒(b−v)を除
く)の合計配合量に対して、通常5〜50質量%、好ま
しくは7〜35質量%、より好ましくは10〜20質量
%の範囲である。
【0058】有機ケイ素化合物(b−iii)および/ま
たはその加水分解縮合物(b−iv)の配合量は、被覆
層形成用組成物の構成成分(ただし、溶媒(b−v)を
除く)の合計配合量に対して、通常10〜80質量%、
好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜6
0質量%の範囲である。なお、「有機ケイ素化合物(b
−iii)および/またはその加水分解縮合物(b−iv)
の配合量」とは、両者の合計の配合量を意味するもので
あり、いずれか一方のみが被覆層形成用組成物中に含ま
れる場合には、一方の配合量を意味するものである。
【0059】(b−i)〜(b−iv)が配合される溶
媒(b−v)は、有機化合物(b−i)、有機化合物
(b−ii)、有機ケイ素化合物(b−iii)および/ま
たは有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(b−iv)、
ならびにこれらの反応反応物を溶解しうるものであれば
特に限定されるものではなく、具体的には、メタノー
ル、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチ
レングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類;トリエン、ベンゼン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン等の炭化水素類;メチルアセテート、エチルアセテー
ト等のアセテート類;その他、エチルフェノールエーテ
ル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、水などが
挙げられる。この中では、加水分解反応時の安定性や保
存安定性に優れている点で、メタノール、エタノールな
どのアルコール類が好ましい。溶媒は、使用する成分
(b−i)〜(b−iv)との相性を考慮して選択する
とよい。
【0060】溶媒(b−v)の配合量は、特に限定され
ないが、被覆層形成用組成物(ここでは、溶媒(b−
v)を含む)の全質量を100質量%としたときに、通
常20〜97質量%、好ましくは50〜95質量%、よ
り好ましくは70〜95質量%、特に好ましくは75〜
90質量%の範囲である。溶媒(b−v)の配合量が2
0質量%未満の場合には、被覆層形成用組成物の反応安
定性に劣ることがあり、また塗工中に、被覆層形成用組
成物の粘度が上昇して均一塗工ができなくなる可能性が
ある。一方、97質量%を超える場合には、被覆層
(B)を形成する際の生産性が劣ることがあるほか、有
効成分が低濃度となり過ぎるため、必要な被覆層(B)
の厚さを確保できない場合がある。
【0061】また、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、
消泡剤、増粘剤などの各種添加剤を、被覆層形成用組成
物の特性を損なわない範囲でさらに配合量してもよい。
【0062】本発明に係る被覆層形成用組成物の調製方
法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下の方
法を用いることができる。
【0063】(1) 有機化合物(b−i)と、有機化
合物(b−ii)と、有機ケイ素化合物(b−iii)およ
び/またはその加水分解縮合物(b−iv)と、溶媒
(b−v)とを含む配合成分(他の任意成分を含んでい
ても良い)を反応させる方法、(2) 予め溶媒(b−
v)中で、有機化合物(b−i)と有機化合物(b−i
i)とを反応させて、その後、有機ケイ素化合物(b−i
ii)および/またはその加水分解縮合物(b−iv)を
加える方法、(3) 溶媒有機化合物(b−i)を含む
溶媒(b−v)中で、有機化合物(b−ii)と有機ケイ
素化合物(b−iii)とを加水分解縮合する方法、など
が挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものでは
ない。なお、溶媒(b−v)は、その調製段階や方法に
応じて適当なものを適時、補充ないし追加することが望
ましい。
【0064】反応条件は、組成物中に有機化合物(b−
i)の未反応物が実質的に残存しない条件とすることが
好ましい。未反応の有機化合物(b−i)が残存してい
ると、得られる被覆層(B)の安定性が低下する恐れが
あるからである。例えば、30〜80℃程度で、0.5
〜5時間程度反応させればよい。
【0065】このようにして調製した被覆層形成用組成
物を用いて、被覆層(B)を形成することにより、本発
明に係る表示用基板材料が提供される。
【0066】被覆層形成用組成物を樹脂成形体(A)の
表面に被覆させるには、各種コーティング法や印刷法な
どを用いることができる。例えば、ロールコーティング
法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノ
ズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコ
ーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーテ
ィング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グ
ラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法などが挙げられ
る。これらを組み合わせてもよい。通常は、被覆層形成
用組成物は、乾燥後の被覆層(B)の厚さが0.5〜3
μmになるように供給される。被覆層(B)の乾燥後の
厚さが0.5μm未満の場合には、被覆層(B)の均一
性を確保できない恐れがある。また、ガスバリア性、樹
脂成形体(A)との密着性、透明性、可撓性、印刷性、
耐湿性、耐屈曲性が充分に発現しない恐れがある。一
方、被覆層(B)の乾燥後の厚さが3μmを超える場合
には、被覆層(B)にクラックが生じる可能性が高ま
る。また、軽量化、小型化の障害となる。
【0067】コーティング後は、被覆層形成用組成物の
硬化および乾燥を行う。加熱を行う場合には、樹脂成形
体(A)の耐熱温度以下で加熱することが好ましい。こ
こで、樹脂成形体の耐熱温度とは、実質上樹脂成形体の
特性が保持できる上限の温度のことを意味し、ガラス転
移点、結晶化温度または分解点を意味する。硬化および
乾燥の条件は、特に限定されないが、迅速に被覆層
(B)を形成するためには60〜120℃で3〜120
秒間処理するとよい。
【0068】高温多湿の環境下においても被覆層(B)
に高いガスバリア性を発現させるためには、硬化・乾燥
を行った後に、熟成処理を行うことが好ましい。熟成処
理は、加熱処理(例えば、40〜60℃で1〜7日間熱
処理)やコロナ処理を行う方法などある。
【0069】なお、被覆層形成用組成物をコーティング
して被覆層(B)を形成するにあたっては、同一組成の
被覆層形成用組成物を数回に渡ってコーティングしても
よいし、異なる組成の被覆層形成用組成物を数回に渡っ
てコーティングして被覆層(B)を多層構造にしてもよ
い。
【0070】本発明の表示用基板材料は、樹脂成形体
(A)と、前記樹脂成形体(A)の少なくとも一部を被
覆してなる被覆層(B)とを含むことを基本的な構成と
する。このとき、樹脂成形体(A)および被覆層(B)
として上記説明した材料を用いると、得られる効果は単
なる加算以上のものとなる。詳細に説明すると、表示用
基板材料のガスバリア性は、被覆層(B)により多く依
存していると考えられる。そうすると樹脂成形体(A)
の材質を変化させてもガスバリア性に与える影響は少な
いと考えられる。しかしながら、樹脂成形体(A)とし
て前記式(1)で表されるポリエーテルケトンを用いる
と、表示用基板材料の耐熱性が高まることが見出され
た。また、樹脂成形体(A)として前記式(1)で表さ
れるポリエーテルケトンを用いる場合には、本発明にお
いて規定される有機ケイ素系組成物を用いて被覆層
(B)を形成すると、表示用基板材料の酸素透過性が非
常に優れたものとなることが見出された。
【0071】本発明においては、表示用基板材料の特性
を高めるために、他の材料をさらに配置してもよい。例
えば、ヒートシール性を付与する目的やガスバリアコー
ティング層を保護する目的で、CPP等の熱可塑性フィ
ルムをラミネートにより積層させてもよい。また、ガス
バリア性を高めるためには、さらにケイ素酸化物および
/または金属酸化物で構成される層(C)(以下酸化物
層(C)とも記載)を形成することが好ましい。酸化物
層(C)が配置される位置は、特に限定されず、樹脂成
形体(A)−被覆層(B)−酸化物層(C)の順に配置
してもよく、樹脂成形体(A)−酸化物層(C)−被覆
層(B)の順に配置してもよい。
【0072】酸化物層(C)は、スパッタ法により形成
することができ、厚さが100〜1000Å程度となる
ように制御することが好ましい。酸化物層(C)に使用
される酸化物としては、シリカ、アルミナ、マグネシ
ア、チタニア、ジルコニアが挙げられる。
【0073】
【実施例】<合成例1:樹脂成形体(ポリエーテルケト
ンフィルム)の作製>まず、特開2001−64226
号公報に記載の方法に準拠して、4−ヒドロキシ−4’
−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)
ジフェニルエーテルを準備した。
【0074】次に、4−ヒドロキシ−4’−(2,3,
4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエ
ーテル(50g)、重質炭酸カリウム(36g)、N−
メチル−2−ピロリジノン(200ml)、およびトル
エン(100ml)を、ディーンスタークトラップ、コ
ンデンサー、撹拌機および窒素供給管を備えたフラスコ
に仕込んだ。この混合物を160℃に加熱し、トルエン
を留去した。混合物をさらに3時間還流させてから冷却
し、1%の酢酸を含有する水中に注加した。析出した重
合体をろ過により捕集し、水洗後乾燥し、4−ヒドロキ
シ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベン
ゾイル)ジフェニルエーテルの重合体(以下、「4F−
ポリエーテルケトン」と略す)を得た。この4F−ポリ
エーテルケトンを用いて、樹脂成形体(厚さ30μmの
フィルム)を作製した。
【0075】<合成例2:被覆層形成用組成物(有機ケ
イ素系組成物)の調製>コンデンサーおよび撹拌機を備
えたフラスコに、ポリエチレンイミン(120g:株式
会社日本触媒製エポミンSP−018)、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン(50g)、およびメ
タノール(100g)を仕込み、60℃で3時間反応
後、室温まで冷却した。次に、この反応液に水(10
g)とメタノール(1000g)との混合液を加え、さ
らにテトラメトキシシラン(250g)とメタノール
(500g)とからなる混合液を加えた。これを室温で
24時間熟成することにより、被覆層形成用組成物(有
機ケイ素系組成物)を得た。
【0076】<実施例1>合成例1で得られた樹脂成形
体に、合成例2で得られた被覆層形成用組成物(有機ケ
イ素系組成物)を乾燥後の厚みが1μmになるように塗
布した。これを100℃で10秒間乾燥し、さらに50
℃で2日間熟成することにより、被覆体(α)を得た。
被覆体(α)の酸素透過度を調査したところ、0.3m
l/(m2・24hrs・atm)であった。また、2
50℃で1時間処理した後の酸素透過度を調査したとこ
ろ、0.5ml/(m2・24hrs・atm)であっ
た。なお、酸素透過度は酸素透過度測定装置(モダンコ
ントロールズ社製)を用いて、20℃90%RHで測定
した(以下の実施例および比較例において同じ)。
【0077】<実施例2>被覆体(α)に、スパッタ法
を用いてケイ素酸化物層(厚さ600Å)を形成し、被
覆体(β)を得た。被覆体(β)の酸素透過度を調査し
たところ、0.01ml/(m2・24hrs・at
m)であった。また、250℃で1時間処理した後の酸
素透過度を調査したところ、0.03ml/(m2・2
4hrs・atm)であった。
【0078】<比較例1>4F−ポリエーテルケトンの
代わりにPET(ポリエチレンテレフタレート)を用い
た以外は、実施例1と同様にして被覆体(γ)を得た。
被覆体(γ)の酸素透過度を調査したところ、0.3m
l/(m2・24hrs・atm)であった。また、2
50℃で1時間処理した後の酸素透過度を調査したとこ
ろ、1.1ml/(m2・24hrs・atm)であっ
た。
【0079】<比較例2>合成例1で得られた樹脂成形
体に、被覆層形成用組成物(ポリビニルアルコール水溶
液)を乾燥後の厚みが1μmになるように塗布した。こ
れを100℃で3分間乾燥し、さらに50℃で2日間熟
成することにより、被覆体(δ)を得た。被覆体(δ)
の酸素透過度を調査したところ、30ml/(m2・2
4hrs・atm)であった。また、250℃で1時間
処理した後の酸素透過度を調査したところ、25ml/
(m2・24hrs・atm)であった。
【0080】実施例および比較例の結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】実施例1および比較例1は、被覆層形成用
組成物として有機ケイ素系組成物を双方とも用いてお
り、初期の酸素透過度はいずれも0.3ml/(m2
24hrs・atm)である。しかしながら、樹脂成形
体として本発明において規定するポリエーテルケトンを
用いた実施例1の被覆体は、加熱後の酸素透過度が0.
5ml/(m2・24hrs・atm)であるのに対
し、樹脂成形体としてPETを用いた比較例1の被覆体
は、加熱後の酸素透過度が1.1ml/(m2・24h
rs・atm)と大きな差を生じていた。比較例2から
示されるようにポリエーテルケトン自体の酸素バリア性
は非常に低く、被覆体の酸素バリア性は実質的には有機
ケイ素系組成物からなる被覆層に依存していると思料で
きる。そうすると、メカニズムは定かではないが、樹脂
成形体としてポリエーテルケトンを用いることにより、
有機ケイ素系組成物から形成された被覆層そのものの耐
熱性が向上したと推測できる。このような差異は、長け
れば数年以上もの長期に渡って使用される表示用基板材
料として本発明の被覆体を適用した場合においては、と
りわけ意義深いものである。
【0083】
【発明の効果】上記説明したように、本願においては、
各種特性に優れる被覆体が提供される。例えば、被覆体
を表示用基板材料として液晶表示機器に適用した場合に
あっては、得られる液晶表示機器に用いられる液晶の劣
化を抑制することができる。即ち、本発明を液晶表示機
器に適用すれば、液晶表示装置の品質(寿命、画像な
ど)を大幅に向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 9/30 310 G09F 9/30 310 // C08L 71:10 C08L 71:10 Fターム(参考) 2H090 JA06 JB03 JC07 JD11 JD14 JD17 4F006 AA31 AB32 AB34 AB37 AB39 BA05 BA15 CA01 DA04 4F100 AA17C AA20C AK01B AK17A AK52B AK54A AK56 AK56A BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C EH46 EH902 GB41 JD02 JJ03 JK15 4J005 AA23 BD03 5C094 AA31 AA38 BA43 EB02 FB01 FB15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂成形体(A)と、前記樹脂成形体
    (A)の少なくとも一部を被覆してなる被覆層(B)と
    を含む表示用基板材料であって、 前記樹脂成形体(A)は、下記式(1): 【化1】 (式中、mは0または1であり、R1は下記式(2): 【化2】 (式中、pは0または1であり、R2は2価の有機基を
    示す))で表される繰り返し単位を含む重合体からな
    り、 前記被覆層(B)は、活性水素が結合した窒素原子を分
    子内に有する有機化合物(b−i)、前記活性水素と反
    応して前記窒素原子と化学結合を形成しうる官能基を分
    子内に有する有機化合物(b−ii)、ならびに、下記式
    (3): 【化3】 (式中、R3は水素原子または前記活性水素と反応しな
    い官能基を有していてもよいアルキル基であり、R4
    水素原子またはアルキル基であり、xは0以上の整数で
    あり、yは1以上の整数であり、x+y=4であり、x
    またはyが2以上の場合にはR3またはR4は異なってい
    てもよい)で表される有機ケイ素化合物(b−iii)お
    よび/またはその加水分解縮合物(b−iv)を反応し
    て得られた組成物を用いて形成されてなる、表示用基板
    材料。
  2. 【請求項2】 前記樹脂成形体(A)および前記被覆層
    (B)に加えて、さらにケイ素酸化物および/または金
    属酸化物で構成される層(C)が形成されてなる、請求
    項1に記載の表示用基板材料。
  3. 【請求項3】 樹脂成形体(A)と、前記樹脂成形体
    (A)の少なくとも一部を被覆してなる被覆層(B)と
    を含む被覆体であって、 前記樹脂成形体(A)は、下記式(1): 【化4】 (式中、mは0または1であり、R1は下記式(2): 【化5】 (式中、pは0または1であり、R2は2価の有機基を
    示す))で表される繰り返し単位を含む重合体からな
    り、 前記被覆層(B)は、活性水素が結合した窒素原子を分
    子内に有する有機化合物(b−i)、前記活性水素と反
    応して前記窒素原子と化学結合を形成しうる官能基を分
    子内に有する有機化合物(b−ii)、ならびに、下記式
    (3): 【化6】 (式中、R3は水素原子または前記活性水素と反応しな
    い官能基を有していてもよいアルキル基であり、R4
    水素原子またはアルキル基であり、xは0以上の整数で
    あり、yは1以上の整数であり、x+y=4であり、x
    またはyが2以上の場合にはR3またはR4は異なってい
    てもよい)で表される有機ケイ素(b−iii)化合物お
    よび/またはその加水分解縮合物(b−iv)を反応し
    て得られた組成物を用いて形成されてなる、被覆体。
  4. 【請求項4】 前記樹脂成形体(A)および前記被覆層
    (B)に加えて、さらにケイ素酸化物および/または金
    属酸化物で構成される層(C)が形成されてなる、請求
    項3に記載の被覆体。
  5. 【請求項5】 下記式(1): 【化7】 (式中、mは0または1であり、R1は下記式(2): 【化8】 (式中、pは0または1であり、R2は2価の有機基を
    示す))で表される繰り返し単位を含む重合体からなる
    樹脂成形体(A)を被覆するための、被覆層形成用組成
    物であって、 活性水素が結合した窒素原子を分子内に有する有機化合
    物(b−i)、前記活性水素と反応して前記窒素原子と
    化学結合を形成しうる官能基を分子内に有する有機化合
    物(b−ii)、ならびに、下記式(3): 【化9】 (式中、R3は水素原子または前記活性水素と反応しな
    い官能基を有していてもよいアルキル基であり、R4
    水素原子またはアルキル基であり、xは0以上の整数で
    あり、yは1以上の整数であり、x+y=4であり、x
    またはyが2以上の場合にはR3またはR4は異なってい
    てもよい)で表される有機ケイ素化合物(b−iii)お
    よび/またはその加水分解縮合物(b−iv)を反応し
    て得られた被覆層形成用組成物。
JP2002045341A 2002-02-21 2002-02-21 表示用基板材料 Pending JP2003236993A (ja)

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