JP2003236320A - 耐ドリップ性に優れた難燃性フィルター - Google Patents

耐ドリップ性に優れた難燃性フィルター

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Abstract

(57)【要約】 【課題】特にレンジフード,換気扇などに使用されるフ
ィルターにおいて、溶融性合成繊維、特に再生PET繊
維を使用したとき、高温に曝されてもドリップ現象をお
こさず、人身に火傷を負わせる恐れをなくする。 【解決手段】溶融性合成繊維に非溶融性繊維を5〜15
重量%混ぜて繊維ウエブを形成し難燃性熱可塑性樹脂よ
りなるバインダーで繊維間を結合した不織布でフィルタ
ーを構成する。特に溶融性合成繊維には回収したPET
ボトルより再生されたPET繊維を出来るだけ多く使用
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性フィルター、
特に換気扇,レンジフードなどに使用して好適な耐ドリ
ップ性に優れた難燃性フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にキッチン等で調理時に発生する油
煙,塵埃は排気ファンによって外部に排出されるが、最
近では、この排出される油煙や塵埃は排気ファンである
換気扇やレンジフードにフィルターを取り付けて除去す
るようになって来ている。この換気扇やレンジフードに
取り付けられるフィルターは当然の如く、高熱や、高温
の油煙等に接するために燃焼の恐れがあり、フィルター
には通常、難燃性能が付与されている。
【0003】かかる難燃性能が付与されたレンジフード
あるいは換気扇のフィルターとしては、従来、ポリクラ
ール繊維や難燃アクリル繊維を主体にした繊維ウエブを
難燃性熱可塑性樹脂で結合せしめたものが知られてお
り、また難燃性能を有しない繊維を使用する場合には難
燃性を有する樹脂をコーティングすることにより難燃性
能を付与する方法が広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ポリク
ラール繊維あるいは難燃アクリル繊維を主体としたフィ
ルターは高温(230℃)の熱風を受けるとフィルター
自体に穴があいて了う。また、難燃性を付与した難燃セ
ルロース繊維を主体とする繊維ウエブを難燃性熱可塑性
樹脂により結合したフィルターにおいては、熱風によっ
て穴が開かないにしても炎にさらされた時に煙を多く発
生する問題がある。
【0005】一方、難燃性能を有しない繊維としてはポ
リエステル,ナイロン,ポリプロピレン,ポリエチレン
があり、これら繊維を使用して難燃性能を有する換気扇
フィルターを得ることができるが、これら合成繊維は高
温に曝されると溶融し、溶融物が垂れ落ちる、いわゆる
ポリマードロップ現象が起きる。このポリマードロップ
が発生すると、換気扇やレンジ周りを汚すだけでなく、
場合によっては人身に火傷を負わせることがあるので問
題となっている。そこで、上述の如き問題に対処し、こ
れを解決すべく本発明者らは種々の検討を重ね、その結
果、さきに難燃性繊維の各種組み合わせによるフィルタ
ーを提案して来た。
【0006】本発明は更に上記検討を発展させ、特にP
ETボトルの回収による再生PET繊維(再生ポリエス
テル繊維)の利用促進を付加することにより、回収され
たPETボトルの利用による資源の活用と、レンジフー
ド,換気扇フィルターとして有効な耐ドリップ性及び難
燃性の改善された、環境に優しく、かつ火傷の恐れのな
いフィルターを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本発明フィルターの基本的特徴は、溶融性合成繊維
と、非溶融性繊維からなり、非溶融性繊維を5〜15重
量%含有する繊維ウエブを難燃性熱可塑性樹脂をバイン
ダーとして繊維間結合してなる不織布よりなる耐ドリッ
プ性に優れた難燃性フィルターにある。ここで上記溶融
性合成繊維と、非溶融性繊維の太さは何れも2〜20デ
ニールであることが好ましい。また、上記溶融性合成繊
維としては回収PETボトルにより得られた再生PET
繊維(再生ポリエステル繊維)を含有させることが好ま
しく、この場合、上記の再生PET繊維は40%以上含
有させることが好適である。
【0008】一方、望ましい非溶融性繊維としては、通
常、レーヨン繊維が用いられる。また、上記の繊維間結
合に用いられる難燃性熱可塑性樹脂としては、非ハロゲ
ン系難燃加工剤で、含リン化合物がリン酸エステル,亜
リン酸エステルから選ばれた少なくとも1つであり、含
窒素リン化合物が尿素,グワニジン,グワニール尿素,
メラミンのリン付加化合物から選ばれた少なくとも1つ
であり、何れも沸点が140℃以上である難燃剤を添加
した組成である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、更に本発明の具体的態様に
ついて詳述する。
【0010】本発明は前記のように溶融性合成繊維と、
非溶融性繊維からなり、非溶融性繊維を5〜15重量%
含有する繊維ウエブを難燃性熱可塑性樹脂で繊維間結合
し、一体化せしめた不織布構成よりなるフィルターであ
る。この場合、上記各繊維は太さが2〜20デニール、
好ましくは3〜7デニールで、繊維長が50〜75mm
位であることが好ましく、これらを互いに混綿して繊維
ウエブに形成される。用いる溶融性合成繊維としては、
ポリエステル繊維、即ちポリエチレンテレフタレート
(PET)繊維やポリエチレン(PE)繊維,ポリプロ
ピレン(PP)繊維など挙げられ、これら繊維より選ば
れた少なくとも1種又は2種以上の混合が用いられる
が、最も一般的な繊維はPET繊維である。更に非ハロ
ゲン難燃剤を含む繊維を含有せしめてもよい。
【0011】特に、用いるPET繊維としては、回収P
ETボトルの再生より得られた再生PET繊維を一部に
用いることが好ましく、とりわけこの再生PET繊維を
40%又はそれ以上使用することは資源活用用の見地か
ら効果的である。また、この再生PET繊維に難燃剤を
練り込んで難燃性を向上することもでき、この場合、難
燃剤を25%前後、含有させることができる。更に、低
融点タイプの再生PET繊維の使用もでき、40%前
後、該変成PETを混合することができる。
【0012】一方、非溶融性繊維としては綿,ビスコー
スレーヨン,ポリノジックなどの繊維素系繊維、あるい
はビニロンの如きポリビニルアルコール系繊維などが挙
げられるが、特にレーヨン繊維は最も実用的である。
【0013】この非溶融性繊維は容易に燃焼し、親水性
を有するため、バインダー組成中の難燃剤を吸収し保持
することにより難燃性を高め、また、接炎部分が炭化、
ないし一部炭化し、ドリップを防止する。従って、例え
ば溶融性合成繊維が100%のフィルターでは燃焼した
ときにドリップし、火傷などする恐れがあり、本来なら
ば溶融性合成繊維、例えばPET繊維を出来るだけ多く
使用したいが、最小限、上記非溶融性繊維を混ぜること
によってドリップを防いでいる。そのため本発明におい
ては前述のように非溶融性繊維が溶融性合成繊維に対し
5〜15重量%含有される。もし、5重量%以下であれ
ばドリップ防止に乏しい恐れがあり、15重量%以上で
あれば耐ドリップ性は良好であるが、難燃フィルターと
しての性能を弱化する恐れがあるので、5〜15重量%
程度が効果的である。なお、非溶融性繊維混用の効果と
してはレーヨン繊維,ビニロン,アクリロニトリル系繊
維ともに夫々、ドリップを防止する効果を有するが、な
かでもレーヨン繊維は最も効果が大である。そして、上
記溶融性合成繊維と非溶融性繊維からなる繊維ウエブに
対し繊維間結合のためバインダーが付与されるが、バイ
ンダーには前述の如く難燃性熱可塑性樹脂が用いられ
る。
【0014】かかる難燃性熱可塑性樹脂としては、非ハ
ロゲン系難燃加工剤で、含リン化合物がリン酸エステ
ル,亜リン酸エステルから選ばれた少なくとも1つであ
り、含窒素リン化合物が尿素,グワニジン,グワニール
尿素,メラニンのリン付化合物から選ばれた少なくとも
1つであり、何れも沸点が140℃以上である難燃剤を
添加した組成で、具体的にはアクリルあるいは酢酸ビニ
ル系樹脂もしくはその混合物(混合比50:50〜9
0:10),スチレンブタジエン樹脂,アクリロニトリ
ルブタジエン樹脂,メチルメタクリレートブタジエン樹
脂又はポリビニルアルコール溶液などに難燃剤を添加し
た樹脂が有効である。これらはエマルジョンなどの溶液
を用いてスプレー,コーティング,含浸などによって繊
維ウエブに付与され、乾燥及び熱処理によって繊維間を
結合させる。
【0015】上記樹脂に添加される難燃剤としては、リ
ン系,ホウ素系などの有機、無機系の加工剤が挙げら
れ、特にリン系の水溶性難燃化合物は好適である。これ
ら難燃剤は樹脂に対して難燃剤/樹脂=30:70〜1
0:90であるが、特に繊維ウエブと難燃性熱可塑性樹
脂との割合は製品中において難燃性熱可塑性樹脂が15
〜30%、好ましくは20〜30%であり、製品中の樹
脂量が15%のときは溶融性合成繊維として再生PET
繊維を80%まで含有させることができ、また、樹脂量
が30%のときは製品中の再生PET繊維を66.5%
まで含有させることができる。かくして得られるフィル
ターは特にレンジフード,換気扇フィルターとして好適
な空隙率を有し、圧力差損も40Pa以下が可能で、極
めて実用性に富んでいる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を示し、比較例と対比
する。
【0017】6dの再生PET繊維50%と3dの再生
PET繊維40%と3dのレーヨン繊維10%とからな
る目付26g/mの繊維ウエブにアクリル酸エステル
50%とリン酸グアニジン系50%からなるバインダー
を9g/mの割合でスプレーし、乾燥して、目付35
g/mのフィルターを得た。
【0018】実施例2 6dの難燃剤20%含有難燃再生PET繊維20%と3
dの再生PET繊維70%と7dのレーヨン繊維5%と
7dのビニロン繊維5%からなる目付30g/mの繊
維ウエブにアクリル酸エステル6%,リン酸グアニジン
40%からなるバインダーを10g/mの割合でスプ
レーし、乾燥して、目付40g/mのフィルターを得
た。
【0019】実施例3 3dの再生PET繊維40%と6dの再生PET繊維4
5%と低融点成分を40%含有した4dの熱接着再生P
ET繊維10%と7dのレーヨン繊維5%からなる目付
60g/mの繊維ウエブに上記と同じアクリル酸エス
テルとリン酸グアニジン系各50%からなるバインダー
を20g/mの割合でスプレーし、乾燥して、目付8
0g/mのフィルターを得た。
【0020】比較例1 次に比較のため、3dの再生PET繊維30%と、7d
の再生PET繊維70%からなる目付32g/mの繊
維ウエブに実施例1と同組成のバインダーを8g/m
スプレーし、乾燥して、目付40g/mのフィルター
を得た。
【0021】次に上記各例で得た夫々のフィルターにつ
いて下記により難燃性,ドリップ性を観察した。 難燃性 ; JIS−L−1091 A−1法によ
る。 ドリップ性; 5cm×20cmの試料を垂直にセット
し、下からライターの炎(2cm)を近づけドリップす
るか観察した。 結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】上記対比結果より本発明に係るフィルター
は難燃性,ドリップ性ともに優れていることが分かる。
【0024】本発明は以上のように溶融性合成繊維に対
し非溶融性繊維を5〜15重量%含み形成した繊維ウエ
ブを難燃性熱可塑性樹脂により結合せしめて所定の性能
を付与させたものであり、両繊維の所要量の混合よりな
るため高温に曝されても溶融し、ドリップすることがな
く、従って周辺を汚すこともなく、また、人身に火傷を
負わせることがないと共に、難燃性熱可塑性樹脂で繊維
相互を結合しているため燃える心配もなく、230℃の
熱風に対しても充分、耐熱性を有して形状を保持するこ
とができる効果を有している。本発明は一般の難燃・耐
熱フィルターとして有用性を発揮するが、特にレンジフ
ード,換気扇フィルターに使用し、極めて効果的であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F24F 7/06 101 F24F 7/06 101A Fターム(参考) 3L058 BK05 4D019 AA01 BA12 BA13 BB03 BC11 CB06 DA03 DA06 4L033 AA05 AA07 AA08 AB07 AC05 AC15 BA39 BA83 CA29 CA68 4L047 AA12 AA14 AA21 AA23 AA28 AA29 AB02 AB07 BA09 BA16 BA17 BB06 BC02 BC05 BC06 BC07 CB05 CC12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融性合成繊維と、非溶融性繊維からな
    り、非溶融性繊維を5〜15重量%含有する繊維ウエブ
    を難燃性熱可塑性樹脂をバインダーとして繊維間結合し
    てなる不織布よりなることを特徴とする耐ドリップ性に
    優れた難燃性フィルター。
  2. 【請求項2】溶融性合成繊維と非溶融性繊維の太さが夫
    々2〜20デニールである請求項1記載の耐ドリップ性
    に優れた難燃性フィルター。
  3. 【請求項3】溶融性合成繊維が回収PETボトルより得
    られた再生PET繊維を少なくとも40%含有する請求
    項1または2記載の耐ドリップ性に優れた難燃性フィル
    ター。
  4. 【請求項4】非溶融性繊維がレーヨン繊維である請求項
    1,2または3記載の耐ドリップ性に優れた難燃性フィ
    ルター。
  5. 【請求項5】難燃性熱可塑性樹脂よりなるバインダーが
    非ハロゲン系難燃加工剤で、含リン化合物がリン酸エス
    テル,亜リン酸エステルから選ばれた少なくとも1つで
    あり、含窒素リン化合物が尿素,グワニジン,グワニー
    ル尿素,メラニンのリン付加化合物から選ばれた少なく
    とも1つであり、何れも沸点が140℃以上である難燃
    剤を添加した組成である請求項1〜4の何れかの項に記
    載の耐ドリップ性に優れた難燃性フィルター。
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