JP2003231690A - シラノール基含有化合物、その製造方法、シラノール基含有化合物の水溶液、表面処理剤、およびガラス繊維 - Google Patents

シラノール基含有化合物、その製造方法、シラノール基含有化合物の水溶液、表面処理剤、およびガラス繊維

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JP2003231690A JP2002342070A JP2002342070A JP2003231690A JP 2003231690 A JP2003231690 A JP 2003231690A JP 2002342070 A JP2002342070 A JP 2002342070A JP 2002342070 A JP2002342070 A JP 2002342070A JP 2003231690 A JP2003231690 A JP 2003231690A
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孝志 松尾
Tomoyuki Oba
智之 大場
Yuichi Isoda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、水溶液の状態で長期間保存
した場合であっても、シラノール基含有化合物同士の縮
合が一定割合以上進行することなく安定な状態を保持し
得るシラノール基含有化合物を提供することである。ま
た、中和反応によって得られる化合物の水溶液を酸性に
することなく、該中和反応によって得られる化合物を完
全に加水分解することが可能なシラノール基含有化合物
の製造方法を提供することである。 【解決手段】 一般式(1)で表されるシラノール基含
有化合物。 (式中、R1はHまたはメチルであり、R2は炭素数1〜
8の直鎖もしくは分岐のアルキル、または炭素数6〜1
0の芳香族基であり、pは1〜6の整数であり、mは0
<m≦3の範囲の値であり、nは0または1である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シラノール基含有
化合物とその製造方法、シラノール基含有化合物の水溶
液、シラノール基含有化合物を含有する表面処理剤、さ
らに該表面処理剤で表面処理されたガラス繊維に関す
る。
【0002】
【従来の技術】加水分解性シラン化合物は、各種基材の
表面処理剤(シランカップリング剤など)として広く使
用されており、通常その使用時には、それらが有する加
水分解性基は予め加水分解される。一般に、加水分解性
シラン化合物を加水分解すると、ケイ素原子に結合して
いる加水分解性基に由来する揮発性有機成分が発生す
る。従って、加水分解後の加水分解性シラン化合物含有
液は揮発性有機成分を多量に含有することから、その取
り扱い時には、有機溶剤中毒、引火、爆発等の危険性が
あるばかりでなく、該揮発性有機成分が大気中に揮散し
て環境に負荷を与える可能性が高い。
【0003】従って、該加水分解性シラン化合物含有液
の取り扱いにあたっては、作業者の健康を守り爆発等の
災害を防ぐための教育を実施せねばならないし、取り扱
うための特別な設備を必要とする。さらにまた、該取り
扱いに伴って発生する廃水中にも揮発性有機成分が含ま
れるので、これを処理するために大がかりな廃水処理設
備を必要とする。
【0004】そこで、加水分解性シラン化合物を予め水
と反応させて加水分解させ、発生する揮発性有機成分を
除去する方法が考えられた。例えば、メタクリル基含有
アルコキシシランを理論加水分解量よりも少ない量の水
を用いて加水分解し、発生するアルコールを除去した縮
合物が開示されている(特許文献1参照。)。しかしな
がら、前述のメタクリル基含有アルコキシシランは、完
全に加水分解しようとすると、該メタクリル基含有アル
コキシシラン水溶液の粘度が高くなる。さらに場合によ
っては固化することもあるため、完全に加水分解された
安定な水溶液を得ることは困難であった。一方、該水溶
液を酸性状態にすると、高粘度化もしくは固化させるこ
となく該メタクリル基含有アルコキシシランを完全に加
水分解することも可能である。しかし、該水溶液中にお
ける完全加水分解後のメタクリル基含有アルコキシシラ
ン同士の縮合により、該水溶液の安定性が低下し、経時
変化とともに白濁していた。すなわち、長時間安定した
状態で保存することが困難であった。
【特許文献1】特開2000−53683号公報
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、水溶液の状態で長期間保存した場合であっても、シ
ラノール基含有化合物同士の縮合が一定割合以上進行す
ることなく安定な状態を保持し得るシラノール基含有化
合物を提供することである。また、中和反応によって得
られる化合物の水溶液を酸性にすることなく、該中和反
応によって得られる化合物を完全に加水分解することが
可能なシラノール基含有化合物の製造方法を提供するこ
とである。さらには、該化合物の水溶液を提供すること
である。また、該化合物または該水溶液を含有する表面
処理剤および該水溶液該表面処理剤で表面処理されたガ
ラス繊維を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の従来
技術の課題に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、下記一
般式(1)で表されるシラノール基含有化合物であれ
ば、水溶液の状態で長期間保存した場合であっても、シ
ラノール基含有化合物同士の縮合が一定割合以上進行す
ることなく安定な状態を保持し得ること、さらに、下記
一般式(4)で表されるアルコキシ基含有ケイ素化合物
を、下記一般式(3)で表される化合物で中和した後、
該中和反応によって得られる化合物のアルコキシルを加
水分解するシラノール基含有化合物の製造方法であれ
ば、該中和反応によって得られる化合物の水溶液を酸性
にすることなく、該中和反応によって得られる化合物を
完全に加水分解することができることを見出し、この知
見に基づいて本発明を完成させた。
【0007】本発明は以下の構成を有する。 (1)一般式(1)で表されるシラノール基含有化合
物。 (式中、R1はHまたはメチルであり、R2は炭素数1〜
8の直鎖もしくは分岐のアルキル、または炭素数6〜1
0の芳香族基であり、pは1〜6の整数であり、mは0
<m≦3の範囲の値であり、nは0または1である。)
【0008】(2)一般式(2)で表されるシラノール
基含有化合物を、一般式(3)で表される化合物で中和
することを特徴とする前記第1項記載の一般式(1)で
表されるシラノール基含有化合物の製造方法。 (式中、R1はHまたはメチルであり、R2は炭素数1〜
8の直鎖もしくは分岐のアルキル、または炭素数6〜1
0の芳香族基であり、pは1〜6の整数であり、mは0
<m≦3の範囲の値であり、nは0または1である。)
【0009】(3)一般式(4)で表されるアルコキシ
基含有ケイ素化合物を、前記第2項記載の一般式(3)
で表される化合物で中和した後、該中和反応によって得
られる化合物のアルコキシル基を加水分解し、副生する
アルコールを除去することを特徴とする前記第1項記載
の一般式(1)で表されるシラノール基含有化合物の製
造方法。 (式中、R2は炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアル
キル、または炭素数6〜10の芳香族基であり、R3
炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、
nは0または1であり、pは1〜6の整数である。)
【0010】(4)前記第1項記載のシラノール基含有
化合物の水溶液。
【0011】(5)水溶液に対するシラノール基含有化
合物の含有割合が、0.1重量%〜70重量%の範囲で
ある前記第4項記載の水溶液。
【0012】(6)水溶液に対するアルコール成分の含
有割合が4重量%未満である前記第4項または第5項記
載の水溶液。
【0013】(7)前記第1項記載のシラノール基含有
化合物を含有する表面処理剤。
【0014】(8)前記第4項〜第6項の何れか1項記
載の水溶液を含有する表面処理剤。
【0015】(9)前記第7項または第8項記載の表面
処理剤で表面処理されたガラス繊維。
【0016】(10)一般式(5)で表されるシラノー
ル基含有化合物。 (式中、R2は炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアル
キル、または炭素数6〜10の芳香族基であり、pは1
〜6の整数であり、mは0<m≦3の範囲の値であり、
nは0または1である。)
【0017】(11)前記第2項記載の一般式(2)で
表されるシラノール基含有化合物を、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸(下記の構造を有す
る化合物)で中和することを特徴とする前記第10項記
載の一般式(5)で表されるシラノール基含有化合物の
製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明は一般式(1)で表されるシラノール基含有化合物
である。 1は、Hまたはメチルである。R1はメチルであること
が好ましい。R2は炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐の
アルキル、または炭素数6〜10の芳香族基である。炭
素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアルキルとしては、メ
チル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチ
ル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、
ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが挙
げられる。炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニ
ル、トルイル、キシリル、エチルフェニル、カルボキシ
フェニルなどを挙げることができる。R2は炭素数1〜
8の直鎖もしくは分岐のアルキルが好ましい。これらの
うち、メチル、エチル、n−プロピルおよびi−プロピ
ルが特に好ましい。pは1〜6の整数であるが、2〜4
の整数であることが好ましい。mは0<m≦3の範囲の
値である。但し、ここでいうmとは平均組成としての値
を示すものである。本発明の一般式(1)で表されるシ
ラノール基含有化合物が単量体として存在する場合に
は、mは(3−n)の値をとり、整数となる。しかし、
2量体、3量体等の多量体として存在する場合には、m
は0<m<3の範囲の値となる。本発明の一般式(1)
で表されるシラノール基含有化合物は単量体または多量
体として存在することは勿論、単量体と多量体との混合
物としても存在する。また、縮合反応と加水分解反応が
協奏的に起こるため、mは常に一定の整数値をとるわけ
ではない。なお、mの値は一般式(1)で表されるシラ
ノール基含有化合物の水溶液中の濃度により平均組成と
してある一定値にあり、濃度が高くなるとmは小さくな
り、濃度が低くなるとmは大きくなる。nは0または1
であるが、好ましくnは0である。なお、mが3の場合
には、nは常に0である。
【0019】一般式(1)で表されるシラノール基含有
化合物の製造方法は特に限定されるものではない。例え
ば、一般式(2)で表されるシラノール基含有化合物
を、一般式(3)で表される化合物で中和する方法を挙
げることができる。また、一般式(4)で表されるアル
コキシ基含有ケイ素化合物を、一般式(3)で表される
化合物で中和した後、該中和反応によって得られる化合
物のアルコキシル基を加水分解し、副生するアルコール
を除去する方法を挙げることもできる。
【0020】一般式(1)で表されるシラノール基含有
化合物の製造方法は、メタ(アクリル)基が重合を起こ
す可能性が低いという観点から、一般式(2)で表され
るシラノール基含有化合物を、一般式(3)で表される
化合物で中和する方法であることが好ましい。具体的に
は、一級アミンとカルボン酸との中和反応(反応式1)
である。
【0021】一般式(2)で示される化合物に対する一
般式(3)で示される化合物の割合(一般式(3)で示
される化合物/一般式(2)で示される化合物)は、モ
ル比で0.5〜1の範囲であることが好ましい。該割合
が0.5未満であると(メタ)アクリル基の含有量が少
なくなるため、(メタ)アクリル官能性シランとしての
性能が発揮できなくなる場合がある。また、該割合が1
を超えると、一般式(3)で示される化合物が過剰分残
存し、これが揮発性有機成分となる場合がある。さらに
は、(メタ)アクリル官能性シランとしての性能および
中和後のpHを考慮すると、一般式(2)で示される化
合物に対する一般式(3)で示される化合物の割合は、
より好ましくは0.7〜1の範囲であり、特に好ましく
は0.9〜1の範囲である。
【0022】(反応式1)で示される中和反応時の温度
は0℃〜80℃の範囲であることが好ましく、特に0℃
〜50℃の範囲であることが好ましい。該温度が80℃
を超えると、重合性である(メタ)アクリル基の重合が
起こる場合がある。さらに、一般式(3)で示される化
合物がアクリル酸である場合には、アクリル基と一般式
(2)で示される化合物のアミノ基との付加反応がおこ
る。その結果、目的物の収率および純度が低下する場合
がある。(反応式1)で示される中和反応では中和熱が
発生し温度が上昇することから、反応器を水浴等で冷却
することが好ましい。また、中和熱の発生を押さえるた
め、一般式(2)で示される化合物に一般式(3)で示
される化合物を少量ずつ滴下するという方法も好まし
い。
【0023】該中和反応中(メタ)アクリル基の重合を
引き起こさないため、あらかじめ一般式(3)で示され
る化合物中に重合禁止剤を添加しておき、これを一般式
(2)で示される化合物に加えて一般式(1)で示され
るシラノール基含有化合物を合成してもよい。このとき
添加する重合禁止剤は、シラノール基含有化合物の水溶
液中に均一に溶解するものであればよい。具体的には、
p−メトキシフェノール、アスコルビン酸、ソルビン酸
などが挙げられる。重合禁止剤の添加量も(メタ)アク
リル官能性シランとしての性能を阻害しない量であれば
よい。具体的には、一般式(1)で表されるシラノール
基含有化合物に対して重量比で2000ppm以下であ
ればよい。
【0024】一般式(2)で表されるシラノール基含有
化合物は、一般式(4)で表されるアミノアルコキシシ
ランと水とを反応させ、該反応において副生する揮発性
有機成分を留去する方法により製造することができる。
なお、一般式(4)で表されるアミノアルコキシシラン
は、一般試薬として入手することができる。
【0025】OR3が加水分解性基として作用するもの
であれば、R3は特に限定されるものではない。加水分
解により生成する揮発性有機成分の沸点が比較的低く、
反応液からの該揮発性有機成分の除去が容易であるとい
う観点から、R3は炭素数4以下のアルキルであること
が好ましい。具体的には、メチル、エチル、i−プロピ
ル、i−ブチルなどを挙げることができる。特に好まし
くは、メチルおよびエチルである。
【0026】一般式(4)で表されるアミノアルコキシ
シランと水との反応(加水分解反応)において、アミノ
アルコキシシランに対する水の割合(水(モル数)/ア
ミノアルコキシシラン(モル数))はモル比で1.5〜
10の範囲であることが好ましい。水の割合がアミノア
ルコキシシラン1モルに対し1.5モル未満である場合
には、該反応が充分に進行せず加水分解性基が残る場合
がある。また、該割合がアミノアルコキシシラン1モル
に対し10モルを越える場合には、加水分解反応後に実
施する揮発性有機成分の留去においてその効率が悪化す
る場合がある。
【0027】該加水分解反応は0℃〜100℃の範囲内
で行うことが好ましく、より好ましくは40℃〜100
℃の範囲である。
【0028】該加水分解反応によって揮発性有機成分が
副生するが、本発明において使用する一般式(2)で表
されるシラノール基含有化合物は、該揮発性有機成分の
含有割合が低いものであることが好ましい。該含有割合
は、一般式(2)で表されるシラノール基含有化合物の
水溶液に対して4重量%未満であることが特に好まし
い。該割合が4重量%未満であれば、アルコール成分の
蒸気圧を元に計算すると、米国産業専門家会議(ACG
IH:American Conference of Governmental Industri
al Hygienists)が勧告している、常温、常圧下で大気
中へ放出される揮発性有機成分量が許容濃度である10
00ppm(0.1MPa、25℃)以下となる。
【0029】該含有割合を下げる方法は特に限定される
ものではないが、100Pa〜100KPaの圧力下、
該揮発性有機成分を留去することが好ましい。その際の
温度は特に限定されるものではないが、0〜100℃の
範囲であることが好ましく、より好ましくは40〜10
0℃の範囲である。
【0030】さらに、該揮発性有機成分を留去する際に
は、一般式(2)で表されるシラノール基含有化合物の
水溶液から留去される揮発性有機成分の重量と同じ重量
の水を反応液に添加することが好ましい。これにより、
該水溶液が濃縮され粘度が上昇し、蒸留効率が低下する
事を防止できる。
【0031】さらに、本発明に使用する該水溶液は、そ
のケイ素含有量が17重量%以下の範囲であることが好
ましい。ケイ素の含有割合が17重量%より多いと該水
溶液の粘度が非常に高くなり流動性が低くなる傾向があ
り、品質を一定に保つことが困難となる。
【0032】また、該揮発性有機成分の留去が終了した
後、該水溶液の一般式(2)で表されるシラノール基含
有化合物濃度を測定し、必要に応じ、水により希釈ある
いは再度蒸留による濃縮操作を行い所定の濃度に調製し
てもよい。
【0033】本発明は、一般式(4)で表されるアルコ
キシ基含有ケイ素化合物を、一般式(3)で表される化
合物で中和した後、該中和反応によって得られる化合物
のアルコキシル基を加水分解し、副生するアルコールを
除去することを特徴とする一般式(1)で表されるシラ
ノール基含有化合物の製造方法である。一般式(3)で
表される化合物が中和後微量残存した場合でもアルコー
ルとともに除去できる。
【0034】一般式(4)で示される化合物と、一般式
(3)で示される化合物との反応は、具体的には一級ア
ミンとカルボン酸との中和反応(反応式2)である。
【0035】一般式(4)で示される化合物に対する一
般式(3)で示される化合物の割合(一般式(3)で示
される化合物/一般式(4)で示される化合物)は、モ
ル比で0.5〜1の範囲であることが好ましい。該割合
が0.5未満であると(メタ)アクリル基の含有量が少
なくなるため(メタ)アクリル官能性シランとしての性
能が発揮できなくなる場合がある。また、該割合が1を
超えると、一般式(3)で示される化合物が過剰分残存
し、これを完全に除去できず揮発性有機成分となる場合
がある。
【0036】(メタ)アクリル官能性シランとしての性
能および中和後のpHを考慮すると、一般式(4)で示
される化合物に対する一般式(3)で示される化合物の
割合は、より好ましくは0.7〜1の範囲であり、特に
好ましくは0.9〜1の範囲である。
【0037】(反応式2)で示される中和反応時の温度
は80℃以下が好ましく、特に0℃〜50℃の範囲であ
ることが好ましい。該温度が80℃を超える場合には、
重合性の(メタ)アクリル基の重合が起こる場合があ
る。さらに、一般式(3)で示される化合物がアクリル
酸である場合には、アクリル基と一般式(4)で示され
る化合物のアミノ基との付加反応がおこり、目的物の収
率および純度が低下する場合がある。
【0038】(反応式2)で示される中和反応では中和
熱が発生し温度が上昇することから、反応器を水浴等で
冷却することが好ましい。また、中和熱の発生を押さえ
るため、一般式(4)で示される化合物に一般式(3)
で示される化合物を少量ずつ滴下するという方法も好ま
しい。
【0039】該中和反応中(メタ)アクリル基の重合を
引き起こさないため、あらかじめ一般式(3)で示され
る化合物中に重合禁止剤を添加しておき、これを一般式
(4)で示される化合物に加えてもよい。
【0040】このとき添加する重合禁止剤は、シラノー
ル基含有化合物の水溶液中に均一に溶解するものであれ
ばよい。具体的には、p−メトキシフェノール、アスコ
ルビン酸、ソルビン酸などが挙げられる。重合禁止剤の
添加量も(メタ)アクリル官能性シランとしての性能を
阻害しない量であればよい。具体的には、一般式(1)
で表されるシラノール基含有化合物に対して重量比で2
000ppm以下であればよい。
【0041】該中和反応によって得られる化合物のアル
コキシル基の加水分解において、該化合物に対する水の
割合(水(モル数)/アミノアルコキシシラン(モル
数))は、モル比で1.5〜10の範囲であることが好
ましい。水の割合が該化合物1モルに対し1.5モル未
満である場合には、該反応が充分に進行せず加水分解性
基が残る場合がある。また、該割合が該化合物1モルに
対し10モルを越える場合には、加水分解反応後に実施
する揮発性有機成分の除去においてその効率が悪化する
場合がある。
【0042】該加水分解反応は、40℃〜100℃の範
囲内で行われることが好ましく、より好ましくは40℃
〜80℃の範囲内である。
【0043】該加水分解反応によって副生する揮発性有
機成分の除去方法は特に限定されるものではないが、留
去であることが好ましい。その留去方法は特に限定され
るものではないが、100Pa〜100KPaの範囲の
圧力下、蒸留することが好ましい。その際の温度は40
〜100℃の範囲であることが好ましく、より好ましく
は40〜80℃の範囲である。
【0044】一般式(1)で示されるシラノール基含有
化合物および一般式(3)で示される化合物は、重合性
の(メタ)アクリル基を含有しているため、高温になる
と(メタ)アクリル基の重合が起こる場合があることか
ら、中和反応、加水分解反応、および副生揮発性有機成
分除去時の温度は80℃以下であることが好ましい。
【0045】該揮発性有機成分の含有割合は、一般式
(1)で表されるシラノール基含有化合物の水溶液に対
して4重量%未満であることが好ましい。該割合が4重
量%未満であれば、アルコール成分の蒸気圧を元に計算
すると、米国産業専門家会議(ACGIH:American C
onference of Governmental Industrial Hygienists)
が勧告している、常温、常圧下で大気中へ放出される揮
発性有機成分量が許容濃度である1000ppm(0.
1MPa、25℃)以下となる。
【0046】さらに、該揮発性有機成分を留去する際に
は、一般式(1)で表されるシラノール基含有化合物の
水溶液から留去される揮発性有機成分の重量と同じ重量
の水を反応液に添加することが好ましい。これにより該
水溶液が濃縮され粘度が上昇し、蒸留効率が低下する事
を防止できる。
【0047】本発明は、一般式(1)で示されるシラノ
ール基含有化合物の水溶液である。シラノール基含有化
合物の含有割合(シラノール基含有化合物の重量/(シ
ラノール基含有化合物の重量+水の重量))は、特に制
限されるものではないが、0.1〜70重量%の範囲で
あることが好ましい。シラノール基含有化合物の含有割
合が70重量%より大きいと保存時に該水溶液の粘度が
非常に高くなり流動性が低くなる傾向がある。その結
果、(メタ)アクリル基の重合を引き起こす可能性が高
くなり、品質を一定に保つことが困難となる。したがっ
て、必要に応じて再濃縮するかまたは水により希釈して
所定の濃度に調整するのが好ましい。
【0048】本発明は、一般式(1)で示されるシラノ
ール基含有化合物、または該シラノール基含有化合物の
水溶液を含有する表面処理剤である。これら化合物また
は水溶液を含有するものであれば、その組成や物性など
は特に限定されるものではない。
【0049】本発明の表面処理剤は、本発明の効果を損
なわない範囲であれば、一般式(1)で示される本発明
のシラノール基含有化合物に加えて、顔料、消泡剤、潤
滑剤、防腐剤、pH調節剤、フィルム形成剤、帯電防止
剤、抗菌剤、界面活性剤、および染料などから選択され
る他の添加剤の1種以上を含有するものであっても良
い。
【0050】本発明の表面処理剤に含まれる一般式
(1)で示されるシラノール基含有化合物の割合は特に
限定されるものではないが、表面処理剤に対して0.1
〜60重量%の範囲であることが好ましい。
【0051】本発明の表面処理剤の用途は特に限定され
るものではないが、具体的には、ガラス繊維の表面処
理、タルク、マイカ等のフィラーの表面処理、鋳物用鋳
型、レジンコンクリート、樹脂の表面改質および水系塗
料の添加剤などを挙げることができる。その中でも特に
ガラス繊維の表面処理に使用した場合には、ガラス/樹
脂界面を強固に結びつけることができるため、FRPな
どの複合材料の性能を向上することができる。
【0052】本発明は、前記表面処理剤で表面処理され
たガラス繊維である。ガラス繊維を表面処理する方法
は、一般的に用いられる方法が採用できる。例えば、一
般式(1)で示されるシラノール基含有化合物または該
シラノール基含有化合物の水溶液を含有する表面処理剤
を、希釈したものに、ガラス繊維を浸漬させた後、乾燥
させることにより製造することができる。また、この表
面処理剤を希釈したものを吹き付けた後に乾燥させるこ
とにより製造することができる。本発明のガラス繊維
は、その製品形態に限定されない。ガラス繊維製品は多
岐にわたるが、例を挙げると単繊維、チョップトストラ
ンド、ロービング、ヤーン、ガラスクロスなどが示され
る。
【0053】本発明は、一般式(5)で表されるシラノ
ール基含有化合物である。 一般式(1)で表されるシラノール基含有化合物と同様
の効果を奏する。本発明の一般式(5)で表されるシラ
ノール基含有化合物は、一般式(3)で表される化合物
に代えて、次の構造を有する化合物(2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸)を用いることで、
一般式(1)で表されるシラノール基含有化合物の製造
方法と同様に製造することができる。
【0054】本発明は、一般式(3)で表される化合物
に代えて一般式(6)から(13)で表される化合物の
いずれか1つを用いて、一般式(2)で表されるシラノ
ール基含有化合物を中和することを特徴とするシラノー
ル基含有化合物の製造方法である。また本発明は、一般
式(3)で表される化合物に代えて一般式(6)から
(13)で表される化合物のいずれか1つを用いて、一
般式(4)で表されるアルコキシ基含有ケイ素化合物を
中和した後、該中和反応によって得られる化合物のアル
コキシル基を加水分解し、副生するアルコールを除去す
ることを特徴とするシラノール基含有化合物の製造方法
である。これらの製造方法により、得られるシラノール
基含有化合物も、一般式(1)で表されるシラノール基
含有化合物と同様の効果を奏する。すなわち、水溶液の
状態で長期間保存した場合であっても、シラノール基含
有化合物同士の縮合が一定割合以上進行することなく安
定な状態を保持し得る。また、揮発性有機成分を殆ど含
まず、シランカップリング剤としての効果を奏するもの
である。
【0055】一般式(6)で表される化合物は、ヒドロ
キシル基を2つ有するカルボン酸である。R4は炭素数
1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキルである。
【0056】一般式(7)で表される化合物は、芳香族
カルボン酸である。R5はH、水酸基または炭素数1〜
4の直鎖もしくは分岐のアルキルである。 例えば、次の化合物である。
【0057】一般式(8)で表される化合物は、ジカル
ボン酸である。A1は、単結合、炭素数2から8のアル
キレンまたは1,4−フェニレンである。 例えば、次の化合物である。
【0058】一般式(9)で表される化合物は、テトラ
カルボン酸である。A2は、任意の2つの水素がカルボ
キシル基との単結合に置き換えられた炭素数4〜8のア
ルキレンまたは任意の4つの水素がカルボキシル基との
単結合に置き換えられたベンゼン環である。 例えば、次の化合物である。
【0059】一般式(10)で表される化合物は、メル
カプト基含有カルボン酸である。Aは、炭素数2〜6
のアルキレンである。 例えば、次の化合物である。
【0060】一般式(11)で表される化合物は、メル
カプト基含有ジカルボン酸である。Aは、任意の1つ
の水素がメルカプト基との単結合に置き換えられた炭素
数2〜6のアルキレンである。 例えば、次の化合物である。
【0061】一般式(12)で表される化合物は、スル
フィド基含有ジカルボン酸である。Aは、炭素数2〜
6のアルキレンまたはフェニレンである。 例えば、次の化合物である。
【0062】一般式(13)で表される化合物は、スル
ホン酸系化合物である。Rは、H、水酸基または炭素
数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキルである。 例えば、次の化合物である。 なお、ベンゼン環の複数の水素が水酸基に置き換わった
化合物では、本発明の効果を奏しないことを実験により
確認している。
【0063】本発明は、一般式(14)または(15)
で表されるシラノール基含有化合物である。 ここで、qは1〜3の整数である。念のため記載してお
くが、R1、R2、m、n、pは、一般式(1)のそれら
と同様である。なお、一般式(15)で表されるシラノ
ール基含有化合物においては、Rは、メチルまたはエ
チルであることが特に好ましい。これらは、一般式
(1)で表されるシラノール基含有化合物と同様の効果
を奏する。本発明の一般式(14)で表されるシラノー
ル基含有化合物は、一般式(2)で表されるシラノール
基含有化合物に代えて、一般式(16)で表されるシラ
ノール基含有化合物を用いることで、一般式(1)で表
されるシラノール基含有化合物の製造方法と同様に製造
することができる。 また、本発明の一般式(14)で表されるシラノール基
含有化合物は、一般式(4)で表されるアルコキシ基含
有ケイ素化合物に代えて、一般式(17)で表されるア
ルコキシ基含有ケイ素化合物を用いることで、一般式
(1)で表されるシラノール基含有化合物の製造方法と
同様に製造することもできる。
【0064】本発明の一般式(15)で表されるシラノ
ール基含有化合物は、一般式(2)で表されるシラノー
ル基含有化合物に代えて、一般式(16)で表されるシ
ラノール基含有化合物を、一般式(3)で表される化合
物に代えて、一般式(6)で表される化合物を用いるこ
とで、一般式(1)で表されるシラノール基含有化合物
の製造方法と同様に製造することができる。また、本発
明の一般式(15)で表されるシラノール基含有化合物
は、一般式(4)で表されるアルコキシ基含有ケイ素化
合物に代えて、一般式(17)で表されるアルコキシ基
含有ケイ素化合物を用いることで、一般式(1)で表さ
れるシラノール基含有化合物の製造方法と同様に製造す
ることもできる。なお、これらのジアミノ系シランの製
造における反応条件や好ましい範囲等はすべて一般式
(1)で表されるシラノール基含有化合物の製造方法と
同じである。また、効果においても同じである。
【0065】
【実施例】以下、実施例により詳細に説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実験例1:シラノール基含有水溶性アミノシラン化合物
水溶液の合成 内部温度測定器、攪拌装置、液体配量装置、搭頂部温度
測定器を備えた蒸留塔、冷却器、および蒸留生成物受器
を備えた容量2リットルのフラスコに、3−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン(チッソ(株)製サイラエース
S330)1000gを仕込み、次いで配量装置から純
水500gを投入し、3−アミノプロピルトリエトキシ
シランの加水分解を行った。ガスクロマトグラフで3−
アミノプロピルトリエトキシシランのピークが消失した
点を加水分解の終了とし、その後該フラスコを2KPa
まで減圧し、60℃で副生したエタノール500gを除
去した。微量の残存エタノールを除去するためさらに蒸
留を続け、さらに250g留去し、次いで除去したエタ
ノールと同重量の純水を後該フラスコに加えて濃度およ
び粘度を調整した。蒸留終了後の反応液(水溶液)はガ
スクロマトグラフにより分析すると、エタノール含有割
合は0.1重量%以下であった。該反応液(水溶液)を
アルミカップに計量し、熱風オーブン中105℃で3時
間加熱乾固させたところ、不揮発分は50重量%であっ
た。ケイ素含有量は12.7重量%であり粘度は25℃
で150mm2/sであった。
【0066】実験例2:シラノール基含有水溶性メタク
リルシラン化合物水溶液の合成 内部温度測定器、攪拌装置、滴下ロート、および還流冷
却器を備えた容量1リットルのフラスコに、実験例1で
得られたシラノール基含有水溶性アミノシラン化合物の
水溶液500gを仕込み、また滴下ロートにメタクリル
酸195.8gを仕込んだ。フラスコを氷水浴に浸して
内容物を冷却し、200回転/分で内容物を攪拌しなが
ら、滴下ロートからメタクリル酸を1時間かけて滴下し
た。滴下終了後、そのまま1時間攪拌を継続した。この
ときの該フラスコ内温は25〜30℃であった。攪拌終
了後、pHを測定したところ6.8であり、完全に中和
されていることを確認した。また、攪拌終了後の反応液
(水溶液)をバイアルビンに入れてヘッドスペース部を
ガスクロマトグラフにより分析したところ、メタクリル
酸のピークは観測されなかった。該バイアルビン中の反
応液(シラノール基含有水溶性メタクリルシラン化合物
水溶液)は、1週間経過後も白濁しなかった。この反応
液(水溶液)中の不揮発分含有割合を知るために、10
5℃に加熱したオーブン中に3時間放置後の重量を測定
したところ、加熱前の重量の64重量%であった。
【0067】実験例3:シラノール基含有水溶性アクリ
ルシラン化合物水溶液の合成 内部温度測定器、攪拌装置、滴下ロート、および還流冷
却器を備えた容量200ミリリットルのフラスコに、実
験例1で得たシラノール基含有水溶性アミノシラン化合
物の水溶液66gを仕込み、また滴下ロートにアクリル
酸21.6gを仕込んだ。フラスコを氷水浴に浸して内
容物を冷却し、200回転/分で内容物を攪拌しなが
ら、滴下ロートからアクリル酸を1時間かけて滴下し
た。滴下終了後、そのまま1時間攪拌を継続した。この
ときの該フラスコ内温は25〜30℃であった。攪拌終
了後、pHを測定したところ6.8であり、完全に中和
されていることを確認した。また、該水溶液をバイアル
ビンに入れてヘッドスペース部をガスクロマトグラフに
より分析したところ、アクリル酸のピークは観測されな
かった。該バイアルビン中の反応液(シラノール基含有
水溶性アクリルシラン化合物水溶液)は、1週間経過後
も白濁しなかった。
【0068】実験例4:シラノール基含有水溶性メタク
リルシラン化合物水溶液による水酸化アルミニウムの表
面処理 スプレーバイアルに実験例2で合成したシラノール基含
有水溶性メタクリルシラン化合物水溶液0.5gおよび
純水2gを入れ均一に溶解させて表面処理剤を得た。ミ
キサーカップに水酸化アルミニウム粉体(昭和電工
(株)製ハイジライトH−320)50gを秤量した。
ミキサーカップ内容物を攪拌しながら、該水酸化アルミ
ニウム粉体に該表面処理剤を噴霧した。ミキサーカップ
にふたをし、ミキサーにて攪拌した。攪拌後、内容物を
100℃にて20分乾燥し、乳鉢ですりつぶすことによ
って表面処理された水酸化アルミニウム粉体を得た。
【0069】実験例5:水酸化アルミニウム/不飽和ポ
リエステル樹脂複合材料試験片の調製 カップに不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子(株)製
リゴラック2004WN−2)25gを入れた。これに
促進剤(昭和高分子(株)製リゴラック促進剤E)0.
0625g、硬化剤(日本油脂(株)製パーメックN)
0.125g、実験例4にて得られたシラン処理された
水酸化アルミニウム粉体37.5gを攪拌しながら順次
加えた。50℃で脱泡したのち、型に樹脂を流し入れて
注形し、50℃にて3時間、80℃にて2時間加熱し樹
脂を硬化させて、幅約15mm、厚さ約2.3mm、長
さ約69mmの試験片を得た。
【0070】実験例6:水酸化アルミニウム/不飽和ポ
リエステル樹脂複合材料試験片の調製 水酸化アルミニウム粉体(昭和電工(株)製ハイジライ
トH−320)を表面処理を行わずそのまま用い、促進
剤を0.25g、硬化剤を0.5g用いた他は実験例5
に準じて同様の大きさの試験片を得た。
【0071】実験例7:材料強度試験 実験例5および実験例6にて得られた複合材料試験片の
曲げ試験を行った。試験方法はJIS K 6911に
準じた。ただし、支点間距離は20mmである。試験片
が折れたときの最大荷重および正確に測定した試験片の
幅および厚さから曲げ強さを求めた。結果を表1に示し
た。
【0072】
【表1】
【0073】表1より、実験例5で得られた試験片の方
が高い強度を示した。これは、水酸化アルミニウム粉体
と不飽和ポリエステル樹脂との界面が本発明で得られた
シラノール基含有化合物により強固に結びついているこ
とを示しており、表面処理剤として有効に機能している
ことが示される。
【0074】実験例8:シラノール基含有水溶性メタク
リルシラン化合物水溶液によるガラス繊維の表面処理 ビーカーに実験例2で合成したシラノール基含有水溶性
メタクリルシラン化合物水溶液10gおよび純水990
gを入れ、マグネチックスターラーにて攪拌し均一に溶
解させて表面処理剤を得た。この表面処理剤中に約30
cmの長さに切断したガラス繊維(直径約16μm)を3
0秒間浸漬し、オーブン中で100℃にて20分乾燥す
ることによって表面処理されたガラス繊維を得た。
【0075】実験例9:マイクロドロップレット測定用
試験サンプル作成 実験例8にて得られた表面処理されたガラス繊維1本を
台紙に接着剤で固定した。カップに不飽和ポリエステル
樹脂(昭和高分子(株)製リゴラック2004WN−
2)20gおよびメタクリル酸メチル(東京化成(株)
製)5gを入れた。これに促進剤(昭和高分子(株)製
リゴラック促進剤E)0.5g、硬化剤(日本油脂
(株)製パーメックN)1gを攪拌しながら順次加え
た。室温にて脱泡したのち、ミクロスパーテルを用いて
ガラス繊維に樹脂を少量塗布することにより、ガラス繊
維に樹脂の微小ドロップを付着させた。これを50℃に
て2時間、80℃にて2時間、100℃にて3時間加熱
し樹脂を硬化させて、マイクロドロップレット測定用試
験サンプルを得た。
【0076】実験例10:マイクロドロップレット測定
用試験サンプル作成 表面処理を行わずにガラス繊維をそのまま用いた他は実
験例9に準じて同様のマイクロドロップレット測定用試
験サンプルを得た。
【0077】実験例11:マイクロドロップレット測定 複合材界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)
製)にて実験例9および実験例10にて得られたサンプ
ルのマイクロドロップレット測定を行った。マイクロド
ロップレット測定とは、ガラス繊維に付着した樹脂ドロ
ップを固定し、ガラス繊維を引き抜くときの最大荷重を
求め、これからガラス/樹脂界面の界面せん断強度を評
価するものである。測定の概念を図1に示した。得られ
た界面せん断強度を表2に示した。
【0078】
【表2】 表2より、実験例9で得られた試験サンプルの方が高い
強度を示した。これは、ガラス繊維と樹脂との界面が本
発明で得られたシラノール基含有化合物により強固に結
びついていることを示しており、表面処理剤として有効
に機能していることが示される。
【0079】実験例12:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
80.0gに、メタクリル酸195.8gを2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(下記の化合
物)75.4gに代え、重合禁止剤としてp−メトキシ
フェノール0.038g加えたこと以外は実験例2に準
じてシラノール基含有水溶性メタクリルシラン化合物の
合成を行った。 赤みがかった微黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液
は1週間以上放置しておいても白濁しなかった。また、
揮発性有機溶媒のピークは観測されなかった。
【0080】実験例13:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
22.1gに、メタクリル酸195.8gを2,2−ジ
メチルプロピオン酸(下記の化合物)13.4gに代え
たこと以外は実験例2に準じてシラノール基含有水溶性
シラン化合物の合成を行った。 無色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放
置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒
のピークは観測されなかった。
【0081】実験例14:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
22.1gに、メタクリル酸195.8gを安息香酸
(下記の化合物)12.2gに代えたこと以外は実験例
2に準じてシラノール基含有水溶性シラン化合物の合成
を行った。 無色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放
置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒
のピークは観測されなかった。
【0082】実験例15−1:実験例1で得られたシラ
ノール基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500
gを22.1gに、メタクリル酸195.8gを4−ヒ
ドロキシ安息香酸(下記の化合物)13.8gに代えた
こと以外は実験例2に準じてシラノール基含有水溶性シ
ラン化合物の合成を行った。 褐色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放
置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒
のピークは観測されなかった。
【0083】実験例15−2:実験例1で得られたシラ
ノール基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500
gを20.0gに、メタクリル酸195.8gを3,4
−ジヒドロキシ安息香酸(下記の化合物)14.1gに
代えたこと以外は実験例2に準じてシラノール基含有水
溶性シラン化合物の合成を行った。 褐色沈殿物を含む水溶液が得られた。したがって、実験
例1で得られたシラノール基含有水溶性アミノシラン化
合物の水溶液と3,4−ジヒドロキシ安息香酸との中和
反応によって生じる化合物は、本発明の効果を奏しな
い。
【0084】実験例15−3:実験例1で得られたシラ
ノール基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500
gを20.0gに、メタクリル酸195.8gを3,
4,5−トリヒドロキシ安息香酸(下記の化合物)1
7.2gに代えたこと以外は実験例2に準じてシラノー
ル基含有水溶性シラン化合物の合成を行った。 褐色沈殿物を含む水溶液が得られた。したがって、実験
例1で得られたシラノール基含有水溶性アミノシラン化
合物の水溶液と3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸と
の中和反応によって生じる化合物は、本発明の効果を奏
しない。
【0085】実験例16:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gをシュウ酸二
水和物2.87gに代えたこと以外は実験例2と同様の
操作を行った。無色透明の水溶液が得られた。該水溶液
は1週間以上放置しておいても白濁しなかった。また、
揮発性有機溶媒のピークは観測されなかった。
【0086】実験例17:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gをこはく酸
(下記の化合物)2.68gに代えたこと以外は実験例
2に準じてシラノール基含有水溶性シラン化合物の合成
を行った。 無色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放
置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒
のピークは観測されなかった。
【0087】実験例18:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gをアジピン酸
(下記の化合物)3.32gに代えたこと以外は実験例
2に準じてシラノール基含有水溶性シラン化合物の合成
を行った。 無色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放
置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒
のピークは観測されなかった。
【0088】実験例19:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gをテレフタル
酸(下記の化合物)3.78gに代えたこと以外は実験
例2に準じてシラノール基含有水溶性シラン化合物の合
成を行った。 微黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上
放置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶
媒のピークは観測されなかった。
【0089】実験例20:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gをmeso−ブタ
ン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(下記の化合
物)2.66gに代えたこと以外は実験例2に準じてシ
ラノール基含有水溶性シラン化合物の合成を行った。 黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放
置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒
のピークは観測されなかった。
【0090】実験例21:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gをチオグリコ
ール酸(下記の化合物)4.19gに代えたこと以外は
実験例2に準じてシラノール基含有水溶性シラン化合物
の合成を行った。 無色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放
置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒
のピークは観測されなかった。
【0091】実験例22:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gをチオリンゴ
酸(下記の化合物)3.41gに代えたこと以外は実験
例2に準じてシラノール基含有水溶性シラン化合物の合
成を行った。 微黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上
放置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶
媒のピークは観測されなかった。
【0092】実験例23:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gを3,3’−
ジチオジプロピオン酸(下記の化合物)4.78gに代
えたこと以外は実験例2に準じてシラノール基含有水溶
性シラン化合物の合成を行った。 微黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上
放置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶
媒のピークは観測されなかった。
【0093】実験例24:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
10.0gに、メタクリル酸195.8gを2,2’−
ジチオジ安息香酸(下記の化合物)6.96gに代えた
こと以外は実験例2に準じてシラノール基含有水溶性シ
ラン化合物の合成を行った。 微黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上
放置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶
媒のピークは観測されなかった。
【0094】実験例25:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
20.0gに、メタクリル酸195.8gをベンゼンス
ルホン酸(下記の化合物)14.2gに代えたこと以外
は実験例2に準じてシラノール基含有水溶性シラン化合
物の合成を行った。 淡黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上
放置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶
媒のピークは観測されなかった。
【0095】実験例26:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
20.0gに、メタクリル酸195.8gを4−ヒドロ
キシベンゼンスルホン酸(下記の化合物)15.6gに
代えたこと以外は実験例2に準じてシラノール基含有水
溶性シラン化合物の合成を行った。 褐色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放
置しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒
のピークは観測されなかった。
【0096】実験例27:シラノール基含有水溶性ジア
ミノシラン化合物水溶液の合成 容量500ミリリットルのフラスコを用いて、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン(チッソ(株)製サイラ
エースS330)1000gをN−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ
(株)製サイラエースS320)222gに、純水50
0gを81gに代えたこと以外は実験例1と同様の操作
を行った。
【0097】実験例28:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
実験例27で得られたシラノール基含有水溶性ジアミノ
シラン化合物の水溶液10.0gに、メタクリル酸19
5.8gを2.82gに代えたこと以外は実験例2に準
じてシラノール基含有水溶性メタクリルシラン化合物の
合成を行った。黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液
は1週間以上放置しておいても白濁しなかった。また、
揮発性有機溶媒のピークは観測されなかった。
【0098】実験例29:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
実験例27で得られたシラノール基含有水溶性ジアミノ
シラン化合物の水溶液10.0gに、メタクリル酸19
5.8gを5.64gに代えたこと以外は実験例2に準
じてシラノール基含有水溶性メタクリルシラン化合物の
合成を行った。黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液
は1週間以上放置しておいても白濁しなかった。また、
揮発性有機溶媒のピークは観測されなかった。
【0099】実験例30:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
実験例27で得られたシラノール基含有水溶性ジアミノ
シラン化合物の水溶液10.0gに、メタクリル酸19
5.8gを2,2−ジメチロールプロピオン酸4.4g
に代えたこと以外は実験例2に準じてシラノール基含有
水溶性シラン化合物の合成を行った。黄色透明の水溶液
が得られた。該水溶液は1週間以上放置しておいても白
濁しなかった。また、揮発性有機溶媒のピークは観測さ
れなかった。
【0100】実験例31:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
実験例27で得られたシラノール基含有水溶性ジアミノ
シラン化合物の水溶液10.0gに、メタクリル酸19
5.8gを2,2−ジメチロールプロピオン酸8.8g
に代えたこと以外は実験例2と同様の操作を行った。黄
色透明の水溶液が得られた。該水溶液は1週間以上放置
しておいても白濁しなかった。また、揮発性有機溶媒の
ピークは観測されなかった。
【0101】実験例32:シラノール基含有水溶性ジア
ミノシラン化合物水溶液の合成 容量500ミリリットルのフラスコを用いて、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン(チッソ(株)製サイラ
エースS330)1000gをN−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(チ
ッソ(株)製サイラエースS310)206gに、純水
500gを54gに代えたこと以外は実験例1と同様の
操作を行った。
【0102】実験例33:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
実験例32で得られたシラノール基含有水溶性ジアミノ
シラン化合物の水溶液10.0gに、メタクリル酸19
5.8gを2.69gに代えたこと以外は実験例2に準
じてシラノール基含有水溶性メタクリルシラン化合物の
合成を行った。黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液
は1週間以上放置しておいても白濁しなかった。また、
揮発性有機溶媒のピークは観測されなかった。
【0103】実験例34:実験例1で得られたシラノー
ル基含有水溶性アミノシラン化合物の水溶液500gを
実験例32で得られたシラノール基含有水溶性ジアミノ
シラン化合物の水溶液10.0gに、メタクリル酸19
5.8gを5.38gに代えたこと以外は実験例2に準
じてシラノール基含有水溶性メタクリルシラン化合物の
合成を行った。黄色透明の水溶液が得られた。該水溶液
は1週間以上放置しておいても白濁しなかった。また、
揮発性有機溶媒のピークは観測されなかった。
【0104】実験例35:マイクロドロップレット測定
用試験サンプル作成 実験例8にて得られたシラン処理されたガラス繊維1本
を台紙に接着剤で固定した。カップにビニルエステル樹
脂(昭和高分子(株)製リポキシR−806)50gを
入れた。これに促進剤(昭和高分子(株)製リゴラック
促進剤E)0.5g、硬化剤(日本油脂(株)製パーメ
ックN)1gを攪拌しながら順次加えた。室温にて脱泡
したのち、ミクロスパーテルを用いてガラス繊維に樹脂
を少量塗布することにより、ガラス繊維に樹脂の微小ド
ロップを付着させた。これを50℃にて2時間、80℃
にて2時間、120℃にて4時間加熱し樹脂を硬化させ
て、マイクロドロップレット測定用試験サンプルを得
た。
【0105】実験例36:シラノール基含有水溶性アク
リルシラン化合物水溶液によるガラス繊維の表面処理 実験例8と同様に、ビーカーに実験例12で合成したシ
ラノール基含有水溶性アクリルシラン化合物水溶液30
gおよび純水970gを入れ、マグネチックスターラー
にて攪拌し均一に溶解させて表面処理剤を得た。この表
面処理剤中に約30cmの長さに切断したガラス繊維
(直径約16μm)を30秒間浸漬し、オーブン中で10
0℃にて20分乾燥することによって表面処理されたガ
ラス繊維を得た。
【0106】実験例37:マイクロドロップレット測定
用試験サンプル作成 実験例8にて得られた表面処理されたガラス繊維の代わ
りに実験例36にて得られたシラン処理されたガラス繊
維を用いた他は、実験例35に準じて同様のマイクロド
ロップレット測定用試験サンプルを得た。
【0107】実験例38:メタクリル基含有アルコキシ
シラン化合物水溶液によるガラス繊維の表面処理 実験例8と同様に、ビーカーに3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製S710)1
0gおよびpHを4に調整した酢酸水990gを入れ、
マグネチックスターラーにて攪拌し均一に溶解させて表
面処理剤を得た。その直後この表面処理剤中に約30c
mの長さに切断したガラス繊維(直径約16μm)を30
秒間浸漬し、オーブン中で100℃にて20分乾燥する
ことによって表面処理されたガラス繊維を得た。
【0108】実験例39:マイクロドロップレット測定
用試験サンプル作成 実験例8にて得られた表面処理されたガラス繊維の代わ
りに実験例38にて得られた表面処理されたガラス繊維
を用いた他は、実験例35に準じて同様のマイクロドロ
ップレット測定用試験サンプルを得た。
【0109】実験例40:マイクロドロップレット測定
用試験サンプル作成 表面処理を行わずにガラス繊維をそのまま用いた他は実
験例35に準じて同様のマイクロドロップレット測定用
試験サンプルを得た。
【0110】実験例41:マイクロドロップレット測定 複合材界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)
製)にて実験例35、実験例37、実験例39および実
験例40にて得られたサンプルのマイクロドロップレッ
ト測定を行った。測定は実施例11と同様の方法で行っ
た。得られた界面せん断強度を表3に示した。
【0111】
【表3】 表3より、実験例35、実験例37で得られた試験サン
プルは、実験例40で得られた試験サンプルよりも高い
強度を示した。また、実験例39で得られた試験サンプ
ルと同等の強度を示した。これは、ガラス繊維と樹脂と
の界面が本発明で得られたシラノール基含有化合物によ
り強固に結びついていることを示しており、表面処理剤
として有効に機能していることが示される。さらに、従
来のメタクリル基含有アルコキシシランと比較して表面
処理剤としての性能にまったく遜色がないことも示され
る。これらの実験例より、本発明のシラノール基含有化
合物は、水溶液の状態で長期間保存した場合であって
も、安定な状態を保持し、かつシランカップリング剤と
しての効果を十分持つ優れた特性を持つ化合物であるこ
とが示される。
【0112】
【発明の効果】本発明のシラノール基含有化合物水溶液
は、水溶液の状態で長期間保存した場合であっても、シ
ラノール基含有化合物同士の縮合が一定割合以上進行す
ることなく安定な状態を保持し得る。さらに、表面処理
剤としての効果を十分持つ優れた特性を持つ化合物であ
る。また、本発明の製造方法は、中和反応によって得ら
れる化合物の水溶液を酸性にすることなく、該中和反応
によって得られる化合物を完全に加水分解することが可
能である。本発明の表面処理剤は、ガラス繊維の処理、
タルク、マイカ等のフィラーの表面処理、鋳物用鋳型、
レジンコンクリート、樹脂の表面改質および水系塗料の
添加剤などへの使用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マイクロドロップレット測定の概念図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G060 BA01 BA04 BA05 BD01 CA21 CB01 CB02 CB05 CB31 4H049 VN01 VQ16 VQ35 VR43 VS20 VU21 VU22

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表されるシラノール基含
    有化合物。 (式中、R1はHまたはメチルであり、R2は炭素数1〜
    8の直鎖もしくは分岐のアルキル、または炭素数6〜1
    0の芳香族基であり、pは1〜6の整数であり、mは0
    <m≦3の範囲の値であり、nは0または1である。)
  2. 【請求項2】 一般式(2)で表されるシラノール基含
    有化合物を、一般式(3)で表される化合物で中和する
    ことを特徴とする請求項1記載の一般式(1)で表され
    るシラノール基含有化合物の製造方法。 (式中、R1はHまたはメチルであり、R2は炭素数1〜
    8の直鎖もしくは分岐のアルキル、または炭素数6〜1
    0の芳香族基であり、pは1〜6の整数であり、mは0
    <m≦3の範囲の値であり、nは0または1である。)
  3. 【請求項3】 一般式(4)で表されるアルコキシ基含
    有ケイ素化合物を、請求項2記載の一般式(3)で表さ
    れる化合物で中和した後、該中和反応によって得られる
    化合物のアルコキシル基を加水分解し、副生するアルコ
    ールを除去することを特徴とする請求項1記載の一般式
    (1)で表されるシラノール基含有化合物の製造方法。 (式中、R2は炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアル
    キル、または炭素数6〜10の芳香族基であり、R3
    炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキルであり、n
    は0または1であり、pは1〜6の整数である。)
  4. 【請求項4】 請求項1記載のシラノール基含有化合物
    の水溶液。
  5. 【請求項5】 水溶液に対するシラノール基含有化合物
    の含有割合が、0.1重量%〜70重量%の範囲である
    請求項4記載の水溶液。
  6. 【請求項6】 水溶液に対するアルコール成分の含有割
    合が4重量%未満である請求項4または5記載の水溶
    液。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のシラノール基含有化合物
    を含有する表面処理剤。
  8. 【請求項8】 請求項4〜6の何れか1項記載の水溶液
    を含有する表面処理剤。
  9. 【請求項9】 請求項7または8記載の表面処理剤で表
    面処理されたガラス繊維。
  10. 【請求項10】 一般式(5)で表されるシラノール基
    含有化合物。 (式中、R2は炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアル
    キル、または炭素数6〜10の芳香族基であり、pは1
    〜6の整数であり、mは0<m≦3の範囲の値であり、
    nは0または1である。)
  11. 【請求項11】 請求項2記載の一般式(2)で表され
    るシラノール基含有化合物を、2−アクリルアミド−2
    −メチルプロパンスルホン酸(下記の構造を有する化合
    物)で中和することを特徴とする請求項10記載の一般
    式(5)で表されるシラノール基含有化合物の製造方
    法。
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