JP2003225967A - 容器用フィルムラミネート金属板 - Google Patents
容器用フィルムラミネート金属板Info
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Abstract
撃性、内容物充填・レトルト殺菌処理後の耐食性を兼ね
備えた容器用フィルムラミネート金属板を提供する。 【解決手段】 固体高分解能NMRによる構造解析にお
ける1,4配位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが1
50msec以上であるポリエステルを主成分とする二
軸延伸ポリエステル樹脂フィルムであって、その厚さが
10μm以上30μm以下の樹脂フィルムを上層に有
し、その下層にエステル反復単位の75%以上95%以
下がエチレンテレフタレート単位である厚さ2μm以上
5μm未満のポリエステル樹脂フィルムを有する、二層
からなるポリエステル樹脂フィルムを金属板表面にラミ
ネートしたことを特徴とする容器用フィルムラミネート
金属板。
Description
の缶胴に用いられるラミネート金属板に関するものであ
る。さらに詳しくは、製缶工程での成形性、密着性及び
耐衝撃性が良好であり、内容物充填・レトルト殺菌処理
後の耐食性に優れるラミネート金属板に関するものであ
る。
であるティンフリースチール(TFS)およびアルミニ
ウム等の金属板には塗装が施されていた。この塗装を施
す技術は、焼き付け工程が複雑であるばかりでなく、多
大な処理時間を必要とし、さらに多量の溶剤を排出する
という問題を抱えていた。そこで、これらの問題を解決
するため、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した金属板に積
層する方法が数多く提案されている。例えば、特開昭6
4−22530号公報には、特定の密度・面配向係数を
有する金属板ラミネート用ポリエステルフィルム、特開
平2−57339号公報には特定の結晶性を有する金属
板ラミネート用共重合ポリエステルフィルム等が開示さ
れている。しかしながら、これらの提案は容器用途の多
岐にわたる要求特性を総合的に満足できるものではな
く、特に高度な成形性、優れた耐食性が要求される用途
では十分に満足できるレベルにあるとはいえなかった。
は、特定の構造を有する金属板ラミネート用ポリエステ
ルフィルム等が開示されている。この提案によって多岐
にわたる要求特性がある程度解決されるが、缶に成形す
る際の成形加工熱や成形後の加熱工程、内容物の充填後
の高温殺菌工程(レトルト殺菌処理工程)で、密着性の
劣化や加工性、耐食性の劣化等が生じる難点があった。
また内容物を充填した容器に衝撃が加えられたときに、
例えば、自動販売機で飲料缶を購入する際缶が取り出し
口に落ちるときや缶の持ち運び時に誤って缶を落として
しまったときなどにフィルムが損傷を受けやすいこと、
すなわち耐衝撃性に劣るという難点があった。
事情を考慮し、容器加工に要求される成形性、密着性、
耐衝撃性、内容物充填・レトルト殺菌処理後の耐食性を
兼ね備えた容器用フィルムラミネート金属板を提供する
ことを目的とする。
を解決するために鋭意検討した結果、本発明に規定する
フィルムを用いたラミネート金属板によって、この目的
が達成されることを見出し、本発明に到達した。
る。 (1)固体高分解能NMRによる構造解析における1,
4配位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが150ms
ec以上であるポリエステルを主成分とする二軸延伸ポ
リエステル樹脂フィルムであって、その厚さが10μm
以上30μm以下の樹脂フィルムを上層に有し、その下
層にエステル反復単位の75%以上95%以下がエチレ
ンテレフタレート単位である厚さ2μm以上5μm未満
のポリエステル樹脂フィルムを有する、二層からなるポ
リエステル樹脂フィルムを金属板表面にラミネートした
ことを特徴とする容器用フィルムラミネート金属板。
ステル樹脂フィルムの複屈折率が0.02以下である領
域が、金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5μ
m未満であることを特徴とする(1)に記載の容器用フ
ィルムラミネート金属板。
層に、前記(1)に記載のエステル反復単位の75%以
上95%以下がエチレンテレフタレート単位である厚さ
2μm以上5μm未満のポリエステル樹脂フィルムに代
えて、厚さ2μm以上5μm未満の非晶性ポリマー樹脂
フィルムを有することを特徴とする容器用フィルムラミ
ネート金属板。
する。本発明のラミネート金属板は、以下に記載する二
層構造の樹脂フィルムを使用する。
延伸ポリエステル樹脂フィルムを使用する。ポリエステ
ル樹脂の二軸延伸フィルムは、未延伸フィルムに比べて
優れた特徴をもち、引張強度、引裂強さ、衝撃強さ、水
蒸気透過性、ガス透過性などの性質を著しく向上できる
ためである。
はジカルボン酸とグリコール成分とからなるポリマーで
あり、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカル
ボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくはテレ
フタル酸、フタル酸を用いることができる。またグリコ
ール成分としてはエチレングリコール、プロパンジオー
ル、ブタンジオール等が挙げられるが、中でもエチレン
グリコールが好ましい。なお、これらのジカルボン酸成
分、グリコール成分は2種以上を併用しても良い。
酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、
帯電防止剤、結晶核剤等を配合できる。
弾性率、衝撃強度等の機械特性に優れるとともに極性を
有するため、これを主成分とすることでフィルムの成形
性を容器加工に耐えうるレベルまで向上させることが可
能となる。
の適用を考慮すると、前記上層に配置するポリエステル
樹脂フィルムは、固体高分解能NMRによる構造解析に
おける1,4配位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが
150msec以上であるポリエステル樹脂フィルムで
ある必要がある。
あり、緩和時間T1ρを増やすと、フィルム内の非晶部
の拘束力が高まる。即ち非晶部の運動性が低下し、結晶
化のための再配向挙動が抑制されるようになる。これに
よって、成形時における非晶部分の結晶化を抑制できる
ようになる。
ることで、成形時においても加工性を阻害する結晶化を
有効に抑制できるため、ラミネート後に高度の加工が行
われる場合であっても、優れた成形性が得られるように
なる。
る方法としては、フィルム製造時に縦延伸工程で高温予
熱法、高温延伸法を組み合わせて採用することにより可
能であるが、特に限定されるものではなく、例えば原料
の固有粘度、触媒、ジエチレングリコール量や延伸条
件、熱処理条件などの適正化によっても可能である。フ
ィルム製造時の縦延伸の予熱温度としては、90℃以上
が好ましく、より好ましくは100℃以上、更に好まし
くは110℃以上である。また延伸温度は105℃以上
が好ましく、より好ましくは110℃以上、さらに好ま
しくは115℃以上である。
させるためには、上記の上層フィルムの下層に、エステ
ル反復単位の75〜95%がエチレンテレフタレート単
位であるポリエステル樹脂フィルムを用いる必要があ
る。以下にその理由を説明する。
場合、缶成形後フィルム表面に残留した潤滑油を完全に
除去するため、200℃以上の温度で2分30秒ほどの
加熱処理が施されるのが一般的である。この加熱処理に
より、缶成形後のフィルム内では、結晶化が進行し、特
に鋼板との密着界面近傍の領域では、等方的な結晶成長
が起こり、球晶を形成することが明らかになった。等方
的な結晶成長が起こる理由は、この領域が熱融着ラミネ
ート時に溶融し、アモルファス状態になっているためで
ある。
脆性的であり応力集中部となり易い。そのため、レトル
ト殺菌処理時に発生する缶内部での圧力によってフィル
ム内に応力が導入された場合、鋼板との密着界面近傍領
域内の球晶部を起点として割れが発生し、フィルムが破
壊してしまうことになる。フィルムが破壊された部位
は、密着性が低下し、あるいは鋼板が露出することで耐
食性が極端に劣化することになる。
きたことから、レトルト殺菌処理後の耐食性向上のため
には、上記加熱処理時の球晶生成を抑制することが重
要であり、そのためには、アモルファス状態となる領
域のフィルムを、エステル反復単位の75〜95%がエ
チレンテレフタレート単位であるポリエステル樹脂とす
ることが有効であることを見出した。
エチレンテレフタレート分子の結晶化速度が一定の値以
下にコントロールされ、上記の加熱処理時に急激な結晶
成長が起こらず、よって球晶生成を抑制することが可能
となる。エステル反復単位を75%以上に規定したの
は、75%未満では、結晶化速度がほぼ一定となって効
果が飽和するとともに、エチレンテレフタレートの有す
る機械特性等の有利な物性が損なわれ、成形性などが劣
化するためである。一方、95%以下に規定したのは、
この値を超えると、結晶化速度が、球晶生成を形成する
に足るレベルまで上昇するためである。
%は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク
酸、アゼライン酸、アジピン酸、セパシン酸、ドデカン
ジオン酸、ジフェニルカルボン酸、2,6ナフタレンジ
カルボン酸、1,4シクロヘキサンジカルボン酸のうち
から選ばれる1種または2種以上の酸成分と、エチレン
グリコール、1,4ブタンジオール、1,5ペンタンジ
オール、1,6ヘキサンジオール、プロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、1,4シクロヘキサ
ンジメタノールのうちから選ばれる1種あるいは2種以
上の飽和多価アルコールが使用される。
傍の領域に、上記のフィルムを使用することで該領域で
球晶形成が抑制されるため、レトルト殺菌処理で起こる
フィルム割れが抑制され、もって耐食性の劣化が抑制さ
れる。
フィルム(複層フィルム)の構成としては、上層のフィ
ルム厚みが10μm以上30μm以下であって、下層の
フィルム厚みが2μm以上5μm未満であることが必要
である。
定することで、成形性、密着性、耐衝撃性を良好とする
ことができる。厚みを10μm未満とすると、これらの
効果が乏しくなるため不適であり、30μm超として
も、効果が飽和するため、コストパフォーマンスの低下
につながるためである。
時にフィルムが溶融する領域と対応させる必要がある。
そのため、下層フィルムの厚みが2μm未満であると、
密着性に関与するフィルム領域が不十分となって密着性
が劣ってしまう。5μm以上としても、密着性への寄与
が飽和するのとともに、複層フィルム全体に対する下層
フィルムの体積占有率が増すため、上層フィルムの有利
な効果が十分に発揮されない可能性がある。
ィルムの構造としては、複屈折率が0.02以下である
領域を、金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5
μm未満とすることが望ましい。ラミネート金属板の製
造は、フィルムを熱せられた金属板に接触させ圧着する
ことで金属板界面のフィルム樹脂を溶融させ金属板に濡
れさせることで金属板とフィルムとの接着を行うのが通
常である。従って、フィルムと金属板との密着性を確保
するためにはフィルムが溶融していることが必要であ
り、必然的にラミネート後の金属板と接する部分のフィ
ルムの複屈折率は低下することとなる。本発明に規定す
るようにこの部分のフィルムの複屈折率が0.02以下
であれば、ラミネート時のフィルム溶融濡れが十分であ
ることを示し、従って優れた密着性を確保することが可
能となる。
は、以下の測定手法にて求められる値を採用する。
属板を除去した後のフィルムの断面方向のレタデーショ
ンを測定し、樹脂フィルムの断面方向の複屈折率を求め
る。フィルムに入射した直線偏光は、二つの主屈折率方
向の直線偏光に分解される。この時、高屈折率方向の光
の振動が低屈折率方向よりも遅くなり、そのためフィル
ム層を通り抜けた時点で位相差を生じる。この位相差を
レタデーションRと呼び、複屈折率△nとの関係は、式
(1)で定義される。 △n=R/d…(1) 但し、d:フィルム層の厚み。
説明する。単色光を、偏光板を通過させることで、直線
偏光とし、この光をサンプル(フィルム)に入射する。
入射された光は上記のように、レタデーションを生じる
ため、フィルム層を透過後、楕円偏光となる。この楕円
偏光はセナルモン型コンペンセーターを通過させること
により、最初の直線偏光の振動方向に対してθの角度を
もった直線偏光となる。このθを偏光板を回転させて測
定する。レタデーションRとθの関係は式(2)で定義
される。 R=λ・θ/180…(2) 但し、λ:単色光の波長。
から導き出される式(3)で定義される。 n=(θ・λ/180)/d…(3) また、上記に示す複屈折率が0.02以下の部分の厚み
は、金属板との接触界面からフィルム厚み方向へ5μm
未満の領域に限定することが望ましい。この理由は下層
フィルムの膜厚限定理由と同様である。すなわち、複屈
折率が0.02以下の部分の厚みが5μm以上となる
と、密着性への寄与が飽和するのとともに、複層フィル
ム全体に対する複屈折率が0.02以下の部分の体積占
有率が増すため、上層フィルムの有利な効果が十分に発
揮されない可能性がある。
狙う場合には、下層の樹脂フィルムとして、上記で説明
したエステル反復単位の75%以上95%以下がエチレ
ンテレフタレート単位であるポリエステル樹脂フィルム
に代えて、非晶性ポリマー樹脂フィルムを使用すること
が望ましい。ここでいう非晶性ポリマー樹脂フィルムと
は、樹脂組成上結晶構造を構成できないポリマー樹脂フ
ィルムを意味し、例えば、ポリエチレンテレフタレート
の成分であるグリコールの一部を1,4シクロヘキサン
ジメタノールと置換したポリマー樹脂フィルムや、フタ
ル酸の一部をイソフタル酸と置換した共重合樹脂フィル
ム、ポリエーテルイミド、非晶ポリアリレートなどの樹
脂フィルムが挙げられる。下層のフィルム厚さは既に記
載した理由から2μm以上5μm未満とする必要があ
る。
上記加熱処理時においても球晶を生成せず、レトルト殺
菌処理時のフィルム割れを完全に抑止できる。もって、
レトルト殺菌処理後耐食性の大幅な改善が可能となる。
ないが、例えば各ポリエステル樹脂を必要に応じて乾燥
した後、各々を公知の溶融積層押出機に供給し、スリッ
ト状のダイからシート状に共に押出しながら複層化させ
た後、静電印加等の方式によりキャスティングドラムに
密着させ冷却固化し複層の未延伸シートを得る。
び幅方向に延伸することにより二軸延伸フィルムを得
る。延伸倍率は目的とするフィルムの配向度、強度、弾
性率等に応じて任意に設定することができるが、好まし
くはフィルムの品質の点でテンター方式によるものが好
ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次
二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同じに延伸して
いく同時二軸延伸方式が望ましい。
してラミネート金属板を製造する方法について述べる。
本発明では、金属板をフィルムの融点を超える温度で加
熱し、その両面に該樹脂フィルムを圧着ロール(以後ラ
ミネートロールと称す)を用いて接触させ熱融着させる
方法を用いる。
するフィルム構造が得られるものであれば特に制限され
るものではない。例えば、ラミネート開始時の温度を2
80℃以上とし、ラミネート時にフィルムの受ける温度
履歴として、フィルムの融点以上の温度になる時間を1
〜20msecの範囲とすることが好適である。このよ
うなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミ
ネートに加え接着中の冷却も必要である。
はないが、面圧として1〜30kgf/cm2が好まし
い。この値が低すぎると、融点以上であっても時間が短
時間であるため十分な密着性を得難い。また、加圧が大
きいとラミネート金属板の性能上は不都合がないもの
の、ラミネートロールにかかる力が大きく設備的な強度
が必要となり装置の大型化を招くため不経済である。
されているアルミニウム板や軟鋼板等を用いることがで
き、特に下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物から
なる二層皮膜を形成させた表面処理鋼板(所謂TFS)
等が最適である。
の付着量についても、特に限定されないが、加工後密着
性、耐食性の観点から、何れもCr換算で、金属クロム
層は70〜200mg/m2、クロム水酸化物層は10
〜30mg/m2の範囲とすることが望ましい。
さ0.18mm・幅977mmの冷間圧延、焼鈍、調質
圧延を施した鋼板を、脱脂、酸洗後、クロムめっきを行
い、クロムめっき鋼板(TFS)を製造した。クロムめ
っきは、CrO3、F-、SO4 2-を含むクロムめっき浴
でクロムめっき、中間リンス後、CrO3、F-を含む化
成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電
気量等)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物
付着量を、それぞれ120mg/m2、15mg/m2に
調整した。
置を用い、前記で得たクロムめっき鋼板1を金属帯加熱
装置2で加熱し、ラミネートロール3で前記クロムめっ
き鋼帯1の一方の面に、容器成形後に容器内面側になる
樹脂フィルム4a、他方の面に、容器成形後に容器外面
側となる樹脂フィルム4bをラミネート(熱融着)し、
ラミネート金属帯を製造した。ラミネートロール3は内
部水冷式とし、ラミネート中に冷却水を強制循環し、フ
ィルム接着中の冷却を行った。ラミネートした樹脂フィ
ルムの内容を表1に記載する。なお、樹脂フィルムをク
ロムめっき鋼板にラミネートする際に、該クロムめっき
鋼板に接する界面のフィルム温度が、フィルムの融点以
上になる時間を1〜20msecの範囲内にした。
ついては、以下の方法にて測定した。また、以上の方法
で製造したラミネート金属板に対し、以下の方法で、
複屈折率、成形性、密着性、耐衝撃性、耐食性
を評価した。
JNM−GX270、日本電子製固体アンプ、MASコ
ントローラNM−GSH27MU、日本電子製プローブ
NM−GSH27Tを用いた。測定は、13C核のT1ρ
(回転座標における縦緩和)測定を実施した。測定は、
温度24.5℃、湿度50%RH、静磁場強度6.34
T(テスラ)下で、1H、13Cの共鳴周波数はそれぞれ
270.2MHz、67.9MHzである。ケミカルシ
フトの異方性の影響を消すためにMAS(マジック角度
回転)法を採用した。回転数は、3.5〜3.7kHz
で行った。パルス系列の条件は、1Hに対して90°、
パルス幅4μsec、ロッキング磁場強度62.5kH
zとした。1Hの分極を13Cに移すCP(クロスポーラ
リゼーション)の接触時間は1.5msecである。ま
た保持時間τとしては、0.001、0.5、0.7、
1、3、7、10、20、30、40、50msecを
用いた。保持時間τ後の13C磁化ベクトルの自由誘導
減衰(FID)を測定した(FID測定中1Hによる双
極子相互作用の影響を除去するために高出力カップリン
グを行った。なお、S/Nを向上させるため、512回
の積算を行った)。また、パルス繰り返し時間として
は、5〜15secの間で行った。
ができ、各保持時間に対して観測されたピーク強度を片
対数プロットすることにより、その傾きからもとめるこ
とができる。 I(t)=Σ(Ai)exp(−t/T1ρi) 但し、Ai:T1ρiに対する成分の割合である。ここ
では2成分系(T1ρ1:非晶成分、T1ρ2:結晶成
分)で解析し、下記の式を用い最小2乗法フィッティン
グによりその値を求めた。
いて、偏光顕微鏡を用いてフィルムの断面方向のレタデ
ーションを測定し、断面方向の複屈折率を求めた。
円板を打ち抜き、絞り比1.60で浅絞り缶を得た。次
いで、この絞りカップに対し、絞り比2.10及び2.
80で再絞り加工を行った。このようにして得た深絞り
缶のフィルムの損傷程度を目視観察した。 (評点について) ◎:成形後フィルムに損傷なく、白化も認められない。 ○:成形可能であるが、フィルム白化が認められる。 ×:缶が破胴し、成形不可能。
試験用のサンプル(幅15mm×長さ120mm)を切
り出した。切り出したサンプルの缶内面側の長辺側端部
からフィルムを一部剥離し、引張試験機で剥離した部分
のフィルムを、フィルムが剥離されたクロムめっき鋼板
とは反対方向(角度:180°)に開き、引張速度30
mm/minでピール試験を行い、密着力を評価した。
なお、密着力測定対象面は、缶内面側とした。 (評点について) ◎:0.15kg/15mm以上。 ○:0.10kg/15mm以上、0.15kg/15
mm未満。 ×:0.10kg/15mm未満。
体を5℃以下に調整した水中に一時間以上保持する。そ
の後、取り出した缶に対して、缶底部から90〜100
mmの位置に1kgの鉄球を落下させ衝撃を与える。缶
を切り開いた後、衝撃を与えた部位(缶内面側)に対し
て、電極との間に6Vの電圧を印加させ、5秒後の電流
値を読み取り、10缶測定後の平均値を求めた。 (評点について) ◎:0.01mA未満。 ○:0.01mA以上、0.1mA未満。 ×:0.1mA以上。
し、常温で水を満注して蓋を巻き締めた。続いて、12
5℃×30分の条件でレトルト殺菌処理を行い、処理後
40℃で一週間及び一ヶ月経時を行った。経時終了後、
缶蓋を除去し、水を捨て、缶内面側の腐食状況を目視観
察した。 (評点について) ○:赤錆発生あり。 ×:赤錆発生なし。
の鋼板は、いずれも成形性、密着性、耐衝撃性、耐食性
に優れている。
値が0.02以下である領域が金属板と接触界面から厚
さが5μm未満のものは、成形性がより優れている。
非晶性ポリマー樹脂を使用したものは耐衝撃性がより優
れている。
外れる比較例は、成形性、密着性、耐衝撃性、耐食性の
うちの少なくとも一つが不良であった。
性、密着性、耐衝撃性及び耐食性が良好である。本発明
に係るラミネート金属板は、絞り加工等を行う容器用素
材、特にDTR加工などの高度な加工が施される飲料缶
用素材として好適である。
Claims (3)
- 【請求項1】 固体高分解能NMRによる構造解析にお
ける1,4配位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが1
50msec以上であるポリエステルを主成分とする二
軸延伸ポリエステル樹脂フィルムであって、その厚さが
10μm以上30μm以下の樹脂フィルムを上層に有
し、その下層にエステル反復単位の75%以上95%以
下がエチレンテレフタレート単位である厚さ2μm以上
5μm未満のポリエステル樹脂フィルムを有する、二層
からなるポリエステル樹脂フィルムを金属板表面にラミ
ネートしたことを特徴とする容器用フィルムラミネート
金属板。 - 【請求項2】 ラミネート後の二層からなるポリエステ
ル樹脂フィルムの複屈折率が0.02以下である領域
が、金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5μm
未満であることを特徴とする請求項1に記載の容器用フ
ィルムラミネート金属板。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、下層に、請求
項1に記載のエステル反復単位の75%以上95%以下
がエチレンテレフタレート単位である厚さ2μm以上5
μm未満のポリエステル樹脂フィルムに代えて、厚さ2
μm以上5μm未満の非晶性ポリマー樹脂フィルムを有
することを特徴とする容器用フィルムラミネート金属
板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002027607A JP2003225967A (ja) | 2002-02-05 | 2002-02-05 | 容器用フィルムラミネート金属板 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002027607A JP2003225967A (ja) | 2002-02-05 | 2002-02-05 | 容器用フィルムラミネート金属板 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2003225967A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010194913A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Jfe Steel Corp | 容器用樹脂被覆金属板 |
-
2002
- 2002-02-05 JP JP2002027607A patent/JP2003225967A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010194913A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Jfe Steel Corp | 容器用樹脂被覆金属板 |
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