JP2003225898A - 多層基板型マイクロ構造物の製造方法及びマイクロポンプ - Google Patents

多層基板型マイクロ構造物の製造方法及びマイクロポンプ

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JP2003225898A
JP2003225898A JP2002029276A JP2002029276A JP2003225898A JP 2003225898 A JP2003225898 A JP 2003225898A JP 2002029276 A JP2002029276 A JP 2002029276A JP 2002029276 A JP2002029276 A JP 2002029276A JP 2003225898 A JP2003225898 A JP 2003225898A
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Satoru Yamashita
悟 山下
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基板の元厚より肉薄の可動部を形成でき加工時
間が短い多層基板型マイクロ構造物の製造方法と単純な
構造の安価なマイクロポンプを提供する。 【解決手段】陽極接合技術が最も有効に活用できるシリ
コン基板及びガラス基板の両方に表面保護層を用いて露
出部分を切削する選択的サンドブラスト加工を適用して
溝や凹みを形成し、逆止弁やダイアフラム等の可動部や
溝、貫通孔等を形成する。サンドブラスト加工で形成し
たダイアフラムに圧電素子を貼り付けたユニモルフ構造
のアクチュエータは3000万回の駆動でも異常を発生しな
い。この加工方法はシリコン基板及びガラス基板の両方
に適用可能であるから、多層基板型マイクロ構造物の設
計の自由度が大きくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シリコン基板及
びガラス基板が積層接合されて構成される多層基板型マ
イクロ構造物の構成及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微少量の液体の搬送を制御するマイクロ
ポンプ等のマイクロ構造物には、各種材料を用いた各種
構造の各種機能のものがある。これらのマイクロ構造物
の中でも、それぞれに必要な加工を施された複数の基板
が積層されて構成される多層基板型マイクロ構造物はそ
の主流であり、インクジェット記録ヘッドやマイクロポ
ンプ等のアクチュエータ及び各種センサに広く応用され
ている。特に、IC技術を活用してシリコン基板の優れ
た加工性と物性とを生かした、シリコン基板とガラス基
板との積層構造による多層基板型マイクロ構造物(以下
では、シリコン・ガラス積層型マイクロ構造物という)
が、最も多く報告されている。シリコン基板とガラス基
板との組み合わせは、両者の接合に特別な接合層を準備
することなく両基板を陽極接合技術で直接接合できると
いう大きな利点をもっている。
【0003】従来のシリコン・ガラス積層型マイクロ構
造物においては、エッチング液を用いるウェットエッチ
ング技術やプラズマエッチング等のドライエッチング技
術による選択的エッチングによって、シリコン基板に、
ダイアフラムや片持ち梁等の可動部となる肉薄部及び液
体の流路となる溝、貫通穴等が形成され、ガラス基板に
は、例えば液体の流路となる貫通穴のような簡単な加工
が施されるだけである。ガラス基板がアクチュエータと
して利用される場合には、ガラス基板は元の厚さのまま
で、例えば周辺部を別の部材で保持してダイアフラムと
するというような構造で、使用されている。
【0004】また、シリコン基板及びガラス基板の加工
技術として、量産性に優れたサンドブラスト技術を採用
した事例は幾つか報告されているが、これらは、貫通穴
(特開2000−326516号公報)や溝の形成(特開2001−43
793 号公報)、あるいは表面の粗面化(特開平11−6813
1 号公報)に用いられたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の説明から明らか
なように、従来のシリコン・ガラス積層型マイクロ構造
物の製造方法においては、シリコン基板にフォトリソグ
ラフィによって保護膜を形成し、ウェットエッチング技
術またはドライエッチング技術によって選択的にシリコ
ンをエッチングして所望の形状を得ている。しかし、形
状及び寸法の制御性に優れたプラズマエッチングのよう
なドライエッチング技術では、必要な設備投資が高額と
なり、且つ、長い加工時間と多くの製造工数を必要と
し、その結果として、低コスト化が難しいという難点を
もっている。また、ウェットエッチング技術は、ドライ
エッチング技術ほどの形状及び寸法の制御性が得難く、
加工時間も長くて多くの製造工数を必要とする。また、
ガラス基板をシリコン基板と同様に加工することは困難
であり、ガラス基板をアクチュエータとして使用する場
合には、前述したように、元の厚さのままで使用して、
シリコン基板側にそれに対応する加工を施しているの
で、シリコン・ガラス積層型マイクロ構造物の設計の自
由度が少なく、シリコン基板の加工が複雑になってい
る。
【0006】この発明の課題は、シリコン・ガラス積層
型マイクロ構造物を構成するシリコン基板及びガラス基
板のいずれにも適応可能で、プラズマエッチングによる
シリコン基板の加工精度と同等の加工を施すことがで
き、基板の元の厚さより肉薄の可動部の形成が可能で、
その加工時間が短く、且つ製造工数が少ない多層基板型
マイクロ構造物の製造方法を提供することであり、この
製造方法によってはじめて製造可能となる単純な構造の
安価なマイクロポンプを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明による多層基板
型マイクロ構造物の製造方法は、“この発明の発明者
が、ガラス基板にサンドブラスト加工によって肉薄のダ
イアフラムを形成し、そのダイアフラムに圧電素子を貼
りつけてユニモルフ構造のアクチュエータを構成し、そ
の耐久性を試験したところ十分な耐久性をもっているこ
とを確認した”こと、に基づいている。これまでにサン
ドブラスト加工が適用されてきたのは、溝の加工や貫通
孔の加工であって、変形を伴う可動部には適用されてい
ない。微細な砥粒を噴き付けて機械的に切削するサンド
ブラスト加工では可動部の信頼性が得られないと考えら
れていたからであろう。しかし、シリコン・ガラス積層
型マイクロ構造物の基板状態での加工技術としてサンド
ブラスト加工を採用しても必要な信頼性を確保できるこ
とが確認され、この発明に至ったのである。
【0008】請求項1の発明は、シリコン基板及びガラ
ス基板が陽極接合技術によって接合されて構成され、且
つ前記基板の元の厚さより肉薄に加工された肉薄可動部
を備えた多層基板型マイクロ構造物の製造方法であっ
て、少なくともガラス基板に肉薄可動部を形成する製造
工程として、基板の非加工部の表面に保護膜を形成する
保護膜形成工程と、保護膜を形成された基板の露出部に
砥粒を噴き付けて基板を切削し、所定の溝や凹みや貫通
穴を形成する選択的サンドブラスト工程とを有する。
【0009】多層基板型マイクロ構造物のシリコン基板
及びガラス基板の加工に選択的サンドブラスト加工を採
用することによって、シリコン基板だけではなく、ガラ
ス基板にも溝加工や凹み加工、貫通孔加工等の各種の加
工が可能となる。請求項2の発明は、請求項1の発明に
おいて、陽極接合工程において接触するが接合させたく
ない部分の両方の表面またはいずれかの表面を除く基板
の表面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、保護膜が
形成されていない露出部に砥粒を噴き付けてその表面を
粗面に加工する粗面処理工程と、を有する。
【0010】短時間のサンドブラスト加工によって、ガ
ラス基板及びシリコン基板の表面を、陽極接合時に接触
するが接合しない粗面状態とできることは公知である。
しかし、陽極接合工程において接触するが接合させたく
ない部分のいずれか一方は、大部分の場合において可動
部であり、可動部の表面処理方法として、サンドブラス
ト加工が使用されることはなかった。この発明において
は、前述したように、サンドブラスト加工を施しても可
動部の信頼性が確保できることが確認されたので、陽極
接合工程において接触するが接合させたくない部分の表
面を粗面状態とする方法として、保護膜を用いた短時間
の選択的サンドブラスト加工が採用できる。
【0011】請求項3の発明は、シリコン基板とこの両
側に陽極接合で接合された2つのガラス基板とで構成さ
れ、液体の吸入時に開く吸入側逆止弁と液体の排出時に
開く排出側逆止弁と液体を吸入・排出するアクチュエー
タ部とを備えたマイクロポンプであって、シリコン基板
には、吸入側逆止弁とアクチュエータ部への流路と排出
側逆止弁への流路とが形成され、一方のガラス基板に
は、吸入側逆止弁に連通する吸入側流路と排出側逆止弁
への流路に連通する排出側逆止弁と排出側流路とが形成
され、他方のガラス基板には、アクチュエータ部への流
路を介して吸入側逆止弁に連通し、且つ排出側逆止弁へ
の流路を介して排出側逆止弁に連通するアクチュエータ
部が形成され、吸入側逆止弁のガラス基板に接触する面
とこれに接触するガラス基板の部分との内の少なくとも
いずれか一方、及び排出側逆止弁のシリコン基板に接触
する面とこれに接触するシリコン基板の部分との内の少
なくともいずれか一方には、それぞれに粗面処理が施さ
れている。
【0012】この発明によるマイクロポンプは、請求項
2の発明によって実現可能になった構造をもち、シリコ
ン基板及び一方のガラス基板はそれぞれに逆止弁及び流
路を備えた全く同じ形状に加工されればよく、他方のガ
ラス基板にアクチュエータ部が形成されている。一方の
ガラス基板の逆止弁と他方のガラス基板のアクチュエー
タ部とは共に変形を伴う肉薄部であって、従来のウェト
エッチングまたはドライエッチングによれば実現困難な
形状である。更に、逆止弁が相手側の基板に接触する部
分には、少なくともそのいずれかに粗面処理が施されて
いるので、陽極接合時にこの部分が接合されることはな
い。このような単純な形状の3つの基板をシリコン基板
の両側にガラス基板を配して陽極接合することによっ
て、この発明によるマイクロポンプが製造できる。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明による多層基板型マイク
ロ構造物の製造方法は、「課題を解決するための手段」
の項で説明したように、シリコン・ガラス積層型マイク
ロ構造物の基板状態での加工技術としてサンドブラスト
加工を採用しても必要な信頼性を確保できることが確認
されたことに基づいており、この発明によるマイクロポ
ンプは、サンドブラスト加工をシリコン基板及びガラス
基板に適用して、1つのシリコン基板及び1つのガラス
基板のそれぞれに逆止弁及び流路を同じ形状で作り込
み、もう一つのガラス基板に肉薄のダイアフラムを形成
して圧電素子とのユニモルフ構造のアクチュエータとし
た、個々の基板の構造が単純なマイクロポンプであり、
その製造工程は単純で短く、製造に必要な設備費も安
い。
【0014】以下に、この構造のマイクロポンプの実施
例を用いて、この発明の実施の形態を説明する。 〔マイクロポンプの第1の実施例〕図1は、このマイク
ロポンプの製造方法を示す製造工程図であり、図2は、
この発明によるマイクロポンプの第1の実施例の構造を
示す断面図であり、図3は、このマイクロポンプの動作
状態を示し、(a)は吸入時の断面図、(b)は排出時
の断面図であり、図4は、このマイクロポンプ用の逆止
弁等を有する基板(図4では排出弁基板1)の製造工程
を示し、(a)は非接合面形成工程を示す断面図、
(b)は貫通部穴加工工程を示す断面図、(c)は流路
及び逆止弁の形成工程を示す断面図、(d)は仕上げ工
程を示す断面図であり、図5は、このマイクロポンプ用
のアクチュエータ用ダイアフラムを有する基板(図5で
は圧力室基板3)の製造工程を示し、(a)は圧力室部
形成工程を示す断面図、(b)は仕上げ工程を示す断面
図である。
【0015】まず、図2によって、このマイクロポンプ
の構造を説明する。このマイクロポンプは、シリコンか
らなる吸入弁基板2の両側にガラスからなる排出弁基板
1及び圧力室基板3が接合されて構成されている。吸入
弁基板2は、片持ち梁式の吸入側逆止弁21と、この吸入
側逆止弁21の駆動空間及び圧力室5への液体流路を兼ね
る圧力室への流路23と、排出側逆止弁11に連通する貫通
孔からなる排出側逆止弁への流路22と、を備えている。
排出弁基板1は、吸入弁基板2と全く同じ形状に加工さ
れており、片持ち梁式の排出側逆止弁11と、この排出側
逆止弁11の駆動空間及び外部への液体流路を兼ねる排出
側流路13と、吸入側逆止弁21に連通する貫通孔からなる
吸入側流路12とを備えている。圧力室基板3は、圧力室
への流路23及び排出側逆止弁への流路22に連通する圧力
室5となる凹部と肉薄のダイアフラム32とを備えてい
る。ダイアフラム32上には、圧電素子4が貼付されて、
ダイアフラム32及び圧電素子4がユニモルフ構造のアク
チュエータを構成している。
【0016】ここで、図3によって、このマイクロポン
プの動作を説明する。圧電素子4に電圧を印加して圧電
素子4を面方向に伸長させ、ユニモルフ構造のダイアフ
ラム32を図3(a)に極太線矢印で示したように下方に
変位させると、圧力室5の体積が増加してその内圧が低
下し、低下した内圧が、吸入側逆止弁21を吸入側流路12
側から押させて圧力室への流路23側へ細線矢印で示した
ように変位させ、液体を吸入側流路12から圧力室5へ太
線矢印で示したように流入させる。この際には、排出側
逆止弁11は、排出側流路13側から吸入弁基板2に押し付
けられるので、閉じたままの状態を保つ。
【0017】ここで、圧電素子4への印加電圧を零に戻
すと、ユニモルフ構造のダイアフラム32が図3(b)に
極太線矢印で示したように元に戻ろうとするため、圧力
室5の内圧が上昇し、上昇した内圧が、吸入側逆止弁21
を排出弁基板1に押し付けて閉じ、同時に排出側逆止弁
11を細線矢印で示したように変位させて、液体を排出側
逆止弁からの流路22及び排出側流路13を通して外部に排
出する。
【0018】圧電素子4への印加電圧の極性が逆の場合
には、ユニモルフの変形が逆方向になり、電圧印加で圧
力室5が加圧されて液体を排出し、印加電圧が零になっ
た時に圧力室が減圧されて液体を吸入する。このマイク
ロポンプの実施例は、1つのシリコン基板と2つのガラ
ス基板とで構成されているが、シリコン基板(吸入弁基
板2)及び一方のガラス基板(排出弁基板1)は、1つ
の逆止弁と1つの貫通孔とを備えた全く同じ形状に加工
されており、他方のガラス基板(圧力室基板3)が液体
の圧力を増減するアクチュエータ部の役割をしている。
それぞれの基板には、肉薄な可動部、すなわち逆止弁ま
たはダイアフラムが形成されている。
【0019】次に、図1、図4及び図5によって、上記
マイクロポンプの第1の実施例の製造方法を説明する。
この製造工程は、排出弁基板1の製造工程と吸入弁基板
2の製造工程と圧力室基板3の製造工程とこれら3つの
基板の接合工程とダイアフラム上への圧電素子の接着工
程とで構成されている。
【0020】なお、ガラス基板から製作される排出弁基
板1とシリコン基板から製作される吸入弁基板2とは、
全く同じ製造工程で製作されるので、排出弁基板1の製
造方法だけを説明し、吸入弁基板2の製造工程の説明は
省略する。最初に、排出弁基板1の製造工程を説明す
る。この製造工程は、大きく分けると、陽極接合時に排
出側逆止弁11が吸入弁基板2に接合されないように吸入
弁基板2との接触部の表面を粗面に加工する非接触面形
成工程と、上下貫通する部分に片側から所定深さの穴を
形成する貫通部穴加工工程と、吸入側流路12となる貫通
孔及び排出側逆止弁11を形成するために反対面から切削
する流路・逆止弁形成工程と、不要な部材を除去して洗
浄する仕上げ工程と、からなり、仕上げ工程を除く前3
つの工程は、それぞれに、所定部のみを切削するために
表面に保護膜を形成するための工程と、保護膜のない露
出部を選択的に切削するサンドブラスト工程と、保護膜
除去工程と、からなる。
【0021】非接触面形成工程においては、素材である
ガラス基板10の片側の表面に、後工程の陽極接合時に排
出側逆止弁11が吸入弁基板2に接触する部分、すなわち
非接合部14のみを露出させて保護膜(図4及び図5では
保護膜を保護マスクと記し、実施例における以下の説明
も保護マスクという)6が形成され、サンドブラスト加
工で非接合部14の表面が粗面に処理される。この際のサ
ンドブラスト加工は、陽極接合時に接合させないことが
目的であるから、厚さが変わらない程度の微弱な加工で
よい。
【0022】貫通部穴加工工程においては、片持ち梁式
の搬出側逆止弁11の保持されない三方の貫通部及び吸入
側流路12の形成される部分の表面のみを露出させて保護
マスク6aが形成され、サンドブラスト加工で排出側逆止
弁穴111 及び吸入側流路穴I121 が形成される。これら
の穴の深さは、次工程のサンドブラスト加工で搬出側逆
止弁11及び吸入側流路12が所定の形状を確保できるよう
に決められる。
【0023】流路・逆止弁形成工程においては、ガラス
基板10が裏返されて、前工程で加工された面の反対側の
面が加工される。排出側流路13の形成される部分及び吸
入側流路12の形成される部分の表面のみを露出させて保
護マスク6bが形成され、サンドブラスト加工で排出側流
路穴131 及び吸入側流路穴II122 が形成される。排出
側流路穴131 は、排出側逆止弁穴111 と連通して、排出
側逆止弁11と排出側逆止弁11の駆動空間及び外部への液
体流路を兼ねる排出側流路13とを形成し、吸入側流路穴
II122 は、吸入側流路穴I121 と連通して貫通穴とな
って、吸入側流路12を形成する。
【0024】このようにして排出側逆止弁11と排出側流
路13と吸入側流路12とを形成されたガラス基板10が保護
マスク6bを除去され、仕上げ工程で洗浄されて排出弁基
板1となる。吸入弁基板2は、上記と全く同じ工程をシ
リコン基板に適用することによって得られる。
【0025】圧力室基板3は、圧力室5に相当する圧力
室用凹部31を形成するための保護マスク6cの形成工程及
び圧力室用凹部31を形成すると同時にダイアフラム32を
形成するサンドブラスト工程からなる圧力室部形成工程
と、仕上げ工程と、によって製造される。このようにし
て製造された排出弁基板1と吸入弁基板2と圧力室基板
3とが、図2のように位置決めされて陽極接合で一体化
された後、ダイアフラム32の表面に圧電素子4を接着さ
れて、マイクロポンプとなる。
【0026】上記の選択的サンドブラストの加工条件の
一例を示すと下記の通りである。 保護マスク材 : 厚さ50μm のドライフィルム パターン形成 : フォトプロセス 噴射研磨材 : 800メッシュの炭化珪素 研磨材噴射圧 : 0.25MPa なお、この加工に使用できる研磨材の粒径は 600メッシ
ュ以下であるが、粒径が細かくなるほど加工速度が低下
するので、 800メッシュが最適である。また、保護マス
ク材としての厚さ50μm のドライフィルムは、シリコン
及びガラスに深さ200 μm の凹みや溝を形成するサンド
ブラスト加工に十分な耐性をもっている。ドライフィル
ムの表面にめり込んだ研磨材がドライフィルムの消耗を
防止するからである。
【0027】上記加工条件で得られた加工精度は、平均
深さ46μm に対してばらつきの幅(最大値−最小値)が
4μm 、平均幅46μm に対してばらつきの幅が3μm で
あった。このようにして製作したマイクロポンプの圧電
素子5にパルス電圧を印加してマイクロポンプを駆動
し、その耐久性を試験した結果、3000万回の駆動におい
ても何らの異常も発生せず、選択的サンドブラスト加工
によってガラス基板及びシリコン基板に作り込んだ逆止
弁及びダイアフラムが十分に実用に耐えることを確認す
ることができた。
【0028】シリコン基板だけではなくガラス基板にも
サンドブラストによって肉薄の可動部の形成を含めた溝
加工や凹み加工を実施できることは、多層基板型マイク
ロ構造物の設計の自由度を大きくするので、この実施例
の各基板の形状からも明らかなように、各基板の構造を
単純化することができて加工を容易にし、更に、従来技
術では実現困難であった構造を実現可能にする。また、
肉薄のダイアフラム等が形成できるので、アクチュエー
タの小型化も可能となり、多層基板型マイクロ構造物を
より小型化することができる。
【0029】〔マイクロポンプの第2の実施例〕この実
施例は、第1の実施例における片持ち梁式逆止弁をダイ
アフラム式逆止弁に置き換えたものであり、図6は、こ
の実施例の構造を示し、(a)は断面図、(b)は平面
図である。ダイアフラム式逆止弁からなる吸入側逆止弁
21a 及び排出側逆止弁11a は、それぞれリング状のダイ
アフラム213 及び113 と、中央の肉厚部214 及び114
と、肉厚部214 及び114 の中央に開けられた貫通孔215
及び115 で構成されており、肉厚部214 及び114 が、相
手側の基板に接触して保持される構造である。
【0030】また、吸入側流路12a 及び排出側逆止弁へ
の流路22a は、対応するダイアフラム213 または113 の
有効受圧面積をできるだけ広くするために、図6(b)
に示すような形状に形成されている。図における点線
は、吸入弁基板2aのダイアフラムの外周部を示してい
る。圧電素子4に電圧を印加した際の吸入側逆止弁21a
及び排出側逆止弁11a の動作は、第1の実施例の場合と
同様である。圧力室5の圧力が減圧された場合には、吸
入側逆止弁21a が開き、圧力室5の圧力が加圧された場
合には、排出側逆止弁11a が開く。更に詳しく説明する
と、圧力室5の圧力が減圧された場合には、外部と圧力
室5内との圧力差が、ダイアフラム213 及び113 に下方
への力として働き、ダイアフラム213 を下方に変位させ
て肉圧部214 を下方に変位させ、貫通孔215 を通して吸
入側流路12と圧力室5とを連通状態とし、液体を圧力室
5内へ移動させる。この際には、ダイアフラム113 に働
いた力は肉圧部114 を吸入弁基板2aに押しつけるだけで
あるから、排出側逆止弁11a は開かない。圧力室5の圧
力が加圧された場合には、吸入側逆止弁21a と排出側逆
止弁11a とが逆になるだけで同様に動作する。
【0031】この実施例の各基板の加工は、第1の実施
例と全く同様に実施できる。図4の貫通孔加工工程で、
貫通孔115 または215 と吸入流路12または排出側逆止弁
への流路22とに相当する部分を加工し、流路・逆止弁形
成工程で、ダイアフラムを形成するためのリング溝と吸
入流路12または排出側逆止弁への流路22とを形成すれば
よい。
【0032】以上の実施例においては、ガラス基板及び
シリコン基板の両方にサンドブラスト加工を適用してい
るが、シリコン基板の加工には、従来技術であるプラズ
マエッチング加工等のドライエッチング加工やウェット
エンチング加工を適用することも有効である。両方の加
工を組み合わせてそれぞれの特徴を生かせば、シリコン
・ガラス積層型マイクロ構造物の応用範囲が更に広がる
ことを期待できる。
【0033】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、シリコン・ガ
ラス積層型マイクロ構造物のシリコン基板及びガラス基
板の加工に選択的サンドブラスト加工を採用するので、
シリコン基板だけではなく、ガラス基板にも溝加工や凹
み加工や貫通孔加工等の各種の加工が可能となる。しか
も、この発明者の取得したデータによれば、選択的サン
ドブラスト加工によってもプラズマエッチング並の加工
精度を得ることができる。したがって、この発明によれ
ば、シリコン基板及びガラス基板のいずれにも適応可能
で、プラズマエッチングによるシリコン基板の加工精度
と同等の加工を施すことができ、基板の元の厚さより肉
薄の可動部の形成が可能で、その加工時間が短く、且つ
製造工数が少ない多層基板型マイクロ構造物の製造方法
を提供することができる。
【0034】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
と同様の保護膜を用いた短時間の選択的サンドブラスト
加工によって、陽極接合時に接触するが接合しない粗面
状態の表面を確保することができるので、粗面処理工程
のために別の設備を準備する必要がなく、その加工時間
も短い。請求項3の発明によるマイクロポンプは、請求
項2の発明によって実現可能になった構造をもち、シリ
コン基板及び一方のガラス基板はそれぞれに逆止弁及び
流路を備えた全く同じ形状に加工されればよく、他方の
ガラス基板にアクチュエータ部が形成されている。一方
のガラス基板の逆止弁と他方のガラス基板のアクチュエ
ータ部とは共に変形を伴う肉薄部であって、従来のウェ
トエッチングまたはドライエッチングによれば実現困難
な形状である。更に、逆止弁が相手側の基板に接触する
部分には、少なくともそのいずれかに粗面処理が施され
ているので、陽極接合時にこの部分が接合されることは
ない。このような単純な形状の3つの基板をシリコン基
板の両側にガラス基板を配して陽極接合することによっ
て、この発明によるマイクロポンプが製造できる。した
がって、この発明によれば、単純な構造の安価なマイク
ロポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による多層基板型マイクロ構造物の製
造方法の実施例を示す製造工程図
【図2】この発明によるマイクロポンプの第1の実施例
の構造を示す断面図
【図3】マイクロポンプの第1の実施例の動作状態を示
し、(a)は吸入時の断面図、(b)は排出時の断面図
【図4】マイクロポンプの第1の実施例の排出弁基板の
製造工程を示し、(a)は非接合面形成工程を示す断面
図、(b)は貫通部穴加工工程を示す断面図、(c)は
流路及び逆止弁の形成工程を示す断面図、(d)は仕上
げ工程を示す断面図
【図5】マイクロポンプの第1の実施例の圧力室基板の
製造工程を示し、(a)は圧力室形成工程を示す断面
図、(b)は仕上げ工程を示す断面図
【図6】マイクロポンプの第2の実施例の構造を示し、
(a)は断面図、(b)は平面図
【符号の説明】
1, 1a 排出弁基板 10 ガラス基板 11, 11a 排出側逆止弁 111 排出側逆止弁穴 112 リング溝 113 ダイアフラム 114 肉厚部 115 貫通孔 12, 12a 吸入側流路 121 吸入側流路穴I 122 吸入側流路穴II 13 排出側流路 131 排出側流路穴 14 非接合面 2, 2a 吸入弁基板 21, 21a 吸入側逆止弁 213 ダイアフラム 214 肉厚部 215 貫通孔 22, 22a 排出側逆止弁への流路 23 圧力室への流路 3 圧力室基板 30 ガラス基板 31 圧力室用凹部 32 ダイアフラム 4 圧電素子 5 圧力室 6, 6a, 6b,6c 保護マスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04B 43/04 F04B 43/04 B 53/10 H01L 41/22 Z H01L 41/09 41/08 U 41/22 F04B 21/02 B Fターム(参考) 3H071 AA01 BB03 CC31 DD03 DD04 DD12 DD13 3H075 AA01 BB04 BB21 CC06 CC30 CC32 CC36 DA05 DA09 DB02 3H077 AA01 BB00 CC02 CC07 DD06 EE16 EE34 FF07 FF08 FF12 FF36

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン基板及びガラス基板が陽極接合技
    術によって接合されて構成され、且つ前記基板の元の厚
    さより肉薄に加工された肉薄可動部を備えた多層基板型
    マイクロ構造物の製造方法であって、 少なくともガラス基板に肉薄可動部を形成する製造工程
    として、 基板の非加工部の表面に保護膜を形成する保護膜形成工
    程と、 保護膜を形成された基板の露出部に砥粒を噴き付けて基
    板を切削し、所定の溝や凹みや貫通穴を形成する選択的
    サンドブラスト工程と、を有することを特徴とする多層
    基板型マイクロ構造物の製造方法。
  2. 【請求項2】陽極接合工程において接触するが接合させ
    たくない部分の両方の表面またはいずれかの表面を除く
    基板の表面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、 保護膜が形成されていない露出部に砥粒を噴き付けてそ
    の表面を粗面に加工する粗面処理工程と、を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の多層基板型マイクロ構造
    物の製造方法。
  3. 【請求項3】シリコン基板とこの両側に陽極接合で接合
    された2つのガラス基板とで構成され、液体の吸入時に
    開く吸入側逆止弁と液体の排出時に開く排出側逆止弁と
    液体を吸入・排出するアクチュエータ部とを備えたマイ
    クロポンプであって、 シリコン基板には、吸入側逆止弁とアクチュエータ部へ
    の流路と排出側逆止弁への流路とが形成され、 一方のガラス基板には、吸入側逆止弁に連通する吸入側
    流路と排出側逆止弁への流路に連通する排出側逆止弁と
    排出側流路とが形成され、 他方のガラス基板には、アクチュエータ部への流路を介
    して吸入側逆止弁に連通し、且つ排出側逆止弁への流路
    を介して排出側逆止弁に連通するアクチュエータ部が形
    成され、 吸入側逆止弁のガラス基板に接触する面とこれに接触す
    るガラス基板の部分との内の少なくともいずれか一方、
    及び排出側逆止弁のシリコン基板に接触する面とこれに
    接触するシリコン基板の部分との内の少なくともいずれ
    か一方には、それぞれに粗面処理が施されていることを
    特徴とするマイクロポンプ。
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