JP2008183768A - 液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高性能な圧電薄膜アクチュエータを有する液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】圧電薄膜アクチュエータ8を備えた流路基板15とノズルプレート16とがシリコン基板からなり、互いに接合されて液体吐出ヘッドを構成している。流路基板15とノズルプレート16のシリコン基板2,1同士はAu−Au接合されている。接合層12とシリコン基板2やシリコン基板1の間には、Auとシリコンとの拡散を防止する拡散防止層13a,13bとして熱酸化膜を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の流路基板を接合して構成された液体吐出ヘッド及びその製造方法に関し、特に産業用途に好適な圧電薄膜アクチュエータを用いた液体吐出ヘッド及びその製造方法に関する。
微少な液滴を噴射させる液体吐出ヘッドはプリンターなどの民生用のみならず、配線パターンの直描装置や液晶のカラーフィルタ製造などの産業用途への展開が行われつつある。
液体吐出ヘッドは様々なタイプが実用化されているが、産業用途に於いては液体に対する許容度の大きさから圧電素子を用いたタイプの開発が進んでいる。
例えば特許文献1において、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電薄膜を形成し、この圧電薄膜をリソグラフィー法により個別液室に対応する形状に分割して各個別液室毎に独立するようにアクチュエータを形成したヘッドが提案されている。これによれば、アクチュエータを振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィー法という精密で、かつ簡便な手法でアクチュエータを薄膜振動板上に作り付けることができるという利点がある。その上、振動板及びアクチュエータの厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点もある。
特許文献1に開示されるヘッドは、液滴を基板面と平行な方向に吐出させるように吐出口を形成する、所謂エッジシュータータイプである。しかし、高密度化などの観点からは振動板と圧電膜の積層方向に概略垂直な面から液滴吐出を行う、所謂サイドシュータータイプが好ましい。サイドシュータータイプの液体吐出ヘッドは一般的には、アクチュエータを備えた流路基板と、微細な吐出口を有するノズルプレートを接合して構成される。
流路基板とノズルプレートに金属材料を用いる場合、これらの接合手法としては接着剤を用いる手法や、Auなどを用いて固相で接合する方法がある。特に後者の固相接合法は接着剤の流路への流れ込みが無いという、液体吐出ヘッドの接合方法として優れた特徴を備えている。
固相接合の手法としては、清浄かつ平滑な表面を有するシリコン基板同士を1000℃程度の高温にて張り合わせる手法や、高真空中にて平滑な表面を有する基板を活性化し、張り合わせる手法などがある。特にAuを介して張り合わせるAu−Au接合は、特殊な設備や高温を必要とせず、接合面のゴミに対しても他の固相接合手法より許容度が高いため、工業用途として優れた手法である。Au−Au接合を用いて液体吐出ヘッドを形成した例は、特許文献1によって開示されている。
特開平5−286131号公報 特開2006−76180号公報
圧電体薄膜をリソグラフィー法によって加工することでアクチュエータが形成されているヘッドではリソグラフィー法という精密な加工法を用いている為、従来法と比較してアクチュエータを極めて高精度に作製する事が可能である。
この利点を最大限に生かすためには個別液室なども高精度に形成する事が要求される。個別液室などのアスペクト比の高い微細構造を高精度に形成する手法としてはMEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems)技術がある。MEMS技術を用いる基板材料としてはシリコン基板が一般的である。
特にノズルプレートは吐出口の形状が吐出性能に多大な影響を与えるために高精度に形成する必要があり、シリコン基板にMEMS技術を用いて形成したものが好適である。また、一般的に固相接合に於いては接合表面の平滑性が極めて重要であり、好ましくは1nm以下の表面粗さが要求される。この要求される接合表面の平滑性の点からもシリコン基板は好適な材料である。
しかしながら、シリコン基板に加工を施した部材(以下、シリコン部材と記す)をAu−Au接合を用いて接合し、圧電体駆動型液体吐出ヘッドを形成しようとした場合に以下のような問題点がある事を本発明者は見出した。
流路基板の作製において流路や圧電体を高精細に加工するためにはドライエッチングが用いられるが、圧電体の厚さが数μmと薄いため、ドライエッチング工程によるプロセスダメージを受けやすく、特性が劣化しやすい。従って、流路形成時などのプロセスダメージによる特性劣化を避けるために、圧電体はなるべくヘッド作製工程の最後に形成するのが好ましい。ところが、シリコン部材をAu−Au接合したヘッドに圧電体を形成すると、接合部に多数の未接合部(ボイド)が生じる事を見出した。このボイドは接合強度の低下を引き起こすのみならず、ボイドが個別液室などの流路にかかって存在していると、泡溜まりになりやすく、吐出が不安定になるなど、吐出特性に対しても不具合が生じる。
このボイドの発生について鋭意検討を行った結果、圧電体形成過程で行われる熱処理が原因である事がわかった。一般的には高性能な圧電体を得るためには700℃程度の熱処理が必要である。先に示した特許文献1では500℃で圧電体の焼成を行っているが、本発明者の検討によれば、Au−Au接合したヘッドでは500℃以上の熱処理を行うとボイドが多数発生する事が判明している。従って、Au−Au接合を用いたヘッドにおいては圧電体薄膜の形成をヘッド作製工程の最後に実施する事が出来なかった。そのため、Au−Au接合を用いたヘッドではプロセスダメージを受けて特性が劣化した圧電薄膜アクチュエータを使用せざるを得なかった。
また、流路材料としては前述したようにシリコン基板が好適ではあるが、シリコンはアルカリ性溶液に対する耐性が低く、高アルカリ性の液体が使用できないため、工業用途での展開が限定されていた。さらに、先に述べたように固相接合に於いては接合面の表面粗さがきわめて重要であり、好ましくは1nm以下の表面粗さが必要であるが、この条件を満たすヘッドの具体的な構成、作製法などを開示した例は本発明者が知る限り無い。
尚、構造体を接合する手法としてAuバンプを用いる、所謂バンプ接合という手法が知られている。しかしながら、バンプ接合に於いては一般的に超音波を印加するため、数μmという薄膜振動板を有するタイプの液体吐出ヘッドには不適である。さらに、バンプ接合の場合にはバンプ厚さが数μm以上であり、メッキ法を用いて形成されるため、表面粗さが数十nm以上あり、良好な固相接合が行える領域から大きくはずれている。さらに、バンプ接合の際には100MPa以上の高い圧力をかけてバンプを潰して接合しているが、このような高い圧力は薄膜振動板を有する液体吐出ヘッドの製法としては不適である。このような高い圧力を発生するために、一般的にはバンプの面積は非常に小さいものでなければならず、液体吐出ヘッドの流路をシールするような目的には不適である。以上の理由から同じAuを用いた接合でもバンプ接合は本発明とは全く次元が異なるものであり、比較して論じる事は不適である。
以上により本発明の目的は、シリコン部材の接合にAu−Au接合を用いた、高性能な圧電薄膜アクチュエータを有する液体吐出ヘッドを提供することである。また本発明の目的はシリコン基板を用いていても、使用出来る液体の限定が少ない、圧電体駆動型液体吐出ヘッドを提供することである。さらに本発明の別の目的は、シリコン部材の接合にAu−Au接合を用いた圧電体駆動型液体吐出ヘッドの製造方法を提供することである。また、本発明の別の目的は、精度の高い加工が可能なシリコン基板を用いていても、使用出来る液体の限定が少ない圧電体駆動型液体吐出ヘッドの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために本発明は、液体を吐出するノズルと、該ノズルに連通する流路と、前記液体を吐出するエネルギーを発生するエネルギー発生素子を有し、
Auを介して接合された第1のシリコン部材と第2のシリコン部材とが前記ノズルと前記流路とを構成する液体吐出ヘッドであって、
前記Auと前記各シリコン部材との間に、シリコンとAuの拡散を防止する拡散防止層を有することを特徴とする。
本発明によれば、シリコン部材の接合にAu−Au接合を用いた、高性能な圧電薄膜アクチュエータを有する液体吐出ヘッドを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態による液体吐出ヘッドの断面図である。
本実施形態の液体吐出ヘッドは、少なくとも流路基板15とノズルプレート16を接合したものである。流路基板15は、薄膜振動板4を挟んで配置された複数の個別液室(圧力室)9及び圧電薄膜アクチュエータ8を持つ。圧電薄膜アクチュエータ8は液体を吐出するエネルギーを発生するエネルギー発生素子であって、共通電極5、圧電体薄膜6、個別電極7から構成される。薄膜振動板4と共通電極5の間には絶縁膜4が配置されている。一方、ノズルプレート16は、各個別液室9に対して連通する複数の連通路10及びノズル(吐出口)11を有している。このような構成では、共通電極5と所定の個別電極7との間に電圧を印加して圧電体薄膜6を変形させ、薄膜振動板4を変形させることで、所定の個別電極7に対応配置された個別液室9内の貯留された液体を加圧してノズル11より液滴を吐出することが出来る。
さらに、流路基板15の個別液室9はシリコン基板2に形成され、ノズルプレート16の連通路10及びノズル11はシリコン基板1に形成されている。そして、各個別液室9とノズル11を連通路10で連通させるために、シリコン基板1及びシリコン基板2がAu−Au接合されている。
さらに、Au−Au接合層12と、流路基板15のシリコン基板2、またはノズルプレート16のシリコン基板1との間にそれぞれ、Auとシリコンとの拡散を防止する拡散防止層13a,13bが設けられている。本例の拡散防止層13a,13bはシリコン熱酸化膜(熱酸化シリコン膜とも言う。)としている。
本発明者は、シリコン基板どうしがAu−Au接合されているヘッドを熱処理した際に生じるボイドがAuとシリコンの熱による拡散で生じる事を見出した。そしてこの問題は、Auとシリコン基板との間に互いの拡散を防止する層を設ける事により、解決できる事を見出したためである。また、拡散防止層の材質としては、シリコンの熱酸化膜が拡散防止能も高く、また表面平滑性も良好であり、かつプロセス適合性などを考慮に入れると好ましい材料である事も見出した。
スパッタ法やCVD法などで成膜したシリコン酸化膜も検討したが、表面平滑性が、熱酸化によって形成したシリコン酸化膜に比較して十分でなく、かつ熱処理時のシリコンとAuの拡散防止能も熱酸化シリコン膜よりも劣っていた。しかしながら、CVD法やスパッタ法などによって成膜したシリコン酸化膜であっても、成膜条件の最適化や、成膜後に表面研磨などの平滑化を行う事で使用する事は可能である。この場合の表面研磨法としてはCMP法や、クラスタイオンビームを接合面の表面に垂直に近い角度で当てて平滑化を行う方法、イオンもしくはプラズマを接合面の表面に対して浅い角度で入射させる方法などを用いることが出来る。
尚、Auとシリコン熱酸化膜は密着性が悪いため、本例では、接合層12のAuと拡散防止層13a及び13bのシリコン熱酸化膜との間には、密着層としてチタン層(不図示)が設けられている。
以上のようにシリコン基板1,2と接合層12の間に拡散防止層13a,13bとしてシリコン熱酸化膜が設けられている事により、シリコン部材がAu−Au接合されている従来のヘッドと比較して耐熱性が向上している。
図2は本実施形態のヘッドに対し圧電体の焼成条件と同じ700℃の熱処理を行った後、超音波顕微鏡によって接合状況を評価した例である。超音波顕微鏡像の白部は空隙がある所であり、流路や未接合部は白部となるが、図2では流路以外に顕著な未接合部が見られない事がわかる。
一方、比較例として、図1に示した構造で拡散防止層が設けられていないヘッドを作製し、同様に700℃の熱処理を行った後に接合状況を評価した例を図3に示す。図2と比較して、流路以外の部分に未接合部分(ボイド)が多数発生している事が分かる。
次に、本例の液体吐出ヘッドの製造方法を説明する。本例では、液体吐出ヘッドを構成する流路基板15の個別液室部と、オリフィスプレート16とを別々に作製し、これらをAu−Au接合した後、個別液室部を持つ流路基板15に圧電薄膜アクチュエータ8を作製している。
初めに、流路基板15の個別液室部分の作製工程を述べる。図4は本実施形態の流路基板15の個別液室部分の作製工程を示す図である。
図4(A)に示すように、まず、主面に薄膜振動板3を備えたシリコン基板2を用意する。ここで、薄膜振動板3は厚さ5μmの単結晶シリコン、シリコン基板2は単結晶シリコンで厚さが200μmであるSOI(Silicon On Insulator)基板を用いている。単結晶シリコンである薄膜振動板3と単結晶シリコン基板2との間には1μm厚さのシリコン熱酸化膜(不図示)が設けられている。尚、用意するシリコン基板2は、接合される面(図では下側の面)の表面が十分に平滑(好ましくは表面粗さRaが1nm以下)のものを使用する。注意深く研磨されたシリコン基板面であれば通常は問題なく使用出来る。
次いで、図4(B)に示すように、シリコン基板2の接合を行なう面に拡散防止層13aを設ける。ここでは拡散防止層として1μm厚さの熱酸化シリコンを用いた。シリコン基板2を熱酸化して拡散防止層13aを設けている事より、拡散防止層13aの表面は平滑なシリコン基板2の表面の平滑性を反映しており、同等の平滑性を有している。この拡散防止層13aを設ける工程と同時に、薄膜振動板3の上に1μm厚さの熱酸化シリコンである絶縁膜4を設ける。ここではSOI基板を熱酸化して拡散防止層13a、絶縁膜4を形成しているが、基板両面に適当な厚さの熱酸化膜を備えるSOI基板を使用しても良い。次に、個別液室9をエッチングで形成するためのエッチングマスク14を、拡散防止膜13a上にパターニングする。ここではエッチングマスク14としてノボラック樹脂を主成分とするポジ型フォトレジストを用いた。
このエッチングマスク14を用いて図4(C)に示すように拡散防止層13aをエッチングする。エッチング手法としてはフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって行った。
さらに、図4(D)に示すように個別液室9を形成した。ここではシリコン基板2を200μmの深さに渡って基板に垂直にエッチングを行った。そのため、本実施例ではエッチング装置として高密度プラズマを発生可能な誘導性結合プラズマ(ICP)エッチング装置を用い、フッ素系ガスとフロロカーボン系ガスを用いてエッチングを行い、個別液室9を形成した。このとき、薄膜振動板3と単結晶シリコン基板2の間にある不図示の1μm厚の熱酸化膜をエッチングストップ層としてエッチングを行うことで、均一な深さの個別液室9及び均一な厚さの薄膜振動板3を形成している。
さらに、個別液室形成用のエッチングマスク14を除去し、図4(E)に示すように拡散防止層13aを露出させる。エッチングマスク14の除去法としては酸素プラズマやオゾンを用いるアッシングや、有機溶媒を用いて除去するウェット剥離、或いはこれらを併用しても良い。露出された拡散防止層13aの表面は先に述べたようにシリコン基板2の平滑な表面を反映して平滑であり、固相接合に好適な表面を有している。また、エッチングマスク14を除去して拡散防止層13aを露出させた後に、拡散防止層13aの表層をエッチングなどで除去する事も、ゴミやプロセスダメージの除去の点から好ましい。この場合、エッチングによって拡散防止層13aの表面の平滑性を損なう事の無いようにする事が重要である。フッ化水素酸を用いた軽いウェットエッチングなどを好適に用いる事が出来る。
その後、図4(F)に示すように、露出された拡散防止層13aの表面に接合層12としてチタン、Auをこの順にスパッタ法にて成膜する。Auの表面粗さは成膜した厚さに依存しているため、Auの膜厚は注意して選択する必要がある。
表1にAuの膜厚と表面粗さの関係を示す。いずれも1nm以下の表面粗さであるが、本発明者の検討によれば表面が平滑であれば接合に要する圧力が少なくて済むため、本実施形態においては、最も表面が平滑である厚さの100nmを選択した。また、接合層の形成法としてスパッタ法を用いたが、密着性、平滑性が良好であれば他の手法、例えば真空蒸着法なども可能である。
このようにして流路基板15の個別液室部分が完成する。
次に、ノズルプレート16の作製工程を述べる。図5(A)に示すように、厚さ200μmである単結晶シリコン基板1上に、拡散防止層13bとして厚さ1μmの熱酸化シリコン膜を形成する。そして、図5(B)に示すように、拡散防止層13b上にエッチングマスク17をパターニングし、拡散防止層13bとは反対側のシリコン基板面にエッチングマスク18をパターニングする。エッチングマスク17は個別液室9とノズル11との連通路10を形成するために、エッチングマスク18はノズル11を形成するために用意されている。本実施形態では、エッチングマスク17,18としてノボラック樹脂を主成分とするポジ型のフォトレジストを用いた。
さらに、図5(C)に示すように、エッチングマスク17を用いて拡散防止層13bの一部をエッチングする。エッチング手法としてはフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって行った。
さらに、図5(D)に示すように、エッチングマスク17、エッチングマスク18を用いてシリコン基板1に対し両面からエッチングを行い、個別液室9とノズル11との連通路10、およびノズル11を形成する。本実施形態においては連通路10の深さを150μmとし、ノズル11の深さを50μmとした。ここでは、個別液室9のエッチングと同様に、高密度プラズマを発生可能な誘導性結合プラズマ(ICP)エッチング装置を用い、フッ素系ガスとフロロカーボン系ガスを用いてエッチングを行った。
そして、シリコン基板1のエッチングを行った後にエッチングマスク17,18を除去し、図5(E)に示すように拡散防止層13bの表面を露出させる。
その後、図5(F)に示すように、露出させた拡散防止層13bの表面に接合層12としてチタン30nm、Au100nmをこの順にスパッタ法により成膜する。
こうして作製したノズルプレート16と流路基板15の個別液室部とを位置合わせし、真空中にて温度300℃、圧力2MPaの条件でAu−Au接合した。
最後に、流路基板15の圧電薄膜アクチュエータ8を作製した。この作製工程を以下に詳述する。図6は圧電薄膜アクチュエータ8の作製工程を説明する図である。但し、図6では簡略化のため、図1における薄膜振動板3より下の部分は省略してある。
これまで述べた工程で出来ている薄膜振動板3上の絶縁膜4の上に、図6(A)に示すように下電極5を形成した。これは、絶縁膜4上にチタン30nm、Pt300nmを順次スパッタ法にて成膜してなる。次いで、下電極5の表面にジルコン酸鉛(PZT)をスパッタ法にて3μmの厚さに成膜し、酸素雰囲気中で700℃の熱処理を行い、圧電体薄膜6を形成した。さらに、圧電体薄膜6の上にチタン30nm、Pt300nmの順にスパッタ法にて成膜して、上電極7を形成した。
さらに、図6(B)に示すように、上電極7上にエッチングマスク19をパターニングする。
そして、エッチングマスク19を用いて、上電極7を構成しているPt、チタンのドライエッチングを行う。これにより、図6(C)に示すように、個別液室に対応する位置に所定の形状の上電極7を形成する。
さらに、図6(D)に示すようにエッチングマスク19を除去する。それから、図6(E)に示すように、圧電体薄膜6(PZT)をパターニングするためのエッチングマスク20を、圧電体薄膜6上の各上電極7の周囲に形成する。
そして、このエッチングマスク20を用い、図6(F)に示すように圧電体薄膜6(PZT)のエッチングを行う。
最後に、エッチングマスク20を除去して、圧電薄膜アクチュエータ8が完成する(図6(G))。
以上説明したように作製された圧電体駆動型液体吐出ヘッドでは、流路基板15の個別液室部とノズルプレート16とを接合した後に圧電体薄膜形成の為に700℃の熱処理を行なっているが、接合部に劣化は見られず、安定した吐出特性が得られた。
なお、上記の実施形態では、流路基板15の個別液室9の部分を形成し、ノズルプレート16の連通路10やノズル11を形成した後、流路基板15の個別液室部とノズルプレート16の夫々に対して接合層12を形成した。しかし、個別液室部やノズル連通部などの形成工程は接合層12の形成後に実施してもよい。すなわち、各シリコン基板上に拡散防止層と接合層12を順に積層し、接合層12の上にシリコンエッチング用マスクを形成してから、個別液室部分やノズル連通部などの形成プロセスに進んでも良い。この場合には接合層12の表面が作製工程によってダメージを受けないように、シリコンエッチング用マスクの材質及び厚さ、除去方法に十分注意を払う必要がある。
(別の実施の形態)
図7は本発明の別の実施形態の液体吐出ヘッドの断面模式図である。この図では、前述した実施形態(図1)と同一の構成部位については同一符号を用いている。以下、前述の実施形態と異なる点を主に説明する。
本実施形態の液体吐出ヘッドでは、個別液室9、連通路10、ノズル11などの流路の内壁がシリコン熱酸化膜21a,21bで被覆されている。この流路内に形成されたシリコン熱酸化膜21a,21bはアルカリ性の液体に対して化学的に安定であるため、シリコンをアタックするようなアルカリ性の液体の使用を可能にする。
次に、図7に示す液体吐出ヘッドの個別液室部分の作製方法を図8に基づいて説明する。
図8(A)に示すように、まず、主面に薄膜振動板3を備えたシリコン基板2を用意する。ここで、薄膜振動板3は厚さ5μmの単結晶シリコン、シリコン基板2は単結晶シリコンで厚さが200μmであるSOI(Silicon On Insulator)基板を用いている。単結晶シリコンである薄膜振動板3と単結晶シリコン基板2との間には1μm厚さのシリコン熱酸化膜(不図示)が設けられている。尚、用意するシリコン基板2は、接合される面(図では下側の面)の表面が十分に平滑(好ましくは表面粗さRaが1nm以下)のものを使用する。注意深く研磨されたシリコン基板面であれば通常は問題なく使用出来る。
このSOI基板の、圧電薄膜アクチュエータ8が形成される面と対向する側の面に個別液室形成用のエッチングマスク14をフォトリソグラフィー法によって形成する。エッチングマスク14の材質としてはエッチング速度がシリコンのエッチング速度より十分に遅ければ良い。本実施形態においては厚さ6μmのノボラック樹脂を主成分とするポジ型フォトレジストを用いた。シリコン熱酸化膜や他の手法によって形成されるシリコン酸化膜、また、アルミなどもエッチングマスクとして用いる事が出来る。
次いで、図8(B)に示すように、シリコン基板2をエッチングして個別液室9を形成する。その後、エッチングマスク14を剥離し、シリコン基板全体を熱酸化する事により、図8(C)に示すように薄膜振動板3上に絶縁膜4を、接合側に拡散防止層13aを、個別液室8の内壁にシリコン熱酸化膜21aをそれぞれ同時に形成する。このとき、拡散防止層13aの厚さが0.5μmになるように熱酸化を行った。本実施形態では個別液室形成用エッチングマスク14としてフォトレジストを用いたので、上記のように、熱酸化処理前にエッチングマスク14をすべて剥離している。この場合のエッチングマスク剥離法としては酸素プラズマやオゾンを用いるアッシングや、有機溶媒を用いて除去するウェット剥離、或いはこれらを併用しても良い。
しかし、エッチングマスク14としてあらかじめシリコン熱酸化膜を形成しておいて使用する場合には、表面の一部のみを除去するだけでも良いし、プロセスで発生するゴミ除去の意図で全て除去しても良い。また、ゴミ除去の観点からは、シリコン基板2にあらかじめ熱酸化膜を形成しておき、その上にフォトレジストなどで個別液室形成用エッチングマスクを形成し、個別液室をエッチングした後にエッチングマスク、及び熱酸化膜を全て除去する事が好ましい。
その後、図6(D)に示すように拡散防止層13a上に接合層12としてチタン30nm、Au100nmをこの順にスパッタ法にて成膜し、流路基板の個別液室部分を完成させた。
また、図7に示すノズルプレート16も上記同様に、図5(A)〜図5(D)に示したように連通路10、ノズル11をエッチングにて形成した後に、シリコン基板1全体を熱酸化させた。これにより、接合側に拡散防止層13bを、連通路10およびノズル11の内壁にシリコン熱酸化膜21bをそれぞれ同時に形成した。その後、拡散防止層13b上に接合層12としてチタン30nm、Au100nmをこの順にスパッタ法にて成膜した。
こうして作製したノズルプレート16と流路基板15の個別液室部とを位置あわせし、真空中にて温度300℃、圧力2MPaの条件でAu−Au接合した。最後に、流路基板15の圧電薄膜アクチュエータ8は前述の実施形態と同様に作製した。
本発明の一実施形態による液体吐出ヘッドの断面模式図である。 本発明での熱処理後の接合部を示す超音波顕微鏡像である。 熱処理による未接合部の発生を示す超音波顕微鏡像である。 本発明の一実施形態における流路基板の個別液室部の作製工程図である。 本発明の一実施形態におけるノズルプレートの作製工程図である。 本発明の一実施形態における圧電薄膜アクチュエータの作製工程図である。 本発明の別の実施形態による液体吐出ヘッドを示す断面模式図である。 本発明の別の実施形態における流路基板の個別液室部の作製工程図である。
符号の説明
1 シリコン基板
2 シリコン基板
3 薄膜振動板
4 絶縁層
5 下電極
6 圧電体薄膜
7 上電極
8 圧電薄膜アクチュエータ
9 個別液室
10 連通路
11 ノズル
12 接合層
13 拡散防止層
14 個別液室形成用エッチングマスク
15 流路基板
16 ノズルプレート
17 連通路形成用エッチングマスク
18 ノズル形成用エッチングマスク
19 上電極形成用エッチングマスク
20 圧電体薄膜部形成用エッチングマスク
21 流路内熱酸化膜

Claims (9)

  1. 液体を吐出するノズルと、該ノズルに連通する流路と、前記液体を吐出するエネルギーを発生するエネルギー発生素子を有し、
    Auを介して接合された第1のシリコン部材と第2のシリコン部材とが前記ノズルと前記流路とを構成する液体吐出ヘッドであって、
    前記Auと前記各シリコン部材との間に、シリコンとAuの拡散を防止する拡散防止層を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記エネルギー発生素子は、圧電薄膜アクチュエータであって、
    前記流路は、液体を貯留し内部に圧力付与される圧力室と、前記ノズルと前記圧力室とを連通する連通路と、を含み、
    前記第1のシリコン部材は前記圧力室を有し、前記第2のシリコン部材は前記ノズルおよび前記連通路を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記流路及び前記ノズルの内壁が、前記拡散防止層と同じ材質で被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記拡散防止層がシリコンの熱酸化膜からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 液体を吐出するノズルと、該ノズルに連通する流路と、前記液体を吐出するエネルギーを発生するエネルギー発生素子を有し、
    Auを介して接合された第1のシリコン部材と第2のシリコン部材とが前記ノズルと前記流路とを構成する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記第1および前記第2シリコン部材に、Auとシリコンとの拡散を防止する拡散防止層をそれぞれ形成する工程と、
    前記拡散防止層上にAuの層をそれぞれ形成する工程と、
    前記Au層同士を固相接合する工程と、
    を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記第1および前記第2のシリコン部材に前記流路および前記ノズルを形成する工程が、前記拡散防止層を形成する工程の前に行なわれることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記第1および前記第2のシリコン部材に前記流路および前記ノズルを形成する工程が、前記拡散防止層を形成する工程の後に行なわれることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記第1および前記第2のシリコン部材に前記流路および前記ノズルを形成する工程が、前記Auの層を形成する工程の後に行なわれることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記Au層同士を固相接合する工程の後に、前記エネルギー発生素子として圧電薄膜アクチュエータを形成する工程を有することを特徴とする請求項5ないし8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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