JP2003223856A - 電子線装置およびスペーサ - Google Patents

電子線装置およびスペーサ

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JP2003223856A
JP2003223856A JP2002021867A JP2002021867A JP2003223856A JP 2003223856 A JP2003223856 A JP 2003223856A JP 2002021867 A JP2002021867 A JP 2002021867A JP 2002021867 A JP2002021867 A JP 2002021867A JP 2003223856 A JP2003223856 A JP 2003223856A
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Masahiro Fushimi
正弘 伏見
Koji Shimizu
康志 清水
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2329/00Electron emission display panels, e.g. field emission display panels
    • H01J2329/86Vessels
    • H01J2329/8625Spacing members
    • H01J2329/863Spacing members characterised by the form or structure
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間の駆動に伴うスペーサ近傍の電子の軌
道の変化を抑制する。 【解決手段】 スペーサ基板1の表面上の凸凹の斜面の
最大傾斜角度θが80°より大きい場合には、高抵抗膜
2の生成時に、基板角度80°以上と同等となる場所が
部分的に発生し、結果的に高抵抗膜2の抵抗が増大し、
長時間の駆動に伴いスペーサ基板1に電荷が蓄積してし
まう。したがって、凹凸を形成するスペーサの斜面の最
大傾斜角度θを80°以下とすることにより、スペーサ
の抵抗の増大を防ぐことができるようになるため、長時
間の駆動に伴う電子の軌道の変化の抑制が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子を放出する電
子源が設けられ、画像を形成する画像形成装置等として
用いられる電子線装置と、該電子線装置に設けられた外
囲器を内部で支持するためのスペーサとに関し、特に、
表面伝導型電子放出素子を電子源とする電子線装置およ
びスペーサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては熱電子源と
冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源に
は電界放出型素子(FE型素子)、金属/絶縁層/金属
型素子(MIM素子)、表面伝導型電子放出素子(SC
E素子)等がある。
【0003】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜の膜面に平行な電流を流すと電子が
放出される現象を利用した電子放出素子である。このよ
うな表面伝導型電子放出素子としては、エリンソン等に
よるSnO2 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜による
ものや、In23 /SnO2 薄膜によるものや、カー
ボン薄膜によるもの等が報告されている。
【0004】さらに、本出願人らは、この表面伝導型電
子放出素子に関する技術を開示している。例えば、特開
平09−102271号公報や特開2000−2516
65号公報には、インクジェット塗布方法による表面伝
導型電子放出素子の作成に関する技術が開示されてい
る。また、特開昭64−031332号公報、特開平0
7−326311号公報には、表面伝導型電子放出素子
が2次元のマトリクス状に配置された電子線装置が開示
されており、特開平08−185818号公報、特開平
09−050757号公報には、2次元マトリクス形状
に配置された表面伝導型電子放出素子の配線形成方法が
開示されており、特開平06−342636号公報等に
は、そのような電子線装置の駆動方法が開示されてい
る。
【0005】図20は、これらの表面伝導型電子放出素
子の典型的な構成の1例であるM.ハートウェルの素子
構成を示す模式図である。図20(a)はその表面伝導
型電子放出素子の上面図であり、図20(b)はその側
面図である。図20(a)に示すように、基板101の
上には、素子電極102、103が形成されており、素
子電極102、103に跨るように導電性薄膜104が
形成されている。
【0006】基板101は、ガラス等から構成されてい
る。基板101に適用されるガラスとしては、廉価な青
板ガラスが一般的であるが、この場合には、この青板ガ
ラスの上にナトリウムブロック層として、厚さ0.5μ
mのシリコン酸化膜(図20では不図示)を形成する必
要がある。このシリコン酸化膜は、スパッタ法等で形成
される。この他に、基板101は、ナトリウム成分の少
ないガラスや、石英基板でも作成可能である。
【0007】基板101の大きさや厚みは、基板101
上に設置される表面伝導型電子放出素子の個数や、各素
子の個々の形状に応じて適宜設定される。さらに、基板
101の大きさや厚みは、電子を真空中に放出するため
に設けられた容器の一部を基板101自体が構成してい
る場合には、その容器内部を真空に保持するための耐大
気圧構造等の力学的条件等にも依存する。
【0008】素子電極102、103の材料としては、
一般的な導体材料、例えば、ニッケル(Ni)、クロム
(Cr)、金(Au)、モリブデン(Mo)、白金(P
t)、チタン(Ti)等の金属や、銀−パラジウム(P
d−Ag)等の金属が好適であり、金属酸化物とガラス
等から構成される印刷導体や、ITO(インジウム−ス
ズ酸化物:indium tin oxside)等の
透明導電体などから適宜選択され得る。素子電極10
2、103の膜厚は、好ましくは数百Åから数μmの範
囲が適当である。
【0009】素子電極102、103間の間隔L、素子
電極102、103の長さW、素子電極102、103
の形状は、表面伝導型電子放出素子が応用される形態等
に応じて適宜設計される。素子電極102、103間の
間隔Lは、好ましくは数千Åから1mmであり、より好
ましくは、素子電極102.103間に印加する電圧等
を考慮して1μmから100μmの範囲となっている。
また、素子電極102、103の長さWは、好ましくは
素子電極102、103の抵抗値、電子放出特性を考慮
して、数μmから数百μmの範囲となっている。
【0010】素子電極102、103は、市販の白金
(Pt)等の金属粒子を含有したペーストを、オフセッ
ト印刷等の印刷法によって塗布することによって形成す
ることができる。また、より精密なパターンを得る目的
で、白金(Pt)等を含有する感光性ペーストをスクリ
ーン印刷等の印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露
光、現像することによっても素子電極102、103を
形成することができる。
【0011】素子電極102、103の形成工程終了
後、素子電極102、103に跨る形態で、導電性薄膜
104が作成される。導電性薄膜104としては、良好
な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒
子膜であることが特に好ましい。
【0012】導電性薄膜104の膜厚は、素子電極10
2、103へのステップカバレージ、素子電極102、
103間の抵抗値、および後述するフォーミング処理の
条件などを考慮して適宜設定されるが、好ましくは数Å
から数千Åであり、さらに好ましくは10Åから500
Åの範囲とするのがよい。
【0013】本出願人らの研究によると、導電性薄膜1
04の材料としては、一般にパラジウム(Pd)が適し
ているが、これには制限されない。また、導電性薄膜1
04の成膜形成方法は、スパッタ法、溶液塗布後に焼成
する方法などが適宜用いられる。
【0014】溶液塗布後に焼成する方法の1つに、有機
パラジウム溶液を塗付後、焼成し、導電性膜104とし
て酸化パラジウム(PdO)膜を形成する方法がある。
この方法では、酸化パラジウム膜形成後、水素が共存す
る還元雰囲気下でその膜を通電加熱してパラジウム(P
d)膜とするとともに、その膜に亀裂を形成する。この
亀裂が電子放出部105となる。
【0015】なお、図20では、簡略化の観点から、電
子放出部105を導電性薄膜104の中央に矩形の形状
で示した。しかし、これは、実際の電子放出部105の
位置や形状を忠実に再現しているものではなく、電子放
出部105の位置や形状は、図20に示す位置や形状に
制限されない。
【0016】以上のような素子構成を有する表面伝導型
放出素子は、冷陰極素子の中でも、構造が単純で製造も
容易であることから、大面積にわたって多数の素子を形
成できるという利点がある。そのため、画像表示装置、
画像記録装置などの画像形成装置や、荷電ビ−ム源など
への表面伝導型放出素子の応用が盛んに研究されてい
る。
【0017】特に、画像形成装置への応用においては、
例えば、米国特許第5、066、883号公報や特開平
2−257551号公報や特開平4−28137公報に
おいて本出願人が開示しているように、電子を放出する
表面伝導型放出素子と、電子ビ−ムの照射により発光す
る蛍光体とを組み合わせて画像を表示する画像表示装置
が研究されている。表面伝導型放出素子と蛍光体とを組
み合わせて用いた画像表示装置は、従来の他の方式の画
像表示装置よりも優れた効果を発揮することが期待され
ている。例えば、このような画像表示装置は、近年普及
してきた液晶表示装置に比べて、自発光型であるためバ
ックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優れ
ている。
【0018】図21は、上述の画像表示装置の構造を示
す断面図である。この画像表示装置は、スペーサ基板9
01と、前述の蛍光体(図21では不図示)を有する第
2の部材であるフェースプレート902と、電子源を有
する第1の部材であるリアプレート903とを備えてい
る。フェースプレート902とリアプレート903との
間の空間は真空となっている。
【0019】フェースプレート902とリアプレート9
03との間には電位差(等電位線909で示されてい
る)があり、フェースプレート902側の方が高電位と
なっている。リアプレート903上には、電子を放出す
る電子放出部907a、907bと、その電子放出部9
07a、907bを駆動するための駆動回路(図21で
は不図示)と、電子放出部907a、907bと駆動回
路とを接続するための配線電極906とが配設されてい
る。配線電極906を介して電子放出部907a、90
7bが駆動されると、等電位線909に従って、電子放
出部907からフェースプレート902に向かって電子
が放出される。放出された電子の軌道は、電子軌道90
8a、908bで示されている。放出された電子がフェ
ースプレート902に到達すると、フェースプレート9
02の蛍光体によって所望の画像が形成される。
【0020】フェースプレート902とリアプレート9
03との間に挿入されたスペーサ基板901は、フェー
スプレート902とリアプレート903との間隔が一定
に保たれるように大気圧に抗してそれらを支持してい
る。したがって、スペーサ基板901には、耐大気圧を
可能とするための十分な機械的強度が求められる。さら
に、スペーサ基板901が、リアプレート903とフェ
ースプレート902との間を飛翔する電子の軌道908
a、908bに大きな影響を与えないようにすることが
求められている。リアプレート903とフェースプレー
ト902との間を飛翔する電子の軌道908a、908
bには、スペーサ基板901の帯電が大きな影響を与え
る。電子源である電子放出部907a、907bから放
出された電子の一部、またはフェースプレートで反射し
た電子がスペーサ基板901に入射し、スペーサ基板9
01から二次電子が放出されたり、電子の衝突によって
電離したイオンがスペーサ基板901の表面に付着した
りすることによってスペーサ基板901の帯電が発生す
るものと考えられている。
【0021】スペーサ901基板が正帯電すると、スペ
ーサ基板901の近傍を飛翔する電子(軌道908aの
電子)は、スペーサ基板901に引き寄せられる。そう
すると、その電子は、所望の画像を形成するための軌道
から逸れ、結果的にフェースプレート902上に形成さ
れる画像に歪みが生じる。電子を引き寄せる力はスペー
サ基板901に近ければ近いほど大きいため、画像の歪
みは、スペーサ基板901に近ければ近いほど大きくな
る。また、このような画像表示装置においては、リアプ
レート903とフェースプレート902との間隔が大き
くなればなるほど、フェースプレート902に到達した
ときの電子軌道908aのずれが大きくなるため、画像
の歪みは顕著になる。
【0022】このような画像の歪みを防ぐ方法として、
従来から、電子軌道補正のための電極をスペーサ基板9
01に形成する方法や、スペーサ基板901の表面に、
高抵抗膜904を被覆して導電性を付与し、若干の電流
を流すことによって表面上の電荷を除去する方法などが
行なわれていた。導電性を付与する方法をスペーサ基板
901に応用し、スペーサ基板901の表面を酸化スズ
で被覆する方法が特開昭57−118355号公報に開
示されている。また、特開平3-49135号公報に
は、酸化パラジウム(PdO)系ガラス材でスペーサ基
板901を被覆する方法が開示されている。また、図2
1に示すように、スペーサ基板901におけるフェース
プレート902とリアプレート903とのそれぞれの当
接部にスペーサ電極905b、905aを形成すること
によって、スペーサ基板901の被覆材に均一な電場を
印加し、接続不良や電流集中によるスペーサ基板901
の破壊を防ぐ方法も開示されている。スペーサ電極90
5aは、リアプレート903側のスペーサ901の電極
であり、このスペーサ電極905aに印加する電圧を変
更して空間中の電場を変化させることによって電子軌道
908aを反発させることができる。電子軌道908a
は、スペーサ基板901の帯電およびフェースプレート
902側のスペーサ電極906bの影響を受けながらフ
ェースプレート902側に吸引される。
【0023】しかしながら、これらの方法を適用して
も、電子放出素子(電子放出部907a、907b)の
ピッチやそれらの駆動条件によっては、スペーサの帯電
を完全に除去できない場合や、装置の量産性を考慮して
導電性を付与しない方が好ましい場合などがある。この
ような場合などに対して、例えば、特開平2000−3
11632号公報には、図22に示すように、スペーサ
基板901の表面に凹凸形状を設けることによって、ス
ペーサの帯電電荷量を抑制する方法が提案されている。
【0024】しかしながら、これらのスペーサ901に
おいて、画像表示装置の駆動時間増加に伴って、フェー
スプレート902における電子ビームの到達位置が僅か
づつ変化していく場合がある。図23に示すように、装
置の駆動時間の増加に伴って、スペーサ901近傍の電
子は、さらにスペーサ側に引き寄せられ、その軌道は、
軌道908aから908a’に変化する。図24は、電
子軌道908aの初期ビーム位置からの変化の様子を示
すグラフである。図24に示すグラフにおいては横軸が
装置の駆動時間であり、縦軸がフェースプレート902
におけるビーム位置である。そのビーム位置は、初期位
置を0とし、スペーサ901の方向を正として図示され
ている。図24に示すように、駆動時間が長くなればな
るほど、ビーム位置はスペーサに近づいていくのがわか
る。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来の電子線装置では、駆動時間が長くなればなるほどス
ペーサ近傍の電子軌道のずれが大きくなってしまうとい
う問題があった。
【0026】本発明は、長時間の駆動に伴うスペーサ近
傍の電子の軌道の変化を抑制することができる電子線装
置およびスペーサを提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、電子を放出する電子源が設けられた第1
の基板と、前記電子源が設けられた表面に対向して設け
られた第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板
との間隔を一定に保つために設けられたスペーサとを有
する電子線装置において、前記スペーサの表面のうち、
前記第1の基板と前記第2の基板との間の空間に露出す
る表面に、凹部および凸部の両方またはいずれか一方で
形成される起伏部が設けられ、前記スペーサの表面の平
坦部に対する前記起伏部を形成する斜面の最大傾斜角度
が80°以下であることを特徴とする。
【0028】本出願人らは、スペーサの形状によって上
述の問題点が解決されることを見出した。図1は、本発
明のスペーサの構造を示す断面図であり、図2は、図1
のスペーサの断面図である。図1、図2に示すように、
スペーサは、スペーサ基板1と、スペーサ1基板を被覆
する高抵抗膜2と、スペーサ基板1の図面上下に形成さ
れたスペーサ電極3と、スペーサ基板1上に形成された
凹凸部4(図2)とを備えている。図2に示すθは、ス
ペーサ基板の表面において、表面の平坦部に対する凹凸
部4を形成する斜面の最大傾斜角度を示す。
【0029】図3は、凹凸を形成する斜面の最大傾斜角
度θを46°とした場合と、84°とした場合の、駆動
時間に対するビームの位置ずれを示す図である。図3に
示すように、θ=46°の場合には、θ=84°の場合
に比べて、ビーム位置の変化が抑制されていいるのがわ
かる。
【0030】図4は、高抵抗膜2をスパッタ法で形成す
る場合の基板の角度と、高抵抗膜2の比抵抗との関係を
示すグラフである。図4のグラフは、スパッタ装置を用
いてガラス板(スペーサ基板1)上に高抵抗膜2を形成
したときのグラフである。横軸はガラス板とターゲット
のなす角度(基板角度)であり、縦軸は形成された高抵
抗膜2の比抵抗値である。なお、高抵抗膜2は、タング
ステン(W)とゲルマニウム(Ge)をターゲットと
し、流量比でアルゴン(Ar)と窒素(N2)が10:
1の混合ガスを1.5Paのスパッタ圧力でスパッタす
ることによって形成されたものである。ガラス板とター
ゲット間の距離を約100mmとし、Wの投入出力は
0.6W/cm2とし、ゲルマニウム(Ge)ターゲッ
トへの投入電力を2W/cm2として膜厚200nmの
高抵抗膜2が成膜された。図4に示すように、基板角度
によって高抵抗膜2の抵抗値は変化し、80°以上で大
きく増大しているのがわかる。
【0031】以上述べたように、スペーサ基板1表面上
の凸凹の斜面の最大傾斜角度が80°より大きい場合に
は、高抵抗膜2の生成時に、基板角度80°以上と同等
となる場所が部分的に発生し、結果的に高抵抗膜2の抵
抗が増大し(帯電しやすくなり)、長時間の駆動に伴い
スペーサ基板1にそこに電荷が蓄積してしまう。本発明
では、凹凸を形成するスペーサの斜面の最大傾斜角度θ
を80°以下とすることにより、スペーサの抵抗の増大
を防ぎ、長時間の駆動に伴う電子の軌道の変化を抑制す
ることができる。
【0032】なお、凹凸の最大傾斜角度に対する抵抗の
感度は、高抵抗膜2の膜質及びその成膜方法に関係する
ため一義的に決定することはできない。また、凹凸形状
により帯電電荷量を抑えるためには、おおむね10°以
上80°以下であることが望ましい。20°以上70°
以下であると、さらに良好な結果を得ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態の電子
線装置およびスペーサについて、図面を参照して詳細に
説明する。以下の実施形態では、本発明の電子線装置の
好適な応用例である画像表示装置の構成、動作、および
その製造方法などについて主に説明する。
【0034】(第1の実施形態)まず、本発明の第1の
実施形態の画像表示装置について説明する。図5は、本
実施形態の画像表示装置の構造を示す断面図である。図
5に示すように、本実施形態の画像表示装置は、第2の
基板であるフェースプレート502と、第1の基板であ
るリアプレート503とを備えている。フェースプレー
ト502とリアプレート503との間の空間は、気密容
器(全体として図示せず)の内部空間となっており、そ
の空間は、その気密容器、すなわち外囲器によって真空
に保持されている。
【0035】さらに、大気圧に抗してフェースプレート
502と、リアプレート503との間の間隔を保持する
ための薄板状のスペーサ100がフェースプレート50
2とリアプレート基板503との間に固定されている。
スペーサ100は、図5では1つしか図示されていない
が、上記の目的(フェースプレート502とリアプレー
ト503との間の間隔を保持すること)を達成するのに
必要な間隔をおいて必要な数だけ配置されている。絶縁
牲部材であるスペーサ基板501の表面には、スペーサ
100の帯電防止を目的とした高抵抗膜504が成膜さ
れている。また、スペーサ100には、フェースプレー
ト502と当接するスペーサ電極505bと、リアプレ
ート503と当接するスペーサ電極505aとが成膜さ
れている。
【0036】また、高抵抗膜504は、スペーサ基板5
01の表面のうち、気密容器内の真空中に露出している
面には、少なくとも成膜されており、スペーサ電極50
5を介して、フェースプレート502の内側に形成され
た後述するメタルバック(不図示)およびリアプレート
503の表面の配線電極506に電気的に接続されてい
る。したがって、スペーサ100は、リアプレート50
3上の配線電極506とフェースプレート502のメタ
ルバックとの間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁
性を有し、スペーサ100の表面への帯電を防止する程
度の導電性を有する必要がある。そのようなスペーサ1
00の絶縁性部材、すなわちスペーサ基板501として
は、例えば、石英ガラス、ナトリウム(Na)等の不純
物含有量を減少もしくは除去したガラス、ソーダライム
ガラス、アルミナ等のセラミックス部材等が用いられ
る。なお、スペーサ基板501としては、その熱膨張率
が気密容器およびリアプレート503の部材と近いもの
が望ましい。高抵抗膜504には、高電位側のフェース
プレート502に印加される加速電圧Vaを帯電防止膜
である高抵抗膜504の抵抗値Rsで除した電流が流れ
る。高抵抗膜504の抵抗値Rsは、帯電防止および消
費電力の観点からその望ましい範囲に設定される。帯電
防止の観点から、高抵抗膜504の表面抵抗R/□は1
14Ω/□以下であることが好ましい。十分な帯電防止
効果を得るためには、高抵抗膜504の表面抵抗は10
13Ω/□以下であることがさらに好ましい。高抵抗膜5
04の表面抵抗の下限は、スペーサ100の形状とスペ
ーサ100に印加される電圧により左右されるが、10
8Ω以上であることが好ましい。
【0037】絶縁材料(スペーサ基板501)上に形成
された高抵抗膜(帯電防止膜)504の厚みtは、10
nm以上50μm以下の範囲であることが望ましい。材
料の表面エネルギーおよび基板との密着性や基板温度に
よっても異なるが、一般的に、膜厚を10nm以下にす
るとその薄膜が島状に形成され、その抵抗が不安定で再
現性に乏しくなる。さらに、膜厚を50μm以上にする
と、その薄膜の形成過程において、スペーサ基板501
が変形してしまう可能性が高くなる。
【0038】高抵抗膜(帯電防止膜)504の比抵抗を
ρとすると、高抵抗膜504の表面抵抗R/□はρ/t
となる。以上に述べたR/□とtの好ましい範囲から、
高抵抗膜(帯電防止膜)504の比抵抗ρは102[Ω
・cm]以上109[Ω・cm]以下とすることが好ま
しい。さらに、表面抵抗R/□と膜厚tのより好ましい
範囲を実現するためには、比抵抗ρは104以上108Ω
cm以下とするのが望ましい。
【0039】一方、高抵抗膜(帯電防止膜)504を電
流が流れることにより、あるいは画像表示装置(ディス
プレイ)全体が動作中に発熱することによってスペーサ
100の温度は上昇する。高抵抗膜(帯電防止膜)50
4の抵抗温度係数が大きな負の値であると温度が上昇し
た時に抵抗値が減少し、スペーサ100に流れる電流が
増加し、さらにスペーサ100の温度が上昇する。そし
て、その電流は、電源の限界を越えるまで増加しつづけ
暴走する。このような電流の暴走が発生する条件は、以
下の一般式(1)で表される抵抗値の温度係数TCR
(Temperature Coefficient o
f Resistance)の値で特徴づけられる。こ
こで、ΔT、ΔRは室温に対する実駆動状態のスペーサ
100の温度Tおよび抵抗値Rの増加分であるとする。
【0040】 TCR=(ΔR/ΔT)/R×100 [%/℃] ………(1) 電流の暴走が発生するTCRの条件は、経験的に−1
[%/℃]以下である。つまり、高抵抗膜(帯電防止膜)
504の抵抗温度係数は、−1[%/℃]より大きくする
のが望ましい。帯電防止特性を有する高抵抗膜504の
材料としては、例えば金属酸化物を用いることができ
る。金属酸化物の中でも、クロム(Cr)、ニッケル
(Ni)、銅(Cu)の酸化物が好ましい材料である。
それは、これらの酸化物は、二次電子放出効率が比較的
小さく、電子放出部507から放出された電子がスペー
サ100に衝突した場合においても帯電しにくくするた
めである。金属酸化物以外にも炭素は、二次電子放出効
率が小さく、高抵抗膜504の材料として好ましい材料
である。特に、非晶質カーボンは高抵抗であるため、こ
れを高抵抗膜504の材料として用いると、スペーサ1
00の抵抗を所望の値に制御しやすくなる。帯電防止特
性を有する高抵抗膜504の他の材料として、アルミと
遷移金属合金の窒化物がある。アルミと遷移金属合金の
窒化物は、遷移金属の組成を調整することにより、良伝
導体から絶縁体まで広い範囲に抵抗値を制御できるので
高抵抗膜504として好適である。それに加えて、アル
ミと遷移金属合金の窒化物は、後述する表示装置の作製
工程において抵抗値の変化が少なく安定な材料であり、
その抵抗温度係数が−1%より大であり、実用的に使い
やすい材料である。その遷移金属元素としてはチタン
(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)等を用い
ることができる。
【0041】合金窒化膜は、スパッタ、窒素ガス雰囲気
中での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレー
ティング、イオンアシスト蒸着法等の薄膜形成手段によ
り絶縁性部材(スペーサ基板501)上に高抵抗膜50
4として形成される。金属酸化膜も同様の薄膜形成法で
高抵抗膜504として作製することができるが、この場
合には、雰囲気として窒素ガスに代えて酸素ガスが使用
される。その他、CVD法、アルコキシド塗布法でも金
属酸化膜を高抵抗膜504として形成することができ
る。
【0042】カーボン膜は、蒸着法、スパッタ法、CV
D法、プラズマCVD法で作製され、特に、非晶質カー
ボンを高抵抗膜504として作製する場合には、成膜中
の雰囲気に水素が含まれるようにするか、成膜ガスに炭
化水素ガスを使用する。スペーサ100を構成するスペ
ーサ電極505a、505bは、高抵抗膜504を高電
位側のフェースプレート502と低電位側のリアプレー
ト503とそれぞれ電気的に接続するために設けられた
ものである。スペーサ電極505a、505bは、以下
に述べる複数の機能を有している。
【0043】上述したように、高抵抗膜504は、スペ
ーサ100の表面での帯電を防止する目的で設けられた
ものであるが、スペーサ電極505a、505bを設け
ずに高抵抗膜504をフェースプレート502とリアプ
レート503とに接続した場合には、その当接部界面に
大きな接触抵抗が発生してしまい、スペーサ100の表
面に発生した電荷を速やかに除去できなくなる可能性が
ある。これを避けるために、フェースプレート502、
リアプレート503と接触するスペーサ100の当接面
にスペーサ電極505a、505bが設けられる。ま
た、電子放出部507a、507bから放出された電子
は、フェースプレート502とリアプレート503の間
に形成された電位分布に従って電子軌道508a、50
8bを形成する。スペーサ100の近傍で、それらの電
子軌道508a、508bに乱れが生じないようにする
ためには、高抵抗膜504の電位分布を全域にわたって
制御する必要がある。高抵抗膜504をフェースプレー
ト502とリアプレート502とに接続した場合、当接
部界面の接触抵抗のために、接続状態のむらが発生し、
高抵抗膜504の電位分布が所望の値からずれてしまう
可能性がある。これを避けるために、スペーサ100が
フェースプレート502及び基板503と当接するスペ
ーサ100の端部の全長域にスペーサ電極505a、5
05bを設けることによって、接続状態のむらが発生
し、高抵抗膜504の電位分布を均一化している。
【0044】また、電子放出部507a、507bより
放出された電子は、フェースプレート502とリアプレ
ート503の間に形成された電位分布に従って電子軌道
を形成する。スペーサ100の近傍の電子放出部507
aから放出された電子に関しては、スペーサ100に伴
う制約(配線、素子位置)が生じる場合がある。このよ
うな場合、歪みやむらの無い画像を形成するためには、
放出された電子の軌道を制御してフェースプレート50
2の所望の位置に電子を照射する必要がある。フェース
プレート502とリアプレート503と当接する面にス
ペーサ電極505a、505bをそれぞれ設けることに
より、スペーサ100の近傍の電位分布に所望の特性を
持たせ、放出された電子の軌道を制御することができ
る。
【0045】本実施形態の画像表示装置においては、ス
ペーサ100の凹凸の最大傾斜角度θを80°以下の5
5°としている。高抵抗膜504には、前述したタング
ステン(W)とゲルマニウム(Ge)を窒素雰囲気中で
スパッタした膜が用いられる。また、スペーサ基板50
1の凹凸のピッチは30μmとし、その深さは10μmと
した。
【0046】また、本実施形態の画像表示装置では、図
5の断面方向の電子放出部507a、507b間の距離
を615μmとし、スペーサ100の高さを1.6mm
とした。本実施形態の画像表示装置(パネル)を実際に
駆動させたところ、長時間に渡る駆動による、ビーム位
置の変化が小さくなった。
【0047】次に、本実施形態の画像表示装置の構造お
よび製造法を具体的に説明する。
【0048】図6は、本実施形態の画像表示装置の構造
を示す斜視図である。図6を参照すると、電子源基板8
0は、電子放出素子87が2次元マトリクス状に多数配
置された基板である。ガラス基板81は、図5に示すリ
アプレート503である。フェースプレート82には、
ガラス基板83の内面に、蛍光膜84とメタルバック8
5等が形成されている。
【0049】支持枠86は、ガラス基板(リアプレー
ト)81およびフェースプレート82を支持している。
支持枠86とガラス基板(リアプレート)81およびフ
ェースプレート82をフリットガラスによって接着し、
400〜500℃で10分以上焼成して封着することに
よって、外囲器90が形成されている。外囲器90の内
部は、真空となっている必要がある。上述した一連の外
囲器90の作成工程を全て真空チャンバー中で行うと、
外囲器90内部を最初から真空にすることが可能とな
り、その作成工程で行われる作業を簡単なものとするこ
とができる。なお、本実施形態の画像表示装置では、外
囲器90の内部は、外界に対して完全に密閉された状態
となっているが、図2では、外囲器90を形成する支持
枠86、フェースプレート82が適当に切断され、外囲
器90の内部が見えるようになっている。
【0050】電子放出素子87は、表面伝導型電子放出
素子(図20参照)である。X配線88は、電子放出素
子87の一対の素子電極のうちのいずれか一方の電極と
接続されたX軸方向の配線であり、Y配線89は、表面
伝導型電子放出素子の一対の素子電極のうちのX配線8
8と接続されていない方と接続されたY軸方向の配線で
ある。
【0051】フェースプレート82とガラス基板(リア
プレート)81との間には、スペーサ100(支持部
材)を設置することにより、大面積パネルの場合にも大
気圧に対して十分な強度を有する外囲器90を形成する
ことができる。
【0052】以下、本実施形態の画像表示装置の各構成
部の構成と製法について説明する。
【0053】スペーサ基板501は、予め溝加工を施し
てある大きなガラス母材を加熱し、そのガラス母材を軟
化した状態で延伸することによって相似形に縮小させて
形成される。本実施形態では、ガラス母材としてアルカ
リ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)社製)の
2.8mm厚ガラスを用い、それを1/24に縮小形成
することによりスペーサ基板501に図1、図2に示す
ようなストライプ状の溝を作製した。そして、スペーサ
基板501の上に、ナトリウムブロック層として100
nmのSiO2膜を塗付焼成した。
【0054】図7は、マトリクス状に電子放出素子を有
するリアプレート(ガラス基板)の上面図である。図7
に示すように、電子源基板(リアプレート)21の上に
は、素子電極22、23と、Y配線24、絶縁性膜25
と、X配線26と、表面伝導型電子放出素子膜である電
子放出部27とが形成されている。以下に、これらの製
造方法について説明する。
【0055】まず、電子源基板21上に、まず、下引き
層としてチタニウム(Ti)(膜厚5nm)、その上に
白金(Pt)(膜圧40nm)を、スパッタ法によって
成膜した後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッ
チングという一連のフォトリソグラフィー法によってパ
ターニングして素子電極22、23を形成した。
【0056】X配線26とY配線24の配線材料は、全
ての表面伝導型素子にほぼ均等な電圧が供給されるよう
に、低抵抗である材料であることが望ましい。X配線2
6とY配線24の材料、膜厚、配線幅等については適宜
設定される。素子電極22、23形成後、共通配線とし
てのY配線24(下配線)を、素子電極の一方に接し、
かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成
する。Y配線24の材料としては、銀(Ag)フォトぺ
一ストインキが用いられる。銀(Ag)フォトぺ一スト
インキをスクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定
のパターンに露光し現像し、その後480℃前後の温度
で焼成してY配線24が形成される。ここでは、Y配線
24の厚さを約10μmとし、幅を50μmとした。な
お、Y配線24の終端部は、配線取り出し電極として用
いられるので、線幅をより大きくした。
【0057】次に、上下配線(X配線26およびY配線
24)を絶縁するために、層間絶縁層(不図示)を配設
する。後述のX配線26(上配線)下に、先に形成した
Y配線24(下配線)との交差部を覆うように、かつ上
配線26(X配線)と素子電極の他方(Y配線24が接
続されていない方)との電気的接続が可能なように、接
続部にコンタクトホール(不図示)を開けて層間絶縁層
を形成した。層間絶縁層の形成工程では、酸化鉛(Pb
O)を主成分とする感光性のガラスペーストをスクリー
ン印刷した後、露光、現像する。そして、この作業を4
回繰り返し、最後に480℃前後の温度で焼成した。こ
の層間絶縁層の厚みを、全体で約30μmとし、幅を1
50μmとする。
【0058】次に、先に形成した絶縁膜の上に、Agぺ
一ストインキをスクリーン印刷した後乾燥させ、この上
に再度同様なことを行い2度塗りしてから、480℃前
後の温度で焼成し、X配線26(上配線)を形成した。
このようにすれば、X配線26は、上述した層間絶縁層
(絶縁膜)を挟んでY配線24(下配線)と交差し、層
間絶縁層(絶縁膜)のコンタクトホール部分で素子電極
の他方とも接続されるようになる。画像を表示しようと
する際には、素子電極22、23は、画像表示装置の走
査電極として作用するようになる。なお、X配線26の
厚さは、約20μmである。また、電子基板21には、
外部の駆動回路と接続するための外部駆動回路への引出
し配線が必要となるが、この引出し配線も、上述の工程
と同様の作業で形成される。さらに、図示していない
が、外部駆動回路への引出し端子も上述の工程と同様の
作業で形成される。以上述べた工程により、図7に示す
XYマトリクス配線を有する電子源基板21(リアプレ
ート)が形成される。
【0059】上述の工程終了後、電子源基板21を十分
にクリーニングした後、撥水剤を含む溶液で電子源基板
21の表面を処理し、電子源基板21の表面が疎水性に
なるようにした。これは、この後、塗布する素子膜形成
用の水溶液が、素子電極22、23上に適度な広がりを
もって配置されるようにするためである。
【0060】次に、電子放出素子(素子膜)の形成方法
について説明する。前述のXYマトリクス配線を有する
電子源基板(リアプレート)21の終了後、インクジェ
ット塗布方法により、素子電極22、23間に電子放出
素子(素子膜)を形成する。
【0061】図8は、素子膜28の形成工程を示す模式
図である。図8(a)に示すように、前述までの工程に
より、電子源基板21上には、素子電極22、23が形
成されている。本工程は、素子電極22、23に跨る素
子膜28としてパラジウム(Pd)膜を形成する工程で
ある。
【0062】まず、水85:イソプロピルアルコール
(IPA)15からなる水溶液に、パラジウム−プロリ
ン錯体0.15重量%を溶解し、有機パラジウム含有溶
液を得た。そして、有機パラジウム含有溶液に、若干の
添加剤を加えた。
【0063】そして、この溶液の液滴を、図8(b)に
示す液滴付与手段37である、ピエゾ素子を用いたイン
クジェット噴射装置を用い、液滴のドット径が60μm
となるように、液適量等を調整して素子電極間に付与し
た。
【0064】その後、液滴が付与された基板を空気中に
て、350℃で10分間の加熱焼成処理をし、酸化パラ
ジウム(PdO)とした。ドットの直径が約60μm、
厚みが最大で10nmの膜が得られた。
【0065】以上の工程により、素子電極22、23間
に素子膜28、すなわち酸化パラジウム(PdO)膜が
形成された。
【0066】素子膜28の作成後、フォーミング処理を
用いて、作成した素子膜28に電子放出部27を作成す
る工程を実行する。本工程では、上記導電性薄膜(素子
膜28)を通電処理して内部に亀裂を生じさせることに
よって電子放出部27を形成する。
【0067】具体的には、まず、上述の基板の周囲の取
り出し電極部を残して、フード状の蓋をかぶせて基板全
体を覆い、基板と蓋との間で内部に真空空間を作る。そ
して、外部電源を用いて電極端子部からX配線26とY
配線24との間に電圧(これをフォーミング電圧とい
う)を印加し、素子電極22、23間を通電させ、導電
性薄膜104(素子膜28)を局所的に破壊、変形もし
くは変質させることにより、電気的に高抵抗な状態の電
子放出部27を形成する。このとき、若干の水素ガスを
含む真空雰囲気下で通電加熱すると、水素によって還元
が促進され酸化パラジウム(PdO)膜がパラジウム
(Pd)膜に変化する。
【0068】この変化時に素子膜28の還元収縮によっ
て、素子膜28の一部に亀裂が生じるが、この亀裂発生
位置、およびその形状は元の素子膜28の均一性に大き
く影響される。各素子の特性のばらつきを抑えるために
は、その亀裂は中央部、かつ、なるべく直線状に形成す
ることがなによりも望ましい。なお、このフォーミング
処理により形成した亀裂付近からも、所定の電圧下では
電子放出が起こるが、現段階ではまだ発生効率が非常に
低いものである。得られた導電性薄膜104(素子膜2
8)の抵抗値Rsは、102から107Ωの値となる。
【0069】フォーミング処理に用いた電圧波形につい
て簡単に説明する。図9は、フォーミング処理における
フォーミング電圧と時間との関係を示すグラフである。
このグラフでは、横軸が時間を示し、縦軸が印加される
フォーミング電圧の大きさを示している。図9に示すよ
うに、素子に印加するフォーミング電圧は、パルス電圧
であるが、その印加方法には2通りの方法がある。図9
(a)には、パルス波高値が一定のパルスを印加する場
合が示されており、図9(b)には、パルス波のピーク
値を増加させながら印加する場合が示されている。
【0070】図9(a)では、T1およびT2は印加す
る電圧波形のパルス幅とパルス間隔をそれぞれ示す。本
実施形態では、T1を1μsec〜10msecとし、
T2を10μsec〜100msecとする。各パルス
(三角波)の波高値(フォーミング時のピーク電圧値)
は適宜選択される。図9(b)では、T1およびT2
を、図9(a)と同じとし、三角波の波高値(フォーミ
ング時のピーク電圧)を、例えば、0.1Vステップ程
度ずつ増加させている。
【0071】なお、本工程のフォーミング処理では、フ
ォーミング用パルスの間に、導電性膜104(素子膜2
8)を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば、
0.1V程度のパルス電圧を挿入して素子電流を測定し
て、そのときの抵抗値を求め、その抵抗値が、例えば、
フォーミング処理前の抵抗に対して1000倍以上の抵
抗を示した時点で、フォーミング電圧の印加を終了す
る。
【0072】以上のフォーミング工程により、導電性薄
膜104に電子放出部が形成された。しかし、前述のよ
うに、この状態では、まだ電子放出部における電子発生
効率は非常に低い。したがって、その電子放出部におけ
る電子放出効率を上げるためには、フォーミング工程終
了後、導電性薄膜に活性化処理と呼ばれる処理を施すこ
とが望ましい。
【0073】活性化処理では、有機化合物が存在する適
当な真空度のもとで、前述のフォーミング処理と同様
に、まず、電子源基板21全体にフード状の蓋をかぶせ
て電子源基板21と蓋との間に真空空間を作る。そし
て、外部からX配線26およびY配線24を介してパル
ス電圧(活性化電圧)を素子電極に繰り返し印加する。
さらに、真空空間に炭素原子を含むガスを導入し、それ
に由来する炭素あるいは炭素化合物を、前述の電子放出
部の亀裂近傍にカーボン膜として堆積させる。
【0074】本処理では、カーボン源としてトルニトリ
ルを用い、スローリークバルブを通して炭素化合物を真
空空間内に導入し、1.3×10-4Paを維持した。導
入するトルニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装
置に使用している部材等によって若干影響されるが、1
×10-5Pa以上1×10-5Pa以下程度が好適であ
る。
【0075】図10は、活性化処理における活性化電圧
と時間との関係を示すグラフである。図10(a)、
(b)には、活性化処理で用いられる活性化電圧印加の
好ましい一例が示されている。図10(a)では、T1
を電圧波形の正と負のパルス幅とし、T2をパルス間隔
とし、活性化電圧の値は、正のときの負のときで絶対値
が等しくなるように設定されている。印加する活性化電
圧の最大値は、10V以上20V以下の範囲で適宜選択
される。また、図10(b)では、T1は、正のパルス
電圧のパルス幅であり、T1’は、負パルス電圧のパル
ス幅であり、T2はパルス間隔である。図10(b)で
は、T1>T1’であり、活性化電圧の最大値は、正負
の絶対値が等しくなるように設定されている。なお、こ
こでは、素子電極22に与える電圧を正とし、素子電流
Ifは、素子電極22から素子電極23へ流れる方向が
正であるとする。また、本処理では、通電開始後から約
60分後に放出電流Ieがほぼ飽和に達した時点で通電
を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化電圧の印
加を終了する。以上述べた工程で、電子源素子を有する
基板を作成することができる。
【0076】次に、上述した素子構成および製造方法に
基づいて製造された本実施形態における電子放出素子の
基本特性について図11、図12を参照して説明する。
【0077】図11は、前述した構成を有する電子放出
素子の電子放出特性を測定するための測定評価装置の構
造を示す模式図である。図11を参照すると、この測定
評価装置は真空容器55を備えている。排気ポンプ56
は、真空排気するための排気ポンプである。この測定評
価装置では、真空容器55内に、前述の工程で作製され
た素子を設置して、その素子の特性の測定が行われる。
この素子は、前述のように、ガラス基板101と、素子
電極102、103と、薄膜104と、その中の電子放
出部105とから構成されている。
【0078】この測定評価装置は、電源51と電流計5
0とをさらに備えている。電源51は、素子電極10
2、103間に接続されており、素子電極102.10
3間に素子電圧Vfを印加するための電源である。電源
51の正極側が素子電極102に接続され、負極側が素
子電極103側に接続されるとともに接地されている。
電流計50は素子電極102、103間の電子放出部1
05を含む導電性薄膜104を流れる素子電流Ifを測
定するための電流計である。
【0079】さらに、真空容器55内に設置された素子
の電子放出部105に対向する位置には、電極54が設
置されている。電極54は、電子放出部105より放出
される電子量、すなわち放出電流を捕捉するためのアノ
ード電極である。高圧電源である電源52の正極側は電
極54に接続されており、電源52の負極側は、素子の
電子放出部105より放出される放出電流Ieを測定す
るための電流計53を介して接地されている。
【0080】なお、真空装置55には、上述したものの
他、真空計等の真空装置に必要な機器が具備されてお
り、所望の真空下で本素子の測定評価を行なえるように
なっている。また、実際には、アノード電極54の電圧
を1kV〜10kVとし、アノード電極54と電子放出
素子との距離Hを2mm〜8mmの範囲とした。
【0081】図12は、図11に示す測定評価装置によ
り測定された放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電
圧Vfの関係の一例を示すグラフである。なお、同じ素
子電圧Vfの値における放出電流Ieと素子電流Ifは
大きさが著しく異なっているが、図12では素子電流I
f、放出電流Ieの変化特性の比較検討のために、縦軸
のスケールが、放出電流Ieと素子電流Ifとで変更さ
れている。図12に示すように、素子電圧Vfが増加す
れば、素子電流If、放出電流Ieはともに増加する。
また、素子電極102、103間に印加する電圧12V
における放出電流Ieを測定した結果、放出電流Ieの
平均は0.6μAとなり、電子放出効率が平均0.15
%となった。また、素子間の均一性も良好で、各素子間
での放出電流Ieのばらつきは5%と良好な値が得られ
た。
【0082】図12等に示すように、本実施形態で得ら
れる電子放出素子は放出電流Ieに対する3つの特徴を
有している。
【0083】まず、第1に、本実施形態で得られる電子
放出素子は、ある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図12中
のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流
Ieが増加し、しきい値電圧Vth以下では放出電流I
eがほとんど検出されない。すなわち、本実施形態で得
られる電子放出素子は、放出電流Ieに対する明確なし
きい値電圧Vthを有する非線形素子としての特性を示
している。
【0084】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依
存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御するこ
とができる。
【0085】第3に、アノード電極54に捕捉される放
出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。す
なわち、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子
電圧Vfを印加する時間により制御することができる。
【0086】次に、画像表示装置におけるフェースプレ
ート部の構造および製造方法について説明する。
【0087】図13は、フェースプレートの正面図であ
る。蛍光膜84(図2)は、モノクロームの場合には、
蛍光体のみから構成されるが、カラーの蛍光膜の場合に
は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブ
ラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電体91と蛍光
体92とから構成される。ブラックストライプ、ブラッ
クマトリクスが設けられるのは、カラー表示の場合必要
となる三原色蛍光体の、各蛍光体92間の塗り分け部を
黒くすることによって混色等を目立たなくするためであ
り、蛍光膜84における外光反射によるコントラストの
低下を抑制するためである。
【0088】また、蛍光膜84の内面側には、メタルバ
ック85が通常設けられる。メタルバック85が設けら
れるのは、蛍光体84の発光のうち、内面側への光をフ
ェースプレート86側へ鏡面反射することによって 輝
度を向上させるためであり、電子ビーム加速電圧を印加
するためのアノード電極として作用させるためである。
メタルバック85は、蛍光膜84の作製後、蛍光膜の内
面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)
を行い、その後、アルミニウム(Al)を真空蒸着等で
堆積することによって作製することができる。
【0089】前述の封着(外囲器90の形成)を行う
際、カラーの場合は各色蛍光体92と電子放出素子とを
対応させなくてはならないため、上下基板(リアプレー
トとフェースプレート)の突き当て法などによって、上
下基板の位置合わせを正確に行う必要がある。
【0090】封着時の外囲器90の真空度は、10-7
ール[Torr]程度の真空度が要求される。その他、
外囲器90の封止後の真空度を維持するために、ゲッタ
ー処理が行なわれる場合もある。ゲッター処理とは、外
囲器90の封止を行なう直前あるいは封止後に、抵抗加
熱あるいは高周波加熱等の加熱により、外囲器90内の
所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、
蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは、通常、バリ
ウム(Ba)等が主成分であり、その蒸着膜の吸着作用
により、例えば、1X10-5 乃至1X10-7[Tor
r]の真空度を維持するものである。
【0091】前述した本実施形態による表面伝導型電子
放出素子の基本的特性によれば、電子放出部からの放出
電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極間に印
加するパルス状電圧の波高値と幅によって制御され、そ
の中間値によっても電流量が制御され、もって中間調表
示が可能になる。
【0092】多数の電子放出素子がマトリクス状に配置
されている本実施形態の画像表示装置では、各ラインの
走査線信号によってライン(X配線のうちのいずれか)
を選択し、各情報信号ライン(Y配線のうちのいずれ
か)を通じて個々の素子に上記パルス状電圧を適宜印加
すれば、その素子に適宜電圧を印加することが可能とな
り、各素子をオンすることができる。また、中間調を有
する入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式とし
ては、電圧変調方式、パルス幅変調方式がある。
【0093】図14は、本実施形態の画像表示装置にお
ける電子放出素子の駆動装置の構成を示すブロック図で
ある。この駆動装置は、単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した表示パネルを利用した、NTSC方式の
テレビ信号(画像信号)を表示可能なテレビジョン表示
用の画像表示装置に用いられる駆動装置である。
【0094】図14を参照すると、この駆動装置は、画
像表示パネル(電子源基板およびフェースプレート)1
101と、走査回路1102と、制御回路1103と、
シフトレジスタ1104と、ラインメモリ1105と、
同期信号分離回路1106と、情報信号発生器1107
と、高電圧Vaを供給する直流電圧源とから構成され
る。
【0095】電子放出素子を備える画像表示パネル11
01の電子源基板には、X配線に、走査線信号を印加す
るXドライバ1102が接続されており、Y配線には、
情報信号が印加されるYドライバの情報信号発生器11
07が接続されている。
【0096】電子放出素子変調する方式として電圧変調
方式を実施するには、情報信号発生器1107として、
一定の長さの電圧パルスを発生するが、入力されるデー
タに応じて、適宜パルスの波高値を変調するような回路
が用いられる。一方、電子放出素子変調する方式として
パルス幅変調方式を実施するには、情報信号発生器11
07として、一定の波高値の電圧パルスを発生するが、
入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調す
るような回路が用いられる。
【0097】制御回路1103は、同期信号分離回路1
106より送信される同期信号Tsyncに基づいて、各部
に対してTscan、Tsft、Tmry の各制御信号を発生す
る。
【0098】同期信号分離回路1106は、外部から入
力されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分
の信号と輝度信号成分の信号とを分離するための回路で
ある。この輝度信号成分の信号は、同期信号に同期して
シフトレジスタ1104に入力される。
【0099】シフトレジスタ1104は、時系列的にシ
リアルに入力される前記輝度信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換して、制御回路1103より
送信されるシフトクロック信号Tsftに同期して動作す
る。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分のデ
ータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)は、
n個の並列信号としてシフトレジスタ1104から出力
される。
【0100】ラインメモリ1105は、画像1ライン分
のデータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置で
あり、ラインメモリ1105に記憶されたそれらのデー
タは、Tmryが入力されると、情報信号発生器1107に
入力される。
【0101】情報信号発生器1107は、各々の輝度信
号に応じて、電子放出素子の各々を適切に駆動する為の
信号源であり、その出力信号はY配線を通じて表示パネ
ル101に送信され、X配線によって選択中の走査ライ
ンとの交点にある各々の電子放出素子に印加される。し
たがって、走査信号によってX配線を順次走査すれば、
パネル全面の各電子放出素子を駆動することが可能とな
る。
【0102】本実施形態の画像表示装置では、上述の駆
動装置によって表示パネル内のXY配線のいずれかを導
通させ、電圧を印加することによって電子放出素子から
電子を放出させる。さらに、本実施形態の画像表示装置
では、アノード電極であるメタルバック85に高圧端子
v(図2)を介して高圧を印加し、発生した電子ビー
ムを加速し、蛍光膜84に衝突させることによって、画
像が表示される。
【0103】ここで述べた画像表示装置の構成は、本発
明の電子線装置の一実施形態であり、本発明の技術思想
に基づいて種々の変形が可能である。また、図14の駆
動回路では、入力信号としてNTSC方式を適用した
が、入力信号の方式はこれに限定されるものではなく、
PAL方式、ハイビジョン(HDTV)方式等の別の方
式の信号を適用することもできる。
【0104】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の
実施形態について説明する。以下の実施形態では、第1
の実施形態における画像表示装置に適用されたスペーサ
の変形例について述べるものとする。
【0105】図15は、本実施形態のスペーサの断面図
である。図15を参照すると、本実施形態のスペーサ
は、第1の実施形態と同様に、スペーサ基板1と、スペ
ーサ表面に被覆された高抵抗膜2と、スペーサに形成さ
れたスペーサ電極(図15では不図示)と、スペーサ基
板上に形成された凹凸部4とから構成される。
【0106】本実施形態のスペーサでは、凹凸部4の形
状は略台形である。その台形の斜面の斜度は80°以下
の45°である。つまり、スペーサの表面平坦部に対す
る凹凸部4の最大傾斜角度θは45°となる。また、凹
凸部4のピッチを50μmとし、凹凸部における全ての
平坦部の長さをほぼ同じとした。
【0107】スペーサ基板1は、第1の実施形態と同様
に、予め溝加工を施してある大きなガラス母材を加熱
し、そのガラス母材を軟化した状態で延伸することによ
って相似形に縮小させて形成される。
【0108】また、本実施形態のスペーサにおける高抵
抗膜2は、スパッタ装置を用いて生成される。そのスパ
ッタ装置では、タングステン(W)とゲルマニウム(G
e)をターゲットとし、流量比でアルゴン(Ar)と窒
素(N2)が7:3の混合ガスを1.0(Pa)のスパ
ッタ圧力でスパッタリングを行った。なお、基板とター
ゲット間の距離を約100mmとし、タングステン
(W)の投入出力を0.55W/cm2とし、ゲルマニ
ウム(Ge)ターゲットへの投入電力を2W/cm2
し、200nmの高抵抗膜2とした。
【0109】本実施形態の凹凸形状を有するスペーサ1
を、第1の実施形態と同様の画像表示装置に適用したと
ころ、長時間の駆動によるスペーサ近傍のビームずれの
変化が抑制された。
【0110】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施形態について説明する。図16は、本実施形態のス
ペーサの一部の上面図であり、図17は、図16のスペ
ーサを線分A−A’で切断した場合の断面図である。図
16、図17に示すように、本実施形態のスペーサの表
面上には、凸部71と、平坦部、すなわち凹部72とが
形成されている。また、図13に示すように、本実施形
態のスペーサは、凹凸が2次元マトリクス状に形成され
ていることを特徴とする。
【0111】本実施形態のスペーサでは、最大傾斜角度
θを80°以下の60°とし、スペーサ基板を、金型成
型法を用いて作製した。また、凹凸の高さを10μmと
し、凹凸ピッチを100μmとした。
【0112】本実施形態の凹凸形状を有するスペーサ1
を、第1の実施形態と同様の画像表示装置に適用したと
ころ、長時間の駆動によるスペーサ近傍のビームずれの
変化が抑制された。
【0113】(第4の実施形態)次に、本発明の第4の
実施形態について説明する。図18は、本実施形態のス
ペーサの表面の一部を示す上面図である。図18に示す
ように、本実施形態のスペーサの表面上には、凹部74
と、平坦部である凸部73とが形成されている。本実施
形態のスペーサは、凹部74が表面上に、2次元マトリ
クス状に配列されていることを特徴とする。本実施形態
のスペーサでは、第3の実施形態と異なり、スペーサ基
板上に穴を作製することによって凹部74を形成した。
【0114】図19は、図18に示すスペーサを線分A
−A’で切断した場合の'断面図である。本実施形態に
おいては、スペーサの表面に対する凹部74の最大傾斜
角度θを80°以下の55°とした。また、スペーサ基
板を、金型成型法を用いて作製し、凹74部と凸部73
の高低差を8μmとし、凹部74のピッチを120μmと
した。
【0115】本実施形態の凹凸形状を有するスペーサ1
を、第1の実施形態と同様に高抵抗膜を形成し、画像表
示装置に適用したところ、長時間の駆動によるスペーサ
近傍のビームずれの変化が抑制された。
【0116】以上述べたように、第1〜第4の実施形態
では、本実施形態のスペーサが適用された電子線装置の
応用である画像表示装置の実施形態について述べた。こ
の画像表示装置は、電極が電子源より放出された電子を
加速する加速電極を用い、入力信号に応じて冷陰極素子
から放出された電子をターゲットに照射して画像を表示
する画像表示装置であり、特に、ターゲットが蛍光体で
ある画像表示装置であった。また、その冷陰極素子は、
電子放出部を含む導電性膜を一対の電極間に有する素子
であり、特に、好ましくは表面伝導型放出素子である。
さらに電子源は、複数の行方向配線と複数の列方向配線
とでマトリクス配線された複数の冷陰極素子を有する単
純マトリクス状配置の電子源であった。電子源は、並列
に配置した複数の冷陰極素子の個々を両端で接続した冷
陰極素子の行を複数配し(行方向)、この配線と直交す
る方向(列方向)に沿って、冷陰極素子の上方に配した
制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、冷陰極素子から
の電子を制御するはしご状配置の電子源であった。
【0117】しかしながら、本発明の思想によれば、本
実施形態のスペーサを適用した電子線装置は、表示用と
して好適な画像表示装置への応用に制限されるものでは
なく、感光性ドラムと発光ダイオード等で構成された光
プリンタの発光ダイオード等の代替発光源として用いる
こともできる。
【0118】また、その際には、上述のm本の行方向配
線とn本の列方向配線を、適宜選択することで、ライン
状発光源だけでなく、2次元状の発光源としても応用す
ることができる。この場合、画像形成部材(フェースプ
レート)としては、上述の実施形態で述べた蛍光体のよ
うな直接発光する物質に限るものではなく、電子の帯電
による潜像画像が形成されるような部材を用いることも
できる。
【0119】また、本発明の思想によれば、例えば、電
子顕微鏡のように、電子源からの放出電子の被照射部材
が、蛍光体等の画像形成部材以外のものである場合につ
いても本発明を適用することができる。従って、本発明
の電子線装置は被照射部材を特定してはいない。
【0120】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の電子線装置
およびスペーサでは、凹凸を形成するスペーサの斜面の
最大傾斜角度θを80°以下とすることによって、スペ
ーサの抵抗の増大を防ぐことができるようになるため、
長時間の駆動に伴う電子の軌道の変化を抑制することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスペーサの構造を示す断面図である。
【図2】図1のスペーサの断面図である。
【図3】凹凸を形成する斜面の最大傾斜角度θを46°
とした場合と、84°とした場合の、駆動時間に対する
ビームの位置ずれを示す図である。
【図4】高抵抗膜をスパッタ法で形成する場合の基板の
角度と、高抵抗膜の比抵抗との関係を示すグラフであ
る。
【図5】本発明の第1の実施形態の画像表示装置の構造
を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の画像表示装置の構造
を示す斜視図である。
【図7】マトリクス状に電子放出素子を有するリアプレ
ート(ガラス基板)の上面図である。
【図8】素子膜28の形成工程を示す模式図である。
【図9】フォーミング処理におけるフォーミング電圧と
時間との関係を示すグラフである。
【図10】活性化処理における活性化電圧と時間との関
係を示すグラフである。
【図11】電子放出素子の電子放出特性を測定するため
の測定評価装置の構造を示す模式図である。
【図12】図11に示す測定評価装置により測定された
放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係
の一例を示すグラフである。
【図13】フェースプレートの正面図である。
【図14】本発明の第1の実施形態の画像表示装置にお
ける電子放出素子の駆動装置の構成を示すブロック図で
ある。
【図15】本発明の第2の実施形態のスペーサの断面図
である。
【図16】本発明の第3の実施形態のスペーサの一部の
上面図である。
【図17】図16のスペーサを線分A−A’で切断した
場合の断面図である。
【図18】本発明の第4の実施形態のスペーサの一部の
上面図である。
【図19】図18のスペーサを線分A−A’で切断した
場合の断面図である。
【図20】M.ハートウェルの素子構成を示す模式図で
ある。
【図21】従来の画像表示装置の構造を示す断面図であ
る。
【図22】スペーサ基板の断面図である。
【図23】従来の画像表示装置の構造を示す断面図であ
る。
【図24】電子軌道909aの初期ビーム位置からの変
化の様子を示すグラフである。
【符号の説明】
1、501、901 スペーサ基板 2、504、904 高抵抗膜 3、505a、505b、905a、905b スペ
ーサ電極 4 凹凸部 21 電子源基板 22、23 素子電極 24、89 Y配線 26、88 X配線 27、105、507a、507b、907a、907
b 電子放出部 28 素子膜 37 液滴付与手段 50、53 電流計 51、52 電源 54 電極 55 真空容器 56 排気ポンプ 71 凸部 72 凹部 73 凸部 74 凹部 81 ガラス基板 82、502、902 フェースプレート 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 支持枠 87 電子放出素子 90 外囲器 91 黒色導電体 92 蛍光体 100 スペーサ 101 基板 102、103 素子電極 104 導電性薄膜 503、903 リアプレート 906、506 配線電極 508a、508b、908a、908a’、908b
電子軌道 509、909 等電位線 1101 表示パネル 1102 走査回路 1103 制御回路 1104 シフトレジスタ 1105 ラインメモリ 1106 同期信号分離回路 1107 情報信号発生器 1108 直流電圧源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5C032 AA01 CC10 5C036 EE04 EE09 EF01 EF06 EF09 EG02 EH01 EH04 EH21

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子を放出する電子源が設けられた第1
    の基板と、 前記電子源が設けられた表面に対向して設けられた第2
    の基板と、 前記第1の基板と前記第2の基板との間隔を一定に保つ
    ために設けられたスペーサとを有する電子線装置におい
    て、 前記スペーサの表面のうち、前記第1の基板と前記第2
    の基板との間の空間に露出する表面に、凹部および凸部
    の両方またはいずれか一方で形成される起伏部が設けら
    れ、 前記スペーサの表面の平坦部に対する前記起伏部を形成
    する斜面の最大傾斜角度が80°以下であることを特徴
    とする電子線装置。
  2. 【請求項2】 前記最大傾斜角度が10°以上である請
    求項1記載の電子線装置。
  3. 【請求項3】 前記起伏部が、前記スペーサの表面上に
    周期的に形成されている請求項1または2記載の電子線
    装置。
  4. 【請求項4】 前記起伏部が、前記スペーサの表面上に
    ストライプ状に形成されている請求項1から3のいずれ
    か1項記載の電子線装置。
  5. 【請求項5】 前記起伏部の断面が、略台形状である請
    求項1から4のいずれか1項記載の電子線装置。
  6. 【請求項6】 前記起伏部が凸部で構成され、 前記凸部が前記スペーサの表面上に2次元マトリクス状
    に形成されている請求項1または2記載の電子線装置。
  7. 【請求項7】 前記起伏部が凹部で構成され、 前記凹部が前記スペーサの表面上に2次元マトリクス状
    に形成されている請求項1または2項記載の電子線装
    置。
  8. 【請求項8】 前記スペーサの表面上に、比抵抗が10
    2[Ω・cm]以上1010[Ω・cm]以下である帯電
    防止膜が成膜されている請求項1から7のいずれか1項
    記載の電子線装置。
  9. 【請求項9】 前記帯電防止膜の抵抗温度係数が、−1
    [%/℃]より大きい請求項8記載の電子線装置。
  10. 【請求項10】 前記帯電防止膜は、タングステンとゲ
    ルマニウムと窒素とを含有する請求項8または9記載の
    電子線装置。
  11. 【請求項11】 前記スペーサには、前記帯電防止膜と
    前記第1の基板とを接続するための電極が配設されてい
    る請求項8から10のいずれか1項記載の電子線装置。
  12. 【請求項12】 前記スペーサには、前記帯電防止膜と
    前記第2の基板とを接続するための電極が配設されてい
    る請求項8から11のいずれか1項記載の電子線装置。
  13. 【請求項13】 前記電子源は、冷陰極型の電子放出素
    子である請求項1から12のいずれか1項記載の電子線
    装置。
  14. 【請求項14】 前記冷陰極型の電子放出素子は、前記
    第1の基板上に設けられた一対の素子電極と、該素子電
    極間に跨り電子放出部を有する導電性薄膜とで構成され
    る表面伝導型電子放出素子である請求項13記載の電子
    線装置。
  15. 【請求項15】 前記導電性薄膜は導電性微粒子で構成
    されている請求項14記載の電子線装置。
  16. 【請求項16】 前記第1の基板上に複数の前記電子放
    出素子が2次元配列状に配置されている請求項13から
    15のいずれか1項記載の電子線装置。
  17. 【請求項17】 前記各電子放出素子の一対の素子電極
    は、 一方が、前記2次元配列の行方向に延びる複数の第1の
    配線のいずれか1つに接続され、他方が、前記2次元配
    列の列方向に延びる第2の配線のいずれか1つにそれぞ
    れ接続されている請求項16記載の電子線装置。
  18. 【請求項18】 前記第2の基板には、前記第1の基板
    に形成された電子源に対向する位置に蛍光膜が形成され
    ている請求項17記載の電子線装置。
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