JP2003221685A - 金属体の表面処理方法および金属物品 - Google Patents
金属体の表面処理方法および金属物品Info
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Abstract
かも酸腐食による寸法変化のおそれのない金属体の表面
処理方法および耐食性や塗料との密着性にすぐれた金属
物品を提供する。 【解決手段】 水に少なくともマンガン化合物とキレー
ト剤とを溶解させ、pH9以上のアルカリ性に調整した
水溶液の中で金属体を加熱又は加熱・加圧することによ
り、前処理することなく離型剤やよごれを除去すること
ができる金属体の表面処理方法およびマグネシウム合
金、アルミニウム合金等からなる金属体の表面に、金属
と表面処理液との加熱下又は加熱・加圧下における反応
生成物を含む耐食性および塗料との密着性にすぐれた金
属物品である。
Description
などによって成形した金属体の表面の清浄化及び封孔処
理等の表面処理を低コストで行い、均一な表面が得られ
る表面処理方法および表面処理されて耐食性の良い表面
処理皮膜が形成された金属物品及びその上に防食塗料を
塗布して防食皮膜を形成した金属物品に関する。
だ雰囲気中などにおいて塗装していない状態では腐食し
やすいものが多い。また、金属を成形した金属体の表面
には成形時に用いた離型剤が付着しているため、これを
前処理によって清浄化しておかないと、塗装しても塗装
膜の密着性を著しく低下、阻害し、早期に腐食が発生す
る要因となる。特に、金属体が鋳造物の場合は、その表
面に湯じわやクラックなどが存在し、離型剤がそれらの
間に入り込んでいて前処理をおこなっても残り易いとい
う問題がある。
(a)金属体表面をアルカリ脱脂、酸洗い、あるいはブ
ラスト研磨により、表面清浄を行う前処理工程、(b)
クロム酸塩(クロメート)等による化成処理を行う下地
処理工程の後、(c)防食塗料を塗布する塗布工程を行
っていた。しかし、(a)前処理工程のブラスト研磨は
複雑な成形品の場合深い凹部の中などを清浄化すること
は難しく、アルカリ脱脂、酸洗いなどの処理は残留する
水との接触で腐食を生じ易い。(b)また、下地処理工
程のクロメート処理は人体への影響などの点から低減化
が急がれており、適用に問題が残されている。(c)そ
して、下地処理工程の後、防食塗料を塗布するまでの間
に腐食を生じない耐久性も十分とはいえず、これに代わ
る他の有効な化成処理方法もないというのが現状であ
る。
軽量化素材合金などの金属材料の成形品が環境適合材料
として多方面で使用が開始されているが、その成形品は
特に複雑な形状が多い。このため表面処理方法では防食
層である防食皮膜の密着性や耐食性に十分な効果が得ら
れていない。したがって、これらの金属体に適した表面
処理方法と耐食性にすぐれた防食皮膜を有する表面処理
法およびこれらに適合する防食剤の開発は、これらの金
属体の用途を著しく拡大させることになり、その出現が
望まれていた。
は先に、鋳造物を液体中で加熱・加圧処理する表面処理
方法とその方法で表面処理した鋳造物品について提案し
た(特願2001−126623)。この方法によれ
ば、前処理の必要がなく、複雑な形状の鋳造物でもその
表面処理ができ、しかも表面処理皮膜が均一に形成され
るので、耐食性にすぐれた鋳造物品が得られる。しか
し、表面処理液が酸性である場合には、鋳造物に限ら
ず、金属体と表面処理液の種類によっては、酸腐食を生
じ、寸法が僅かながら減少したり、孔食が生じたり、表
面に不均一性があらわれたりする場合がある。また表面
処理液にアルカリ性化合物を添加してそれを防止しよう
とすると、沈殿を生じ、表面処理液の機能が低下して安
定した表面処理皮膜の形成ができなくなるという問題が
あった。
るものであって、請求項1および請求項2の発明は、金
属体の表面浄化などの前処理工程と下地処理工程に代わ
る、低コストで人体への影響の懸念がなく、しかも金属
体の種類に関係なく腐食による寸法変化や、表面の不均
一性を生じるおそれがなく、安定してすぐれた表面処理
皮膜を形成することができる効果的な金属体の表面処理
方法の提供を課題とし、請求項3乃至請求項6に記載の
発明は、耐食性に優れた表面処理皮膜または複合防食皮
膜を有する金属物品の提供を課題とする。
め、請求項1記載の発明は、金属体を液体中で加熱又は
加熱・加圧することにより、前記金属体の表面処理をす
る金属体の表面処理方法であって、前記液体は、水に少
なくともマンガン化合物とキレート剤とを溶解させ、p
H9以上のアルカリ性に調整した水溶液であり、前記加
熱温度は35℃以上、加熱又は加熱・加圧時間は1分以
上とすることを特徴とする。
なくともマンガン化合物とキレート剤とを溶解させた水
溶液であり、その水溶液中において少なくとも35℃以
上で、1分以上加熱又は加熱・加圧されるから、表面が
清浄化され、かつ安定してすぐれた表面処理皮膜が得ら
れ、かつキレート剤の添加量によってpH9以上のアル
カリ性に調整した水溶液であるから、金属体の種類に関
わらず酸腐食による寸法減少や孔食、表面荒れなどを生
ずるおそれもない。
属体の表面処理法において、前記液体は、水にマンガン
化合物とキレート剤と珪酸塩またはモリブデン化合物の
いずれかもしくは両方とを溶解させ、pH9以上のアル
カリ性に調整した水溶液であることを特徴とする。
ンを添加することによって、さらに耐腐食性を改善で
き、かつpH9以上のアルカリ性に調整するのが容易に
なる。
グネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、
鉄、鉄合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、錫又は錫合
金のうちのいずれか1種からなる金属体の表面に、表面
処理皮膜が形成された金属物品であって、前記表面処理
皮膜は、前記金属物品を形成する金属と表面処理液との
加熱下又は加熱・加圧下における反応生成物を含み、前
記表面処理液は、水に少なくともマンガン化合物とキレ
ート剤とを溶解させ、pH9以上のアルカリ性に調整し
た水溶液であることを特徴とする。
物品を形成する金属と表面処理液との加熱下又は加熱・
加圧下における反応生成物を含んでいるので、表面処理
皮膜がそれ自体だけでも耐食性を有するとともに、その
上に防食皮膜を設ける場合は、それとの密着性がよく、
pH9以上のアルカリ性に調整した水溶液を表面処理液
として形成される表面処理皮膜であるから、寸法減少も
なく、高い寸法精度が得られる。
属物品において、前記表面処理液は、水にマンガン化合
物とキレート剤と珪酸塩またはモリブデン化合物のいず
れかもしくは両方とを溶解させ、pH9以上のアルカリ
性に調整した水溶液であることを特徴とする。
より表面処理皮膜の耐食性がさらに向上する。
載の金属物品において、前記表面処理皮膜上に、樹脂を
有機溶剤または水で溶解してなる防食塗料を塗布し硬化
させて、防食皮膜を形成してなることを特徴とする。
に設ける防食層との密着性がよいので、きわめて耐食性
にすぐれた複合防食皮膜が得られる。
いずれかに記載の金属物品において、前記金属体は、マ
グネシウムまたはマグネシウム合金からなることを特徴
とする。
ムまたはマグネシウム合金からなるので、本来酸に弱い
金属であるにもかかわらず腐食による寸法減少がなく、
耐食性にすぐれた表面処理皮膜や防食複合皮膜が寸法精
度よく形成され、しかも軽量であり、加工容易な金属物
品が得られる。
して説明する。図1は、本発明の金属体の表面処理方
法、表面処理された金属体及び金属物品を説明するため
の模式図であり、金属体としては鋳造物を例にとって説
明する。図1において、20は、表面処理を行い、防食
皮膜を施す鋳造物であり、図1(a)は表面処理を行う
前の鋳造物20の模式図である。図1(b)において、
1は本発明の実施形態の一例である鋳造物品であり、鋳
造物品1は、鋳造物20に表面処理を行い表面処理皮膜
30を形成してなる。図1(c)において、10は、別
の実施形態例である鋳造物品を示すものであり、鋳造物
品10は、前記鋳造物品1の表面処理皮膜30上に防食
塗料を塗布して防食皮膜40を形成してなる。
説明する。鋳造物20の表面には、目的とする物品の形
状がなす凹凸のほかに、バリや湯じわなどの小さな凸部
21や、細孔やクラックなど小さな凹部22などの凹凸
が存在し、また図示していないが、離型剤の残渣などが
鋳造物20の表面や凸部21の影の部分や凹部22の内
部に付着している。
鋳造物20をオートクレーブ等の容器の液体中に浸漬
し、加熱または加熱・加圧処理することにより、上記離
型剤残渣などの付着物を溶解または軟化し、前記鋳造物
20の表面だけでなく凸部21の影の部分や凹部22の
内部からもきれいに除去するのである。しかも、液体を
適宜選択することにより、鋳造物の金属と液体との間に
表面処理皮膜が形成され、鋳造物表面を均一に覆う。従
来、前処理工程と下地処理工程(化成処理工程)の2工
程で行われていた表面処理が1工程に短縮され、低コス
ト化がはかれるとともに人体への悪影響の懸念も払拭さ
れる。
ンガン化合物とキレート剤とを溶解させ、pH9以上の
アルカリ性に調整した水溶液、または 水にマンガ
ン化合物とキレート剤と珪酸塩またはモリブデン化合物
のいずれかもしくは両方とを溶解させ、pH9以上のア
ルカリ性に調整した水溶液である。
合物は、キレート剤と反応して、安定水溶液を形成す
る。その安定水溶液中に浸漬された金属体の金属と錯体
化されたマンガン化合物とが反応して耐食性にすぐれた
表面処理皮膜を形成する。しかも安定水溶液は、pH9
以上に調整されているので、金属体が腐食されて寸法が
減少したり表面が不均一になる恐れもない。の場合
は、それにさらに珪酸塩および/またはモリブデンが混
合されるので、pH9以上に調整するのがさらに容易で
あり、かつ鋳造物の金属と表面処理液との反応生成物を
含む表面処理皮膜の耐腐食性がさらに向上する。
酸、硼酸および酢酸と塩等との化合物、例えば燐酸二水
素マンガン、硫酸第一マンガンなどがある。キレート剤
はエチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレン
ジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミ
ン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシ
エチルイミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢
酸、1,3−ジアミノー2−ヒドロキシプロパン四酢
酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、ジヒドロキシエ
チルグリシン、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニ
トリロトリスメチレンホスホン酸、ホスホノブタン三カ
ルボン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸・マレイン酸コ
ポリマーのアルカリ金属塩、金属塩、アンモニウム塩お
よびアミン塩等の化合物である。
酸、四珪酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩およびア
ミン塩等の化合物である。
濃度、好ましくは5%以下の濃度とし、キレート剤を1
5%以下の濃度、好ましくは10%以下の濃度、珪酸塩
を15%以下の濃度、好ましくは10%以下の濃度とす
る(%はいずれも重量%を示し、以下同様とする)。上
記好ましい範囲は超えてもよいが、効果が飽和し、経済
的メリットがない。また、上限を超えると表面処理した
鋳造物の表面に表面処理液の残渣が付着し、塗料との密
着性不良の原因となる。
液の凝固点や沸点と関係するため一義的に特定できない
が、一般的には加熱温度35℃〜250℃、好ましくは
60℃〜180℃c、加圧は0〜20気圧、好ましくは
0〜10気圧、処理時間は1分〜300、好ましくは5
分〜120分の範囲で行われるが、鋳造物の種類により
異なる場合もある。処理温度が上記範囲を下回ると反応
速度が低下し、目的とする表面が得られない。250℃
以上で加熱してもよいが、表面処理液の種類によって
は、劣化進行が認められ、経済的にも好ましくない。
てもよいが、高圧処理の効果は飽和し、処理時間を12
0分以上とすることについても同様の傾向がみられ、工
業的コスト等への影響も大きいので好ましくない。また
一部の金属材料には寸法変化を伴う場合がある。なお、
表面処理液は上記のものに限定されるものではなく、鋳
造物の金属との結合力や取り扱い性等を考慮して適宜選
択可能である。また、加熱または加熱・加圧手段は、上
記の範囲に適したものであればよく、オートクレーブに
限定されるものではない。
が、成形の方法は鋳造に限らず、展伸などの方法であっ
てもよく、材質もそれぞれにあったものが選択される。
また、本発明の対象となる金属体の金属には、鉄、銅、
アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、および前記各
金属をベースとする合金が含まれる。特に、マグネシウ
ム、マグネシウム合金のように酸に弱い金属の場合は、
本来酸腐食により寸法減少のおそれがあるが、本発明の
表面処理方法によればそのおそれはなく、耐食性のある
表面処理皮膜が形成される。
す金属物品1は、金属体20の表面がきれいに清浄化さ
れており、かつ金属体20の金属と表面処理液との結合
力が強いので、表面処理皮膜30は、金属体20の表面
だけだなく、凸部21や凹部22の内部にいたるまで形
成され、表面が均一になる。しかもその表面処理皮膜3
0は、人体への悪影響のないものであり、しかもそれ自
体だけでも耐食性を有するとともに、後述する防食皮膜
との密着性がよい。
示す防食皮膜を形成する塗装方法について説明する。防
食塗料としては、樹脂を有機溶剤または水で溶解した塗
料の1種または2種以上が用いられる。樹脂材料として
は、エポキシ、ウレタン、フェノール、ポリオレフィ
ン、シリコーン、アルキド、アクリル、フッ素、メラミ
ン系樹脂等があげられる。
熱処理または硬化剤の使用により鋳造物表面に塗膜が形
成されるものであればよいが、硬化剤は樹脂材料に対し
効果的な量を添加することが好ましい。
け塗り、静電塗装、電着塗装等があげられるが特に限定
するものではない。金属体表面に塗布生成した防食層は
風乾または加熱処理、電子線照射、UV照射、硬化剤の
添加等で硬化する。これらの塗装方法における加熱処理
時間、塗料の濃度等については適宜選択できる。
本発明をさらに詳しく説明する。 (1)先ず、マグネシウム合金について述べる。 <試験片>先ず、マグネシウム合金について試験した。
評価用試験基材は、マグネシウム合金ASTM規格品A
Z91D(Al:8.5 〜9.5 %、Zn:0.45〜0.9 %、Mn:
0.17 %以上、残Mg−サイズ3×25×50mm)、A
M60B(Al:6.0 %、Mn:0.13%、残Mg−サイズ3×
25×50mm)、ZK51A(Zn:3.6 〜5.0 %、Z
r:0.5 〜1.0 %、残Mg−サイズ3×25×50m
m)、AZ31(Al:2.5〜3.5 %、Zn:0.5 〜1.5
%、Mn:0.15%以上、残Mg−サイズ3×25×50m
m)であって、酸、アルカリ、有機溶剤等で前処理して
いないものを使用した。なお、AZ91D,AM60
B,ZK51Aは鋳物材、AZ31は展伸材である。加
熱処理または加熱・加圧処理は全てオートクレーブを用
い、オートクレーブ中で水にマンガン化合物とキレート
剤とを溶解させ、pH9以上のアルカリ性に調整した水
溶液、または水にマンガン化合物とキレート剤と珪酸塩
および/またはモリブデン化合物とを溶解させ、pH9
以上のアルカリ性に調整した水溶液とし、これに試験基
材を浸漬し、加熱処理または加熱・加圧処理を行ない、
水洗後、温風乾燥して試験片とした。なお、マンガン化
合物としては、燐酸二水素マンガンまたは硫酸第一マン
ガンを用い、キレート剤としては、エチレンジアミン四
酢酸四ナトリウムまたはヒドロキシエチリデンスルホン
酸二ナトリウムを用い、珪酸塩としては、メタ珪酸ナト
リウム、モリブデン化合物としては、モリブデン酸ナト
リウムを用いた。
面処理皮膜の耐食性は、JIS Z 2371 (塩水噴
霧試験方法」により、試験基材表面に白錆が発生するの
を目視にて観察し、白錆発生までの時間(以下「耐久時
間」という)を測定した。そして、その評価を表1に示
す判断基準により3段階に区分した。「×」に該当する
耐久時間が24時間未満のものは少なくとも実用的に問
題を生じる可能性のあるものであり、「△」または
「○」に該当する耐久時間24時間以上のものは、少な
くとも実用的に問題ないものと考えられ、白錆発生まで
のの時間が長いものほど耐久性がある。
め、塗料として、ウレタン系樹脂塗料、例えば日本ペイ
ント株式会社製のユニポン 200系、シリコーン系樹
脂塗料、例えば千代田ケミカル株式会社製のチオライト
B−5007,エポキシ系樹脂塗料、例えば日本ペイン
ト株式会社製のニッペパワーバインド、メラミンアルキ
ド樹脂塗料、例えば日本ペイント株式会社製のオルガセ
レクト120を用い、これらの塗料単独または組み合わ
せたものを表面処理皮膜上にエアースプレーで塗布し、
厚さ20μmの塗膜を形成した。試験は、JIS K
5400「塗料一般試験方法」の8.5.1「碁盤目
法」により、試験片表面に碁盤目(1mm×1mm:1
00マス)を描き、JIS Z 1522に規定するセ
ロハン粘着テープを張り付けて、テープアップ後の格子
残存数を計測した。そして、その評価を表2に示す判断
基準により、区分した。「×」に該当する残存数100
マス未満のものは、実用的に問題を生じる可能性のある
ものであり、「○」に該当する残存数100マスのもの
はのものは少なくとも実用的に問題がないものと考えら
れる。
にマンガン化合物として燐酸二水素マンガンまたは硫酸
第一マンガン、キレート剤としてヒドロキシエチリデン
スルホン酸二ナトリウムを適量溶解させたものを基本と
し、必要に応じてメタ珪酸ナトリウムまたはオルト珪酸
ナトリウムなどの珪酸塩および/またはモリブデン酸ナ
トリウムなどのモリブデン化合物を加え、pH9以上に
調整したものを用いた実施例であつて、加熱加圧条件、
各処理剤の濃度、処理液のpHとその特性(評価結果)
を表3乃至表11に示す。なお、塗装密着性の評価につ
いては前述の塗料すべてについておこなったが評価結果
については差はなかった。これは後述する比較例の場合
も同様である。
いる処理剤の種類が実施例1〜66と同じであり、加熱
加圧条件または各処理剤の濃度またはPHが適正でない
表面処理方法を比較例とし、加熱加圧条件、各処理剤の
濃度、処理液のpHとその特性(評価結果)を表12乃
至表23に示す。
3の比較例1〜91を対比すれば、実施例1〜66は塩
水噴霧試験の耐久時間がすべて24時間以上であり、塗
料の密着性も合格であるのに対し、比較例1〜77は、
塗料の密着性がすべて不合格であり、比較例78〜91
は、表面処理液のPHが9未満であるため、腐食による
寸法変化(減少)または表面腐食が見られた。なお、各
試験基材について、表面処理を行なわないものについて
も同様の試験を行なったが、塩水噴霧試験においては1
時間以内に、寸法変化と表面腐食が発生し、塗装密着性
試験ももちろん不合格であった。
分かる。比較例1〜3、5〜11,17〜19,21〜
2325〜27,33〜35、37〜39、41〜4
3,49〜51,53〜55,57〜59,65〜76
は加熱温度が30℃(35℃未満)と低く、圧力もゼロ
または0.2kgfであるなど、表面処理条件が十分で
ないため不合格となり、比較例4,8,12,20,2
4,28、36,40,44,56,60は,加熱温度
が200℃、圧力12kgfと高いものの処理時間が
0.5分(1分未満)と極端に短いため不合格となって
いる。比較例13〜16、比較例29〜32、45〜4
8,61〜64は塗装密着性は不合格であるが、塩水噴
霧試験に合格しているのは、表面処理条件が適正であっ
たためと思われる。
8,61〜64が、表面処理条件が適正であるにもかか
わらず、塗装密着性において不合格となった理由は、表
面処理液の成分の濃度にある。比較例13〜16は、燐
酸二水素マンガンの濃度が10%を超え、エチレンジア
ミン四酢酸酸四ナトリウムの濃度が15%を超え、また
比較例29〜32は、そのうえメタ珪酸ナトリウムの濃
度が15%を超えたため、表面処理液の残渣が付着した
ためと思われる。比較例45〜48は,硫酸第一マンガ
ンの濃度が10%を超え、ヒドロキシエチリデンスルホ
ン酸二ナトリウムの濃度が15%を超え、また比較例6
1〜64は、そのうえオルト珪酸ナトリウムの濃度が1
5%を超えたため、表面処理液の残渣が付着したためと
思われる。
化合物を加えないもの(実施例1〜15、31〜45)
は塩水噴霧試験においてすべて△であったのに対し、加
えたもの(実施例16〜30、46〜66)には○のも
のがあり、加えた方が耐久性が良くなっているといえ
る。実施例において、珪酸塩またはモリブデン化合物を
加えないもの(実施例1〜15、31〜45)の塩水噴
霧試験結果は、すべて△(耐久時間24時間以上100
時間未満)であったが、珪酸塩またはモリブデン化合物
を加えたもの(実施例16〜30、46〜66)のなか
には○(耐久時間100時間以上)のものが見られ(加
熱加圧条件が150℃/4.5kgf/30分または2
00℃/12kgf/5分の場合)、全体として加えた
方が耐久性が良くなっているといえる。
べる。 <試験片>アルミニウム合金の評価用試験基材は、アル
ミニウム合金JIS規格品ADC12(Cu:1.50 〜3.5
%、Si:9.6〜12.0%、Mg:0.3%以下、Zn:1.0%以下、N
i:0.5%以下、Fe:1.3%以下、Mn:0.3%以下、Sn:0.3%
以下、残Al−サイズ3×25×50mm)、ASTM規
格品A356.0(Cu:0.20%以下、Si:6.5〜7.5 %、
Mg:0.25 〜0.45%、Zn:0.10 %以下、Fe:0.20 %以下、
Mn:0.10 %以下、Ti:0.20 %以下、残Al−サイズ3×2
5×50mm)、ASTM規格品1050(Si:0.25 %
以下、Fe:0.40 %以下、Cu:0.05 %以下、Mn:0.05 %以
下、Mg:0.05 %以下、Zn:0.05 %以下、Ti:0.03 %以
下、残Al−サイズ2 ×25×50mm),ASTM規格
品2024(Si:0.50 %以下、Fe:0.50%以下、Cu:3.8
〜4.9 %、Mn:0.30 〜0.9 %、Mg:1.2〜1.8 %、Cr:0.1
0 %以下、Zn:0.25 %以下、Ti:0.15 %以下、残Al−サ
イズ2 ×25×50mm), ASTM規格品3003
(Si:0.6%以下、Fe:0.7%以下、Cu:0.05 〜0.20%、M
n:1.0〜1.5 %、Zn:0.10 %以下、残Al−サイズ2 ×2
5×50mm), ASTM規格品4032(Si:11.0 〜
13.5%、Fe:1.0%以下、Cu:0.50 〜1.3 %、Mg:0.8〜1.
3 %、Cr:0.10 %以下、Zn:0.25 %以下、Ni:0.50 〜1.
30%、残Al−サイズ2 ×25×50mm), ASTM規
格品5032(Si:0.40 %以下、Fe:0.40 %以下、Cu:
0.10 %以下、Mn:0.40 〜1.0 %、Mg:4.0〜4.9 %、Cr:
0.05 〜0.25%、Zn:0.25 %以下、Ti:0.15 %以下、残A
l−サイズ2 ×25×50mm)であって、酸、アルカ
リ、有機溶剤等で前処理していないものを使用した。な
お、ADC12,A356は鋳物材、1050,202
4,3003,4032は展伸材である。、表面処理
は、マグネシウム合金の場合と同様におこなった。
面処理皮膜の耐食性は、マグネシウム合金の場合と同
様、JIS Z 2371 (塩水噴霧試験方法」によ
り、試験基材表面に白錆が発生するのを目視にて観察
し、白錆発生までの時間(以下「耐久時間」という)を
測定した。そして、その評価を表24(表1に同じ)に
示す判断基準により3段階に区分した。「×」に該当す
る耐久時間が24時間未満のものは少なくとも実用的に
問題を生じる可能性のあるものであり、「△」または
「○」に該当する耐久時間24時間以上のものは、少な
くとも実用的に問題ないものと考えられ、白錆発生まで
のの時間が長いものほど耐久性がある。
め、マグネシウム合金の場合と同様の塗料を用い、同様
の方法で塗布し、表面処理皮膜上に、厚さ20μmの塗
膜を形成した。試験も同様に、JIS K 5400
「塗料一般試験方法」の8.5.1「碁盤目法」によ
り、試験片表面に碁盤目(1mm×1mm:100マ
ス)を描き、JIS Z 1522に規定するセロハン
粘着テープを張り付けて、テープアップ後の格子残存数
を計測した。また、評価も同様に表25(表2に同じ)
に示す判断基準によりおこなった。「×」に該当する残
存数100マス未満のものは、実用的に問題を生じる可
能性のあるものであり、「○」に該当する残存数100
マスのものはのものは少なくとも実用的に問題がないも
のと考えられる。
て、マグネシウム合金の場合と同様のものを用いて前記
アルミニウム合金試料の表面処理をおこなった。加熱加
圧条件、各処理剤の濃度、処理液のpHとその特性(評
価結果)を表26乃至表34に示す。なお、塗装密着性
の評価については前述の塗料すべてについておこなった
が評価結果については差はなかった。これは後述する比
較例の場合も同様である。
用いる処理剤の種類が実施例67〜132と同じであ
り、加熱加圧条件または各処理剤の濃度またはPHが適
正でない表面処理方法を比較例とした。加熱加圧条件、
各処理剤の濃度、処理液のpHとその特性(評価結果)
を表35乃至表46に示す。
5〜46の比較例92〜182を対比すれば、実施例6
7〜132は塩水噴霧試験の耐久時間がすべて24時間
以上であり、塗料の密着性も合格であるのに対し、比較
例92〜168は、塗料の密着性がすべて不合格であ
り、比較例169〜182は、表面処理液のPHが9未
満であるため、腐食による寸法変化(減少)または表面
腐食が見られた。
分かる。比較例92〜94、96〜98,100〜10
2,108〜110、112〜114,116〜11
8、124〜126、128〜130,132〜13
4,140〜142,144〜146,148〜15
0,156〜167は加熱温度が30℃(35℃未満)
と低く、圧力もゼロまたは0.2kgfであるなど、表
面処理条件が十分でないため不合格となり、比較例9
5,99,103,111,115,119、127,
131,135,143,147、151は,加熱温度
が200℃、圧力12kgfと高いものの処理時間が
0.5分(1分未満)と極端に短いため不合格となって
いる。比較例105〜107、比較例120〜123、
136〜139,152〜155,168は塗装密着性
は不合格であるが、塩水噴霧試験に合格しているのは、
表面処理条件が適正であったためと思われる。
23、136〜139,152〜155,168が、表
面処理条件が適正であるにもかかわらず、塗装密着性に
おいて不合格となった理由は、表面処理液の成分の濃度
にある。比較例105〜107は、燐酸二水素マンガン
の濃度が10%を超え、エチレンジアミン四酢酸酸四ナ
トリウムの濃度が15%を超え、また比較例120〜1
23はそのうえメタ珪酸ナトリウムの濃度が15%を超
えたため、表面処理液の残渣が付着したためと思われ
る。また比較例136〜139は、硫酸第一マンガンの
濃度が10%を超え、ヒドロキシエチリデンスルホン酸
二ナトリウムの濃度が15%を超え、また比較例152
〜155は、そのうえオルト珪酸ナトリウムが15%を
超え、比較例168の場合はモリブデン酸ナトリウムが
15%加えられたため、表面処理液の残渣が付着したた
めと思われる。
ン化合物を加えないもの(実施例67〜81、97〜1
11)と加えたもの(実施例82〜96、112〜13
2)との塩水噴霧試験結果の差は、あまり見られなかっ
た。
TM規格品AC41A(Al:3.5 〜4.3 %、Cu:0.75 〜1.
25%、Mg:0.02 〜0.06%、残Znーサイズ3×25×50
mm), AG40A(Al:3.5〜4.3 %、Cu:0.25 以下、
Mg:0.02 〜0.06%、残Znーサイズ3×25×50mm)
であって、酸、アルカリ、有機溶剤等で前処理していな
いものを使用した。なお、上記基材は両方とも鋳物材で
ある。表面処理は、マグネシウム合金の場合と同様にお
こなった。 <試験・評価方法>こうして形成された表面処理皮膜の
耐食性は、マグネシウム合金の場合と同様、JIS Z
2371 (塩水噴霧試験方法」により、試験基材表面
に白錆が発生するのを目視にて観察し、白錆発生までの
時間(以下「耐久時間」という)を測定した。そして、
その評価を表47に示す判断基準(表1、表24に同
じ)により3段階に区分した。「×」に該当する耐久時
間が24時間未満のものは少なくとも実用的に問題を生
じる可能性のあるものであり、「△」または「○」に該
当する耐久時間24時間以上のものは、少なくとも実用
的に問題ないものと考えられ、白錆発生までの時間が長
いものほど耐久性がある。
温高湿試験」試験条件:85℃×85%RHにより、試
験基材表面(平面部、エッジ部)に白錆が発生するのを
目視にて観察し、白錆発生までの時間(以下「耐久時
間」という)を測定した。そして、その評価を表48に
示す判断基準により3段階に区分した。「×」に該当す
る耐久時間が24時間未満のものは少なくとも実用的に
問題を生じる可能性のあるものであり、「△」または
「○」に該当する耐久時間24時間以上のものは、少な
くとも実用的に問題ないものと考えられ、白錆発生まで
の時間が長いものほど耐久性がある。
て、マグネシウム合金の場合と同様のものを用いて前記
亜鉛合金試料の表面処理をおこなった。加熱加圧条件、
各処理剤の濃度、処理液のpHとその特性(評価結果)
を表49乃至表56に示す。
て用いる処理剤の種類が実施例141〜192と同じで
あり、加熱加圧条件または各処理剤の濃度またはPHが
適正でない表面処理方法を比較例とした。加熱加圧条
件、各処理剤の濃度、処理液のpHとその特性(評価結
果)を表57乃至表65に示す。
57〜65の比較例183〜250を対比すれば、実施
例133〜192は塩水噴霧試験の耐久時間が24時間
以上または100時間以上であり、高温高湿試験の耐久
時間がすべて200時間以上であるのに対し、比較例1
83〜241は、高温高湿試験がすべて不合格であり、
比較例243〜250は、表面処理液のPHが9未満で
あるため、腐食による表面不均一性が見られた。
分かる。比較例183〜185、187〜189,19
1〜193,200〜201、203〜205,207
〜209、215〜217、219〜221,223〜
225,231〜233,235〜237,239〜2
41は加熱温度が30℃(35℃未満)と低く、圧力も
ゼロまたは0.2kgfであるなど、表面処理条件が十
分でないため不合格となり、比較例186,190,1
94,202,206,210、218,222,22
6,234,238、242は,加熱温度が200℃、
圧力12kgfと高いものの処理時間が0.5分(1分
未満)と極端に短いため不合格となっている。比較例1
95〜198、比較例211〜214、227〜230
は高温高湿試験には不合格であるが、塩水噴霧試験に合
格しているのは、表面処理条件が適正であったためと思
われる。
0が、表面処理条件は適正でありながら高温高湿試験に
不合格となるのは、表面処理液の成分の濃度にある。比
較例195〜198は、燐酸二水素マンガンの濃度が1
0%を超え、エチレンジアミン四酢酸酸四ナトリウムの
濃度が15%を超え、また比較例211〜214は、そ
のうえメタ珪酸ナトリウムの濃度が15%を超えたた
め、表面処理液の残渣が付着したためと思われる。また
比較例227〜230は、燐酸二水素マンガンの濃度が
10%を超え、エチレンジアミン四酢酸酸四ナトリウム
の濃度が15%を超え、モリブデン酸ナトリウムが15
%加えられたため、表面処理液の残渣が付着したためと
思われる。
化合物を加えないもの(実施例133〜147)の塩水
噴霧試験結果は、すべて△(耐久時間24時間以上10
0時間未満)であったが、珪酸塩またはモリブデン化合
物を加えたもの(実施例148〜192)のなかには○
(耐久時間100時間以上)のものが見られ(加熱加圧
条件が150℃/4.5kgf/30分または200℃
/12kgf/5分の場合)、全体として加えた方が耐
久性が良くなっているといえる。
格品FC200(C:3.37%、Si:1.53 %、Mn:0.55 %、
残Fe−サイズ3×25×50mm)、S45C(C:0.42
〜0.48%、Si:0.15 〜0.35%、Mn:0.6〜0.9 %、残Fe−
サイズ3×25×50mm)、SPCC(C:0.12%以
下、Mn:0.5%以下、P:0.04%以下、S:0.045 %以下、残
Fe−サイズ3×25×50mm)であって、酸、アルカ
リ、有機溶剤等で前処理していないものを使用した。な
お、FC200は鋳物材、S45C,SPCCは展伸材
である。表面処理は、マグネシウム合金の場合と同様に
おこなった。
面処理皮膜の耐食性は、マグネシウム合金の場合と同
様、JIS Z 2371 (塩水噴霧試験方法」によ
り、試験基材表面に赤錆が発生するのを目視にて観察
し、白錆発生までの時間(以下「耐久時間」という)を
測定した。そして、その評価を表66に示す判断基準に
より3段階に区分した。「×」に該当する耐久時間が5
時間未満のものは少なくとも実用的に問題を生じる可能
性のあるものであり、「△」または「○」に該当する耐
久時間5時間以上のものは、少なくとも実用的に問題な
いものと考えられ、赤錆発生までの時間が長いものほど
耐久性がある。
め、マグネシウム合金の場合と同様の塗料を用い、同様
の方法で塗布し、表面処理皮膜上に、厚さ20〜40μ
mの塗膜を形成した。試験も同様に、JIS K 54
00「塗料一般試験方法」の8.5.1「碁盤目法」に
より、試験片表面に碁盤目(1mm×1mm:100マ
ス)を描き、JIS Z 1522に規定するセロハン
粘着テープを張り付けて、テープアップ後の格子残存数
を計測した。また、評価も同様に表67(表2に同じ)
に示す判断基準によりおこなった。「×」に該当する残
存数100マス未満のものは、実用的に問題を生じる可
能性のあるものであり、「○」に該当する残存数100
マスのものはのものは少なくとも実用的に問題がないも
のと考えられる。
て、マグネシウム合金の場合と同様のものを用いて前記
鉄合金の表面処理をおこなった。加熱加圧条件、各処理
剤の濃度、処理液のpHとその特性(評価結果)を表6
8乃至表71に示す。なお、塗装密着性の評価について
は前述の塗料すべてについておこなったが評価結果につ
いては差はなかった。これは後述する比較例の場合も同
様である。
剤の種類が実施例193〜252と同じであり、加熱加
圧条件または各処理剤の濃度またはPHが適正でない表
面処理方法を比較例とした。加熱加圧条件、各処理剤の
濃度、処理液のpHとその特性(評価結果)を表76乃
至表84に示す。
76〜84の比較例251〜318を対比すれば、実施
例193〜252は塩水噴霧試験の耐久時間がすべて5
時間以上であり、塗料の密着性も合格であるのに対し、
比較例251〜310は、塗料の密着性がすべて不合格
であり、比較例311〜318は、表面処理液のPHが
9未満であるため、腐食による寸法変化(減少)または
表面腐食が見られた。
分かる。比較例251〜253、255〜257,25
9〜261,267〜269、271〜273,275
〜277、283〜285、287〜289,291〜
293,299〜301,303〜305,307〜3
09は加熱温度が30℃(35℃未満)と低く、圧力も
ゼロまたは0.2kgfであるなど、表面処理条件が十
分でないため不合格となり、比較例254,258,2
62,270,274,278、286,290,29
4,302,306、310は,加熱温度が200℃、
圧力12kgfと高いものの処理時間が0.5分(1分
未満)と極端に短いため不合格となっている。比較例2
63〜266、279〜282、295〜298は塗装
密着性は不合格であるが、塩水噴霧試験に合格している
のは、表面処理条件が適正であったためと思われる。
82、295〜298は表面処理条件が適正であるにも
かかわらず、塗装密着性において不合格となった理由
は、表面処理液の成分の濃度にある。比較例263〜2
66は、燐酸二水素マンガンの濃度が10%を超え、エ
チレンジアミン四酢酸酸四ナトリウムの濃度が15%を
超え、また比較例279〜282はそのうえメタ珪酸ナ
トリウムの濃度が15%を超えたため、表面処理液の残
渣が付着したためと思われる。また比較例295〜29
8は、燐酸二水素マンガンの濃度が10%を超え、エチ
レンジアミン四酢酸酸四ナトリウムの濃度が15%を超
え、そのうえモリブデン酸ナトリウムが15%加えられ
たため、表面処理液の残渣が付着したためと思われる。
化合物を加えないもの(実施例193〜207)の塩水
噴霧試験結果は、すべて△(耐久時間5時間以上24時
間未満)であったが、珪酸塩またはモリブデン化合物を
加えたもの(実施例208〜252)のなかには○(耐
久時間24時間以上)のものが見られ(加熱加圧条件が
150℃/4.5kgf/30分または200℃/12
kgf/5分の場合)、全体として加えた方が耐久性が
良くなっているといえる。
求項1記載の発明によれば、表面処理液が、水に少なく
ともマンガン化合物とキレート剤とを溶解させた水溶液
であるから、安定してすぐれた表面処理皮膜が得られ、
かつキレート剤の添加量によってpH9以上のアルカリ
性に調整した水溶液であるから、金属体の種類に関わら
ず酸腐食による寸法減少を生ずるおそれもない。また、
人体への影響の懸念もなく低コストで処理できる。
載の発明の効果に加えて、水にマンガン化合物とキレー
ト剤のほかに珪酸塩またはモリブデン化合物のいずれか
もしくは両方を添加することによって、さらに耐腐食性
を改善でき、かつpH9以上のアルカリ性に調整するの
が容易になる。
ム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合
金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、錫又は
錫合金のうちのいいずれか1種を鋳造してなる金属体の
表面に、表面処理皮膜が形成された金属物品であって、
表面処理皮膜が、金属物品を形成する金属と表面処理液
との加熱下又は加熱・加圧下における反応生成物を含ん
でいるので、表面処理皮膜がそれ自体だけでも耐食性を
有するとともに、その上に防食皮膜を設ける場合は、そ
れとの密着性がよく、pH9以上のアルカリ性に調整し
た水溶液を表面処理液として形成される表面処理皮膜で
あるから、寸法減少もなく、高い寸法精度が得られる。
載の発明の効果に加えて、表面処理皮膜の耐食性がさら
に向上する。
は4記載の発明の効果に加えて、表面処理皮膜と、その
上に樹脂を有機溶剤または水で溶解してなる防食塗料を
塗布し硬化させて形成する防食皮膜との密着性がよいの
で、きわめて耐食性にすぐれた複合防食皮膜が得られ
る。
至5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、金属体
が、マグネシウムまたはマグネシウム合金からなるの
で、本来酸に弱い金属であるにもかかわらず腐食による
寸法減少がなく、耐食性にすぐれた表面処理皮膜や防食
複合皮膜が寸法精度よく形成され、しかも軽量であり、
加工も容易である。
た金属体及び金属物品を説明するための模式図である。
6)
酸、硼酸および酢酸と塩等との化合物、例えば燐酸二水
素マンガン、硫酸第一マンガンなどがある。キレート剤
は、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレ
ンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリア
ミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキ
シエチルイミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢
酸、1,3−ジアミノー2−ヒドロキシプロパン四酢
酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、ジヒドロキシエ
チルグリシン、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニ
トリロトリスメチレンホスホン酸、ホスホノブタン三カ
ルボン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸・マレイン酸コ
ポリマーの、金属塩、アンモニウム塩およびアミン塩等
の化合物である。
本発明をさらに詳しく説明する。 (1)先ず、マグネシウム合金について述べる。 <試験片>先ず、マグネシウム合金について試験した。
評価用試験基材は、マグネシウム合金ASTM規格品A
Z91D(Al:8.5 〜9.5 %、Zn:0.45〜0.9 %、Mn:
0.17 %以上、残Mg−サイズ3×25×50mm)、A
M60B(Al:6.0 %、Mn:0.13%、残Mg−サイズ3×
25×50mm)、ZK51A(Zn:3.6 〜5.0 %、Z
r:0.5 〜1.0 %、残Mg−サイズ3×25×50m
m)、AZ31(Al:2.5〜3.5 %、Zn:0.5 〜1.5
%、Mn:0.15%以上、残Mg−サイズ3×25×50m
m)であって、酸、アルカリ、有機溶剤等で前処理して
いないものを使用した。なお、AZ91D,AM60
B,ZK51Aは鋳物材、AZ31は展伸材である。加
熱処理または加熱・加圧処理は全てオートクレーブを用
い、オートクレーブ中で水にマンガン化合物とキレート
剤とを溶解させ、pH9以上のアルカリ性に調整した水
溶液、または水にマンガン化合物とキレート剤と珪酸塩
および/またはモリブデン化合物とを溶解させ、pH9
以上のアルカリ性に調整した水溶液とし、これに試験基
材を浸漬し、加熱処理または加熱・加圧処理を行ない、
水洗後、温風乾燥して試験片とした。なお、マンガン化
合物としては、燐酸二水素マンガンまたは硫酸第一マン
ガンを用い、キレート剤としては、エチレンジアミン四
酢酸四ナトリウムまたはヒドロキシエチリデンジホスホ
ン酸二ナトリウムを用い、珪酸塩としては、メタ珪酸ナ
トリウム、モリブデン化合物としては、モリブデン酸ナ
トリウムを用いた。
にマンガン化合物として燐酸二水素マンガンまたは硫酸
第一マンガン、キレート剤としてヒドロキシエチリデン
ジホスホン酸二ナトリウムを適量溶解させたものを基本
とし、必要に応じてメタ珪酸ナトリウムまたはオルト珪
酸ナトリウムなどの珪酸塩および/またはモリブデン酸
ナトリウムなどのモリブデン化合物を加え、pH9以上
に調整したものを用いた実施例であつて、加熱加圧条
件、各処理剤の濃度、処理液のpHとその特性(評価結
果)を表3乃至表11に示す。なお、塗装密着性の評価
については前述の塗料すべてについておこなったが評価
結果については差はなかった。これは後述する比較例の
場合も同様である。
8,61〜64が、表面処理条件が適正であるにもかか
わらず、塗装密着性において不合格となった理由は、表
面処理液の成分の濃度にある。比較例13〜16は、燐
酸二水素マンガンの濃度が10%を超え、エチレンジア
ミン四酢酸酸四ナトリウムの濃度が15%を超え、また
比較例29〜32は、そのうえメタ珪酸ナトリウムの濃
度が15%を超えたため、表面処理液の残渣が付着した
ためと思われる。比較例45〜48は,硫酸第一マンガ
ンの濃度が10%を超え、ヒドロキシエチリデンジホス
ホン酸二ナトリウムの濃度が15%を超え、また比較例
61〜64は、そのうえオルト珪酸ナトリウムの濃度が
15%を超えたため、表面処理液の残渣が付着したため
と思われる。
23、136〜139,152〜155,168が、表
面処理条件が適正であるにもかかわらず、塗装密着性に
おいて不合格となった理由は、表面処理液の成分の濃度
にある。比較例105〜107は、燐酸二水素マンガン
の濃度が10%を超え、エチレンジアミン四酢酸酸四ナ
トリウムの濃度が15%を超え、また比較例120〜1
23はそのうえメタ珪酸ナトリウムの濃度が15%を超
えたため、表面処理液の残渣が付着したためと思われ
る。また比較例136〜139は、硫酸第一マンガンの
濃度が10%を超え、ヒドロキシエチリデンジホスホン
酸二ナトリウムの濃度が15%を超え、また比較例15
2〜155は、そのうえオルト珪酸ナトリウムが15%
を超え、比較例168の場合はモリブデン酸ナトリウム
が15%加えられたため、表面処理液の残渣が付着した
ためと思われる。
面処理皮膜の耐食性は、マグネシウム合金の場合と同
様、JIS Z 2371 (塩水噴霧試験方法」によ
り、試験基材表面に赤錆が発生するのを目視にて観察
し、赤錆発生までの時間(以下「耐久時間」という)を
測定した。そして、その評価を表66に示す判断基準に
より3段階に区分した。「×」に該当する耐久時間が5
時間未満のものは少なくとも実用的に問題を生じる可能
性のあるものであり、「△」または「○」に該当する耐
久時間5時間以上のものは、少なくとも実用的に問題な
いものと考えられ、赤錆発生までの時間が長いものほど
耐久性がある。
Claims (6)
- 【請求項1】 金属体を液体中で加熱又は加熱・加圧す
ることにより、前記金属体の表面処理をする金属体の表
面処理方法であって、 前記液体は、水に少なくともマンガン化合物とキレート
剤とを溶解させ、pH9以上のアルカリ性に調整した水
溶液であり、 前記加熱の温度は35℃以上、加熱又は加熱・加圧の時
間は1分以上とすることを特徴とする金属体の表面処理
方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の金属体の表面処理方法に
おいて、 前記液体は、水にマンガン化合物とキレート剤と珪酸塩
またはモリブデン化合物のいずれかもしくは両方とを溶
解させ、pH9以上のアルカリ性に調整した水溶液であ
ることを特徴とする金属体の表面処理方法。 - 【請求項3】 マグネシウム、マグネシウム合金、アル
ミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、銅、銅合
金、亜鉛、亜鉛合金、錫又は錫合金のうちのいいずれか
1種からなる金属体の表面に、表面処理皮膜が形成され
た金属物品であって、 前記表面処理皮膜は、前記金属物品を形成する金属と表
面処理液との加熱下又は加熱・加圧下における反応生成
物を含み、 前記表面処理液は、水に少なくともマンガン化合物とキ
レート剤とを溶解させ、pH9以上のアルカリ性に調整
した水溶液であることを特徴とする金属物品。 - 【請求項4】 請求項3記載の金属物品において、 前記表面処理液は、水にマンガン化合物とキレート剤と
珪酸塩またはモリブデン化合物のいずれかもしくは両方
とを溶解させ、pH9以上のアルカリ性に調整した水溶
液であることを特徴とする金属物品。 - 【請求項5】 請求項3又は4記載の金属物品におい
て、 前記表面処理皮膜上に、樹脂を有機溶剤または水で溶解
してなる防食塗料を塗布し硬化させて、防食皮膜を形成
してなることを特徴とする金属物品。 - 【請求項6】 請求項3乃至5のいずれかに記載の金属
物品において、 前記金属体は、マグネシウム合金からなることを特徴と
する金属物品。
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