JP2015004136A - 亜鉛金属表面の耐食性皮膜形成方法 - Google Patents

亜鉛金属表面の耐食性皮膜形成方法 Download PDF

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祐一 川戸
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美津雄 坂本
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Abstract

【課題】安全性、操作性に優れ、亜鉛の白錆に対する防錆性能に優れた被覆をもたらすことができる亜鉛金属表面の処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明の耐食性皮膜形成方法は、亜鉛表面に、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物と珪酸化合物とを含有するpH(25℃)が9〜14のコーティング処理液を接触させる工程を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、亜鉛表面に耐食性皮膜を形成させる方法に関する。
鉄鋼製品・部品の防錆の防錆・防食方法として亜鉛系メッキが安価で信頼性のある効果的な方法として採用されてきた。さらに、その亜鉛メッキの防錆・防食能力を向上させるために、従来から六価クロム(Cr(VI))の化合物による不動態化処理、いわゆるクロメート処理がメッキ表面に施され、耐食性に優れた保護皮膜の形成の方法として、採用されている。
クロメート処理は、電気亜鉛メッキに引き続き、Cr(VI)化合物を含む所定の溶液に浸漬処理後乾燥という簡便で経済的な処理工程によって、優れた耐食性を付与することができる。しかしながら、このCr(VI)は、細胞膜を通りやすく、大きな毒性があることが知られており、近年は表面処理に使用することが規制され始めた。
このためまずCr(VI)を含まないCr(III)化合物を主成分とする表面処理液が提案されている。例えば特許文献1にはCr(III)イオン、珪酸塩、フッ化物及び酸を含有することを特徴とする化成処理液が記載されている。しかし、当該化成処理液は、液安定性が悪い、処理方法が煩雑等多くの欠点を有している。さらに、Cr(III)は、酸化されCr(VI)を生成するという問題もあるため、全くのクロムフリー組成の化成処理液が望ましい。
このためクロムを全く用いないいくつかの表面処理技術が以下の文献において提案されている。
しかしながら、これらの処理方法も必ずしも満足いくものではなかった。特許文献2にはモリブデン酸、又はモリブデン酸塩の1種以上をモリブデン換算で10〜200g/l、アルミニウムのリン酸塩を0.01g/l以上含み、かつ有機酸又は無機酸を添加してpH1〜6に調製した酸性溶液で亜鉛被覆鋼材を処理する、亜鉛被覆鋼材の防錆処理方法が記載されている。しかし、当該方法は、耐食性が不足しているという問題がある。
特許文献3には、金属基体を(A)酸化性物質、(B)珪酸塩及び/又は二酸化珪素、ならびに(C)チタンイオンを含有し、pHが0.5〜6.0の範囲にある処理液に浸漬する方法が記載されている。しかし、この方法において用いる処理液は、酸化性物質の消耗とともに、チタンが沈殿してしまうという問題がある。また、当該処理液中の珪酸化合物が沈殿ゲル化を生じるため浴の安定性が悪く実際の適用には適さない。
特許文献4には、亜鉛系メッキあるいはアルミニウム系メッキ鋼板の表面に、高分子マトリックスにキレート形成基を有している高分子キレート化剤皮膜を形成するという、耐食性表面処理法が記載されている。しかし、当該方法では、複雑な形状の鋼板では端部等で皮膜が薄くなり耐食性が弱くなるという欠点がある。これは、端部の皮膜を厚くすることで解決できるが、それによって平面部の皮膜がさらに厚くなってしまうという問題点がある。
特許文献5には、被処理物を硝酸液に浸漬してその亜鉛メッキ表面の酸化皮膜を除去し、水洗した後に、被処理物を2価のマンガン塩(硫酸マンガン等)、アルミニウム塩及び亜鉛塩の少なくとも1種以上の金属塩と、珪酸アルカリ塩とを含有し、pH0.5〜3に調整されてなる亜鉛系メッキ品用化成処理液に浸漬する方法が記載されている。しかし、当該方法にて用いる化成処理液は、珪酸アルカリ塩と金属多価カチオンとが共存しているために金属珪酸塩として沈殿してしまうため、浴の安定性が悪いという問題がある。
特開昭61−587号公報 特開昭57−5875号公報 特開平9−53192号公報 特開平11−5061号公報 特開2002−47578号公報
本発明が解決しようとする課題は、安全性、操作性に優れ、亜鉛の白錆に対する防錆性能に優れた被覆をもたらすことができる亜鉛金属表面の処理方法を提供することである。
本発明者は、上記課題の解決のために鋭意研究を重ねた結果、亜鉛金属表面、溶融亜鉛メッキ又は電気亜鉛メッキ処理した亜鉛表面を、主成分として、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物と珪酸化合物とを含有するpH9〜14のコーティング処理液に接触させることにより、工業的に有利に、極めて優れた防錆性を有する非クロム防錆処理ができることを見出した。また、亜鉛金属表面、溶融亜鉛メッキ又は電気亜鉛メッキ処理した亜鉛表面を酸化処理等した後、上記処理を施すことにより、さらなる優れた防錆性を有する非クロム防錆処理ができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
従って、本発明は、以下の項に示す亜鉛表面に耐食性皮膜を形成させる方法を提供する。
項1.亜鉛表面に、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物と珪酸化合物とを含有するpH(25℃)が9〜14のコーティング処理液を接触させる工程を含む、亜鉛表面に耐食性皮膜を形成させる方法。
項2.前記亜鉛表面が、亜鉛金属表面、溶融亜鉛めっき表面又は電気亜鉛めっき処理した亜鉛金属表面である、項1に記載の方法。
項3.前記コーティング処理液中の、珪酸化合物の濃度が、二酸化珪素として、0.1〜30重量%である、項1又は2に記載の方法。
項4.前記コーティング工程の前に、亜鉛表面を酸化処理する工程をさらに含む、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
項5.前記酸化処理が、酸化剤を含む水溶液への亜鉛表面の浸漬又は亜鉛表面への酸化剤を含む水溶液の噴霧による酸化処理である、項4に記載の方法。
項6.前記酸化剤が過酸化水素である、項5に記載の方法。
項7.前記酸化剤の濃度が0.001〜35重量%である、項5又は6に記載の方法。
項8.前記酸化処理が亜鉛表面をカソード電解処理することにより行われる、項4に記載の方法。
項9.前記コーティング工程の後に、さらに、コーティング処理した亜鉛表面に、水溶性樹脂を含有する溶液を接触させる工程を含む、項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
項10.前記水溶性樹脂を含有する溶液中の水溶性樹脂の濃度が0.001〜70重量%である、項5に記載の方法。
項11.(A)亜鉛表面に、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物を含有する処理液を接触させる工程、ならびに
(B)亜鉛表面に、珪酸化合物を含有するpH(25℃)が9〜14の処理液を接触させる工程
を含む、亜鉛表面に耐食性皮膜を形成させる方法。
項12.前記亜鉛表面が、亜鉛金属表面、溶融亜鉛めっき表面又は電気亜鉛めっき処理した亜鉛金属表面である、項11に記載の方法。
項13.前記珪酸化合物を含有するpH(25℃)が9〜14の処理液中の、珪酸化合物の濃度が、二酸化珪素として、0.1〜30重量%である、項11又は12に記載の方法。
項14.前記(A)工程及び(B)工程の前に、亜鉛表面を酸化処理する工程をさらに含む、項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
項15.前記酸化処理が、酸化剤を含む水溶液への亜鉛表面の浸漬又は亜鉛表面への酸化剤を含む水溶液の噴霧による酸化処理である、項14に記載の方法。
項16.前記酸化剤が過酸化水素である、項15に記載の方法。
項17.前記酸化剤の濃度が0.001〜35重量%である、項15又は16に記載の方法。
項18.前記酸化処理が亜鉛表面をカソード電解処理することにより行われる、項14に記載の方法。
項19.前記(A)工程及び(B)工程の後に、さらに、処理後の亜鉛表面に、水溶性樹脂を含有する溶液を接触させる工程を含む、項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
項20.前記水溶性樹脂を含有する溶液中の水溶性樹脂の濃度が0.001〜70重量%である、項15に記載の方法。
本発明の方法により、亜鉛表面上に無機系皮膜を形成する非クロム表面処理剤を塗布したとき実用レベルの防錆性を付与し難い亜鉛表面を有する金属部材、例えば表面処理剤との相性が悪い電気亜鉛メッキされた金属部材であっても、その白錆に対する防錆性能を向上させる表面処理を施すことができる。
また、本発明の方法を用いると、亜鉛表面へのコーティング処理液の接触工程という一工程で処理した場合であっても、十分な耐食性を有する皮膜を形成させることができる。
その上、前記処理液を用いると、比較的低温条件下でコーティング層を乾燥することができる。
さらに、本発明によれば、環境、生態系に悪影響を及ぼすクロム化合物を含まない化成処理液が提供可能となる。これによりクロム系廃棄物を削減でき、鉄鋼製品の防錆防食処理に携わる作業者にとって安全な労働環境を可能とするとともに、消費者にとっても健康上安全な商品を提供できることから今後の環境保全対策に資すことができる。
以下に、本発明の詳細を実施形態に基づいてさらに詳しく説明する。
1.コーティング工程
本発明の方法は、亜鉛表面に、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物と珪酸化合物とを含有するpH(25℃)が9〜14のコーティング処理液を接触させる工程を含む。
本発明において亜鉛表面とは、本発明方法が対象とする、製品や部材の表面の少なくとも一部が亜鉛により構成されていればよく、溶融亜鉛メッキ又は電気亜鉛メッキされた鋼材表面だけでなく、亜鉛金属単体の場合も含む。
また、亜鉛金属、亜鉛を主成分とする合金のダイカスト部材にも本発明の非クロム防錆処理方法を適用することにより白錆の発生を長期間抑止することができる。
本発明において用いるコーティング処理液は、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物と珪酸化合物とを含む水溶液である。
コーティング処理液に用いる珪酸化合物とその他の無機系化合物との好ましい組合せとしては、珪酸化合物とモリブデン酸化合物、珪酸化合物とマンガン酸化合物、珪酸化合物とバナジン酸化合物、珪酸化合物とリン酸化合物等が挙げられる。
当該コーティング処理液の25℃のpHは、9〜14、好ましくは10〜12.5である。
本発明において、コーティング処理液中の無機系化合物と珪酸化合物との合計の濃度は、通常、0.01〜30重量%であり、好ましくは、0.05〜5重量%である。
また、本発明において、コーティング処理液中の珪酸化合物とその他の上記無機系化合物との配合割合は、前者1重量部に対して、通常、0.001〜100重量部であり、好ましくは0.05〜1重量部である。
本発明の好ましい実施形態において、前記珪酸化合物としては、例えば、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸ルビジウム、珪酸セシウムからなる群から選択される少なくとも1種の珪酸アルカリ塩、アルコキシシラン化合物、二酸化珪素等を挙げることができる。
本発明において、コーティング処理液中の珪酸化合物の濃度は、SiO2として、通常、0.1〜30重量%であり、好ましくは、0.5〜5重量%である。
珪酸化合物を含むコーティング処理液としては、水ガラス;アルコキシシラン化合物を加水分解し、縮合させたゾル;又はコロイダルシリカ等を挙げることができる。
前記コーティング処理液として水ガラスを用いる場合、水ガラスとしては、例えば、前述の珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸ルビジウム、珪酸セシウムからなる群から選択される少なくとも1種の珪酸アルカリ塩の水溶液を挙げることができる。
前記珪酸含有コーティング処理液としてアルコキシシラン化合物を加水分解し、縮合させたゾルを用いる場合、アルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合で使用してもよい。これらの中で特に好ましいのはテトラエトキシシランである。
アルコキシシラン化合物を加水分解する方法としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を含有する塩基性触媒を用いる加水分解を挙げることができる。
前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの塩基性触媒は1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合で用いてもよい。好ましい塩基性触媒は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムである。
これらの塩基性触媒とアルコキシシラン化合物との使用割合は、前者1モルに対して、後者0.5〜5モル、好ましくは1〜3モルである。
本発明において前記塩基性触媒としては、上記塩基性触媒に加えて、さらにほかの塩基性触媒を併用してもよい。
本発明における他の塩基性触媒とは、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、ピロリジン、ピペラジン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水中で塩基性を示す物質を広く意味する。
他の塩基性触媒とアルコキシシラン化合物との使用割合は、前者1モルに対して、後者0.1〜2モル、好ましくは0.2〜1モルである。
本発明の好ましい実施形態において、コーティング処理液であるゾルは、60℃条件で水に上記塩基性触媒及びアルコキシシランを添加し、攪拌下で溶解して、アルコキシシランを加水分解し、pHを9〜14にすることによって調製できる。
モリブデン酸化合物としては、例えば、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸バリウム、モリブデン酸マグネシウム等を挙げることができ、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム等を挙げることができる。
コーティング処理液が珪酸化合物とモリブデン酸化合物とを含有する場合、珪酸化合物とモリブデン酸化合物との好ましい使用割合は、前者1重量部に対して、0.001〜100重量部、より好ましくは、0.05〜1重量部である。
タングステン酸化合物としては、例えば、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸ジルコニア、タングステン酸セリウム、タングステン酸リチウム等を挙げることができる。
コーティング処理液が珪酸化合物とタングステン酸化合物とを含有する場合、珪酸化合物とタングステン酸化合物との好ましい使用割合は、前者1重量部に対して、0.001〜100重量部、より好ましくは、0.05〜1重量部である。
マンガン酸化合物としては、例えば、過マンガン酸リチウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸マグネシウム、過マンガン酸カルシウム、過マンガン酸バリウム、過マンガン酸アンモニウム等を挙げることができ、好ましくは、過マンガン酸カリウム等を挙げることができる。
コーティング処理液が珪酸化合物とマンガン酸化合物とを含有する場合、珪酸化合物とマンガン酸化合物との好ましい使用割合は、前者1重量部に対して、0.001〜100重量部、より好ましくは、0.05〜1重量部である。
バナジン酸化合物としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸カリウム、メタバナジン酸セシウム、ピロバナジン酸アンモニウム、ピロバナジン酸ナトリウム、ピロバナジン酸カリウム、ピロバナジン酸セシウム、オルトバナジン酸カリウム、オルトバナジン酸セシウム、オルトバナジン酸ナトリウム等を挙げることができ、好ましくは、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、オルトバナジン酸ナトリウム等を挙げることができる。バナジン酸イオンは弱アルカリ性水溶液中では重合し、ポリバナジン酸イオンとなることがあり、バナジン酸化合物とは、このポリバナジン酸塩も含んでいる。
コーティング処理液が珪酸化合物とバナジン酸化合物とを含有する場合、珪酸化合物とバナジン酸化合物との好ましい使用割合は、前者1重量部に対して、0.001〜100重量部、より好ましくは、0.05〜1重量部である。
リン酸化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸アンモニウム、亜リン酸バリウム、亜リン酸ストロンチウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛カルシウム、亜リン酸亜鉛カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸バリウム、リン酸ストロンチウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛カリウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸マグネシウム、ポリリン酸亜鉛、ポリリン酸アルミニウム等を挙げることができ、好ましくは、リン酸、リン酸ナトリウム等を挙げることができる。
本発明において、用語「リン酸ナトリウム」には、Na3PO4、Na2HPO4、及びNaH2PO4が含まれる。リン酸とカリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、バリウム、ストロンチウム等との塩及び亜リン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等についても同様である。
コーティング処理液が珪酸化合物とリン酸化合物とを含有する場合、珪酸化合物とリン酸化合物との好ましい使用割合は、前者1重量部に対して、0.001〜100重量部、より好ましくは、0.05〜1重量部である。
ジルコン酸化合物としては、例えば、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム等を挙げることができる。
コーティング処理液が珪酸化合物とジルコン酸化合物とを含有する場合、珪酸化合物とジルコン酸化合物との好ましい使用割合は、前者1重量部に対して、0.001〜0.5重量部、より好ましくは、0.01〜0.1重量部である。
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等を挙げることができ、好ましくは、硝酸アルミニウム等を挙げることができる。
コーティング処理液がアルミニウム化合物を含有する場合、珪酸化合物とアルミニウム化合物との好ましい使用割合は、前者1重量部に対して、0.001〜100重量部、より好ましくは、0.05〜1重量部である。
本発明に用いるコーティング処理液は、任意成分として、金属腐食抑制剤、濡れ性向上剤、キレート剤、顔料、増粘剤、分散剤等を含んでいてもよい。
上記酸化処理又はカソード電解処理した亜鉛表面又は処理を施していない亜鉛金属表面にコーティング処理液を接触させる方法としては、浸漬法を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、必要に応じて、刷毛塗り法、スプレー法等の塗布方法を用いてもよい。
浸漬法は、被処理品の亜鉛表面部分を処理液層に一定時間浸漬した後、引き上げることにより行われる。当該浸漬処理において、被処理品全体を処理液に浸漬しても、被処理品の一部は処理液に触れない状態で亜鉛表面を浸漬してもよい。
当該工程により亜鉛表面に湿潤ゲル膜が形成される。この場合、得られる湿潤ゲル膜の厚みは、処理液の粘度、表面張力および密度の増加とともに厚くなる。
浸漬法、刷毛塗り法又はスプレー法に用いる本発明のコーティング処理液の密度は、通常1.001〜1.7g/cm3(15℃)であり、好ましくは1.05〜1.15g/cm3(15℃)である。従って、上記密度のコーティング処理液において、処理液の粘度と引上げ速度を適宜制御することによって、所望の厚さの湿潤ゲル膜を得ることができる。
一回の浸漬又は塗布(刷毛塗り、スプレー法等)で所望の皮膜厚さを得られるようにすることが、処理効率の点において重要であるが、一回の浸漬又は塗布によって所望の皮膜厚みが得られない場合は、最小限の回数の浸漬又は塗布を繰り返すことによって、所望の厚みの層を得ることもできる。
また、本発明におけるコーティング工程には、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物と珪酸化合物とを共に含有するpH(25℃)が9〜14のコーティング処理液を亜鉛表面に接触させる工程だけでなく、珪酸化合物を含まず、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物を含有する処理液と珪酸化合物を含有するpH(25℃)が9〜14のコーティング処理液とを、それぞれ亜鉛表面に接触させる工程も含まれる。
すなわち、本発明は、(A)亜鉛表面に、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物を含有する処理液を接触させる工程、ならびに
(B)亜鉛表面に、珪酸化合物を含有するpH(25℃)が9〜14の処理液を接触させる工程
を含む、亜鉛表面に耐食性皮膜を形成させる方法を提供する。
ここで、上記(B)工程に用いるpH(25℃)が9〜14の処理液には、珪酸化合物に加えて、適宜、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物を含有させてもよい。
この場合、亜鉛表面にモリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物を含有する処理液を先に接触させても、珪酸化合物を含有するpH(25℃)が9〜14のコーティング処理液を先に接触させてもよい。
ここで、上記工程(A)において用いる珪酸化合物を含まない処理液中の、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物の使用濃度は、それぞれ0.01〜10重量%であり、好ましくは0.05〜5重量%である。
上記工程にて亜鉛表面に形成された湿潤ゲル膜を室温で乾燥すると、耐食性に優れたセラミックスコーティング層が形成される。尚、加熱処理を行うと、乾燥ゲル膜中に残存している水分の除去の他に、残留有機物の除去が行われるので必要により加熱処理を行う。
被処理物の表面に形成されたセラミックスコーティング層(耐食性皮膜)の膜厚を制御するには、被処理物をコーティング処理液槽に浸漬し、引上げ、乾燥処理までのコーティング工程を所望回数繰り返せばよく、コーティング回数に比例して膜厚は増加する。
1回のコーティング工程で膜厚を厚くするには、前述の如く処理液の粘度と引上げ速度を増加させればよいが、臨界膜厚を超えると、皮膜中から溶媒の揮発に伴って発生する表面に平行に働く引張り応力により亀裂が発生するので、1回でコーティングする膜厚を最適に設定する必要がある。それには、処理液の粘度と引上げ速度をパラメータとして、最適な条件を探せばよい。同様に、処理液をスプレー法によって塗布する場合も、その塗布回数によって膜厚を制御できる。しかし、工業的には、浸漬法でもスプレー法でも浸漬あるいは塗布回数が少ない方が望ましい。本発明の方法によって得られるセラミックスコーティング層の厚みは、通常、10〜2000nmであり、好ましくは50〜1000nmである。
水の硬度成分であるマグネシウム及びカルシウム、又は亜鉛メッキ表面から析出する可能性のある亜鉛などが珪酸化合物を含むコーティング処理液中に混入すると、珪酸マグネシウム塩、珪酸カルシウム塩、珪酸亜鉛塩として沈殿する可能性がある。これらの析出物はろ過などによって取り除くことができるが、ろ過できない場合などは、コーティング処理液にキレート効果をもつ金属抑制剤を添加することができる。キレート剤は白錆防止効果や、金属表面の美観を損なわない範囲で特に制限なく使用でき、たとえばエチレンジアミンテトラ酢酸及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩、クエン酸、シュウ酸等である。
亜鉛メッキ表面の濡れ性を改善するために、白錆防止効果や金属表面の美観を損なわない範囲で特に制限なく界面活性剤等の濡れ性向上剤をコーティング処理液に添加することができる。このような添加剤としては、例えば、アルキルエーテルエチレンオキサイド、エチレンオキサイドアルキルアミン、長鎖脂肪酸又はその塩、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、長鎖アルキルアンモニウム塩、長鎖アルキルピリジニウム塩等を挙げることができる。
2.前処理工程
本発明の1つの実施形態において、前記工程(1)の前に、亜鉛表面を前処理することにより、防錆能力を向上させることもできる。
酸化処理
当該実施形態において、前処理としては、例えば、酸化処理が挙げられる。
酸化処理は、表面の亜鉛金属が酸化できる条件であればいずれでもよいが、好ましくは、酸化剤を含む水溶液を用いて亜鉛金属表面を処理する方法である。
酸化剤を含む水溶液を用いて亜鉛金属を処理する方法としては、例えば、酸化剤を含む水溶液への対象製品の浸漬、亜鉛金属表面への酸化剤を含む水溶液の噴霧等を挙げることができる。
前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素を挙げることができる。
過酸化水素水は、好ましくは、過酸化水素を0.001〜35重量%含有する水溶液である。特に好ましいのは、0.1〜35重量%である。0.001重量%より少ないと酸化する効果が小さく、酸化するための時間がかかり過ぎる。35重量%を超えると過酸化水素水の溶液が安定ではなくなる。酸化処理する温度は0から100℃の範囲内であれば、いずれでもよい。好ましくは0から30℃である。処理時間は好ましくは1秒から30分であり、特に好ましくは1分〜15分である。酸化処理後は水等で洗浄してもよく、乾燥機や熱風などで乾燥処理してもよい。
カソード電解処理
本発明の別の実施形態において、酸化処理は、亜鉛表面をカソード電解処理することによって行われてもよい。
カソード電解処理において適用する各種条件は、処理の方法、使用する物質等により様々であり、具体的な条件は適宜決定することができる。
カソード電解処理に使用する電解質水溶液は、表面の亜鉛金属がカソード電解できる条件であればいずれでもよく、電解質が0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上の濃度であれば電解処理に必要な電気伝導度を確保できる。
電解質水溶液は、表面の亜鉛金属に悪影響を与えるものでなければいずれでもよく、硼酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、マロン酸、珪酸、リン酸、ピロリン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、炭酸、及びフッ素化合物の塩の少なくとも1種を含む水溶液であり、好ましくは、リン酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、クエン酸塩及びフッ素含有化合物の少なくとも1種を含む溶液である。
処理に使用する水溶液は、25℃におけるpHが4〜12の範囲内であるのが好ましい。水溶液のpHが4未満では、水溶液によるめっきの溶解が激しく、液との接触時間によりめっき表面の状態や酸化膜残存量が変化しやすく、またpHが12を超えても前記した同様の反応が生じ好ましくない。これらの影響を極力少なくするためには、pHが5〜11の範囲がさらに好ましい。
水溶液の温度は、特に規定するものではないが、5℃未満では処理に要する時間が長くなるので、5℃以上であることが好ましい。一方、高温の処理液を使用するのには加熱設備が必要になる等の不都合があるので、水溶液は一般に80℃以下の温度であるのが好ましい。
カソード電解する条件は、電流密度が1〜100A/dm2 、通電量が1〜100C
/dm2が好ましい。電流密度と通電量が各々1A/dm2、1C/dm2 より少ないと密着性向上の十分な効果が得られず、電流密度と通電量が各々100A/dm2、100C/dm2 を超えると通電条件が激しすぎ、めっき層を破壊してかえって腐食の原因になることがある。これらを勘案して、下地亜鉛金属を処理するには電流密度が1〜50A/dm2、通電量が1〜50C/dm2の範囲内とするのが特に好ましい。カソード電解処理の間、電圧は一定に維持させていても、上記範囲内で適宜変化させてもよい。電圧を印加する時間は、通常1秒〜10分、好ましくは、5秒〜1分である。
3.追加コーティング溶液への接触工程
本発明の方法においては、前記コーティング工程で無機系化合物を主成分とするコーティング処理液に接触させた亜鉛表面に、さらに、別のコーティング溶液を接触させてもよい。
追加のコーティング溶液としては、例えば、水溶性樹脂、三重結合を有するジオール、アルキルアンモニウム塩又は二価金属含有塩を含む溶液を挙げることができ、好ましくは、水溶性樹脂を含む溶液である。
水溶性樹脂を含有する溶液
水溶性樹脂含有溶液を用いる実施形態において、水溶性樹脂は、水中に、樹脂が溶解、分散、乳化分散している状態の樹脂溶液であり、セラミックスコーティング層の表面に樹脂層を形成する樹脂であればいずれでもよいが、好ましくは、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアクリル酸樹脂、シリコーン樹脂及び任意の架橋剤を含む処理液である。
前記架橋剤は、上記樹脂を架橋するものであればいずれでもよく、例えば、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ジアルデヒドでんぷん、エピクロロヒドリン、ポリアクロレイン、セルロース、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、無水マレイン酸、アジピン酸、アクリル酸、コハク酸、モノクロル酢酸エステル、チオグリコール、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、N−メチロールエチレン、ホウ酸、珪酸、チタン酸、バナジン酸、ジルコン酸、リン酸又はポリリン酸等が挙げられる。
前記樹脂の濃度は0.001〜70重量%であるが、好ましくは、0.005〜60重量%である。樹脂処理液の溶媒は樹脂が溶解する溶媒であれば、環境への負荷を考慮する場合、可能な限り水を溶媒とすることが望ましい。また、水に不溶な樹脂類に関しては、界面活性剤を用いて乳化させ、水に分散させれば良い。処理する温度は水が気化しない温度の範囲内であれば、いずれでもよい。好ましくは、0〜60℃である。処理時間は好ましくは0.1秒〜10分であり、特に好ましくは1秒〜1分である。処理後は、乾燥機や熱風などで乾燥処理してもよい。
その他の追加コーティング成分
上記水溶性樹脂以外のコーティング成分としては、三重結合を有するジオール、アルキルアンモニウム塩、二価金属含有塩等が挙げられる。
これらのコーティング成分としては、当該分野において通常用いられる成分を使用することができる。
当該追加のコーティング工程に用いる処理液は、任意成分として、架橋剤、金属腐食抑制剤、濡れ性向上剤、キレート剤、顔料、増粘剤、分散剤、防腐剤等を含んでいてもよい。
上記追加のコーティング工程に用いる処理液を接触させる方法としては、浸漬法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、刷毛塗り法、スプレー法等の塗布方法を用いてもよい。
浸漬法は、被処理品の処理液槽に一定時間浸漬した後、引き上げることにより行われる。当該浸漬処理において、被処理品全体を処理液に浸漬させても、被処理品の一部が処理液に触れない状態で浸漬してもよい。
当該工程により亜鉛表面に形成される樹脂膜の厚みは、処理液の粘度、表面張力および密度の増加とともに厚くなる。
1回の浸漬又は塗布(刷毛塗り、スプレー法)で所望の皮膜厚さを得られるようにすることが、処理効率の点において重要であるが、1回の浸漬又は塗布によって所望の皮膜厚みが得られない場合は、最小限の回数の浸漬又は塗布を繰り返すことによって、所望の厚みを得ることもできる。
上記処理にて形成された樹脂膜を室温で乾燥すると、耐食性に優れた樹脂層が形成される。尚、加熱処理を行うと、樹脂ネットワークの形成が促進する他、残存有機物の除去を行うことができるため、必要に応じて加熱処理を行ってもよい。
被処理物の表面に形成された樹脂コーティング層の膜厚を制御するためには、被処理物をコーティング処理槽に浸漬し、引上げ、乾燥処理までのコーティング工程を所望回数繰り返せばよく、コーティング回数に比例して膜厚は増加する。
以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.処理液の調製
過酸化水素を5重量%含有する水溶液を調製した。
次に、一般式M2O・nSiO2で表される珪酸化合物及び/またはその他の無機化合物を含むコーティング処理液を調製した。
ここで、各実施例及び比較例で用いた組成物の濃度(SiO2換算)、アルカリ金属Mの種類、及びnの値は、下記表1の通りである。
さらに、シリコーン樹脂を1000ppm含有する追加コーティング処理液(処理液23)とポリアミドエピクロロヒドリンを5000ppm含有する追加コーティング処理液(処理液24)を調製した。
2.耐食性皮膜の形成及び防錆試験
実施例1〜5及び比較例1〜2
耐食性皮膜の形成
試験片として、50×80×2mmの電気亜鉛メッキ及び溶融亜鉛メッキを施した鋼板を用いた。
各試験片に対して、以下の表2に示す条件で、コーティング溶液に接触させて、耐食性皮膜を形成させた。
処理後の試験片について、下記に示す塩水噴霧試験を行った。
防錆性試験
得られた試験片の防錆を、塩水噴霧試験(JIS Z 2371の試験方法に順ずる)の24時間の白錆の発生状況によって評価した。
塩水噴霧試験の評価基準
塩水噴霧試験による評価基準を以下に示す。
◎:白錆なし
○:白錆が5%以下
△:白錆が50%以下
×:白錆が50%以上
塩水噴霧試験の結果
試験結果を表2に示す。
上記の表から明らかなように、珪酸化合物とその他の無機化合物とを含む処理液でのコーティング処理は、これらを夫々単独での処理と比較して、非常に耐食性の高い皮膜を形成させることができる。
実施例6〜25及び比較例3
耐食性皮膜の形成
試験片として、50×80×2mmの電気亜鉛メッキ及び溶融亜鉛メッキを施した鋼板を用いた。
各試験片に対して、以下の表3又は表4に示す条件で、必要に応じて酸化又はカソード電解処理による前処理を行い(処理1)、コーティング溶液に接触させ(処理2)耐食性皮膜を形成させた。実施例6〜22は酸化性物質による酸化処理で処理1を行い、実施例23〜25はカソード電解処理による工程を含む処理1である。
また、実施例13については、処理2の後に、珪酸化合物を含むコーティング溶液(処理液11)を接触させた。
実施例14については、処理2の後に、シリコーン樹脂(処理液23)を接触させた。
実施例15及び25については、処理2の後に、ポリアミドエピクロロヒドリン(処理液24)を接触させた。
処理後の試験片について、下記に示す塩水噴霧試験を行った。
防錆性試験
得られた試験片の防錆を、塩水噴霧試験(JIS Z 2371の試験方法に順ずる)の48時間の白錆の発生状況によって評価した。
塩水噴霧試験の評価基準
塩水噴霧試験による評価基準を以下に示す。
◎:白錆なし
○:白錆が5%以下
△:白錆が50%以下
×:白錆が50%以上
塩水噴霧試験の結果
表2〜4の結果から明らかなように、本発明に示された処理を行うことで防錆性が飛躍的に向上している。

Claims (20)

  1. 亜鉛表面に、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物と珪酸化合物とを含有するpH(25℃)が9〜14のコーティング処理液を接触させる工程を含む、亜鉛表面に耐食性皮膜を形成させる方法。
  2. 前記亜鉛表面が、亜鉛金属表面、溶融亜鉛めっき表面又は電気亜鉛めっき処理した亜鉛金属表面である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記コーティング処理液中の、珪酸化合物の濃度が、二酸化珪素として、0.1〜30重量%である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記コーティング工程の前に、亜鉛表面を酸化処理する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記酸化処理が、酸化剤を含む水溶液への亜鉛表面の浸漬又は亜鉛表面への酸化剤を含む水溶液の噴霧による酸化処理である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記酸化剤が過酸化水素である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記酸化剤の濃度が0.001〜35重量%である、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記酸化処理が亜鉛表面をカソード電解処理することにより行われる、請求項4に記載の方法。
  9. 前記コーティング工程の後に、さらに、コーティング処理した亜鉛表面に、水溶性樹脂を含有する溶液を接触させる工程を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記水溶性樹脂を含有する溶液中の水溶性樹脂の濃度が0.001〜70重量%である、請求項5に記載の方法。
  11. (A)亜鉛表面に、モリブデン酸化合物、タングステン酸化合物、マンガン酸化合物、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ジルコン酸化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機系化合物を含有する処理液を接触させる工程、ならびに
    (B)亜鉛表面に、珪酸化合物を含有するpH(25℃)が9〜14の処理液を接触させる工程
    を含む、亜鉛表面に耐食性皮膜を形成させる方法。
  12. 前記亜鉛表面が、亜鉛金属表面、溶融亜鉛めっき表面又は電気亜鉛めっき処理した亜鉛金属表面である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記珪酸化合物を含有するpH(25℃)が9〜14の処理液中の、珪酸化合物の濃度が、二酸化珪素として、0.1〜30重量%である、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記(A)工程及び(B)工程の前に、亜鉛表面を酸化処理する工程をさらに含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記酸化処理が、酸化剤を含む水溶液への亜鉛表面の浸漬又は亜鉛表面への酸化剤を含む水溶液の噴霧による酸化処理である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記酸化剤が過酸化水素である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記酸化剤の濃度が0.001〜35重量%である、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 前記酸化処理が亜鉛表面をカソード電解処理することにより行われる、請求項14に記載の方法。
  19. 前記(A)工程及び(B)工程の後に、さらに、処理後の亜鉛表面に、水溶性樹脂を含有する溶液を接触させる工程を含む、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記水溶性樹脂を含有する溶液中の水溶性樹脂の濃度が0.001〜70重量%である、請求項15に記載の方法。
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