JP2003220423A - 順送絞り加工方法および順送絞り加工装置 - Google Patents

順送絞り加工方法および順送絞り加工装置

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JP2003220423A
JP2003220423A JP2002017826A JP2002017826A JP2003220423A JP 2003220423 A JP2003220423 A JP 2003220423A JP 2002017826 A JP2002017826 A JP 2002017826A JP 2002017826 A JP2002017826 A JP 2002017826A JP 2003220423 A JP2003220423 A JP 2003220423A
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Akira Sawayanagi
章 沢柳
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YANAGI KK
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YANAGI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 展延性に乏しい材料でも容易に加工すること
を可能とする順送絞り加工方法の提供。 【解決手段】 径サイズが段階的に小さくなる複数組み
のパンチ1(1‐1、1‐2、1‐3、……1‐n−
1、1‐n)とダイ2(2‐1、2‐2、2‐3、……
2‐n−1、2‐n)を用いて平板材3から筒状の中間
体を絞り出す加工を順に繰り返すことにより、中間体の
内径を段階的に小さくして所望内径の筒状製品を得る順
送絞り加工方法において、繰り返される各加工過程にお
ける中間体の予定内径に平板材の厚みを加えたサイズよ
りも外径を小さくしたパンチを各加工過程で用いるよう
にしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、順送絞り加工方法
および順送絞り加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における普及に目覚ましいものがあ
る液晶表示装置では、そのバックライト用の光源として
主に冷陰極管(冷陰極蛍光放電管)が用いられている。
冷陰極管は電子放出用としてカップ電極と呼ばれる有底
筒状の電極を有しているが、このカップ電極は順送絞り
加工で製造されている。
【0003】順送絞り加工というのは、径サイズが段階
的に小さくなる複数組みのパンチとダイを用いて絞りを
順に加える加工である。つまり順送絞り加工でカップ電
極を製造するには、径サイズが段階的に小さくなる複数
組みのパンチとダイを用いて平板材から筒状の中間体を
絞り出す加工を順に繰り返し、これにより中間体の内径
を段階的に小さくして所望内径の有底筒状製品としてカ
ップ電極を得る。
【0004】従来のカップ電極は、展延性の大きいニッ
ケルを材料としており、その順送絞り加工は比較的容易
であった。ところで、最近は冷陰極管の輝度向上や長寿
命化ということから、ニオブがカップ電極用材料として
注目を集めてきている。しかしニオブは展延性に乏し
い。そのため絞り加工がきわめて困難で、特殊な組成の
ニオブ材料を用い且つ、通常の潤滑油に比べて100倍
以上の価格となる特殊な組成の潤滑油を用いてはじめて
順送絞り加工が可能になるというのがこれまでの実情で
あった。つまり、ニオブ製カップ電極は、性能的には優
れていて今後におけるカップ電極として大きな期待が寄
せられるものの、その優れた性能を汎用品として活かせ
るような製造技術が十分に確立されていないということ
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者等は、展延
性に乏しい材料に順送絞り加工を加える実験を様々な条
件で行なった。その結果、絞りが進むのにしたがって
「絞り切れ」と呼ばれる現象、つまり材料が切れてしま
う現象が生じ易い、絞り途中の中間体や製品がダイに
固着する状態になり、ダイから中間体や製品を取り出す
ことができなくなったり、たとえ取り出せてもその際に
中間体や製品を損傷してしまう、絞り途中で材料の一
部が剥離し易く、この剥離した微小な材料片がダイに付
着することで製品に傷を生じさせる、といったトラブル
を生じること、そしてこれらが材料の特性に応じて単独
で、または組み合わさって阻害要因となり、順送絞り加
工を困難にすることが分かってきた。
【0006】本発明は、以上のような知見をもとになさ
れたものであり、上記のような阻害要因を効果的に避け
ることができ、展延性に乏しい例えばニオブのような材
料でも容易に加工することを可能とする順送絞り加工方
法および順送絞り加工装置の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では上記目的を実
現すために、径サイズが段階的に小さくなる複数組みの
パンチとダイを用いて平板材から筒状の中間体を絞り出
す加工を順に繰り返すことにより、前記中間体の内径を
段階的に小さくして所望内径の筒状製品を得る順送絞り
加工方法において、前記繰り返される各加工過程におけ
る中間体の予定内径に前記平板材の厚みを加えたサイズ
よりも外径を小さくしたパンチを前記各加工過程で用い
るようにしたことを特徴としている。
【0008】また本発明では上記目的を実現すために、
径サイズが段階的に小さくなる複数組みのパンチとダイ
を用いて平板材から筒状の中間体を絞り出す加工を順に
繰り返すことにより、前記中間体の内径を段階的に小さ
くして所望内径の筒状製品を得る順送絞り加工方法にお
いて、前記ダイの側面に給油孔を設け、この給油孔から
前記ダイのダイ孔内に潤滑油を供給しながら前記加工を
施すようにしたことを特徴としている。
【0009】また本発明では上記順送絞り加工方法につ
いて、二重ランスを用いるようにしている。
【0010】また本発明では上記順送絞り加工方法につ
いて、セラミックス製のダイを用いるようにしている。
【0011】また本発明では上記目的を実現すために、
径サイズが段階的に小さくなる複数組みのパンチとダイ
を備え、これら複数組みのパンチとダイを用いて平板材
から筒状の中間体を絞り出す加工を順に繰り返すことに
より、前記中間体の内径を段階的に小さくして所望内径
の筒状製品を得る順送絞り加工装置において、前記ダイ
の側面に給油孔が設けられるとともに、前記ダイの給油
孔に接続する給油手段が設けられ、この給油手段から前
記給油孔を介して前記ダイのダイ孔内に潤滑油を供給で
きるようにされていることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1に、第1の実施形態に係る順送絞り加
工方法の実施に用いられる順送絞り加工装置の構成を模
式化して示す。順送絞り加工装置は、径サイズ、具体的
にはその太さが段階的に小さくなる複数のパンチ1(1
‐1、1‐2、1‐3、……1‐n−1、1‐n)と、
同じく径サイズ、具体的にはそのダイ孔2Hの径がパン
チ1の太さに対応して段階的に小さくなる複数のダイ2
(2‐1、2‐2、2‐3、……2‐n−1、2‐n)
を有しており、これらパンチ1とダイ2が径サイズで対
応して組みになるようにされている。
【0013】これらパンチ1とダイ2の間には加工対象
の平板材3が送り込まれる。この送り込みにあたって
は、従来からなされている順送絞り加工におけるのと同
様に、平板材3に潤滑油の塗布がなされる。潤滑油を塗
布しながら送り込まれた平板材3は、パンチ1‐1、1
‐2、1‐3、……1‐n−1、1‐nとダイ2‐1、
2‐2、2‐3、……2‐n−1、2‐nにより順に繰
り返される絞りを受けながら前進する。図2に、この加
工過程を経ている平板材3の状態を示す。平板材3に
は、内径が段階的に小さくなる有底筒状の中間体4(4
‐1、4‐2、4‐3、……4‐n−1)が順に絞り出
され、最終的に所望内径の製品(例えば冷陰極管用のカ
ップ電極)5が絞り出される。
【0014】ここで、本発明が特徴とするところは、パ
ンチ1の太さRが対応するダイ2のダイ孔径Wに平板材
3の厚みtを加えた「W+t」よりも若干小さくされて
いることである。すなわち従来の順送絞り加工では、
「W+t」よりもパンチ太さRを若干大きくして「R=
W+t+α」とする加工(一般に「しごき」と呼ばれ
る)を行なっていたのに対し、本発明ではパンチ太さR
を「R=W+t−α」とするようにしている。「α」の
値は、平板材3の材料特性に応じて多少異なるが、例え
ばニオブのような特性を有する材料の場合であれば、
「W+t」の値の0.1〜0.5%程度となる。
【0015】このように「R=W+t−α」という加工
条件とすることで、展延性に乏しい材料でも「絞り切
れ」の発生を効果的に防止することができ、その順送絞
り加工が可能となる。その理由としては以下のようなこ
とを推測できる。すなわち従来の加工で一般的であった
「しごき」を加えると、それだけ平板材に生じる「延
び」の量が大きくなり、このことが展延性に乏しい材料
に「絞り切れ」を生じ易くする大きな原因となる。一
方、本発明におけるように、「R=W+t−α」という
加工条件にすると、材料の「延び」が抑制され、その結
果、展延性に乏しい材料でも「絞り切れ」の発生を効果
的に抑えることができ、その順送絞り加工が可能とな
る。
【0016】「絞り切れ」の発生には、以上のようにパ
ンチ太さを調整する他に、二重ランスを用いることも有
効である。二重ランスとは、図3の(a)に示すよう
に、平板材3の絞り部6の周囲に二重の円形刻み7、8
を入れ、パンチで絞り込んだ際に図3の(b)に示すよ
うに、平板材3と絞り部6のつながりを二重のつなぎ点
9、10で与える構造である。このような二重ランス
は、絞り部6における応力の平均化などに働き、その結
果として「絞り切れ」の発生を防止するのに機能すると
考えられる。
【0017】図4に、第2の実施形態における順送絞り
加工装置の要部を簡略化して示し、図5に、この順送絞
り加工装置で用いるダイの構造を簡略化して示す。本実
施形態におけるダイ20は、図5に見られるように、そ
の側面に給油孔21が設けられている。この給油孔21
は、ダイ20の側面を貫通する状態でダイ孔20に届く
ようにされている。給油孔21の設置位置には特に条件
はないが、ダイ20の高さ方向でやや下側に寄った位置
に設けるのが通常である。
【0018】一方、順送絞り加工装置には、給油手段と
なる給油ノズル22が各ダイ20a、20b、20c、
……20nに対応させて設けられいる。そしてこの給油
ノズル22をダイ20の給油孔21に接続することで、
ダイ20のダイ孔20Hに恒常的にあるいは適当な間隔
で間欠的に潤滑油を供給できるようにされている。この
ようなダイ20への潤滑油の供給は、従来からなされて
いる順送絞り加工におけるのと同様な平板材への潤滑油
の塗布に代えて、または加えてなすことになる。
【0019】展延性の乏しいの材料の順送絞り加工を困
難にする阻害要因には上述したようなものであるが、こ
れらの何れに対しても平板材のダイに対する「滑り性」
が影響しており、特にとには「滑り性」の影響が大
きい。このような阻害メカニズムに対して、給油孔21
を介したダイ孔20Hへの潤滑油の供給は、平板材のダ
イに対する「滑り性」を大幅に高めるのに機能する。そ
の結果、展延性の乏しい材料でも特殊な潤滑油を用いる
ことなく容易に順送絞り加工をなすことが可能となる。
つまり潤滑油として、例えばニッケルのような展延性の
大きい材料で通常的に用いられている一般的な潤滑油を
用いるだけでよく、「絞り切れ」を生じたり、絞り途中
の中間体などがダイに固着するトラブルや絞り途中で材
料の一部が剥離するトラブルなどを発生させること順送
絞り加工をなすとことが可能となる。
【0020】このように、平板材のダイに対する「滑り
性」を高めことで展延性の乏しい材料の順送絞り加工が
可能になるが、これについては、ダイ自体の素材に関わ
る「滑り性」も影響し得る。そこでダイ20を「滑り
性」の高いセラミックス材で形成するようにすると、さ
らに好ましいものとなる。
【0021】以上で説明したパンチ径の調整、二重ラン
スの採用、ダイへの潤滑油の供給およびセラミックス製
ダイの採用は、程度の差はあるもののそれぞれが順送絞
り加工における阻害要因を除くのに機能し、特にダイへ
の潤滑油の供給が有効に機能する。そしてこれらは、材
料の特性に応じて単独で用いることも可能であり、また
適宜に組み合わせて用いることも可能である。
【0022】図6に冷陰極管の一般的構造を示す。図に
見られるように冷陰極管は、電子放出用として有底筒状
のカップ電極Ceを有している。冷陰極管は、発熱が少
ない、長寿命である、電極構造が簡単で細径化が容易で
あるなどの特徴を有し、液晶表示装置のバックライト用
の光源として特に適している。上で説明したような本発
明による順送絞り加工方法や順送絞り加工装置を適用す
るのに最も有効な絞り加工製品としてこのような冷陰極
管におけるカップ電極Ceを挙げることができる。特に
従来のニッケル材料に代えて展延性の乏しいニオブ(N
b)を材料とするカップ電極Ceが本発明を適用するの
に最も有効な絞り加工製品となる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、展
延性の乏しい材料についても、「絞り切れ」を生じた
り、あるいは絞り途中の中間体などがダイに固着するト
ラブルや絞り途中で材料の一部が剥離するトラブルなど
を発生させることなく、順送絞り加工をなすとことがで
きるようにる。そしてこれにより、例えばニオブ製カッ
プ電極などを低コストで安定的に製造することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る順送絞り加工方法の実施
に用いられる順送絞り加工装置の模式図である。
【図2】順送絞り加工過程を経ている平板材の状態を示
す図である。
【図3】二重ランスについての説明図である。
【図4】第2の実施形態における順送絞り加工装置の要
部を簡略して示す平面図である。
【図5】図4の順送絞り加工装置で用いられるダイの簡
略構造図である。
【図6】冷陰極管の一般的な構造図である。
【符号の説明】
1 パンチ 2 ダイ 3 平板材 4 中間体 5 製品 20 ダイ 20H ダイ孔 21 給油孔 22 給油ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B21D 37/18 B21D 37/18 51/18 51/18 A H01J 9/02 H01J 9/02 L 61/067 61/067 L

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 径サイズが段階的に小さくなる複数組み
    のパンチとダイを用いて平板材から筒状の中間体を絞り
    出す加工を順に繰り返すことにより、前記中間体の内径
    を段階的に小さくして所望内径の筒状製品を得る順送絞
    り加工方法において、前記繰り返される各加工過程にお
    ける中間体の予定内径に前記平板材の厚みを加えたサイ
    ズよりも外径を小さくしたパンチを前記各加工過程で用
    いるようにしたことを特徴とする絞り加工方法。
  2. 【請求項2】 径サイズが段階的に小さくなる複数組み
    のパンチとダイを用いて平板材から筒状の中間体を絞り
    出す加工を順に繰り返すことにより、前記中間体の内径
    を段階的に小さくして所望内径の筒状製品を得る順送絞
    り加工方法において、 前記ダイの側面に給油孔を設け、この給油孔から前記ダ
    イのダイ孔内に潤滑油を供給しながら前記加工を施すよ
    うにしたことを特徴とする絞り加工方法。
  3. 【請求項3】 二重ランスを用いるようにした請求項1
    または請求項2に記載の絞り加工方法。
  4. 【請求項4】 セラミックス製のダイを用いるようにし
    た請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の絞り加工方
    法。
  5. 【請求項5】 径サイズが段階的に小さくなる複数組み
    のパンチとダイを備え、これら複数組みのパンチとダイ
    を用いて平板材から筒状の中間体を絞り出す加工を順に
    繰り返すことにより、前記中間体の内径を段階的に小さ
    くして所望内径の筒状製品を得る順送絞り加工装置にお
    いて、前記ダイの側面に給油孔が設けられるとともに、
    前記ダイの給油孔に接続する給油手段が設けられ、この
    給油手段から前記給油孔を介して前記ダイのダイ孔内に
    潤滑油を供給できるようにされていることを特徴とする
    順送絞り加工装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1つの絞り加工
    法で得る筒状製品をカップ電極として使用した冷陰極線
    管。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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