JP2004192874A - 冷陰極管用電極およびそれを用いた冷陰極管 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面積が大きく、かつ安価に製造できる冷陰極線管用電極を提供する。
【解決手段】一方に底部、もう一方に開口部を有する筒状の冷陰極管用電極において、開口部側の側面部の厚さをa、底部側の側面部の厚さをbとしたとき、a<bである焼結体からなることを特徴とする。
また、電極を相対密度80〜98%のW等の高融点金属の焼結体で構成することが好ましい。これにより、電極の表面積が増加でき、かつ安価に製造することができる。また、この電極を用いた冷陰極管は発光効率がよく、長寿命となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷陰極管用電極およびそれを用いた冷陰極管に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD)の発達は目覚しいものがあり、液晶テレビ、パソコン、携帯電話、パチンコ機など様々な分野に使用されている。液晶ディスプレイは、通常、バックライトと呼ばれる光源が必要であり、バックライトにより液晶ディスプレイの画像を鮮明にしている。
従来から、バックライトには冷陰極管が用いられている。冷陰極管は、熱陰極と比べて長寿命であることから前述の分野のように長期に渡って用いられる液晶ディスプレイ用バックライトには好適である。冷陰極管の一般的な構造は特開昭62−229652号公報(特許文献1)にあるように、NiやMoからなる高融点金属電極の表面にLaBやBaAlなどの電子放射性物質(エミッター材)を被覆した冷陰極管用電極をガラスバルブ(ガラス管)の中に一対配置する構造となっている。このような冷陰極管用電極は、一方に底部、もう一方を開口部とした有底の円筒体となっていた。
【0003】
従来の円筒状の冷陰極管用電極は、溶解法により得られたインゴットまたは粉末冶金法で得られた焼結体を熱間圧延(または冷間圧延)することにより得られた高融点金属板材を打抜き加工する方法により作製されていた(有底の円筒体を作る場合は絞り加工とも言う)。また、量産化においてはトランスファープレス、順送プレスなどの複雑な打抜き加工装置を用いていた。打抜き加工により作製するには、高融点金属板材が打抜き加工できるくらい薄い板材であることが必要であり、打抜き加工前に圧延などによる前処理が必要である。また、打抜き加工で作製すると、打抜き屑が発生してしまい板材(原材料)を100%使い切ることは難しく、仮に打抜き屑を再利用するには溶解法により再度板材を作る必要があった。このように高融点金属板材を打抜き加工により作製する方法では、コストアップとなる要因が多々あり、安価に作ることが困難であった。
【0004】
また、溶解法または粉末冶金法から作られた高融点金属板材は相対密度が実質的に99%以上であり表面に気孔を具備しないものであるため表面積が小さく、電子放射性物質を塗布させたとしても表面と同等の塗布面積しか稼げないと言った不具合も生じていた。
一方、特開平4−272109号公報(特許文献2)にはWなどの高融点金属粉末の焼結体からなる冷陰極管用電極が開示されている。この電極は焼結体を用いていることから板材を打抜き加工して形成されたものよりも安価に作製できるが、形状が底部の無い円筒体(中空体)であることから電極の表面積が不足する。表面積が不足するとホローカソード(hollow cathode)効果が十分に得られない。特許文献2では表面積不足を解消するために仕切りを設けているが、このような形状では、直径3mm以下の小型の電極を作製するのは難しい。
【0005】
冷陰極管は、ガラス管の内面に紫外線で励起される蛍光体層を設け、管内に微量の水銀、希ガスが封入されている。ガラス管の両端に設けられた電極に電圧を印可すると水銀が蒸発し紫外線を放出することにより蛍光体層が発光する仕組みになっている。冷陰極管を長期間使用し続けると、電子放射性物質(エミッター材)や電極材料のスパッタリング現象が生じてくる。このスパッタリングにより形成されるスパッタ層に管内の水銀が取り込まれ、冷陰極管の発光効率や寿命の低下を招いてしまう。スパッタリング現象の抑制のため特開2002−25499号公報(特許文献3)には冷陰極管用電極の内部に凸部を付け表面積を稼ぐことが試みられている。表面積を稼ぐことにより電子放射性物質の塗布量を増加させることによりスパッタリング現象を抑制している。しかしながら、特許文献3の電極は有底型でないことから表面積の向上には限界があった。特に、直径が3mm以下と細い電極(中空の円筒体)においては、内部に凸部を付けたとしても表面積を向上させるには限界があった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−229652号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平4−272109号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2002−25499号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の冷陰極管用電極は有底型のものは高融点金属板を用いていることから安価に作ることが困難であり、電極の表面積を増加させることも難しかった。一方、表面積を増大させることを目的としたものは、いずれも有底型でないタイプであり、直径が細くなると作り難かったり、表面積の増加効果に限界があるといった不具合が生じていた。
本発明は、このような課題を解決するためのものであり、表面積を増加させ、なお且つ、安価に製造できる冷陰極管用電極およびそれを用いた冷陰極管を提供するものである。また、有底型の電極を焼結体で作製したとしても品質を安定させることも可能とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の冷陰極管用電極は、一方に底部、もう一方に開口部を有する筒状の冷陰極管用電極において、開口部側の側面部の厚さをa、底部側の側面部の厚さをbとしたとき、a<bである焼結体からなることを特徴とするものである。
また、該電極が相対密度80〜98%の焼結体からなることが好ましく、具体的にはW,Nb,Ta,Mo,Reの金属単体またはその合金の焼結体の少なくとも1種からなることが好ましい。
また、該焼結体には最大径50μm以上のポアが存在しないことが好ましい。また、底部の厚さをT、開口部の直径をc1、T/2での直径をc2としたとき、c1<c2であることが好ましい。
また、底部の厚さをT、開口部側の側面部の厚さをaとしたとき、T>aであることが好ましい。
このような構成は、開口部の直径が10mm以下である小型の冷陰極管用電極に特に有効である。
【0011】
本発明は、このような構成とすることにより電極の表面積を増加させることを可能とするものである。表面積を増加させることにより、電子放出性物質(エミッター材)の被覆量を増加させることが可能である。また、表面積を増加させることにより、ホローカソード(hollow cathode)効果を向上させることにより陰極降下電圧を下げることが可能となる。
電子放射性物質の被覆面積の増大、ホローカソード効果の向上により、冷陰極管内(ガラス管内)でのスパッタリング現象による影響を抑制できることから、スパッタ層への水銀の取込を抑制できるので冷陰極管を長寿命化することができる。
また、電極を焼結体で作製することにより、溶解法または粉末冶金法で作られたインゴット(焼結体)を熱間圧延(または冷間圧延)することにより得られた高融点金属板材を打抜き加工したものよりは安価に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明は、一方に底部、もう一方に開口部を有する筒状の冷陰極管用電極において、開口部側の側面部の厚さをa、底部側の側面部の厚さをbとしたとき、a<bである焼結体からなることを特徴とするものである。
図1は本発明の冷陰極管用電極の一例を示す断面図である。図中、1は底部、2は側面部(2a、2b)であり、a1およびa2は開口部側の側面部の厚さ、b1およびb2は底部側の側面部の厚さを示すものである。なお、a<bとは、a1<b1かつa2<b2のことである。
【0013】
本発明においては、a<bを満たしていれば効果が得られるが、好ましくはa:b=1:1.1〜25、さらに好ましくはa:b=1:1.3〜2である。また、本発明は、図1のような断面台形型に限られるものではなく、例えば、図2(断面V字)、図3(断面U字)、図4(断面階段型)など様々な形状を適用できる。また、図5(a)(b)のように開口部側の側面部の先端形状が鋭角、R面と言った平坦部がない場合の厚さaの測定方法は、先端鋭角形状の場合は先端部の先頭の幅を厚さaとし、R面形状の場合はR形状を構成する両端の幅を厚さaとする。
【0014】
本発明においては、a<bという構成を具備させることにより、電極を焼結体で作製した場合に、成形時の成形ムラや焼結時の焼結ムラを低減することができる。成形ムラおよび焼結ムラを低減していることから、歩留りが向上する。また、成形ムラおよび焼結ムラを低減していることから、焼結体に形成されるポアを小さくすることができる。具体的には最大径50μm以上のポアが存在しない、言い換えれば最大径50μm未満のポアしか形成されない焼結体を歩留りよく製造することができる。成形ムラ等の低減効果を考慮するとa:bの比は前述の範囲が好ましいものとなる。
【0015】
焼結体中、特に焼結体表面に最大径50μm以上のポアが存在すると長時間使用し続けた場合に電極が変形し易くなるおそれがある。従って、焼結体中、特に焼結体表面には最大径50μm以上のポアが存在しないことが好ましい。特に、電極の径が10mm以下、5mm以下、さらには3mm以下と小型(細型)になればなるほどポアの影響を受けてしまうので好ましくない。
なお、ポアの最大径の測定方法は、任意の表面(または断面)において単位面積1000μm×1000μmを3ヶ所以上を拡大写真(金属顕微鏡など)にとる。その写真にてポアの最も長い対角線を最大径とする。
【0016】
上記a<bの構成は主としてポアの最大径の低減および製造性を向上させるための構成である。電極としての特性をさらに向上させるには次の構成を具備させることが好ましい。
具体的には、焼結体の相対密度を80〜98%にすること、焼結体をW(タングステン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Re(レニウム)の金属単体またはその合金の少なくとも1種から構成させることである。相対密度を80〜98%とすることにより、電極の表面にポアができ表面積を増加させることができる。また、該ポアによる微小な凹凸が存在すると、電子放射性物質(エミッター材)の被覆量を増加させることができると共に、アンカー効果により電子放射性物質と電極との接合強度が向上する。また、ポアは前述の通り最大径50μm以上のものが存在しない方が好ましい。
【0017】
相対密度が80%未満では電極の強度が十分ではない。また、相対密度が98%を超えて100%のものは強度は十分であるが、表面積の増加効果が得られない。このような観点からすると焼結体は相対密度80〜98%、好ましくは90〜98%となる。相対密度の測定方法はJIS−Z−2501に準じた方法で密度を測定する。なお、相対密度100%の基準値は、各材料の比重とし、Wは19.3、Nbは8.6、Taは16.7、Moは10.2、Reは21.0とする。合金を用いるときは各材料の割合(質量比)に応じて上記値を適用する。
【0018】
焼結体を構成する成分としては前述のようにW,Nb,Ta,Mo,Reの金属単体またはその合金の少なくとも1種からなることが好ましい。これら高融点金属は融点が高いことから冷陰極管用電極として用いたときにスパッタされ難いので冷陰極管の寿命を長くすることが出来る。合金の一例としてはW−Mo合金、Re−W合金、Ta−Mo合金などが挙げられる。また、後述するように電子放射性物質と高融点金属を混合したものであってもよい。さらに、焼結助剤としてNi(ニッケル),Cu(銅),Fe(鉄),P(リン)等を微量(例えば1質量%以下)添加してもよいものとする。焼結助剤を添加することにより焼結体(電極)の密度を調整することができる。
【0019】
また、電極の表面積をさらに増加させる方法としては、例えば図6に示したように底部の厚さを厚くする方法や図7に示したように側面部を内側に湾曲させることまたは側面部に傾斜構造(テーパ)構造を具備させることが挙げられる。
底部の厚さを厚くする方法としては「底部の厚さT>開口部側の側面部の厚さa」の形状となり、底部の厚さT>a1かつ底部厚さT>a2を意味する。底部の厚さと側面部の厚さaの比は、底部の厚さ:側面部の厚さ=1.2〜6:1が好ましい範囲である。この範囲内であれば表面積の増加効果が得られるだけでなく、電極としての通電容量も稼ぐことができる。厚さ比が1.2未満では底部の厚さを厚くする効果が十分でなく、6を超えると電極が必要以上に大きくなってしまい必ずしも好ましい形状とは言えない。
【0020】
また、側面部を内側に湾曲またはデーパ形状を具備させる方法としては図7に示した通り、底部の厚さをT、開口部側の直径をc1、T/2での直径をc2としたとき、c1<c2とすることも効果的である。これは側面部を凹状に湾曲させることまたは側面部に傾斜構造を具備させることを示している。c1>c2にすることによっても表面積は増加するが、c1>c2にすると開口部側の側面部先端が外側に向くため、先端部の強度がやや低下してしまう。
【0021】
c2>c1の好ましい比率は、c2:c1=1.02〜1.2:1である。c2/c1が1.02未満では側面部をテーパ形状にする効果がなく、c2/c1が1.2を超えて大きいと電極の直径が大きくなってしまうことから細いガラス管(冷陰極管)に適用し難くなる。
また、側面部は図7のようなきれいな直線上のテーパ形状である必要はなく、断面円弧状、断面S字状、波線状であっても良い。また、底部は端部を面取りした形状であっても良い。
また、胴体部を構成する円筒体は、必ずしも円筒形状である必要はなく、楕円、多角形など特に限定されるものではない。
また、このような表面積の増加方法は、開口部の直径cが10mm以下、5mm以下、さらには3mm以下と細くなればなるほど効果的である。
【0022】
次に、製造方法について説明する。本発明は前述の前述の構成を満たすものであれば特に限定されるものではないが、以下に一例を示す。
まず、原料粉末である高融点金属粉末を用意する。高融点金属粉末の純度は99.9質量%以上、さらには99.95質量%以上の高純度粉末であることが好ましい。不純物が0.1質量%を超えて混入していると電極として使用したときにその不純物が悪影響を与えるおそれがある。
また、高融点金属粉末の平均粒径は1〜10μm、さらには1〜5μmのものが好ましい。原料粉末の平均粒径が10μmを超えると焼結体の結晶粒の平均粒径が100μmを超え易くなるので好ましくない。焼結体の平均粒径が100μmを超えると焼結体中に最大径50μm以上のポアができ易くなってしまう。
【0023】
次に、高融点金属粉末を純水、PVA(ポリビニルアルコール)などのバインダーと混合して造粒を行う。このとき、高融点金属を主成分とする合金とするときには第2成分も一緒に混合する。また、特許文献2(特開平4−272109号公報)のように電子放射性物質と高融点金属の焼結体とするときには、電子放射性物質を混合する。
【0024】
次に、必要に応じバインダーを追加して造粒粉をペースト状にしたものを、金型成形、ロータリープレス、射出成形などの成形方法により、有底の筒状の成形体(カップ状の成形体)を作製する。
この成形工程において、金型の臼と杵の杵に目的とするa<bを付与させる形状を具備させることが好ましい。例えば、図1のような断面台形の形状を付与させたいときは、その形状(この場合、断面台形)を具備した杵を使って成形することになる。a<bの構成を具備させているため杵の押圧を隅々まで伝えることができる。その結果、成形体密度を均一に保つことができるため、焼結後に最大径50μm以上のポアができるのを抑制できる。従来のように、a=bの構造では、杵が円柱形状となり底部側へは押圧が伝わるものの側面部への押圧が十分に伝わらないため、焼結後に側面部に最大径50μm以上のポアができ易くなる。つまり、a<bの構成を具備させることにより底部と側面部の密度差を無くすことができるのである。
【0025】
次に、得られた成形体を、800〜1100℃のウエット水素雰囲気中で脱脂する。脱脂した後、水素雰囲気中1600〜2300℃で焼結することにより焼結体を得ることができる。焼結方法は、常圧焼結、加圧焼結(雰囲気加圧焼結、HIPなど)など様々な方法が適用可能である。
得られた焼結体がそのまま電極として使用可能であれば焼結体=冷陰極管用電極となる。また、バリ等が発生している場合は、バレル研磨等でバリ取りを行い、必要に応じ洗浄した後、製品(電極)とする。
【0026】
また、相対密度は、成形体中のバインダ量や脱脂時の条件を変えることにより、脱脂後の成形体中にバインダを所定量残したまま焼結する方法などによって制御可能である。また、側面部に湾曲またはテーパ形状(c2>c1)を具備させる方法としては、焼結体を研磨する方法であってもよいし、成形体から焼結体を作製する工程中に生じる成形体の収縮を利用してもよい。無底の中空体形状の焼結体では収縮差は生じ難いが、本発明のように一方に底部を有する有底タイプであると収縮差が生じ易いので、これを利用することも効果的である。収縮差を利用すれば焼結後の研磨加工の必要がないのでコストダウンにも効果的である。研磨加工が必要なくなれば、より細い電極を歩留り良く製造することも可能である。
【0027】
本発明の冷陰極管用電極を用いて冷陰極管を作製する場合は、底部にタングステン棒、モリブデン棒、KOV(コバール)棒、Ni−Mn合金棒などからなる電極端子を抵抗溶接法やレーザー溶接法などによって接合する。本発明のように底部を有するものは電極端子として線状ではなく棒状のものを使用できることから、電極と電極端子との接合部を面接合とすることができるので接合強度を向上させることができる。
また、必要に応じ、電極に電子放射性物質を被覆する。この被覆方法は、電子放射性物質のペーストを塗布した後焼成する方法、スパッタやCVD法による被覆など様々な方法が適用可能である。また、被覆場所も電極外表面のみならず側面部や底部の内側に被覆してもよい。電子放射性物質はLaBなど公知のものを適用できる。
【0028】
電極端子を接続した冷陰極管用電極を、ガラス管に封入することにより冷陰極管が完成する。ガラス管内には、蛍光体層、水銀、希ガスなど冷陰極管として必要なものが設けられていることは言うまでもない。図8に冷陰極管の一例を示す断面図を示した。図中、3は冷陰極管用電極、4は電極端子、5はガラス管である。
本発明の冷陰極管用電極を具備した冷陰極管は、有底型や表面積を増加させた構造を具備させていることから、電子放射性物質の被覆面積の増加やホローカソード効果を向上させることができる。そのため、電子放射性物質や電極材料のスパッタリング現象を抑制できることから、管内の水銀の取込を抑制できることから冷陰極管を長寿命化できる。また、ホローカソード効果により陰極降下電圧を低減していることから、発光効率も向上させることができる。
【0029】
(実施例)
(実施例1〜5、比較例1〜2、参考例1〜2)
平均粒径1〜5μmのモリブデン粉末(純度99.95質量%以上)を用いて表1に示した構成を具備する焼結体(一方に底部、もう一方を開口部とした有底型円筒体)からなる冷陰極管用電極を作製した。
また、各電極に電極端子(W棒)を抵抗溶接により接合し、電子放射性物質(LaB)被覆を設けた後、ガラス管内に封入することにより冷陰極管を作製した。なお、冷陰極管のサイズは、外径5mm、内径4.2mm、電極間距離は200mmに統一した。また、冷陰極管用電極の直径(開口部の直径c1)は2.5mm、長さ(L)は6mm、a1=a2、b1=b2、c1=c2形状の断面台形型(図1)のものに統一した。
【0030】
各電極の相対密度、焼結体のポアの最大径を測定した。また、冷陰極管の陰極降下電圧と水銀の消耗量を測定した。
相対密度の測定方法は、JIS−Z−2501(2000)により電極100個をまとめて測定することにより行った。焼結体のポアの最大径は、任意の断面を長手方向(Lに平行)に研摩後、金属顕微鏡で単位面積1000μm×1000μmを任意の3ヶ所測定し、その中で最大径50μm以上のポアの数を示した。陰極降下電圧は電圧計、水銀の消耗量の測定は2000時間連続発光させた後の電子放射性物質および電極材料のスパッタ層中の水銀量を測定することにより評価した。
【0031】
比較例として、溶解法および熱間圧延法から得られたMo板材を絞り加工することにより作製されたものを比較例1、底部が無い以外は実施例1と同じものを比較例2とし、また、参考例1〜2として本発明の好ましい範囲を外れているものを用意した。比較例および参考例についても実施例と同様の測定を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0032】
【表1】
Figure 2004192874
【0033】
【表2】
Figure 2004192874
【0034】
表から分かる通り、本実施例にかかる冷陰極管用電極を用いたものは陰極降下電圧が低く、水銀の消耗量が少ないことが分かる。このような電極を用いた冷陰極管は発光効率が高く、長寿命化が図れる。
一方、比較例1は表面凹凸がないことおよびa<bを満たしていないこと、比較例2は底部が無いため、表面積の増加が図れなかったので特性が低下した。また、参考例1および参考例2のように本発明の好ましい形態を外れたものは特性が低下することも確認された。
なお、表中に示さないが50μm未満のポアの数は実施例1〜5および比較例1〜2はいずれも0〜5個の範囲内であった。一方、参考例1〜2は6個以上確認された。
【0035】
(実施例6〜11)
電極材料をW、Nb、Ta、Re、Mo−W合金(W50質量%)、Ni−Cu−P−W合金(質量%で、2%Ni−3%Cu−0.1%P−残部W)に代える以外は実施例2と同様のものを作製し、同様の測定を行った。
【0036】
【表3】
Figure 2004192874
【0037】
電極の材質を代えても同様の効果が得られることが分かった。
(実施例12〜16)
開口部の直径c1とc2の比および底部の厚さTを表4のように代える以外は実施例3と同じものを用意し、同様の測定を行った。
【0038】
【表4】
Figure 2004192874
【0039】
表から分かる通り、c2>c1、底部の厚さT>開口部側の側面部の厚さa、を満たすことにより電極の特性は向上することが分かった。
(実施例17〜19)
断面V字(図2)、断面U字(図3)、断面階段型(図4)の構造に代える以外は実施例3と同様のものを作製し、同様の測定を行った。
【0040】
【表5】
Figure 2004192874
【0041】
表から分かる通り、形状を代えても有効であることが確認された。
(実施例20、比較例3、参考例3)
直径を代えた以外は実施例4と同様のものを作製し、その歩留りを測定した。また、板厚0.3mmの高融点金属板材(溶解法により作製)を絞り加工により同じ直径を具備する電極を作製し、その歩留りを比較した。なお、側面部の厚さは0.3mmに統一した。
また、参考例3として、板厚0.3mmの高融点金属板材(溶解法により作製)を絞り加工により底部の無い同じ直径を具備する電極を作製し、その歩留りを調べた。
【0042】
【表6】
Figure 2004192874
【0043】
表から分かる通り、底部を有する構造を作製する場合、成形体を焼結法する本実施例の製法であれば歩留りが高いことが分かる。
一方、板材を絞り加工する比較例3は側面部と底部の折り返し部にクラックが生じるため歩留りが低下することが分かった。また、参考例4のように底部を有しない形状であれば絞り加工であったとしても歩留りはよいことが分かった。特に直径が小さくなるほど、その影響が大きいことが分かった。言い換えると本発明は直径が細い電極に特に有効であると言える。
【0044】
(実施例21、参考例4)
実施例1の電極に電極端子としてW棒(直径2.0mm)を接合したものを実施例18、W線材(直径0.2mm)を接合したものを参考例3とした。なお、接合はいずれも抵抗溶接で行った。
接合強度を比較したところ、参考例3の接合強度と比較して実施例18の接合強度は約5倍の強度が得られた。
このように本実施例のように有底構造であれば電極端子の径を底部の径に合せることができるので接合強度を向上させることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明は、様々な構成により表面積を増加させた冷陰極管用電極を提供するものである。また、電極を焼結体で作製することにより安価に作製することができる。
このような電極を用いた冷陰極管は、陰極降下電圧、水銀の消耗量の低減ができることから冷陰極管の発光効率の向上、長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷陰極管用電極の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の冷陰極管用電極の他の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の冷陰極管用電極の他の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の冷陰極管用電極の他の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の冷陰極管用電極の先端部の他の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の冷陰極管用電極の他の一例を示す断面図である。
【図7】本発明の冷陰極管用電極の他の一例を示す断面図である。
【図8】冷陰極管の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…底部
2…側面部
3…冷陰極管用電極
4…電極端子
5…ガラス管

Claims (8)

  1. 一方に底部、もう一方に開口部を有する筒状の冷陰極管用電極において、開口部側の側面部の厚さをa、底部側の側面部の厚さをbとしたとき、a<bである焼結体からなることを特徴とする冷陰極管用電極。
  2. 該電極が相対密度80〜98%の焼結体からなることを特徴とする請求項1記載の冷陰極管用電極。
  3. 該電極がW,Nb,Ta,Mo,Reの金属単体またはその合金の焼結体の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷陰極管用電極。
  4. 該焼結体には最大径50μm以上のポアが存在しないことを特徴とする請求項2または請求項3記載の冷陰極管用電極。
  5. 底部の厚さをT、開口部の直径をc1、T/2での直径をc2としたとき、c1<c2であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷陰極管用電極。
  6. 底部の厚さをT、開口部側の側面部の厚さをaとしたとき、T>aであることを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の冷陰極管用電極。
  7. 開口部の直径が10mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の冷陰極管用電極。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の冷陰極管用電極を用いたことを特徴とする冷陰極管。
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