JP2008147129A - 冷陰極電極および冷陰極蛍光ランプ、それを用いた液晶ディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】 結晶組織の配列、形状と大きさがバランス良く制御され、目的の延性と曲げ強度を備えた純モリブデン材料を利用して、長寿命冷陰極蛍光ランプ用に外径1.7mmφ以上の電極のT字形状部品を提供すること。
【解決手段】 純モリブデン線材において、再結晶処理を施し、その後、熱処理炉内より、脆化した当該のモリブデン線材を断線しないようにするために、コイル形状にすることなく、直線状に引き出す。同時に断面減少率で5〜20%の範囲内で線引き加工をすることによって、延性を回復させ、なお且つ、再結晶処理後の総断面減少率を60〜80%にして加工された線材を、T字形状部品1の加工用に用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、液晶ディスプレイ用のバックライト等に使われる、冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極に関する。
従来から冷陰極蛍光ランプはいろいろな用途で用いられ、最近では液晶ディスプレイ用バックライトへの適用が盛んに検討されている。液晶ディスプレイ用バックライトに用いられる冷陰極蛍光ランプに関しては、近年TV用に液晶素子が使われ始め、従来よりも長寿命の冷陰極蛍光ランプが望まれている。
非特許文献1では、モリブデンやニオブ等の高融点金属材を冷陰極蛍光ランプ用電極に採用することで、冷陰極蛍光ランプの長寿命化が実現されている。
しかし、これらの高融点金属材料は材料価格が高いことや、特にモリブデン材料は加工が難しいという問題点がある。
図3は従来から冷陰極蛍光ランプに使われている深絞り加工で作製された有底の円筒状電極の形状を示す図である(例えば、特許文献1、参照)。図3を参照すると、この深絞り加工電極50は有底の円筒状電極51と、支持棒52と、導入線53とを備えている。電極形状において、電極寿命の向上、即ち電極に対する負荷を一層軽減しようとすると、放電に寄与する有底の円筒状電極51の内側の面積を多くする必要がある。
具体的には、有底の円筒状電極51の電極径(D)に対する電極長(L)を大きく、電極のアスペクト比(L/D)が3.0以上の電極を作製した場合、上述のとおりモリブデン材料は加工が難しい材料であるため、歩留まりが悪化し生産性が低下、その結果、電極価格が上昇するという問題点がある。
一方、折り曲げ加工電極は、深絞り加工電極に比べ、加工時の材料歩留まりが一般的に20%程度改善出来、加工時の生産性も改善される。さらに、円筒体部品の長さも自由に設計出来るという利点を有している。
本願出願人は、先に、上記の深絞り加工電極の問題点を解決するために、大きな電極のアスペクト比(L/D)の有底の円筒状電極を作製する方法として、深絞り加工ではなく、図1に示すように、曲げ加工で作製した円筒体部品とヘッダー加工で作製した材質がコバールからなるT字形状部品とを組み合わせて電極を形成する技術を提案している(特許文献2、参照)。
上記のT字形状部品をヘッダー加工によって作製する利点について述べると、図1は折り曲げ加工の円筒体部品とT字形状部品とを組み合わせた組み合せ電極を示す断面図である。図1に示すように、組み合せ電極10は、円筒体部品2とT字形状部品1と、導入線3とを有している。このT字形状部品1をヘッダー加工で作製することで材料歩留まりが原理的に100%と高く、生産性も優れている。特に、アスペクト比(L/D)の大きい電極の作製が容易、且つ安価に提供できるという利点がある。
一方、近時は液晶パネルの温度上昇を抑えることが可能な冷陰極蛍光ランプの要求が高まってきている。これを可能にするためには当該冷陰極電極の熱伝導率を向上させる必要がある。即ち、特許文献2に示すT字形状部品の材質を熱伝導率の高いモリブデン材料に変更することができれば上述の要求に応えれることになる。
しかしながら、特許文献2で示した円筒体部品2とT字形状部品1とを組み合わせる方式の欠点は、電極外径が大きくなると自ずとT字形状部品1の円板状頭部1aも大きなものを作製する必要が生じる。
先に述べたとおり、従来から提供されているモリブデン材料は延性が小さく脆性材料であるため、円板状頭部1aが大きなT字形状にヘッダー加工すると、当該T字形状の頭部1aに割れが発生し易い。従って、作製可能なT字形状部品1の円板状頭部1aの最大外径は制限されるという問題点がある。
さらに、詳述すると、従来、冷陰極蛍光ランプ用電極は、その管の内径によって決まり、φ1.1mm、φ1.5mm、φ1.7mm及びφ2.7mmの外径の電極が主に使われてきた。これらの有底の円筒状電極を図1の組み合わせ電極で作製する場合、T字形状部品1の成形比は電極径が大きくなるに従って大きくなる。
ここでT字形状部品1の成形比は、T字形状部品1の直径方向を基準とした、頭部断面積と支持棒の断面積の比で定義される。従来のモリブデン線材を使うと、成形比が2.5未満のT字形状部品1はヘッダー加工できたが、それ以上の成形比、即ち2.5以上のT字形状部品はヘッダー加工を施すと円板状頭部1aに割れが発生し良品を得ることができなかった。
このため、例えば、外径φ1.5mmの電極のT字形状部品の支持棒の径(D4)はφ0.8mmで円板状頭部の径(D3)はφ1.3mmになり成形比(面積比)は約2.6になるので実用化されなかった。従って、成形比2.5以上のT字形状部品1を用いた電極作製の実現が切望されている状況にある。
ところで、モリブデン材料は高融点、高高温強度、低蒸気圧などの特性が利用され、工業炉用部材やランプ用部品などに多用されている。例えば、工業炉用部材の代表的用途ではメッシュヒーター、棒ヒーターやヒーター支持フック等がある。
上記のモリブデン材料(線材)の製造は、一般に粉末冶金法によりインゴットを得る。次に、このインゴットに圧延加工、線引き加工を施して所望の材料寸法に仕上げられる。上記の圧延加工や線引き加工などの塑性加工を施すことによって当該材料は長手方向に組織が発達する。このため、加工が進むにつれて、長手方向に引っ張った際の強さと伸び、曲げ特性は、長さ方向に対する直角方向へのこれらの特性とでは、差が生じてくる。この特性差の原因は、結晶組織の形状に由来すると考えられる。
即ち、伸びが最も大きくなる熱処理温度と、折り曲げ強度を維持できる熱処理温度に差があるために、伸びを大きくしようとした場合には折り曲げ強度が小さく、折り曲げ強度を維持しようとした場合には充分な伸び特性が得られないと言う状態が生じる。
このため、本発明者等は、上述、T字状にヘッダー加工した際のT字形状の頭部に割れが発生する原因としては、モリブデン線材の結晶組織の配列や形状、ならびにその大きさにあると考えた。
なお、再結晶温度を高め、高温強度や折り曲げ特性を向上させたドープモリブデン材料が提供されている。例えば、ドープモリブデン材料として、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、シリコン(Si)を微量ドープしたAKSドープ材料、Tiなどの遷移金属を微量にドープした材料がある。これらドープ材料は添加する元素の種類と量を特別に管理する手法が必要であるため、純モリブデン材に比較して価格が高額となる。またこれらのドープ元素と冷陰極蛍光ランプ管内のガス成分との反応が懸念される。このために、これらの懸念が払拭できる純モリブデン材料の実現期待が高い。
特開2003−151496号公報 特開2005−158539号公報 平成13年度照明学会第34回全国大会予稿集P.57
従って、本発明の一技術的課題は、ドープ材を含まない実質的に純モリブデン材であって、結晶組織の配列、形状と大きさをバランス良く制御し、目的の延性と曲げ強度を備えたモリブデン材料を用いて、外径φ1.5mm以上の冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の作製、即ち従来はヘッダー加工が不可能であった成形比2.5以上を有するT字形状部品とそれを用いた冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極とその製造方法とを提供することにある。
また、本発明のもう一つの技術的課題は、前記冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極を用いた冷陰極蛍光ランプと液晶ディスプレイとを提供することにある。
前述のとおり、モリブデン線材において伸びおよび折り曲げ特性に差が生じるのは、圧延加工、線引き加工によって金属組織が材料の長手方向に発達していくためである。この差を縮めるためには、再結晶処理を行い、結晶粒を粗大結晶化させるのが効果的であるが、著しく脆くなってしまうので、その後の塑性加工が困難となる。このため、従来、塑性加工が進んだ段階で結晶粒を粗大結晶化するような熱処理温度、具体的には1500℃以上の高温熱処理することは行われなかった。
本発明ではモリブデン線材に再結晶処理を施し、その後、熱処理炉内より、脆化した当該モリブデン線材を断線しないようにするために、コイル形状にすることなく、直線状に引き出し、同時に断面減少率で5〜20%の範囲内で線引き加工をすることによって延性を回復させる。なお且つ、再結晶処理後の総断面減少率を60〜80%にする新たな手段によって、金属組織は微細な再結晶組織を有し、且つ前記再結晶組織粒のアスペクト比(l/w)が8以下からなり、前記結晶粒の数が4200から13000個/平方ミリメートルの範囲とする線材を得ることによって、上記課題を解決したものである。ここで再結晶粒のアスペクト比とは、結晶粒の材料長手方向の大きさ(l)と材料径方向の大きさ(w)の比(l/w)で定義される。
即ち、本発明によれば、材質がモリブデンである円筒体部品と、材質がモリブデンであり円板状頭部と支持棒とが一体形成されたT字形状部品とを組み立ててなる冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極であって、前記組み立ては前記円筒体部品の円筒方向の一端に前記T字形状部品の円板状頭部の厚み部を嵌合組み立ててなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極が得られる。
また、本発明によれば、前記冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極において、更に、前記嵌合された部位に溶接部を有することを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極が得られる。
また、本発明によれば、前記冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極において、前記T字形状部品は、モリブデン純分が99.99%以上(JIS H1404)であり、結晶粒のアスペクト比(l/w)が8以下で、且つ前記結晶粒の数が4200から13000個/mmの範囲にあるモリブデン線材からなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極が得られる。
さらに、本発明によれば、前記いずれか一つのT字形状部品において、前記T字形状部品の円板状頭部の断面積は前記支持棒となるモリブデン線材の断面積に対し、成形比が2.5以上であることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極において、前記T字形状部品の円板状頭部の厚みが0.3mm以上0.5mm以下であることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの冷陰極電極を用いてなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプが得られる。
また、本発明によれば、前記冷陰極蛍光ランプをバックライトとして用いてなることを特徴とする液晶ディスプレイが得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の製造方法であって、モリブデンからなる前記円筒体部品を準備する工程と、モリブデン純分が99.99%以上(JIS H1404)、結晶粒のアスペクト比(l/w)が8以下、且つ前記結晶粒の数が4200から13000個/mmの範囲にある前記モリブデン線材を、前記T字形状部品の円板状頭部と支持棒とを一体形成するための加工型を有するヘッダー加工機に供給して、前記モリブデン線材の頭部を前記線材の断面積に対し成形比2.5以上、前記円板状頭部の厚みを0.3mm以上0.5mm以下で、且つ前記支持棒を備えた前記T字形状部品を作製するヘッダー工程と、前記円筒体部品の円筒方向の一端に前記T字形状部品の円板状頭部の厚み部を嵌合して組み立て品を作製するプレス工程とを備えてなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の製造方法において、前記組み立て品の嵌合部分に更に溶接接合を施す溶接工程とを備えてなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の製造方法が得られる。
本発明に係るモリブデン線材、即ち金属組織が微細な再結晶組織を有し、且つ再結晶組織粒のアスペクト比(l/w)が8以下からなり、結晶粒の数が4200から13000個/mmの範囲からなるモリブデン線材を用いることで、成形比2.5以上のT字形状部品のヘッダー加工が可能となる。
また、本発明に係るT字形状部品は、工程数の少ないヘッダー加工で作製できるため、作製コストの上昇を抑えることが出来る。その結果、深絞り加工法と同等の生産性とコストで、電極のアスペクト比(L/D)が2.5以上の有底で円筒状の冷陰極電極を提供することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の冷陰極電極は、図1に示した特許文献2のものと外観上は同様の構造を有している。
即ち、冷陰極電極は、組み合せ電極10からなり、曲げ加工またはシームレスパイプで作製した円筒体部品2とヘッダー加工で作製したT字形状部品1とを組み合わせ、さらに、導入線3を組み合わせて形成されている。前述したように、本発明の冷陰極電極は、図1に示す従来のものと同じ構造を備えているが、T字形状部品1の材料構成とその寸法が異なる。
図2は、本発明の実施の形態による電極部品を示す断面図で、(a)は円筒体部品2、(b)はT字形状部品1を示している。(a)の円筒体部品は、現在、主に使用されている外形約φ2.6mmのCCFL管に採用されているモリブデン材料から作製されている。図に示された(a)の円筒体部品2に(b)のT字形状部品1を圧入し嵌め合わせ、または嵌め合わせ後さらに溶接して図1に示す完成された冷陰極電極にする。
ここで、T字形状部品1は、径(D4)がφ0.8mmの本発明独自のモリブデン線を所定の長さに切断して、後述する本発明に係るヘッダー加工を施して円板状の頭部1aを作り、支持棒1bとともにT字形状に形成する。なお、ヘッダー加工は冷間(室温)において加工成形を行うことが出来る。
円板状の頭部1aの径(D3)はφ1.4mmで、この時の成形比は(即ち、面積比で)3.06である。
下記表1に本発明の使用したモリブデン線材を用いた場合のT字形状部品のヘッダー加工の可否領域を示す。
生産性の良い加工条件の一つに、金型の温度は室温の冷間加工が出来ることが重要である。また、加工のステップは一段で、加工のインデックスを長くしないことも含まれる。
表1に示すとおり、本発明に供するモリブデン線材によれば同じヘッダー加工条件で、成形比4.0まで加工できることが実証された。但し、ヘッダー加工可能な成形比は、加工時の潤滑油や金型材質等で多少変化する数値であるが、この成形比は技術的指標となる。
ここで示された円筒体部品を備えた電極の外径寸法は実用的な寸法であるので、上記表1に示される成形比の範囲を加工出来れば、主要な電極に対応できる。
なお、円筒体部品の作製は、モリブデン板材を折り曲げて円筒状に加工成形して作製する方法と、シームレスパイプを切断して作製する方法がある。前者は、パイプの合わせ目をTIG溶接あるいはレーザー溶接を行う際に、酸素混入による溶接部分の脆化を防止するための装置が必要であり、生産コストの面で後者を採用するのが好ましい。
ここで、本発明では、モリブデン線材は、次のものが用いられる。
まず、モリブデン線材は、モリブデン純度が99.99%以上(JIS H1404)である。このモリブデン線において、長さ方向である線引き方向に平行な断面組織は、微細な再結晶組織を有する。この組織の結晶粒のアスペクト比(l/w)が8以下である。また、結晶粒の数が単位面積当たり4200から13000個/mmの範囲にある。
また、引張強さは、800〜1060MPa(N/mm)で、伸び15%以上、且つ折り曲げ試験(JIS Z2248の巻きつけ法を準用)による折曲げ回数が10回以上を有する。
ここで、線材の組織(アスペクト比(l/w)が8以下で結晶粒の数が4200から13000個/mm)についてさらに、詳しく述べると、引張強さが800〜1060MPa(N/mm)で、伸び15%以上、且つ折り曲げ試験(JIS Z2248の巻きつけ法を準用)による折曲げ回数が10回以上の特性を備える線材とするためには、当該組織の結晶粒のアスペクト比(l/w)が8以下で、且つこの結晶粒の数が単位面積当たり4200から13000個/mmの範囲とすることが必要である。この両者の値から外れると熱処理を施しても上記の引張強さ、伸び、折り曲げ回数が得られない。
本発明のモリブデン線材は、第1の熱処理工程と線引き加工工程と第2の熱処理工程を順に施すことによって得られる。第1の熱処理工程は、前記モリブデン材料を非酸化雰囲気中で1回以上の再結晶化処理を施す工程である。第1の熱処理工程の再結晶化処理を施す熱処理温度は1500℃〜1700℃である。次に、線引き加工工程は、前記モリブデン材料を大気中で酸化加熱処理し、且つ前記モリブデン材料に断面減少加工を施す工程で、この線引き加工工程を酸化加熱処理しながら、前記モリブデン材料の表面に黒鉛付着焼付けを施こしながら行っても良い。このように、黒鉛付着焼付けを施し且つ前記線棒材に断面減少加工を施す熱処理温度は800℃〜1000℃である。また、前記線引き加工における線引き1回当たりの断面減少率は5〜20%で、且つ総断面減少率は58.8%を超え81%未満の範囲で施される。さらに、第2の熱処理工程は、前記線引き加工されたモリブデン材料を非酸化雰囲気で熱処理する工程で、前記線引き加工されたモリブデン材料を電解研磨加工、次いで切り棒加工した後に行っても良い。この第2の熱処理温度は、900℃〜1200℃である。
ここで、第1の熱処理温度、即ち、モリブデンの再結晶化処理の温度(1500℃〜1700℃)について述べると、1500℃未満の温度では線棒材の再結晶化が均一に進行せず、組織にむらが生じる。また、1700℃超の温度では再結晶化組織が粗大化しすぎて強度が低下し、次工程での線引き加工が困難になるためである。以上の理由で再結晶化処理の温度を1500℃〜1700℃とするのが望ましい。
また、モリブデン酸化加熱処理の温度(800〜1000℃)について述べると、モリブデン酸化加熱処理温度を大気中で800〜1000℃とする理由は、800℃未満の温度では線表面における酸化膜形成と黒鉛焼付けが不十分であり、1000℃超の温度では線引き応力により線径細りの発生や断線不具合が生じるためである。
更に、線引き加工の断面減少率(5〜20%)について述べると、断面減少率が5%未満では線材表面の塑性変形ばかり進行し、線材内部との品質特性に差が生じてしまう。また、20%を超える断面減少率では塑性変形抵抗が大きく、引ききれず断線してしまうためである。以上の理由で線引き加工の断面減少率5〜20%とするのが望ましい。
また、線引き加工の総断面減少率(58.8%を超え81%未満)について述べると、58.8%以下の総断面減少率、あるいは81%以上の総断面減少率を当該線棒材に施すと、その後に熱処理を施しても所望の数の結晶粒を得ることが出来ないためである。以上の理由で線引き加工の総断面減少率は58.8%を超え81%未満とするのが良い。好ましくは60%以上78%以下である。
次に、線引き加工後の第2の熱処理温度(非酸化雰囲気下900℃〜1200℃)について述べると、非酸化雰囲気下で熱処理することによって、線材の表面の酸化物を除去する。また、900℃〜1200℃の範囲を外れると所望のアスペクト比を備える結晶粒とその数、並びに引張強さ、伸び、折り曲げ回数が得られないためである。以上の理由により非酸化雰囲気下で熱処理、且つ熱処理温度は900℃〜1200℃とするのが望ましい。本発明では、上記した手法により、モリブデン線材を用いて、ヘッダー加工を施し、成形比2.5以上の頭部を有するT字形状部品が得られた。
(実施例1)
本発明の実施例1では、本発明に用いるモリブデン線状材の製造の具体例について説明する。
まず、粉末冶金法による一般的なモリブデン線の作製方法(以下、「定法」と云う)によって、モリブデン線材を作製した。
平均粒径4.2μmの純モリブデン粉末を用意した。このモリブデン粉末を196MPa(約2.0ton/cm)の圧力で静水圧プレスを行い、圧粉成形体を得て、次に、水素還元雰囲気で1800℃×10時間の焼結を施し、長さ300mmで直径(φ)40mmのインゴットを作製した。
次に、上記インゴットを1100〜1400℃の範囲で加熱しながら、1回当たりの断面減少率を15〜40%の範囲内に順次設定した孔型圧延加工し、φ5.2mmの棒材を作製した。
さらに、上記φ5.2mmの棒材を800〜1000℃の範囲で加熱しながら断面減少率が15〜40%範囲内で線引き加工を施し、φ0.61mm、φ0.95、φ1.0mm、φ1.2mm、φ1.3mm、φ1.4mmのモリブデン線をそれぞれ作製した。尚、線引き時の線引き用ダイスとの摩擦減少および線引き温度保持の目的で黒鉛潤滑剤を用いた。
以上の製造方法によって、モリブデン純度が99.99%以上(JIS H1404)であるモリブデン線材を用意した。
次に、本発明のヘッダー加工に好適なモリブデン線材の作製について述べる。
(1)再結晶化熱処理:
上記の「定法」で作製したモリブデン線材の内、下記表2に示すφ1.0mmの試料No.1〜9と、下記表3に示すφ1.2mmの試料No.10〜18と、下記表4に示すφ1.3mmの試料No.19〜27、下記表5に示すφ0.95mmの試料No.28〜36、下記表6に示すφ1.4mmの試料No.37〜45のそれぞれのモリブデン線を、更に水素雰囲気中1500℃以上の温度で再結晶化熱処理を施した。
一方、比較例として、定法によって作製した下記表7に示すφ0.6mmの試料No.46〜54を用意したが、再結晶化熱処理は行わなかった。
(2)線引き加工:
次に、大気中で800℃〜1000℃の酸化加熱処理を行いながら線引き加工の際の潤滑剤となる黒鉛を付着・焼き付けし、その後、断面減少率を5〜20%の範囲内としダイスによる線引き加工を繰り返して施した。
具体的に、表2に示す試料1〜9のφ1.0mmの線は、総断面減少率62.8%を施した。また、表3に示す試料10〜18のφ1.2mmの線は、総断面減少率74.2%を施した。また、表4に示すφ1.3mmの線は、総断面減少率78.0%を施した。また、表5に示すφ0.95mmの線は、総断面減少率58.8%を施した。また、表6に示すφ1.4mmの線は、総断面減少率81.0%を施した。
上記の線引き加工を行い表2〜表6に示す試料No.1〜45に供するφ0.61mmのモリブデン線をそれぞれ作製した。表7の比較例に関しては、線引きを行わなかった。
なお、この時の再結晶熱処理を行うための熱処理炉の炉口と、大気中で酸化物を形成させるバーナーと、黒鉛の付着・焼き付けさせるバーナー、及び線引き加工のダイスを直線状に並べることによって、再結晶熱処理により脆化したモリブデン線の折れトラブルを回避した。
上記に加え、線引き時の線材加熱温度だけでなく線引きダイス加熱温度も管理する必要がある。ダイス加熱温度は前述の断面減少率並びに後述の線引き速度と関連付けて調節・管理する。線引き加工が進行し、線径が細くなるに従い線材加熱温度を低くし、1100℃から650℃で制御する。1100℃を超えると引き細り、断線に至たり易い。一方、650℃未満では変形抵抗が大きく、引ききれず断線に至る。なお、ダイスの材質は超硬合金あるいはダイヤモンドを用いる。
ダイス加熱温度の管理は、線材温度を保持するためとダイス材質を保護するために行う。この際、上限は450℃、下限は300℃。上限を超えるとダイス材質が変化してダイスの機能が損なわれ、下限を下回ると線材の断線が生じ易くなるためである。
上記の条件内で、ダイスを用いて一度線引き加工されたモリブデン線については、その後の線引き加工に断線などの支障を来たすことはなく、表2から表6の試料1〜45のφ0.61mmのモリブデン線を得ることが出来た。
さらに、線引き加工速度は、線材の線径が細くなるに従い速く制御するのが良い。本実施例では3m/分から10m/分である。これらの範囲を外れると、断線、引き細りなどの不具合が生じたためである。
(3)電解研磨:
次に、表2〜表6に示す試料No.1〜45のφ0.61mmのモリブデン線の表面に付着している黒鉛を除去する為に、30%苛性カリウム(KOH)の電解液用いて電解研磨を施した。電解研磨後のモリブデン線の径は夫々φ0.6mmであった。同様に、比較例として、表7に示す試料46〜54も電解研磨を行った。
(4)切棒材:
次に、表2〜表7に示した上記のモリブデン線に直線加工を施し、に切断し、φ0.6mm×300mm(但し任意の長さである)のモリブデン棒材(切棒とも云う)とした。
(5)熱処理:
次に、上記のモリブデン棒材の内「熱処理温度(なし)」の他は、水素雰囲気中で800〜1500℃の範囲内の800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃、1300℃、1400℃、1500℃の8通りの温度でそれぞれ熱処理を施した。
上記で得られた試料1〜54の引張強さ、伸び、折り曲げ試験、組織の測定を行った。その結果を下記表2〜表7に示す。
引張強さと伸びは、JIS H4460に準じて測定を行った。折り曲げは、JIS Z2248の巻き付け法に準じて測定を行った。また、得られたモリブデン線を、JIS H1404:2001の分析方法によって不純分測定を実施した。その結果、不純分は0.01%以下であり、モリブデン純度は99.99%以上であることを確認した。
なお、各特性と組織形態の関係、並びに結晶数の測定については、まず、対象モリブデン材料から採取した小片を線引き方向(RD方向)に平行な断面の線径の中心近傍まで研磨して鏡面に仕上げた後、エッチング処理を行い金属顕微鏡観察試料を得た。
組織形態の判断は、上記各試料を光学顕微鏡を用い、400倍で組織観察を行い、繊維組織中に占める再結晶粒の割合の面積比率で求め、この面積比率が50%以上を占めた場合を再結晶組織と定義し、同様に50%未満の場合は、繊維組織と定義し表2〜7に示した。
また、再結晶組織を呈していた試料については、再結晶粒度Naの測定を行った。即ち、光学顕微鏡を用い、任意の倍率M(計数精度を考慮すると400倍および800倍が望ましい)で組織観察し、得られた写真上にφ70mmの円を描いた。その面積中に完全に含まれる再結晶粒の数Nwと一部が含まれる再結晶粒の数Niとを数え、それらの総数Nt(=Nw+Ni/2)を算出し、次の数1式で再結晶粒度Naを求めた。また、本明細書では、この再結晶粒度Naを再結晶粒の数と定義し、表2〜7に示した。尚、数1式中、πは、円周率である。
この方法による結晶数の測定結果を表2〜表7に示す。
なお、実際には、組織中にアスペクト比(l/w)が8を超える結晶粒も存在しているが、アスペクト比8以下で、その数を単位面積当たり4200から13000個/mmの範囲と定めることによって、本発明の要求特性、即ち、引張強さと伸びと折り曲げの3つの特性をバランス良く備えているモリブデン線が得られることが判明した。なお、アスペクト比8を超える結晶粒の数の測定は除外した。
上記表2〜表7の各試料1〜54の評価結果について説明する。
表2乃至表4に示すように、第1の熱処理として1500℃の再結晶化熱処理を施し、上記した総断面減少率で、800℃〜1000℃で加熱して線引き加工したモリブデン線材(試料1〜27)に、900℃〜1200℃の第2の熱処理温度を施すことによって、表2の試料3〜6、表3の試料12〜15、表4の試料21〜24のいずれもが15%以上の伸び特性と10回以上の折り曲げの両特性が得られていることが分かる。なお、上記の特性が得られなかった他の試料である表2の試料1,2と7〜9,表3の試料10,11と16〜18,表4の試料19と20,25〜27、表5の試料28〜36,表6の試料37〜45は本発明の範囲外とした。なお、比較例として表7に再結晶処理を行わない場合の各特性の測定結果を示した。
上記、伸び特性と耐折り曲げ特性が得られた表2の試料3〜6、表3の試料12〜15、表4の試料21〜24の引張強さの範囲は、0.8〜1.06GPaの範囲であり、これは熱処理を施された一般的な引張強さとほぼ同じであり、15%以上の伸び、10回以上の折り曲げ特性を得ても引張強さが高い故に形状加工が困難となったり、引張強さが低く強度不足になることがない特性値である。
また、表5に示すとおり、定法により作製したモリブデン線状材に、更に1500℃の再結晶化熱処理を施し、その後、60%未満の断面減少率で線引き加工したモリブデン線材は、15%以上の伸び特性が得られる熱処理温度が900〜1100℃であるのに対し、10回以上の折り曲げ特性が得られる熱処理温度は800℃以下である。このため、伸び15%以上、折り曲げ10回以上の両方の特性を得る熱処理条件が無く、表5の試料28〜36は本発明の範囲外とした。
また、表6に示すとおり、更に1500℃の再結晶化熱処理を施し、その後、80%を超える断面減少率で線引き加工したモリブデン線材は、15%以上の伸び特性が得られる熱処理温度が1200〜1400℃であるのに対し、10回以上の折り曲げ特性が得られる熱処理温度は1100℃以下である。このため、伸び15%以上、折り曲げ10回以上の両方の特性を得る熱処理条件が無く、表6の試料37〜45は、本発明に用いる線材の範囲外とした。
比較例の表7の試料46〜54は、1500℃の再結晶熱処理を施さなかったモリブデン線材であり、15%以上の伸び特性が得られる熱処理温度が1200〜1400℃であるのに対し、10回以上の折り曲げ特性を得られる熱処理温度は1100℃以下であり、このため、伸び15%以上、折り曲げ10回以上の両方の特性を得られる熱処理条件は無く、どちらを優先し、どちらを犠牲にする選択肢しかないことが分かる。
次に、表2〜表7の金属組織について説明する。
上記表2〜表7に示すとおり、15%以上の伸び特性が得られるのは、いずれも再結晶状態の組織のものである。しかし、単位面積当たりの結晶の個数が少なくなってくる。つまり、再結晶化が進み個々の結晶粒が粗大化してしまうと伸び、折り曲げ特性とも劣ってしまうことが分かる。
これは、粗大化した結晶の粒界強度が、再結晶が進むにつれて弱くなってしまう為と、粗大化した分、多くの応力を受けるようになってしまう為である。
従って、伸び、折り曲げ両方の特性を得るには、再結晶は開始しているが、粗大結晶化までは至っていなく、なおかつ、その結晶粒ができるだけ細かいものが望ましいと云える。
上記表2の試料3〜6、表3の試料12〜15、表4の試料21〜24において、15%以上の伸びと10回以上の耐折り曲げ特性が得られたときの結晶粒の数は、いずれも4200個以上/mmとなっている。これは、表2の試料7〜9,表3の試料16〜18,表4の試料25〜27,表5の試料30〜36,表6の試料40〜45,及び比較例である表7の試料49〜54のいずれの熱処理温度でも得られないことが分かる。
従って、本発明によって単位面積当たりの結晶粒の数を多くすることによって、折曲げ特性の良いモリブデン線材が得られるのは試料3〜6,12〜15,試料21〜24であることが判明した。
以上の結果に基き、φ0.6mmの試料3〜6、12〜15、21〜24のモリブデン線を後述のヘッダー加工に供した。また、記載は省略したが、本明細書で示した製造方法で且つ金属組織が上記発明試料に一致するφ0.8mmのモリブデン線を作製し、φ0.6mmと同様に後述のヘッダー加工に供した。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2では、φ0.8mmのモリブデン線から作成したT字形状部品を用いた陰極電極の組み立てについて述べるが、本発明はこれらに限定されるものではないことは、勿論である。
(イ)円筒体部品2の作製:
円筒体は、上記表1に示すとおり外径(D1)φ1.1mm、φ1.3mm、φ1.7mm、φ1.9mmのモリブデン製シームレスパイプをそれぞれ用意し、円筒体部品2を作製した。
なお、以下の説明は、従来実現が不可能であったヘッダー加工の成形比4.0が得られる外径(D1)φ1.9mmについて説明する。
(ロ)T字形状部品1の作製:
T字形状部品は、本発明に係る試料となるD4がφ0.8mmのモリブデン線を所定の長さに切断して、次に、T字形状部品の円板状頭部と支持棒とを一体に形成するための加工型(ダイス)を有するヘッダー加工機に供給し、
次に、ヘッダー加工機のパンチで上記のモリブデン線材の頭部に据え込みを施して、円板状頭部1aの径D3がφ1.6mmで、厚みが0.5mmを有するT字形状部品を作製した。このときの成形比は4.0であった。また、このときのヘッダー加工機の打撃エネルギーは2000N(20MPa)であった。
さらに同じ条件で上記の円板状頭部1aの径D3がφ0.9mm、1.1mm、1.4mmで、厚みがそれぞれ0.3mmのものを作製したが、円板状頭部1aに割れが発生することは無かった。
上記の円板状頭部の厚みを0.3mm以上とする理由は、後述のT字形状部品と円筒体部品とをプレスフィットさせた後の接合強度、あるいは、溶接した後の接合強度が得られる厚みだからである。また、0.5mm以下とする理由は、この厚みを超えると電極内部の表面積が減少し放電特性に影響が出るためであり、また、これを解決しようとすると電極となる円筒体の長さを見直す必要が生じるからである。
なお、ヘッダー加工による円板状頭部1aの割れ有無の検査は、顕微鏡による目視検査によって、割れの無いことを確認した。
(ハ)T字形状部品1の円板部外径の加工:
円筒体部品の内径とT字形状部品の円板状頭部1aの外径D3の嵌め合い公差は、プラス20μm以下で双方を加工した。
(ニ)円筒体部品2とT字形状部品1の組み立て:
ヘッダー加工により形成された円板状頭部1aを有するT字形状部品1と円筒体部品2の組み立てはプレスによって行う。組み立ては、円板状頭部1aを円筒体部品2の片側端部に向かわせた後、その円板状頭部1aに圧力を印加して変形(圧入接合)し、円筒体部品の内径に縁板状頭部1aの厚み部をプレスフィットさせて嵌合組み立て品を作製した。
なお、双方の部品は、プラス20μm以下の嵌め合い公差で十分なプレスフィットができる。
他の接合方法としては、上記の嵌め合い公差で、または若干嵌め合い公差を緩くして、アルゴン雰囲気中で円筒体部品の外周からT字形状部品の頭部の厚み部に向けて円周等分で4箇所以上、好ましくは円周等分で6〜8箇所にレーザー溶接を施しても良い。
更に他の方法としては、嵌め合わされた円筒体部品の内径部とT字形状部品の外径部との接触部位に向けて、上記同様にレーザー溶接を施しても良い。
なお、上記のそれぞれの溶接接合における必要な溶接強度は、引張破壊強度が30N(ニュートン)以上を有していれば実用上問題が生じない。また、この溶接強度を確保するためには、T字形状部品の頭部の厚みは、圧入接合の場合と同じく0.3mm以上必要であることが実験によって確認された。
本発明のモリブデン線を用いて作製可能な、T字形状部品1の円板状頭部1aの直径とその時に組み合わせる円筒体部品2の外径寸法を表1に示した。
図4は再結晶熱処理を行ったφ0.8mmモリブデン線にヘッダー加工を施して作製したT字形状部品の金属組織写真である。この図4から判るとおり、支持棒に対する円板状頭部の成形比が4.0以上得られており、さらに、円板状頭部の周囲に割れが発生していないことが判る。また図5は図4の支持棒部の金属組織を拡大した写真であり、当該金属組織が再結晶組織を呈していることが判る。
以上説明のとおり、本発明のモリブデン線材をT字形状部品1に用いることで、図2の(b)で示される成形比(面積比)4.0までのT字形状部品1を、割れ発生が無くヘッダー加工で作製出来ることが確認された。
なお、本発明のモリブデン線材のφ0.6mmとφ0.8mmのヘッダー加工が可能な成形領域を表1に合わせて示した。
(比較例)
従来のモリブデン線材を用いて、実施例と同様の条件でT字形状部品1を作製すべく成形比2.5以上でヘッダー加工を行った。その結果、円板状頭部1aに割れが発生し成形不可能であることを追認した。
以上述べた通り本発明の冷陰極電極及び冷陰極蛍光ランプ、それを用いた液晶ディスプレイは、液晶ディスプレイのバックライトに適用される。
円筒体部品2とT字形状部品1を組み合わた冷陰極電極を示す図である。 本発明の実施の形態による円筒体部品2とT字形状部品1の冷陰極電極用部品の形状を示す図である。 従来技術によるモリブデン深絞り加工電極を示す図である。 本発明の範囲に含まれるヘッダー加工の一例として、表2の試料3の組織を有するφ0.8mmのモリブデン線にヘッダー加工を施して作製したT字形状部品の金属組織を示す顕微鏡写真である。 図4の支持棒部の金属組織を拡大した顕微鏡写真である。
符号の説明
1 T字形状部品
1a 円板状頭部
1b 支持棒
2 円筒体部品
3 導入線
10 組み合せ電極
50 深絞り加工電極
51 有底の円筒状電極
52 支持棒
53 導入線

Claims (9)

  1. 材質がモリブデンである円筒体部品と、材質がモリブデンであり円板状頭部と支持棒とが一体形成されたT字形状部品とを組み立ててなる冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極であって、前記組み立ては前記円筒体部品の円筒方向の一端に前記T字形状部品の円板状頭部の厚み部を嵌合組み立ててなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極。
  2. 請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極において、更に、前記嵌合された部位に溶接部を有することを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極。
  3. 請求項1又は2に記載の冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極において、前記T字形状部品は、モリブデン純分が99.99%以上(JIS H1404)であり、結晶粒のアスペクト比(l/w)が8以下で、且つ前記結晶粒の数が4200から13000個/mmの範囲にあるモリブデン線材からなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極。
  4. 請求項1乃至3の内のいずれか一つに記載のT字形状部品において、前記T字形状部品の円板状頭部の断面積は前記支持棒となるモリブデン線材の断面積に対し、成形比が2.5以上であることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極。
  5. 請求項1乃至4の内のいずれか一つに記載の冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極において、前記T字形状部品の円板状頭部の厚みが0.3mm以上0.5mm以下であることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極。
  6. 請求項1乃至5の内のいずれか一つに記載の冷陰極電極を用いてなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
  7. 請求項6に記載の冷陰極蛍光ランプをバックライトとして用いてなることを特徴とする液晶ディスプレイ。
  8. 請求項1乃至5の内のいずれか一つに記載の冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の製造方法であって、
    モリブデンからなる前記円筒体部品を準備する工程と、
    モリブデン純分が99.99%以上(JIS H1404)、結晶粒のアスペクト比(l/w)が8以下、且つ前記結晶粒の数が4200から13000個/mmの範囲にある前記モリブデン線材を、前記T字形状部品の円板状頭部と支持棒とを一体形成するための加工型を有するヘッダー加工機に供給して、前記モリブデン線材の頭部を前記線材の断面積に対し成形比2.5以上、前記円板状頭部の厚みを0.3mm以上0.5mm以下で、且つ前記支持棒を備えた前記T字形状部品を作製するヘッダー工程と、
    前記円筒体部品の円筒方向の一端に前記T字形状部品の円板状頭部の厚み部を嵌合して組み立て品を作製するプレス工程と
    を備えてなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の製造方法。
  9. 請求項8に記載の冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の製造方法において、前記組み立て品の嵌合部分に更に溶接接合を施す溶接工程とを備えてなることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用冷陰極電極の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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