JP2003219810A - 加熱加工食品の高品質化方法 - Google Patents

加熱加工食品の高品質化方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱加工食品の高品質化方法及びその製品を
提供する。 【解決手段】 加熱加工(調理)する食品原料内の水分
の存在状態を予め均一化する予備処理方法であって、加
熱加工する際に、食品原料を0℃以下の未凍結温度領域
に保持して、該加熱加工原料内の水分の存在状態を均一
化することを特徴とする加熱加工する食品原料内の水分
の存在状態の均一化方法、上記方法による、食品の加熱
加工時間の短縮方法、加熱加工食品の品質改善方法、加
熱加工食品の加熱ムラ低減方法、及び加熱加工食品の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱加工(調理)
する食品原料内の水分の存在状態を予め均一化する予備
処理をした後、加熱加工(調理)することで、加熱加工
食品を高品質化する方法に関するものであり、更に詳し
くは、食品を加熱加工(調理)する際に、上記食品原料
を0℃以下の未凍結温度領域に保持して、該加熱加工
(調理)原料内の水分の存在状態を予め均一化する予備
処理方法と、これを加熱加工(調理)する方法とを組み
合わせることで、加熱加工時間の短縮化、加熱加工食品
の品質の改善、加熱加工食品の加熱ムラの低減、それら
による加熱加工食品の製造方法の改善、得られる製品の
高品質化を実現することを可能とする、新しい加熱加工
食品の高品質化技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、食品中の水分は、ランダムに、
しかも不均一に散在している。したがって、加熱加工
(調理を含む) 食品の加熱工程においては、外部からの
熱は食品内部に均等に伝導されていない。その結果、加
熱加工(調理)する際に、焼きムラ、茹でムラなど加熱
ムラが引き起こされ、加えて、食品内部からの部分的な
旨み成分の流出、食品中の水分の部分的蒸散を招き、食
品の外観、テクスチャー、味、風味等における著しい品
質低下が避けられない状況にある。
【0003】一方、水は、温度によりクラスター(分子
集団) の大きさが変化することが知られている。しか
し、食品原料中の水分の存在状態を均一化することと、
上記クラスターとの関係については、未だ不明な点が多
く、しかも、これまで、食品原料内の水分の存在状態と
該食品原料の加熱加工(調理)との関係について研究さ
れた例はほとんどなく、したがって、食品原料内の水分
の存在状態の差異が、加熱加工(調理)にどのような影
響を与えるのか、といった問題は、未だ未解決の状態に
あるのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、物性特性、示差熱分析、電子顕微鏡
観察、X線回折により、食品原料内の水分の存在状態を
調べるとともに、食品原料内の水分の存在状態の均一な
いし不均一性とその加熱加工に与える影響との関係を種
々調べたところ、水のクラスターについては、プラスの
温度領域では大小のクラスターが混在するが、低温、特
に0℃以下においてはクラスターが小さくなり、食品原
料中でのその移行性が高まること、その結果、食品原料
中のタンパク質、多糖類などの生体高分子と水との親和
性も均一に高まり、加熱加工(調理)時の加熱ムラの低
減に繋がり、加熱時間の短縮化とともに加熱加工(調
理) 食品の品質の向上化が可能になることがわかった。
【0005】そこで、本発明者らは、更に、食品原料内
の水分の存在状態を均一化する方法及び該方法と加熱加
工方法とを一体化した新しい加熱加工(調理)技術を開
発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、食
品原料を0℃以下の未凍結温度領域に保持することによ
って、食品原料内に存在する、移動しやすい自由水、通
常の自由水、及び束縛水の存在状態を均一化できるこ
と、また、食品原料内の水分の存在状態をこの方法で均
一化してから加熱加工(調理)することにより、加熱加
工(調理)時間の短縮化、加熱加工食品の高品質化、加
熱加工食品の加熱ムラの低減化、食品の加熱加工方法の
改善の点で、顕著な効果が得られることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、加熱加工(調理)す
る食品原料内の水分の存在状態を均一化する方法を提供
することを目的とするものである。また、本発明は、上
記方法で食品原料内の水分の存在状態を予め均一化する
予備処理をした後、加熱加工(調理)を施すことからな
る食品の加工方法を提供することを目的とするものであ
る。更に、本発明は、上記方法により、食品の加熱加工
時間を短縮する方法、上記方法により加熱加工食品の品
質を改善する方法、上記の方法により加熱加工食品の加
熱ムラを低減する方法、上記方法により加工することで
得られる品質改善された加熱加工食品、及び上記方法に
より加工することで得られる加熱ムラの低減された加熱
加工食品、を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)加熱加工(調理)する食品原料内の水分の存在状
態を予め均一化する予備処理方法であって、加熱加工す
る際に、食品原料を0℃以下の未凍結温度領域に保持し
て、該加熱加工原料内の水分の存在状態を均一化するこ
とを特徴とする加熱加工する食品原料内の水分の存在状
態の均一化方法。 (2)加熱加工する食品原料内の水分の存在状態を予め
均一化した後、加熱加工して、食品の加熱加工時間を短
縮する方法であって、食品原料を0℃以下の未凍結温度
領域に保持して、該加熱加工原料内の水分の存在状態を
予め均一化する予備処理をした後、続いて、加熱加工す
る、ことを特徴とする食品の加熱加工時間の短縮方法。 (3)加熱加工する食品原料内の水分の存在状態を予め
均一化した後、加熱加工して、加熱加工食品の品質を改
善する方法であって、食品原料を0℃以下の未凍結温度
領域に保持して、該加熱加工原料内の水分の存在状態を
予め均一化する予備処理をした後、続いて、加熱加工す
る、ことを特徴とする加熱加工食品の品質改善方法。 (4)加熱加工する食品原料内の水分の存在状態を予め
均一化した後、加熱加工して、加熱加工食品の加熱ムラ
を低減させる方法であって、食品原料を0℃以下の未凍
結温度領域に保持して、該加熱加工原料内の水分の存在
状態を予め均一化する予備処理をした後、続いて、加熱
加工する、ことを特徴とする加熱加工食品の加熱ムラ低
減方法。 (5)焼成加工して、焼成加工食品の焼きムラを低減さ
せる前記(4)に記載の加熱ムラ低減方法。 (6)前記(5)に記載の方法により焼成加工して製造
されたことを特徴とする焼きムラの低減された焼成加工
食品。 (7)加熱加工する食品原料内の水分の存在状態を予め
均一化した後、加熱加工することにより加熱加工食品を
製造する方法であって、食品原料を0℃以下の未凍結温
度領域に保持して、該加熱加工原料内の水分の存在状態
を予め均一化する予備処理をした後、続いて、加熱加工
する、ことを特徴とする加熱加工食品の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。そもそも食品加工における加熱の目的は、
1)安全性や貯蔵性の向上、2)除去・分離操作の補助
・促進、3)消化性や嗜好性の改善、に大別することが
できる。これらの目的を達成するための加熱条件はさま
ざまであるが、加熱条件が不適当な場合には、所期の目
的を達成できないだけでなく、焦げ臭、褐変、栄養価の
低下などによる品質低下を招くことがある。そこで、食
品の性質や加熱の目的に応じて、最適加熱条件(昇温速
度、到達温度、温度保持時間、冷却速度)を設定するこ
とが大事である、とされている(「食生活と加工食
品」、日本家政学会編、朝倉書店)。基本的には加熱条
件を検討することが最重要課題であり、前処理、しかも
0℃以下の未凍結温度領域における均一化処理を施すこ
とが加熱食品の向上、加熱時間の短縮化などを可能にす
るといった発想はこれまでに報告がない。
【0009】また、加えて、加熱加工の目的の中で安全
性や貯蔵性の向上があるが、濃厚ポタージュや濃縮果汁
の加熱殺菌を行う場合、表面部分のみ加熱され、中心部
分には熱が伝導しにくく、残菌など安全性、衛生上の問
題が発生する。しかし、これら不均一的加熱処理の対処
法は、被加熱食品を静置しないで、振動させたり、回転
させる(回転殺菌法という)ことにより、均一に加熱殺
菌する(「食品化学」、藤巻ら共著、朝倉書店)という
ように、加熱時の物理的条件付けの研究が圧倒的に多
く、前処理としての加熱ムラの解決方法そのものが無い
か、あるとしても僅かである。更に、一般に、煮熟前の
穀類の吸水処理において、その吸水率は浸漬温度によっ
て異なり、温度が高いほど速まる。したがって、常識的
には如何に高温で浸漬処理を行うかという方法論に従う
けれども、高温・長時間の浸漬は異臭を生じ、まめ類な
どの場合、種皮の破裂を著しくする傾向があるため、留
意する必要があるとされている(「植物性食品II」、
下村ら編、朝倉書店)。これらの事項からも明らかなよ
うに、0℃以下の未凍結温度領域を活用した水浸漬など
予備的処理技術は、新しい技術思想によるものである。
【0010】本発明の方法は、特に、天然物由来の食品
原料、例えば、農産物、畜産物、水産物などの食品原料
内の水分の存在状態を均一化するのに好適に用いられ
る。一般に、天然物由来の食品原料には、移動しやすい
自由水、通常の自由水、及び束縛水が存在しており、通
常、例えば、粉体、粒状等の食品原料の調製時に、表面
の乾燥化等により、食品原料中の水分の存在状態はアン
バランスになっていることが多々みられ、また、通常、
それを防ぐことは困難である。したがって、通常、食品
原料を加熱加工する際に、例えば、精白米、豆類等の食
品原料を水に浸漬処理することが行われているが、浸漬
に長時間を要し、かなりの時間的、経済的ロスを避けら
れないのが実情である。本発明は、食品原料を0℃以下
の未凍結温度領域に保持することで食品原料内の水の存
在状態を均一化する方法、この方法で食品原料中の水の
存在状態を均一化した後、加熱加工(調理)すること
で、加熱ムラを低減する方法、加熱時間を短縮する方
法、加熱加工食品の品質を改善する方法、等の新しい加
熱加工(調理)技術を提供するものである。
【0011】次に、本発明の均一化処理−加熱加工(調
理)方法の好適な態様を幾つか例示する。 (1) 加熱加工(調理) 原料(農産物、畜産物、水産物な
ど) を、例えば、0℃以下の未凍結温度領域、湿度30
%〜100%にて1時間〜6ヶ月間保存し、均一化処理
を行った後に、加熱加工(調理) する。 (2) 加熱加工(調理) 原料(農産物、畜産物、水産物な
ど) を、例えば、0℃以下の未凍結温度領域の水(食塩
水、調味液含む) に10分〜6ヶ月間浸漬し、均一化処
理を行った後に、加熱加工(調理) する。 (3) 加熱加工(調理) 原料(農産物、水産物、畜産物な
ど) に、例えば、副原料(食塩、調味液、発酵微生物な
ど) を加え、一次加工した後、0℃以下の未凍結温度領
域、湿度30%〜100%にて1時間〜6ヶ月間保存
し、均一化処理を行った後に、加熱加工(調理) する。 (4) 加熱加工(調理)原料(農産物、畜産物、水産物な
ど) を、例えば、一次加工した後、0℃以下の未凍結温
度領域に保持して、該原料内の水分の存在状態を予め均
一化する予備処理をした後、加熱加工(焼成加工など)
する。 (5) 上記(1) 〜(4) の均一化処理とともに、乾燥、加
圧、減圧、電磁波照射などの処理を同時に行った後に、
加熱加工(調理) する。
【0012】次に、温度領域については、本発明におい
て、0℃以下の未凍結温度領域とは、0℃以下、食品の
凍り始める温度(氷結点) まで、ないしは過冷却温度領
域を含めた未凍結温度領域を意味する。具体的には、生
鮮食品類においては概ね0℃〜−5.0℃であり、穀
類、豆類、栗、ナッツ類、コーヒー豆、海藻類などにお
いては概ね0℃〜−30℃である。各食品原料内の水分
の均一化において、適宜緩慢冷却あるいは段階的昇温処
理を付加することによって、更に均一効果を高めること
ができる。次に、湿度条件については、食品の種類、状
態により、概ね30%〜100%であるが、食品の種
類、状態、処理時間などにより適宜調節して最適化す
る。次に、処理期間については、浸漬、あるいは加水物
における均一化は比較的短時間にての処理が可能である
が、穀類などのように乾燥状態の食品の場合、長時間を
要するため、適宜調節して最適化する。次に、適応食品
については、好適には、米、小麦、蕎麦、トウモロコシ
など穀類、大豆、小豆など豆類、粟、コーヒー豆、カカ
オ、ナッツ類、海藻類、その他植物性原料及びこれらの
加熱加工(調理) 食品、水産物、畜産物など動物性原料
(魚の一夜干し、畜肉、鶏肉など)及びこれらの加熱加
工(調理) 食品等が例示される。
【0013】本発明により得られる均一化処理−加熱加
工(調理)の主な作用効果を以下に示す。 (1)加熱加工(調理) 時間の短縮化により、生産コス
トの削減が可能となる。 (2)加熱加工(調理) 製品の水分の保持率の向上、な
いしは水分活性の低下が引き起こされ、外観(色調の保
持、ツヤなど)、テクスチャー(歯ごたえ、咀嚼性な
ど)、物性面(弾力性、伸展性など) における高品質化
が可能となる。 (3)澱粉高含有食品(麺類、パン類、穀類、栗、ナッ
ツ類など) においては、各食品中に散在する澱粉粒のア
ルファー化が均一に促進されるのみならず、グルテンの
形成、水和をも促進し、併せて酸化、老化を抑制するこ
とが可能となる。 (4)水産物、畜産物などの動物性原料(魚の一夜干
し、畜肉、鶏肉など)においては、例えば、焼成工程に
おける焼きムラ、局所的な焼け焦げ、及び焼成時の食品
の反り返りを確実に防止することが可能となる。本発明
は、食品中の水の均一化処理と加熱加工(調理) を組み
合わせることによって加熱食品の高品質化を可能にする
ものであるが、この方法の前処理でもある均一化処理
は、非加熱食品において、特に、味なじみ、塩かどの低
減にも効果がある他、冷凍食品製造の冷凍前処理にも有
効であり、解凍時の鮮度保持、ドリップの低減などを可
能にする方法として有用である。
【0014】本発明において、加熱加工(調理)とは、
例えば、煮る、茹でる、焼く(焼成)、乾熱する等に代
表される通常の加熱加工(調理)を意味するものであ
り、工業的な加熱加工プロセス、調理過程における加熱
加工プロセスの全てを包含する。したがって、これらの
加熱加工の手段、条件及び装置そのものは、特に制限さ
れるものではなく、対象とされる加熱加工食品の種類、
加熱加工方法に応じて通常の加熱加工(調理)技術が適
宜使用される。本発明において、加熱加工する食品原料
内の水分の存在状態を予め均一化する予備処理をした
後、続いて、加熱加工することにより、食品の加熱加工
時間の短縮化、加熱加工食品の品質の改善化、加熱加工
食品の加熱ムラ(特に、焼きムラ、局所的な焼け焦げ、
食品の反り返りなど)の低減化、これらによる加熱加工
食品の高品質化を実現することが可能となる。これらの
加熱加工食品の品質上の改善効果は、加熱加工食品の高
付加価値化、製造経費の低コスト化、人的・資源エネル
ギーの有効利用、加熱加工技術の近代化及びイノベーシ
ョンを実現化する重要かつ必須のものとして当該技術・
産業分野において強く待望されているものである。本発
明は、例えば、ベーカリー製品、豆類製品、穀類製品、
ナッツ類製品、麺類、練り製品、水産物(一夜干しな
ど)、畜肉製品(焼き鳥など)に代表される加熱加工食
品の新しい加熱加工技術として有用である。特に、水産
物(アジ、イカ等の一夜干しなど)、畜肉製品(焼き
肉、焼き鳥など)を焼成した場合、焼きムラ、局所的な
焼け焦げ、食品の焼成時の反り返りがなく、通常の焼成
方法では得られない効果が奏される。
【0015】次に、試験例に基づいて本発明を具体的に
説明する。 試験例1 本試験例では、加熱加工(調理)の予備的処理として
の、食品原料内の水分の存在状態の均一化の基礎的実験
例について説明する。したがって、ここでは、加熱加工
(調理)のプロセスについての説明は省略する。 (1)加水による小麦粉の均一化処理試験について 1)方法 200gの小麦粉に水90mlと食塩2.5gを加え、
ホームベーカリーにて12分間捏ねあげ、これを1cm
厚及び3mm厚に延ばし、一定の大きさに切断したもの
(縦4cm×横2cm、含水率40%;以下、ドウとい
う)を供試材料とした。ドウを常温(+20℃、相対湿
度40%)及び0℃以下(−0.5℃、相対湿度40
%)に設定した貯蔵庫内にて均一化処理を施し(重量減
少率15%を終点とした)、その均一化の状態の外観観
察(1cm厚)及び示差熱分析(3mm厚)を行った。
なお、外観観察については約3%乾燥時の切断面につい
て調査し、示差熱分析についてはサンプルパン(示差熱
分析用の容器)にてくり抜き、分析用サンプルとした。
【0016】2)結果 まず、外観観察の結果を図1及び図2に示す。常温にお
ける均一化では内部より表面が特に乾燥が進み、その表
面は粗く、硬化が促進している状態を呈し、不均一性を
示していた。一方、0℃以下における均一化では、ドウ
の内側、外側の乾燥状態が均一であり、しっとり感を呈
していることが明らかである。ここでは、詳細は示して
いないが、5℃前後にて均一化処理したものは、常温と
0℃以下のものとの中間に位置していることも観察され
た。
【0017】次に、示差熱分析の結果を図3〜図5に示
す。示差熱分析の結果、処理前では、40℃(移動しや
すい自由水)、110℃(自由水)、135℃(束縛
水)に吸収ピークが観察された(図3)。次に、常温で
処理したものは、110℃(自由水)のピークが著明に
減少し、表面の過度の乾燥などアンバランスな水分の存
在状態を示していた(図4)。一方、−0.5℃で処理
したものは、40℃、110℃及び135℃のピークが
バランス良く観察され、表面、内側に限らず均一に水分
が存在していることが確認された(図5)。
【0018】(2)水浸漬した精白米について 1)方法 精白米に15℃及び−0.5℃の冷水を加え、12時間
浸漬した後、得られた浸漬米の切断面を走査電子顕微鏡
(1000倍及び3000倍)にて観察した。 2)結果 その結果を図6及び図7(顕微鏡写真)に示す。図6に
示されるように、15℃の水にて浸漬した精白米の表面
は粗く、水分の存在状態にムラが発生し、亀裂が多数観
察された。一方、図7に示されるように、−0.5℃の
水にて浸漬した精白米の表面はなめらかであり、水分子
が精白米中の内胚乳(貯蔵デンプンに富む)等と高い親
和性を示しながら均一に存在していることが確認され
た。水の存在が均一な状態を示す−0.5℃浸漬精白米
を用いて炊飯したところ、15℃浸漬のものと比較し
て、米飯中澱粉のアルファ化がより促進され、結果とし
て炊飯米としての水分の保持率が向上し、ツヤ、透明感
を有するなどの高品質化が可能となる他、炊飯時間の短
縮化が図れることがわかった。
【0019】試験例2 本試験例では、加熱加工(調理)の予備的処理として
の、小麦粉ドウ内の水分の存在状態の均一化処理におけ
るその物理的特性について説明する。したがって、ここ
では、加熱加工(調理)のプロセスについての説明は省
略する。 (1)試験方法 供試材料として、市販の中力小麦粉より作製した小麦粉
ドウを成形し、使用した。乾燥処理には、インキュベー
ターを用い、+20℃設定にて乾燥処理を施す冷風乾燥
処理区と、−0.5℃設定にて乾燥処理を施す均一化処
理区の2試験区を設けた。また、各試験区について、重
量減少率が10%になるまで乾燥処理を施した小麦粉ド
ウを用い、以下の1)〜5)の調査を行った。 1)物性測定 これは、レオメーター(レオテック社製)を用いて測定
を行った。破断応力(g)、脆さ(g)の測定は、球状
プランジャー(7φ使用)、突き刺し速度6cm/mi
nの測定条件で行った。 2)示差熱分析 これは、TG−DTA(MACサイエンス社製)を用い
て分析を行い、室温(+23℃)から160℃までK/
minで昇温した時の吸熱反応及び重量減少率を調査し
た。 3)水分含有率及び色調 これらの測定は、常法に従って行った。 4)電子顕微鏡による組織構造の観察 これは、小麦粉ドウを金でスパッタリングコートした
後、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、加速電圧10k
V)で組織構造の観察を行った。 5)デンプン結晶構造の調査 これは、X線回折装置(rigaku社製)を用いて行
った。
【0020】(2)試験結果 まず、物性測定の結果について説明する。図8に、各試
験区における小麦粉ドウの乾燥曲線を示す。図8より、
均一化処理区は、冷風乾燥区に比べ、乾燥速度が遅いこ
とが観察された。本試験においては、冷風乾燥区は約1
7時間、均一化処理区では約27時間の乾燥処理を施
し、10%乾燥した小麦粉ドウを得た。図9に、物性測
定の条件及び小麦粉の波形を示す。図10に、各試験区
における乾燥処理後の破断応力を示す。図11に、各試
験区における乾燥処理後の脆さを示す。破断応力及び脆
さについては、図10及び図11より、均一化処理区の
方が数値が低く、表層部と内部の硬さの差が小さいこと
が確認された。このように、物性測定の結果、均一化処
理区は冷風乾燥区よりも表層部の部分的な硬化が進行し
ていないことが観察された。
【0021】次に、示差熱分析の結果について説明す
る。図12に、原料小麦粉には60℃付近に吸熱ピーク
が確認され、乾燥前の小麦粉ドウには、60℃付近と1
20℃付近に吸熱ピークが確認された。この60℃付近
の吸熱ピークは、文献等から、デンプンの糊化反応によ
るものと判断できる。一方、120℃付近の吸熱ピーク
は加水後に現れていることから、糊化反応に使われなか
った水分、つまり水和していなかった水分によるものと
考えられる。図13に、小麦粉ドウ表層部のDTA曲線
を示す。図13より、表層部については、原料小麦粉と
同じように60℃付近の第1ピークしか観察されなかっ
た。この図より、均一化処理区の方が、第1ピークが大
きいことから、糊化反応に伴う吸熱変化が大きいことが
観察された。これはデンプンンと水和している水分が多
いためと考えられる。
【0022】また、160℃まで昇温した時の重量減少
率が、冷風乾燥区は約19%であるのに対し、均一化処
理区は約24%であることから、均一化処理区は冷風乾
燥区に比べ、小麦粉ドウ表層部の水分含有率が高いもの
と推察された。図14に、小麦粉ドウ内部のDTA曲線
を示す。図14より、内部については、乾燥前の小麦粉
ドウと同じく、第1ピークと第2ピークの2つのピーク
が観察された。この図より、均一化処理区は冷風乾燥区
に比べ、第1ピークが大きく、第2ピークが小さい傾向
が観察され、表層部と同様、内部においても均一化処理
区の方が水和している水分が多いと考えられる。このよ
うに、示差熱分析の結果より、均一化処理区は冷風乾燥
区に比べ、高い水和状態にあると考えられる。また、1
60℃まで昇温した時の重量減少率を比較したところ、
両試験区ともに約36%であることから、均一化処理区
は冷風乾燥区に比べ、表層部と内部の重量減少率の差が
小さいことが確認でき、より均一的に乾燥されているも
のと推察された。これは、小麦粉ドウ内部の第2ピーク
が小さくなっていることから、水和していない水分が表
層部へ移行しているためと考えられる。
【0023】小麦粉ドウ表層部の水分含有率を常法に従
って測定した結果、10%乾燥後、均一化処理区は冷風
乾燥区い比べ、水分含有率が高いことが確認された(表
1)。 目視による外観観察より、表面色に差が確認さ
れたことから、小麦粉ドウ表面の色調を測定したとこ
ろ、冷風乾燥区は明るさを表すハンターL値が低下して
いることから、暗色化が進行しているものと考えられ
た。一方、均一化処理区には大きな変化は確認されず、
暗色化等の変化が起こっていないものと考えられた(表
2)。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】更に、電子顕微鏡を用い、小麦粉ドウ表面
の組織構造を観察(×300)したところ、冷風乾燥区
には、ところどころにひび割れが確認されたが、均一化
処理区にはひび割れは確認されなかった(図15)。こ
の冷風乾燥区に観察されたひび割れは、急速な乾燥によ
りケースハードニング(表面硬化)が生じたためだと考
えられる。このケースハードニングの発生を防止するた
めには、保水性の強い物質を添加する方法があるが、均
一に乾燥することが可能である均一化処理は、保水性の
強い物質を添加することなく抑制できるものと考えられ
る。
【0027】図16に、原料小麦粉及び乾燥前の小麦粉
ドウのX線回折パターンを示す。図16より、原料小麦
粉には、15°、17°、18°及び23°に比較的大
きいピークが観察される。しかし、乾燥前の小麦粉ドウ
は、加水することによってデンプンが結晶性を失うた
め、固有のピークが観察されなくなる。図17に、乾燥
処理後の小麦粉ドウ表層部のX線回折パターンを示す。
図17より、冷風乾燥区には原料小麦粉と同じく、15
°、17°、18°及び23°にピークが観察された。
一方、均一化処理区は、ピークが観察されず、乾燥前の
小麦粉ドウと同様な回折パターンを示した。この冷風乾
燥区に原料小麦粉と同様な回折パターンが現れたのは、
劣化が進行しているものと考察される。一方、均一化処
理区にはピークが観察されないことから、劣化の進行が
抑制されているものと考えられる。
【0028】以上のとおり、均一化処理は、冷風乾燥処
理に比べ、破断応力及び脆さが小さく、表層部の硬化が
抑制されているのが確認された。また、示差熱分析の結
果より、均一化処理は小麦粉ドウ表層部、内部ともに高
い水和状態を維持し、更に、小麦粉ドウ内部から表層部
への水分移行により、均一的に乾燥されるものと考えら
れる。また、電子顕微鏡による組織構造の観察、X線回
折装置によるデンプン結晶構造の観察等の結果より、均
一化処理は、乾燥による小麦粉ドウ表面の劣化を抑制す
るものと推察される。尚、上記試験例では、加熱加工
(調理)の予備的処理としての、食品原料内の水分の存
在状態の均一化処理について具体的に説明したが、上記
食品原料内の水分の存在状態を予め均一化する予備処理
をした後、続いて、通常の方法により加熱加工(焼成な
ど)することにより、後記する実施例に具体的に示され
るように、従来の方法からは到底予期し得ない格別の作
用効果が得られる。
【0029】
【作用】本発明は、加熱加工(調理)する食品原料内の
水分の存在状態を予め均一化する予備処理をすることに
より、加熱後に高品質化や加熱加工(調理)時間の短縮
化が可能になる、といった作用効果が得られるが、これ
らは、水の均一化による親和性の拡大や加熱加工時の加
水分解を促進させるような準備(例えば、酵素タンパク
質と水分子の水和を高めておくなど)が出来ているた
め、加熱加工時に均一的なる熱の伝導が可能となり、加
熱時間の短縮化や加熱ムラの低減化が達成され、また、
物理的品質向上に加えて酵素的加水分解がより促進さ
れ、得られた加熱加工食品の糖含量が増え、結果として
加熱加工食品が高品質化することによるものと考えられ
る。
【0030】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定され
るものではない。 実施例1 (生あん原料の均一化処理−加熱加工)原料豆(アズ
キ) を水洗後、煮熟(2〜3時間)、裏ごし、篩別して
得られたあん汁を水晒、脱水し、生あんを製造する工程
において、原料アズキの保存・均一化処理を−1℃(相
対湿度80%、段階的昇温処理含む) にて10日間行っ
たもの(均一化処理区)と、従来通り、常温にて保存さ
れていたもの(無処理区)とから製造される生あんの品
質を比較した。まず、水道水中(15℃、24時間) に
おけるアズキ(100粒) の吸水率をアズキ粒の横幅の
膨張率にて比較した結果、表3に示したように、均一化
処理区の方が無処理区より有意に高く、アズキの中に水
道水が浸漬ムラなく均一に浸透していることが明らかと
なった。また、煮熟時間を製品化(生あん) 可能時間と
して比較したところ、均一化処理区においては、20〜
30分短縮されることが判明した。
【0031】 表3 アズキの吸水(横幅の膨張) 率 試験区 平均膨張率(%) 煮熟時間(分) 均一化処理区 21.1 130〜150 無処理区 17.9 150〜180
【0032】次に、各試験区にて得られた生あんの品質
を色調(色差計によるL値:明るさ)、及び官能試験
(ツヤ、風味、甘み、なめらかさ) の結果を、5段階評
価(5;非常に良い、4;良い、3;普通、2;やや悪
い、1;悪い) にて比較検討した。その結果を表4に示
す。更に、浸漬時の水温を0℃にて行う処理(12〜2
4時間)、あるいは水晒を0℃以下にて行う処理を加え
ることにより、更に生あんの高品質化が可能となること
がわかった。
【0033】 表4 生あんの品質について 試験区 L値 ツヤ 風味 甘さ なめらかさ 均一化処理区 20.0 4 5 4 5 無処理区 18.0 3 2 3 3
【0034】実施例2 (甘栗原料の均一化処理−加熱加工)原料生栗を選別・
洗浄後、焼成(糖分散布、ツヤ出し含む;約25分)
し、蒸し焼き(約10〜15分)、放冷し、甘栗を製造
する工程において、原料生栗の保存・均一化処理を−
1.5℃(相対湿度90%、段階的昇温処理含む) にて
3週間行ったもの(均一化処理区)と、従来通り常温に
て保存されていたもの(無処理区) とから製造される甘
栗の品質を比較した。まず、生栗保存中の糖度(%)、
遊離全糖量(g/100g)を比較したところ、表5に
示したように、均一化処理を施した栗は糖度が約2%向
上し、遊離全糖量も多く含まれることが明らかとなっ
た。
【0035】 表5 保存中の生栗の糖度、遊離全糖量について 試験区 糖度(%) 遊離全糖量(g/100g) 均一化処理区 22.2 2.68 無処理区 20.3 2.32
【0036】また、焼成工程にて焼き上げるまでの時間
を比較したところ、無処理区(25〜28分) と比較し
て、均一化処理区(20分〜23分) では約5分間短縮
できることも明らかとなった。次に、各試験区にて得ら
れた甘栗の品質について、官能試験(甘み、風味、やわ
らかさ、しっとり感) の結果を、5段階評価(5;非常
に良い、4;良い、3;普通、2;やや悪い、1;悪
い) にて、また、焼きムラについても同様に5段階評価
(5;ない、4;ほとんどない、3;普通、2;やや多
い、1;多い) にて、比較検討した。その結果を表6に
示す。
【0037】 表6 甘栗の品質について 試験区 甘み 風味 やわらかさ しっとり感 焼きムラ 均一化処理区 5 4 4 5 4 無処理区 3 3 3 3 2
【0038】以上の結果から、生栗保存中に均一化処理
を施すことにより、高品質の甘栗が得られるのみなら
ず、焼成時間の短縮、焼きムラを低減することが可能で
あることが判明した。更に、得られた甘栗を0℃以下の
未凍結温度領域にて保存することにより、しっとり感が
増し、風味を更に向上させることも可能であることがわ
かった。
【0039】実施例3 (生そば原料の均一化処理−加熱加工)そば粉と小麦粉
の混合原料に加水、ミキシング後、圧延し、製麺を得る
一連の工程において、圧延時に−1℃にて均一化処理
(湿度95%、48時間) を行ったものと、従来法に従
った(無処理) 場合の製麺の品質の比較を行った。官能
試験は、ゆで麺として比較し、色・ツヤ、コシ、弾力
性、舌触りについて5段階評価(5;非常に良い、4;
良い、3;普通、2;やや悪い、1;悪い)にて比較検
討した結果、表7に示すように、生そばの高品質化が可
能であることが明らかとなった。
【0040】 表7 生そばの品質について 試験区 色・ツヤ コシ 弾力性 舌触り 均一化処理区 5 5 5 4 無処理区 4 3 3 3
【0041】また、茹で上げ後の麺の切断強度(麺線切
断時の荷重) をレオメーターにて測定した結果、表8に
示すように、均一化処理を施したそばは、無処理のもの
と比較して、切断強度の保持率が明らかに高く、茹でた
ての風味が持続する麺であることが判明した。
【0042】 表8 茹で上げ後のそばの切断強度の保持率(%) 試験区 1分後 3分後 10分後 均一化処理区 95.2% 80.7% 53.8% 無処理区 71.0% 52.3% 31.5%
【0043】実施例4 (練り製品の均一化処理−加熱加工)活マアジの頭部・
内臓を除去し、水洗後に魚肉を採取した。得られた魚肉
に食塩(3%)、卵白(5%)、片栗粉(6%)を添加
し、練り加工を行った。続いて、坐り工程において、−
2.0℃にて均一化処理(72時間) を施したものと、
従来法にしたがった無処理(5℃、72時間) のものを
それぞれ90℃、30分間加熱し、レオメーターにて破
断強度(g)、くぼみ度(mm)、ゼリー強度(g・c
m)を求めた。その結果、表9に示すように、均一化処
理を行うことにより、物性面における品質の向上効果が
確認された。
【0044】 表9 練り製品の物性について 試験区 破断強度(g) くぼみ度(mm) ゼリー強度(g・cm) 均一化処理区 622.7 6.89 429.0 無処理区 523.6 6.23 326.2
【0045】官能試験は、練り製品として比較し、外
観、香り、味、テクスチャーについて5段階評価(5;
非常に良い、4;良い、3;普通、2;やや悪い、1;
悪い)にて比較検討した結果、表10に示すように、練
り製品の高品質化が十分可能であることが明らかとなっ
た。
【0046】 表10 練り製品の品質について 試験区 外観 香り 味 テクスチャー 均一化処理区 4 4 5 5 無処理区 3 3 4 3
【0047】実施例5 (乾燥うどん原料の均一化処理−加熱加工)小麦粉20
0gに水90ml、食塩2.5gを混合した後、捏ね上
げ、2時間常温にてねかせたものを1cm厚に切断し
た。得られたうどんを常温(23℃)にて4.5%乾燥
させたもの(無処理区) と、−0.5℃にて均一化処理
を行いながら、同じく4.5%乾燥したもの(均一化処
理区) との物性を比較検討した。物性は、破断応力
(g)、脆さ(g)(表面と内部の乾燥状況が異なると
高い数値となる) および変形率(%)について調査した
(表11)。また、官能試験はゆで麺として比較し、色
・ツヤ、コシ、弾力性、舌触りについて5段階評価
(5;非常に良い、4;良い、3;普通、2;やや悪
い、1;悪い) にて比較検討した(表12) 。これらの
結果から、0℃以下の未凍結温度領域にて均一化処理を
行いながら乾燥したうどんは、コシ、弾力性の向上な
ど、品質の向上効果が確認された。
【0048】 表11 乾燥うどんの物性について 試験区 破断応力(g) 脆さ(g) 変形率(%) 均一化処理区 301.3 42.0 55.1 無処理区 279.3 133.3 30.0
【0049】 表12 乾燥うどんの品質について(ゆで麺) 試験区 色・ツヤ コシ 弾力性 舌触り 均一化処理区 4 5 5 5 無処理区 3 3 3 3
【0050】実施例6 (アジ一夜干しの均一化処理−加熱加工)下処理して腹
開きにした生鮮アジを4%の塩水に2時間浸漬した後、
8℃にて12時間乾燥したものを冷風乾燥処理区とし、
また、−1.0℃(RH70%)にて24時間均一化処
理を施したものを均一化処理区として、それぞれ焼き網
上で焼いた後の品質を5段階評価(5;非常に良い、
4;良い、3;普通、2;やや悪い、1;悪い)にて比
較検討した。その結果を表13に示す。
【0051】 表13 アジ一夜干しの品質について(焼成後) 試験区 味 香り 歯ごたえ 焼け方 (外側)(中心部) 均一化処理区 4 4 5 5 4 冷風乾燥処理区 4 3 3 3 3 (焦げ多い) (半生状態) その結果、均一化処理のものは、短時間で中まで均等に
焼かれており、非常に肉汁が豊かな状態であったが、冷
風乾燥処理区のものは、表面に焦げが多く発生し、パサ
パサ感を強く呈するのと同時に反り返ってしまうことが
わかった。
【0052】実施例7 (焼き鳥の均一化処理−加熱加工)鶏肉、砂肝、レバー
(脂肪を除き、水につけて血抜き済みのもの)を一口大
に切り、竹串に刺した後、塩少々をふったものを無処理
区とした。一方、この状態で更に、−0.5℃下、24
時間の均一化処理を施したものを均一化処理区とし、そ
れぞれ焼き網上で焼いた後の焼き鳥の品質を5段階評価
(5;非常に良い、4;良い、3;普通、2;やや悪
い、1;悪い)にて比較検討した。その結果を表14に
示す。
【0053】 表14 焼き鳥の品質について(焼成後) 試験区 味 香り 歯ごたえ 焼け方 (外側)(中心部) 均一化処理区 4 4 5 5 5 無処理区 4 4 3 2(焦げ多い) 3 その結果、塩ふりした後、−0.5℃で均一化処理を行
うと、表面のみならず中心部からも水分が塩の浸透圧に
て移行することにより、焼け焦げることなく均一に焼け
ることがわかった。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、加熱加
工(調理)する食品原料内の水分の存在状態を予め均一
化する予備処理方法、この方法により食品原料内の水分
の存在状態を予め均一化する予備処理をした後、続い
て、加熱加工(調理)する方法に係るものであり、本発
明によれば、1)加熱加工(調理)する食品原料中の水
分の存在状態を簡便かつ短時間に均一化することができ
る、2)加熱加工食品の、加熱ムラを防止し、品質改善
された高品質の加熱加工食品の作製を可能とする、3)
加熱加工食品の加熱加工プロセスにおける加熱加工時間
を短縮することができる、4)加熱加工食品の新しい加
熱加工技術を提供することができる、という格別の作用
効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】常温における均一化(ドウの断面図)を示す。
【図2】−0.5℃における均一化(ドウの断面図)を
示す。
【図3】示差熱分析(処理前)の吸収ピークを示す。
【図4】示差熱分析(常温)の吸収ピークを示す。
【図5】示差熱分析(−0.5℃)の吸収ピークを示
す。
【図6】浸漬米(15℃)の断面写真を示す。
【図7】浸漬米(−0.5℃)の断面写真を示す。
【図8】各試験区における小麦粉ドウの乾燥曲線を示
す。
【図9】物性測定の条件及び小麦粉ドウの波形を示す。
【図10】各試験区における乾燥処理後の破断応力を示
す。
【図11】各試験区における乾燥処理後の脆さを示す。
【図12】原料小麦粉及び乾燥前小麦粉ドウのDTA曲
線を示す。
【図13】小麦粉ドウ表層部のDTA曲線を示す。
【図14】小麦粉ドウ内部のDTA曲線を示す。
【図15】小麦粉ドウ表面の組織構造の走査型電子顕微
鏡写真(×300)を示す。
【図16】原料小麦粉及び乾燥前の小麦粉ドウのX線回
折パターンを示す。
【図17】乾燥処理後の小麦粉ドウ表層部のX線回折パ
ターンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三島 睦夫 鳥取県米子市大篠津町3795番地12 株式会 社氷温研究所内 (72)発明者 山根 昭彦 鳥取県米子市大篠津町3795番地12 Fターム(参考) 4B035 LC16 LP01 LP43 4B042 AC05 AD05 AE03 AG27 AH01 AP18 4B046 LA01 LB03 LB04 LC01 LP33 LQ04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱加工(調理)する食品原料内の水分
    の存在状態を予め均一化する予備処理方法であって、加
    熱加工する際に、食品原料を0℃以下の未凍結温度領域
    に保持して、該加熱加工原料内の水分の存在状態を均一
    化することを特徴とする加熱加工する食品原料内の水分
    の存在状態の均一化方法。
  2. 【請求項2】 加熱加工する食品原料内の水分の存在状
    態を予め均一化した後、加熱加工して、食品の加熱加工
    時間を短縮する方法であって、 食品原料を0℃以下の未凍結温度領域に保持して、該加
    熱加工原料内の水分の存在状態を予め均一化する予備処
    理をした後、続いて、 加熱加工する、ことを特徴とする食品の加熱加工時間の
    短縮方法。
  3. 【請求項3】 加熱加工する食品原料内の水分の存在状
    態を予め均一化した後、加熱加工して、加熱加工食品の
    品質を改善する方法であって、 食品原料を0℃以下の未凍結温度領域に保持して、該加
    熱加工原料内の水分の存在状態を予め均一化する予備処
    理をした後、続いて、 加熱加工する、ことを特徴とする加熱加工食品の品質改
    善方法。
  4. 【請求項4】 加熱加工する食品原料内の水分の存在状
    態を予め均一化した後、加熱加工して、加熱加工食品の
    加熱ムラを低減させる方法であって、 食品原料を0℃以下の未凍結温度領域に保持して、該加
    熱加工原料内の水分の存在状態を予め均一化する予備処
    理をした後、続いて、 加熱加工する、ことを特徴とする加熱加工食品の加熱ム
    ラ低減方法。
  5. 【請求項5】 焼成加工して、焼成加工食品の焼きムラ
    を低減させる請求項4に記載の加熱ムラ低減方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法により焼成加工し
    て製造されたことを特徴とする焼きムラの低減された焼
    成加工食品。
  7. 【請求項7】 加熱加工する食品原料内の水分の存在状
    態を予め均一化した後、加熱加工することにより加熱加
    工食品を製造する方法であって、食品原料を0℃以下の
    未凍結温度領域に保持して、該加熱加工原料内の水分の
    存在状態を予め均一化する予備処理をした後、続いて、 加熱加工する、ことを特徴とする加熱加工食品の製造方
    法。
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JP2015181461A (ja) * 2014-03-26 2015-10-22 大分県 浸漬物への水分移行防止方法

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