JP2003217980A - Nb固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

Nb固体電解コンデンサおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】バイアス依存性のないNb固体電解質コンデン
サおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】Nb粉末を成形し、真空中で焼結してなる
多孔質体を焼結温度より低い温度で窒素雰囲気内に暴露
する表面窒化工程と、化成処理により表面窒化後の多孔
質体の表面にアモルファスNb酸化物からなる誘電体皮
膜を形成する誘電体形成工程と、多孔質体を加熱する加
熱工程と、多孔質体を再度化成処理する再化成工程によ
りNb固体電解コンデンサを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、Nb固体電解コ
ンデンサおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解コンデンサは、陽極−誘電体−
陰極の構成となっており、一般的に陽極として弁作用を
有する金属(弁作用金属)の表層に誘電体層として酸化
皮膜を形成し、その上に陰極として固体電解質層が形成
された構造となっている。ここで、弁作用金属とは、陽
極酸化によって厚みの制御可能な酸化皮膜を形成させる
ことのできる金属であり、Nb、Al、Ta、Ti、H
f、Zrなどを指すが、現実的にはAl、Taの2つが
主に使用されている。このうち、Alについてはエッチ
ング箔を陽極として使用されることが多く、Taは粉末
焼結され多孔質体を形成し、それを陽極として使用され
ている。多孔質焼結体タイプの電解コンデンサは固体電
解コンデンサの中でも特に小型大容量化が可能であるた
め、携帯電話、情報端末機器などの小型化のニーズにマ
ッチした部品として強い需要がある。
【0003】しかしながら、現在多孔質焼結体タイプの
電解コンデンサ用の金属として使用されているTaは高
価であるため、Ta固体電解コンデンサの単価も高くな
りTa固体電解コンデンサの採用は広がっていない。こ
れはTaの埋蔵量が少ないためであり、毎年の産出量も
少ないために需要と供給のバランスが不安定となってい
ることも価格高騰の一因となっている。今後、Taの価
格が改善される可能性は低いため、Taに替わる多孔質
固体電解コンデンサ用の材料が求められている。その候
補に挙げられているのが、固体電解コンデンサとしてT
aと同じ性能を示すとされているNbであり、埋蔵量は
Taの100倍以上と非常に大きいため、安価であり、
世界各地で分散して産出されるために安定供給も可能と
なっている。さらに、Nbの比重はTaの約1/2と小
さいためにさらなる軽量化を図ることもできることか
ら、今後Nb固体電解コンデンサが主流になることが期
待されている。
【0004】以下に、図5を参照しながら、従来のNb
固体電解コンデンサの標準的な製造工程を説明する。 (1)Nb多孔質体の形成 Nb粉末調合 プレス成形性を向上させるためにNb粉末にバインダー
を添加して混合する。 プレス・焼結 前記Nb混合粉末の中に陽極の素子リード線を挿入し、
角柱状にプレス成形する。ついで、そのプレス成形品を
高真空中(10−4Pa以下)で,1000〜1400
℃に加熱することによって焼結し、Nb多孔質体を形成
した後、真空中で冷却する。
【0005】(2)誘電体形成(化成処理(S91)) 前記Nb多孔質体を陽極として対向電極とともに燐酸な
どの電解水溶液中に浸漬し、化成電圧を印加することに
よってNb多孔質体表面に誘電体となるNb酸化皮膜を
形成する(陽極酸化法)。このとき、化成電圧の条件
(Vf(フォーメーションボルト))によりNb酸化皮
膜の厚さが決まり、コンデンサとしての特性が決定され
る。なお、電解液としては濃度0.01〜10vol.
%の燐酸水溶液などが用いられる。
【0006】(3)陰極形成(S92) 前段階で形成されたNb多孔質体の酸化皮膜の上に、陰
極として固体電解質層が形成される。固体電解質として
は、二酸化マンガンや、ピロール、チオフェン及びその
誘導体を重合させた導電性高分子などを用いる。
【0007】(4)グラファイト層形成(S93)、A
g層形成(S94)、リードフレーム接合(S95)、
モールド外装(S96) 前記固体電解質層の上にグラファイト層、さらにAgペ
ースト層を形成する。つぎに陽極の素子リード線にリー
ドフレーム陽極部をスポット溶接によって接合し、Ag
ペースト層にリードフレーム陰極部を接着銀によって接
合する。最後に全体を樹脂でモールド外装し、図6に示
すような構成のNb固体電解コンデンサが完成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように作
成されたNb固体電解コンデンサには、容量のバイアス
電圧依存性が存在した。容量のバイアス電圧依存性とは
Nb固体電解コンデンサに印加されるバイアス電圧の大
きさによって蓄積される電気容量が変動することであ
る。例えば、バイアス電圧0V、120Hzのときには
容量C[120Hz・0V]は365μFであり、バイ
アス電圧1.5V、120Hzのときには容量C[12
0Hz・1.5V]は310μFとなり大きく変動する
傾向を示す。また、バイアス電圧依存性はバイアス変動
率の大小として表示することも可能であり、この例の場
合のバイアス変動率は18%である。このようにNb固
体電解コンデンサにおいて容量が変動することは、その
コンデンサが含まれる電気回路が設計通りに動作しない
可能性を意味するものであり、そのため、各種機器とく
にコンデンサ容量の大小よりも容量の変動が小さいこと
が要求される精密機器用回路には使用することができな
かった。
【0009】本発明は、以上の従来技術における問題に
鑑みてなされたものであり、バイアス依存性のないNb
固体電解質コンデンサおよびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、コンデンサ
容量のバイアス依存性がNb固体電解コンデンサの誘電
体層であるアモルファスNb酸化物中に不可避的に形成
されてしまうNbの低級酸化物がn型半導体であり、そ
の半導体特性に起因することをつきとめた。
【0011】発明者はさらに検討を進め、前記Nb低級
酸化物とは結晶質のNb酸化物のNbO、NbOであ
り、コンデンサ製造の過程の中で、 金属Nb表面が焼結後に大気と接触し、大気中の酸素
と結合することによって形成されるNb気相酸化物と、 金属Nbは酸素との親和力が強く、陽極酸化の段階で
金属Nbの酸化の反応速度が大きいためにNbへの酸素
拡散が不均一となり、アモルファスNb酸化皮膜中に不
可避的に一部形成されてしまうNb酸化物と、の2種類
があると推測した。
【0012】以上の知見により、発明者らはNb固体電
解コンデンサのバイアス電圧依存性を生じさせる根本的
な原因がアモルファスNb酸化皮膜中(Nb気相酸化物
としてはNb表層)のNb低級酸化物である点に着目
し、気相酸化物の形成抑制と化成(陽極酸化)条件の適
正化について鋭意検討した結果、本発明をなすに至っ
た。さらに、それでも発生する低級Nb酸化物(Nb
O、NbO(結晶質のNb酸化物))についてはアモ
ルファスNb酸化物よりも耐熱強度が低い特性や酸、ア
ルカリに溶解しやすい特性に着目し、アモルファス酸化
皮膜の健全化処理を施すことにより本発明を完成させ
た。
【0013】すなわち、前記課題を解決するために提供
する本願第一の発明に係るNb固体電解コンデンサは、
弁作用金属多孔質体表面に弁作用金属酸化物が誘電体と
して形成され、その表層に固体電解質層が形成され、さ
らにその固体電解質層上に電極が形成され、全体がモー
ルド外装されてなる固体電解コンデンサにおいて、前記
多孔質体がNbからなり、その多孔質体表面にNbの気
相酸化物の形成を防止するNb窒化物が形成されたこと
を特徴とする。
【0014】これにより、Nb多孔質体が焼結後に大気
中に暴露されても、Nb窒化物の窒素が酸素と置換する
ことなく、かつ内部のNbと大気中の酸素とが結びつく
ことを防止し、バイアス依存性の第1の原因であるNb
の気相酸化物形成が抑制される。すなわち、Nb窒化物
はとくにNb多孔質体の最表層に濃化して存在する必要
がある。さらにNb窒化物がNb多孔質体の最表層に濃
化しているためにその後に行なわれる誘電体形成工程
(化成処理)においてNb陽極酸化反応を律速する働き
をしていると推定され、低級酸化物の形成を抑制し理想
的なアモルファスNb酸化物の形成の一助となる。な
お、Nb窒化物は、Nb金属粉末を真空焼結して多孔質
体を形成した後に温度を一定に保ち、窒素ガスを導入し
て窒化反応を起こすことによって形成させるとよい。
【0015】前記課題を解決するために提供する本願第
二の発明に係るNb固体電解コンデンサは、弁作用金属
多孔質体表面に弁作用金属酸化物が誘電体として形成さ
れ、その表層に固体電解質層が形成され、さらにその固
体電解質層上に電極が形成され、全体がモールド外装さ
れてなる固体電解コンデンサにおいて、前記多孔質体が
Nbからなり、その多孔質体表面が窒化されるととも
に、多孔質体の窒素含有量が12000ppm以上であ
ることを特徴とする。
【0016】これにより、Nb多孔質体焼結後の大気暴
露時のNbの気相酸化物形成が抑制され、誘電体形成工
程(化成処理)において低級酸化物の形成を抑制し理想
的なアモルファスNb酸化物の形成することができ、N
b固体電解コンデンサとしてバイアス依存性を改善する
ことができる。Nb多孔質体には通常数百から2000
ppm程度の窒素が含有されており、Nb多孔質体中に
均一にまたは内部に窒素が含有されていてもバイアス依
存性改善効果はない。その表層に窒素が濃化しているこ
とが必要である。表層への窒素濃化は微量でもバイアス
依存性の改善効果はあるが、とくに多孔質体の窒素含有
量として12000ppm以上で熱処理と組合わせてバ
イアス変動率がほぼ0%になる。なお、窒素含有量22
000ppmを超えるとNbの過窒化により多孔質体に
クラックが入る現象が起こり、製品とならないことがあ
る。
【0017】前記課題を解決するために提供する本願第
三の発明に係るNb固体電解コンデンサは、弁作用金属
多孔質体表面に弁作用金属酸化物が誘電体として形成さ
れ、その表層に固体電解質層が形成され、さらにその固
体電解質層上に電極が形成され、全体がモールド外装さ
れてなる固体電解コンデンサにおいて、前記多孔質体が
Nbからなり、その多孔質体表面が窒化され、化成処理
され、加熱され、再化成処理され、加熱から再化成処理
までの工程を少なくとも1回以上繰返してなることを特
徴とする。
【0018】多孔質体表層窒化だけではNb低級酸化物
を抑制しきれない場合がある。その場合、化成処理後の
加熱処理によりNb低級酸化物にクラックを生じさせ除
去し、再化成処理により除去部のアモルファスNb酸化
物を修復し、誘電体皮膜として健全化させることによっ
てバイアス依存性を改善することができる。
【0019】加熱処理において加熱によりかかるストレ
スに対して酸化皮膜の結晶質部分がアモルファス部分よ
りも機械的強度が低いことを利用することによって、酸
化皮膜の結晶質部分にクラックを生じさせる。このクラ
ックはアモルファス部分と結晶質部分との境界だけでは
なく、結晶質部分の領域内部にも微細に生じていると推
定される。また、加熱処理における加熱は大気中で行っ
てよい。このとき、加熱温度、時間ともに大きいほど効
果的にクラックを発生させることができるが、加熱温度
としては100〜300℃が望ましい。100℃は熱ス
トレスとして効果の生じる下限温度であり、300℃は
大気中でNb金属体が酸化しない上限の温度である。加
熱の保持時間は10秒以上がよい。
【0020】再化成処理において化成電圧の値を最初の
化成処理の化成電圧の値以下とする。最初に形成される
酸化皮膜の厚みが誘電体としての目標の厚みであり、再
化成処理において酸化皮膜の修復が当初の酸化皮膜の厚
み以下に制御されながら、誘電体としてのアモルファス
Nb酸化皮膜の健全化が図ることができるため、設計目
標通りのコンデンサ性能が確保できる。
【0021】前記課題を解決するために提供する本願第
四の発明に係るNb固体電解コンデンサは、弁作用金属
多孔質体表面に弁作用金属酸化物が誘電体として形成さ
れ、その表層に固体電解質層が形成され、さらにその固
体電解質層上に電極が形成され、全体がモールド外装さ
れてなる固体電解コンデンサにおいて、前記多孔質体が
Nbからなり、その多孔質体表面が窒化され、化成処理
され、加熱され、化学洗浄され、再化成処理されてなる
ことを特徴とする。
【0022】多孔質体表層窒化だけではNb低級酸化物
を抑制しきれない場合がある。その場合、化成処理後の
加熱処理によりNb低級酸化物にクラックを生じさせ、
酸またはアルカリ水溶液の化学洗浄により加熱により生
じたクラック部分に化学洗浄液を浸透させ短時間でNb
低級酸化物を溶解除去し、再化成処理により除去部のア
モルファスNb酸化物を修復し、誘電体皮膜として健全
化させることによってバイアス依存性を改善することが
できる。化学洗浄は、Nb5+酸化物より低い酸化数の
Nb酸化物またはNb金属体に含まれる不純物元素を溶
解する酸、アルカリ水溶液のうち、いすれか一つ以上の
水溶液中にNb多孔質体を浸漬すればよい。これはNb
5+酸化物(アモルファスNb酸化物)より低い酸化数
のNb酸化物(NbO、NbO(Nb低級酸化物))
は酸、アルカリに溶解しやすい特性を利用するものであ
り、これによって、低級酸化物部分のみを選択的に溶解
除去することが可能となる。化学洗浄液は、具体的には
硫酸及び硝酸及び水酸化カリウム及び水酸化ナトリウム
及びアンモニアからなる群の中から少なくとも1つを含
む酸、またはアルカリ水溶液とすればよい。なお、加
熱、再化成処理の内容・作用効果は第三の発明における
ものと同様である。
【0023】前記課題を解決するために提供する本願第
五の発明に係るNb固体電解コンデンサは、第三、四の
発明において、前記多孔質体の窒素含有量が12000
ppm以上であることを特徴とする。多孔質体表層への
窒素濃化は微量でもバイアス依存性の改善効果はある
が、とくに多孔質体の窒素含有量として12000pp
m以上でバイアス変動率がほぼ0%になる。なお、窒素
含有量22000ppmを超えるとNbの過窒化により
多孔質体にクラックが入る現象が起こり、製品とならな
いことがある。
【0024】前記課題を解決するために提供する本願第
六の発明に係るNb固体電解コンデンの製造方法は、弁
作用金属粉末を成形し、真空中で焼結してなる多孔質体
を化成液中で陽極として電気化学反応による化成処理を
行うことによって多孔質体表面に誘電体皮膜を形成し、
その表層に固体電解質層を形成し、さらにその固体電解
質層上に電極を形成し、全体をモールド外装してなる固
体電解コンデンサの製造方法において、前記金属粉末が
Nbであり、そのNb粉末を成形し、真空中で焼結して
なる多孔質体を焼結温度より低い温度で窒素雰囲気内に
暴露する表面窒化工程と、化成処理により表面窒化後の
多孔質体の表面にアモルファスNb酸化物からなる誘電
体皮膜を形成する誘電体形成工程とを備え、表面窒化工
程により多孔質体の窒素含有量を12000ppm以上
とすることを特徴とする。
【0025】この方法は焼結後のNb多孔質体を空気に
触れさせる前に窒化処理することがポイントである。こ
れにより、Nb多孔質体が焼結後に大気中に暴露されて
も、Nb窒化物の窒素が酸素と置換することなく、かつ
内部のNbと大気中の酸素とが結びつくことを防止し、
バイアス依存性の第1の原因であるNbの気相酸化物形
成が抑制される。すなわち、Nb窒化物はとくにNb多
孔質体の最表層に濃化して存在する必要がある。さらに
Nb窒化物がNb多孔質体の最表層に濃化しているため
にその後に行なわれる誘電体形成工程(化成処理)にお
いてNb陽極酸化反応を律速する働きをしていると推定
され、低級酸化物の形成を抑制し理想的なアモルファス
Nb酸化物の形成の一助となる。多孔質体表層への窒素
濃化は微量でもバイアス依存性の改善効果はあるが、と
くに多孔質体の窒素含有量として12000ppm以上
でバイアス変動率がほぼ0%になる。なお、窒素含有量
22000ppmを超えるとNbの過窒化により多孔質
体にクラックが入る現象が起こり、製品とならないこと
がある。なお、窒化時の温度制御により窒素含有量はあ
る程度ばらつき、最大3000ppm程度の誤差が生じ
る場合がある。
【0026】前記課題を解決するために提供する本願第
七の発明に係るNb固体電解コンデンの製造方法は、弁
作用金属粉末を成形し、真空中で焼結してなる多孔質体
を化成液中で陽極として電気化学反応による化成処理を
行うことによって多孔質体表面に誘電体皮膜を形成し、
その表層に固体電解質層を形成し、さらにその固体電解
質層上に電極を形成し、全体をモールド外装してなる固
体電解コンデンサの製造方法において、前記金属粉末が
Nbであり、そのNb粉末を成形し、真空中で焼結して
なる多孔質体を焼結温度より低い温度で窒素雰囲気内に
暴露する表面窒化工程と、化成処理により表面窒化後の
多孔質体の表面にアモルファスNb酸化物からなる誘電
体皮膜を形成する誘電体形成工程と、多孔質体を加熱す
る加熱工程と、多孔質体を再度化成処理する再化成工程
とを備えることを特徴とする。
【0027】この方法により、多孔質体表層窒化だけで
はNb低級酸化物を抑制しきれない場合でも、誘電体形
成工程後の加熱工程によりNb低級酸化物にクラックを
生じさせ除去し、再化成工程により除去部のアモルファ
スNb酸化物を修復し、誘電体皮膜として健全化させる
ことによってバイアス依存性を改善することができる。
【0028】加熱工程において加熱によりかかるストレ
スに対して酸化皮膜の結晶質部分がアモルファス部分よ
りも機械的強度が低いことを利用することによって、酸
化皮膜の結晶質部分にクラックを生じさせる。このクラ
ックはアモルファス部分と結晶質部分との境界だけでは
なく、結晶質部分の領域内部にも微細に生じていると推
定される。また、加熱処理における加熱は大気中で行っ
てよい。このとき、加熱温度、時間ともに大きいほど効
果的にクラックを発生させることができるが、加熱温度
としては100〜300℃が望ましい。100℃は熱ス
トレスとして効果の生じる下限温度であり、300℃は
大気中でNb金属体が酸化しない上限の温度である。加
熱の保持時間は10秒以上がよい。
【0029】再化成工程において化成電圧の値を誘電体
形成工程の化成電圧の値以下とする。最初に形成される
酸化皮膜の厚みが誘電体としての目標の厚みであり、再
化成工程において酸化皮膜の修復が当初の酸化皮膜の厚
み以下に制御されながら、誘電体としてのアモルファス
Nb酸化皮膜の健全化が図ることができるため、設計目
標通りのコンデンサ性能が確保できる。
【0030】前記課題を解決するために提供する本願第
八の発明に係るNb固体電解コンデンの製造方法は、第
七の発明において、前記加熱工程後であり、再化成工程
前に多孔質体を化学洗浄する化学洗浄工程を備えたこと
を特徴とする。
【0031】この方法により、多孔質体表層窒化だけで
はNb低級酸化物を抑制しきれない場合でも、誘電体形
成工程後の加熱工程によりNb低級酸化物にクラックを
生じさせ、化学洗浄工程により加熱により生じたクラッ
ク部分に化学洗浄液を浸透させ短時間でNb低級酸化物
を溶解除去し、再化成工程により除去部のアモルファス
Nb酸化物を修復し、誘電体皮膜として健全化させるこ
とによってバイアス依存性を改善することができる。化
学洗浄は、Nb5+酸化物より低い酸化数のNb酸化物
またはNb金属体に含まれる不純物元素を溶解する酸、
アルカリ水溶液のうち、いすれか一つ以上の水溶液中に
Nb多孔質体を浸漬すればよい。これはNb5+酸化物
(アモルファスNb酸化物)より低い酸化数のNb酸化
物(NbO、NbO(Nb低級酸化物))は酸、アル
カリに溶解しやすい特性を利用するものであり、これに
よって、低級酸化物部分のみを選択的に溶解除去するこ
とが可能となる。化学洗浄液は、具体的には硫酸及び硝
酸及び水酸化カリウム及び水酸化ナトリウム及びアンモ
ニアからなる群の中から少なくとも1つを含む酸、また
はアルカリ水溶液とすればよい。
【0032】前記課題を解決するために提供する本願第
九の発明に係るNb固体電解コンデンの製造方法は、第
七、第八の発明において、前記再化成工程まで一通り処
理を行った後、加熱工程から再化成工程までの工程を少
なくとも一以上繰返して行うことを特徴とする。
【0033】この方法により、一回目の加熱工程から再
化成工程までの処理によってもアモルファスNb酸化皮
膜中にNb低級酸化物が残存した場合でも、二回目以降
の加熱工程から再化成工程までの処理によってその低級
酸化物を完全に除去することが可能である。したがっ
て、最終的に誘電体皮膜として健全化させることによっ
てバイアス依存性を改善することができる。
【0034】前記課題を解決するために提供する本願第
十の発明に係るNb固体電解コンデンの製造方法は、第
七〜第九の発明において、前記表面窒化工程により多孔
質体の窒素含有量を12000ppm以上とする。この
方法により、バイアス変動率がほぼ0%になる。なお、
窒素含有量22000ppmを超えるとNbの過窒化に
より多孔質体にクラックが入る現象が起こり、製品とな
らないことがある。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るNb固体電
解コンデンサの一実施の形態における構成について図面
を参照して説明する。図1は、本発明に係るNb固体電
解コンデンサの標準的な製造工程図である。
【図1】Nb固体電解コンデンサの標準製造条件 試験に供するNb固体電解コンデンサはつぎの手順及び
条件を標準として作成した。 (ステップS1)Nb粉末調製 平均粒径0.1〜100μmのNb金属の粉末にバイン
ダーを混合し、2次凝集した造粒紛を作製した。
【0036】(ステップS2)プレス成形工程 この造粒紛を0.01〜0.5g使用して、Nb金属リ
ード線を埋設し、プレス工法により圧縮成形した。
【0037】(ステップS3)真空焼結工程 この圧縮成形体を10−4Pa以下の高真空中で100
0〜1400℃の温度で15〜60min焼結した。
【0038】(ステップS4)表面窒化工程 ついで、焼結後の冷却過程で窒素ガスを焼結炉内に導入
し、窒化処理温度100〜600℃で、窒素圧力10〜
600Torrの雰囲気下に1〜30min保持し、焼
結された陽極体をNb金属の表面に窒化物が形成された
ものとした。この陽極体の窒素含有量は15000pp
mであった。
【0039】(ステップS5)誘電体形成工程 窒化処理が完了したNb多孔質体について従来の製造方
法と同様の陽極酸化法により、その表面に誘電体皮膜を
形成した。このとき、最終の静電容量が220μFにな
るように、陽極体−対向電極間に20Vの化成電圧を印
加し、化成電流が飽和するまで陽極酸化を行った。この
とき形成された誘電体皮膜(アモルファスNb酸化皮
膜)にはコンデンサとしての性能を損なうNb低級酸化
物が含まれていることがある。
【0040】(ステップS6)加熱工程 ついで、誘電体皮膜が形成されたNb多孔質体につい
て、大気中で100〜300℃に加熱し、10秒以上保
持し、加熱後自然冷却とした。
【0041】(ステップS7)化学洗浄工程 加熱工程が完了したNb多孔質体を1〜10wt.%硝
酸水溶液または1〜10wt.%水酸化カリウム水溶液
のいずれか1つの水溶液中に浸漬して多孔質体表面を化
学洗浄を行った。この化学洗浄によってNb低級酸化物
(クラックが生じた部分も含む)が除去され、誘電体皮
膜中に空隙ができる。なお、上記水溶液以外に同等の化
学洗浄力を有する酸、アルカリ水溶液として硫酸水溶
液、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液があ
る。
【0042】(ステップS8)再化成工程 加熱後の陽極体表面に、陽極酸化により再化成処理を行
った。このときの条件はステップS5と同一である。こ
の処理により、空隙が健全なアモルファスNb酸化皮膜
で埋められ、修復される。ステップS6〜S8の一連の
処理を1セットとして、繰り返し10セットの処理を行
った。セット数は必要に応じて変化させた。
【0043】(ステップS9〜S11)固体電解質層形
成、グラファイト層形成、Agペースト層形成 陽極体酸化物層の上に、電解酸化重合により、ポリピロ
ール層を形成し、さらにグラファイト層、Agペースト
層を順次形成した。このときのポリピロール層の厚みは
10〜20μm、グラファイト層及びAgペースト層の
厚みは、それぞれ20〜50μmであった。
【0044】(ステップS12、S13)リードフレー
ム接合、モールド外装 さらに、陰極引出し用のリード線を陰極層の上に配設
し、エポキシ樹脂で封止することにより所望のNb固体
電解コンデンサを得る。このNb固体電解コンデンサの
構成は図6に示す従来のものと同じ構成である。なお、
前述の加熱工程(S6)、化学洗浄工程(S7)、再化
成工程(S8)は適宜省略が可能である。
【0045】(評価方法)作成したNb固体電解コンデ
ンサについて、バイアス電圧0V、120Hzのときの
容量C[120Hz・0V]()とバイアス電圧1.5
V、120Hzのときの容量C[120Hz・1.5
V]()を測定し、つぎの式(1)によりバイアス変
動率Rを求めた。 R=(−)/*100(%) …(1)
【0046】<実施例1、2> (実施例1)図1のフローチャートに従い、Nb多孔質
体について、ステップS4からS8までの工程のうち、
表面窒化工程―誘電体形成工程―加熱工程―再化成工程
の処理を行い、他の工程は標準条件で処理した。加熱工
程から再化成工程までは2セット以上行った。 (実施例2)図1のフローチャートに従い、Nb多孔質
体について、ステップS4からS8までの工程のうち、
表面窒化工程―誘電体形成工程の処理を行い、他の工程
は標準条件で処理した。 (比較例1)図1のフローチャートに従い、Nb多孔質
体について、ステップS4からS8までの工程のうち、
誘電体形成工程のみの処理を行い、他の工程は標準条件
で処理した。 (比較例2)図1のフローチャートに従い、Nb多孔質
体について、ステップS4からS8までの工程のうち、
誘電体形成工程―加熱工程―再化成工程の処理を行い、
他の工程は標準条件で処理した。加熱工程から再化成工
程までは2セット以上行った。
【0047】実施例1、2のバイアス変動率測定結果を
表1に示す。比較例1、2も合わせて示す。比較例1、
2のバイアス変動率18%、11%に対して、実施例
1、2は0%、5%と大幅にバイアス依存性が改善され
ている。
【0048】
【表1】
【0049】つぎにNb金属板を用いて実施例1と同一
条件の表面窒化工程―誘電体形成工程―加熱工程―再化
成工程の処理を行い、表層の深さ方向の酸素分布をイオ
ンマイクロアナライザ(SIMS)により分析した。同
様の分析を実施例2および比較例1、2の条件について
行った。その分析結果を図2に示す。実施例1(窒化+
加熱)のサンプルの酸素ピーク強度の減少が最も緩やか
で、比較例2(加熱工程のみ)、比較例1(窒化、加熱
工程ともになし)の順番で酸素ピーク強度の減少が急激
となる傾向が認められ、実施例1と比較例1、2との間
には大きな差が認められた。また、実施例2(窒化の
み)は実施例1とほぼ同じピーク強度を示した。これは
実施例1、2の条件ではNb酸化物層がほとんどNb
となり理想的な酸化皮膜になっており、比較例2、
3の条件では低級酸化物(NbO、NbO)が酸化物
層の中に多く含まれていることを示唆している。この分
析結果と表1のバイアス変動率結果との間には強い相関
が認められる。
【0050】<実施例3〜5> (実施例3)図1のフローチャートに従い、Nb多孔質
体について、ステップS4からS8までの工程のうち、
表面窒化工程―誘電体形成工程―加熱工程―化学洗浄工
程―再化成工程の処理を行い、加熱工程から再化成工程
までは10セット行った。他の工程は標準条件で処理し
た。表面窒化工程において導入窒素量を調整してNb多
孔質体の窒素含有量を7500〜22000ppmまで
変化させ、表面清浄化工程では6wt.%硝酸水溶液に
よる化学洗浄を行った。 (実施例4)図1のフローチャートに従い、Nb多孔質
体について、ステップS4からS8までの工程のうち、
表面窒化工程―誘電体形成工程―加熱工程―再化成工程
の処理を行い、加熱工程から再化成工程までは10セッ
ト行った。他の工程は標準条件で処理した。表面窒化工
程において導入窒素量を調整してNb多孔質体の窒素含
有量を7500〜22000ppmまで変化させた。 (実施例5)図1のフローチャートに従い、Nb多孔質
体について、ステップS4からS8までの工程のうち、
表面窒化工程―誘電体形成工程の処理を行い、他の工程
は標準条件で処理した。表面窒化工程において導入窒素
量を調整してNb多孔質体の窒素含有量を7500〜2
2000ppmまで変化させた。 (比較例3)図1のフローチャートに従い、Nb多孔質
体について、ステップS4からS8までの工程のうち、
誘電体形成工程―加熱工程―再化成工程の処理を行い、
加熱工程から再化成工程までは10セット行った。他の
工程は標準条件で処理した。
【0051】実施例3〜5のバイアス変動率測定結果を
図3に示す。比較例3も合わせて示す。比較例3(バイ
アス変動率8%)と比較して、実施例3〜5のいずれの
窒素含有率でもバイアス依存性が改善されている。とく
に実施例3、4は大幅に改善されており、窒素含有量1
2000ppm以上でバイアス変動率がほぼ0%となっ
ている。また、窒素含有量7500ppmでは、実施例
3、4、5の順番でバイアス依存性が改善されていた。
【0052】(実施例6)図1のフローチャートに従
い、Nb多孔質体について、ステップS4からS8まで
の工程のうち、表面窒化工程―誘電体形成工程―加熱工
程―再化成工程の処理を行い、加熱工程から再化成工程
までは2セット以上行った。他の工程は標準条件で処理
した。表面窒化工程において導入窒素量を調整してNb
多孔質体の窒素含有量を7500ppmとし、加熱工程
において加熱温度を150〜300℃まで変化させた。
【0053】実施例6のバイアス変動率測定結果を図4
に示す。加熱工程なしではバイアス変動率17%である
のに対して、150℃以上でバイアス依存性が改善され
ていた。
【発明の効果】
【0054】Nb多孔質体の最表層にNb窒化物を濃化
させることにより、Nb多孔質体が焼結後に大気中に暴
露されても、Nb窒化物の窒素が酸素と置換することな
く、かつ内部のNbと大気中の酸素とが結びつくことを
防止し、バイアス依存性の第1の原因であるNbの気相
酸化物形成を抑制すると推測する。さらにその後に行な
われる誘電体形成工程(化成処理)においてNb陽極酸
化反応を律速し、低級酸化物の形成を抑制し理想的なア
モルファスNb酸化物の形成の一助となると推測する。
とくに多孔質体の窒素含有量として12000ppm以
上でバイアス変動率がほぼ0%になる。
【0055】多孔質体表層窒化だけではNb低級酸化物
を抑制しきれない場合でも、誘電体形成工程後の加熱工
程によりNb低級酸化物にクラックを生じさせ除去し、
再化成工程により除去部のアモルファスNb酸化物を修
復し、誘電体皮膜として健全化させることによってバイ
アス依存性を改善することができる。
【0056】多孔質体表層窒化だけではNb低級酸化物
を抑制しきれない場合でも、誘電体形成工程後の加熱工
程によりNb低級酸化物にクラックを生じさせ、化学洗
浄工程により加熱により生じたクラック部分に化学洗浄
液を浸透させ短時間でNb低級酸化物を溶解除去し、再
化成工程により除去部のアモルファスNb酸化物を修復
し、誘電体皮膜として健全化させることによってバイア
ス依存性を改善することができる。
【0057】一回目の加熱工程から再化成工程までの処
理によってアモルファスNb酸化皮膜中にNb低級酸化
物が残存した場合でも、二回目以降の加熱工程から再化
成工程までの処理によってその低級酸化物を完全に除去
し誘電体皮膜として健全化させることによってバイアス
依存性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るNb固体電解コンデンサの製造
方法の一実施の形態を示す製造工程図である。
【図2】本願発明に係るNb表層の深さ方向の酸素分布
分析結果を示す図である。
【図3】本願発明に係るNb固体電解コンデンサの窒素
含有率とコンデンサ容量バイアス依存性との関係図であ
る。
【図4】本願発明に係る熱処理温度とコンデンサ容量バ
イアス依存性との関係図である。
【図5】従来のNb固体電解コンデンサの製造方法を示
す製造工程図である。
【図6】Nb固体電解コンデンサの構成を示す全体模式
図である。
【符号の説明】
1 … Nb多孔質体 2 … アモルファスNb酸化皮膜(誘電体皮膜) 3 … 素子リード線 4 … 固体電解質層 5 … グラファイト層 6 … 銀ペースト層 7 … リードフレーム 8 … モールド外装樹脂 S1〜S13、S91〜S96 … 処理工程 P1 … アモルファスNb酸化皮膜の健全化処理
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向野 節 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁作用金属多孔質体表面に弁作用金属酸化
    物が誘電体として形成され、その表層に固体電解質層が
    形成され、さらにその固体電解質層上に電極が形成さ
    れ、全体がモールド外装されてなる固体電解コンデンサ
    において、 前記多孔質体がNbからなり、その多孔質体表面にNb
    の気相酸化物の形成を防止するNb窒化物が形成された
    ことを特徴とするNb固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】弁作用金属多孔質体表面に弁作用金属酸化
    物が誘電体として形成され、その表層に固体電解質層が
    形成され、さらにその固体電解質層上に電極が形成さ
    れ、全体がモールド外装されてなる固体電解コンデンサ
    において、 前記多孔質体がNbからなり、その多孔質体表面が窒化
    されるとともに、多孔質体の窒素含有量が12000p
    pm以上であることを特徴とするNb固体電解コンデン
    サ。
  3. 【請求項3】弁作用金属多孔質体表面に弁作用金属酸化
    物が誘電体として形成され、その表層に固体電解質層が
    形成され、さらにその固体電解質層上に電極が形成さ
    れ、全体がモールド外装されてなる固体電解コンデンサ
    において、 前記多孔質体がNbからなり、その多孔質体表面が窒化
    され、化成処理され、加熱され、再化成処理され、加熱
    から再化成処理までの工程を少なくとも1回以上繰返し
    てなることを特徴とするNb固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】弁作用金属多孔質体表面に弁作用金属酸化
    物が誘電体として形成され、その表層に固体電解質層が
    形成され、さらにその固体電解質層上に電極が形成さ
    れ、全体がモールド外装されてなる固体電解コンデンサ
    において、 前記多孔質体がNbからなり、その多孔質体表面が窒化
    され、化成処理され、加熱され、化学洗浄され、再化成
    処理されてなることを特徴とするNb固体電解コンデン
    サ。
  5. 【請求項5】前記多孔質体の窒素含有量が12000p
    pm以上であることを特徴とする請求項3または請求項
    4に記載のNb固体電解コンデンサ。
  6. 【請求項6】弁作用金属粉末を成形し、真空中で焼結し
    てなる多孔質体を化成液中で陽極として電気化学反応に
    よる化成処理を行うことによって多孔質体表面に誘電体
    皮膜を形成し、その表層に固体電解質層を形成し、さら
    にその固体電解質層上に電極を形成し、全体をモールド
    外装してなる固体電解コンデンサの製造方法において、 前記金属粉末がNbであり、そのNb粉末を成形し、真
    空中で焼結してなる多孔質体を焼結温度より低い温度で
    窒素雰囲気内に暴露する表面窒化工程と、 化成処理により表面窒化後の多孔質体の表面にアモルフ
    ァスNb酸化物からなる誘電体皮膜を形成する誘電体形
    成工程とを備え、 表面窒化工程により多孔質体の窒素含有量を12000
    ppm以上とすることを特徴とするNb固体電解コンデ
    ンサの製造方法。
  7. 【請求項7】弁作用金属粉末を成形し、真空中で焼結し
    てなる多孔質体を化成液中で陽極として電気化学反応に
    よる化成処理を行うことによって多孔質体表面に誘電体
    皮膜を形成し、その表層に固体電解質層を形成し、さら
    にその固体電解質層上に電極を形成し、全体をモールド
    外装してなる固体電解コンデンサの製造方法において、 前記金属粉末がNbであり、そのNb粉末を成形し、真
    空中で焼結してなる多孔質体を焼結温度より低い温度で
    窒素雰囲気内に暴露する表面窒化工程と、 化成処理により表面窒化後の多孔質体の表面にアモルフ
    ァスNb酸化物からなる誘電体皮膜を形成する誘電体形
    成工程と、 多孔質体を加熱する加熱工程と、 多孔質体を再度化成処理する再化成工程と、 を備えることを特徴とするNb固体電解コンデンサの製
    造方法。
  8. 【請求項8】前記加熱工程後であり、再化成工程前に多
    孔質体を化学洗浄する化学洗浄工程を備えたことを特徴
    とする請求項7に記載のNb固体電解コンデンサの製造
    方法。
  9. 【請求項9】前記再化成工程まで一通り処理を行った
    後、加熱工程から再化成工程までの工程を少なくとも一
    以上繰返して行うことを特徴とする請求項7または請求
    項8に記載のNb固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 【請求項10】前記表面窒化工程により多孔質体の窒素
    含有量を12000ppm以上とすることを特徴とする
    請求項7〜9のうちいずれか一に記載のNb固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
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