JP2003213377A - 高温強度に優れ、室温で軟質なCr含有鋼 - Google Patents

高温強度に優れ、室温で軟質なCr含有鋼

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温強度に優れ、かつ室温で軟質なCr含有鋼
を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.02%以下、Si:2%以
下、Mn:2%以下、P:0.06%以下、S:0.02%以下、
Al:0.1 %以下、Ni:1%以下、Cr:6%を超え40%以
下、N:0.02%以下、Mo:1.0 %超え3%以下、W:1.
0 %超え5%以下、〔Mo〕+〔W〕:3.0 %超え8%以
下、B:0.0001%以上0.01%以下を含有し、かつ、(T
i、V、Zr)のうちから選ばれる1種または2種以上
を、Ti:1%以下、V:1%以下、Zr:0.5 %以下含有
し、そのうえ、5×(〔C〕+〔N〕)≦〔Ti〕+
〔V〕+〔Zr〕≦1を満足し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなるCr含有鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車排気管や触
媒外筒材等の高温部材として用いられ、比較的安価なCr
含有鋼に関するものである。さらに詳しくは、該Cr含有
鋼の使用環境である高温においては十分な強度を有し、
且つ、該Cr含有鋼が加工される常温付近では軟質で加工
性に優れるCr含有鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の燃費向上、高出力化の観
点から、排気ガス温度は、近い将来、900 ℃付近まで上
昇することが考えられ、自動車排気管や触媒外筒材等の
高温部材に用いることが出来、かつ、比較的安価なCr含
有鋼の開発が待たれている。なお、一般にフェライト系
ステンレス鋼と称される鋼はCr含有鋼の一種である。
【0003】従来知られている、自動車排気管や触媒外
筒材等の高温部材に用いるCr含有鋼としては、高温強度
を向上させるためにNbを積極的に添加したSUS430LXがあ
る。しかしながら、Nbは炭窒化物を形成して室温におけ
る降伏強度(YS)を高めるので、加工性を確保しなが
ら高温強度を付与するためには、製造工程条件を厳しく
管理する必要がある。さらに、Cr量も比較的多く16質量
%以上と高めであり、経済的に不利である。
【0004】このような問題に対して、特開平6−1364
88号公報は、SUS444の成分を基に、Nbを添加せずにMoお
よびWの複合添加により高温強度を補ったCr含有鋼を開
示している。しかしながら、特開平6−136488号公報に
開示されたCr含有鋼は、室温で硬質であり、室温での伸
びが劣るうえに、自動車の排気管、マフラー、燃料電池
関連部材等に加工することが困難で、成形性に問題があ
った。さらに加工作業を行うと金型の消耗が激しいとい
う成形加工性にも問題があった。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した
問題に鑑み、高温強度に優れ、かつ室温で加工性の高
い、すなわち軟質なCr含有鋼を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のCr含有鋼は、質
量%で、C:0.02%以下、Si:2%以下、Mn:2%以
下、P:0.06%以下、S:0.02%以下、Al:0.1 %以
下、Ni:1%以下、Cr:6%を超え40%以下、N:0.02
%以下、Mo:1.0 %超え3%以下、W:1.0 %超え5%
以下、〔Mo〕+〔W〕:3.0 %超え8%以下、B:0.00
01%以上0.01%以下を含有し、かつ、(Ti、V、Zr)の
うちから選ばれる1種または2種以上を、Ti:1%以
下、V:1%以下、Zr:0.5 %以下含有し、そのうえ、
5×(〔C〕+〔N〕)≦〔Ti〕+〔V〕+〔Zr〕≦1
を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるCr含
有鋼である。このCr含有鋼は、さらに、質量%でCu:1
%以下を含有し、あるいはさらに質量%でCa:0.01%以
下を含有してなるようにしてもよい。
【0007】ここで〔Mo〕、〔W〕、〔C〕、〔N〕、
〔Ti〕、〔Vr〕、および〔Zr〕は各元素の含有量(質量
%)を指す。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の作用について述
べる。最初にこの発明に至った経緯を実験結果に基づい
て説明する。本発明者らは室温での軟質化を考え、Nb添
加しないCr含有鋼板について室温でのYSおよび高温強
度と検討した。特に、Mo、Wの単独添加、あるいは複合
添加した場合について詳細に検討し、その結果、以下の
重要な知見1〜4を新規に発見して本発明を完成させ
た。
【0009】(知見1):Mo、Wを単独で多量に添加す
ると成分によっては、再結晶焼鈍後も、MoまたはWのラ
ーベス相が多量に析出している(:Fe2Mタイプの金属間
化合物、以下単にラーベス相と称する。)。図1に、M
o、Wをそれぞれ単独添加した場合の室温のYSの変化
を示す。Mo、Wラーベス相が析出しない場合、Mo、Wは
固溶しており固溶強化(グラフの傾き)は、Moの単独添
加では40MPa /1%、Wの単独添加では20MPa /1%で
ある。一方、Siが高いと(図中○印および△印)、Moの
単独添加、Wの単独添加のどちらの場合でも、Moまたは
Wラーベス相が多量に析出して、Fe2Mタイプの析出物に
より、室温では著しく硬質となってしまうことがわかっ
た。なお、Si量の違いによる各々のYSの違いを補正す
るため、供試鋼と15Cr-0.8Si-Mo 系、18Cr-0.1-Si-Mo
系、15Cr-0.8Si-W系、17Cr-0.4Si-W系に分類し、各系の
MoまたはW添加を行わない鋼種のYSを図1中では一致
させ、図1中の各室温での降伏点は、MoまたはWの添加
による増分を示した。以下の図2〜図4も同様である。
【0010】(知見2):Moラーベス相が析出すると、
(Fe、Cr)2Mo としてFeの一部がCrに置換されているた
め、耐食性と高温強度に有効な母相の固溶Moおよび固溶
Crが低下し、室温、高温での耐食性および高温強度が劣
化する。図2にMo、Wを単独添加した場合の高温強度
(900 ℃の 0.2%耐力)を示す。Siが 0.8質量%と高い
と、Moの単独添加、Wの単独添加のどちらの場合でも、
ラーベス相が析出するようになり、Mo又はWの添加量を
増大しても固溶Mo、Wが飽和するため、高温強度があま
り向上しなくなることがわかった。
【0011】(知見3):固溶Wに対するSiの影響を調
べるため、700 ℃−10時間の時効処理により、Wラーベ
ス相の析出を促進させ、評価した。図3に示すように、
低Si化(0.5 質量%)した場合には、Wの添加を増大し
てもラーベス相が析出せず、固溶Wが増えることがわか
った。 (知見4):高温強度(900 ℃の 0.2%耐力)は、Moの
単独添加では2%以上で高温強度が飽和するが、Moを2
%で一定としてWを複合添加していくと、Moの単独添加
より高温強度が高くなることがわかった(図4)。すな
わち、高温強度の向上には、MoとWの複合添加が極めて
効果的であることを発見した。
【0012】なお、図1、2、4での室温のYSおよび
高温強度(900 ℃の 0.2%耐力)の試験方法詳細は、後
述する実施例の条件と同じである。従来、ラーベス相析
出物の制御方法を考慮していなかったので、添加したM
o、W、Crの一部がラーベス相として析出状態となり、
添加元素(Cr、Mo、W)の固溶効果が飽和しているのを
知らず、さらに多くのCr、Mo、Wを添加していたのが実
情であった。
【0013】この結果、Mo、Wラーベス相の析出による
効果が加わり、室温で著しく硬質化してしまい、加工性
が悪くなっていたことを突き止めた。本発明は、これら
の知見を基にして、MoとWの複合添加量により、再結晶
焼鈍後のラーベス相の析出を可能な限り抑制し、Mo、W
の添加量を制限して、本来のCr、Mo、Wの効果を十分に
引き出すことができる成分系としたことが本願の特徴で
ある。
【0014】以下に、本特許請求項に記載の各成分元素
の含有量について、その範囲を限定した理由を説明す
る。単位は重量%である。 C:0.02%以下 Cは、室温での成形性を劣化させる元素であり、0.02%
超えになると靱性も成形性の劣化も顕著となるため、0.
02%以下に限定する。成形性のためには、Cの含有量は
低いほど良く、0.008 %以下が望ましい。
【0015】Si:2%以下 Siは、この発明にとって最も重要な元素の一つである。
添加したMo、W、Crの一部がラーベス相として析出して
しまうのを抑制し、本来のCr、Mo、Wの効果を十分に引
き出すことができるようにするため、2%以下に限定す
る。Si含有量は、低い程好ましく、好ましくは1%以
下、さらに好ましくは、0.5 %以下、特に好ましくは、
0.1 %以下である。
【0016】Mn:2%以下 Mnは、鋼の脱酸剤として知られているが、過剰な添加
は、MnS を形成し、成形性、耐食性を低下させるととも
に、Moラーベス相の析出も促進させるため、Mn含有量は
2%以下とした。Mn含有量は低い程好ましく、好ましく
は、1%以下、さらに好ましくは、0.2 %以下である。
一方、耐酸化性には、Mnが高い方が好ましい。耐酸化性
を重視する時は、Mn1%超えが好ましい。
【0017】P:0.06%以下 Pは、靱性を劣化させる元素であり、0.06%以下とし
た。P含有量は少ないほど良く、0.04重量%以下である
ことが望ましい。過剰の低下はコスト高になるため、0.
025 %超え、0.06%以下が好ましい。 S:0.02%以下 Sは、伸びおよびr値を低下させ、成形性を劣化させる
とともに、Cr含有鋼の基本特性である耐食性を劣化させ
る元素であり、その含有量の上限を0.02%とした。しか
しながら、過剰の低下はコスト高になるため、0.002 %
を超えが好ましい。よって、好ましくは 0.002%を超
え、0.02%以下とする。
【0018】Al:0.1 %以下 Alは、一般に、鋼の脱酸剤として使用するが、0.1 %超
えになると、加工性の劣化が著しいため、0.1 %以下に
限定する。脱酸剤として使用しない場合、Alは0.005 %
未満となるが、悪影響はない。また、Alは溶接時に表面
保護スケールを生成し、大気中からC、N、Oの侵入を
防ぎ、溶接部の靱性を向上する効果があり、0.02%以上
の添加が好ましい。
【0019】Ni:1%以下 Niは靱性の向上に有効である。ただし高価な元素であ
り、効果も飽和するので1%以下に限定する。 Cr:6%を超え40%以下 Crは、本発明で重要な元素である。6%超えの添加で、
耐酸化性、耐食性に顕著な効果がある。一方、添加量が
多すぎると、Mo、Wが添加されているCr含有鋼の場合、
Moの析出を促進させて、Moの耐食性への効果を滅じてし
まう。よって、40%以下に限定する。耐酸化性、耐食性
の必要程度に応じて増減できる。
【0020】N:0.02%以下 Nは、鋼の靱性および成形性を劣化させる元素である。
0.02%超えになると靱性および成形性の劣化が顕著とな
るので、0.02%以下に限定する。Nの含有量は少ないほ
ど良く、0.01%以下であることが望ましい。(Ti、V、
Zr)のうちから選ばれる1種または2種以上を、Ti:1
%以下、V:1%以下、Zr:0.5 %以下含有し、そのう
え、5×(〔C〕+〔N〕)≦〔Ti〕+〔V〕+〔Zr〕
≦1とする理由は以下のとおりである。
【0021】〔Ti〕+〔V〕+〔Zr〕は、成形性の向
上、溶接部の粒界腐食性向上のため、5×(〔C〕+
〔N〕)以上添加し、かつ粗大なM(C、N)型析出物
(MはTi、V及び/又はZr)の析出による表面性状の劣
化を防止するため1%以下とする。〔Ti〕+〔V〕+
〔Zr〕は、好ましくは、10×(〔C〕+〔N〕)超えで
0.4%以下である。
【0022】しかしながら、Tiが1%超えの過剰の添加
は、粗大なTi(C、N)を析出し、表面性状を劣化させ
るため、1%以下に制限する必要がある。またVは、1
%超えの過剰の添加は、粗大なV(C、N)を析出し、
表面性状を劣化させるため、1%以下に制限する。Zrも
0.5 %超えの過剰な添加は、粗大なZr(C、N)を析出
し、表面性状を劣化させるため、0.5 %以下に制限す
る。以上の(Ti、V、Zr)のうちから選ばれる1種また
は2種以上を添加する。MoおよびW Mo:1.0 %超え3%以下 Moは、本発明のCr含有鋼にとって最も重要な元素であ
る。本元素は、固溶により耐食性、高温強度の向上に寄
与するため、1.0 %以上添加する。一方、3%超えの添
加は、伸びを著しく低下させるため、3%以下に限定す
る。
【0023】W:1.0 %超え5%以下 Wは、本発明のCr含有鋼にとって最も重要な元素であ
る。本元素は、固溶により耐食性、高温強度の向上に寄
与するため、1.0 %以上添加する。一方、5%超えの添
加は、伸びを著しく低下させるため、5%以下に限定す
る。 〔Mo〕+〔W〕:3.0 %超え8%以下 WとMoの複合添加によって、特に3.0 %を超えたWとMo
の複合添加は、各々の単独添加よりも著しく高温強度を
向上させる。よって、3.0 %以上添加する。一方、8%
超えの複合添加は、伸びを著しく低下させるため、8%
以下に限定する。WとMoの複合添加量は、好ましくは4
%超え6%以下。さらに好ましくは、4%超え5%以下
である。
【0024】B:0.0001%以上0.01%以下 Bは、重要な元素である。本発明のCr含有鋼は、〔Mo〕
+〔W〕>3.0 %であるため、靱性が低い。それを改善
するために、必要な元素である。靱性改善効果には、0.
0001%以上含有させる。0.01%を超えると多量のBNの
生成により成形性が劣化するので、0.01%以下に限定す
る。B含有量は好ましくは、0.0005%以上 0.005%以下
とする。
【0025】以下の元素は任意である。Cu、耐食性向上
に有効であるため、添加してもよい。しかしながら、Cu
は、1%を超えるとε−Cuの析出により脆化するため、
1.0 %以下に限定する。 Ca:0.01%以下 Caでは、鋳造時の介在物によるノズル詰まりを防止する
効果があり、必要に応じて添加する。0.01%を超えて添
加しても効果が飽和するばかりでなく、Caを含む介在物
が孔食の起点となり、耐食性を劣化させるため、0.01%
を上限とする。好ましくは、0.0001%以上 0.003%以下
である。
【0026】Co:靱性改善に有効であり、添加してもよ
い。この効果は0.01%から顕著で 0.5%で飽和する。よ
って0.01%以上 0.5%以下とする。
【0027】
【実施例】表1に示す成分組成からなる鋼を溶製し、ス
ラブとしたのち、このスラブを1150℃に加熱後、熱間圧
延により4mm厚の熱延板とした。さらに、焼鈍、酸洗、
冷間圧延、仕上げ焼鈍、酸洗を順次行い、1.5mm 厚の冷
延焼鈍板とした。かくして得られた冷延焼鈍板につい
て、以下に示す方法により室温での軟質性および高温強
度を評価した。 1.室温での軟質性 上記の冷延焼鈍板から引張り試験片長さ方向が、圧延方
向(L方向)と平行であるL方向引張り試験片素材、圧
延方向に対し45度をなすD方向引張り試験片素材および
圧延方向に対し90度をなすC方向引張り試験片素材をそ
れぞれ採取し、機械加工により13号B引張り試験片(JI
S Z 2201)とした。なお、引張り試験片厚み方向は冷延
焼鈍板の板厚h方向と一致させ、かつ引張り試験片厚さ
は冷延焼鈍板の板厚h(1.5mm 厚)寸法のままとした。
【0028】このL、CおよびD方向引張り試験片につ
いて、JIS Z 2241に準拠して室温で引張り速度10mm/mi
n での引張り試験を行い、YS(降伏強度)を測定し、
下式で示す平均YS≦380MPaを満たす場合、室温で軟質
(表1中○印)とし、その条件を満たさない場合、室温
で硬質(表1中×印)と評価した。 平均YS=(YS(L) +2YS(D) +YS(C) )/4 2.高温強度 上述したL方向引張り試験片についてのみ、JIS G 0567
に準拠して900 ℃で 0.3%/min の歪み速度で 0.2%耐
力を測定し、高温強度を評価した。23MPa 以上を高温強
度に優れる(表1中○印)とし、23MPa 未満を高温強度
が劣る(表1中×印)とした。 3.その他 靱性は、板厚hが1.5mm 厚の冷延焼鈍板から、シャルピ
ー衝撃試験片長さ方向が圧延方向に対し90度をなすC方
向シャルピー衝撃試験片素材を採取し、JIS Z2202に準
拠し、シャルピー衝撃試験片の長さが55mm、高さが10mm
でかつ幅Wが1.5 mmである2mmVノッチシャルピー衝撃
試験片とした。なお、シャルピー衝撃試験片の幅W寸法
は冷延焼鈍板の板厚h(1.5mm 厚)のままとした。
【0029】このようなシャルピー衝撃試験片を用い、
JIS Z 2242に準拠し、−30℃でシャルピー衝撃試験を行
い、吸収エネルギーが50J/cm2 以上の場合を○、それ未
満の場合を×とした。室温での軟質性、高温強度および
靱性を表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】発明鋼(No.1−6)は、いずれも高温強
度に優れ、かつ室温で軟質である。そのうえ、発明鋼
(No.1−6)は、靱性も良好である。比較鋼A、B
は、Mo、Wの単独添加であり、Mo、Wの各含有量が本発
明の範囲を外れ、また比較鋼Cは、Wの含有量とBの含
有量が本発明の範囲を外れ、ラーベス相が多量に析出す
るため、高温強度もあまり向上せず、室温で硬質であ
る。なお、比較鋼A、BおよびCは、靱性も悪い。比較
鋼Dは、Wの含有量と〔Mo〕+〔W〕が本発明の範囲を
外れ、高温強度が不十分である。
【0032】
【発明の効果】以上のごとく本発明によれば、固溶Mo、
Wの効果を最大限に引き出すことが可能となり、最低限
のMo、W添加量で高耐食性を有し、高温強度に優れ、室
温で軟質な鋼とすることができる。その結果、高い高温
強度が要求される用途部材に適用することができ、その
ような部材に室温で成形する際、軟質であるため、金型
の消耗が抑制できる。
【0033】特に、自動車排気部材、例えば、マフラ
ー、コンバーターケース、エキゾーストマニフォール
ド、排気管等に好適に使用できる。また、燃料電池のセ
パレーター、あるいは燃料電池周辺の改質機も高い耐食
性、高い高温強度、室温での軟質さが重要であり本用途
に最適である。また、火力発電システムの排気経路部材
にも自動車エンジン排気部材同様な特性が要求されるた
め、適用可能である。さらに、モール材、および厨房品
あるいは燃料系(即ちガソリンタンクやフィラーパイ
プ)部材等にも好適に使用できる。
【0034】また、これらに限らず、高耐食性、高い高
温強度、室温での軟質さの要求される用途に幅広く活用
でき、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】室温での降伏点とMoまたはW含有量の関係を示
すグラフである。
【図2】900℃での0.2%耐力とMoまたはW含有量
の関係を示すグラフである。
【図3】時効処理後の固溶W量とMoまたはW含有量の関
係を示すグラフである。
【図4】900℃での0.2%耐力に対するMoとWの複
合添加効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C:0.02%以下、 Si:2%以下、 Mn:2%以下、 P:0.06%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.1 %以下、 Ni:1%以下、 Cr:6%を超え40%以下、 N:0.02%以下、 Mo:1.0 %超え3%以下、 W:1.0 %超え5%以下、 〔Mo〕+〔W〕:3.0 %超え8%以下、 B:0.0001%以上0.01%以下を含有し、かつ、(Ti、
    V、Zr)のうちから選ばれる1種または2種以上を、T
    i:1%以下、V:1%以下、Zr:0.5 %以下含有し、
    そのうえ5×(〔C〕+〔N〕)≦〔Ti〕+〔V〕+
    〔Zr〕≦1を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物か
    らなるCr含有鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1において、さらに、質量%でC
    u:1%以下を含有してなるCr含有鋼。
  3. 【請求項3】 請求項1、2において、さらに質量%
    で、 Ca:0.01%以下を含有してなるCr含有鋼。
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