JP2003213244A - 水性粘着剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

水性粘着剤組成物およびその製造方法

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JP2003213244A JP2002019993A JP2002019993A JP2003213244A JP 2003213244 A JP2003213244 A JP 2003213244A JP 2002019993 A JP2002019993 A JP 2002019993A JP 2002019993 A JP2002019993 A JP 2002019993A JP 2003213244 A JP2003213244 A JP 2003213244A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水白化性及び接着力に優れ、高固形分であ
る水性粘着剤組成物及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 カルボキシル基を含有する重合体[A]
と架橋性反応基を含有する重合体[B]とから構成さ
れ、酸価が5〜50であり、平均粒子径が300〜20
00nmである重合体粒子[X]が水性媒体中に分散さ
れてなる水性粘着剤組成物であって、該水性粘着剤組成
物から形成される被膜が、ガラス転移温度が−25℃以
下であり、ゲル分率が25〜80重量%であることを特
徴とする水性粘着剤組成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水白化性に優れ
た水性粘着剤組成物に関する。更に詳しくは、優れた粘
着物性を有し、高固形分濃度であり、且つ粘度が低い水
性粘着剤組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題の点で溶剤型樹脂から水
性樹脂への移行が進んでいるが、粘着剤分野において
も、溶剤型粘着剤を水性粘着剤に置換することが望まれ
ている。そしてこの水性粘着剤の代表的なものとして各
種エチレン性不飽和単量体を重合して得られるエマルジ
ョン型水性粘着剤がある。
【0003】しかし、エマルジョン型水性粘着剤は、水
に接触すると白化し易い、すなわち耐水白化性が低いた
め、溶剤型粘着剤を代替する上で大きな問題となってい
る。特に、従来から透明フィルムラベル用途に使用され
ている溶剤型粘着剤をエマルジョン型水性粘着剤に置換
する場合は、耐水白化性の改良が最大の課題である。
【0004】また、エマルジョン型水性粘着剤は、一般
的に溶剤型粘着剤より粘着物性、特に接着力の点におい
て劣る場合がある。さらに製造時の作業性や輸送コスト
という観点からは、粘着剤が高固形分であることが求め
られ、またラベルやテープ等の粘着製品を得るための塗
工時の塗工方法によっては、粘着剤の粘度が低いことが
求められる場合があるが、これらの要請に必ずしも対応
できていない。
【0005】上記のエマルジョン型水性粘着剤の欠点、
特に耐水白化性を改良するためには、エマルジョン粒子
の粒子径を小さくする方法や、製造時に反応性乳化剤を
使用する方法、乳化剤や親水性成分などを低減する方法
等の手法が提案されている。また、エマルジョン型水性
粘着剤の接着力を発現させるために、粘着付与樹脂の乳
化物、すなわちロジン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂等
の乳化物を併用することが提言されている。
【0006】さらに粘着剤を高固形分とするためには、
エマルジョンの粒子径を大きくする方法が一般的に用い
られている。
【0007】耐水白化性については、上記の方法のう
ち、特に有効な手段として、乳化剤や親水性成分を低減
する方法が挙げられる。しかし、この方法は、エマルジ
ョン粒子の分散安定化に寄与する乳化剤や親水性成分を
少なくするものであり、この場合には、却ってエマルジ
ョン粒子の機械的安定性が悪化し、粘着剤の塗布工程で
凝集物が生成して粘着製品に塗工欠陥が発生したり、凝
集物が塗工機に詰まって塗工できなくなるという問題が
ある。
【0008】また、粘着剤の接着力については、エマル
ジョン型水性粘着剤に上記粘着付与樹脂の乳化物を単に
添加した場合、粘着剤の機械的安定性が悪化し、上記と
同様に粘着製品を得るための塗布工程で問題が発生す
る。
【0009】さらに、粘着剤の高固形分化については、
エマルジョンの粒子を大粒子径化すると、得られる粘着
製品の耐水白化性が悪化することが知られている。
【0010】上記の従来のいずれの方法も、粘着剤の耐
水白化性、接着力及び高固形分化をそれぞれ単独に向上
させることはできるが、これらの全ての性能を同時に満
足させることは困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、特に耐水白化性が要求される分野で使用される場合
においても、耐水白化性及び接着力に優れ、高固形分の
水性粘着剤組成物及びその製造方法を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、水性媒体
中に分散する特定の重合体粒子[X]を含有する水性粘
着剤組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明は、 カルボキシル基を含有
する重合体[A]と架橋性反応基を含有する重合体
[B]とから構成され、酸価が5〜50であり、平均粒
子径が300〜2000nmである重合体粒子[X]が
水性媒体中に分散されてなる水性粘着剤組成物であっ
て、該水性粘着剤組成物から形成される被膜が、ガラス
転移温度が−25℃以下であり、ゲル分率が25〜80
重量%であることを特徴とする水性粘着剤組成物を提供
するものである。
【0014】またカルボキシル基を含有し、酸価が10
〜200であり、重量平均分子量が10,000〜50
0,000である重合体[A]の存在する水性媒体中
で、該重合体[A]のカルボキシル基と反応する官能基
を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)と炭素原子
数が4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)ア
クリレート(b−2)とを必須の単量体成分として乳化
重合することを特徴とする水性粘着剤組成物の製造方法
を提供するものである。
【0015】さらに水性媒体中で連鎖移動剤及び有機過
酸化物系重合開始剤を用いて、カルボキシル基を有する
エチレン性不飽和単量体を必須の単量体成分として重合
させて得られる、酸価が10〜200、重量平均分子量
が10,000〜500,000である重合体[A]の
存在下で、該重合体[A]のカルボキシル基と反応する
官能基を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)と炭
素原子数が4〜12のアルキル基を有するアルキル(メ
タ)アクリレート(b−2)と該単量体(b−1)及び
該単量体(b−2)以外のその他の単量体(b−3)を
単量体成分として、該重合体[A]に対する該成分(b
−1)、該成分(b−2)及び該成分(b−3)の合計
とが重量基準で[A]/[(b−1)+(b−2)+
(b−3)]=1/9〜4/6の割合で、乳化重合する
ことを特徴とする水性粘着剤組成物の製造方法を提供す
るものである。また本発明は、基材と上記の水性粘着剤
組成物の層とから構成されてなる粘着製品を提供するも
のである。
【0016】
【発明の実施の形態】次ぎに、本発明をさらに詳細に説
明する。本発明の水性粘着剤組成物は、カルボキシル基
を含有する重合体[A]と架橋性反応基を含有する重合
体[B]とから構成される重合体粒子[X]が水性媒体
中に分散されてなるものである。
【0017】カルボキシル基を含有する重合体[A]
(以下重合体[A]という)中のカルボキシル基の含有
量は、特に制限を受けるものではないが、酸価として1
0〜200の範囲になる量であることが好ましい。酸価
がかかる範囲にあれば、重合体粒子[X]の水性媒体中
での分散安定性および粘着剤被膜の耐水白化性をバラン
ス良く付与でき、また接着力を向上することができる。
また重合体[A]中のカルボキシル基は、粘着剤の凝集
力を付与する目的で、後記する重合体[B]中の架橋性
反応基との反応基としても利用することができる。
【0018】本発明に使用する重合体[A]は、カルボ
キシル基のほかに、更に後記する重合体[B]中の反応
性官能基と反応性を有する基を含有していることが、好
ましい。この場合、重合体[A]と重合体[B]とが該
反応性官能基によって相互に結合し、凝集力が向上して
粘着剤被膜の耐久性が向上する。
【0019】重合体[A]に導入し得るカルボキシル基
以外の反応性官能基としては、具体的には、例えば、グ
リシジル基、水酸基、アミノ基、メチロールアミド基、
加水分解性シリル基もしくはシラノール基、アジリジニ
ル基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、
オキサゾリン基、アミド基、カルボニル基、アセトアセ
チル基、アリル基、シクロペンテニル基等が挙げられ
る。
【0020】重合体[A]の種類は、特に限定されるも
のではないが、例えば、アクリル系重合体、ブタジエン
系重合体等のエチレン性不飽和単量体のラジカル重合に
よる重合体(以下、エチレン性重合体という)、尿素結
合並びにウレタン結合を有する重合体を含むポリウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。またこれら
種々の重合体の混合物、例えばアクリル系重合体/ポリ
ウレタン樹脂の混合物や、種々の重合体のグラフト化
(ブロック化)物、例えば、不飽和ポリエステル重合体
或いはアルキッド樹脂にアクリル系重合体をグラフト化
した物等も挙げられる。特に、重合体[A]は、上記の
如く、酸価、分子量の調整やカルボキシル基以外の反応
性官能基の導入等を考慮して設計する場合、設計が容易
で後記する方法により簡単に製造することができるとい
う点から、エチレン性重合体であることが好ましい。
【0021】また本発明に使用する重合体[A]の分子
量は、特に制限を受けるものではないが、重量平均分子
量で10,000〜500,000の範囲であること
が、粘着剤の凝集力を保持し、且つ、接着力を大幅に向
上できるため好ましい。ここで、重量平均分子量とは、
重合体[A]を溶媒(テトラヒドロフラン)に溶解し
て、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC
法)で測定することにより行われるポリスチレン換算で
の重量平均分子量をいい、上記の数値は後記する実施例
にて示される条件で測定される数値に基づくものであ
る。
【0022】次に、本発明に使用する架橋性反応基を有
する重合体[B](以下重合体[B]という)について
説明する。重合体[B]中の架橋性反応基としては、特
に制限されないが、重合体[A]中のカルボキシル基と
反応性を有する官能基であることが、好ましい。この場
合架橋性反応基が重合体[A]中のカルボキシル基と反
応し、重合体[A]と重合体[B]とが相互に結合し、
粘着剤の凝集力と接着力のバランスに優れ、且つ被膜の
耐水性を向上させることができる。
【0023】重合体[B]中のカルボキシル基と反応性
を有する官能基としては、例えば、グリシジル基、メチ
ロールアミド基、アジリジニル基、イソシアナート基、
ブロックイソシアナート基、オキサゾリン基等が挙げら
れるが、特に、グリシジル基が、粘着剤の接着力や耐久
性を向上させ、粘着剤被膜の耐水性に優れるため好まし
い。
【0024】また重合体[B]の架橋性反応基が重合体
[B]中で架橋反応することにより、または、重合体
[A]中のカルボキシル基又はカルボキシル基以外のそ
の他の反応性官能基と架橋反応することにより、後記す
る水性粘着剤組成物から形成される被膜のゲル分率を2
5〜80重量%に調整することができる。
【0025】また、重合体[B]には、重合体[A]中
のカルボキシル基以外の反応性官能基と反応性を有し、
カルボキシル基とは反応性を有さない反応性官能基(以
下カルボキシル基と非反応性の官能基という)を導入し
てもよい。かかるカルボキシル基と非反応性の官能基と
しては、例えば水酸基、アミノ基、アミド基、カルボニ
ル基、加水分解性シリル基もしくはシラノール基、アセ
トアセチル基、アリル基、シクロペンテニル基等が挙げ
られる。
【0026】重合体[A]および重合体[B]に存在す
る反応性官能基との組み合わせとしては、例えば、以下
に挙げる組み合わせがそれら相互の反応性に優れる点か
ら好ましい。
【0027】すなわち、1)重合体[A]中のカルボキシ
ル基と、重合体[B]中のグリシジル基、メチロールア
ミド基、アジリジニル基、イソシアナート基、ブロック
イソシアナート基、オキサゾリン基との組み合わせ; 2)重合体[A]中のグリシジル基と、重合体[B]中の
アミノ基、メチロールアミド基、アセトアセチル基、加
水分解性シリル基もしくはシラノール基との組み合わ
せ; 3)重合体[A]中の水酸基と、重合体[B]中のメチロ
ールアミド基、イソシアナート基、ブロックイソシアナ
ート基、加水分解性シリル基もしくはシラノール基との
組み合わせ;
【0028】4)重合体[A]中のアミノ基と、重合体
[B]中のグリシジル基、アセトアセチル基との組み合
わせ; 5)重合体[A]中のメチロールアミド基と、重合体
[B]中のメチロールアミド基、水酸基、グリシジル
基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、ア
ミド基、アセトアセチル基、加水分解性シリル基もしく
はシラノール基との組み合わせ; 6)重合体[A]中の加水分解性シリル基もしくはシラノ
ール基と、重合体[B]中の水酸基、メチロールアミド
基、グリシジル基、加水分解性シリル基もしくはシラノ
ール基との組み合わせ; 7)重合体[A]中のイソシアナート基と、重合体[B]
中の水酸基、メチロールアミド基、グリシジル基、アセ
トアセチル基との組み合わせ; 8)重合体[A]中のアミド基と、重合体[B]中のメチ
ロールアミド基、アセトアセチル基との組み合わせ;
【0029】9)重合体[A]中のアセトアセチル基と、
重合体[B]中のアミノ基、メチロールアミド基、グリ
シジル基、イソシアナート基との組み合わせ; 10)重合体[A]中のシクロペンテニル基と、重合体
[B]中のシクロペンテニル基との組み合わせ; 11)重合体[A]中のアリル基と、重合体[B]層中の
アリル基との組み合わせ;或いは、更にこれら2種以上
の組み合わせが挙げられる。
【0030】上記の組み合わせの中でも、1)重合体
[A]中のカルボキシル基と、重合体[B]中のグリシ
ジル基、メチロールアミド基、アジリジニル基、イソシ
アナート基、ブロックイソシアナート基、オキサゾリン
基との組み合わせ、 及び6)重合体[A]中の加水分解
性シリル基もしくはシラノール基と、重合体[B]中の
水酸基、メチロールアミド基、グリシジル基、加水分解
性シリル基もしくはシラノール基との組み合わせが、得
られる粘着剤被膜の接着力や耐久性等が著しく向上する
ため、特に好ましい。
【0031】重合体[B]は、架橋性反応基が架橋反応
することにより本発明の水性粘着剤組成物に凝集力を付
与する点で、重合体粒子[X]の内部側に存在すること
が好ましい。また、重合体[B]は、本発明の水性粘着
剤組成物の被膜の耐水性や接着力を向上させるために
は、カルボキシル基を含有しないことが、好ましい。
【0032】すなわち上述した接着力や耐水性を向上さ
せるためには、本発明に使用する重合体粒子[X]の重
合体[B]を、重合体[A]よりも内部に存在させるこ
とが好ましく、そのためには、重合体[B]に親水基で
あるカルボキシル基を含有させず、重合体[A]より疎
水性にすることが好ましいのである。
【0033】次ぎに、本発明に使用される上記重合体
[A]と重合体[B]とから構成される重合体粒子
[X]について説明する。
【0034】本発明に使用する重合体粒子[X]の酸価
は、重合体粒子[X]の分散安定性や粘着剤粘着剤被膜
の耐水白化性の点から、5〜50であることが必要であ
る。ここで、酸価とは、重合体[A]または重合体粒子
[X]に含まれるカルボキシル基の量を意味し、重合体
[A]または重合体粒子[X]1g中に含まれる遊離カ
ルボキシル基を中和するために要する水酸化カリウムの
mg数をいい、その数値は後記の実施例にて示される条
件で測定される数値に基づくものである。
【0035】また本発明に使用する重合体粒子[X]の平
均粒子径は、高固形分の水性粘着剤を得るため、300
〜2000nmであることが必要である。平均粒子径が
上記範囲であれば、固形分濃度を高めても、例えば、固
形分濃度を60重量%以上とした場合にも、粘着剤の粘
度が著しく高くならず、低粘度が要求される塗工システ
ム等の場合でも塗工でき、また接着力や基材への投錨性
が維持できる。ここで粒子の平均粒子径とは、エマルジ
ョン粒子の体積基準での50%メジアン径をいい、数値
は後記実施例に記載の動的光散乱法により測定して得ら
れる値に基づくものである。
【0036】本発明に使用する重合体粒子[X]の構造
は、特に限定されるものではないが、例えば次ぎのよう
な構造が挙げられる。すなわち重合体[A]をマトリッ
クスとして重合体[B]が重合体[A]内に1つの塊状
となって、或いは多数に分散して存在するものである。
更に、具体的には、重合体[B]をコア、重合体[A]
をシェルとする「コア−シェル構造」、或いは、重合体
[B]が重合体[A]中に多数に分散し、重合体[A]
が重合体[B]を完全に或いは不完全にカプセル化して
いる構造、或いは、重合体[A]と重合体[B]が多数
の不連続なドメインを形成する相互貫入網目構造などの
不均質な構造、或いは、重合体[A]が水性媒体中に溶
解ないしは非粒子状態で分散しており、重合体[B]が
重合体[A]をマトリックスとして粒子状に分散してい
る構造等である。
【0037】これらの重合体粒子[X]の構造は、当該
技術分野で知られている種々の方法で観察することがで
きるが、染色法を用いた走査透過型電子顕微鏡による観
察が、各重合体間の違いを強調するために適している。
また、クライオミクロトームを用いて作成した粒子の断
面を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察する方法
においても、粒子構造を確認することができる。
【0038】上記の種々の構造のうち、重合体[A]と
重合体[B]とがそれぞれ同芯のいわゆる「コア−シェ
ル構造」、或いは、重合体[B]が重合体[A]中に多
数に分散し、重合体[A]が重合体[B]をカプセル化
している構造が好ましい。また、重合体[A]が重合体
粒子[X]の最外殻部に位置する構造であることが好ま
しい。重合体粒子[X]が、これらの構造を形成するこ
とにより、本発明の水性粘着剤組成物が接着力に優れ、
且つ、粒子の機械的安定性に優れるようになるため、特
に好ましい。
【0039】すなわち重合体[A]が重合体粒子[X]
の最外殻部に存在することにより、乳化剤やその他の親
水性成分を低減したり、一切使用しない場合において
も、粒子の機械的安定は、良好なものとなる。
【0040】重合体[A]と重合体[B]との割合は、
重合体粒子[X]の安定性や水性粘着剤としての粘着物
性のバランスから、固形分重量比で[A]/[B]=1
/9〜4/6であることが好ましい。
【0041】本発明の水性粘着剤組成物は、上記重合体
粒子[X]が水性分散体中に分散されてなるものであ
る。かかる水性媒体としては、特に限定されるものでは
ないが、水のみ、或いは、水と水溶性溶剤の混合溶液が
挙げられる。かかる水溶性溶剤としては、例えば、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチル
セロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等
の極性溶剤が挙げられ、これらの1種または2種以上の
混合物が使用できる。
【0042】上記水溶性溶剤は、重合時の安定性の点か
ら任意に選択することができるが、得られる重合体水性
分散液の引火の危険性、及び安全衛生の面から、その使
用量は極力少なくすることが好ましい。このことから、
水単独で使用することが好ましい。
【0043】次に、本発明の水性粘着剤組成物から形成
される被膜は、ガラス転移温度(以下Tgという)が−
25℃以下であることが必要である。Tgがこの範囲で
あると、粘着剤としての物性、即ち接着力や保持力等の
物性のバランスに優れる。ここで、本発明におけるTg
は後記実施例に記載した測定方法で得られた数値に基づ
くものである。
【0044】また、本発明の水性粘着剤組成物から形成
される被膜のゲル分率は、25〜80重量%の範囲であ
ることが、粘着剤の接着力と耐久性のバランスから必要
である。本発明で使用するゲル分率とは、水性粘着剤組
成物の被膜のトルエンに対する不溶解分の比率を意味す
る。ゲル分率は、後記実施例に記載した測定方法及び式
により求められる数値に基づくものである。
【0045】また、水性粘着剤の固形分濃度は、特に制
限されるものではないが、製造時の作業性や輸送コスト
という点及び粘着剤被膜形成時の乾燥性に優れるという
点から、固形分濃度が55%以上であることが好まし
い。
【0046】本発明の水性粘着剤組成物は、それ自体で
優れた粘着物性を発現するが、必要に応じて、水溶性、
或いは水分散性の架橋剤を添加することができる。
【0047】架橋剤としては、例えば、多官能性メラミ
ン化合物、多官能性エポキシ化合物、多官能性ポリアミ
ン化合物、多官能性ポリエチレンイミン化合物、多官能
性(ブロック)イソシアネート化合物、多官能性ヒドラ
ジン化合物、金属塩化合物等が挙げられ、これらの1種
または2種以上の混合物として使用することができる。
【0048】また、上記架橋剤の他に、水溶性、或いは
水分散性の熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、尿
素樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等を添加すること
ができる。必要に応じて、本発明の所望の効果を阻害し
ない範囲で、更に充填剤、顔料、pH調整剤、被膜形成
助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等を適宜
添加して使用することができる。
【0049】次ぎに、本発明の水性粘着剤組成物の製造
方法について説明する。本発明の水性粘着剤組成物は、
カルボキシル基を含有し、酸価が10〜200であり、
重量平均分子量が10,000〜500,000である
重合体[A]の存在する水性媒体中で、該重合体[A]
のカルボキシル基と反応する官能基を有するエチレン性
不飽和単量体(b−1)と炭素原子数が4〜12のアル
キル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b−
2)とを乳化重合することにより得られる。
【0050】重合体[A]及び重合開始剤の存在する水
性媒体の性状は、特に制限されず、重合体[A]が水性
媒体に完全に溶解している場合や、水性媒体に半可溶化
している場合、或いは水性媒体中に粒子として分散して
いる場合等が挙げられる。上記の如く耐水白化性や接着
力等の諸物性を向上させるためには、重合体[A]の酸
価は10〜200、重量平均分子量を10,000〜5
00,000の範囲とすることが必要である。かかる重
合体[A]を水性媒体中で安定的に存在させるには、重
合体[A]が水性媒体中に粒子状に分散していることが
好ましい。
【0051】本発明においては、水性媒体中に粒子状に
分散する重合体[A]の平均粒子径は、特に制限を受け
るものではないが、後記するエチレン性不飽和単量体の
重合時の安定性や、最終的に得られる水性粘着剤の粒子
径や固形分濃度及び粘度の点から、50〜1000nm
の範囲であることが好ましい。
【0052】本発明に使用する重合体[A]の製造方法
は、使用する重合体の種類によって異なり特に限定する
ものではない。例えば、エチレン性不飽和単量体のフリ
ーラジカル重合により製造する方法や、非フリーラジカ
ル付加重合または重縮合により製造する方法が挙げられ
る。
【0053】これらの中でも、特にエチレン性不飽和単
量体を原料とするフリーラジカル重合により製造する方
法が、重合体[A]のTg、酸価、分子量の調整が容易
であり、また、重合体[A]と重合体[B]との相溶性
が良く、水性媒体中で行うエチレン性不飽和単量体の重
合時の安定性が向上することから好ましい。
【0054】重合体[A]をフリーラジカル重合で製造
する方法としては、特定されるものではないが、カルボ
キシル基含有エチレン性不飽和単量体を必須成分とする
単量体成分を、その性状に応じて、例えば、懸濁重合、
乳化重合、塊状重合、溶液重合等の方法で製造すること
ができる。これらの方法のうち、特に、重合体[A]の
重量平均分子量を10,000から500,000にす
ることが容易である点から、水性媒体中で乳化重合を行
う方法が好ましい。
【0055】また、重合体[A]を水性媒体中で製造し
た場合、重合体[A]を水性媒体中に分散させる工程が
省略でき、重合体[A]の製造工程と単量体成分の重合
工程を連続して行えるので製造工程を簡素化できる点か
らも好ましい。
【0056】本発明に使用する重合体[A]をフリーラ
ジカル重合で製造する際に用いる単量体成分は、カルボ
キシル基含有エチレン性不飽和単量体を必須成分とす
る。かかるカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体
としては、分子内にカルボキシル基とエチレン性不飽和
基を有するものであれば特に限定されず使用することが
できる。かかるエチレン性不飽和単量体としては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル
(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロ
ピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエ
ステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、β−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネー
ト、β−(メタ)ヒドロキシエチルハイドロゲンフタレ
ートおよびこれらの塩等が挙げられ、これらの1種また
は2種以上の混合物を使用することができる。これらの
中でも、特に、単量体成分の重合時の安定性及び耐水白
化性に優れる点で、メタクリル酸を用いることが好まし
い。
【0057】重合体[A]のカルボキシル基は、中和せ
ずにそのまま、重合体[B]を構成するエチレン性不飽
和単量体成分の重合に用いてもよいが、重合時の安定性
の面からカルボキシル基の一部を塩基性物質で中和して
使用する方法が好ましい。その際のカルボキシル基の中
和度は、特に限定されないが、重合時の安定性の点か
ら、塩基性物質の使用量を重合体[A]中の全カルボキ
シル基に対して10モル%以上とすることが好ましい。
【0058】上記の中和剤として使用する塩基性物質と
しては、通常のものが使用できる。例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸
化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化
合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチ
ルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、
ジエチレントリアミン等の水溶性有機アミン類等が挙げ
られる。これらのうち、特に得られる粘着剤被膜の耐水
白化性を低下させないため、常温あるいは加熱により飛
散するアンモニアを使用することが好ましい。
【0059】重合体[A]の単量体成分としては、上記
のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の他、そ
の他のエチレン性不飽和単量体を併用することができ
る。かかるその他のエチレン性不飽和単量体を用いるこ
とにより、重量平均分子量および酸価を上記の好ましい
範囲に調整した重合体を得ることができるので好まし
い。
【0060】ここでいう、その他のエチレン性不飽和単
量体としては、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単
量体と共重合性のあるものであれば特に限定されない。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−
ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノ
ニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレ
ート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)ア
クリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル
類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレ
ート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メ
タ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロ
プロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオ
クチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有エ
チレン性不飽和単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等のビニ
ルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエ
ーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等
のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニ
トリル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、
α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルスチレ
ン等の芳香族環を有するビニル化合物;イソプレン、ク
ロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエ
チレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等が
挙げられる。
【0061】これらのエチレン性不飽和単量体の中で
も、特に重合が容易であり、重合体の分子量の調整が容
易である点から、(メタ)アクリル酸エステル類が好ま
しい。その他のエチレン性不飽和単量体として、これら
の1種または2種以上の混合物を使用することができ
る。
【0062】また、本発明に使用する重合体[A]の単
量体成分中のその他のエチレン性不飽和単量体として、
カルボキシル基以外の官能基であり、後述する重合体
[B]の反応性官能基と反応する官能基を有するエチレ
ン性不飽和単量体を用いることが好ましい。かかる単量
体を上述した単量体と併用することにより、粘着剤塗膜
の耐久性がさらに向上する。
【0063】かかる重合体[B]の反応性官能基と反応
する官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、
特に限定されるものではないが、例えば、グリシジル
(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の
グリシジル基含有重合性単量体;2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレ
ート等の水酸基含有重合性単量体;アミノエチル(メ
タ)アクリレート、N−モノアルキルアミノアルキル
(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアル
キル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有重合性単量
体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソ
プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキ
シメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメ
チル(メタ)アクリルアミド等のメチロールアミド基ま
たはそのアルコキシ化物含有重合性単量体;ビニルトリ
クロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキ
シプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β−(N−
ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン及びその塩酸塩等のシリル基含有重合
性単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレー
ト等のアジリジニル基含有重合性単量体;(メタ)アク
リロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシ
アナートエチルのフェノール或いはメチルエチルケトオ
キシム付加物等のイソシアナート基及び/またはブロッ
ク化イソシアナート基含有重合性単量体;2−イソプロ
ペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾ
リン等のオキサゾリン基含有重合性単量体;(メタ)ア
クリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等のア
ミド基含有重合性単量体;ジシクロペンテニル(メタ)
アクリレート等のシクロペンテニル基含有重合性単量
体;アリル(メタ)アクリレート等のアリル基含有重合
性単量体;アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリル
アミド等のカルボニル基含有重合性単量体;アセトアセ
トキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセチル
基含有重合性単量体等が挙げられる。
【0064】上記の重合体[B]の反応性官能基と反応
する官能基を有するエチレン性不飽和単量体の中でも、
粘着剤被膜の耐久性および耐水性がより向上する点か
ら、特にグリシジル基含有重合性単量体、水酸基含有重
合性単量体、メチロールアミド基含有重合性単量体、シ
リル基含有重合性単量体、アセトアセチル基含有重合性
単量体が好ましく、これらの中でも、シリル基含有重合
性単量体が特に好ましい。このシリル基含有重合性単量
体を使用することにより粘着剤被膜の耐水性等の諸物性
が著しく向上する。重合体[B]の反応性官能基と反応
する官能基を有するエチレン性不飽和単量体として、上
記単量体の1種または2種以上の混合物として使用する
ことができる。
【0065】また、乳化重合時の安定性、エマルジョン
の貯蔵安定性を向上させることを目的として、さらにそ
の他のエチレン性不飽和単量体を用いることができる。
かかるエチレン性不飽和単量体としては、例えばスルホ
ン酸基および/またはサルフェート基(および/または
その塩)、リン酸基および/またはリン酸エステル基
(および/またはその塩)を含有するエチレン性不飽和
単量体を挙げることができる。
【0066】上記のその他のエチレン性不飽和単量体と
しては、具体的には、例えばビニルスルホン酸、スチレ
ンスルホン酸等のビニルスルホン酸類またはその塩、ア
リルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸等のアリ
ル基含有スルホン酸類またはその塩、(メタ)アクリル
酸2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸2−スルホプ
ロピル等の(メタ)アクリレート基含有スルホン酸類ま
たはその塩、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスル
ホン酸等の(メタ)アクリルアミド基含有スルホン酸類
またはその塩が挙げられる。リン酸基を有するエチレン
性不飽和単量体の市販品としては、「アデカリアソープ
PP−70、PPE−710」[旭電化工業(株)製]等
が挙げられる。
【0067】本発明に使用する重合体[A]のカルボキ
シル基含有エチレン性不飽和単量体とその他のエチレン
性不飽和単量体との使用割合は、重量基準で、カルボキ
シル基含有エチレン性不飽和単量体/その他のエチレン
性不飽和単量体=0.5/99.5〜40/60が好ま
しく、1/99〜20/80であることがより好まし
い。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体とその
他のエチレン性不飽和単量体とをかかる範囲で用いるこ
とにより、重合体[A]の酸価を所望の範囲に調整する
ことができる。
【0068】また、重合体[A]の重量平均分子量を1
0,000から500,000の範囲で調整するため、
分子量調整剤として連鎖移動能を有する化合物を用いる
ことが好ましい。かかる化合物としては、例えば、ラウ
リルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメ
ルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリコー
ル酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリ
セリン等のメルカプタン類、またはα−メチルスチレン
・ダイマー等が挙げられる。
【0069】重合体[A]の重合の際に用いる重合開始
剤としては、ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカ
ル重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩類、有機過酸
化物類、過酸化水素等が挙げられる。
【0070】重合体[A]は、これら過酸化物のみを用
いてラジカル重合するか、或いは上記過酸化物に還元剤
を併用したレドックス重合開始剤系によっても、得るこ
とができる。
【0071】またさらに重合開始剤として、4,4’−
アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス
(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤を
使用することもできる。上記の重合開始剤の中でも、特
に、有機過酸化物類又はレドックス重合開始剤系が、得
られる粘着剤被膜の耐水白化性が向上するため、好まし
い。
【0072】有機過酸化物類として、具体的には、例え
ば過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカ
ノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、
t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサ
イド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパー
オキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート
等のパーオキシエステル類、クメンハイドロパーオキサ
イド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド
類等が挙げられる。
【0073】また、上記のレドックス重合開始剤系に使
用する還元剤としては、例えば、アスコルビン酸および
その塩、エリソルビン酸およびその塩、酒石酸およびそ
の塩、クエン酸およびその塩、ホルムアルデヒドスルホ
キシラートの金属塩等が挙げられる。
【0074】水性媒体中で重合体[A]を製造する際
に、粘着剤被膜の耐水性等を低下させない範囲で必要に
応じて、乳化剤やその他の分散安定剤を使用することが
できる。乳化剤としては、陰イオン性乳化剤、陽イオン
性乳化剤、非イオン性乳化剤等が使用できるが、陰イオ
ン性乳化剤、非イオン性乳化剤が好ましい。
【0075】陰イオン性乳化剤としては、例えば、高級
アルコールの硫酸エステル及びその塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
スルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニル
エーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸
塩等が挙げられる。また非イオン性乳化剤としては、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロ
ピレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0076】更に、一般的に「反応性乳化剤」と称され
る重合性不飽和二重結合を分子内に有する乳化剤を使用
することもできる。かかる反応性乳化剤の市販品として
は、例えば、スルホン酸基及びその塩を有する「ラテム
ルS−180」[(花王(株)製)、「エレミノールJS
−2、RS−30」[三洋化成工業(株)製]等;硫酸基
及びその塩を有する「アクアロンHS−10、HS−2
0」[第一工業製薬(株)製]、「アデカリアソープSE
−10、SE−20」[旭電化工業(株)製]等;リン酸
基を有する「ニューフロンティアA−229E」[第一
工業製薬(株)製]等;非イオン性親水基を有する「アク
アロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−5
0」[第一工業製薬(株)製]等が挙げられる。
【0077】また、乳化剤以外のその他の分散安定剤を
使用することができる。かかる分散安定剤としては、例
えば、ポリビニルアルコール、繊維素エーテル、澱粉、
マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹
脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水性
アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリアミド
樹脂、水性ポリウレタン樹脂等の合成或いは天然の水溶
性高分子物質が挙げられる。
【0078】上記乳化剤及び分散安定剤は、得られる粘
着剤被膜の耐水性や接着力等の面からその使用量を極力
少なくすることが好ましく、その使用量は重合体[A]
の固形分に対して、2重量%以下とすることが好まし
い。
【0079】重合体[A]の具体的な製造方法として
は、1)水、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体
を必須の成分とする重合性単量体、重合開始剤、必要に
応じて乳化剤及び分散安定剤を一括混合して重合する方
法や、2)水、エチレン性不飽和単量体、乳化剤を予め混
合したものを滴下する、いわゆるプレエマルジョン法
や、3)モノマー滴下法等の方法が挙げられる。これらの
中でも、特に、重合時の安定性の点から2)プレエマルジ
ョン法、または3)モノマー滴下法で製造することが好ま
しい。
【0080】また、重合の際、親水性溶剤、疎水性溶剤
を加えること、及び公知の添加剤を加えることも可能で
あるが、使用量は得られる粘着剤被膜に悪影響を及ぼさ
ない範囲に抑えることが好ましい。重合体[A]を重合
する際の温度は、使用する単量体の種類、重合開始剤の
種類等によって異なるが、水性媒体中で重合する場合
は、通常30〜90℃の温度範囲で行うことが好まし
い。
【0081】上記の製造方法によりカルボキシル基を含
有し、酸価が10〜200であり、重量平均分子量が1
0,000〜500,000である重合体[A]が分散
している水性分散体を得ることができる。
【0082】本発明の水性粘着剤組成物は、上記重合体
[A]の存在する水性媒体中で、架橋性反応基を有する
エチレン性不飽和単量体(b−1)と炭素原子数が4〜
12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレー
ト(b−2)とを必須の単量体成分として乳化重合する
ことにより、得ることができる。
【0083】また、本発明では、単量体成分(b−1)
及び(b−2)の他に、これらと共重合可能なその他の
エチレン性不飽和単量体(b−3)を併用することもで
きる。架橋性反応基を有するエチレン性不飽和単量体
(b−1)と炭素原子数が4〜12のアルキル基を有す
るアルキル(メタ)アクリレート(b−2)及びその他
のエチレン性不飽和単量体(b−3)は、得られる粘着
剤被膜の接着力、保持力、耐久性や耐水白化性のバラン
スから、重量基準で、重合体[A]の固形分重量/[単
量体(b−1)+単量体(b−2)+単量体(b−
3)]=1/9〜4/6とすることが好ましい。
【0084】架橋性反応基を有するエチレン性不飽和単
量体(b−1)としては、例えば、グリシジル(メタ)
アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジ
ル基含有重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸
基含有重合性単量体;アミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N−モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アク
リレート等のアミノ基含有重合性単量体;N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)
アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アク
リルアミド等のメチロールアミド基またはそのアルコキ
シ化物含有重合性単量体;ビニルトリクロロシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−
(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
及びその塩酸塩等のシリル基含有重合性単量体;2−ア
ジリジニルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニ
ル基含有重合性単量体;(メタ)アクリロイルイソシア
ナート、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチルの
フェノール或いはメチルエチルケトオキシム付加物等の
イソシアナート基及び/またはブロック化イソシアナー
ト基含有重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキ
サゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾ
リン基含有重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N
−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジア
ルキル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有重合性
単量体;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の
シクロペンテニル基含有重合性単量体;アリルメタクリ
レート等のアリル基含有重合性単量体;アクロレイン、
ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含
有重合性単量体;アセトアセトキシエチル(メタ)アク
リレート等のアセトアセチル基含有重合性単量体等が挙
げられ、これら単量体の1種または2種以上の混合物と
して使用することができる。
【0085】これらの中でも、特に、架橋性反応基とし
てカルボキシル基と反応する官能基を有するエチレン性
不飽和単量体を使用すると、得られる重合体[B]が重
合体[A]のカルボキシル基と反応して架橋構造を形成
することにより、粘着剤の接着力、保持力、耐久性、耐
水性等の諸物性が向上するため、好ましい。
【0086】カルボキシル基と反応する官能基を有する
エチレン性不飽和単量体としては、例えば、前述した単
量体の中で、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル
グリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量
体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソ
プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキ
シメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメ
チル(メタ)アクリルアミド等のメチロールアミド基及
びそのアルコキシ化物含有重合性単量体;2−アジリジ
ニルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニル基含
有重合性単量体;(メタ)アクリロイルイソシアナー
ト、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチルのフェ
ノール或いはメチルエチルケトオキシム付加物等のイソ
シアナート基及び/またはブロック化イソシアナート基
含有重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾ
リン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン
基含有重合性単量体等を挙げることができる。これらの
中でも重合体[A]中のカルボキシル基との反応性に優
れ、耐水性等の諸物性を著しく向上させる点から、特に
グリシジル基含有重合性単量体、メチロールアミド基お
よびそのアルコキシ化物含有重合性単量体を使用するこ
とが好ましい。これらの1種または2種以上の混合物を
使用することができる。
【0087】本発明の水性粘着剤組成物では、粘着剤と
しての物性、即ち接着力や保持力等の物性のバランスを
良好なものとするためには、粘着剤のTgを−25℃以
下となるように調整する必要があるが、本発明の製造方
法において、炭素原子数が4〜12のアルキル基を有す
るアルキル(メタ)アクリレート(b−2)を使用する
ことにより、上記課題を達成することができる。
【0088】炭素原子数が4〜12のアルキル基を有す
るアルキル(メタ)アクリレート(b−2)としては、
例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル
(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−
ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アク
リレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート等を挙げ
ることができ、これらの1種または2種以上の混合物を
使用することができる。これらのうち、炭素原子数4〜
9のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
が、重合性が良好であり好ましい。
【0089】また、さらにその他のエチレン性不飽和単
量体(b−3)としては、例えば、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニ
ル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)
アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジ
ル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステ
ル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリ
レート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メ
タ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロ
プロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオ
クチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有エ
チレン性不飽和単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等のビニ
ルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエ
ーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等
のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニ
トリル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、
α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルスチレ
ン等の芳香族環を有するビニル化合物;イソプレン、ク
ロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエ
チレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等が
挙げられる。
【0090】更に、必要に応じてその他のエチレン性不
飽和単量体として、重合体[B]の分子量を増大させる
ことを目的に、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上持
つ多官能性エチレン性不飽和単量体(b−4)を併用す
ることもできる。
【0091】かかる多官能性エチレン性不飽和単量体
(b−4)としては、例えば、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、
アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】本発明の水性粘着剤組成物の製造方法にお
いて、重合体[A]の存在下に、水性媒体中で重合体
[B]を構成するエチレン性不飽和単量体成分を重合す
るには、その際に新たに乳化剤を追加することなく乳化
重合する方法が好ましい。この方法で行うと、形成され
る重合体[B]が、重合体[A]中に取り込まれ易くな
り、重合体粒子[X]中に重合体[A]と重合体[B]
を含有する粒子構造となり易く、重合体[A]が粒子の
最外殻部に存在する望ましい重合体粒子[X]が容易に
得られる。
【0093】重合体[A]の存在下に、水性媒体中で重
合体[B]を構成するエチレン性不飽和単量体成分を乳
化重合する方法としては、特に制限されるものではない
が、例えば、 方法1.重合体[A]の存在する水性媒体中に、単量体
成分(b)及び重合開始剤を一括混合して重合する方
法、 方法2.水性媒体中に、水、単量体成分(b)、重合体
[A]を予め混合したものと、重合開始剤を滴下するい
わゆるプレエマルジョン法、 方法3.重合体[A]の存在する水性媒体中に単量体成
分(b)と、重合開始剤を滴下するモノマー滴下法、或
いは、 方法4.重合体[A]の存在下、単量体成分(b)を添
加して重合体[A]を単量体成分(b)で膨潤させた後
に重合開始剤を添加して重合する方法、等が挙げられ
る。
【0094】上記の重合方法の中でも、乳化剤またはそ
の他の分散安定剤を全く使用せずに実施できる点、更に
重合時の安定性の点から、方法3のモノマー滴下法で行
うことが好ましい。
【0095】上記方法3の具体的な方法としては、例え
ば、滴下漏斗の付いた撹拌式反応器に、水性媒体、重合
開始剤、重合体[A]を入れ、次いで、重合温度まで反
応器の温度を上げ、滴下漏斗より単量体成分を滴下する
方法が挙げられる。この際、反応器内は、開放系であっ
てもよいが、窒素等の不活性ガスで置換されていること
が好ましい。また、重合温度は、使用する単量体の種
類、重合開始剤の種類等によって異なるが、通常は30
〜90℃の温度範囲が適当であり、より好ましくは40
℃〜85℃の範囲である。単量体成分の滴下速度は、重
合体[A]と単量体成分との比率、及び得られる重合体
水性分散液の固形分濃度により適宜調節することが好ま
しく、特に制限されない。
【0096】また、上記乳化重合の際、本発明の効果を
損なわない範囲で親水性溶剤、疎水性溶剤及び公知の添
加剤を加えることも可能である。
【0097】上記乳化重合の際に用いる重合開始剤とし
ては、上記の重合開始剤をそのまま使用することができ
る。これらのうち、粘着剤被膜の耐水白化性を向上させ
るためには、有機過酸化物系重合開始剤又はこれと還元
剤とを併用したレドックス重合開始剤系が好ましい。こ
のような有機過酸化物系重合開始剤及びレドックス重合
開始剤系としては上記した化合物を使用することができ
る。また、重合体[B]の分子量を調整する必要がある
場合は、重合の際に、分子量調整剤として連鎖移動能を
有する化合物を用いることができる。
【0098】また、本発明の水性粘着剤組成物には、必
要に応じて本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、充
填剤、顔料、pH調整剤、皮膜形成助剤、レベリング
剤、増粘剤、撥水剤、粘着付与剤、消泡剤等公知のもの
を適宜添加して使用することができる。本発明の水性粘
着剤組成物は、高固形分で低粘度であり、種々の粘着製
品、特に耐水白化性の要求される製品に応用することが
できる。また低粘度であるため、粘着剤組成物を製造す
る時の作業性や輸送コストが低価格化することもでき
る。
【0099】次ぎに本発明の粘着製品について説明す
る。本発明の粘着製品は、基材と上記の水性粘着剤組成
物の層とから構成されている。かかる基材としては、
紙、プラスチックフィルム、不織布等が挙げられる。特
に、本発明の水性粘着剤組成物は耐水白化性に優れるた
め、透明基材を用いた粘着製品の製造に好適に用いるこ
とができる。透明基材としては具体的には、セロハン、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアセテート、ポリカーボネート、アクリル樹脂
等のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0100】本発明の水性粘着剤組成物を用いて粘着剤
組成物の層を形成する方法としては、上記基材の上に、
該水性粘着剤組成物を直接塗工して乾燥させる直接法、
シリコーン等で離型処理された紙、またはプラスチック
フィルム等の離型材の上に、該水性粘着材組成物を塗工
して乾燥させ、粘着剤層を形成させた後、該粘着剤層の
上に基材を重ねて加圧し、該基材上に粘着剤層を転写す
る転写法が挙げられる。塗工方法としては、塗工機とし
てロールコーター、コンマコーター、リップコーター、
ファウンテンダイコーター、グラビアコーター等を使用
する方法が挙げられる。
【0101】水性粘着剤組成物は、一般に固形分濃度が
50〜70重量%、粘度が10〜10,000mPa・
s(BM型粘度計、60回転、25℃)、pHが6〜9
程度である。上記の直接法で塗工する場合には、塗工方
法の種類にもよるが、一般的により高速に塗工するため
には低粘度であることが求められることが多い。また転
写法で塗工する場合には、粘度が300〜10,000
mPa・s(同上)のものが好ましい。
【0102】本発明の粘着製品は、接着力と耐水白化性
に優れるので、粘着ラベル、粘着テープ、特殊粘着シー
ト等に好適である。
【0103】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例により、一
層、具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例
に限定されるものではない。以下において、特に断らな
い限り、「%」は重量%、「部」は重量部をそれぞれ示
すものとする。
【0104】本発明で用いた評価方法について以下に述
べる。 [酸価の測定方法]ガラス板上に3milアプリケータ
ーで後記実施例で得られた水性粘着剤組成物を塗工し、
常温で1時間乾燥して半乾きの粘着剤被膜(試料)を作
成後、得られた粘着剤被膜をガラス板から剥がし、この
粘着剤被膜1gを精秤してテトラヒドロフラン(TH
F)100gに溶解したものを測定試料とした。測定方
法は、水酸化カリウム水溶液による中和滴定法で行っ
た。なお、テトラヒドロフランに溶解しなかった試料に
ついては、本方法での測定が不可能であるので、水性粘
着剤組成物製造時に使用したカルボキシル基含有単量体
の仕込量から求めた計算値を酸価として求めた。
【0105】[重量平均分子量の測定方法]測定装置と
して東洋曹達(株)製の高速液体クロマトグラフHLC−
8120GPC型を用い、カラムは東洋曹達(株)製パッ
クドカラムを使用した。標準試料として昭和電工(株)製
及び東洋曹達(株)製の標準ポリスチレンを用いて検量線
を作成した。溶離液、及び後記実施例で得られた水性粘
着剤組成物の溶解液としてテトラヒドロフラン(TH
F)を用い、RI検出器を用いて重量平均分子量を測定
した。
【0106】[平均粒子径の測定方法]日機装(株)製マ
イクロトラックUPA型粒度分布測定装置にて測定した
平均粒子径(体積基準での50%メジアン径)の値を求
めた。
【0107】[機械的安定性の測定方法]後記実施例で
得られた水性粘着剤組成物を試料として、テスター産業
(株)製マーロン型機械的安定性試験器にて測定した。
試料50gを試験用容器に秤取し、10Kg/cm2の
圧力下、回転数1000回転で10分間回転した後、凝
集物の発生量を測定した。あらかじめ、上記試料50g
に含まれる固形分の重量(M1)を算出しておき、機械
的安定性試験を上記条件で実施した後、凝集物を300
メッシュ金網で濾過して集め、110℃で1時間乾燥し
た後の残さの重量(M2)を測定し、以下の式に従って
凝集物の発生率を求めた。 凝集物発生率(重量%)=M2/M1×100
【0108】[Tgの測定方法]後記実施例で得られた
水性粘着剤組成物を乾燥後の膜厚が0.3mmとなるよ
うにガラス板に塗工し、25℃で24時間乾燥した後、
ガラス板から剥離し、更に100℃で5分間乾燥したも
のを試料とし、直径5mm、深さ2mmのアルミニウム
製円筒型セルに試料約10mgを秤取し、TAインスツ
ルメント社製のDSC−2920モジュレイテッド型示
差走査型熱量計を用い、窒素雰囲気下で−150℃から
昇温速度20℃/分で100℃まで昇温した時の吸熱曲
線を測定して求めた。
【0109】[ゲル分率の測定方法]ガラス板上に乾燥
後の膜厚が0.3mmとなるように後記実施例で得られ
た水性粘着剤組成物を塗工し、25℃で24時間乾燥し
た後、ガラス板から剥離し、更に100℃で5分間乾燥
したものを50mm角に切り取り、これを試料とした。
次に、予め上記試料のトルエン浸漬前の重量(G1)を
測定しておき、トルエン溶液中に常温で24時間浸漬し
た後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で
濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した
後の残さの重量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲ
ル分率を求めた。 ゲル分率(重量%)=G2/G1×100
【0110】[耐水白化性試験の測定方法]厚さ25μ
mのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、乾
燥後における膜厚が25μmとなるように後記実施例で
得られた水性粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間
乾燥して粘着シートを作成し試料とした。粘着剤塗工面
が暴露される様に30℃の水中に試料を24時間浸漬
し、水浸漬前と水浸漬後の試料の濁度を濁度計で測定
し、その濁度の変化度合いをW値として求め、耐水白化
性を評価した。
【0111】濁度計;日本電飾工業(株)製濁度計ND
H−300A 測定光源;ハロゲンランプ 受光素子;JIS K7105に準拠するシリコンフォ
トセル 濁度および水浸漬前後の濁度の変化度合いは下記の式に
従って求めた。 濁度 H=DF/TL×100 TL;全透過率(%) DF;拡散透過率(%)
【0112】 H1;水浸漬後の濁度 ○;濁度の変化度合いW値が5未満 △;濁度の変化度合いW値が5以上で且つ30未満 ×;濁度の変化度合いW値が30以上
【0113】[接着力の測定方法]厚さ25μmのポリ
エチレンテレフタレートフィルムの表面に、乾燥後にお
ける膜厚が25μmとなるように後記実施例で得られた
水性粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間乾燥して
粘着シートを作成した。粘着シートおよび被着体として
ステンレス板を用い、JIS Z−0237に準じて2
3℃、50%RHの雰囲気下で180度剥離強度を測定
し、接着力とした。
【0114】[保持力の測定]接着力測定時と同様にし
て粘着シートを作成し、ステンレス板に接着面積が25
mm×25mmとなるように粘着シートを貼付け、40
℃にて1Kgの荷重をかけて剥がれ落ちるまでの時間を
測定し、その保持時間を保持力とした。また、300分
後にも保持されていた場合には、保持時間を300分以
上とし、初期貼付け位置からのずれ幅を測定し、併記し
た。
【0115】[タック]接着力測定時と同様にして粘着
シートを作成し、JIS Z−0237の球転法に準じ
て23℃、50%RHの雰囲気下で測定した。
【0116】《実施例1》 重合体[A]の製造方法 撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を
備えた反応容器に脱イオン水135部を入れ、窒素を吹
き込みながら75℃まで昇温した。撹拌下、過硫酸カリ
ウム0.02部を添加し、続いて2−エチルヘキシルア
クリレート80部、メチルメタクリレート10部、メタ
クリル酸10部、ラウリルメルカプタン1部からなる単
量体混合物に、ラテムルE−118B[花王(株)製:有
効成分25%]1.6部と脱イオン水20部を加えて乳
化させたモノマープレエマルジョン(前記単量体混合物
と乳化剤と水でモノマーを乳化状態にしたものを云う)
の一部(3部)を添加し、反応容器内温度を75℃に保
ちながら60分間で重合させた。引き続き、反応容器内
温度を75℃に保ちながら、残りのモノマープレエマル
ジョン(119.6部)と、t−ブチルハイドロパーオ
キサイドの水溶液(有効成分1%)30部、L−アスコ
ルビン酸の水溶液(有効成分0.5%)30部を、各々
別の滴下漏斗を使用して、反応容器内温度を75℃に保
ちながら120分間かけて滴下して重合せしめた。
【0117】滴下終了後、同温度にて120分間撹拌
し、後述する方法により酸価、重量平均分子量、平均粒
子径を測定するために試料を採取した。その後、反応容
器内温度を75℃に保ちながら、アンモニア水(有効成
分10%)5部を10分間かけて滴下し、重合体中のカ
ルボキシル基を中和した。上記の試料から、この重合体
水性分散液に含まれる重合体の酸価、重量平均分子量、
ゲル分率、粒子径を測定すると、酸価65、重量平均分
子量43,000、平均粒子径(体積基準での50%メ
ジアン径、以下同様)は260nmであった。
【0118】重合体[B]の製造方法 重合体[A]の製造に引き続き、反応容器内温度を75
℃に保ちながら、2−エチルヘキシルアクリレート28
0部、メチルメタクレート18部、グリシジルメタクリ
レート2部からなる単量体混合物と、t−ブチルハイド
ロパーオキサイドの水溶液(有効成分1%)30部、ア
スコルビン酸水溶液(有効成分0.5%)30部を、各
々別の滴下漏斗を使用して、反応容器内温度を75℃に
保ちながら180分間かけて滴下して重合せしめた。滴
下終了後、同温度にて120分間撹拌し、内容物を冷却
し、pHが8.0になるようにアンモニア水(有効成分
10%)で調整した。ここで得られた重合体粒子[X]
の水性分散液は、固形分濃度60.5%、粘度230m
Pa・s、平均粒子径770nmであり、カルボキシル
基含有単量体の仕込量から求めた酸価が16.3、機械
的安定性(マーロン試験での凝集物発生率)は0.03
%であった。
【0119】水性粘着剤組成物の製造方法 上記の重合体粒子[X]の水性分散液に、レベリング剤
としてサーフィノール420(エアー・プロダクツ・ジ
ャパン(株)製:有効成分100%)1.2部を添加し
た後、100メッシュ金網で濾過し、本発明の水性粘着
剤組成物を得た。この本発明の水性粘着剤組成物を用い
て得た被膜のガラス転移温度(実測Tg)、ゲル分率
(トルエン不溶解分率)および粘着シートの耐水白化
性、接着力、保持力、タックの評価結果を第1表に示し
た。
【0120】《実施例2》及び《実施例3》 単量体混合物として第1表に示したものを用いた以外
は、実施例1と全く同様にして本発明の水性粘着剤組成
物を得た。この水性粘着剤組成物に含まれる重合体
[A]の酸価、重量平均分子量、平均粒子径(50%メ
ジアン径)、および重合体水性分散液の重合体粒子
[X]の平均粒子径(50%メジアン径)、固形分濃
度、粘度、酸価、機械的安定性(マーロン試験での凝集
物発生率)は第1表に記載した通りであった。また、こ
の水性粘着剤組成物から得られた被膜のガラス転移温度
(実測Tg)、ゲル分率(トルエン不溶解分率)および
粘着シートの耐水白化性、接着力、保持力、タックの評
価結果を第1表に記載した通りであった。
【0121】《比較例1》及び《比較例2》 単量体混合物として第1表に示したものを用いた以外
は、実施例1と全く同様にして水性粘着剤組成物を得
た。この水性粘着剤組成物中に含まれる重合体[A]の
酸価、重量平均分子量、ゲル分率、粒子径、および重合
体水性分散液の粒子径、固形分濃度、粘度、酸価、機械
的安定性(マーロン試験での凝集物発生率)は第1表に
記載した通りであった。また、この水性粘着剤組成物か
ら得られた被膜のガラス転移温度(実測Tg)、ゲル分
率(トルエン不溶解分率)および粘着シートの耐水白化
性、接着力、保持力、タックの評価結果を第1表に記載
した通りであった。
【0122】《比較例3》撹拌機、還流冷却管、窒素導
入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水
200部を入れ、窒素を吹き込みながら75℃まで昇温
した。撹拌下、ラテムルE−118B[花王(株)製:
有効成分25%]3.2部、過硫酸カリウム0.02部
を添加し、続いて2−エチルヘキシルアクリレート36
0部、メチルメタクリレート28部、メタクリル酸10
部、グリシジルメタクリレート2部、ラウリルメルカプ
タン1部からなる単量体混合物に、ラテムルE−118
B[花王(株)製:有効成分25%]32部と脱イオン
水80部を加えて乳化させたモノマープレエマルジョン
の一部(4部)を添加し、反応容器内温度を75℃に保
ちながら60分間で重合させた。引き続き、反応容器内
温度を75℃に保ちながら、残りのモノマープレエマル
ジョン(508部)と、t−ブチルハイドロパーオキサ
イドの水溶液(有効成分1%)60部、アスコルビン酸
水溶液(有効成分0.5%)60部を、各々別の滴下漏
斗を使用して、反応容器内温度を75℃に保ちながら2
40分間かけて滴下して重合せしめた。滴下終了後、同
温度にて120分間撹拌し、内容物を冷却し、酸価、重
量平均分子量、粒子径を測定するために試料を採取し
た。その後、pHが8.0になるようにアンモニア水
(有効成分10%)で調整し、固形分濃度、粘度、機械
的安定性(マーロン試験での凝集物発生率)を測定した
後、レベリング剤としてサーフィノール420[エアー
・プロダクツ・ジャパン(株)製:有効成分100%]
1.2部を添加し、100メッシュ金網で濾過して水性
粘着剤組成物を得た。
【0123】この水性粘着剤組成物に含まれる重合体粒
子[X]の平均粒子径(50%メジアン径)、固形分濃
度、粘度、機械的安定性(マーロン試験での凝集物発生
率)は第1表に記載した通りであった。また、この水性
粘着剤組成物から得られた被膜のガラス転移温度(実測
Tg)、ゲル分率(トルエン不溶解分率)および粘着シ
ートの耐水白化性、接着力、保持力、タックの評価結果
を第1表に記載した通りであった。
【0124】
【表1】 第1表中の略号の正式名称を下記に示す。 2−EHA ;2−エチルヘキシルアクリレート MMA ;メチルメタクリレート CHMA ;シクロヘキシルメタクリレート MAA ;メタクリル酸 GMA ;グリシジルメタクリレート MAPTMS;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン
【発明の効果】本発明の水性粘着剤組成物は、高固形分
濃度で低粘度であるため、高速な塗工方法にも対応する
ことができ、作業性及び輸送性等に優れ、また接着力に
優れる。本発明の水性粘着剤組成物の製造方法は、かか
る水性粘着剤組成物を効率よく製造することができる。
本発明の粘着製品は、耐水白化性及び接着力に優れ、粘
着ラベル、粘着テープ、特殊粘着シート等として好適で
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月21日(2002.2.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉木 淑文 大阪府富田林市藤沢台2−2−379 Fターム(参考) 4J040 CA021 DF031 DF032 DF101 DF102 DJ001 DJ002 DL001 ED001 EF001 GA01 GA05 GA07 GA11 GA13 GA20 GA31 JA03 JB02 KA38 LA01 LA07 MA09 MA10

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を含有する重合体[A]
    と架橋性反応基を含有する重合体[B]とから構成さ
    れ、酸価が5〜50であり、平均粒子径が300〜20
    00nmである重合体粒子[X]が水性媒体中に分散さ
    れてなる水性粘着剤組成物であって、該水性粘着剤組成
    物から形成される被膜が、ガラス転移温度が−25℃以
    下であり、ゲル分率が25〜80重量%であることを特
    徴とする水性粘着剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記重合体[A]が、酸価が10〜20
    0であり、重量平均分子量が10,000〜500,0
    00である請求項1記載の水性粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記重合体[B]が、カルボキシル基を
    含有しない重合体である請求項1記載の水性粘着剤組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記重合体[B]の架橋性反応基が、カ
    ルボキシル基と反応する官能基である請求項1記載の水
    性粘着剤組成物。
  5. 【請求項5】 前記重合体[A]と重合体[B]の重量
    割合が、固形分比で[A]/[B]=1/9〜4/6で
    ある請求項1記載の水性粘着剤組成物。
  6. 【請求項6】 前記重合体[A]が、酸価が10〜20
    0、重量平均分子量が10,000〜500,000で
    あり、前記重合体[B]が、カルボキシル基を含有しな
    い重合体であり、重合体[A]と重合体[B]との重量
    割合が、固形分比で[A]/[B]=1/9〜4/6で
    ある請求項1記載の水性粘着剤組成物。
  7. 【請求項7】 前記重合体[A]が、酸価が10〜20
    0、重量平均分子量が10,000〜500,000で
    あり、前記重合体[B]が、カルボキシル基を含有せ
    ず、該重合体[A]と該重合体[B]との重量割合が、
    固形分比で[A]/[B]=1/9〜4/6である請求
    項1記載の水性粘着剤組成物。
  8. 【請求項8】 カルボキシル基を含有し、酸価が10〜
    200であり、重量平均分子量が10,000〜50
    0,000である重合体[A]の存在する水性媒体中
    で、架橋性反応基を有するエチレン性不飽和単量体(b
    −1)と炭素原子数が4〜12のアルキル基を有するア
    ルキル(メタ)アクリレート(b−2)とを必須の単量
    体成分として乳化重合することを特徴とする水性粘着剤
    組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記重合体[A]が粒子状であり、平均
    粒子径が50〜1000nmである請求項8記載の水性
    粘着剤組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記重合体[A]が、水性媒体中で連
    鎖移動剤を用いて、カルボキシル基を有するエチレン性
    不飽和単量体を必須の単量体成分として重合させて得ら
    れるものである請求項8記載の水性粘着剤組成物の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記重合体[A]が、水性媒体中で連
    鎖移動剤及び有機過酸化物系重合開始剤を用いて、カル
    ボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を必須の単
    量体成分として重合させて得られるものである請求項8
    記載の水性粘着剤組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記エチレン性不飽和単量体(b−
    1)及び前記アルキル(メタ)アクリレート(b−2)
    以外のその他のエチレン性不飽和単量体(b−3)を用
    い、前記重合体[A]に対する前記エチレン性不飽和単
    量体成分の合計量との割合が、重量基準で[A]/
    [(b−1)+(b−2)+(b−3)]=1/9〜4
    /6である請求項8記載の水性粘着剤の製造方法。
  13. 【請求項13】 水性媒体中で連鎖移動剤及び有機過酸
    化物系重合開始剤を用いて、カルボキシル基を有するエ
    チレン性不飽和単量体を必須の単量体成分として重合さ
    せて得られる、酸価が10〜200、重量平均分子量が
    10,000〜500,000である重合体[A]の存
    在下で、該重合体[A]のカルボキシル基と反応する官
    能基を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)と炭素
    原子数が4〜12のアルキル基を有するアルキル(メ
    タ)アクリレート(b−2)と該単量体(b−1)及び
    該単量体(b−2)以外のその他の単量体(b−3)を
    単量体成分として、該重合体[A]に対する該成分(b
    −1)、該成分(b−2)及び該成分(b−3)の合計
    とが重量基準で[A]/[(b−1)+(b−2)+
    (b−3)]=1/9〜4/6の割合で、乳化重合する
    ことを特徴とする水性粘着剤組成物の製造方法。
  14. 【請求項14】 基材と請求項1〜7のいずれか1項に
    記載の水性粘着剤組成物の層とから構成されてなる粘着
    製品。
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