JP2003212089A - ウエビング巻取装置 - Google Patents

ウエビング巻取装置

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JP2003212089A JP2002292530A JP2002292530A JP2003212089A JP 2003212089 A JP2003212089 A JP 2003212089A JP 2002292530 A JP2002292530 A JP 2002292530A JP 2002292530 A JP2002292530 A JP 2002292530A JP 2003212089 A JP2003212089 A JP 2003212089A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転部材の回転力を巻取軸に伝達するクラッ
チの滑りを防止または抑止でき、初期拘束性能が向上す
るウエビング巻取装置を得る。 【解決手段】 ウエビング巻取装置10では、通常プリ
テンショナ機構30のピニオン34とスプール14と一
体のスリーブ22とが軸方向に離間しており、スプール
14の回転によるウエビング16の巻取り引出しが自由
とされる。車両急減速時にプリテンショナ機構30が作
動すると、ピニオン34の回転力の一部がテーパ部38
Aと係合孔48との係合によって軸方向の移動力に変換
され、ピニオン34と一体のギヤ部36とスリーブ22
に形成されたキー溝部52とが直接噛合う。このため、
プリテンショナ機構30作動初期においてもピニオン3
4とスプール14との間で滑りがなく、初期拘束性能が
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウエビング巻取装
置に係り、特に、車両急減速時にウエビングを乗員拘束
方向へ緊張させるプリテンショナ機構を備えたウエビン
グ巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ウエビング巻取装置では、フレームに軸
支された巻取軸に乗員拘束用のウエビングが層状に巻装
されており、巻取軸が一方向へ回転するとウエビングが
巻き取られ、巻取軸が他方向へ回転するとウエビングが
引出されるようになっている。この巻取軸は、ぜんまい
ばねによってウエビングの巻取方向に弱く付勢されてお
り、乗員の姿勢変化等に追従しつつ乗員に不快な拘束感
を与えないようになっている。
【0003】また、このようなウエビング巻取装置にお
いては、衝突等の車両急減速時における慣性力による乗
員の移動量を制限するために、車両急減速時にウエビン
グを乗員拘束方向へ緊張させる(ウエビングを強制的に
巻取る)プリテンショナ機構を備えたものがある。
【0004】プリテンショナ機構としては、例えば、ラ
ック・ピニオン式のものが知られている。具体的には、
巻取軸に連結され該巻取軸と一体回転するピニオンと、
該ピニオンに噛合い可能なラックと、該ラックと一体に
形成されたピストンと、ピニオン近傍のフレームに固定
されると共にピストンが軸方向の移動可能に挿入された
シリンダと、を備え、車両急減速時にシリンダに供給さ
れるガスのガス圧によってピストンを駆動し、このピス
トンの移動に伴ってラックがピニオンに噛合いつつ巻取
軸をウエビング巻取方向へ回転させる構成である。
【0005】ところで、上記のようなプリテンショナ機
構を備えたウエビング巻取装置では、通常時に巻取軸の
回転、すなわち、ウエビング巻取方向及びウエビング引
出方向の双方の回転を妨げないように、ラックをピニオ
ンに干渉しない位置に配置している。
【0006】しかしながら、このような従来のウエビン
グ巻取装置では、ラックがピニオンに噛合う際に大きな
荷重がラック及びピニオンに作用するため、ラックの先
頭側の歯やピニオンの歯の歯厚を増す必要があり、ラッ
ク及びピニオンの設計の自由度が低下すると共に加工性
が悪化する原因となる。また、ピニオンが巻取軸と一体
に回転するため、プリテンショナ機構の作動後、エネル
ギ吸収のために再度ウエビングの引出を許容する場合
に、ピストンをシリンダ内で押し戻す力がラック及びピ
ニオンを介して巻取軸に作用し、適正なエネルギ吸収を
阻害する原因ともなる。
【0007】この対策として、ピニオンと巻取軸との間
にローラタイプやスプラグタイプの一方向クラッチを設
けた構成も知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなクラッチの概要について図10に基づいて説
明する。
【0008】この図に示されるクラッチ100は、巻取
軸102の外周面に全周に亘って対向する内周面を有す
るクラッチ部104を備えており、クラッチ部104は
上記ピニオンと一体に回転するようになっている。クラ
ッチ部の内周面には3つの凹部106が形成されてお
り、各凹部106にはローラ108が配設されている。
クラッチ100は、通常、ローラ108が凹部106と
巻取軸102の外周面との間の幅広部に位置することで
切り離され、巻取軸102はウエビングの巻取り引出し
の各方向に回転自在とされている。
【0009】一方、クラッチ100は、ピニオン(すな
わち、クラッチ部104)が矢印Eで示されるウエビン
グ巻取方向に回転されると、ローラ108が凹部106
と巻取軸102の外周面との間の幅狭部に挟み込まれ
(噛み込まれ)、ピニオンの回転を巻取軸102に伝達
可能に結合するようになっている。また、プリテンショ
ナ機構の作動終了後、巻取軸102がウエビング引出方
向(矢印Eとは反対方向)に回転すると、ローラ108
が凹部106と巻取軸102の外周面との間の幅広部に
移動して、巻取軸102はピニオンと再度切り離され
る。
【0010】これにより、上記クラッチ100を備えた
プリテンショナ装置では、通常は巻取装置によるウエビ
ングの巻取り引出しを自由に維持しつつ、車両急減速時
には巻取軸をウエビング巻取方向に強制的に回転駆動す
ることができる。このため、ピニオンとラックとを予め
噛合わせておくことができ、ラック及びピニオンに作用
する荷重が緩和される。また、プリテンショナ機構の作
動後、エネルギ吸収のために再度ウエビングの引出を許
容する場合に、適正なエネルギ吸収が阻害されることも
ない。
【0011】
【特許文献1】特公平2-20743号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな一方向クラッチを備えた構成では、巻取軸と回転体
とが互いの間における同一平面内に配置されたローラを
介して回転力の伝達可能に結合されまたは切り離される
機能を実現するため、換言すれば、一方向クラッチを成
立させるために巻取軸と回転体とを直接結合することが
できないため、巻取軸と回転体との間に滑りが生じる恐
れがある。特に、ローラは巻取軸及び回転体の間でそれ
ぞれ略線接触状態で挟み込まれつつ回転力を伝達するた
め、プリテンショナ機構の作動初期においてローラと巻
取軸との間で滑りを生じやすい。
【0013】このため、このような従来のウエビング巻
取装置のクラッチ構造では、プリテンショナ機構の作動
から実際のウエビング巻取開始までのタイムラグ及び駆
動力(トルク)の伝達ロスを生じ、上記滑りがプリテン
ショナ機構による初期拘束性能のさらなる向上の阻害要
因となっていた。逆に、巻取軸とローラとの間の滑りを
低減しようとすると、プリテンショナ機構の作動後、再
度ウエビングの引出を許容する場合に、クラッチの切り
離しがスムースに行われないこととなる。
【0014】本発明は上記事実を考慮して、回転部材の
回転力を巻取軸に伝達するクラッチの滑りを防止または
抑止でき、初期拘束性能が向上するウエビング巻取装置
を得ることが目的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに請求項1記載の発明に係るウエビング巻取装置は、
車体に固定されたフレームに回転可能に軸支され、乗員
拘束用のウエビングが巻取り引出しされる巻取軸と、前
記巻取軸と同軸的に設けられ、車両急減速時に前記巻取
軸のウエビング巻取方向に回転される回転部材と、前記
回転部材が前記ウエビング巻取方向に回転されると、該
回転部材の回転力を前記巻取軸に伝達するクラッチと、
を備えたウエビング巻取装置において、前記クラッチ
は、前記巻取軸に一体に設けられた被動部と、前記回転
部材に一体にかつ前記被動部と対向して設けられ、軸方
向に移動されると前記被動部に前記回転力を伝達可能に
結合する駆動部と、前記駆動部を前記被動部に対する離
間位置に保持する保持手段と、前記回転部材の前記ウエ
ビング巻取方向の回転力の一部を軸方向の移動力に変換
し、前記駆動部を前記被動部に結合させる結合手段と、
を有して構成された、ことを特徴としている。
【0016】請求項1記載のウエビング巻取装置では、
通常はクラッチの駆動部が保持手段によって被動部との
離間位置に保持されており、巻取軸は回転部材と切り離
されている。このため、ウエビングの巻取り引出しが自
在である。
【0017】一方、車両急減速時には、回転部材がウエ
ビング巻取方向に回転される。この回転部材の回転力の
一部は、結合手段によって回転部材の軸方向に移動力に
変換され、回転部材と一体の駆動部が被動部に回転部材
の回転力を伝達可能に結合する。この結合は、回転力伝
達可能であれば、例えば、係合、接触、嵌合等如何なる
態様であっても良いことは言うまでもない。
【0018】これにより、被動部が駆動部によって回転
駆動され、この被動部と一体の巻取軸がウエビング巻取
方向に回転されることでウエビングが巻き取られて乗員
拘束に緊張する。すなわち、プリテンショナ機能が果た
される。
【0019】ここで、クラッチは、被動部に対向配置さ
れた駆動部が軸方向に移動して被動部と結合するため、
通常は駆動部と被動部とを軸方向に離間させることで回
転部材と巻取軸とを切り離して巻取軸の回転が担保さ
れ、車両急減速時には駆動部と被動部とが回転力を伝達
可能に直接結合される。
【0020】したがって、例えば、駆動部と被動部とを
ギヤ結合(噛合いによる直接係合)としたり、駆動部及
び被動部にローレット加工を施し(接触面積を増やしつ
つ摩擦係数を向上し)たりすることで、駆動部と被動部
との間に滑りが発生しない、または滑りが発生し難い構
成とすることができる。これにより、プリテンショナ機
能の作動初期における実際のウエビング巻取開始までの
タイムラグや駆動力伝達ロスが抑止または防止され、初
期拘束性能が向上する。
【0021】このように、請求項1に記載のウエビング
巻取装置では、回転部材の回転力を巻取軸に伝達するク
ラッチの滑りを防止または抑止でき、初期拘束性能が向
上する。
【0022】また、通常は回転部材と巻取軸とを切り離
すクラッチを設けたため、例えば、回転部材としてのピ
ニオンをラックで回転駆動する構成では、該ピニオンと
ラックとを予め噛合わせておくことができることは言う
までもない。さらに、回転部材の駆動部と巻取軸の被動
部とが、ローラ等の部品を介在させることなく直接的に
結合するため、部品点数の削減も図られる。
【0023】請求項2の発明に係るウエビング巻取装置
は、請求項1記載のウエビング巻取装置において、前記
結合手段は、前記回転部材に設けられた係合部と、前記
フレームに固定され、前記回転部材が前記ウエビング巻
取方向に回転する際に前記係合部が係合する被係合部
と、を有し、前記係合部及び前記被係合部の互いの係合
部位の少なくとも一方を、前記回転部材の回転方向に対
して傾斜したテーパ部とした、ことを特徴としている。
【0024】請求項2記載のウエビング巻取装置では、
回転部材の係合部とフレームに固定された被係合部とが
互いに係合する係合部位の少なくとも一方に形成したテ
ーパ部に相手方(テーパ部である場合を含む)が係合し
つつ、該テーパ部の上記回転方向に対する傾斜によって
回転部材の回転力の一部が軸方向の移動力に変換され
る。
【0025】このため、簡単な構造で、駆動部が軸方向
に移動して被動部と結合するクラッチが実現される。
【0026】請求項3記載の発明に係るウエビング巻取
装置は、請求項1記載のウエビング巻取装置において、
前記回転部材を、互いに噛み合うはすばラックの移動に
よって回転駆動されるはすば歯車とし、前記巻取方向に
回転駆動される前記はすば歯車がスラスト力によって前
記被動部側へ移動する方向に互いの噛合面が傾斜した前
記はすば歯車とはすばラックとで、前記結合手段を構成
した、ことを特徴としている。
【0027】請求項3記載のウエビング巻取装置では、
車両急減速時に、はすばラックが回転部材であるはすば
歯車と噛み合いつつ移動すると、該はすば歯車が回転す
る。この回転に伴って、はすば歯車は、はすばラックと
の互いの噛合面がスラスト力によって該はすば歯車が被
動部側に移動する方向に傾斜していることにより、はす
ばラックから伝達される力の一部であるスラスト力によ
って軸方向に被動部側へ移動する。
【0028】すると、回転部材であるはすば歯車に一体
に設けられた駆動部が被動部に結合し、巻取軸がウエビ
ングの巻取方向に回転する。なお、はすばラックとはす
ば歯車とは、予め噛み合わされていても良く、はすばラ
ックの移動開始後に噛み合っても良いが、予め噛み合わ
されている方が好ましい。
【0029】ここで、結合手段を、少なくとも回転時
に、スラスト力によってはすば歯車を被動部側へ移動さ
せるように噛み合う該はすば歯車とはすばラックとで構
成したため、換言すれば、回転部材を回転駆動するはす
ばラックと回転部材自体であるはすば歯車とが結合手段
を構成し(兼ねて)ているため、部品点数を大幅に削減
することができる。また、構造の簡素化及びプリテンシ
ョナ機構(すなわちウエビング巻取装置)の体格の小型
化が図られる。さらに、部品点数の削減及び構造の簡素
化に伴って組付工数の低減、組付作業性の向上が図られ
る。
【0030】請求項4の発明に係るウエビング巻取装置
は、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のウエビン
グ巻取装置において、前記保持手段は、前記フレームと
前記回転部材との間または前記回転部材と前記巻取軸と
の間に設けられ、前記回転部材を前記駆動部が前記被動
部と離間する方向に付勢する付勢手段である、ことを特
徴としている。
【0031】請求項4記載のウエビング巻取装置では、
通常、回転部材(駆動部)に作用する付勢手段の付勢力
によって駆動部が被動部との離間方向に保持されて巻取
軸は回転部材と切り離されている。そして、車両急減速
時に回転部材が回転されると、結合手段が変換した軸方
向の移動力によって駆動部が付勢手段の付勢力に抗して
軸方向に移動し、被動部に係合する。
【0032】さらに、プリテンショナ機能が果たされ、
回転部材に回転力が作用しなくなると、軸方向の移動力
も作用しなくなり、回転部材、すなわち、駆動部は付勢
手段の付勢力によって被動部との離間位置に復帰する。
このため、プリテンショナ機能の完了後にエネルギ吸収
のために再度ウエビングの引出を許容する構成において
も、適正なエネルギ吸収が阻害されることもない。
【0033】すなわち、請求項4におけるクラッチは、
上記滑りを防止または抑止する機能を維持しつつ、プリ
テンショナ機能の完了後において駆動部と被動部とを切
り離す機能を有する。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態に係る
ウエビング巻取装置10について、図1乃至図5に基づ
いて説明する。
【0035】図1には、ウエビング巻取装置10の全体
構成が概略の断面図にて示されている。この図に示され
る如く、ウエビング巻取装置10は、フレーム12を備
えている。フレーム12は、互いに対向する一対の脚片
12A、12Bと各脚片を連結する背片12Cとを有
し、平面視略コ字型に形成されている。背片12Cは下
方に延出されており、その下端部が車体にボルト止めさ
れて固定されている。
【0036】フレーム12の互いに対向する脚片12
A、12Bの間には、軸方向が脚片12A、12Bの対
向方向とされた筒状のスプール14が設けられている。
このスプール14には乗員拘束用のウエビング16の一
端が係止されると共にウエビング16の一部が巻き回さ
れており、スプール14の回転により、ウエビング16
がスプール14に対して巻取り引出し自在となる。
【0037】すなわち、スプール14が軸心廻りの一方
向へ回転するとウエビング16が巻取られ、スプール1
4が軸心廻りの他方向へ回転するとウエビング16が引
出される構成である。
【0038】スプール14の筒内には、脚片12A側の
端部にロックベース18が配置されている。ロックベー
ス18は、フレーム12の脚片12Aの開口部に挿通さ
れ、図示しない軸受部にスプール14と同軸的で、かつ
スプール14及びフレーム12に対して回転自在に支持
されている。
【0039】ロックベース18にはロック手段を構成す
るロックプレート26が設けられている。ロックプレー
ト26は、脚片12Aの上記開口部に設けられた内歯ラ
チェット12Dに噛込可能に形成されている。このロッ
クプレート26は、図示しない加速度センサが所定値以
上の加速度(減速度)を検知した場合やウエビング16
の引出し速度が所定値以上となった場合に、図示しない
Vギヤのウエビング引出方向の回転が阻止されること
で、ロックベース18がウエビング引出方向に回転しよ
うとすると、Vギヤに案内されて内歯ラチェット12D
に噛込んでロックベース18のウエビング引出方向の回
転を阻止する構成である。
【0040】また、ロックベース18には、スプール1
4の筒内軸心部分に配置されたトーションバー20の一
端部に設けられた六角部20Aが挿入されており、ロッ
クベース18が常にトーションバー20の六角部20A
と一体に回転するように構成されている。
【0041】一方、スプール14の筒内における脚片1
2B側端部には、スリーブ22が配置されている。スリ
ーブ22は、スプライン状の歯24が嵌合することでス
プール14と同軸的かつ一体に連結されている。このス
リーブ22のスプール14外部に露出する端面には、後
述するクラッチを構成する被動部としてのキー溝部52
が形成されているが、これについては後述する。
【0042】スリーブ22の先端部には、脚片12Bの
開口部に挿通された支軸部22Aが同軸的かつ一体に設
けられており、この支軸部22Aの脚片12Bから外方
へ突出した端部が図示しない軸受部に回転自在に支持さ
れている。また、支軸部22Aの端部にはぜんまいばね
(図示省略)が設けられており、スリーブ22がウエビ
ング16を巻取る方向に常に回転付勢されている。
【0043】さらに、このスリーブ22は、トーション
バー20の他端部に設けられた六角部20Bが挿入され
ることにより、ロックベース18と連結されている。こ
れにより、通常は、スプール14、ロックベース18、
トーションバー20、及びスリーブ22は一体に回転す
るよう構成されている。
【0044】すなわち、上記構成において、スプール1
4、ロックベース18、トーションバー20、及びスリ
ーブ22が本発明における「巻取軸」に相当する。
【0045】また、図2にも示される如く、ウエビング
巻取装置10は、クラッチ機能を有するプリテンショナ
機構30を備えており、プリテンショナ機構30は回転
体32を備えている。
【0046】図3(A)及び図3(B)に詳細に示され
る如く、回転体32は、プリテンショナ機構を構成する
回転部材としてのピニオン34と、クラッチを構成する
駆動部としてのギヤ部36と、係合部としての傾斜突起
38が突設された円板部40とが同軸的かつ一体に形成
されている。
【0047】この回転体32の軸心部には、該回転体3
2を長手方向に貫通する支持孔42が設けられており、
スリーブ22の支軸部22Aに回転自在(すなわち、ス
プール14に対して相対回転可能に)に支持されるよう
になっている。
【0048】ピニオン34は、回転体32の一端側に設
けられ、その歯幅(すなわち、軸方向寸法)が後述する
ラック54の歯幅よりも大きく形成されている。
【0049】また、ギヤ部36は、回転体32の他端側
に設けられ、その端面から軸方向に突設されると共に支
持孔42外側から半径方向に放射状に延びる複数(本第
1の実施の形態では8枚)のギヤ歯36Aを有してい
る。このギヤ歯36Aの軸方向先端部は丸められてい
る。
【0050】さらに、円板部40は、ピニオン34とギ
ヤ部36との間に設けられており、その外径がピニオン
34及びギヤ部36の各外径よりも十分大径とされてい
る。この円板部40のピニオン34側の端面には、複数
(本第1の実施の形態では5つ)の傾斜突起38が回転
体32の軸方向に突設されている。各傾斜突起38は、
回転体32と同軸的でピニオン34よりも外側の仮想円
周に沿って等間隔に配置されている。
【0051】これらの傾斜突起38には、それぞれテー
パ部38Aが形成されている。各テーパ部38Aは、そ
のウエビング16の巻取回転方向(図2及び図3(A)
に矢印Aで示される回転方向)側の円板部40からの突
出高さが低くなるように、矢印A方向に対して傾斜され
ている。
【0052】また、円板部40のギヤ部36側端面に
は、その外周面に沿った円環状のリブ40Aが回転体3
2の軸方向に突設されており、後述する板ばね50の脱
落防止用とされている。
【0053】以上説明した回転体32は、ギヤ部36が
スリーブ22と対向するように該スリーブ22の支軸部
22Aに軸支される構成である。この状態で、円板部4
0の外側には、図4にも図2の4−4線に沿った概略断
面図にて示される如く、フレーム12の脚片12Bに固
定されたプレート44が配置されている。
【0054】プレート44は、ピニオン34が挿通され
る透孔46(図2参照)と、各傾斜突起38の側面視形
状に略対応して形成され各傾斜突起38が挿通される係
合孔48とを有している。なお、図2では、プレート4
4の図示を省略し、透孔46及び係合孔48のみを想像
線にて示している。
【0055】これにより、回転体32が矢印A方向に回
転されると、各傾斜突起38のテーパ部38Aが各係合
孔48の孔壁に係合し、該テーパ部38Aの傾斜によっ
て回転体32(ピニオン34)の回転力の一部が軸方向
(図1及び図4に矢印Bで示されるスリーブ22への近
接方向)の移動力に変換される構成である。すなわち、
各係合孔48の矢印A側の孔壁が本発明における「被係
合部」に相当する。
【0056】また、回転体32は、プレート44の透孔
46にピニオン34が挿通されると共に各係合孔48に
各傾斜突起38が挿通された状態で、フレーム12の脚
片12Bと円板部40のリブ40Aとの間に配設された
保持手段及び付勢手段としての板ばね50によって、矢
印B方向とは反対方向に付勢されている。
【0057】すなわち、回転体32は、通常板ばね50
の付勢力によってスリーブ22に対する離間位置に保持
されており、矢印A方向に回転駆動されると当該矢印A
方向に回転しつつ板ばね50の付勢力(弾性力)に抗し
てスリーブ22に近接するようになっている。なお、回
転体32の矢印B方向とは反対方向への移動は、円板部
40がプレート44に当接することで規制される構成で
ある。また、板ばね50が回転体32の回転を妨げない
ように、板ばね50と円板部40または脚片12Bとの
間にベアリングを配設すると好適である。
【0058】一方、回転体32のギヤ部36と対向する
スリーブ22の端面には、該ギヤ部36のギヤ歯36A
と噛合い可能なキー溝部52が形成されている。図5に
示される如く、キー溝部52を規定する溝壁のうち、矢
印A側と反対側の溝壁はギヤ歯36A誘い込み用の湾曲
面52Aとされている。
【0059】これにより、矢印A方向に回転しつつ矢印
B方向に移動してキー溝部52に入り込もうとするギヤ
歯36Aが湾曲面52Aに当接しても、該当接点には矢
印B方向に対して傾斜した矢印C方向の力が作用し、ギ
ヤ歯36Aがキー溝部52に確実かつ滑らかに噛合うよ
うになっている。
【0060】なお、上記構成において、ピニオン34と
一体の円板部40に設けられテーパ部38Aを有する傾
斜突起38、フレーム12に固定されたプレート44に
設けられた係合孔48が本発明における「結合手段」に
相当し、これらと共に、キー溝部52、ギヤ部36(ギ
ヤ歯36A)、板ばね50が本発明における「クラッ
チ」を構成する。
【0061】また、プリテンショナ機構30は、ピニオ
ン34に矢印A方向の回転力を付与する機構を備えてい
る。具体的には、プリテンショナ機構30は、ラック5
4を備えており、ラック54の一端側は上記組付状態の
ピニオン34に噛合わされている。ラック54は、上記
の通りその歯幅がピニオン34の歯幅よりも十分小さ
く、初期状態ではピニオン34の円板部40側において
噛合っている。そして、上記の如くピニオン34の矢印
A方向の回転に伴って回転体32が矢印B方向へ移動す
ると、噛合い位置がピニオン34の端部側へ移動する構
成である。
【0062】なお、プリテンショナ機構30の作動範囲
(ウエビング16を所定量巻き取るために設定されたラ
ック54によるピニオン34の回転量、すなわち矢印B
側への移動量の範囲)においては、ピニオン34とラッ
ク54との噛合いが軸方向に外れないように各部の寸法
が決められている。
【0063】このラック54の他端側にはピストン56
が一体に設けらている。ピストン56は、フレーム12
の脚片12Bに固定され上方が開口したシリンダ58内
に摺動可能に挿入されている。
【0064】また、シリンダ58の底部には、作動(例
えば、着火)されると多量のガスを発生するガス供給装
置60が接続されている。このガス供給装置60には図
示しない制御手段が電気的に接続されており、制御手段
は車両急減速時にガス供給装置60を作動させる構成で
ある。
【0065】これにより、車両急減速時には、シリンダ
58内にガスが供給され、このガスのガス圧によってピ
ストン56をシリンダ58の開口端側(図2の矢印D方
向)へ移動し、ラック54と噛合っているピニオン34
を矢印A方向(ウエビング16の巻取方向)へ回転させ
るようになっている。
【0066】次に、本第1の実施の形態の作用を説明す
る。
【0067】上記構成のウエビング巻取装置10では、
スプール14とロックベース18とはトーションバー2
0及びスリーブ22を介して連結されているので、通常
は、これらが一体に回転する。また、プリテンショナ機
構30のギヤ部36とキー溝部52とは板ばね50の付
勢力によって切り離されているので、ピニオン34に噛
合わされているラック54がスプール14の回転の障害
となることがない。このため、通常は、ウエビング16
の巻取り引出しが自由とされる。
【0068】車両が急減速状態に至ると、まず、プリテ
ンショナ機構30が作動する。具体的には、制御手段が
ガス供給装置60を作動することによりシリンダ58内
に供給されたガスの圧力によってピストン56が図2の
矢印D方向へスライドされ、ラック54がピニオン34
に噛み合いながら移動することでピニオン34が矢印A
方向へ回転される。すなわち、回転体32が矢印A方向
に回転する。
【0069】すると、円板部40の傾斜突起38がテー
パ部38Aにおいてプレート44の係合孔48の縁部
(孔壁)と係合し、傾斜突起38のテーパ部38Aと係
合孔48とは、互いに係合しつつピニオン34(回転体
32)の矢印A方向の回転力の一部を矢印B方向への移
動力に変換する。これにより、回転体32は、矢印A方
向に回転しつつ板ばね50の付勢力に抗して矢印B方向
へ移動する。
【0070】この移動によって、回転体32の矢印B側
端部に形成されたギヤ部36のギヤ歯36Aが対向する
スリーブ22の端面に形成されたキー溝部52と噛合
い、ピニオン34の回転力がスリーブ22に伝達され
る。
【0071】スリーブ22は、スプライン状の歯24に
よってスプール14と一体回転するように接続されてい
るので、スリーブ22に伝達された回転力によってスプ
ール14が矢印A方向に回転し、ウエビング16を巻取
る。このとき、傾斜突起38が係合孔48から抜け出る
と、ギヤ部36とキー溝部52とは、板ばね50の付勢
力によって互いに離間しようとするが、ギヤ歯36Aと
キー溝部52の溝壁との噛合い力(矢印A方向の力)を
抗力とする軸方向の摩擦力が板ばね50の付勢力に抗す
ることで、互いの噛合い状態を維持する。すなわち、ギ
ヤ部36は、キー溝部52との噛合い力により板ばね5
0の付勢力に抗して保持される。
【0072】ラック54が矢印D方向の移動限に達する
と、ピニオン34には回転駆動力が作用しなくなり、ウ
エビング16の所定量の巻取りが完了する。これによっ
て、ウエビング16は、緩みが除去されて乗員に緊密に
装着される(プリテンショナ機構30の作動が完了す
る)。
【0073】そして、上記ギヤ部36とキー溝部52と
の間の回転による噛合い力も解消されるので、回転体3
2は、板ばね50の付勢力によって矢印Bとは反対方向
へ移動し軸方向における初期位置に復帰する。これによ
り、ギヤ部36はキー溝部52から抜け出て離間する
(クラッチ結合が解除される)。
【0074】一方、プリテンショナ機構30作動時に、
既に車両急減速に伴う所定の加速度(減速度)が検出さ
れているため、ロック手段を構成するVギヤのウエビン
グ引出方向(矢印Aとは反対方向)の回転が阻止されて
いる。
【0075】このため、プリテンショナ機構30作動
後、乗員の慣性移動に伴う引張力がウエビング16に作
用し、スプール14、、スリーブ22、トーションバー
20を介してロックベース18がウエビング引出方向に
回転しようとすると、ロックプレート26がVギヤに案
内されてフレーム12の内歯ラチェット12Dに噛込
む。これにより、ロックベース18、すなわち、トーシ
ョンバー20の一端側六角部20Aのウエビング引出方
向への回転が阻止される。
【0076】この状態でウエビング16は、上記引張力
によってトーションバー20の捩り荷重であるフォース
リミッタ荷重に抗しつつ(ウエビング16(乗員)に作
用する荷重を一定に保ちながら)引出され、エネルギ吸
収が果たされる。
【0077】ここで、ギヤ部36(回転体32)とキー
溝部52(スリーブ22)とが軸方向に接離してクラッ
チの結合、切り離しが為されるため、通常時にはギヤ部
36とキー溝部52とが軸方向に離間して(互いに同一
平面内に位置せず)クラッチを切り離し、プリテンショ
ナ機構30作動時にはギヤ部36とキー溝部52とが直
接噛合って回転力を伝達可能に結合される。
【0078】このため、プリテンショナ機構30の作動
時におけるピニオン34とスリーブ22との間の滑りが
防止され、特にプリテンショナ機構30の作動初期にお
ける実際のウエビング巻取開始までのタイムラグや駆動
力伝達ロスが防止され、プリテンショナ機構30による
初期拘束性能が向上する。
【0079】このように、本第1の実施の形態に係るウ
エビング巻取装置10では、ピニオン34の回転力をス
リーブ22(スプール14)に伝達するクラッチの滑り
を防止でき、初期拘束性能が向上する。
【0080】また、ウエビング巻取装置10では、プリ
テンショナ機構30が作動すると、傾斜突起38と係合
孔48とが単に互いに係合しつつピニオン34の矢印A
方向の回転力を矢印B方向の移動力に変換するため、ギ
ヤ部36が矢印B方向に移動してキー溝部52に噛合う
ことでピニオン34の回転力をスリーブ22に伝達する
クラッチが、簡単な構造で実現される。
【0081】さらに、ウエビング巻取装置10では、通
常ギヤ部36をキー溝部52に対する離間位置に保持す
る板ばね50の付勢力によって、プリテンショナ機構3
0の作動後には、ギヤ部36をキー溝部52に対する離
間位置に復帰させるため、ピニオン34及びラック54
は、スプール14から切り離され、エネルギ吸収のため
に該スプール14がウエビング引出方向に回転する動作
を妨げることがない。すなわち、エネルギ吸収の際にト
ーションバー20の捩り荷重以外の荷重がウエビング1
6(乗員)に作用せず、適正なエネルギ吸収が果たされ
る。
【0082】さらにまた、回転体32(ピニオン34)
のギヤ部36とスリーブ22(スプール14)のキー溝
部52とが、ローラ等の部品を介在させることなく直接
的に噛み合う(結合する)ため、部品点数の削減も図ら
れる。
【0083】なお、本発明は上記第1の実施の形態に係
るウエビング巻取装置10に限定されることはなく、例
えば、図6(A)または図6(B)に示される如き変形
例に係る構成とすることも可能である。なお、上記第1
の実施の形態と基本的に同一の部品、部分については上
記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省
略する。
【0084】図6(A)には、板ばね50に代えて、保
持手段及び付勢手段としての圧縮コイルばね70を備え
た構成が示されている。圧縮コイルばね70は、スリー
ブ22の支軸部22Aを挿通させた状態でギヤ部36と
キー溝部52との間にギヤ歯36A等に干渉しないよう
に配置されている。この構成によっても上記第1の実施
の形態と同様の効果が得られる。また、この構成におい
ても、圧縮コイルばね70のいずれか一端部または両端
部にベアリングを配設すると好適である。
【0085】図6(B)には、図6(A)の構成におけ
るギヤ部36及びキー溝部52に代えて、駆動部として
の嵌合孔72及び被動部としての嵌合軸74を備えた構
成が示されている。嵌合孔72は、開口端が広いテーパ
孔とされ、その内面にはローレット加工が施されてい
る。一方、嵌合軸74は、嵌合孔に対応したテーパ軸と
され、その外面にはローレット加工が施されている。嵌
合孔72と嵌合軸74とは、嵌合孔72が形成された回
転体32が矢印B方向へ移動すると、互いのテーパに案
内されてスムースかつ確実に嵌合し、ピニオン34の回
転力をスリーブ22へ伝達可能に結合される。
【0086】この構成では、直接結合(嵌合)する嵌合
孔72と嵌合軸74とは、互いの広い接触面積及びロー
レット仕上げによる高摩擦係数によって結合初期の滑り
が抑止されており、プリテンショナ機構30の初期拘束
性能が向上する。他の効果は上記第1の実施の形態と同
様である。
【0087】このように、本発明における駆動部及び被
動部は、ギヤ部36及びキー溝部52に限定されること
はなく、軸方向に接離可能なあらゆる結合手段が適用で
きる。したがって、例えば、ギヤ部36または嵌合孔7
2をスリーブ22に設け、キー溝部52または嵌合軸7
4を回転体32に設けても良い。
【0088】また、上記第1の実施の形態及び各変形例
では、結合手段を構成する傾斜突起38にテーパ部38
Aを設けた構成としたが、本発明はこれに限定されす、
例えば、傾斜突起38のテーパ部38Aに代えて、また
は、テーパ部38Aと共に、係合孔48の矢印A側の孔
壁にピニオン34側で薄肉となる(テーパ部38Aと平
行な)テーパ部を設けた構成としても良い。
【0089】次に、本発明の第2の実施の形態に係るウ
エビング巻取装置を構成するプリテンショナ機構80に
ついて、図7乃至図9に基づいて説明する。なお、上記
第1の実施の形態または変形例と基本的に同一の部品、
部分については上記第1の実施の形態または変形例と同
一の符号を付してその説明を省略する。
【0090】図7(A)に示される如く、プリテンショ
ナ機構80は、回転体82を備えている。図8にも示さ
れる如く、回転体82は、回転部材としてのはすば歯車
84と、駆動部としての嵌合孔72が設けられたクラッ
チ部86とが同軸的かつ一体に形成されている。また、
回転体82の軸心部には、支持孔42が貫通して(嵌合
孔72と連通して)設けらている。
【0091】また、プリテンショナ機構80は、はすば
歯車84に矢印A方向の回転力を付与する機構を備えて
いる。具体的には、プリテンショナ機構80は、はすば
ラック88を備えており、はすばラック88の一端側は
組付状態で(プリテンショナ機構80の被作動状態で)
はすば歯車84に噛合わされている。
【0092】はすばラック88は、その歯幅がはすば歯
車84の歯幅よりも十分小さく、初期状態でははすば歯
車84のクラッチ部86側において噛合っている。な
お、図示は省略するが、はすばラック88の他端側には
ピストン56が一体に設けらており、該はすばラック8
8は、車両急減速時にガス供給装置60が作動すると、
矢印D方向へ移動するようになっている。
【0093】このはすば歯車84とはすばラック88と
は、はすばラック88が矢印D方向に移動してはすば歯
車84を矢印A方向に回転させるときに、矢印B方向の
スラスト力が生じるように噛合面の傾斜方向が決めされ
ている(はすば歯車84とはすばラック88とが、矢印
B方向のスラスト力が生じるように形成されている)。
すなわち、図9に示される如く、はすばラック88は、
その矢印D方向に対し傾斜した歯の矢印D側(図9の紙
面上側)の面が矢印B側を向くようにして形成され、こ
れと対応した歯を有して形成されたはすば歯車84と噛
み合わされている。
【0094】これにより、矢印D方向に移動するはすば
ラック88からはすば歯車84に伝達される力Fは、該
はすば歯車84を矢印A方向に回転させる回転力Fr
と、矢印B方向のスラスト力Fsとを分力して生じさせ
るようになっている。換言すれば、はすば歯車84とは
すばラック88との噛み合い面が上記の通り傾斜してい
るため、力Fの一部がはすば歯車84(回転体80)の
矢印B方向への移動力Fsに変換されるようになってい
る。
【0095】一方、スプール14に連結されたスリーブ
22には、嵌合孔72に対応した被動部としての嵌合軸
90が一体に設けられている。嵌合軸90は、テーパ状
に形成された外周面にローレット加工が施され、図6
(B)の変形例における嵌合軸74とほぼ同様の構成で
あるが、先端部(支軸部22Aの根元部分)に凹部92
が形成されている。凹部92には、圧縮コイルばね70
の一端部が収容されている。
【0096】以上説明したプリテンショナ機構80で
は、車両急減速時に制御手段がガス供給装置60を作動
すると、はすばラック88がはすば歯車84に噛み合い
つつやD方向に移動する。すると、回転体82は、回転
力Frによって矢印A方向に回転しつつ、スラスト力F
sによって圧縮コイルばね70の付勢力に抗しつつ矢印
B方向移動する。
【0097】これにより、図7(B)に示される如く、
回転体82(のクラッチ部86に設けられた嵌合孔7
2)が矢印B方向へ移動し、嵌合孔72と嵌合軸90と
が、互いのテーパに案内されてスムースかつ確実に嵌合
し、はすば歯車84(回転体82)の回転力をスリーブ
22を介してスプール14に伝達する。その後の作用
は、上記の第1の実施の形態または変形例と同様であ
る。
【0098】本第2の実施の形態に係るウエビング巻取
装置を構成するプリテンショナ機構80では、回転体8
2(最終的にはスプール14)を回転駆動するための回
転部材としてのはすば歯車84と回転駆動手段を構成す
るはすばラック88とが、回転体82を矢印B方向に移
動させる本発明の「結合手段」の機能をも果たすため、
係合孔48が形成されたプレート44等を不要として、
部品点数が一層(従来と比較して大幅に)削減されてい
る。
【0099】また、プリテンショナ機構80では、回転
体82に傾斜突起38が突設された円板部40を設ける
必要がなく、上記部品点数の削減と併せて構造の簡素化
及び体格(プレート44や円板部40の配置スペース)
の小型化が図られる。すなわち、プリテンショナ装置8
0を備えたウエビング巻取装置の小型化が図られる。さ
らに、部品点数の削減及び構造の簡素化に伴って組付工
数の低減、組付作業性の向上が図られ、ウエビング巻取
装置が低コストとなる。
【0100】このように、プリテンショナ機構80を備
えたウエビング巻取装置では、はすば歯車84の回転力
をスリーブ22(スプール14)に伝達するクラッチの
滑りを防止でき初期拘束性能が向上するという、上記第
1の実施の形態または変形例と同様の効果(機能)を維
持しつつ、部品点数の一層の削減、構造の簡素化、体格
の小型化等が図られている。
【0101】なお、上記各実施の形態及び各変形例で
は、エネルギ吸収のための機構(ロックベース18、ロ
ックプレート26、トーションバー20等)を備えた構
成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、ウエ
ビング巻取装置10が、車両急減速時等にエネルギ吸収
を行わない構成としても良く、トーションバー20等以
外のエネルギ吸収機構を備えた構成としても良い。
【0102】また、上記各実施の形態及び各変形例で
は、保持手段として付勢手段である板ばね50または圧
縮コイルばね70を備えた構成としたが、本発明はこれ
に限定されず、例えば、付勢手段に代えて、通常、単に
係合や接着等によって回転体32をスリーブ22との離
間位置に保持する保持部材を備えた構成としても良い。
【0103】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るウエビ
ング巻取装置は、回転部材の回転力を巻取軸に伝達する
クラッチの滑りを防止または抑止して初期拘束性能が向
上するという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻
取装置の概略の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻
取装置を示す一部切欠いた側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻
取装置を構成する回転体を示す図であって、(A)は軸
方向一方側から見た斜視図、(B)は軸方向他方側から
見た斜視図である。
【図4】図2の4−4線に沿った概略断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻
取装置を構成するギヤ部とキー溝部との関係を示す概略
側面図である。
【図6】(A)は付勢手段の変形例を示す図4に対応し
た図、(B)は駆動部及び被動部の変形例を示す図4に
対応した図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻
取装置を構成するプリテンショナ機構を示す図であっ
て、(A)はクラッチの切り離し状態を示す概略断面
図、(B)はクラッチの結合状態を示す概略断面図であ
る。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻
取装置を構成する回転体及びはすばラックを示す斜視図
である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻
取装置を構成するはすばラックからはすば歯車へ伝達さ
れる力を説明する模式図である。
【図10】従来のプリテンショナ装置のクラッチを示す
軸方向直角断面図である。
【符号の説明】
10 ウエビング巻取装置 12 フレーム 14 スプール(巻取軸) 16 ウエビング 18 ロックベース(巻取軸) 20 トーションバー(巻取軸) 22 スリーブ(巻取軸) 30 プリテンショナ機構 34 ピニオン(回転部材) 36 ギヤ部(駆動部、クラッチ) 38 傾斜突起(結合手段、係合部、クラッチ) 38A テーパ部(結合手段、クラッチ) 48 係合孔(結合手段、被係合部、クラッチ) 50 板ばね(保持手段、付勢手段、クラッチ) 52 キー溝部(被動部、クラッチ) 70 圧縮コイルばね(保持手段、付勢手段、クラッ
チ) 72 嵌合孔(駆動部、クラッチ) 74 嵌合軸(被動部、クラッチ) 80 プリテンショナ機構 84 はすば歯車(回転部材、結合手段) 86 クラッチ部(駆動部、クラッチ) 88 はすばラック(結合手段) 90 嵌合軸(被動部、クラッチ)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に固定されたフレームに回転可能に
    軸支され、乗員拘束用のウエビングが巻取り引出しされ
    る巻取軸と、 前記巻取軸と同軸的に設けられ、車両急減速時に前記巻
    取軸のウエビング巻取方向に回転される回転部材と、 前記回転部材が前記ウエビング巻取方向に回転される
    と、該回転部材の回転力を前記巻取軸に伝達するクラッ
    チと、 を備えたウエビング巻取装置において、 前記クラッチは、 前記巻取軸に一体に設けられた被動部と、 前記回転部材に一体にかつ前記被動部と対向して設けら
    れ、軸方向に移動されると前記被動部に前記回転力を伝
    達可能に結合する駆動部と、 前記駆動部を前記被動部に対する離間位置に保持する保
    持手段と、 前記回転部材の前記ウエビング巻取方向の回転力の一部
    を軸方向の移動力に変換し、前記駆動部を前記被動部に
    結合させる結合手段と、 を有して構成された、 ことを特徴とするウエビング巻取装置。
  2. 【請求項2】 前記結合手段は、 前記回転部材に設けられた係合部と、 前記フレームに固定され、前記回転部材が前記ウエビン
    グ巻取方向に回転する際に前記係合部が係合する被係合
    部と、 を有し、前記係合部及び前記被係合部の互いの係合部位
    の少なくとも一方を、前記回転部材の回転方向に対して
    傾斜したテーパ部とした、 ことを特徴とする請求項1記載のウエビング巻取装置。
  3. 【請求項3】 前記回転部材を、互いに噛み合うはすば
    ラックの移動によって回転駆動されるはすば歯車とし、 前記巻取方向に回転駆動される前記はすば歯車がスラス
    ト力によって前記被動部側へ移動する方向に互いの噛合
    面が傾斜した前記はすば歯車とはすばラックとで、前記
    結合手段を構成した、 ことを特徴とする請求項1記載のウエビング巻取装置。
  4. 【請求項4】 前記保持手段は、前記フレームと前記回
    転部材との間または前記回転部材と前記巻取軸との間に
    設けられ、前記回転部材を前記駆動部が前記被動部と離
    間する方向に付勢する付勢手段である、ことを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のウエビング
    巻取装置。
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