JP2003211330A - カムシャフトの製造装置 - Google Patents

カムシャフトの製造装置

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JP2003211330A
JP2003211330A JP2002011684A JP2002011684A JP2003211330A JP 2003211330 A JP2003211330 A JP 2003211330A JP 2002011684 A JP2002011684 A JP 2002011684A JP 2002011684 A JP2002011684 A JP 2002011684A JP 2003211330 A JP2003211330 A JP 2003211330A
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cam
shaft
piece
tables
cam table
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JP2002011684A
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Noriyuki Maruyama
法之 円山
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、シャフトと各カムピースの軸
穴との間に発生した芯ズレを吸収してカムピースを所定
の位相で正確にシャフトに組み付けることができるカム
シャフトの製造装置を提供する。 【解決手段】 カムシャフトの製造装置は、第1位置と
第2位置との間で移動可能とされた複数のカムテーブル
1(a〜h)と、各カムピースCの各軸穴Caにシャフ
トSを挿通すべくシャフトSを保持してその軸方向に移
動させるシャフト挿通手段と、を備えており、各カムー
ブル1(a〜h)に保持された各カムピースCの、各カ
ムテーブル1(a〜h)の移動方向への遊動を許容する
X方向フローティング機構、および、各カムテーブル1
(a〜h)の移動方向と直交する方向への遊動を許容す
るY方向フローティング機構を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸穴を有する複数
のカムピースをそれぞれ所定の位相でシャフトに固定し
てなる、カムシャフトの製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カムシャフトには、内燃機関の給排気バ
ルブを開閉させるための動弁機構などに使用されるよう
に、複数のカムピースのノーズを所定の位相に向かせた
状態で、各カムピースの軸穴にシャフトを挿通して固定
してなるカムシャフトがある。このようなカムシャフト
では、カムピースを加熱してその軸穴を拡張させ、この
拡張された状態の軸穴にシャフトを挿通し、カムピース
を冷却することにより軸穴を元の径に収縮させる、所謂
締まりばめによってシャフトにカムピースを固定してい
る。かかる動弁機構のカムピースの中には、給排気バル
ブの開閉時期を変更することができるように、カムプロ
フィール面と隣接する両側面の面積を異ならせて成形さ
れた所謂三次元カムがある。
【0003】このようなカムシャフトを製造するための
従来の技術としては、例えば、特開平12―61749
号公報に開示されているように、必要数のカムピースを
シャフト本体の所定位置へと挿入し固定するカムシャフ
トの組立装置であって、前記カムピースを予め所定の回
転角(位相)に合わせた状態で1個づつ載置する複数の
カムテーブルと、該複数のカムテーブル上のカムピース
が同軸上に整列する第1位置、及び各カムテーブルが重
ならないように離間する第2位置との間で各カムテーブ
ルを変位させる変位手段と、各カムテーブルが前記第1
位置にあるときに前記シャフト本体を各カムテーブル上
のカムピースに挿通する挿通手段とを有することを特徴
とするカムシャフトの組立装置が知られている。
【0004】そして、当該公報には、前記カムテーブル
には、前記カムピースを前記カムテーブル上で移動可能
に支持するフローティングホルダを設けることが記載さ
れている。フローティングホルダは、カムテーブルに対
して前後左右に摺動可能で、且つ、カムテーブルとの間
にスプリングを介して支持されたフローティングプレー
トにクランパを設けてなる。当該公報に開示されたカム
シャフトの組立装置では、このような構成とすることに
より、前記各カムテーブルを第1位置へと変位させたと
きの、各カムテーブル上のカムピースの開口(軸穴)にず
れが生じている(芯ズレが生じている)場合でも、各カ
ムピースは、前記シャフトが挿通される際にその位置が
受動的に補正されるため、複数のカムピースに対しシャ
フトを正しく挿通することができる。
【0005】さらに、当該公報には、前記カムテーブル
が前記第2位置にあるとき、隣接するカムテーブル同士
が階段状に位置することが開示されている。そして、当
該公報においては、第2位置にあるときに各カムテーブ
ルが平面視で一直線状となるように配置されており、そ
のために、各カムテーブルに設けられた各クランパが、
各カムピースを所定の位相に合わせた状態で保持するこ
とができるように構成されていることが開示されてい
る。
【0006】さらにまた、当該公報には、図13に示す
ように、カムピースを保持するクランパ6’は、一方の
クランプ部材66’が固定され、このクランプ部材6
6’に対して他方のクランプ部材67’が近接遠退する
ようにアクチュエータ61’に連結されている。アクチ
ュエータは61’は、クランプ部材67’の移動延長線
上に設けられており、カムプレート1'の側縁から飛び
出している。当該公報における各カムテーブル1’は、
そのアクチュエータは61’が飛び出していない一方の
側縁のみがリニアガイドにより所謂片持ちで支持されて
いる。
【0007】このような装置を使用して三次元カムピー
スを有するカムシャフトを組立てる場合には、一般に、
三次元カムピースの面積が小さい方の側面を基準として
カムテーブルに接するように保持される。そして、カム
ピースを加熱してその軸穴を拡張させ、この拡張された
状態の軸穴にシャフトを挿通し、カムピースを冷却する
ことにより軸穴を元の径に収縮させる、所謂締まりばめ
によってシャフトにカムピースを固定している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術にあっては、各カムテーブルに、各カムピース
をカムテーブル上で移動可能に支持するフローティング
ホルダを設ける必要があるために、設備が複雑となって
コストを低減することができなかった。そして、上記従
来の技術にあっては、フローティングホルダ全体がカム
テーブル上で移動する際にその慣性が大きくなり、カム
テーブル上をスムーズに移動して芯ズレを吸収すること
が困難である場合があるという問題があった。
【0009】また、上記従来の技術にあっては、各カム
テーブルが第2位置にあるときに平面視で一直線状とな
るように配置されているために、各クランパが、各カム
ピスのノーズを所定の位相に向かせて正確に保持するこ
とができるように構成されている必要がある。そのた
め、保持するカムピースCの位相に応じてクランプ部材
を成形する必要があるという問題や、カムピースCをそ
の位相に応じてクランプ部材66’、67’間にセット
する必要があるという問題、また、カムピースCの位相
によっては、かかるクランプ部材66’、67’によっ
てカムピースCを所定の位相に正確に保持することが困
難となる場合があるという問題などがあった。
【0010】さらに、上記従来の技術にあっては、カム
ピースCはカムテーブル1’に載置された状態でクラン
パ6’によって保持されるのであるが、カムテーブル
1’にはシャフトを抜くためのシャフト挿通部7’が設
けられており、カムピースCの下面(側面)全体がカム
テーブル1’の上面に接することはない。そして、上記
従来の技術にあっては、カムピースCの配置される位相
によってカムテーブル1’に接する面積(図13の斜線
で示した部分を参照)が異なることととなる。特にカム
ピースが上述した三次元カムである場合には、一般に、
面積の小さい方の側面がカムテーブル1’に接するよう
にカムピースを保持するため、カムピースCのカムテー
ブル1’に接する面積が小さくなる。そして、カムピー
スCのカムテーブル1’に接する面積が小さいと、カム
ピースCを安定して保持することができず、カムピース
Cの特に第1位置で軸穴がシャフト挿入軸芯から傾いた
状態で保持されている場合には、シャフトを挿入すると
きに軸穴の内周面にシャフトが当たることにより所謂か
じりが発生する可能性があるという問題があった。
【0011】さらにまた、上記従来の技術にあっては、
図13にも示したように、クランパ6’の一方のクラン
プ部材66’が固定され、このクランプ部材66’に対
して他方のクランプ部材67’が近接遠退するようにア
クチュエータ61’に連結されているため、シャフトS
とカムピースCの軸穴Caとの間に芯ズレが発生してい
る場合に、かかる芯ズレをクランパ6’自体が補正でき
るよう構成することができず、また、カムテーブル1’
の側縁からアクチュエータ61’が飛び出すために、ク
ランパ6’の小型化を図ることができないという問題
や、さらには、カムテーブル1’の一方の側縁のみを所
謂片持ちの状態で支持する必要があるという問題があっ
た。そして、各支持カムテーブル1’を第1位置に移動
して整列させた各カムピースCの各軸穴Caにシャフト
Sを挿通するときに芯ズレが生じていると、シャフトの
先端がカムピースの軸穴の周囲に衝突して、そのカムピ
ースを保持しているカムテーブル1’を傾けるように作
用する力が発生する。上述したように、一方の側縁のみ
が支持された所謂片持ちの状態の支持カムテーブル1’
では、剛性が低いために、かかる力に対抗することがで
きず、保持したカムピースが傾くことになる。カムピー
スが傾いた状態では、その軸穴のシャフトの軸方向に関
する投影面積が小さくなるため、その状態となったカム
ピースの軸穴にシャフトを挿通させることができなくな
ったり、軸穴の内周面をシャフトが擦って所謂かじりが
発生する可能性があるなどの問題があった。そして、カ
ムピースが傾いた状態からその軸穴にシャフトを挿通す
ることができたとしても、カムピースのシャフトに対す
る軸方向の固定位置がずれる場合がある。製造するカム
シャフトが内燃機関の動弁機構に使用される三次元カム
である場合には、特に、給排気バルブの開閉時期に誤差
が生じるという問題もあった。
【0012】本発明は、上述した問題に鑑みてなされた
もので、簡単な構成で、シャフトと各カムピースの軸穴
との間に発生した芯ズレを吸収してカムピースを所定の
位相で正確にシャフトに組み付けることができるカムシ
ャフトの製造装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1のカムシャフト
の製造装置に係る発明は、上記課題を解決するため、軸
穴を有する複数のカムピースをそれぞれ所定の位相でシ
ャフトに固定してなる、カムシャフトの製造装置であっ
て、各カムピースをそれぞれ保持する保持手段をそれぞ
れ有する複数のカムテーブルと、該複数のカムテーブル
に保持された各カムピースの軸穴をシャフト挿入軸芯上
に整列させるように各カムテーブルを位置させる第1位
置、および、該第1位置からシャフト挿通軸芯の周方向
に離れて変位した第2位置、の間で移動させる変位手段
と、各カムテーブルが第1位置に移動されて各カムピー
スの各軸穴がシャフト挿通軸芯に整列されたときに各カ
ムピースの各軸穴にシャフトを挿通する手段と、を備え
ており、各カムーブルに保持された各カムピースの、各
カムテーブルの移動方向への遊動を許容する機構、およ
び、各カムテーブルの移動方向と直交する方向への遊動
を許容する機構を有することを特徴とするものである。
請求項2のカムシャフトの製造装置に係る発明は、上記
課題を解決するため、請求項1に記載の発明において、
各カムテーブルに保持された各カムピースの、各カムテ
ーブルの移動方向への遊動を許容する機構が前記変位手
段に設けられ、各カムテーブルの移動方向と直交する方
向への遊動を許容する機構が前記保持手段に設けられて
いることを特徴とするものである。請求項3のカムシャ
フトの製造装置に係る発明は、上記課題を解決するた
め、請求項1または2に記載の発明において、各カムテ
ーブルが、各カムピースの前記所定の位相と直交する方
向に移動するよう配設されていることを特徴とするもの
である。請求項4のカムシャフトの製造装置に係る発明
は、上記課題を解決するため、請求項1〜3のいずれか
に記載の発明において、各カムテーブルの移動方向に沿
った両側縁をリニアガイドによって支持することを特徴
とするものである。
【0014】請求項1の発明では、各カムテーブルを第
1位置からシャフト挿通軸芯の周方向に退避した第2位
置に位置させ、各カムピースを保持手段にセットし保持
させる。次いで、各カムテーブルを第1位置に前進移動
させて、各カムピースの各軸穴をシャフトの挿入軸芯に
整列させ、挿通手段によってシャフトを軸方向に移動さ
せて各カムピースの各軸穴に挿通する。このとき、カム
ピースの軸穴がシャフト挿入軸芯に対して芯ズレしてい
ることによりシャフトの先端がカムピースの軸穴の周囲
に衝突する場合であっても、各カムテーブルの変位方向
への遊動を許容する機構と、各カムテーブルの変位方向
と直交する方向への遊動を許容する機構とにより、カム
ピースが傾くことなく遊動して、芯ズレが吸収される。
そのため、シャフトに径方向の応力が加わることなく、
また、各カムピースの軸穴がシャフトによって擦られる
ことがない。したがって、シャフトと各カムピースの軸
穴の間に所謂かじりや傷が発生することなく、芯ズレが
修正されて軸穴にシャフトが適切に挿通される。請求項
2の発明では、請求項1に記載の発明において、前記変
位手段が各カムピースの、各カムテーブルの移動方向へ
の遊動を許容する機構として機能し、前記保持手段が各
カムピースの、各カムテーブルの移動方向と直交する方
向への遊動を許容する機構として機能するため、従来の
技術のように専用のフローティングホルダを必要とする
ことがなく、簡単な構成となって、コストが削減され
る。請求項3の発明では、請求項1または2に記載の発
明において、各カムテーブルが、各カムピースの前記所
定の位相と直交する方向に移動するよう配設されてい
る、言換えれば、第2位置が各カムピースの前記所定の
位相と直交する方向に設定されていることにより、各カ
ムテーブルは、保持手段が各カムピースを前記所定の位
相で保持するよう構成され、シャフト挿通部が第1位置
側の側縁に開放するよう形成される。そのため、各カム
ピースを保持手段にセットし保持させるに際して、各カ
ムピースは、各カムテーブルに対して最大の面積で接地
するため、安定した状態で保持される。また、シャフト
を各カムピースの各軸穴に挿通した後に各カムテーブル
を第2位置に後退移動させることによりシャフトが各カ
ムテーブルのシャフト挿通部から相対的に抜き出され
て、製造されたカムシャフトが取り出し可能となる。請
求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の発
明において、各カムテーブルの移動方向に沿った両側縁
がリニアガイドによって支持されていることにより、各
カムテーブルの剛性が向上し、各保持手段によって各カ
ムピースがより確実に安定して各カムテーブルに保持さ
れる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
1〜図12に基づいて詳細に説明する。なお、この実施
の形態におけるカムシャフトCSは、カムプロフィール
が回転軸方向に連続して変化し、カムプロフィール面と
隣接する両側面の面積を異ならせて成形された3次元カ
ムピースCが使用されており、主に、V型6気筒エンジ
ンの給排気弁の動弁機構に使用されるものを製造する場
合により説明する。同一符号は、同一部分または相当す
る部分を示すものとする。
【0016】この実施の形態におけるカムシャフトの製
造装置は、概略、軸穴Caを有する複数のカムピースC
をそれぞれ所定の位相でシャフトSに固定してなる、カ
ムシャフトCSを製造するための装置であって、各カム
ピースCをそれぞれ保持する保持手段6をそれぞれ有す
る複数のカムテーブル1(a〜h)と、各カムピースC
の軸穴Caを拡径させる加熱手段2と、複数のカムテー
ブル1(a〜h)に保持された各カムピースCの軸穴C
aをシャフト挿入軸芯CL上に整列させるように各カム
テーブル1(a〜h)を位置させる第1位置、および、
該第1位置からシャフト挿通軸芯CLの周方向に離れて
変位した第2位置、の間(X方向)で移動させる変位手
段3と、各カムテーブル1(a〜h)が第1位置にある
ときに保持された各カムピースCの各軸穴Caにシャフ
トSを挿通すべくシャフトSを保持してその軸方向に移
動させるシャフト挿通手段4と、を備えている。各カム
テーブル1(a〜h)は、各カムピースCを保持する保
持手段6(以下、クランパ6という)と、第1位置にお
いて前記所定の位相で保持された各カムピースCの軸穴
Caと対応してシャフトSを挿通させることができ、且
つ、側縁に開放して各カムテーブル1(a〜h)を第1
位置で挿通されたシャフトSから抜き出して第2位置に
移動させることができるように形成されたシャフト挿通
部7と、を有している。そして、本発明のカムシャフト
の製造装置は、各カムーブル1(a〜h)に保持された
各カムピースCの、各カムテーブル1(a〜h)の移動
方向(X方向)への遊動を許容する機構(以下、X方向
フローティング機構という)、および、各カムテーブル
1(a〜h)の移動方向と直交する方向(Y方向)への
遊動を許容する機構(以下、Y方向フローティング機構
という)を有している。さらに、本発明のカムシャフト
の製造装置は、X方向フローティング機構が変位手段に
設けられ、Y方向フローティング機構が保持手段に設け
られており、各カムテーブルが、各カムピースの前記所
定の位相と直交する方向に移動するよう配設され、各カ
ムテーブルの移動方向に沿った両側縁がリニアガイドに
よって支持されている。また、この実施の形態における
カムシャフトの製造装置の各カムテーブル1(a〜h)
は、保持手段6が各カムピースCを前記所定の位相で保
持するよう構成され、シャフト挿通部7が第1位置側の
側縁に開放するよう形成され、第2位置が各カムピース
CのノーズCbが向く方向である前記所定の位相と直交
する方向に設定されている。そして、各カムテーブル1
(a〜h)は、シャフトSに固定するカムピースCの位
相に応じてシャフトSの挿入軸芯CLの周方向に、12
0度の角度の間隔で3列で、シャフトSの挿入軸芯CL
を中心として放射状に配列されている。
【0017】各カムテーブル1(a〜h)は、平板状の
部材により構成されてなるもので、図6などに示すよう
に、その上面の略中央部には、クランパ6が設けられて
いる。クランパ6は、リニアガイド5(後述する)によ
ってそれぞれX方向と直交する方向(Y方向)に移動可
能に支持された一対からなるクランプアーム60、60
と、両クランプアーム60、60の間に設けられて両者
を近接・遠退させるように駆動するアクチュエータ61
と、により構成されている。両クランプアーム60、6
0はX方向に延在するように配置されている。クランパ
6のリニアガイドは、カムテーブル1(a〜h)の上面
にY方向に延在するように設けられたスライドレール6
2と、各クランプアーム60,60の中間部に設けられ
たスライドレール62に摺動可能に係合されるスライダ
63と、により構成されている。アクチュエータ61
は、その本体が一方のクランプアーム60の後端に設け
られており、その伸長・退縮駆動される駆動ロッド61
aが他方のクランプアーム60の後端に接続されてい
る。クランプアーム60,60のY方向の両外側には、
クランプアーム60の開き位置を規制する外側ストッパ
64,64がそれぞれ立設されており、また両クランプ
アーム60,60の間には、クランプアーム60の閉じ
位置を規制する内側ストッパ65が設けられている。こ
のように構成することにより、クランパ6は、カムテー
ブル1(a〜h)のY方向の大きさがコンパクトなもの
となっており、カムテーブル1(a〜h)の両側縁を支
持するリニアガイド5,5に干渉することがない。
【0018】Y方向フローティング機構は、クランパ6
のクランプアーム60、60がリニアガイドによってそ
れぞれY方向に移動可能に支持されており、アクチュエ
ータ61が両クランプアーム60、60を互いに近接・
遠退駆動させるように両者の間に設けられており、内側
ストッパ65のY方向の長さが、クランプ部材67、6
6によってカムピースを保持したときのクランプアーム
60、60の間隔よりも僅かに小さく、図12に示すよ
うに、Y方向のクリアランスCyを有するように成形さ
れていることにより構成されている。アクチュエータ6
1の退縮駆動によって保持されたカムピースの軸穴にY
方向の芯ズレが生じている場合には、クランプアーム6
0と内側ストッパ65との間のクリアランスCyによ
り、クランプアーム60、60がY方向に移動すること
ができるフローティング構造のため、かかる芯ズレを吸
収し、修正することができる。
【0019】両クランプアーム60,60の前端には、
保持する各カムピースCのノーズ側の先端部Cbおよび
その反対側である基端部Ccの形状に応じて成形された
クランプ部材67、66が取付けられている。各カムピ
ースCを各カムテーブル1(a〜h)に対してそれぞれそ
れぞれX方向と略直交するY方向に向けて同様にセット
して保持するため、各クランプ部材67、66を同じ形
状に成形することができ、しかも、各カムピースCを確
実に正確な角度で安定して保持することができる。な
お、クランプ部材66、67は、カムピースCを保持す
るための形状に限定されることなく、必要に応じて他の
ものを保持することができるように成形することもでき
る。例えば、カムシャフトCsに、その軸周りの回転角
度(姿勢)を検出するための角度センサR(図3を参
照)を設ける場合には、その角度センサRを組み付ける
位置に対応する所定のカムテーブル(例えば、1(a)
と1(d))に設けられるクランパ6のクランプ部材6
6、67は、かかる角度センサRを保持することができ
るような形状に成形される。そして、この実施の形態で
は、シャフトSに対して6つのカムピースCと2つの角
度センサRを組付けるために、8つのカムテーブル1
(a〜h)を有している。角度センサRを組付ける必要が
ない場合には、6つのカムテーブル(例えば、1
(b),1(c)と、1(e),1(f)と、1
(g),1(h))を用意し、または、所定のカムテー
ブル(1(a)と1(d))のクランパ6は空の状態と
することにより対応することができる。
【0020】各カムテーブル1(a〜h)に設けられる
シャフト挿通部7は、それぞれ第1位置に向かう前方縁
に開放するように切り欠き形成されている。シャフト挿
通部7のY方向の幅は、シャフトSの直径よりも僅かに
大きく設定されている。そして、シャフト挿通部7のX
方向の長さは、クランパ6に保持されたカムピースCの
軸穴Caと共にシャフトSを挿通することができるよう
に、カムピースCの軸穴Caと整合するように設定され
ている。シャフト挿通部7が各カムテーブル1(a〜
h)の第1位置に向かう前方縁に開放するように形成さ
れているため、各カムテーブル1(a〜h)は、カムシャ
フトCSの各カムピースCの間に位置するシャフトSが
相対的に抜かれて第2位置に退避するように後退移動す
ることができる。
【0021】V型6気筒エンジンの給排気弁の動弁機構
に使用されるカムシャフトCSを製造する場合、この実
施の形態では、1本のシャフトに対して6個のカムピー
スCと2個の角度センサRを組付けるために、以上のよ
うにそれぞれ構成されたカムテーブル1は、8つ(a〜
h)が用意される。そして、カムピースCは、2個を一
組として、角度センサRと共に、シャフトSの軸周りに
120度の位相を持って組み付けられる。そのため、図
3に平面図で示すように、カムテーブル1(a),1
(b),1(c)と、1(d),1(e),1(f)
と、1(g),1(h)がそれぞれ平面視でシャフトS
の挿入軸芯CLの周囲に120度の間隔を持って放射状
に、その挿入軸芯CLに向かって配列されている。すな
わち、カムテーブル1(a),1(b),1(c)と、
1(d),1(e),1(f)と、1(g),1(h)
のそれぞれの第1位置と第2位置との間のX方向は、シ
ャフトSの挿入軸芯CLの周方向に120度の間隔を持
った位相となっている。また、各カムテーブル1(a〜
h)は、製造するカムシャフトCsに応じてカムピース
Cを所定の高さおよび間隔で保持することができるよう
に且つ水平方向に移動可能に支持されており、図1など
に示すように、それぞれが第2位置にあるときに側面視
で階段状となるように配列されている。
【0022】このように、本発明では、各カムテーブル
1(a〜h)のクランパ6が各カムピースCを組付ける
位相に応じてそれぞれノーズCbをY方向に向かせて同
様の姿勢で保持するよう構成され、各カムテーブル1
(a〜h)の第1位置と第2位置との間で移動する方向
が各カムピースCの保持された所定の位相と直交するX
方向に設定されており、シャフト挿通部7がシャフトS
の挿通軸芯CLと対向する第1位置側の側縁に開放する
よう形成されていることにより、各カムピースCを各カ
ムテーブル1(a〜h)に対して最大で一定の面積で接
地させるため、従来の技術よりも安定した状態で保持す
ることができる(図7の斜線で示した部分と図13の斜
線で示した個々の部分とを参照・比較されたい)。
【0023】図1および図3に示すように、基台9の下
方支持板90の上面には、リニアガイド5として、カム
テーブル1(a),1(b),1(c)と、1(d),
1(e),1(f)と、1(g),1(h)のうちでそ
れぞれ垂直方向に関して最下位置にあるカムテーブル1
(a),1(d),1(g)のX方向に沿った両側縁を
支持するための一対のスライドレール50,50がそれ
ぞれのX方向に平行に所定の高さで設けられている。ま
た、カムテーブル1(a),1(b)と1(d),1
(e)と1(g)の上面にも、リニアガイド5として、
それぞれ直上に隣接するカムテーブル1(b),1
(c)と1(e),1(f)と1(h)をそれぞれ支持
するための一対のスライドレール50,50がそれぞれ
のX方向に平行に設けられている。そして、各カムテー
ブル1(a〜h)の下面には、スライドレール50に摺
動可能に係合されるスライダ51が設けられている。こ
のような構成により、各カムテーブル1(a〜h)は、
保持したカムピースCの軸穴CaがシャフトSの挿入軸
芯CLと整合する第1位置とこの第1位置から水平方向
に離れた第2位置との間でそれぞれのX方向に移動する
ことが可能となっている。そして、各カムテーブル1
(a〜h)のX方向に沿った両側縁がリニアガイド5、5
によって安定して支持されるため、芯ズレが生じている
ことによってカムピースCの軸穴Caの周辺にシャフト
Sの先端が衝突した場合であっても、カムピースCを保
持する各カムテーブル1(a〜h)を傾かせるように作用
する力に対して対抗する剛性を向上させることができ
る。
【0024】さらに、図6に示すように、各カムテーブ
ル1(a〜h)のシャフト挿通部7の近傍には、保持し
たカムピースCの軸穴CaをシャフトSの挿入軸芯CL
と整合させた第1位置にカムテーブル1(a〜g)があ
るときに、それぞれ直上に隣接するカムテーブル1(b
〜h)のシャフト挿通部7の近傍との間に介在してサポ
ートする受け部材8が設けられている。このような構成
により、各カムテーブル1(a〜h)が第1位置にあると
きに上下に隣接するカムテーブル1がそれぞれサポート
されるため、芯ズレが生じることによってカムピースC
の軸穴Caの周辺にシャフトSの先端が衝突した場合で
あっても、カムピースCを保持する各カムテーブル1
(a〜h)を撓ませるように作用する力に対して対抗する
剛性を向上させることができる。なお、各受け部材8
は、概念的に説明するために図9(カムテーブル1
(g)、1(h)については図示を省略した)に示すよ
うに、第1位置に各カムテーブル1(a〜h)を変位さ
せたときに垂直方向に整合して水平面上で同位置となる
ように配設することが望ましい。
【0025】なお、本発明は、上述したようにV型6気
筒エンジンの給排気弁の動弁機構に使用されるカムシャ
フトを製造する実施の形態に限定されることなく、例え
ば図10に平面図で示すように、直列型の4気筒エンジ
ンの給排気弁の動弁機構に使用されるカムシャフトを製
造する場合にも適用できる。かかる場合には、例えば、
9つのカムテーブル1(a〜i)が用意される。カムテ
ーブル1(a),1(b),1(c),1(d)と、1
(e),1(f),1(g),1(h),1(i)は、
平面視でシャフトSの挿入軸芯CLの周囲に90度の間
隔を持って、その挿入軸芯CLに向かって2列で配列さ
れている。したがって、この場合においては、カムテー
ブル1(a),1(b),1(c),1(d),と、1
(e),1(f),1(g),1(h),1(i)のそ
れぞれのX方向は、シャフトSの挿入軸芯CLの周方向
に90度の間隔を持った位相で異なることとなる。この
ように、本発明は、製造するカムシャフトに応じて、必
要な数のカムテーブル1が用意され、平面視でシャフト
Sの挿入軸芯CLの周囲に所定の角度の間隔を持った位
相で配列される。図10に示した実施の形態では、1つ
のシャフトSに対して8つのカムピースCを組付けると
共に、1つの角度センサRを上端に組付けるために、9
つのカムテーブル1(a〜i)が用意さていれる。そし
て、最上位置のカムテーブル1(i)に設けられるクラ
ンパ6のクランプ部材66、67は、かかる角度センサ
Rを保持することができるような形状に成形される。
【0026】変位手段3は、各カムテーブル1(a〜
h)の一方の側方に沿って配設されたアクチュエータ3
0と、このアクチュエータ30によってそれぞれのX方
向に移動されるスライダ31と、各カムテーブル1(a
〜h)の一方の側縁に設けられスライダ31に係合され
る係合部材32と、を備えてなる。アクチュエータ30
によりスライダ31をX方向に移動させるのに伴って、
係合部材32が設けられた各カムテーブル1(a〜h)
は、第1位置とそれぞれの第2位置との間で変位され
る。
【0027】ここで、第1位置とは、各カムテーブル1
(a〜h)のクランパ6に保持されたカムピースCの軸
穴CaがシャフトSの挿入軸芯CLと整合する位置をい
い、第2位置とは、各カムテーブル1(a〜h)がシャ
フトSの挿入軸芯CLからそれぞれX方向に退避して階
段状に配列される位置をいう。そして、シャフトSの挿
入軸芯CLとは、各カムテーブル1(a〜h)が第1位
置に移動されたときに、整列されたカムピースCの軸穴
Ca軸芯またはこの軸穴Caに挿入するシャフトSの軸
芯を意味する。そして、シャフトSを挿入する前におい
ては、後述するように位置決めされたシャフトSの軸芯
の延長線を意味する
【0028】X方向フローティング機構は、図11に示
すように、スライダ31の係合部材32と係合されるX
方向の長さが、係合部材32のX方向の長さよりも僅か
に大きく、すなわち、スライダ31と係合部材32との
間にX方向にクリアランスCxを有するように成形され
ていることにより構成されている。クランパ6に保持さ
れたカムピースCの軸穴CaにX方向の芯ズレが生じて
いる場合には、スライダ31と係合部材32との間のX
方向のクリアランスCxにより、カムテーブル1(a〜
h)がそれぞれのX方向に移動することができるフロー
ティング構造のため、かかる芯ズレを吸収し、修正する
ことができる。そして、このX方向フローティング機構
と上述したY方向フローティング機構との組み合わせに
より、クランパ6によってカムテーブル1(a〜h)上
に保持されたカムピースCの軸穴Caに生じたX方向お
よびY方向の合成した全ての方向の芯ズレを吸収し、修
正することができる。
【0029】加熱手段2は、図1のみに示すように、各
カムテーブル1(a〜h)が第2位置にあるときにそれ
ぞれ保持されたカムピースCに対して当接または近接さ
れるヒータ20と、このヒータ20をカムピースCに対
して当接または近接させ、また、カムピースCから退避
させるよう駆動するアクチュエータ21と備えている。
各ヒータ20は、各カムテーブル1(a〜h)の配列毎
に、支持部材22によって連結され、対応する各カムテ
ーブル1(a〜h)に保持されたカムピースCの水平位
置および高さに応じて階段状に支持されている。各アク
チュエータ21の駆動ロッド21aは支持部材22に連
結されており、また、支持部材22に設けられたガイド
ロッド23が上方支持板91に挿通されている。アクチ
ュエータ21の駆動ロッド21aを伸長駆動させること
により、支持部材22に支持されたヒータ20が下降し
てカムピースCに当接または近接され、また、駆動ロッ
ド21aを退縮駆動させることにより、支持部材22に
支持されたヒータ20を上昇させてカムピースCから退
避させる。なお、図1では、カムテーブル1f,1gと
対応する加熱手段2を省略示していることに注意された
い。
【0030】挿通手段4は、図4に示すように、シャフ
トSに一端を仮支持するクランパ40と、クランパ40
に仮支持されたシャフトSの軸方向の位置を位置決めす
る位置決め機構41と、位置決めされたシャフトSの他
端を支持して各カムテーブル1(a〜h)が第1位置に
あるときのカムピースCの軸穴CaにシャフトSを案内
する支持機構42と、シャフトSをその軸方向に変位さ
せてカムピースCの軸穴CaにシャフトSを挿通させる
挿通機構43と、を備えている。
【0031】位置決め機構41は、昇降移動板44のブ
ラケット440の下面に設けられた基準センタピン41
0(図4および図5)と、この基準センタピン410に
対してクランパ40に仮支持されたシャフトSの一端を
押し当てて係合させるアクチュエータ411とを備えて
いる。アクチュエータ411は、作動部材412を介し
てクランパ40と連結されている。作動板412には、
昇降移動板44のブラケット440に挿通されるガイド
ロッド413が設けられている。シャフトSの両端面に
は、それぞれ位置決め用のテーパ状の凹部(図示は省略
する)が形成されている。アクチュエータ411の駆動
により一端の凹部に基準センタピン410が押し当てら
ると、シャフトSの一端は軸方向および径方向に位置決
めされる。
【0032】支持機構42は、昇降移動板44に設けら
れたアクチュエータ420と、アクチュエータ420の
駆動ロッド420aにブラケット421を介して設けら
れたセンタロッド422と、を備えている。センタロッ
ド422は、各カムテーブル1(a〜h)に支持された
カムピースCの軸穴Caよりも小径で、全てのカムピー
スCの軸穴Caを通過して、位置決め機構41により一
端が支持位置決めされたシャフトSの他端に押し当てる
ことができる長さに設定されている。
【0033】挿通機構43は、位置決め機構41の基準
センタピン410と支持機構42のセンタロッド422
を軸方向に移動させるアクチュエータ420とが設けら
れた昇降移動板44を昇降移動させるもので、基台9に
立設された一対の支持柱92にはそれぞれスライドレー
ル430が垂直方向に延在するように設けられており、
このスライドレール430には、昇降移動板44に設け
られたスライダ431が摺動可能に係合されている。そ
して、基台9にはモータ432によって軸周りに回転駆
動されるボールねじ軸433がスライドレール430と
平行に設けられており、昇降移動板44にはボールねじ
軸433に螺合されるボールねじナット434が設けら
れている。モータ432を駆動することにより、軸周り
にボールねじ軸433が回転されてこれに螺合されたボ
ールねじナット434と共に、シャフトSの両端を位置
決め保持した基準センタピン410およびセンタロッド
422を軸方向に移動させる。
【0034】以上のように構成されたカムシャフトの製
造装置は、図2に平面図で示すように、その周囲を取り
囲むように安全柵93が設けられている。各カムテーブ
ル1(a〜h)を第2位置に後退させた状態で、安全柵
93の外側から作業者が各カムテーブル1(a〜h)の
クランパ6にカムピースCを、そのノーズCbがそれぞ
れのY方向と同じ向きとなるように、容易にセットする
ことができる。
【0035】次に、本発明のカムシャフトの製造装置の
作動を、図1から図9に示したように構成されたもので
ある場合により説明する。この実施の形態におけるカム
シャフトの製造装置では、概略、複数のカムピースCの
各軸穴CaにシャフトSを挿通して、各カムピースCを
それぞれ所定の位相でシャフトSに固定するもので、シ
ャフト挿通軸芯CLの周方向であって各カムピースCの
前記所定の位相と直交するX方向に離れて変位した第2
位置で、各カムピースCをそれぞれカムテーブル1(a
〜h)上のクランパ6に前記所定の位相で保持し、シャ
フトSの挿通軸芯CL上に各カムピースCの各軸穴Ca
が整列する第1位置に各カムテーブル1(a〜h)を移
動させ、各カムピースCの各軸穴CaにシャフトSを挿
入し固定してカムシャフトCSを得て、各カムピースC
をそれぞれカムテーブル1(a〜h)のクランパ6から
解放し、各カムテーブル1(a〜h)を前記第2位置に
後退移動させることにより、シャフトSから各カムテー
ブル1(a〜h)を相対的に抜き出してカムシャフトC
Sを取り出すものである。さらに本発明のカムシャフト
の製造装置では、上述した構成に加えて、カムシャフト
Sを軸方向に移動させてカムピースCをカムテーブル1
(a〜h)から離間させることにより、各カムピースC
をそれぞれカムテーブル1(a〜h)から解放するもの
である。なお、ここでは便宜上、カムテーブル1(a〜
h)の各クランパ6にそれぞれカムピースCを保持させ
ると記載したが、図1〜図9に示した実施の形態の場
合、正確には後述するように、カムテーブル1(a〜
h)のうちの所定のカムテーブル(例えば、1(b),
1(c)と、1(e),1(f)と、1(g),1
(h))の各クランパ6に保持させ、他のカムテーブル
(例えば、1(a),1(d))のクランパ6には角度
センサRを保持させる。
【0036】本発明の装置を使用してカムシャフトCS
を製造するに際しては、最初に、各カムテーブル1(a
〜h)をシャフトSの挿入軸芯CLからそれぞれ所定の
距離で離間して階段状となる第2位置に位置させてお
く。この状態で、安全柵93の外側から作業者がそれぞ
れ配列された各カムテーブル1(a),1(b),1
(c)と1(d),1(e),1(f)と1(g),1
(h)の各クランパ6にカムピースCまたは角度センサ
Rを所定の位相にセットする。この実施の形態で使用さ
れる製造装置では、各カムテーブル1(a〜h)がカム
ピースCを組付ける所定の位相に応じてシャフトSの挿
入軸芯CLの周囲に放射状に3列で配列されているた
め、各列のカムテーブル1(a),1(b),1(c)
と1(d),1(e),1(f)と1(g),1(h)
に対してカムピースCのノーズCbをそれぞれ同じ方向
に向けてセットすることができる。なお、上述したよう
に、必要に応じて角度センサをシャフトSに設ける場合
には、その角度センサRを所定のカムテーブル1
(a),1(h)のクランパ6にセットする。次いで、
クランパ6のアクチュエータ61を駆動してクランプア
ーム60、60を互いに近接させ、クランプ部材66、
67によってカムピースCのノーズCbと基端部Ccを
保持する。このように保持されたカムピースCはそれぞ
れのX方向に対して略直交するY方向にノーズCbが向
いた状態で保持される。そして、各カムピースCは、そ
れぞれシャフト挿通部7が形成されたカムテーブル1
(a〜h)に対して、最大で一定の面積で接した状態で
安定して各クランパ6によって保持されることとなる。
【0037】その後、カムテーブル1(a〜h)を第2
位置に維持した状態で、加熱手段2のアクチュエータ2
1の駆動ロッド21aを伸長駆動し、カムピースCにヒ
ータ20を当接または近接させて加熱する。カムピース
Cの軸穴Caは、加熱前の室温においてはシャフトSの
径よりも僅かに小さく、例えば両者の径の差が約30μ
m程度となるように設定されている。そしてヒータ20
によりカムピースCを例えば室温+250℃程度に加熱
すると、その軸穴Caの径は、シャフトSよりも30μ
m程度大きくなる。この軸穴Caの拡大によってシャフ
トCを抵抗なく軸穴Caに挿通することが可能となる。
【0038】続いて、変位手段3のアクチュエータ30
を駆動しクランパ6に保持されたカムピースCをX方向
に前進移動させて第1位置にカムテーブル1(a〜h)
を位置させ、その軸穴CaをそれぞれシャフトSの挿入
軸芯CLに整列させる。また、カムピースCを保持した
各カムテーブル1(a〜h)が第1位置に移動されるまで
には、挿通手段4の昇降移動板44を最上位置に位置さ
せた状態でシャフトSをクランパ40に仮支持させ、位
置決め機構41のアクチュエータ411を駆動してシャ
フトSの一端を基準センタピン410に押し当てて位置
決めし、支持機構42のアクチュエータ420の駆動ロ
ッド420aを退縮駆動する。すると、センタロッド4
22が各カムCの軸穴Caおよびカムテーブル1(a〜
h)のシャフト挿通部7を通過してシャフトSの他端に
押し当てられ、シャフトSが基準センタピン410とセ
ンタロッド422の間で位置決めされる。
【0039】この状態で、挿通手段4の挿通機構43の
モータ432を駆動して昇降移動板44を下降させる
と、基準センタピン410とセンタロッド422の間で
位置決めされたシャフトSは、各カムピースCの軸穴C
aとカムテーブル1(a〜h)の各シャフト挿通部7に
挿通される。このとき、クランパ6に保持されたカムピ
ースCの軸穴Caに芯ズレが生じている場合であって
も、クランプアーム60と内側ストッパ65との間にク
リアランスCyを、また、スライダ31と係合部材32
との間にクリアランスCxを形成した簡単な構成のXお
よびY方向フローティング機構で、クランパ6によって
カムテーブル1(a〜h)上に保持されたカムピースC
の軸穴CaとシャフトSとの間に生じたX方向、Y方
向、およびX・Y複合方向への芯ズレを吸収し、修正す
ることができる。さらにこの実施の形態では、各カムテ
ーブル1(a〜h)のそれぞれのX方向に沿った両側縁
がリニアガイド5によって支持されており、しかも、各
カムテーブル1(a〜h)の受け部材8が垂直方向に整
列するために剛性が向上しているので、シャフトSの軸
芯と各カムピースCの軸穴Caとの間に相対的なズレ
(芯ズレ)が生じていることによってカムピースCの軸
穴Caの周辺にシャフトSの先端が衝突した場合であっ
ても、各カムテーブル1(a〜h)を傾かせるように作用
する力や撓ませるように作用する力に対して充分に対抗
することができ、したがって、カムピースCが傾くよう
なことなくカムテーブル1(a〜h)に安定して確実に保
持された状態で、芯ズレを吸収して各軸穴Caにシャフ
トSが所定の軸方向位置まで挿入される。続いて、各カ
ムピースCにエアを吹き付けるなどして冷却すると、カ
ムピースCの軸穴CaがシャフトSより小さい元の径に
収縮してシャフトSに適切な位置および位相で固定され
ることとなる。
【0040】その後、クランパ6のアクチュエータ61
を駆動してクランプアーム60、60を互いに離間さ
せ、クランプ部材66、67によるカムピースCの保持
を解除する。次いで、この実施の形態では、挿通手段4
の挿通機構43のモータ432を駆動して昇降移動板4
4を僅かに上昇させて、シャフトSに固定された各カム
ピースCをそれぞれカムテーブル1(a〜h)から浮か
せるように離間させる。
【0041】この状態から、変位手段3のアクチュエー
タ30を駆動して第2位置にカムテーブル1(a〜h)
を後退移動させる。各カムテーブル1(a〜h)のシャ
フト挿通部7がシャフトSの挿入軸芯CLに対向する側
の縁部に開放するように設けられていることにより、シ
ャフトSがシャフト挿通部7から相対的に抜き出され
る。このとき、カムシャフトCSの各カムピースCがそ
れぞれカムテーブル1(a〜h)から離間しているた
め、各カムピースCがそれぞれカムテーブル1(a〜
h)に擦れることなくカムシャフトCSを確実に取り出
すことができる。そして、カムテーブルを第2位置に後
退移動させると、カムシャフトCSを取り出すことがで
きるようになると同時に、次の製造サイクルで組み付け
られるカムピースCを各カムテーブル1(a〜h)にセッ
トすることができることから、従来の技術と比較して製
造サイクルの時間が短縮される。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、簡単な構成で、シャフ
トと各カムピースの軸穴との間に発生した芯ズレを吸収
してカムピースを所定の位相で正確にシャフトに組み付
けることができるカムシャフトの製造装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカムシャフトの製造装置の実施の一形
態を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明のカムシャフトの製造装置のカムテーブ
ルの配列を説明するための平面図である。
【図4】本発明のカムシャフトの製造装置の側面図であ
る。
【図5】図4の状態からシャフトをカムピースに挿入し
た状態を示す説明図である。
【図6】本発明のカムシャフトの製造装置におけるカム
テーブルと、カムテーブルをX方向に変位させるための
変位手段を説明するための平面図である。
【図7】本発明におるカムシャフトの製造装置のカムテ
ーブルと保持されるカムピースの接地面積を説明するた
めの部分拡大図である。
【図8】カムテーブルに設けられるクランパと切り欠き
を説明するための部分拡大平面図である。
【図9】第1位置にカムテーブルを集合させて積み重ね
た状態の一部を概念的に説明するための側面図である。
【図10】本発明のカムシャフトの製造装置の別の実施
の形態を説明するための平面図である。
【図11】X方向フローティング機構を説明するための
要部拡大平面図である。
【図12】Y方向フローティング機構を説明するための
要部拡大平面図である。
【図13】従来のカムテーブルに設けられたクランパと
切欠の構成を説明するための平面図である。
【符号の説明】
C カムピース Ca 軸穴 Cb ノーズ S シャフト CL シャフトの挿入軸芯 1a〜1h カムテーブル 2 加熱手段 3 変位手段 4 挿通手段 5 リニアガイド 6 クランパ 7 シャフト挿通部 8 受け部材 Cx クリアランス Cy クリアランス

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸穴を有する複数のカムピースをそれぞ
    れ所定の位相でシャフトに固定してなる、カムシャフト
    の製造装置であって、 各カムピースをそれぞれ保持する保持手段をそれぞれ有
    する複数のカムテーブルと、 該複数のカムテーブルに保持された各カムピースの軸穴
    をシャフト挿入軸芯上に整列させるように各カムテーブ
    ルを位置させる第1位置、および、該第1位置からシャ
    フト挿通軸芯の周方向に離れて変位した第2位置、の間
    で移動させる変位手段と、 各カムテーブルが第1位置に移動されて各カムピースの
    各軸穴がシャフト挿通軸芯に整列されたときに各カムピ
    ースの各軸穴にシャフトを挿通する手段と、を備えてお
    り、 各カムーブルに保持された各カムピースの、各カムテー
    ブルの移動方向への遊動を許容する機構、および、各カ
    ムテーブルの移動方向と直交する方向への遊動を許容す
    る機構を有することを特徴とするカムシャフトの製造装
    置。
  2. 【請求項2】 各カムテーブルに保持された各カムピー
    スの、各カムテーブルの移動方向への遊動を許容する機
    構が前記変位手段に設けられ、各カムテーブルの移動方
    向と直交する方向への遊動を許容する機構が前記保持手
    段に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の
    カムシャフトの製造装置。
  3. 【請求項3】 各カムテーブルが、各カムピースの前記
    所定の位相と直交する方向に移動するよう配設されてい
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のカムシャ
    フトの製造装置。
  4. 【請求項4】 各カムテーブルの移動方向に沿った両側
    縁をリニアガイドによって支持することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載のカムシャフトの製造装
    置。
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