JP2003201875A - 可変ピストンストローク型内燃機関 - Google Patents

可変ピストンストローク型内燃機関

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JP2003201875A
JP2003201875A JP2002024245A JP2002024245A JP2003201875A JP 2003201875 A JP2003201875 A JP 2003201875A JP 2002024245 A JP2002024245 A JP 2002024245A JP 2002024245 A JP2002024245 A JP 2002024245A JP 2003201875 A JP2003201875 A JP 2003201875A
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Japan
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piston stroke
piston
axis
internal combustion
combustion engine
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JP2002024245A
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English (en)
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Eiichi Kamiyama
栄一 神山
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B41/00Engines characterised by special means for improving conversion of heat or pressure energy into mechanical power
    • F02B41/02Engines with prolonged expansion
    • F02B41/04Engines with prolonged expansion in main cylinders
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/04Engines with variable distances between pistons at top dead-centre positions and cylinder heads
    • F02B75/048Engines with variable distances between pistons at top dead-centre positions and cylinder heads by means of a variable crank stroke length

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可変ピストンストローク型内燃機関が有する
種々の問題を解決し、内燃機関としての性能を向上させ
ることのできる内燃機関を提供すること。 【解決手段】 本発明の可変ピストンストローク型内燃
機関は、クランクシャフト5に回転可能に連結された中
間アーム6と、中間アーム6の動きを規制してピストン
2のストローク量をコントロールするコントロールロッ
ド7とを備えており、クランクシャフト5の回転軸に対
して垂直な平面上において、ピストン2の往復運動方向
にy軸を設定し、クランクシャフト5の回転軸を通り、
かつ、y軸に直角な方向にx軸を設定して座標軸を設定
し、ピストン2の圧縮方向をy軸の正方向、クランクシ
ャフト5の回転軸からx軸及びy軸の交点である原点に
向かう方向をx軸の正方向とした場合に、コントロール
ロッド7の他端揺動中心7aが、x-y座標軸系の第二象
限に位置していることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピストンストロー
ク量を可変制御する可変ピストンストローク型の内燃機
関に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の一般的な内燃機関(エンジン)に
おいては、ピストンのストローク量は一定で圧縮比も一
定である(バルブの開閉タイミングを変えることによっ
て、実効ストローク量や圧縮比を変えるエンジンは実用
化されているが、その制御範囲は限定的である)。しか
し、運転状態に応じて最適なピストンストローク量(及
び圧縮比)を得ることができれば、燃費性能や出力性能
を向上させることができる。そこで、ピストンストロー
ク量(及び圧縮比)を可変制御することによってこれら
の性能向上を図る可変ピストンストローク型の内燃機関
が発明考案されている。特開2000-73804号公報には、こ
のような可変ピストンストローク型内燃機関が記載され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
な可変ピストンストローク型内燃機関はまだ十分に実用
化されていると言える段階にはなく、実用化するには種
々の問題があり、更なる研究・改良が必要な段階にあ
る。本発明の目的は、このような可変ピストンストロー
ク型内燃機関が有する種々の問題を解決し、内燃機関と
しての性能を向上させることのできる可変ピストンスト
ローク型内燃機関を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の可変ピ
ストンストローク型内燃機関は、クランクシャフトと、
クランクシャフトに回転可能に連結された中間アーム
と、中間アームに一端が連結されたコネクティングロッ
ドと、コネクティングロッドの他端に連結されたピスト
ンと、中間アーム又はコネクティクングロッドに一端が
連結され、中間アームの動きを規制してピストンのスト
ローク量をコントロールするコントロールロッドとを備
えており、クランクシャフトの回転軸に対して垂直な平
面上において、ピストンの中心を通りピストンの往復運
動方向にy軸を設定し、クランクシャフトの回転軸を通
り、かつ、y軸に直角な方向にx軸を設定して座標軸を
設定し、ピストンの圧縮方向をy軸の正方向、クランク
シャフトの回転軸からx軸及びy軸の交点である原点に
向かう方向をx軸の正方向とした場合に、コントロール
ロッドの他端揺動中心が、x-y座標軸系の第二象限に位
置していることを特徴としている。
【0005】請求項2に記載の可変ピストンストローク
型内燃機関は、圧縮比とストローク量とをそれぞれ可変
制御するピストンストローク制御手段を備えており、ピ
ストンストローク制御手段が、高負荷・高回転時には高
圧縮比・長ストローク、高負荷・低回転時には低圧縮比
・長ストローク、低負荷時には、高圧縮比・短ストロー
クとなるように、圧縮比とストローク量とをそれぞれ制
御することを特徴としている。
【0006】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の可変ピストンストローク型内燃機関において、制御手
段が、エンジンブレーキ時には長ストロークとなるよう
にストローク量を制御することを特徴としている。
【0007】請求項4に記載の可変ピストンストローク
型内燃機関は、ピストンのストローク量を可変制御する
ピストンストローク制御手段を備えており、ピストンス
トローク制御手段が、エンジンブレーキによる制動力が
大きいほどストローク量を大きくする制御を行うことを
特徴としている。
【0008】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の可変ピストンストローク型内燃機関において、揺動す
るコントロールロッドの揺動中心となる上述した他端揺
動中心を円弧状に移動させる移動アームをさらに備えて
おり、他端揺動中心を移動アームの一端側に連結し、他
端揺動中心の円弧状の移動軌跡の中心となる移動アーム
の支点部をx軸のx>0の範囲内に配置したことを特徴
としている。
【0009】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の可変ピストンストローク型内燃機関において、他端揺
動中心の円弧状軌跡上の往復周期が、クランクシャフト
の回転周期の二倍に設定されており、吸気・圧縮時のピ
ストンストローク量が膨張・排気時のピストンストロー
クよりも小さくなるようになされていることを特徴とし
ている。なお、請求項6に記載の発明は4サイクルの内
燃機関に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の可変ストローク型内燃機
関の実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明す
る。図1に、本発明の可変ストローク型内燃機関(エン
ジン)の第一実施形態の断面図を示す。なお、図1に
は、吸排気系(吸排気バルブも含む)の構成については
図示が省略されている。図示されない吸排気系は従来の
一般的なエンジンと同様の構成である。
【0011】本実施形態のエンジン1は直列四気筒エン
ジンであり、ここではそのうちの一気筒のみが断面図と
して示されている。他の気筒に関しても同様の構造とな
っている。なお、本発明は直列四気筒エンジンに対して
だけでなく、他の気筒数の直列エンジンや他の形式(V
型や水平対向型など)のエンジンに対しても適用するこ
とができる。本実施形態のエンジン1は、ピストンスト
ローク量と圧縮比とをそれぞれ可変制御可能なものであ
る。即ち、ピストンストローク量と圧縮比とを独立して
設定することが可能である。
【0012】エンジン1は、内部にピストン2を往復運
動可能に収容したシリンダ3を有しており、ピストン2
には通常のエンジンと同様にコネクティングロッド4の
上端が連結されている。なお、以下の説明において、便
宜上、図1に示される上側(後述するy軸正方向)を上
方として説明する。コネクティングロッド4の下端は、
通常のエンジンのようにクランクシャフト5に直接連結
されておらず、中間アーム6の一端側に連結されてい
る。そして、この中間アーム6の他端側がクランクシャ
フト5に連結されている。クランクシャフト5がカウン
ターウェイト5aを有しているのは通常のエンジンと同
様である。
【0013】また、この中間アーム6には、中間アーム
6の動きを規制してピストン2のストローク量を制御す
るためのコントロールロッド7の一端が連結されてい
る。このコントロールロッド7の他端7aは、後述する
移動機構で移動可能に保持されている。コントロールロ
ッド7は、他端7aが揺動中心となって揺動する。上述
した各ロッドやアームの連結部は、回転可能な連結部と
なっているのは言うまでもない。これらの構成は、各シ
リンダ3毎に構築されている。
【0014】コネクティングロッド4は、ピストン2の
往復運動を効率よく受け止めるため、シリンダ3の下方
方向に延設されている。コネクティングロッド4の下端
及び中間アーム6の一端はピストン2の往復運動によっ
て回転運動をするが、中間アーム6の動きがコントロー
ルロッド7によって規制されており、中間アーム6の他
端を回転させることとなる。この結果、中間アーム6の
他端に連結されたクランクシャフト5が回転される。こ
のとき、中間アーム6の動きを規制しているコントロー
ルロッド7は他端揺動中心7aを中心にして揺動する。
【0015】コネクティングロッド4の下端(中間アー
ム6の一端)の回転運動を、中間アーム6の動きを規制
しつつ中間アーム6の他端で回転運動として取り出すの
で、必然的にクランクシャフト5の回転軸はピストン2
の往復振動軸に対してオフセットした位置に配置されて
いる。また、コントロールロッド7の他端7aの位置を
移動させるための機構がエンジンブロック8に取り付け
られている。なおエンジンブロック8の下方には、オイ
ルパン9が取り付けられている。上述したクランクシャ
フト5は、エンジンブロック8に対して回転可能に保持
されている(図1には、クランクシャフト5の軸受部な
どは図示されていない)。
【0016】コントロールロッド7の他端揺動中心7a
を移動させる移動機構は、他端揺動中心7aを回転可能
に支持する支持部を一端に有する支持ロッド10と、こ
の支持ロッド10の中央部に形成されたネジ部に螺合さ
れたギア11と、このギア11に噛み合うウォームギア
12aを出力軸に有するモータ12と、これらを内蔵す
る揺動ユニット13と、この揺動ユニット13を揺動さ
せるモータ14とからなる。モータ14に関しては、図
1には図示されておらず、図2及び図3に図示されてい
る。図2及び図3は、上述した移動機構のエンジンブロ
ック8への取付状態を示す斜視図である。
【0017】支持ロッド10は、各シリンダ3毎に用意
されており、その一端にコントロールロッド7の他端揺
動中心7aが連結されている。支持ロッド10は、その
中心軸方向に進退可能な状態で揺動ユニット13内に収
納されている。支持ロッド10の進退動は、ギア11・
ウォームギア12a・モータ12によって行われる。ギ
ア11・ウォームギア12a・モータ12も揺動ユニッ
ト13内に収納されている。支持ロッド10の中央部に
はネジ部が形成されており、ギア11の中央部のネジ孔
がこれに螺合されている。即ち、支持ロッド10がボル
ト、ギア11がナットのような関係で両者は螺合してい
る。
【0018】ギア11は、各シリンダ3毎に配設されて
いる各支持ロッド10に対してそれぞれ螺合されてい
る。ギア11が回転すると、支持ロッド10自体はコン
トロールロッド7と連結されているため回転できないの
で、支持ロッド10はその中心軸方向に進退動する。ギ
ア11は、ウォームギア12aによって回転される。ギ
ア11の外周部にはギア歯が形成されており、このギア
歯がウォームギア12aと螺合している。
【0019】ウォームギア12aは、外周に螺旋状のギ
ア溝を有する円柱状のもので、これは図2及び図3に示
されるように、全てのシリンダ3に対して垂直に、全て
のギア11に対して同時に螺合するように配置されてい
る。ウォームギア12aは、その中央部がモータ12の
内部を貫通しており、モータ12によって回転される。
このため、モータ12によってウォームギア12aを回
転させることで、コントロールロッド7の他端揺動中心
7aを支持ロッド10の中心軸方向に移動させることが
できる。
【0020】また、図2及び図3に示されるように、揺
動ユニット13は、ベアリングキャップ15によってそ
の両端がエンジンブロック8に対して取り付けられてい
る。このため、揺動ユニット13は、一対のベアリング
キャップ15による取付部を結んだ中心軸Pを中心にし
て揺動可能となっている。ただし、揺動ユニット13の
揺動可能な角度はそれほど大きくはない。そして、この
中心軸Pに出力軸を一致させるようにモータ14がエン
ジンブロック8に固定されている。モータ14の出力軸
と揺動ユニット13とは、中心軸Pを中心にして同時に
回転し得るように互いに嵌め合わされている。
【0021】このため、モータ14によって揺動ユニッ
ト13を揺動させると、その内部に収納された支持ロッ
ド10も中心軸Pを中心にして揺動されることになる。
この結果、コントロールロッド7の他端揺動中心7aを
支持ロッド10の中心軸方向に対してほぼ直角な方向に
円弧軌跡を描いて移動させることができる。即ち、モー
タ12及びモータ14を協調して制御することによっ
て、コントロールロッド7の他端揺動中心7aを平面的
に(二次元的に)移動させることができる。なお、揺動
ユニット13とエンジンブロック8との間の隙間には、
ゴムシール部材13aが配置されており、エンジンブロ
ック8内部の液密が保持されている。
【0022】モータ12及びモータ14は、図3に示さ
れるように、互いにCPU16に接続されている。CP
U16にはエンジン回転数やアクセル角度やその他の情
報が入力されており、これに基づいて最適なピストンス
トローク量と圧縮比とがCPU16によって算出され、
モータ12及びモータ14が制御される(最適なピスト
ンストローク量及び圧縮比を一旦算出せずに、モータ1
2及びモータ14の制御量が直接算出されるような制御
とすることも可能)。上述したこれらの機構がピストン
ストローク制御手段(本実施形態では圧縮比も制御可
能)として機能している。
【0023】このように、他端揺動中心7aを二次元的
に移動させることができるので、ピストン2のストロー
ク量と圧縮比とをそれぞれ独立させて制御することが可
能となる。もし仮に、他端揺動中心7aが支持ロッド1
0の中心軸方向に進退動だけが可能となっている場合
は、確かにピストン2のストローク量を可変制御するこ
とは可能であるが、設定されたストローク量に対して圧
縮比は一義的に決まってしまうので、ピストンストロー
ク量と圧縮比とを互いに独立して制御することはできな
い。
【0024】ピストンストローク量を可変制御できると
いうことは、吸入空気量制御をピストンストローク量制
御によって行うことができるということである。従来は
スロットルバルブなどの吸気抵抗となるものを吸気通路
上に配設して吸入空気量制御を行っており、ポンピング
ロスがどうしても大きくなってしまっていた。これに対
して、ピストンストローク制御によって吸入空気量制御
を行えば、ポンピングロスを低減でき、効率よくエンジ
ン1を運転することが可能となる。
【0025】また、スロットルバルブと併用したとして
も、スロットルバルブを全開にしてピストンストローク
量によって吸入空気量を行うこともでき、ポンピングロ
スを低減することはできる。そして、エンジン1の運転
状態に応じて(例えば、要求出力との関係から吸入空気
量制御をピストンストローク制御のみで行うのが好まし
くない状況なども考えられる)ピンストンストローク量
制御とスロットルバルブ制御を併用することによって吸
入空気量制御を行ったり、スロットルバルブ制御のみに
よって吸入空気量制御を行ったりすることも可能とな
り、より効率よい運転を行うことができる。
【0026】また、エンジン1での摩擦抵抗の全体の中
ではシリンダ3とピストン2との間の摩擦抵抗が大きな
比率を占めている。このため、ピストンストローク量を
変えることで摩擦抵抗をコントロールし、最適な運転状
態を実現することも可能である。例えば、エンジンブレ
ーキとして大きな制動力を得たいような場合は、ピスト
ンストローク量を大きく取れば摩擦抵抗が大きくなり、
大きな制動力を得ることも可能である。
【0027】さらに、本実施形態のエンジン1は、ピス
トンストローク量を可変制御することができるだけでな
く、圧縮比をも可変制御することができる。このため、
さらにきめ細かい制御を行うことができる。出力(負
荷)に応じて圧縮比を制御することによって高いエンジ
ン出力と効率を最適に制御することができる。また、S/
V比(燃焼室内表面積/燃焼室体積)が大きくなると冷却
損失が大きくなるということは一般に知られているが、
圧縮比によってはこのS/V比が大きくなって冷却損失が
増えてしまうような場合もあるので、圧縮比を制御する
ことによって冷却損失を制御することも可能である。
【0028】ピストンストローク量と圧縮比とについて
は、主として以下の三つの傾向を持って制御されること
となる。長ピストンストローク・高圧縮比、長ピストン
ストローク・低圧縮比、短ピストンストローク・高圧縮
比の三つである。なお、この三つはあくまでも傾向であ
り、ピストンストローク量は最小値から最大値にかけて
連続的に可変制御できるし、圧縮比も最小値から最高値
にかけて連続的に可変制御できる。本実施形態では、短
ピストンストローク・低圧縮比は、あまりメリットがな
いので積極的に用いられない。
【0029】これらの三つの傾向とエンジン回転数・出
力トルクとの関係を示す一例を図4に示す。図4に示す
グラフは、横軸がエンジン回転数、縦軸が出力トルクで
あり、領域Iが長ピストンストローク・高圧縮比、領域
IIが長ピストンストローク・低圧縮比、領域IIIが短ピ
ストンストローク・高圧縮比である。なお、ここでは分
かりやすいように領域に分けたが、実際の制御ではこれ
らの状況を連続的に(境界なく)可変制御することが好
ましい。
【0030】エンジンは、ピストンストロークが長いほ
ど高トルクを得られる。このため、出力トルクが高いほ
ど(高負荷であるほど)ピストンストローク長が長くな
るように設定されている(領域I,II)。また、冷却損失
について考慮する必要はあるが、一般に高圧縮比とした
方が高い出力(トルク)を得られる。そこで、高トルク
(高負荷)・高回転時は圧縮比も高く設定されている
(領域I)。しかし、出力トルクが高い場合でもエンジ
ン回転数が低い場合は、ノッキングの発生が懸念され
る。そこで、高トルク(高負荷)・低回転域では、圧縮
比を下げている(領域II)。
【0031】さらに、出力トルクが高くない(低負荷)
ときは、エンジン1での摩擦抵抗低減による燃費改善を
重視しつつ十分な出力も得るために、短ピストンストロ
ーク・高圧縮比とされている(領域III)。さらに、エ
ンジンブレーキ時(出力トルクがマイナスとなる領域I
I:領域IIIとされても良い)においては、エンジン1で
の摩擦抵抗を増加させてエンジンブレーキによって十分
な制動力を得るためにピストンストロークが長く設定さ
れている。これについては追ってさらに説明する。この
ようにピストンストローク量と圧縮比とを可変制御する
ことによって、最適な運転状態を創り出すことができ
る。
【0032】既に簡単に述べたが、ピストンストローク
量を大きくとることによって、エンジンブレーキによる
制動力を大きく得ることができる。そこで、エンジンブ
レーキによる制動力が大きいほどピストンストローク量
を大きくするようにしても良い。このようにすれば、エ
ンジンブレーキを効果的に利用することができる。この
場合、エンジンブレーキによる制動量を検出あるいは推
定する手段が必要となる。その一例としては、トランス
ミッションの出力軸系に回転センサを設置し、検出され
る回転数の積分値に基づいてエンジンブレーキ制動力を
検出・推定することができる。この方法であれば、マニ
ュアルトランスミッションを用いたものに対してもオー
トマチックトランスミッション(トルクコンバータ)を
用いたものに対しても適用することができる。
【0033】あるいは、エンジン回転数センサと、オー
トマチックトランスミッションの入力軸(トルクコンバ
ータより下流側のギア部直前)に設けた回転数センサと
によって検出される二つの回転数に基づいてエンジンブ
レーキ制動力を検出・推定することもできる。トルクコ
ンバータの前後の回転数を比較し、エンジン側の回転数
がオートマチックトランスミッション入力軸の回転数よ
りも小さい場合にはエンジンブレーキ時であると判断で
きる。そして、その差分が大きいほど、エンジンブレー
キによる制動力が大きく作用していると判断できる。こ
れらの判断は、二つの回転数の検出結果が入力されるE
CUなどによって行われる。
【0034】その他の例としては、エンジン回転数セン
サと、マニュアルトランスミッションの入力軸(クラッ
チより下流側のギア部直前)に設けた回転数センサとに
よって検出される二つのパルスの位相差に基づいてエン
ジンブレーキ制動力を検出・推定することもできる。ク
ラッチにはトーショナルダンパが内蔵されているので、
トルクコンバータの前後のパルスの位相差に変化が生じ
た場合は、正トルクあるいは負トルク(エンジンブレー
キ)が生じていると判断できる。定常状態であれば、二
つのパルスの位相差は一定であるはずである。
【0035】この定常状態の位相差を基本として、位相
差が拡大したら(エンジン側パルスに対してトランスミ
ッション側パルスが遅れたら)正トルクが負荷されてい
ると判断できる。一方、位相差が縮小したら(エンジン
側パルスに対してトランスミッション側パルスが早まっ
たら)負トルクが負荷されている、即ち、エンジンブレ
ーキ時であると判断できる。そして、この縮小側への位
相差が大きいほど、エンジンブレーキによる制動力が大
きく作用していると判断できる。これらの判断は、二つ
のパルスの検出結果が入力されるECUなどによって行
われる。
【0036】さらに、ここで、クランクシャフト5の回
転軸に対して直角な平面(図1に示される平面)におい
て、ピストン2(シリンダ3)の中心を通り、ピストン
2の往復運動方向にy軸を設定し、クランクシャフト5
の回転軸を通りy軸に直角な方向にx軸を設定してx-y
座標軸系を設定する。x軸とy軸との交点を原点Oと
し、x軸の正方向はクランクシャフト5の中心軸から原
点Oの方向とし、y軸の正方向はピストン2の圧縮方向
として設定する。このようにx-y座標軸を設定すると、
本実施形態におけるコントロールロッド7の他端揺動中
心7aは、第二象限内に位置されている。
【0037】なお、xが正・yが正の領域が第一象限、
xが負・yが正の領域が第二象限、xが負・yが負の領
域が第三象限、xが正・yが負の領域が第四象限であ
る。このように、他端揺動中心7aを第二象限に位置さ
せることで、好ましいストローク曲線(クランクアング
ルとピストン位置を示すグラフ上の曲線)と広範囲な圧
縮比を得ることが可能となる。コネクティングロッド4
や中間アーム6やコントロールロッド7の各連結点の幾
何学的位置が変わるとストローク曲線の形状も変わる
が、以下には、上述した連結点を代表的な位置に設定し
て得られるストローク曲線を、他端揺動中心7aを第一
・第二・第三・第四象限のそれぞれに設定した場合につ
いて示す。
【0038】図5が他端揺動中心7aを第一象限内に設
定した場合を示している。図6が他端揺動中心7aを第
二象限内に設定した場合を示している。図7が他端揺動
中心7aを第三象限内に設定した場合を示している。図
8が他端揺動中心7aを第四象限内に設定した場合を示
している。これらの図から、コントロールロッド7の他
端揺動中心7aを各象限内に設定した場合のピストンス
トローク量及び圧縮比との関係の傾向を知ることができ
る。
【0039】図5(b)には、他端揺動中心7aを図5(a)
における矢印方向に変化させた場合(二カ所)のピスト
ン2の位置とクランクアングルとの関係がグラフとして
示されている。ピストン2の位置が0mmとは、構造上
ピストン2がそれ以上上方に行かない位置を示してい
る。即ち、一つの曲線で最上位位置が上死点で、最下位
位置が下死点となる。ピストン2が0mmの位置にある
ときの上部空間体積とシリンダ3の断面積積とが分かっ
ていれば、図5(b)の曲線から圧縮比を求めることがで
きる。図5(b)から分かるように、他端揺動中心7aを
第一象限内に配置した場合は、ピストンストローク量の
可変範囲が狭く、十分な圧縮比を確保することができな
い。
【0040】図6(b)には、他端揺動中心7aを図6(a)
における矢印方向に変化させた場合(二カ所)のピスト
ン2の位置とクランクアングルとの関係がグラフとして
示されている。これが本実施形態のものである。図6
(b)から分かるように、他端揺動中心7aを第二象限内
に配置した場合は、ピストンストローク量の可変範囲を
広く設定することも可能で、十分な圧縮比を確保するこ
とができる。また、ピストンストロークの変化もサイン
カーブに近くピストン2が円滑に往復運動するので悪影
響がない。さらに重要なことに、これらの良好な傾向
は、ピストンストロークの可変域全体で得られる。
【0041】図7(b)には、他端揺動中心7aを図7(a)
における矢印方向に変化させた場合(三カ所)のピスト
ン2の位置とクランクアングルとの関係がグラフとして
示されている。図7(b)から分かるように、他端揺動中
心7aを第三象限内に配置した場合は、ピストンストロ
ーク量の可変範囲は広く確保でき、十分な圧縮比を確保
することができるが、ピストンストロークの変化がサイ
ンカーブとはかなり異なったものとなってしまう。この
ため、ピストン2の往復運動が円滑に行われず、振動が
大きくなるなど実用上の問題がある。
【0042】図8(b)には、他端揺動中心7aを第四象
限内に設定した場合のピストン2の位置とクランクアン
グルとの関係がグラフとして示されている。図8(b)か
ら分かるように、他端揺動中心7aを第四象限内に配置
した場合は、ピストンストローク量の可変範囲が狭く、
十分な圧縮比を確保することが困難である。また、ピス
トンストロークの変化がサインカーブとはかなり異なっ
たものとなってしまうので、ピストン2の往復運動が円
滑に行われない。これらの二つの問題点を考えると実用
は困難である。
【0043】次に、第二実施形態について説明する。上
述した第一実施形態のエンジン1は、ピストンストロー
ク量と圧縮比とを独立して可変制御することができるも
のであった。これに対して、第二実施形態のエンジン
は、ピストンストローク量を可変制御可能なものである
が、ピストンストローク量と圧縮比との関係は一対一の
関係にあるものである。しかし、上述した第一実施形態
に関して説明したように、ピストンストローク量と圧縮
比とを独立して制御できなくても、ピストンストローク
量を可変制御することによって得られる効果は享受する
ことができる。
【0044】図9に第二実施形態の図1相当図を示す。
なお、本実施形態のエンジンは、その多くの構成が第一
実施形態と共通している。そこで、第一実施形態と同一
又は同等の構成に関しては同一の符号を付してその詳し
い説明を省略する。また、本実施形態においても、コン
トロールロッド7の他端揺動中心7aは第二象限内に設
定されており、これに伴う利点を享受している。しか
し、本実施形態においては、他端揺動中心7aが支持ロ
ッドの中心軸方向にのみ移動可能となっている。即ち、
他端揺動中心7aの移動は第一実施形態のように二次元
(平面)的ではなく一次元(直線)的である。このた
め、本実施形態では、ピストンストローク量と圧縮比と
が一対一の関係となっている。
【0045】本実施形態においては、他端揺動中心7a
の移動機構のみが第一実施形態のものと異なっている。
本実施形態の移動機構は、エンジンブロック8に内蔵さ
れている。支持ロッド10や支持ロッド10に螺合され
ているギア11はエンジンブロック8に直接取り付けら
れている。そして、ギア11には、モータ120の出力
軸に取り付けられたギア120aが噛み合っている。モ
ータ120は、エンジンブロック8に固定されており、
各支持ロッド10に対して一つずつ配設されている。
【0046】モータ120を駆動させることによって、
支持ロッド10をその中心軸方向に進退動させることが
できる。この結果、コントロールロッド7の他端揺動中
心7aが移動し、ピストン2のストローク量が変更され
る。なお、モータ120に代えて、第一実施形態のよう
なモータ12とウォームギア12aとを配設しても良い
のは言うまでもない。このような構成としても、ピスト
ンストローク量を可変制御することができ、それによる
利点を享受することができる。
【0047】次に、第三実施形態について説明する。本
実施形態のエンジン1においても、ピストンストローク
量と圧縮比との関係は一対一の関係にある。上述したよ
うに、必要とされるピストンストローク量と圧縮比との
関係にはある程度の傾向がある(例えば、小ストローク
・低圧縮比は利用価値が低い、高出力時には高ストロー
ク・高圧縮としたい)。ピストンストローク量と圧縮比
との関係で有用な設定を実現し、十分なストローク可変
量を実現し、かつ、ピストン2が滑らかに往復運動させ
る他端揺動中心の位置を上述した座標軸上にプロットし
たところ、そのほとんどが第二象限内にほぼ円弧状に分
布した。
【0048】詳しくは、この円弧状は、その中心がx軸
の正の範囲(第一象限、第四象限及びx軸自体)側にあ
るような円弧であった。特に、円弧の中心が第一象限内
にある場合が好ましい。このように、コントロールロッ
ドの他端揺動中心を、x軸の正の範囲にある支点を中心
として円弧状に移動させることで、ピストンストローク
量(圧縮比)を効率よく制御することができる。本実施
形態は、このように他端揺動中心を移動させるために、
移動アームを用いる。
【0049】さらに、ピストンストローク量を可変制御
する場合に、運転条件に応じてピストンストローク量
(圧縮比)を制御する方法の他に、燃焼サイクル中でピ
ストンストローク量(圧縮比)を制御する方法も考えら
れる。本実施形態は、吸気・圧縮・膨張・排気の燃焼サ
イクル中で所定のピストンストローク(圧縮比)制御を
行うことを目的としたものである。なお、本実施形態の
エンジンは、燃焼サイクル中における周期的なピストン
ストローク量(圧縮比)制御だけでなく、運転状態など
に応じてピストンストローク量(圧縮比)制御を行うこ
とも可能な構成を有している。
【0050】本実施形態の機構を図10に示す。なお、
図10にはピストンストローク量を変更するためのリン
ク機構のみが示されており、シリンダなどの図示は省略
されている。また、上述した実施形態と同一又は同等の
構成部分には同一の符号を付してその詳しい説明を省略
する。
【0051】コントロールロッド7の一端は、上述した
実施形態では中間アーム6に連結されていたが、本実施
形態ではコネクティングロッド4の下端に連結されてい
る。このコントロールロッド7の一端の近傍には、コネ
クティングロッド4と中間アーム6との連結部が位置し
ているので、このようにしても、コントロールロッド7
によって中間アーム6の動きを規制してピストン2のス
トローク量を制御することができる。
【0052】そして、コントロールロッド7の他端揺動
中心7aは、移動アーム17Aの一端側に連結されてい
る。本実施形態の移動アーム17Aは、扇型をしてお
り、その円弧部分にはギア歯が形成されている。このギ
ア歯にはモータ18の出力軸に取り付けられたウォーム
ギア18aが噛み合っている。移動アーム17Aの円弧
部分の中心には、移動アーム17Aの移動させる際の中
心となる支点部17aが配置されている。支点部17a
は、第一象限内に位置する固定点である。移動アーム1
7Aは、モータ18を駆動することによって支点部17
aを中心にして移動され、他端揺動中心7aは支点部1
7aを中心に円弧状に移動される。
【0053】支点部17aには、回転角を検出する回転
角センサが取り付けられており、その出力は図示されな
いエンジンECUに送出されている。エンジンECUに
は、その他の情報も集められており、モータ13はこの
エンジンECUからの信号に基づいて制御されている。
特に、ここでは、燃焼サイクルの吸気・圧縮時のピスト
ンストローク量が短く、膨張・排気時のピストンストロ
ーク量が長くなるように、他端揺動中心7aの円弧状の
軌跡上での往復周期がクランクシャフト5の回転周期の
二倍となるように制御されている。モータ18は、この
周期で正逆回転されている。
【0054】図10に示されるように、他端揺動中心7
aが下方に位置しているとピストン2のストローク量は
長くなり、他端揺動中心7aが図10の状態から上方に
移動されるにつれてピストン2のストローク量は短くな
る。このようにして、吸気・圧縮時のピストンストロー
ク量が短く、膨張・排気時のピストンストローク量が長
くなるように、即ち、高膨張サイクルとすることで、熱
効率に優れた運転を行うことができる。
【0055】また、吸気時のピストンストローク量が少
なければ、ピストン2−シリンダ間のフリクション低減
とポンピングロス低減の効果もある。特に、ここでは、
圧縮時のTDCが排気時のTDCよりも低くなるように
もなっており、燃焼時にはより高圧縮比を得ると共に、
排気時にはピストン2と吸排気バルブとの干渉を避けつ
つ、適切なEGR量(気筒内に残留する燃焼後の熱い温
度のガスとしてのEGR)を得ることもできる。
【0056】なお、ここではピストンストローク量を燃
焼サイクルに同期させて制御しているが、本実施形態の
構成であればピストンストローク量を燃焼サイクルに同
期させないでも制御し得る。そこで、ピストンストロー
ク量を燃焼サイクルに同期させることを基本としつつ、
エンジンの運転状態に応じてピストンストローク量を変
更するような制御も可能である。当然、本実施形態の構
成で燃焼サイクルに同期させないでピストンストローク
量を制御することも可能である。このため、状況に応じ
て熱効率を向上させるようにピストンストローク量を変
更したり、出力を向上させるようにピストンストローク
量(圧縮比)を変更することもできる。
【0057】例えば、軽負荷〜中負荷域では熱効率を重
視して高膨張サイクルとなるように、高負荷域では出力
を重視して等膨張サイクルとなるように、エンジンブレ
ーキ時にはスロットルバルブを閉じてできるだけ長スト
ローク(ピストン2−シリンダ間の摩擦抵抗増加)とな
るようにピストンストローク量を制御する。
【0058】次に、第四実施形態について説明する。本
実施形態のエンジン1においても、ピストンストローク
量と圧縮比との関係は一対一の関係にある。また、本実
施形態のエンジンは、燃焼サイクル中における周期的な
ピストンストローク量(圧縮比)制御に特化したもので
ある。本実施形態では、ピストンストローク量(圧縮
比)制御を燃焼サイクルと同期させるために、ピストン
ストローク量(圧縮比)制御の駆動をクランクシャフト
の出力によって行う。このようにすることによって、同
期を容易に行えるだけでなく、コントロールシャフトの
他端揺動中心を円弧状に移動させるために新たなアクチ
ュエータを用意する必要がなくなる。
【0059】本実施形態の機構を図11に示す。なお、
図11には、図10と同様に、ピストンストローク量を
変更するためのリンク機構のみが示されており、シリン
ダなどの図示は省略されている。また、上述した実施形
態と同一又は同等の構成部分には同一の符号を付してそ
の詳しい説明を省略する。
【0060】本実施形態における移動アーム17Bは、
ほぼ直線状のアーム部材で、他端揺動中心7aと支点部
17aの他に、力点部17bを有している。力点部17
bは、支点部17aに対して他端揺動中心7aの反対側
に位置している。支点17aは、第一象限内に位置する
固定点である。力点部17bがテコの原理の力点、支点
部17aが支点、他端揺動中心7aが作用点として機能
している。そして、力点部17bには、リンクアーム1
9の一端が連結されており、リンクアーム19の他端は
ギア20Aに連結されている。
【0061】即ち、ギア20が回転することによって、
リンクアーム19の下端が回転される。これに伴って、
支点部17aの位置は動かないので、リンクアーム19
の上端は支点部17aを中心とする円弧を描いて上下に
往復運動する。この結果、他端揺動中心7aも支点部1
7aを中心とする円弧状の軌跡を往復運動する。また、
ギア20Aは、クランクシャフト15の端部に固定され
たクランクギア21と噛み合っている。そして、クラン
クギア21の二回転でギア20Aが一回転するように同
期されている(位相差は適宜設定される)。
【0062】このようにすることによって、上述した第
三実施形態と同様に、吸気・圧縮時のピストンストロー
ク量が短く、膨張・排気時のピストンストローク量が長
くなるように、ピストンストローク量を燃焼サイクルに
同期させることができる。ただし、本実施形態において
は、燃焼サイクルとピストンストローク量の同期は固定
されている。ただし、吸排気バルブの開閉タイミングを
制御し得る公知のバルブタイミング制御装置と組み合わ
せれば、バルブタイミングとの関係とから燃焼サイクル
との関係を変更することは可能である。
【0063】本実施形態のようにすれば、他端揺動中心
7aを燃焼サイクルに同期させつつ、他端揺動中心7a
を第二象限内で円弧軌上に移動させることができ、ピス
トンストローク量(圧縮比)を効率よく制御することが
できる。また、このとき、他端揺動中心7aを移動させ
るためにエンジン自体の出力を用いるので、さらに、エ
ンジン自体の出力を利用して他端揺動中心7aを移動さ
せる機構を簡単な機構で実現することができ、装置の複
雑化を招くことなく耐久性・信頼性に優れた機構を実現
することができる。
【0064】上述した第四実施形態の機構は、燃焼サイ
クルとピストンストローク制御との関係が固定されてお
り、変更することはできないものであった。そこで、上
述した第四実施形態の燃焼サイクルとピストンストロー
ク制御との関係を基本としつつも、ピストンストローク
量制御に可変幅を持たせたものを第五実施形態として次
に説明する。本実施形態の機構を図12に示す。なお、
図12にも、図10及び図11と同様に、ピストンスト
ローク量を変更するためのリンク機構のみが示されてお
り、シリンダなどの図示は省略されている。また、上述
した実施形態と同一又は同等の構成部分には同一の符号
を付してその詳しい説明を省略する。
【0065】本実施形態の機構では、上述した第四実施
形態のギア20Aに相当するギア20Bを有している。
ギア20Bの内部には、クランクシャフト5の回転運動
に対する力点部19aの回転運動の位相を変更する、即
ち、クランクシャフト5の回転運動に対するコントロー
ルロッド7の他端揺動中心7aの往復運動の位相を変更
する位相制御機構が組み込まれている。なお、図12に
は、ギア20Bの内部が見えるように、ギア20Bを断
面で示してある。
【0066】ギア20Bは、ギア歯が形成された外周部
20aと、その内部に収納されたベーン20bとからな
っている。リンクアーム19の下端は、ベーン20bに
連結されている。外周部20aは、その内面に中心に向
かって突出する突出部を有し、ベーン20bは、その外
周上に放射状に突出する突出部を有している。外周部2
0aの突出部とベーン20bの突出部とはギア歯に遊び
がある歯車のように互いに噛み合うように配置されてい
る。そして、両者の間にはオイルの満たされたオイル室
が形成されている。
【0067】外周部20aの二つの突出部の間には、一
つのベーン20bの突出部が収納されることとなり、こ
のベーン20bの突出部の両側には一対のオイル室が形
成される(図12では、そのうちの一方の容積がほぼゼ
ロの状態が示されいる。)この一対のオイル室へのオイ
ルの注入・排出によって、外周部20aに対するベーン
20bの位置を変更することができ、外周部20aに対
するベーン20bの回転運動の位相を変更することがで
きる。
【0068】オイル室へのオイルの注入・排出は、図示
されないオイルポンプによって行われる。このオイルポ
ンプの駆動は、第三実施形態で説明したエンジンECU
によって制御される。この位相制御機構自体は、公知の
吸排気バルブの開閉タイミング制御装置と同様である。
【0069】これによって、クランクシャフト5の回転
運動とピストンストローク量の制御との間の位相を変更
することができ、燃焼サイクルに対するピストンストロ
ーク量可変制御に対して可変幅を設けることができる。
燃焼サイクルに対してピストンストローク量の可変幅を
設けることができるので、燃焼サイクルとピストンスト
ローク量制御とを同期させつつも、エンジンの燃焼に応
じたより最適なピストンストローク量制御を行うことが
できる。
【0070】本発明の内燃機関は、上述した実施形態に
限定されない。例えば、上述した図1〜図3に示される
実施形態においては、ウォームギア12aは全てのギア
11に対して螺合されていた。しかし、隣接するギア1
1同士を螺合させ、ウォームギア12aは一つのギア1
1にのみ螺合させるようにしても良い。ただし、この場
合は、隣り合うギア11同士で回転方向が異なるので、
このような場合も支持ロッド10の進退動が同方向とな
るような配慮が必要である。
【0071】
【発明の効果】請求項1に記載の可変ピストンストロー
ク型内燃機関によれば、ピストンストローク量を可変制
御することが可能となり、ピストンストローク制御によ
るポンピングロス低減や燃費改善効果を得ることができ
る。さらに、これに加えて、コントロールロッドの他端
揺動中心を上述したx-y座標軸における第二象限内に配
置することで、ピストンの往復運動が振動抑制上好まし
いものとなるだけでなく、十分な圧縮比を得ることが可
能となる。ここで、圧縮比も可変制御可能な構成とした
場合は、その可変範囲を十分に確保することも可能とな
る。
【0072】請求項2に記載の可変ピストンストローク
型内燃機関によれば、ピストンストローク量と圧縮比と
をそれぞれ可変制御することが可能であり、(1)高負荷
・高回転時には高圧縮比・長ストローク、(2)高負荷・
低回転時には低圧縮比・長ストローク、(3)低負荷時に
は高圧縮比・短ストロークとなるように、圧縮比とスト
ローク量とをそれぞれ制御する。(1)高負荷・高回転時
には高圧縮比・長ストロークとすることによって、高い
出力を得ることができ、(2)高負荷・低回転時には低圧
縮比・長ストロークとすることによって、ノッキングを
抑止しつつ高い出力を得ることができ、(3)低負荷時に
は高圧縮比・短ストロークとすることによって、燃費を
改善しつつ十分な出力を得ることができる。
【0073】請求項3に記載の発明によれば、エンジン
ブレーキ時にはピストンストローク量を長くすることに
よって、エンジンブレーキ時により効果的に制動力を得
ることができる。
【0074】請求項4に記載の可変ピストンストローク
型内燃機関によれば、エンジンブレーキ時に、エンジン
ブレーキによる制動力が大きくなるほどピストンストロ
ーク量を大きくするので、エンジンブレーキによる制動
力が大きくなるほど、より一層エンジンブレーキによる
制動力を強く(効果的に)得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変ピストンストローク型内燃機関の
第一実施形態の断面図である。
【図2】本発明の可変ピストンストローク型内燃機関の
第一実施形態の分解斜視図である。
【図3】本発明の可変ピストンストローク型内燃機関の
第一実施形態の斜視図である。
【図4】エンジン回転数と出力トルクとピストンストロ
ーク量・圧縮比との関係を示すグラフである。
【図5】(a)はコントロールロッドの他端揺動中心が第
一象限に配置された状態を示す模式図、(b)はそのとき
のクランクアングルに対するピストン位置を示すグラフ
である。
【図6】(a)はコントロールロッドの他端揺動中心が第
二象限に配置された状態を示す模式図、(b)はそのとき
のクランクアングルに対するピストン位置を示すグラフ
である。
【図7】(a)はコントロールロッドの他端揺動中心が第
三象限に配置された状態を示す模式図、(b)はそのとき
のクランクアングルに対するピストン位置を示すグラフ
である。
【図8】(a)はコントロールロッドの他端揺動中心が第
四象限に配置された状態を示す模式図、(b)はそのとき
のクランクアングルに対するピストン位置を示すグラフ
である。
【図9】本発明の可変ピストンストローク型内燃機関の
第二実施形態の断面図である。
【図10】本発明の可変ピストンストローク型内燃機関
の第三実施形態の機構を示す説明図である。
【図11】本発明の可変ピストンストローク型内燃機関
の第四実施形態の機構を示す説明図である。
【図12】本発明の可変ピストンストローク型内燃機関
の第五実施形態の機構を示す説明図である。
【符号の説明】
1…エンジン、2…ピストン、3…シリンダ、4…コネ
クティングロッド、5…クランクシャフト、6…中間ア
ーム、7…コントロールロッド、7a…他端揺動中心、
8…エンジンブロック、9…オイルパン、10…支持ロ
ッド、11…ギア、12,120…モータ、12a,1
20a…ウォームギア、13…揺動ユニット、14…モ
ータ、17A,17B…移動アーム、17a…支点部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクシャフトと、 前記クランクシャフトに回転可能に連結された中間アー
    ムと、 前記中間アームに一端が連結されたコネクティングロッ
    ドと、 前記コネクティングロッドの他端に連結されたピストン
    と、 前記中間アーム又は前記コネクティングロッドに一端が
    連結され、前記中間アームの動きを規制して前記ピスト
    ンのストローク量をコントロールするコントロールロッ
    ドとを備えた可変ピストンストローク型内燃機関であっ
    て、 前記クランクシャフトの回転軸に対して垂直な平面上に
    おいて、前記ピストンの中心を通る前記ピストンの往復
    運動方向にy軸を設定し、前記クランクシャフトの回転
    軸を通り、かつ、y軸に直角な方向にx軸を設定して座
    標軸を設定し、 前記ピストンの圧縮方向をy軸の正方向、前記クランク
    シャフトの回転軸からx軸及びy軸の交点である原点に
    向かう方向をx軸の正方向とした場合に、 前記コントロールロッドの他端揺動中心が、前記x-y座
    標軸系の第二象限に位置していることを特徴とする可変
    ピストンストローク型内燃機関。
  2. 【請求項2】 圧縮比とストローク量とをそれぞれ可変
    制御するピストンストローク制御手段を備えた可変ピス
    トンストローク型内燃機関であって、 前記ピストンストローク制御手段が、高負荷・高回転時
    には高圧縮比・長ストローク、高負荷・低回転時には低
    圧縮比・長ストローク、低負荷時には、高圧縮比・短ス
    トロークとなるように、圧縮比とストローク量とをそれ
    ぞれ制御することを特徴とする可変ピストンストローク
    型内燃機関。
  3. 【請求項3】 前記制御手段が、エンジンブレーキ時に
    は長ストロークとなるようにストローク量を制御するこ
    とを特徴とする請求項2に記載の可変ピストンストロー
    ク型内燃機関。
  4. 【請求項4】 ピストンのストローク量を可変制御する
    ピストンストローク制御手段を備えた可変ピストンスト
    ローク型内燃機関であって、 前記ピストンストローク制御手段が、エンジンブレーキ
    による制動力が大きいほどストローク量を大きくする制
    御を行うことを特徴とする可変ピストンストローク型内
    燃機関。
  5. 【請求項5】 揺動する前記コントロールロッドの揺動
    中心となる前記他端揺動中心を円弧状に移動させる移動
    アームをさらに備えており、前記他端揺動中心を前記移
    動アームの一端側に連結し、前記他端揺動中心の円弧状
    の移動軌跡の中心となる前記移動アームの支点部を前記
    x軸のx>0の範囲内に配置したことを特徴とする請求
    項1に記載の可変ピストンストローク型内燃機関。
  6. 【請求項6】 前記他端揺動中心の円弧状軌跡上の往復
    周期が、前記クランクシャフトの回転周期の二倍に設定
    されており、吸気・圧縮時のピストンストローク量が膨
    張・排気時のピストンストロークよりも小さくなるよう
    になされていることを特徴とする請求項5に記載の可変
    ピストンストローク型内燃機関。
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