JP2003200432A - 微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法および該金型を用いた微小隆起物を有する構造体の製造方法 - Google Patents

微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法および該金型を用いた微小隆起物を有する構造体の製造方法

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JP2003200432A JP2002279400A JP2002279400A JP2003200432A JP 2003200432 A JP2003200432 A JP 2003200432A JP 2002279400 A JP2002279400 A JP 2002279400A JP 2002279400 A JP2002279400 A JP 2002279400A JP 2003200432 A JP2003200432 A JP 2003200432A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境汚染やリサイクルなどの環境問題が生じ
ず、かつプラスチック表面に凹凸構造を精密に形成させ
たプラスチック構造体を金型の原型として、微小隆起物
を有する構造体形成用金型の作製する方法を提供する。 【解決手段】 微小隆起物を有する構造体形成用金型の
作製方法は、下記工程A〜工程Cを具備することを特徴
とする。工程A:プラスチック内部にパルス幅が10
-12秒以下の超短パルスのレーザーを照射することによ
り、プラスチック表面に該プラスチック内部から隆起し
て形成された微小の隆起物を形成して金型の原型を形成
する工程;工程B:工程Aで形成された金型の原型の表
面上に金型材料を被覆する工程;工程C:工程Bで形成
された金型材料被覆層を金型の原型から金型として分離
する工程

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部品の表面機能化
に関する技術分野に属し、表面の微細加工技術に用いら
れる金型の作製方法および該金型を用いた微小隆起物有
する構造体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、プラスチック部品の高機能化、高性
能化の要求が高くなってきている。それらの要求に対し
て、プラスチック材料自身をポリマーアロイ化したり複
合化したりする材料面での技術対応と、要求機能に合わ
せて機能部位を付加する加工面での技術対応の二つの取
り組みが行われている。プラスチック部品の表面の高機
能化・高性能化は、表面の濡れ性、接着性、吸着性、制
電性、水分やガスに対するバリアー性、表面硬さ、光反
射性、光散乱性、光透過性などの制御の必要性から、材
料・加工両面から色々な技術的な取り組みがされてきて
いる。それらの中で、プラスチックの表面に凹凸を設け
て、濡れ性や接着性や光学的特性を向上させる方法がい
くつかある。
【0003】また、量産のために金型が用いられ、該金
型の原型を作製する方法を分類すると下記のようにな
る。 (1)表面を機械的に摩擦したり、スパッタ・エッチン
グなどの物理的・化学的な処理により表面の一部を除去
して凹凸を形成する方法。 (2)塗工・電鋳などのウエット・プロセスや蒸着・ラ
ミネート・転写等のドライ・プロセスにより表面に膜を
付加して凹凸を形成する方法。
【0004】(1)の方法は、除去されたプラスチック
の屑や飛散物による表面の汚染や後処理の問題があり、
(2)の方法は、付加方法特有の材料や加工プロセスの
追加による煩雑性の問題がある。また、(1)、(2)
とも最近の環境汚染やリサイクル対策に関して、有意な
方法とは言い難い。そのため、環境汚染やリサイクルな
どの問題を含まず、プラスチック表面の任意の場所に精
密な凹凸構造を制御された形で形成できる方法の出現が
望まれている。また、リソグラフによる方法(LIGA
法(Lithograph Galvanformun
g und Abformung)もあるが、工程が煩
雑である(特許文献1参照)。
【0005】一方、レーザー光源に関する技術進歩は著
しく、特にパルスレーザーは、ナノ(10-9)秒からピ
コ(10-12)秒と超短パルス化が進み、更に最近で
は、チタン・サファイア結晶などをレーザー媒質とする
フェムト(10-15)秒パルスレーザーなどが開発され
てきている。ピコ秒やフェムト秒などの超短パルスレー
ザーシステムは、通常のレーザーの持つ、指向性、空間
的・時間的コヒーレンスなどの特徴に加えて、パルス幅
が極めて狭く、同じ平均出力でも単位時間・単位空間当
りの電場強度が極めて高いことから、物質中に照射して
高い電場強度を利用して誘起構造を形成させる試みが、
無機ガラス材料を主な対象物として行われてきている
(特許文献2参照)。
【0006】また、高分子材料であるアモルファス・プ
ラスチック等は、無機ガラス材料と比較して、ガラス転
移温度が低い。これは、無機ガラス材料が共有結合で三
次元的に結合してアモルファス構造が形成されているの
に対して、高分子材料は、一次元的に共有結合で繋がっ
た高分子鎖が三次元的に絡み合ってアモルファス構造が
形成されていることを反映した結果である。従って、無
機ガラス材料に対しては、大きな照射エネルギーで照射
しないと、誘起構造が形成されないが、高分子材料で
は、高いエネルギーの照射は材料の劣化を引き起こす虞
があるので、高いエネルギーの照射は回避する必要があ
る。
【0007】しかしながら、高分子材料は、熱伝導性が
低いという特徴を有している。従って、高分子材料は熱
伝導性が低いので、蓄熱し易い傾向がある。すなわち、
高分子材料は熱運動が無機ガラス材料に比べて容易に起
こり、運動や反応に必要な熱量が少なくて済むので、無
機ガラス材料に比べて、比較的低い照射エネルギーでも
誘起構造が形成される可能性がある。しかし、高分子材
料であるプラスチック構造体に関して、パルス幅が10
-12秒以下である(例えば、パルス幅がフェムト秒のオ
ーダーである)超短パルスレーザーの照射による誘起構
造形成の検討は、現在まで、無機ガラス材料ほどには行
われていなかった。
【0008】
【特許文献1】特開平10−50576号公報
【特許文献2】特開平11−197498号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の様な従来の技術に付随する環境汚染やリサイクルなど
の環境問題が生じず、かつプラスチック表面に凹凸構造
を精密に形成させたプラスチック構造体を金型の原型と
して、微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方
法、および該金型を用いた微小隆起物を有する構造体の
製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、プラスチック内部に
10-12秒以下のパルスの超短パルスレーザーを照射す
ると、プラスチック表面に、プラスチック内部のレーザ
ー照射部位から供給された円錐状、釣り鐘状、カルデラ
状、テラス状、半球状等の形状を有する微小の隆起物が
精密に形成され、精密な凹凸構造を有するプラスチック
構造体を作製できることを見出した。本発明は、これら
の知見に基づいて完成されたものである。
【0011】すなわち、本発明は、表面に微小隆起物を
有する構造体形成用金型を作製する方法であって、下記
工程A〜工程Cを具備することを特徴とする微小隆起物
を有する構造体形成用金型の作製方法を提供する。 工程A:プラスチック内部にパルス幅が10-12秒以下
の超短パルスのレーザーを照射することにより、プラス
チック表面に該プラスチック内部から隆起して形成され
た微小の隆起物を形成して金型の原型を形成する工程 工程B:工程Aで形成された金型の原型の表面上に金型
材料を被覆する工程 工程C:工程Bで形成された金型材料被覆層を金型の原
型から金型として分離する工程
【0012】前記工程Aにおいて、微小の隆起物とし
て、底面の直径0.3〜100μm、高さ0.1〜50
μmの微小の隆起物であることが好ましく、また、円錐
状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状ないしは半球状の
微小の隆起物であることが好適である。さらに、隆起物
を形成する前の状態のプラスチックとしては、400〜
800nmの可視光波長領域において10%以上の透過
率を有するプラスチックであってもよく、また、100
℃以上のガラス転移温度を有するプラスチックであって
もよく、さらにまた、ポリマー材料と他の材料との複合
体であってもよい。
【0013】また、工程Aでは、プラスチック内部に外
部よりパルス幅10-12秒以下の超短パルスのレーザー
を、該超短パルスのレーザーの照射方向に対して垂直な
方向に且つプラスチック表面に対して平行な方向に、超
短パルスのレーザーの焦点をライン状に移動させながら
照射することにより、プラスチックの表面に隆起物を形
成することができる。このような場合、超短パルスのレ
ーザーの焦点をライン状に移動させる際のラインが複数
有り、各ライン同士が平行であることが好ましく、ま
た、超短パルスのレーザーを、プラスチック表面から5
〜150μmの深さに焦点を合わせて照射することが好
ましい。また、超短パルスのレーザーを、プラスチック
下部表面から5〜50μmの深さに焦点を合わせて照射
してもよい。さらに、超短パルスのレーザーの照射エネ
ルギーは、500mW以下であってもよい。
【0014】さらに、工程Aにおいて、プラスチック及
び超短パルスのレーザー光源のうちいずれか一方を、他
方に対して相対的に移動させることにより、超短パルス
のレーザーの焦点をライン状に移動させることができ
る。ライン状に移動する超短パルスのレーザーの焦点の
移動速度としては、10〜1,000μm/秒であって
もよく、また、焦点をライン状に移動させながら照射さ
れた複数のラインにおいて、近接したライン間の間隔と
しては、10〜100μmであってもよい。
【0015】前記金型材料としては金属材料を好適に用
いることができる。
【0016】本発明には、表面に微小隆起物を有する構
造体を製造する方法であって、下記工程D〜工程Eを具
備することを特徴とする微小隆起物を有する構造体の製
造方法も含まれる。 工程D:前記微小隆起物を有する構造体形成用金型の作
製方法により作製された金型に、成形材料を充填する工
程 工程E:工程Dで金型に充填された充填物を、微小隆起
物を有する構造体として、金型から離型する工程
【0017】前記工程Dで用いられる成形材料としては
プラスチック材料が好適である。
【0018】また、本発明は、前記微小隆起物を有する
構造体の製造方法により得られた微小隆起物を有する構
造体を、金型の原型として用い、該金型の原型の表面上
に金型材料を被覆させ、この金型材料被覆層を金型の原
型から分離して、微小隆起物を有する構造体形成用金型
を得ることを特徴とする微小隆起物を有する構造体形成
用金型の作製方法を提供する。さらにまた、この微小隆
起物を有する構造体形成用金型の作製方法により得られ
た金型に、成形材料を充填し、この充填物を金型から離
型して、微小隆起物を有する構造体を得ることを特徴と
する微小隆起物を有する構造体の製造方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、必
要に応じて図面を参照しつつ説明する。
【0020】[工程A]工程Aでは、パルス幅が10
-12秒以下の超短パルスのレーザーを照射することによ
り、プラスチック表面に該プラスチック内部から隆起し
て形成された微小の隆起物を形成して、金型の原型であ
る微小隆起物を有するプラスチックを作製している。本
発明では、前記微小の隆起物は、直径と同じかそれ以上
の間隔を置いて複数個形成することができる。
【0021】(微小隆起物を有するプラスチック)図1
は、金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチッ
クの一例を模式的に示す概略鳥瞰図であり、図2〜5は
金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチックの
他の例を模式的に示す概略鳥瞰図である。図1の微小隆
起物を有するプラスチックは、プラスチックシート1の
表面に、該プラスチックシート1の内部から隆起して形
成された円錐状の隆起物2aを複数個有している。また、
図2の微小隆起物を有するプラスチックは、プラスチッ
クシート1の表面に、該プラスチックシート1の内部か
ら隆起して形成された釣り鐘状の隆起物2bを複数個有し
ている。図3の微小隆起物を有するプラスチックは、プ
ラスチックシート1の表面に、該プラスチックシート1
の内部から隆起して形成されたカルデラ状の隆起物2cを
複数個有している。図4の微小隆起物を有するプラスチ
ックは、プラスチックシート1の表面に、該プラスチッ
クシート1の内部から隆起して形成されたテラス状の隆
起物2dを複数個有している。図5の微小隆起物を有する
プラスチックは、プラスチックシート1の表面に、該プ
ラスチックシート1の内部から隆起して形成された半球
状の隆起物2eを複数個有している。
【0022】図1〜5で示されるように、金型の原型と
しての微小隆起物を有するプラスチックは、その表面
に、隆起物2a〜2e等の円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、
テラス状、半球状等の微小の隆起物を有することができ
る。このような隆起物の底面の直径は0.3〜100μ
m、好ましくは1〜50μm程度であり、高さは0.1
〜50μm、好ましくは0.5〜20μm程度である。
また、隆起物2a〜2eの間隔(底面の円の中心間距離)
は、特に制限されないが、好ましくは底面の直径と同じ
かそれ以上(例えば、直径〜直径の10倍程度、好まし
くは、直径〜直径の5倍程度)である。
【0023】本発明において、カルデラ状の隆起物と
は、凸部の頂部が陥没している形状の隆起物を意味して
いる。また、テラス状の隆起物とは、凸部の頂部が平面
状になっている形状の隆起物を意味している。なお、図
1〜5で示される隆起物2a〜2eの要部の断面図をそれぞ
れ図6(a)〜(e)に示す。図6は、図1〜5で示さ
れる金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチッ
クにおける微小隆起物の要部の概略断面図を示す。具体
的には、図6において、(a)は図1で示される円錐状
の隆起物2aの要部の概略断面図であり、(b)は図2で
示される釣り鐘状の隆起物2bの要部の概略断面図であ
り、(c)は図3で示されるカルデラ状の隆起物2cの要
部の概略断面図であり、(d)は図4で示されるテラス
状の隆起物2dの要部の概略断面図であり、(e)は図5
で示される半球状の隆起物2eの要部の概略断面図であ
る。
【0024】(微小隆起物を有するプラスチックの形
成)このような微小隆起物を有するプラスチックは、プ
ラスチック内部にパルス幅が10-12秒以下の超短パル
スのレーザー(以下、「超短パルスレーザー」又は「レ
ーザー」と称する場合がある)を照射することにより、
プラスチック表面に該プラスチック内部から隆起して形
成された微小の隆起物を形成することにより形成するこ
とができる。前記微小の隆起物は、その底面の直径が
0.3〜100μmで且つ高さが0.1〜50μmであ
る。また、微小の隆起物の形状は、特に制限されない
が、例えば、円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス
状、半球状などが挙げられる。さらにまた、微小の隆起
物は、直径と同じかそれ以上の間隔を置いて複数個形成
された形態で形成することができる。このような超短パ
ルスレーザーの照射により、前記微小隆起物を有するプ
ラスチックを形成する方法としては、例えば、図7に示
されるような方法を好適に採用することができる。図7
は、金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチッ
クの形成方法の一例を示す概略鳥瞰図である。図7にお
いて、1はプラスチックシート、1aはプラスチックシー
ト1の表面、1bはプラスチックシート1の下部側の表面
(下部表面)、Tはプラスチックシート1の厚さ、3は
パルス幅が10-12秒以下である超短パルスレーザー、
4はレンズ、5はレーザー3の焦点である。また、6は
レーザー3の照射方向であり、7はレーザー3の焦点5
の移動方向である。
【0025】また、81,82,・・・,8n(nは1以上の
整数である)はそれぞれレーザー3の焦点5をライン状
に移動させる際のラインである[以下、ライン(81,8
2,・・・,8n)をライン8として総称する場合があ
る]。従って、ライン8は、焦点5の移動方向7と平行
又は同一の方向に延びている。ライン8は、焦点5をラ
イン状に移動させる際のラインであるので、焦点5がラ
イン状に移動した軌跡(「ライン状移動軌跡」と称する
場合がある)に対応又は相当する。なお、ライン8とし
ては、ライン81〜ライン8nまで単数ないし複数有してお
り、各ライン同士は平行な関係にある。
【0026】さらに、dはプラスチックシート1の表面
1aと、レーザー3の焦点5との距離である。従って、距
離dは、プラスチックシート1の表面1aからの深さに相
当する。すなわち、ライン8は、プラスチックシート1
の表面1aからの深さがdである位置となっている。該距
離dとしては、特に制限されず、プラスチックシート1
の厚さTに応じて適宜選択することができ、通常、5〜
150μm程度の範囲から選択される。すなわち、超短
パルスのレーザーを、プラスチック表面から、例えば、
5〜150μmの深さに焦点を合わせて照射することが
できる。距離dとしては、好ましくは10〜120μ
m、さらに好ましくは20〜100μm程度である。な
お、距離dは、もちろん、プラスチックシート1の厚さ
Tよりも短く、通常、厚さTの半分以下であるが、半分
を越えていてもよい。
【0027】図7では、レーザー3を照射している側の
プラスチックシート1の表面1aに微小の隆起物を形成す
る方法を示しているが、微小の隆起物は、表面1aに対し
て反対側の面である下部表面(下面)1b(すなわち、レ
ーザー3を照射している側の面と反対側の面)に形成す
ることもできる。このように、レーザー3を照射してい
る側の面と反対側の面である下部表面1bに微小の隆起物
を形成する場合、プラスチック下部表面から、例えば、
5〜50μmの深さに焦点を合わせて照射することが好
ましい。プラスチックシート1の下部表面1bと、レーザ
ー3の焦点5との距離としては、さらに好ましくは10
〜40μmであり、特に10〜30μm程度が好適であ
る。
【0028】なお、超短パルスのレーザーが同じ照射エ
ネルギーである場合、照射点又は焦点の深さが深くなる
ほど、照射エネルギーが三次元的に広がる範囲が広くな
る。すなわち、照射点又は焦点の深さが深くなるほど、
単位体積当たりの照射エネルギーの大きさが小さくな
る。
【0029】また、Lはライン8における隣接又は近接
したライン(81,82,・・・,8n)間の間隔を示してい
る。該間隔Lは、特に制限されず、例えば、10μm以
上の任意の範囲から選択することができる。間隔Lとし
ては、通常、10〜100μm程度の範囲から選択され
る場合が多い。
【0030】図7では、レーザー3は、プラスチックシ
ート1に向けて、照射方向6の向きで、すなわちZ軸と
平行な方向で、照射している。なお、レーザー3はレン
ズ4を用いることにより焦点を絞って合わせることがで
きる。また、プラスチックシート1はシート状の形態を
有しており、該プラスチックシート1の上面はX−Y平
面と平行な面となっているとともに、Z軸と垂直となっ
ている。
【0031】また、レーザー3は、その焦点5を移動方
向7の向き(すなわちY軸と平行な向き)に、ライン状
に移動させながら照射させている。従って、その結果と
して、焦点5をライン8上をライン状に移動方向7の向
きに移動させながら、レーザー3が照射されていること
になる。前記移動方向7は、照射方向6に対して垂直な
方向であり、且つプラスチック1の表面1aに対して平行
な方向である。従って、ライン8は、焦点5の移動方向
7と平行であり、照射方向6とは垂直となっている。さ
らに、ライン8は、プラスチック1の表面1aに対して平
行な方向となっている。なお、レーザー3の焦点5を移
動方向7にライン状に移動させる際の該焦点5の移動速
度としては、特に制限されず、例えば、10〜1,00
0μm/秒(好ましくは100〜800μm/秒)程度
の範囲から選択してもよい。
【0032】より具体的には、レーザー3を照射方向6
の方向で、ライン8のうちいずれか1つのライン(ライ
ン81とする)の一方の末端部に焦点5を合わせて、照射
し、この焦点5を移動方向7の方向にライン81上をライ
ン状にライン81の他方の末端まで移動させる。その後、
このライン81上の焦点5の移動方法と同様の方法によ
り、レーザー3の焦点5を他のライン(ライン82とす
る)の一方の末端に合わせて他方の末端まで該ライン82
上をライン状に移動させる。さらに、このような焦点を
ライン8のうちいずれか1つのラインの一方の末端に合
わせて他方の末端まで移動させることを必要なだけ繰り
返すことにより、プラスチック表面に内部から隆起して
形成された円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状、
半球状等の隆起物を有するプラスチックを作製すること
ができる。
【0033】なお、超短パルスレーザーの焦点の移動
は、超短パルスレーザー及びレンズと、プラスチック構
造体との相対位置を動かせることにより、例えば、超短
パルスレーザー及びレンズ、及び/又は照射されるプラ
スチックを移動させることにより、行うことができる。
具体的には、超短パルスレーザーの照射は、例えば、照
射サンプル(照射されるプラスチック)を、2次元又は
3次元の方向に精密に動かすことができる精密なXYZ
ステージに載せ、3次元的に移動させることにより、サ
ンプル任意の場所に行うことができる。また、XYZス
テージの移動を時間的に設定することにより、照射を3
次元的な連続性を持って任意に行うことができる。
【0034】このように、レーザー3をプラスチックシ
ート1の内部に外部から照射して、焦点をライン状に移
動させることにより、プラスチックシート1の表面には
図1〜5に示されているような隆起物(2a,2b,2c,2
d,2e)を形成することができる。該隆起物(2a,2b,2
c,2d,2e)は、通常、レーザー3が照射される側の表
面1aに形成されるが、下面1bに形成することもできる。
表面1aにおいて、隆起物(2a,2b,2c,2d,2e)が形成
される位置としては、ライン8と対応した表面1a上の位
置であり、例えば、図7のように、表面1aに垂直にレー
ザー3が照射される場合、隆起物(2a,2b,2c,2d,2
e)は、該隆起物の中心部位(底面の円の中心部位)が
ライン8の垂直上の表面1a上にくるような位置に形成さ
れる。従って、1つのライン状に形成された隆起物は間
隔をあけて形成されている。このような1つのライン上
における隆起物間の間隔(ライン上間隔)は特に制限さ
れない。また、もちろん、1つのライン上における隆起
物の数は特に制限されず、レーザーの照射条件やプラス
チックの素材等に応じて適宜選択することができる。
【0035】一方、複数のライン状に形成された隆起物
の隣接するライン上における隆起物間の間隔(すなわ
ち、ライン8が形成された方向に対して垂直な方向にお
ける間隔;ライン間間隔)としては、通常、ライン8の
間隔Lと同等又はほぼ同等になる。
【0036】(隆起物の形成前のプラスチック)本発明
では、超短パルスレーザーのプラスチック内部への照射
が有効に行われるためには、照射されるプラスチック
(隆起物を形成する前の状態のプラスチック)は、波長
400nmから800nmの可視光の波長領域で10%
以上の透過率を有することが望ましい。上記波長領域で
著しい光吸収や散乱を起こす着色したプラスチックや散
乱粒子を多量に含むプラスチックは望ましくない。
【0037】また、プラスチックシート1としては、隆
起物を形成する前の状態のプラスチックが、100℃以
上のガラス転移温度を有するものを用いることが最適で
ある。100℃以上のガラス転移温度を有しているプラ
スチック材料を用いることにより、表面に隆起物を有す
るプラスチック構造体を高い精度で作製することができ
る。なお、超短パルスレーザーの照射により前記のよう
な隆起物が形成されるメカニズムは、まだ詳細には解析
されていない。ガラス転移温度が常温(23℃)未満に
ある耐熱性の低いプラスチック材料の内部に超短パルス
レーザー(フェムト秒パルスレーザー)をライン状に移
動させて照射すると、隆起物が形成されるよりも、プラ
スチックシートの表面部分が内部に陥没した孔や溝が形
成される場合が多い。一方、ガラス転移温度が常温(2
3℃)以上で且つ70℃程度以下のプラスチック材料の
内部に超短パルスレーザーをライン状に移動させて照射
すると、プラスチック材料の内部に空洞やクラック、溶
融・再固化物が形成される場合が多い。しかし、ガラス
転移温度が100℃以上のプラスチック材料の内部に、
超短パルスレーザーをライン状に移動させて照射する
と、図1〜5(特に図1や2)に示されるようにプラス
チック内部から隆起が起こる現象が観察され、プラスチ
ック表面に精密に隆起物を作製することができる。な
お、プラスチックシート1としては、隆起物を形成する
前の状態のプラスチックが、100℃以上のガラス転移
温度を有するものを特に好適に用いることができるが、
前記隆起物を形成することができるものであれば、隆起
物を形成する前の状態のプラスチックのガラス転移温度
は、100℃未満(室温以下も含む)であってもよい。
【0038】しかしながら、隆起物を形成する前の状態
のプラスチックに係るガラス転移温度と、超短パルスレ
ーザーの照射により形成される隆起物との関係は、まだ
定かではない。超短パルスレーザーが極めて高いエネル
ギーを有していることから、照射スポットが高温になり
プラスチックが溶融状態になることが考えられる。その
ため、超短パルスレーザーの照射により最も高められる
プラスチック材料の内部の温度が一定(該最も高温に高
められる一定温度をT0とする)と仮定すると、例え
ば、ガラス転移温度(Tg)が低いプラスチック材料で
は、内部が高温に高められる一定温度T0と、ガラス転
移温度Tgとの差(T0−Tg)が大きく又は広くなる
ので、ガラス転移温度Tg以上の温度となって十分な運
動性を得る時間的・空間的な範囲が大きく又は広くなる
ことが予測される。具体的には、超短パルスレーザーの
照射により、前記一定温度T0まで温度が上昇する過程
で、プラスチック材料は膨張し、その後、照射位置又は
焦点が移動することにより、前記一定温度T0から常温
にまで温度が低下して冷却される冷却過程になると、T
0とTgとの差(T0−Tg)が大きい又は広いので、常
温にまで温度が低下するまでに運動できる時間的・空間
的な範囲が大きく又は広くなり、その結果として表面層
の吸い込み・陥没が起こり、孔や溝が形成されると思わ
れる。逆に、ガラス転移温度が高いプラスチック材料で
は、(T0−Tg)が小さく又は狭く、超短パルスレー
ザーの照射による溶融領域が、照射スポット(照射位置
又は焦点)の近辺又は周辺に限定され、ガラス転移温度
Tg以上の温度となって十分な運動性を得る時間的・空
間的な範囲が小さく又は狭くなり、しかも、T0から常
温にまで温度低下する冷却過程で、(T0−Tg)の温
度幅が小さい又は狭いので、より速く又は直ぐに固化状
態になり、一定温度T0まで温度が上昇する過程で膨張
した膨張状態に近い形状が固定又は保持され、その結果
として、マグマの噴火で火山が形成されるように、表面
に隆起物が形成されるものと思われる。すなわち、ガラ
ス転移温度の低いプラスチック材料(耐熱性の低い材
料)では、溶融状態の範囲が表面を含む広範囲に及び、
結果として表面層の吸い込み・陥没が起こり、孔や溝が
形成されるのに対し、ガラス転移温度の高いプラスチッ
ク材料(耐熱性の高い材料)では溶融領域がスポット近
辺に限定され、マグマの噴火で火山が形成されるよう
に、表面に隆起物が形成されるものと思われる。
【0039】このように、レーザー照射に付すプラスチ
ック(隆起物を形成する前の状態のプラスチック)の熱
的な性質としては、アモルフアス・プラスチックでは、
ガラス転移温度が常温(23℃)以上であることが一般
的に望ましいが、隆起が形成できればよい。特に、本発
明では、隆起物を形成する前の状態のプラスチックとし
ては、前述のようなガラス転移温度と隆起物との関係か
ら、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であること
が最適である。
【0040】隆起物を形成する前の状態のプラスチック
において、熱的性質は、隆起物を形成する時の形成因子
として働くだけでなく、隆起物形成後の安定性にも影響
を与えるため重要である。
【0041】隆起物形成後の安定性については、プラス
チックの緩和現象による構造変化が関係し、ガラス転移
温度が低い材料では緩和が起こり易く生成した隆起物の
構造が不安定になる。
【0042】このようなパルスレーザー照射に使用され
るプラスチックとしては、共重合体を含めた単一化学構
造のポリマー材料からなるものだけでなく、異なる化学
構造を有する複数のポリマー材料からなるポリマーアロ
イやポリマーブレンドでもよい。このようなポリマーア
ロイやポリマーブレンドの場合、プラスチックを構成す
るプラスチック材料の1成分以上が常温以上(好ましく
は70℃以上、特に100℃以上)のガラス転移温度を
有していることが重要である。
【0043】また、パルスレーザー照射に使用されるプ
ラスチックとしては、無機化合物や金属などの他の材料
を分散状態で含んだ複合体であってもよく、異なるプラ
スチックや他の材料からなる層を含んだ2以上の層構造
からなる積層体であってもよい。
【0044】具体的には、前記ポリマー材料の代表的な
例として、例えば、メタクリル樹脂(ポリメチルメタク
リレート(PMMA)など)、スチレン系樹脂(ポリス
チレンの他、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−スチ
レン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル
−スチレン共重合体(AS樹脂)など)、ポリアミド、
ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、
ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネ
ート、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリ
フェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリサルホン)、
ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン)、ポリ
ウレタン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレートなど)、ポリエーテルエーテルケトン類
(ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケ
トンなど)等の熱可塑性樹脂などが挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0045】(超短パルスレーザー)工程Aにおいて、
使用する超短パルスレーザーとしては、チタン・サファ
イア結晶を媒質とするレーザーや色素レーザーを再生・
増幅して得られたフェムト秒パルスレーザーなどが好都
合であり、使用されるパルス幅は10-12秒から10- 15
秒のオーダーのものが該当するが、通常は100フェム
ト秒(10-13秒)程度のものが使用される。使用波長
は、可視光領域の400nmから800nm、繰り返し
は1Hzから80MHzの範囲で、通常は10Hzから
500kHz程度の条件で使用される。レーザーパルス
の出力は、数mWから数百mW程度で使用される。
【0046】なお、プラスチック材料に対して、内部に
おける単位体積当たりに照射されるエネルギーは、超短
パルスレーザーの照射エネルギー、プラスチック材料に
照射する際に用いられる対物レンズの開口数(光源の絞
り込み)、プラスチック材料への照射位置又は焦点の深
さ、レーザーの焦点の移動速度などに応じて決められ
る。
【0047】また、本発明では、超短パルスレーザーの
平均出力又は照射エネルギーとしては、特に制限され
ず、目的とする隆起物の大きさや形状等に応じて適宜選
択することができ、例えば、500mW以下(例えば、
1〜500mW)、好ましくは5〜300mW、さらに
好ましくは10〜100mW程度の範囲から選択するこ
とができる。
【0048】また、超短パルスレーザーの照射スポット
径としては、特に制限されず、目的の隆起物の大きさや
その形状、レンズの大きさや開口数又は倍率などに応じ
て適宜選択することができ、例えば、0.1〜10μm
程度の範囲から選択することができる。
【0049】なお、レンズ4は、レーザー3の光線の焦
点を絞って合わせるために用いている。従って、レーザ
ーの焦点を絞って合わせる必要が無い場合は、レンズを
用いる必要はない。レンズ4の開口数(NA)は、特に
制限されず、対物レンズの倍率に応じて変更することが
でき、通常は、倍率としては10〜50倍、開口数とし
ては0.3〜0.8程度の範囲から選択される。
【0050】[工程B]工程Bでは、工程Aで形成され
た金型の原型(微小隆起物を有するプラスチック)の表
面上に金型材料を被覆させて、金型材料からなる微小構
造が転写された金型材料被覆層を金型の原型の表面上に
形成している。従って、該金型材料被覆層の内部側の面
(微小隆起物を有するプラスチックの表面と接触してい
る面)は、微小隆起物を有するプラスチックの表面の形
状に対応している。すなわち、金型材料被覆層は、前記
プラスチックの表面の微小隆起物に対応する形状の微小
陥没部を有している。
【0051】(金型材料)金型材料としては、有機系金
型材料(例えば、プラスチック材料など)や、無機系金
型材料(例えば、金属材料やその他の無機化合物など)
を用いることができる。金型材料は単独で又は2種以上
組み合わせて使用することができる。
【0052】本発明では、金型材料としては、無機系金
型材料、特に、金属材料を好適に用いることができる。
該金属材料としては、特に制限されず、金型として用い
て成形材料を成形することができるものであればよい。
金属材料には、金属単体の他、その他の金属化合物が含
まれる。なお、下記に示される無電解メッキ又は電解メ
ッキにより金型材料被覆層(金属被覆層)を微小隆起物
を有するプラスチック(金型の原型)の表面に形成する
場合は、金属材料としては、前記無電解メッキ又は電解
メッキを行うことができるものが好ましい。具体的に
は、金属材料としては、例えば、ニッケル、銅、銀、
金、パラジウム、カドミウム、亜鉛、スズ、鉛、クロ
ム、アルミニウム等の金属や、真ちゅう、ニッケル−ク
ロム合金、銅−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金、金
−銅合金等の合金などが挙げられる。
【0053】なお、前記有機系金型材料としてのプラス
チック材料としては、微小隆起物を有するプラスチック
の溶融温度よりも低い溶融温度を有するプラスチック材
料を用いてもよい。有機系金型材料としてのプラスチッ
ク材料としては、金型として用いることができるプラス
チック材料であれば特に制限されない。具体的には、有
機系金型材料としてのプラスチック材料としては、例え
ば、メタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(PM
MA)など)、スチレン系樹脂(ポリスチレンの他、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メチ
ルメタクリレート−スチレン共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレート共重
合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体など)、ポ
リアミド、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド
(PEI)、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、
ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリーレンエ
ーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレ
ンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリサ
ルホン)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホ
ン)、ポリウレタン、ポリエステル(ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレートなど)、ポリエーテルエーテ
ルケトン類(ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテ
ルケトンケトンなど)などの熱可塑性樹脂や、レジスト
材料などが挙げられる。なお、有機系金型材料の使用に
際して、金型の原型としての微小隆起物を有するプラス
チックと有機系金型材料とが接合しないように、該微小
隆起物を有するプラスチックの表面を表面処理してもよ
い。
【0054】(金型材料の被覆)微小隆起物を有するプ
ラスチック表面上に金型材料を被覆する方法としては、
前記プラスチック表面に金型材料を被覆することができ
る方法であれば特に制限されない。例えば、金型材料と
して金属材料を用いる場合は、金型の原型(微小隆起物
を有するプラスチック)の表面上に金属材料を堆積させ
ることにより、金属材料により金型の原型の表面を被覆
させて、金属材料被覆層を形成することができる。より
具体的には、金属材料の被覆方法としては、例えば、無
電解メッキを行う方法や、予め、微小隆起物を有するプ
ラスチック表面に蒸着などにより導電性の賦与を行った
後に電解メッキを行う方法を好適に採用することができ
る。なお、無電解メッキを行った後に、電解メッキが行
われてもよい。無電解メッキの後に、電解メッキを行う
ことにより、メッキ金属層の厚みを増加させることがで
きる。
【0055】無電解メッキは、例えば、微小隆起物を有
するプラスチックを、市販のニッケルメッキ浴に浸漬さ
せることにより、前記プラスチックの全表面にメッキ金
属を析出させて、金属被覆層を形成することができる。
なお、無電解メッキを行う前にクロム酸処理などの前処
理を行うことができる。
【0056】金型材料被覆層の厚みは特に制限されず、
例えば、200μm以上(例えば、0.2〜5mm)、
好ましくは0.5〜3mm程度の範囲から選択すること
ができる。金型材料被覆層の厚みが薄すぎると、金型と
しての強度が低下する。
【0057】[工程C]工程Cでは、工程Bで形成され
た金型材料被覆層を金型の原型から分離して、金型(微
小隆起物を有する構造体形成用金型)を得ている。金型
材料被覆層および金型の原型を分離させる方法として
は、前記金型材料被覆層を、前記金型の原型(プラスチ
ック部材)から分離させることができる方法であれば特
に制限されず、例えば、金型材料被覆層からプラスチッ
ク部材を抜き取る方法、剥離させる方法またはエッチン
グにより除去する方法などを1種で又は2種以上組み合
わせて採用することができる。
【0058】なお、本発明では、前記工程A〜工程Cを
含む作製方法により作製された金型の形状を他の金型材
料(例えば、プラスチック材料など)により写し取っ
て、他の金型材料(プラスチック材料等)による金型を
作製することもできる。例えば、前記工程A〜工程Cを
含む作製方法により得られた金属材料からなる金型(又
は金属被覆層)の表面をプラスチック材料で被覆して、
該被覆により形成されたプラスチック材料被覆層を、前
記金属材料からなる金型(又は金属被覆層)から分離さ
せて、プラスチック材料からなる金型を得ることができ
る。
【0059】このような本発明の微小隆起物を有する構
造体形成用金型の作製方法は、前記工程A〜工程Cを有
しているので、微小隆起物を有する構造体形成用金型
を、容易にしかも優れた精度で作製することができる。
また、金型の原型を製造するにあたり、環境汚染やリサ
イクルなどの環境問題が生じない。本発明の製造方法に
より作製された金型を用いることにより、容易にしかも
優れた精度で成形された微小隆起物を有する構造体を、
各種の成形材料から得ることができる。
【0060】[工程D]工程Dでは、前記工程A〜工程
Cを具備する作製方法により作製された金型に、成形材
料を充填している。前記成形材料としては、特に制限さ
れず、例えば、有機系成形材料、無機系成形材料のいず
れであってもよいが、有機系成形材料を好適に用いるこ
とができる。成形材料は単独で又は2種以上組み合わせ
て使用することができる。
【0061】前記有機系成形材料としては、プラスチッ
ク材料が好ましく、該プラスチック材料のなかでも特に
熱可塑性樹脂が好適である。熱可塑性樹脂などのプラス
チック材料としては、例えば、メタクリル樹脂(ポリメ
チルメタクリレート(PMMA)など)、スチレン系樹
脂(ポリスチレンの他、アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−
メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体など)、ポリアミド、ポリイミド(P
I)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミ
ド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、ポリアセ
タール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエー
テルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレー
ト、ポリスルホン(ポリサルホン)、ポリエーテルスル
ホン(ポリエーテルサルホン)、ポリウレタン、ポリエ
ステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートな
ど)、ポリエーテルエーテルケトン類(ポリエーテルエ
ーテルケトンやポリエーテルケトンケトンなど)などが
挙げられる。
【0062】また、有機系成形材料としては、例えば、
天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SB
R)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム、アクリ
ロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレン
ゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム
(IIR)、ノルボルネンゴム(NOR)、エチレン・
プロピレンゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・ジ
エンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、フッ
素ゴム(FKM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、多
硫化ゴム、フォスファゼンゴム等のゴム材料や、ポリエ
チレン系エラストマー等のオレフィン系エラストマー、
ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩
化ビニル系エラストマー、エステル系エラストマー、ア
ミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、ジエン系
エラストマー等のエラストマー材料の他、導電性高分子
などであってもよい。なお、有機系成形材料には、無機
化合物や金属化合物などの各種材料等が含まれていても
よい。
【0063】また、無機系成形材料としては、金属化合
物(金属単体を含む)やその他の無機化合物などを適宜
選択して用いることができる。なお、無機系成形材料を
用いる場合、金型としては、プラスチック材料により作
製された金型を用いることができる。
【0064】成形材料を金型に充填する方法としては、
特に制限されず、例えば、成形材料が熱可塑性樹脂であ
る場合、一般的に、溶融状態の熱可塑性樹脂を金型に流
し込む方法が用いられる。金型に溶融状態の熱可塑性樹
脂を流し込んだ後は、冷却することにより、熱可塑性樹
脂を固化することができる。
【0065】[工程E]工程Eでは、工程Dで金型に充
填された充填物(成形材料からなる充填物)を金型から
離型させることにより、微小構造が転写された微小隆起
物を有する構造体を得ている。例えば、成形材料として
熱可塑性樹脂を用いた場合、冷却固化された熱可塑性樹
脂を金型から抜き取ったり、剥離したりすることによ
り、離型することができる。
【0066】このような本発明の微小隆起物を有する構
造体の製造方法は、前記工程D〜工程Eを有しているの
で、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスのレーザー
を利用して作製された金型の原型である微小隆起物を有
するプラスチックと同一の形状を有する構造体(表面に
微小隆起物を有する構造体)を、容易に且つ精度よく製
造することができる。しかも、量産することが容易であ
る。従って、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスの
レーザーを利用して作製された微小隆起物を有するプラ
スチックと同一の形状を有するものを、容易に且つ精密
に複製することができる。
【0067】本発明の方法により製造された微小隆起物
を有する構造体は、表面に精密に制御された凹凸構造を
有しているので、拡散板や散乱素子などの光機能部材
や、精密な空間や流路などを形成するスペーサー機能を
利用したマイクロマシーンやセンサー、電気的探針、バ
イオ機器、マイクロリアクターチップ、埋め込み型人工
臓器などに利用できる。
【0068】また、本発明では、微小隆起物を有する構
造体形成用金型を用いて作製された微小隆起物を有する
構造体を、金型の原型として用いて、前記工程B〜工程
Cの方法と同様にして、新たな金型を作製することもで
き、さらには、この新たな金型を用いて、前記工程D〜
工程Eを具備する作製方法と同様にして、微小隆起物を
有する構造体を作製することもできる。すなわち、微小
隆起物を有する構造体形成用金型を用いて作製された微
小隆起物を有する構造体を金型の原型として用い、前記
工程B〜工程Cの方法と同様に、該金型の原型の表面上
に金型材料を被覆させ、この金型材料被覆層を金型の原
型から分離して、微小隆起物を有する構造体形成用金型
を得ることも可能であり、さらには、この微小隆起物を
有する構造体形成用金型に、前記工程D〜工程Eの方法
と同様に、成形材料を充填し、この充填物を金型から離
型して、微小隆起物を有する構造体を得ることも可能で
ある。
【0069】これらの場合、微小隆起物を有する構造体
形成用金型を用いて作製された微小隆起物を有する構造
体としては、(i)パルス幅が10-12秒以下の超短パ
ルスのレーザーをプラスチック内部に照射することによ
り作製された微小隆起物を有する構造体を金型の原型と
し、該金型の原型を用いて金型を得て、さらにこの金型
を用いることにより得られた微小隆起物を有する構造体
であってもよく、(ii)微小隆起物を有する構造体形成
用金型を用いて微小隆起物を有する構造体を作製し、こ
の微小隆起物を有する構造体を金型の原型として、前記
工程B〜工程Cの方法と同様にして、微小隆起物を有す
る構造体形成用金型を作製し、さらにこの金型を用い
て、前記工程D〜工程Eを具備する作製方法と同様にし
て、微小隆起物を有する構造体を作製するという一連の
操作を、n回(nは1以上の整数である)行うことによ
り得られた微小隆起物を有する構造体であってもよい。
なお、前記(i)の方法により得られた微小隆起物を有
する構造体は、前記工程A〜工程Eの各工程を各1回だ
け経て得られた微小隆起物を有する構造体に相当してい
る。また、前記(ii)の方法により得られた微小隆起物
を有する構造体は、nが1の場合は、(ii-a)前記
(i)の方法により作製された微小隆起物を有する構造
体を金型の原型として、前記工程B〜工程Cの方法と同
様にして、微小隆起物を有する構造体形成用金型を作製
し、さらにこの金型を用いて、前記工程D〜工程Eを具
備する作製方法と同様にして作製された微小隆起物を有
する構造体となり、nが2の場合は、(ii-b)前記(ii
-a)の方法により得られた微小隆起物を有する構造体を
金型の原型として、前記工程B〜工程Cの方法と同様に
して、微小隆起物を有する構造体形成用金型を作製し、
さらにこの金型を用いて、前記工程D〜工程Eを具備す
る作製方法と同様にして作製された微小隆起物を有する
構造体となり、nが3以上の場合は、この一連の操作を
必要回数繰り返し行って作製された微小隆起物を有する
構造体となる。
【0070】従って、本発明において、工程D〜工程E
を具備する微小隆起物を有する構造体の製造方法により
得られた微小隆起物を有する構造体には、前記(i)の
方法により得られた微小隆起物を有する構造体と、前記
(ii)の方法により得られた微小隆起物を有する構造体
とが含まれる。すなわち、本発明では、工程D〜工程E
を具備する微小隆起物を有する構造体の製造方法により
得られた微小隆起物を有する構造体を、金型の原型とし
て用い、該金型の原型の表面上に金型材料を被覆させ、
この金型材料被覆層を金型の原型から分離して、微小隆
起物を有する構造体形成用金型を得ることができ、さら
には、この微小隆起物を有する構造体形成用金型に、成
形材料を充填し、この充填物を金型から離型して、微小
隆起物を有する構造体を得ることができる。
【0071】このように、微小隆起物を有する構造体形
成用金型を用いて作製された微小隆起物を有する構造体
を金型の原型として利用する場合は、この金型の原型と
なる微小隆起物を有する構造体の成形材料として、前記
例示のプラスチック材料やレジスト材料などのポリマー
を用いることにより、樹脂以外の成形材料(例えば、金
属化合物やその他の無機化合物などの無機系成形材料な
ど)による微小隆起物を有する構造体を作製してもよ
い。
【0072】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定される
ものではない。
【0073】実施例1 0.5mm厚さの、ガラス転移温度が220℃のポリエ
ーテルサルホン(PES)シートの内部(深さ5μm)
に、照射波長800nm、パルス幅150フェムト秒、
繰り返し200kHzのチタン・サファイア・フェムト
秒パルスレーザーを、照射エネルギー7.0mW、対物
レンズの倍率10倍で、照射スポット約3μm径、照射
方向に対して直角方向のサンプルの移動速度25μm/
秒の条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有
するプラスチックを作製した。
【0074】次に、この金型の原型である微小隆起物を
有するプラスチックを、濃度:98重量%の硫酸(「9
8%硫酸」と称する場合がある)、無水クロム酸及び9
8%硫酸、純水、濃度:35重量%の塩酸(「35%塩
酸」と称する場合がある)、純水、98%硫酸、純水
に、この順で、順次浸漬して、無電解メッキ前の前処理
を行った後、ニッケルによる無電解メッキを行って、微
小隆起物を有するプラスチック表面上にニッケルを0.
8mmの厚みまで堆積させた後、ニッケルにより被覆さ
れたプラスチックを剥離させて、ニッケルからなる金型
を得た。
【0075】このニッケルからなる金型に、熱溶融した
ポリメチルメタクリレートを(PMMA)を流し込ん
で、冷却して固化させた後、型から抜いて成形物(成形
体)を得た。
【0076】実施例2 3.0mm厚さの、ガラス転移温度が105℃のポリメ
チルメタクリレート(PMMA)シートの内部(深さ5
μm)に実施例1と同じパルスレーザーを、実施例1と
同じ条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有
するプラスチックを作製した。この金型の原型を用いる
こと以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金
型を得た。さらに、このニッケルからなる金型に、実施
例1と同様にして、熱溶融したPMMAを流し込んで、
冷却して固化させた後、型から抜いて成形体を得た。
【0077】実施例3 0.5mm厚さの、ガラス転移温度が220℃のポリエ
ーテルサルホン(PES)シートの内部(深さ30μ
m)に、照射波長800nm、パルス幅150フェムト
秒、繰り返し200kHzのチタン・サファイア・フェ
ムト秒パルスレーザーを、照射エネルギー40mW、対
物レンズ10倍で照射スポット約3μm径、照射方向に
対して直角方向のサンプルの移動速度500μm/秒の
条件で、且つライン間隔が25μmの5本の平行ライン
状となるように焦点を移動させて、照射して、金型の原
型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。
【0078】この金型の原型を用いること以外は実施例
1と同様にして、ニッケルからなる金型を得て、さら
に、このニッケルからなる金型に、実施例1と同様にし
て、熱溶融したPMMAを流し込んで、冷却して固化さ
せた後、型から抜いて成形体を得た。
【0079】実施例4 0.5mm厚さの、ガラス転移温度が160℃のポリカ
ーボネート(PC)シート内部(深さ30μm)に実施
例3と同じ超短パルスレーザーを、対物レンズ20倍を
用い、照射エネルギーを30mWとしたこと以外は実施
例3と同じ条件で照射して、金型の原型である微小隆起
物を有するプラスチックを作製した。この金型の原型を
用いること以外は実施例1と同様にして、ニッケルから
なる金型を得た。さらに、このニッケルからなる金型
に、実施例1と同様にして、熱溶融したPMMAを流し
込んで、冷却して固化させた後、型から抜いて成形体を
得た。
【0080】実施例5 3.0mm厚さの、ガラス転移温度が105℃のPMM
Aシートの内部(深さ30μm)に実施例3と同じ超短
パルスレーザーを、実施例3と同じ条件で照射して、金
型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製
した。この金型の原型を用いること以外は実施例1と同
様にして、ニッケルからなる金型を得た。さらに、この
ニッケルからなる金型に、実施例1と同様にして、熱溶
融したPMMAを流し込んで、冷却して固化させた後、
型から抜いて成形体を得た。
【0081】実施例6 3.0mm厚さの、ガラス転移温度が−50℃のアクリ
ロニトリル−スチレン(AS)樹脂シートの内部(深さ
80μm)に実施例3と同じ超短パルスレーザーを、実
施例3と同じ条件で条件で照射して、金型の原型である
微小隆起物を有するプラスチックを作製した。この金型
の原型を用いること以外は実施例1と同様にして、ニッ
ケルからなる金型を得た。さらに、このニッケルからな
る金型に、AS樹脂をテトラヒドロフランに溶解したA
S樹脂溶液を流し込んで、乾燥させた後、型から抜いて
成形体を得た。
【0082】実施例7 実施例4と同じポリカーボネートの内部(深さ50μ
m)に、実施例3と同じ超短パルスレーザーを、照射エ
ネルギー(出力)を50mWとしたこと以外は実施例3
と同じ条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を
有するプラスチックを作製した。この金型の原型を用い
ること以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる
金型を得た。さらに、このニッケルからなる金型に、A
S樹脂をテトラヒドロフランに溶解したAS樹脂溶液を
流し込んで、乾燥して固化させた後、型から抜いて成形
体を得た。
【0083】実施例8 実施例4と同じポリカーボネートの内部(深さ30μ
m)に、実施例3と同じ超短パルスレーザーを、移動速
度を1000μm/秒としたこと以外は実施例3と同じ
条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有する
プラスチックを作製した。この金型の原型を用いること
以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金型を
得た。さらに、このニッケルからなる金型に、AS樹脂
をテトラヒドロフランに溶解したAS樹脂溶液を流し込
んで、乾燥して固化させた後、型から抜いて成形体を得
た。
【0084】評価及び評価結果 金型を用いて得られたPMMAの成形体について、光干
渉顕微鏡(菱化システム社製)並びに反射型電子顕微鏡
(SEM)(日立製作所社製)を用いて、表面並びに断
面の形態及び形状の観察を行った。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】表1から明らかなように、実施例1〜8に
より得られた成形体は、表面に微小な隆起物が形成され
ている。具体的には、実施例1〜5により得られた成形
体は、表面に釣鐘状または円錐状の微小な隆起物を有し
ており、実施例6により得られた成形体は、表面にカル
デラ状の微小な隆起物を有しており、実施例7により得
られた成形体は、表面にテラス状の微小な隆起物を有し
ており、実施例8により得られた成形体は、表面に半球
状の微小な隆起物を有している。
【0087】
【発明の効果】本発明により、環境汚染やリサイクルな
どの環境問題を生じさせることなく表面の所望の部位に
精密な凹凸構造が形成された金型の原型が提供される。
この金型の原型を利用して得られた金型を用いると、表
面に微小な隆起物を有する構造体を容易に且つ精密に製
造することができる。前記表面に微小な隆起物を有する
構造体は、光機能部材などの機能部材として利用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金型の原型の一例を模式的に示す鳥瞰
図である。円錐状の隆起物が形成されて、表面に精密な
凹凸構造を有している状態を示す。
【図2】本発明の金型の原型の他の例を模式的に示す鳥
瞰図である。釣り鐘状の隆起物が形成されて、表面に精
密な凹凸構造を有している状態を示す。
【図3】本発明の金型の原型の他の例を模式的に示す鳥
瞰図である。カルデラ状の隆起物が形成されて、表面に
精密な凹凸構造を有している状態を示す。
【図4】本発明の金型の原型の他の例を模式的に示す鳥
瞰図である。テラス状の隆起物が形成されて、表面に精
密な凹凸構造を有している状態を示す。
【図5】本発明の金型の原型の他の例を模式的に示す鳥
瞰図である。半球状の隆起物が形成されて、表面に精密
な凹凸構造を有している状態を示す。
【図6】図1〜5で示される金型の原型としての微小隆
起物を有するプラスチックにおける微小隆起物の要部の
概略断面図を示す。
【図7】本発明の金型の原型の形成方法の一例を示す概
略鳥瞰図である。
【符号の説明】
1 プラスチックシート 2a 円錐状の隆起物 2b 釣り鐘状の隆起物 2C カルデラ状の隆起物 2d テラス状の隆起物 2e 半球状の隆起物 1a プラスチックシート1の表面 1b プラスチックシート1の下部表面(下面) T プラスチックシート1の厚さ 3 パルス幅が10-12秒以下である超短パルスレーザ
ー 4 レンズ 5 レーザー3の焦点 6 レーザー3の照射方向 7 レーザー3の焦点5の移動方向 8 レーザー3の焦点5をライン状に移動させる際のラ
イン d プラスチックシート1の表面1aと、レーザー3の焦
点5との距離 L ライン8における近接したライン間の間隔
フロントページの続き (72)発明者 片山 茂 大阪府茨木市下穂積一丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 堀池 美華 大阪府茨木市下穂積一丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 平尾 一之 京都府京都市左京区田中下柳町8−94 Fターム(参考) 4E068 CA03 DA01 DB10 4F202 AA13 AA21 AF01 AJ02 CA30 CB01 CD02 CD24

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に微小隆起物を有する構造体形成用
    金型を作製する方法であって、下記工程A〜工程Cを具
    備することを特徴とする微小隆起物を有する構造体形成
    用金型の作製方法。 工程A:プラスチック内部にパルス幅が10-12秒以下
    の超短パルスのレーザーを照射することにより、プラス
    チック表面に該プラスチック内部から隆起して形成され
    た微小の隆起物を形成して金型の原型を形成する工程 工程B:工程Aで形成された金型の原型の表面上に金型
    材料を被覆する工程 工程C:工程Bで形成された金型材料被覆層を金型の原
    型から金型として分離する工程
  2. 【請求項2】 工程Aにおいて、微小の隆起物が、底面
    の直径0.3〜100μm、高さ0.1〜50μmの微
    小の隆起物である請求項1記載の微小隆起物を有する構
    造体形成用金型の作製方法。
  3. 【請求項3】 工程Aにおいて、微小の隆起物が、円錐
    状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状ないしは半球状の
    微小の隆起物である請求項1又は2記載の微小隆起物を
    有する構造体形成用金型の作製方法。
  4. 【請求項4】 工程Aにおいて、隆起物を形成する前の
    状態のプラスチックが、400〜800nmの可視光波
    長領域において10%以上の透過率を有するプラスチッ
    クである請求項1〜3の何れかの項に記載の微小隆起物
    を有する構造体形成用金型の作製方法。
  5. 【請求項5】 工程Aにおいて、隆起物を形成する前の
    状態のプラスチックが、100℃以上のガラス転移温度
    を有するプラスチックである請求項1〜4の何れかの項
    に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方
    法。
  6. 【請求項6】 工程Aにおいて、隆起物を形成する前の
    状態のプラスチックが、ポリマー材料と他の材料との複
    合体である請求項1〜5の何れかの項に記載の微小隆起
    物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  7. 【請求項7】 工程Aにおいて、プラスチック内部に外
    部よりパルス幅10 -12秒以下の超短パルスのレーザー
    を、該超短パルスのレーザーの照射方向に対して垂直な
    方向に且つプラスチック表面に対して平行な方向に、超
    短パルスのレーザーの焦点をライン状に移動させながら
    照射することにより、プラスチックの表面に隆起物を形
    成する前記請求項1〜6の何れかの項に記載の微小隆起
    物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  8. 【請求項8】 工程Aにおいて、超短パルスのレーザー
    の焦点をライン状に移動させる際のラインが複数有り、
    各ライン同士が平行である請求項7記載の微小隆起物を
    有する構造体形成用金型の作製方法。
  9. 【請求項9】 工程Aにおいて、超短パルスのレーザー
    を、プラスチック表面から5〜150μmの深さに焦点
    を合わせて照射する請求項1〜8の何れかの項に記載の
    微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  10. 【請求項10】 工程Aにおいて、超短パルスのレーザ
    ーを、プラスチック下部表面から5〜50μmの深さに
    焦点を合わせて照射し、下部表面に微小の隆起物を形成
    する請求項1〜8の何れかの項に記載の微小隆起物を有
    する構造体形成用金型の作製方法。
  11. 【請求項11】 工程Aにおいて、超短パルスのレーザ
    ーの照射エネルギーが、500mW以下である請求項1
    〜10の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体
    形成用金型の作製方法。
  12. 【請求項12】 工程Aにおいて、プラスチック及び超
    短パルスのレーザー光源のうちいずれか一方を、他方に
    対して相対的に移動させることにより、超短パルスのレ
    ーザーの焦点をライン状に移動させる請求項7〜11の
    何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金
    型の作製方法。
  13. 【請求項13】 工程Aにおいて、ライン状に移動する
    超短パルスのレーザーの焦点の移動速度が、10〜1,
    000μm/秒である請求項7〜12の何れかの項に記
    載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  14. 【請求項14】 工程Aにおいて、焦点をライン状に移
    動させながら照射された複数のラインにおいて、近接し
    たライン間の間隔が、10〜100μmである請求項7
    〜13の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体
    形成用金型の作製方法。
  15. 【請求項15】 工程Bで用いられる金型材料が金属材
    料である請求項1〜14の何れかの項に記載の微小隆起
    物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  16. 【請求項16】 表面に微小隆起物を有する構造体を製
    造する方法であって、下記工程D〜工程Eを具備するこ
    とを特徴とする微小隆起物を有する構造体の製造方法。 工程D:前記請求項1〜15の何れかの項に記載の微小
    隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法により作製
    された金型に、成形材料を充填する工程 工程E:工程Dで金型に充填された充填物を、微小隆起
    物を有する構造体として、金型から離型する工程
  17. 【請求項17】 工程Dで用いられる成形材料がプラス
    チック材料である請求項16記載の微小隆起物を有する
    構造体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記請求項16又は17記載の微小隆
    起物を有する構造体の製造方法により得られた微小隆起
    物を有する構造体を、金型の原型として用い、該金型の
    原型の表面上に金型材料を被覆させ、この金型材料被覆
    層を金型の原型から分離して、微小隆起物を有する構造
    体形成用金型を得ることを特徴とする微小隆起物を有す
    る構造体形成用金型の作製方法。
  19. 【請求項19】 前記請求項18記載の微小隆起物を有
    する構造体形成用金型の作製方法により得られた金型
    に、成形材料を充填し、この充填物を金型から離型し
    て、微小隆起物を有する構造体を得ることを特徴とする
    微小隆起物を有する構造体の製造方法。
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CN111565883A (zh) * 2018-01-03 2020-08-21 通快激光与系统工程有限公司 用于激光可透过的工件的表面结构化的方法和激光加工机

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