JP3783862B2 - 微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法および該金型を用いた微小隆起物を有する構造体の製造方法 - Google Patents

微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法および該金型を用いた微小隆起物を有する構造体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品の表面機能化に関する技術分野に属し、表面の微細加工技術に用いられる金型の作製方法および該金型を用いた微小隆起物有する構造体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、プラスチック部品の高機能化、高性能化の要求が高くなってきている。それらの要求に対して、プラスチック材料自身をポリマーアロイ化したり複合化したりする材料面での技術対応と、要求機能に合わせて機能部位を付加する加工面での技術対応の二つの取り組みが行われている。プラスチック部品の表面の高機能化・高性能化は、表面の濡れ性、接着性、吸着性、制電性、水分やガスに対するバリアー性、表面硬さ、光反射性、光散乱性、光透過性などの制御の必要性から、材料・加工両面から色々な技術的な取り組みがされてきている。それらの中で、プラスチックの表面に凹凸を設けて、濡れ性や接着性や光学的特性を向上させる方法がいくつかある。
【0003】
また、量産のために金型が用いられ、該金型の原型を作製する方法を分類すると下記のようになる。
(1)表面を機械的に摩擦したり、スパッタ・エッチングなどの物理的・化学的な処理により表面の一部を除去して凹凸を形成する方法。
(2)塗工・電鋳などのウエット・プロセスや蒸着・ラミネート・転写等のドライ・プロセスにより表面に膜を付加して凹凸を形成する方法。
【0004】
(1)の方法は、除去されたプラスチックの屑や飛散物による表面の汚染や後処理の問題があり、(2)の方法は、付加方法特有の材料や加工プロセスの追加による煩雑性の問題がある。また、(1)、(2)とも最近の環境汚染やリサイクル対策に関して、有意な方法とは言い難い。そのため、環境汚染やリサイクルなどの問題を含まず、プラスチック表面の任意の場所に精密な凹凸構造を制御された形で形成できる方法の出現が望まれている。また、リソグラフによる方法(LIGA法(Lithograph Galvanformung und Abformung)もあるが、工程が煩雑である(特許文献1参照)。
【0005】
一方、レーザー光源に関する技術進歩は著しく、特にパルスレーザーは、ナノ(10-9)秒からピコ(10-12)秒と超短パルス化が進み、更に最近では、チタン・サファイア結晶などをレーザー媒質とするフェムト(10-15)秒パルスレーザーなどが開発されてきている。ピコ秒やフェムト秒などの超短パルスレーザーシステムは、通常のレーザーの持つ、指向性、空間的・時間的コヒーレンスなどの特徴に加えて、パルス幅が極めて狭く、同じ平均出力でも単位時間・単位空間当りの電場強度が極めて高いことから、物質中に照射して高い電場強度を利用して誘起構造を形成させる試みが、無機ガラス材料を主な対象物として行われてきている(特許文献2参照)。
【0006】
また、高分子材料であるアモルファス・プラスチック等は、無機ガラス材料と比較して、ガラス転移温度が低い。これは、無機ガラス材料が共有結合で三次元的に結合してアモルファス構造が形成されているのに対して、高分子材料は、一次元的に共有結合で繋がった高分子鎖が三次元的に絡み合ってアモルファス構造が形成されていることを反映した結果である。従って、無機ガラス材料に対しては、大きな照射エネルギーで照射しないと、誘起構造が形成されないが、高分子材料では、高いエネルギーの照射は材料の劣化を引き起こす虞があるので、高いエネルギーの照射は回避する必要がある。
【0007】
しかしながら、高分子材料は、熱伝導性が低いという特徴を有している。従って、高分子材料は熱伝導性が低いので、蓄熱し易い傾向がある。すなわち、高分子材料は熱運動が無機ガラス材料に比べて容易に起こり、運動や反応に必要な熱量が少なくて済むので、無機ガラス材料に比べて、比較的低い照射エネルギーでも誘起構造が形成される可能性がある。しかし、高分子材料であるプラスチック構造体に関して、パルス幅が10-12秒以下である(例えば、パルス幅がフェムト秒のオーダーである)超短パルスレーザーの照射による誘起構造形成の検討は、現在まで、無機ガラス材料ほどには行われていなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−50576号公報
【特許文献2】
特開平11−197498号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の様な従来の技術に付随する環境汚染やリサイクルなどの環境問題が生じず、かつプラスチック表面に凹凸構造を精密に形成させたプラスチック構造体を金型の原型として、微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法、および該金型を用いた微小隆起物を有する構造体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、プラスチック内部に10-12秒以下のパルスの超短パルスレーザーを照射すると、プラスチック表面に、プラスチック内部のレーザー照射部位から供給された円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状、半球状等の形状を有する微小の隆起物が精密に形成され、精密な凹凸構造を有するプラスチック構造体を作製できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、表面に微小隆起物を有する構造体形成用金型を作製する方法であって、下記工程A〜工程Cを具備することを特徴とする微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法を提供する。
工程A:プラスチック内部にパルス幅が10-12秒以下の超短パルスのレーザーを照射することにより、プラスチック表面に該プラスチック内部から隆起して形成された微小の隆起物を形成して金型の原型を形成する工程
工程B:工程Aで形成された金型の原型の表面上に金型材料を被覆する工程
工程C:工程Bで形成された金型材料被覆層を金型の原型から金型として分離する工程
【0012】
前記工程Aにおいて、微小の隆起物として、底面の直径0.3〜100μm、高さ0.1〜50μmの微小の隆起物であることが好ましく、また、円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状ないしは半球状の微小の隆起物であることが好適である。さらに、隆起物を形成する前の状態のプラスチックとしては、400〜800nmの可視光波長領域において10%以上の透過率を有するプラスチックであってもよく、また、100℃以上のガラス転移温度を有するプラスチックであってもよく、さらにまた、ポリマー材料と他の材料との複合体であってもよい。
【0013】
また、工程Aでは、プラスチック内部に外部よりパルス幅10-12秒以下の超短パルスのレーザーを、該超短パルスのレーザーの照射方向に対して垂直な方向に且つプラスチック表面に対して平行な方向に、超短パルスのレーザーの焦点をライン状に移動させながら照射することにより、プラスチックの表面に隆起物を形成することができる。このような場合、超短パルスのレーザーの焦点をライン状に移動させる際のラインが複数有り、各ライン同士が平行であることが好ましく、また、超短パルスのレーザーを、プラスチック表面から5〜150μmの深さに焦点を合わせて照射することが好ましい。また、超短パルスのレーザーを、プラスチック下部表面から5〜50μmの深さに焦点を合わせて照射してもよい。さらに、超短パルスのレーザーの照射エネルギーは、500mW以下であってもよい。
【0014】
さらに、工程Aにおいて、プラスチック及び超短パルスのレーザー光源のうちいずれか一方を、他方に対して相対的に移動させることにより、超短パルスのレーザーの焦点をライン状に移動させることができる。ライン状に移動する超短パルスのレーザーの焦点の移動速度としては、10〜1,000μm/秒であってもよく、また、焦点をライン状に移動させながら照射された複数のラインにおいて、近接したライン間の間隔としては、10〜100μmであってもよい。
【0015】
前記金型材料としては金属材料を好適に用いることができる。
【0016】
本発明には、表面に微小隆起物を有する構造体を製造する方法であって、下記工程D〜工程Eを具備することを特徴とする微小隆起物を有する構造体の製造方法も含まれる。
工程D:前記微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法により作製された金型に、成形材料を充填する工程
工程E:工程Dで金型に充填された充填物を、微小隆起物を有する構造体として、金型から離型する工程
【0017】
前記工程Dで用いられる成形材料としてはプラスチック材料が好適である。
【0018】
また、本発明は、前記微小隆起物を有する構造体の製造方法により得られた微小隆起物を有する構造体を、金型の原型として用い、該金型の原型の表面上に金型材料を被覆させ、この金型材料被覆層を金型の原型から分離して、微小隆起物を有する構造体形成用金型を得ることを特徴とする微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法を提供する。さらにまた、この微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法により得られた金型に、成形材料を充填し、この充填物を金型から離型して、微小隆起物を有する構造体を得ることを特徴とする微小隆起物を有する構造体の製造方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、必要に応じて図面を参照しつつ説明する。
【0020】
[工程A]
工程Aでは、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスのレーザーを照射することにより、プラスチック表面に該プラスチック内部から隆起して形成された微小の隆起物を形成して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製している。本発明では、前記微小の隆起物は、直径と同じかそれ以上の間隔を置いて複数個形成することができる。
【0021】
(微小隆起物を有するプラスチック)
図1は、金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチックの一例を模式的に示す概略鳥瞰図であり、図2〜5は金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチックの他の例を模式的に示す概略鳥瞰図である。図1の微小隆起物を有するプラスチックは、プラスチックシート1の表面に、該プラスチックシート1の内部から隆起して形成された円錐状の隆起物2aを複数個有している。また、図2の微小隆起物を有するプラスチックは、プラスチックシート1の表面に、該プラスチックシート1の内部から隆起して形成された釣り鐘状の隆起物2bを複数個有している。図3の微小隆起物を有するプラスチックは、プラスチックシート1の表面に、該プラスチックシート1の内部から隆起して形成されたカルデラ状の隆起物2cを複数個有している。図4の微小隆起物を有するプラスチックは、プラスチックシート1の表面に、該プラスチックシート1の内部から隆起して形成されたテラス状の隆起物2dを複数個有している。図5の微小隆起物を有するプラスチックは、プラスチックシート1の表面に、該プラスチックシート1の内部から隆起して形成された半球状の隆起物2eを複数個有している。
【0022】
図1〜5で示されるように、金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチックは、その表面に、隆起物2a〜2e等の円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状、半球状等の微小の隆起物を有することができる。このような隆起物の底面の直径は0.3〜100μm、好ましくは1〜50μm程度であり、高さは0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μm程度である。また、隆起物2a〜2eの間隔(底面の円の中心間距離)は、特に制限されないが、好ましくは底面の直径と同じかそれ以上(例えば、直径〜直径の10倍程度、好ましくは、直径〜直径の5倍程度)である。
【0023】
本発明において、カルデラ状の隆起物とは、凸部の頂部が陥没している形状の隆起物を意味している。また、テラス状の隆起物とは、凸部の頂部が平面状になっている形状の隆起物を意味している。なお、図1〜5で示される隆起物2a〜2eの要部の断面図をそれぞれ図6(a)〜(e)に示す。図6は、図1〜5で示される金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチックにおける微小隆起物の要部の概略断面図を示す。具体的には、図6において、(a)は図1で示される円錐状の隆起物2aの要部の概略断面図であり、(b)は図2で示される釣り鐘状の隆起物2bの要部の概略断面図であり、(c)は図3で示されるカルデラ状の隆起物2cの要部の概略断面図であり、(d)は図4で示されるテラス状の隆起物2dの要部の概略断面図であり、(e)は図5で示される半球状の隆起物2eの要部の概略断面図である。
【0024】
(微小隆起物を有するプラスチックの形成)
このような微小隆起物を有するプラスチックは、プラスチック内部にパルス幅が10-12秒以下の超短パルスのレーザー(以下、「超短パルスレーザー」又は「レーザー」と称する場合がある)を照射することにより、プラスチック表面に該プラスチック内部から隆起して形成された微小の隆起物を形成することにより形成することができる。前記微小の隆起物は、その底面の直径が0.3〜100μmで且つ高さが0.1〜50μmである。また、微小の隆起物の形状は、特に制限されないが、例えば、円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状、半球状などが挙げられる。さらにまた、微小の隆起物は、直径と同じかそれ以上の間隔を置いて複数個形成された形態で形成することができる。このような超短パルスレーザーの照射により、前記微小隆起物を有するプラスチックを形成する方法としては、例えば、図7に示されるような方法を好適に採用することができる。図7は、金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチックの形成方法の一例を示す概略鳥瞰図である。図7において、1はプラスチックシート、1aはプラスチックシート1の表面、1bはプラスチックシート1の下部側の表面(下部表面)、Tはプラスチックシート1の厚さ、3はパルス幅が10-12秒以下である超短パルスレーザー、4はレンズ、5はレーザー3の焦点である。また、6はレーザー3の照射方向であり、7はレーザー3の焦点5の移動方向である。
【0025】
また、81,82,・・・,8n(nは1以上の整数である)はそれぞれレーザー3の焦点5をライン状に移動させる際のラインである[以下、ライン(81,82,・・・,8n)をライン8として総称する場合がある]。従って、ライン8は、焦点5の移動方向7と平行又は同一の方向に延びている。ライン8は、焦点5をライン状に移動させる際のラインであるので、焦点5がライン状に移動した軌跡(「ライン状移動軌跡」と称する場合がある)に対応又は相当する。なお、ライン8としては、ライン81〜ライン8nまで単数ないし複数有しており、各ライン同士は平行な関係にある。
【0026】
さらに、dはプラスチックシート1の表面1aと、レーザー3の焦点5との距離である。従って、距離dは、プラスチックシート1の表面1aからの深さに相当する。すなわち、ライン8は、プラスチックシート1の表面1aからの深さがdである位置となっている。該距離dとしては、特に制限されず、プラスチックシート1の厚さTに応じて適宜選択することができ、通常、5〜150μm程度の範囲から選択される。すなわち、超短パルスのレーザーを、プラスチック表面から、例えば、5〜150μmの深さに焦点を合わせて照射することができる。距離dとしては、好ましくは10〜120μm、さらに好ましくは20〜100μm程度である。なお、距離dは、もちろん、プラスチックシート1の厚さTよりも短く、通常、厚さTの半分以下であるが、半分を越えていてもよい。
【0027】
図7では、レーザー3を照射している側のプラスチックシート1の表面1aに微小の隆起物を形成する方法を示しているが、微小の隆起物は、表面1aに対して反対側の面である下部表面(下面)1b(すなわち、レーザー3を照射している側の面と反対側の面)に形成することもできる。このように、レーザー3を照射している側の面と反対側の面である下部表面1bに微小の隆起物を形成する場合、プラスチック下部表面から、例えば、5〜50μmの深さに焦点を合わせて照射することが好ましい。プラスチックシート1の下部表面1bと、レーザー3の焦点5との距離としては、さらに好ましくは10〜40μmであり、特に10〜30μm程度が好適である。
【0028】
なお、超短パルスのレーザーが同じ照射エネルギーである場合、照射点又は焦点の深さが深くなるほど、照射エネルギーが三次元的に広がる範囲が広くなる。すなわち、照射点又は焦点の深さが深くなるほど、単位体積当たりの照射エネルギーの大きさが小さくなる。
【0029】
また、Lはライン8における隣接又は近接したライン(81,82,・・・,8n)間の間隔を示している。該間隔Lは、特に制限されず、例えば、10μm以上の任意の範囲から選択することができる。間隔Lとしては、通常、10〜100μm程度の範囲から選択される場合が多い。
【0030】
図7では、レーザー3は、プラスチックシート1に向けて、照射方向6の向きで、すなわちZ軸と平行な方向で、照射している。なお、レーザー3はレンズ4を用いることにより焦点を絞って合わせることができる。また、プラスチックシート1はシート状の形態を有しており、該プラスチックシート1の上面はX−Y平面と平行な面となっているとともに、Z軸と垂直となっている。
【0031】
また、レーザー3は、その焦点5を移動方向7の向き(すなわちY軸と平行な向き)に、ライン状に移動させながら照射させている。従って、その結果として、焦点5をライン8上をライン状に移動方向7の向きに移動させながら、レーザー3が照射されていることになる。前記移動方向7は、照射方向6に対して垂直な方向であり、且つプラスチック1の表面1aに対して平行な方向である。従って、ライン8は、焦点5の移動方向7と平行であり、照射方向6とは垂直となっている。さらに、ライン8は、プラスチック1の表面1aに対して平行な方向となっている。なお、レーザー3の焦点5を移動方向7にライン状に移動させる際の該焦点5の移動速度としては、特に制限されず、例えば、10〜1,000μm/秒(好ましくは100〜800μm/秒)程度の範囲から選択してもよい。
【0032】
より具体的には、レーザー3を照射方向6の方向で、ライン8のうちいずれか1つのライン(ライン81とする)の一方の末端部に焦点5を合わせて、照射し、この焦点5を移動方向7の方向にライン81上をライン状にライン81の他方の末端まで移動させる。その後、このライン81上の焦点5の移動方法と同様の方法により、レーザー3の焦点5を他のライン(ライン82とする)の一方の末端に合わせて他方の末端まで該ライン82上をライン状に移動させる。さらに、このような焦点をライン8のうちいずれか1つのラインの一方の末端に合わせて他方の末端まで移動させることを必要なだけ繰り返すことにより、プラスチック表面に内部から隆起して形成された円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状、半球状等の隆起物を有するプラスチックを作製することができる。
【0033】
なお、超短パルスレーザーの焦点の移動は、超短パルスレーザー及びレンズと、プラスチック構造体との相対位置を動かせることにより、例えば、超短パルスレーザー及びレンズ、及び/又は照射されるプラスチックを移動させることにより、行うことができる。具体的には、超短パルスレーザーの照射は、例えば、照射サンプル(照射されるプラスチック)を、2次元又は3次元の方向に精密に動かすことができる精密なXYZステージに載せ、3次元的に移動させることにより、サンプル任意の場所に行うことができる。また、XYZステージの移動を時間的に設定することにより、照射を3次元的な連続性を持って任意に行うことができる。
【0034】
このように、レーザー3をプラスチックシート1の内部に外部から照射して、焦点をライン状に移動させることにより、プラスチックシート1の表面には図1〜5に示されているような隆起物(2a,2b,2c,2d,2e)を形成することができる。該隆起物(2a,2b,2c,2d,2e)は、通常、レーザー3が照射される側の表面1aに形成されるが、下面1bに形成することもできる。表面1aにおいて、隆起物(2a,2b,2c,2d,2e)が形成される位置としては、ライン8と対応した表面1a上の位置であり、例えば、図7のように、表面1aに垂直にレーザー3が照射される場合、隆起物(2a,2b,2c,2d,2e)は、該隆起物の中心部位(底面の円の中心部位)がライン8の垂直上の表面1a上にくるような位置に形成される。従って、1つのライン状に形成された隆起物は間隔をあけて形成されている。このような1つのライン上における隆起物間の間隔(ライン上間隔)は特に制限されない。また、もちろん、1つのライン上における隆起物の数は特に制限されず、レーザーの照射条件やプラスチックの素材等に応じて適宜選択することができる。
【0035】
一方、複数のライン状に形成された隆起物の隣接するライン上における隆起物間の間隔(すなわち、ライン8が形成された方向に対して垂直な方向における間隔;ライン間間隔)としては、通常、ライン8の間隔Lと同等又はほぼ同等になる。
【0036】
(隆起物の形成前のプラスチック)
本発明では、超短パルスレーザーのプラスチック内部への照射が有効に行われるためには、照射されるプラスチック(隆起物を形成する前の状態のプラスチック)は、波長400nmから800nmの可視光の波長領域で10%以上の透過率を有することが望ましい。上記波長領域で著しい光吸収や散乱を起こす着色したプラスチックや散乱粒子を多量に含むプラスチックは望ましくない。
【0037】
また、プラスチックシート1としては、隆起物を形成する前の状態のプラスチックが、100℃以上のガラス転移温度を有するものを用いることが最適である。100℃以上のガラス転移温度を有しているプラスチック材料を用いることにより、表面に隆起物を有するプラスチック構造体を高い精度で作製することができる。なお、超短パルスレーザーの照射により前記のような隆起物が形成されるメカニズムは、まだ詳細には解析されていない。ガラス転移温度が常温(23℃)未満にある耐熱性の低いプラスチック材料の内部に超短パルスレーザー(フェムト秒パルスレーザー)をライン状に移動させて照射すると、隆起物が形成されるよりも、プラスチックシートの表面部分が内部に陥没した孔や溝が形成される場合が多い。一方、ガラス転移温度が常温(23℃)以上で且つ70℃程度以下のプラスチック材料の内部に超短パルスレーザーをライン状に移動させて照射すると、プラスチック材料の内部に空洞やクラック、溶融・再固化物が形成される場合が多い。しかし、ガラス転移温度が100℃以上のプラスチック材料の内部に、超短パルスレーザーをライン状に移動させて照射すると、図1〜5(特に図1や2)に示されるようにプラスチック内部から隆起が起こる現象が観察され、プラスチック表面に精密に隆起物を作製することができる。なお、プラスチックシート1としては、隆起物を形成する前の状態のプラスチックが、100℃以上のガラス転移温度を有するものを特に好適に用いることができるが、前記隆起物を形成することができるものであれば、隆起物を形成する前の状態のプラスチックのガラス転移温度は、100℃未満(室温以下も含む)であってもよい。
【0038】
しかしながら、隆起物を形成する前の状態のプラスチックに係るガラス転移温度と、超短パルスレーザーの照射により形成される隆起物との関係は、まだ定かではない。超短パルスレーザーが極めて高いエネルギーを有していることから、照射スポットが高温になりプラスチックが溶融状態になることが考えられる。そのため、超短パルスレーザーの照射により最も高められるプラスチック材料の内部の温度が一定(該最も高温に高められる一定温度をT0とする)と仮定すると、例えば、ガラス転移温度(Tg)が低いプラスチック材料では、内部が高温に高められる一定温度T0と、ガラス転移温度Tgとの差(T0−Tg)が大きく又は広くなるので、ガラス転移温度Tg以上の温度となって十分な運動性を得る時間的・空間的な範囲が大きく又は広くなることが予測される。具体的には、超短パルスレーザーの照射により、前記一定温度T0まで温度が上昇する過程で、プラスチック材料は膨張し、その後、照射位置又は焦点が移動することにより、前記一定温度T0から常温にまで温度が低下して冷却される冷却過程になると、T0とTgとの差(T0−Tg)が大きい又は広いので、常温にまで温度が低下するまでに運動できる時間的・空間的な範囲が大きく又は広くなり、その結果として表面層の吸い込み・陥没が起こり、孔や溝が形成されると思われる。逆に、ガラス転移温度が高いプラスチック材料では、(T0−Tg)が小さく又は狭く、超短パルスレーザーの照射による溶融領域が、照射スポット(照射位置又は焦点)の近辺又は周辺に限定され、ガラス転移温度Tg以上の温度となって十分な運動性を得る時間的・空間的な範囲が小さく又は狭くなり、しかも、T0から常温にまで温度低下する冷却過程で、(T0−Tg)の温度幅が小さい又は狭いので、より速く又は直ぐに固化状態になり、一定温度T0まで温度が上昇する過程で膨張した膨張状態に近い形状が固定又は保持され、その結果として、マグマの噴火で火山が形成されるように、表面に隆起物が形成されるものと思われる。すなわち、ガラス転移温度の低いプラスチック材料(耐熱性の低い材料)では、溶融状態の範囲が表面を含む広範囲に及び、結果として表面層の吸い込み・陥没が起こり、孔や溝が形成されるのに対し、ガラス転移温度の高いプラスチック材料(耐熱性の高い材料)では溶融領域がスポット近辺に限定され、マグマの噴火で火山が形成されるように、表面に隆起物が形成されるものと思われる。
【0039】
このように、レーザー照射に付すプラスチック(隆起物を形成する前の状態のプラスチック)の熱的な性質としては、アモルフアス・プラスチックでは、ガラス転移温度が常温(23℃)以上であることが一般的に望ましいが、隆起が形成できればよい。特に、本発明では、隆起物を形成する前の状態のプラスチックとしては、前述のようなガラス転移温度と隆起物との関係から、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることが最適である。
【0040】
隆起物を形成する前の状態のプラスチックにおいて、熱的性質は、隆起物を形成する時の形成因子として働くだけでなく、隆起物形成後の安定性にも影響を与えるため重要である。
【0041】
隆起物形成後の安定性については、プラスチックの緩和現象による構造変化が関係し、ガラス転移温度が低い材料では緩和が起こり易く生成した隆起物の構造が不安定になる。
【0042】
このようなパルスレーザー照射に使用されるプラスチックとしては、共重合体を含めた単一化学構造のポリマー材料からなるものだけでなく、異なる化学構造を有する複数のポリマー材料からなるポリマーアロイやポリマーブレンドでもよい。このようなポリマーアロイやポリマーブレンドの場合、プラスチックを構成するプラスチック材料の1成分以上が常温以上(好ましくは70℃以上、特に100℃以上)のガラス転移温度を有していることが重要である。
【0043】
また、パルスレーザー照射に使用されるプラスチックとしては、無機化合物や金属などの他の材料を分散状態で含んだ複合体であってもよく、異なるプラスチックや他の材料からなる層を含んだ2以上の層構造からなる積層体であってもよい。
【0044】
具体的には、前記ポリマー材料の代表的な例として、例えば、メタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(PMMA)など)、スチレン系樹脂(ポリスチレンの他、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)など)、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリサルホン)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン)、ポリウレタン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリエーテルエーテルケトン類(ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケトンなど)等の熱可塑性樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
(超短パルスレーザー)
工程Aにおいて、使用する超短パルスレーザーとしては、チタン・サファイア結晶を媒質とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得られたフェムト秒パルスレーザーなどが好都合であり、使用されるパルス幅は10-12秒から10-15秒のオーダーのものが該当するが、通常は100フェムト秒(10-13秒)程度のものが使用される。使用波長は、可視光領域の400nmから800nm、繰り返しは1Hzから80MHzの範囲で、通常は10Hzから500kHz程度の条件で使用される。レーザーパルスの出力は、数mWから数百mW程度で使用される。
【0046】
なお、プラスチック材料に対して、内部における単位体積当たりに照射されるエネルギーは、超短パルスレーザーの照射エネルギー、プラスチック材料に照射する際に用いられる対物レンズの開口数(光源の絞り込み)、プラスチック材料への照射位置又は焦点の深さ、レーザーの焦点の移動速度などに応じて決められる。
【0047】
また、本発明では、超短パルスレーザーの平均出力又は照射エネルギーとしては、特に制限されず、目的とする隆起物の大きさや形状等に応じて適宜選択することができ、例えば、500mW以下(例えば、1〜500mW)、好ましくは5〜300mW、さらに好ましくは10〜100mW程度の範囲から選択することができる。
【0048】
また、超短パルスレーザーの照射スポット径としては、特に制限されず、目的の隆起物の大きさやその形状、レンズの大きさや開口数又は倍率などに応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜10μm程度の範囲から選択することができる。
【0049】
なお、レンズ4は、レーザー3の光線の焦点を絞って合わせるために用いている。従って、レーザーの焦点を絞って合わせる必要が無い場合は、レンズを用いる必要はない。レンズ4の開口数(NA)は、特に制限されず、対物レンズの倍率に応じて変更することができ、通常は、倍率としては10〜50倍、開口数としては0.3〜0.8程度の範囲から選択される。
【0050】
[工程B]
工程Bでは、工程Aで形成された金型の原型(微小隆起物を有するプラスチック)の表面上に金型材料を被覆させて、金型材料からなる微小構造が転写された金型材料被覆層を金型の原型の表面上に形成している。従って、該金型材料被覆層の内部側の面(微小隆起物を有するプラスチックの表面と接触している面)は、微小隆起物を有するプラスチックの表面の形状に対応している。すなわち、金型材料被覆層は、前記プラスチックの表面の微小隆起物に対応する形状の微小陥没部を有している。
【0051】
(金型材料)
金型材料としては、有機系金型材料(例えば、プラスチック材料など)や、無機系金型材料(例えば、金属材料やその他の無機化合物など)を用いることができる。金型材料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0052】
本発明では、金型材料としては、無機系金型材料、特に、金属材料を好適に用いることができる。該金属材料としては、特に制限されず、金型として用いて成形材料を成形することができるものであればよい。金属材料には、金属単体の他、その他の金属化合物が含まれる。なお、下記に示される無電解メッキ又は電解メッキにより金型材料被覆層(金属被覆層)を微小隆起物を有するプラスチック(金型の原型)の表面に形成する場合は、金属材料としては、前記無電解メッキ又は電解メッキを行うことができるものが好ましい。具体的には、金属材料としては、例えば、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、カドミウム、亜鉛、スズ、鉛、クロム、アルミニウム等の金属や、真ちゅう、ニッケル−クロム合金、銅−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金、金−銅合金等の合金などが挙げられる。
【0053】
なお、前記有機系金型材料としてのプラスチック材料としては、微小隆起物を有するプラスチックの溶融温度よりも低い溶融温度を有するプラスチック材料を用いてもよい。有機系金型材料としてのプラスチック材料としては、金型として用いることができるプラスチック材料であれば特に制限されない。具体的には、有機系金型材料としてのプラスチック材料としては、例えば、メタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(PMMA)など)、スチレン系樹脂(ポリスチレンの他、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体など)、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリサルホン)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン)、ポリウレタン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリエーテルエーテルケトン類(ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケトンなど)などの熱可塑性樹脂や、レジスト材料などが挙げられる。なお、有機系金型材料の使用に際して、金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチックと有機系金型材料とが接合しないように、該微小隆起物を有するプラスチックの表面を表面処理してもよい。
【0054】
(金型材料の被覆)
微小隆起物を有するプラスチック表面上に金型材料を被覆する方法としては、前記プラスチック表面に金型材料を被覆することができる方法であれば特に制限されない。例えば、金型材料として金属材料を用いる場合は、金型の原型(微小隆起物を有するプラスチック)の表面上に金属材料を堆積させることにより、金属材料により金型の原型の表面を被覆させて、金属材料被覆層を形成することができる。より具体的には、金属材料の被覆方法としては、例えば、無電解メッキを行う方法や、予め、微小隆起物を有するプラスチック表面に蒸着などにより導電性の賦与を行った後に電解メッキを行う方法を好適に採用することができる。なお、無電解メッキを行った後に、電解メッキが行われてもよい。無電解メッキの後に、電解メッキを行うことにより、メッキ金属層の厚みを増加させることができる。
【0055】
無電解メッキは、例えば、微小隆起物を有するプラスチックを、市販のニッケルメッキ浴に浸漬させることにより、前記プラスチックの全表面にメッキ金属を析出させて、金属被覆層を形成することができる。なお、無電解メッキを行う前にクロム酸処理などの前処理を行うことができる。
【0056】
金型材料被覆層の厚みは特に制限されず、例えば、200μm以上(例えば、0.2〜5mm)、好ましくは0.5〜3mm程度の範囲から選択することができる。金型材料被覆層の厚みが薄すぎると、金型としての強度が低下する。
【0057】
[工程C]
工程Cでは、工程Bで形成された金型材料被覆層を金型の原型から分離して、金型(微小隆起物を有する構造体形成用金型)を得ている。金型材料被覆層および金型の原型を分離させる方法としては、前記金型材料被覆層を、前記金型の原型(プラスチック部材)から分離させることができる方法であれば特に制限されず、例えば、金型材料被覆層からプラスチック部材を抜き取る方法、剥離させる方法またはエッチングにより除去する方法などを1種で又は2種以上組み合わせて採用することができる。
【0058】
なお、本発明では、前記工程A〜工程Cを含む作製方法により作製された金型の形状を他の金型材料(例えば、プラスチック材料など)により写し取って、他の金型材料(プラスチック材料等)による金型を作製することもできる。例えば、前記工程A〜工程Cを含む作製方法により得られた金属材料からなる金型(又は金属被覆層)の表面をプラスチック材料で被覆して、該被覆により形成されたプラスチック材料被覆層を、前記金属材料からなる金型(又は金属被覆層)から分離させて、プラスチック材料からなる金型を得ることができる。
【0059】
このような本発明の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法は、前記工程A〜工程Cを有しているので、微小隆起物を有する構造体形成用金型を、容易にしかも優れた精度で作製することができる。また、金型の原型を製造するにあたり、環境汚染やリサイクルなどの環境問題が生じない。本発明の製造方法により作製された金型を用いることにより、容易にしかも優れた精度で成形された微小隆起物を有する構造体を、各種の成形材料から得ることができる。
【0060】
[工程D]
工程Dでは、前記工程A〜工程Cを具備する作製方法により作製された金型に、成形材料を充填している。前記成形材料としては、特に制限されず、例えば、有機系成形材料、無機系成形材料のいずれであってもよいが、有機系成形材料を好適に用いることができる。成形材料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0061】
前記有機系成形材料としては、プラスチック材料が好ましく、該プラスチック材料のなかでも特に熱可塑性樹脂が好適である。熱可塑性樹脂などのプラスチック材料としては、例えば、メタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(PMMA)など)、スチレン系樹脂(ポリスチレンの他、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体など)、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリサルホン)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン)、ポリウレタン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリエーテルエーテルケトン類(ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケトンなど)などが挙げられる。
【0062】
また、有機系成形材料としては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ノルボルネンゴム(NOR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フォスファゼンゴム等のゴム材料や、ポリエチレン系エラストマー等のオレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、ジエン系エラストマー等のエラストマー材料の他、導電性高分子などであってもよい。なお、有機系成形材料には、無機化合物や金属化合物などの各種材料等が含まれていてもよい。
【0063】
また、無機系成形材料としては、金属化合物(金属単体を含む)やその他の無機化合物などを適宜選択して用いることができる。なお、無機系成形材料を用いる場合、金型としては、プラスチック材料により作製された金型を用いることができる。
【0064】
成形材料を金型に充填する方法としては、特に制限されず、例えば、成形材料が熱可塑性樹脂である場合、一般的に、溶融状態の熱可塑性樹脂を金型に流し込む方法が用いられる。金型に溶融状態の熱可塑性樹脂を流し込んだ後は、冷却することにより、熱可塑性樹脂を固化することができる。
【0065】
[工程E]
工程Eでは、工程Dで金型に充填された充填物(成形材料からなる充填物)を金型から離型させることにより、微小構造が転写された微小隆起物を有する構造体を得ている。例えば、成形材料として熱可塑性樹脂を用いた場合、冷却固化された熱可塑性樹脂を金型から抜き取ったり、剥離したりすることにより、離型することができる。
【0066】
このような本発明の微小隆起物を有する構造体の製造方法は、前記工程D〜工程Eを有しているので、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスのレーザーを利用して作製された金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックと同一の形状を有する構造体(表面に微小隆起物を有する構造体)を、容易に且つ精度よく製造することができる。しかも、量産することが容易である。従って、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスのレーザーを利用して作製された微小隆起物を有するプラスチックと同一の形状を有するものを、容易に且つ精密に複製することができる。
【0067】
本発明の方法により製造された微小隆起物を有する構造体は、表面に精密に制御された凹凸構造を有しているので、拡散板や散乱素子などの光機能部材や、精密な空間や流路などを形成するスペーサー機能を利用したマイクロマシーンやセンサー、電気的探針、バイオ機器、マイクロリアクターチップ、埋め込み型人工臓器などに利用できる。
【0068】
また、本発明では、微小隆起物を有する構造体形成用金型を用いて作製された微小隆起物を有する構造体を、金型の原型として用いて、前記工程B〜工程Cの方法と同様にして、新たな金型を作製することもでき、さらには、この新たな金型を用いて、前記工程D〜工程Eを具備する作製方法と同様にして、微小隆起物を有する構造体を作製することもできる。すなわち、微小隆起物を有する構造体形成用金型を用いて作製された微小隆起物を有する構造体を金型の原型として用い、前記工程B〜工程Cの方法と同様に、該金型の原型の表面上に金型材料を被覆させ、この金型材料被覆層を金型の原型から分離して、微小隆起物を有する構造体形成用金型を得ることも可能であり、さらには、この微小隆起物を有する構造体形成用金型に、前記工程D〜工程Eの方法と同様に、成形材料を充填し、この充填物を金型から離型して、微小隆起物を有する構造体を得ることも可能である。
【0069】
これらの場合、微小隆起物を有する構造体形成用金型を用いて作製された微小隆起物を有する構造体としては、(i)パルス幅が10-12秒以下の超短パルスのレーザーをプラスチック内部に照射することにより作製された微小隆起物を有する構造体を金型の原型とし、該金型の原型を用いて金型を得て、さらにこの金型を用いることにより得られた微小隆起物を有する構造体であってもよく、(ii)微小隆起物を有する構造体形成用金型を用いて微小隆起物を有する構造体を作製し、この微小隆起物を有する構造体を金型の原型として、前記工程B〜工程Cの方法と同様にして、微小隆起物を有する構造体形成用金型を作製し、さらにこの金型を用いて、前記工程D〜工程Eを具備する作製方法と同様にして、微小隆起物を有する構造体を作製するという一連の操作を、n回(nは1以上の整数である)行うことにより得られた微小隆起物を有する構造体であってもよい。なお、前記(i)の方法により得られた微小隆起物を有する構造体は、前記工程A〜工程Eの各工程を各1回だけ経て得られた微小隆起物を有する構造体に相当している。また、前記(ii)の方法により得られた微小隆起物を有する構造体は、nが1の場合は、(ii-a)前記(i)の方法により作製された微小隆起物を有する構造体を金型の原型として、前記工程B〜工程Cの方法と同様にして、微小隆起物を有する構造体形成用金型を作製し、さらにこの金型を用いて、前記工程D〜工程Eを具備する作製方法と同様にして作製された微小隆起物を有する構造体となり、nが2の場合は、(ii-b)前記(ii-a)の方法により得られた微小隆起物を有する構造体を金型の原型として、前記工程B〜工程Cの方法と同様にして、微小隆起物を有する構造体形成用金型を作製し、さらにこの金型を用いて、前記工程D〜工程Eを具備する作製方法と同様にして作製された微小隆起物を有する構造体となり、nが3以上の場合は、この一連の操作を必要回数繰り返し行って作製された微小隆起物を有する構造体となる。
【0070】
従って、本発明において、工程D〜工程Eを具備する微小隆起物を有する構造体の製造方法により得られた微小隆起物を有する構造体には、前記(i)の方法により得られた微小隆起物を有する構造体と、前記(ii)の方法により得られた微小隆起物を有する構造体とが含まれる。すなわち、本発明では、工程D〜工程Eを具備する微小隆起物を有する構造体の製造方法により得られた微小隆起物を有する構造体を、金型の原型として用い、該金型の原型の表面上に金型材料を被覆させ、この金型材料被覆層を金型の原型から分離して、微小隆起物を有する構造体形成用金型を得ることができ、さらには、この微小隆起物を有する構造体形成用金型に、成形材料を充填し、この充填物を金型から離型して、微小隆起物を有する構造体を得ることができる。
【0071】
このように、微小隆起物を有する構造体形成用金型を用いて作製された微小隆起物を有する構造体を金型の原型として利用する場合は、この金型の原型となる微小隆起物を有する構造体の成形材料として、前記例示のプラスチック材料やレジスト材料などのポリマーを用いることにより、樹脂以外の成形材料(例えば、金属化合物やその他の無機化合物などの無機系成形材料など)による微小隆起物を有する構造体を作製してもよい。
【0072】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0073】
実施例1
0.5mm厚さの、ガラス転移温度が220℃のポリエーテルサルホン(PES)シートの内部(深さ5μm)に、照射波長800nm、パルス幅150フェムト秒、繰り返し200kHzのチタン・サファイア・フェムト秒パルスレーザーを、照射エネルギー7.0mW、対物レンズの倍率10倍で、照射スポット約3μm径、照射方向に対して直角方向のサンプルの移動速度25μm/秒の条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。
【0074】
次に、この金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを、濃度:98重量%の硫酸(「98%硫酸」と称する場合がある)、無水クロム酸及び98%硫酸、純水、濃度:35重量%の塩酸(「35%塩酸」と称する場合がある)、純水、98%硫酸、純水に、この順で、順次浸漬して、無電解メッキ前の前処理を行った後、ニッケルによる無電解メッキを行って、微小隆起物を有するプラスチック表面上にニッケルを0.8mmの厚みまで堆積させた後、ニッケルにより被覆されたプラスチックを剥離させて、ニッケルからなる金型を得た。
【0075】
このニッケルからなる金型に、熱溶融したポリメチルメタクリレートを(PMMA)を流し込んで、冷却して固化させた後、型から抜いて成形物(成形体)を得た。
【0076】
実施例2
3.0mm厚さの、ガラス転移温度が105℃のポリメチルメタクリレート(PMMA)シートの内部(深さ5μm)に実施例1と同じパルスレーザーを、実施例1と同じ条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。この金型の原型を用いること以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金型を得た。さらに、このニッケルからなる金型に、実施例1と同様にして、熱溶融したPMMAを流し込んで、冷却して固化させた後、型から抜いて成形体を得た。
【0077】
実施例3
0.5mm厚さの、ガラス転移温度が220℃のポリエーテルサルホン(PES)シートの内部(深さ30μm)に、照射波長800nm、パルス幅150フェムト秒、繰り返し200kHzのチタン・サファイア・フェムト秒パルスレーザーを、照射エネルギー40mW、対物レンズ10倍で照射スポット約3μm径、照射方向に対して直角方向のサンプルの移動速度500μm/秒の条件で、且つライン間隔が25μmの5本の平行ライン状となるように焦点を移動させて、照射して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。
【0078】
この金型の原型を用いること以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金型を得て、さらに、このニッケルからなる金型に、実施例1と同様にして、熱溶融したPMMAを流し込んで、冷却して固化させた後、型から抜いて成形体を得た。
【0079】
実施例4
0.5mm厚さの、ガラス転移温度が160℃のポリカーボネート(PC)シート内部(深さ30μm)に実施例3と同じ超短パルスレーザーを、対物レンズ20倍を用い、照射エネルギーを30mWとしたこと以外は実施例3と同じ条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。この金型の原型を用いること以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金型を得た。さらに、このニッケルからなる金型に、実施例1と同様にして、熱溶融したPMMAを流し込んで、冷却して固化させた後、型から抜いて成形体を得た。
【0080】
実施例5
3.0mm厚さの、ガラス転移温度が105℃のPMMAシートの内部(深さ30μm)に実施例3と同じ超短パルスレーザーを、実施例3と同じ条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。この金型の原型を用いること以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金型を得た。さらに、このニッケルからなる金型に、実施例1と同様にして、熱溶融したPMMAを流し込んで、冷却して固化させた後、型から抜いて成形体を得た。
【0081】
実施例6
3.0mm厚さの、ガラス転移温度が−50℃のアクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂シートの内部(深さ80μm)に実施例3と同じ超短パルスレーザーを、実施例3と同じ条件で条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。この金型の原型を用いること以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金型を得た。さらに、このニッケルからなる金型に、AS樹脂をテトラヒドロフランに溶解したAS樹脂溶液を流し込んで、乾燥させた後、型から抜いて成形体を得た。
【0082】
実施例7
実施例4と同じポリカーボネートの内部(深さ50μm)に、実施例3と同じ超短パルスレーザーを、照射エネルギー(出力)を50mWとしたこと以外は実施例3と同じ条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。この金型の原型を用いること以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金型を得た。さらに、このニッケルからなる金型に、AS樹脂をテトラヒドロフランに溶解したAS樹脂溶液を流し込んで、乾燥して固化させた後、型から抜いて成形体を得た。
【0083】
実施例8
実施例4と同じポリカーボネートの内部(深さ30μm)に、実施例3と同じ超短パルスレーザーを、移動速度を1000μm/秒としたこと以外は実施例3と同じ条件で照射して、金型の原型である微小隆起物を有するプラスチックを作製した。この金型の原型を用いること以外は実施例1と同様にして、ニッケルからなる金型を得た。さらに、このニッケルからなる金型に、AS樹脂をテトラヒドロフランに溶解したAS樹脂溶液を流し込んで、乾燥して固化させた後、型から抜いて成形体を得た。
【0084】
評価及び評価結果
金型を用いて得られたPMMAの成形体について、光干渉顕微鏡(菱化システム社製)並びに反射型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所社製)を用いて、表面並びに断面の形態及び形状の観察を行った。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
Figure 0003783862
【0086】
表1から明らかなように、実施例1〜8により得られた成形体は、表面に微小な隆起物が形成されている。具体的には、実施例1〜5により得られた成形体は、表面に釣鐘状または円錐状の微小な隆起物を有しており、実施例6により得られた成形体は、表面にカルデラ状の微小な隆起物を有しており、実施例7により得られた成形体は、表面にテラス状の微小な隆起物を有しており、実施例8により得られた成形体は、表面に半球状の微小な隆起物を有している。
【0087】
【発明の効果】
本発明により、環境汚染やリサイクルなどの環境問題を生じさせることなく表面の所望の部位に精密な凹凸構造が形成された金型の原型が提供される。この金型の原型を利用して得られた金型を用いると、表面に微小な隆起物を有する構造体を容易に且つ精密に製造することができる。前記表面に微小な隆起物を有する構造体は、光機能部材などの機能部材として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金型の原型の一例を模式的に示す鳥瞰図である。円錐状の隆起物が形成されて、表面に精密な凹凸構造を有している状態を示す。
【図2】本発明の金型の原型の他の例を模式的に示す鳥瞰図である。釣り鐘状の隆起物が形成されて、表面に精密な凹凸構造を有している状態を示す。
【図3】本発明の金型の原型の他の例を模式的に示す鳥瞰図である。カルデラ状の隆起物が形成されて、表面に精密な凹凸構造を有している状態を示す。
【図4】本発明の金型の原型の他の例を模式的に示す鳥瞰図である。テラス状の隆起物が形成されて、表面に精密な凹凸構造を有している状態を示す。
【図5】本発明の金型の原型の他の例を模式的に示す鳥瞰図である。半球状の隆起物が形成されて、表面に精密な凹凸構造を有している状態を示す。
【図6】図1〜5で示される金型の原型としての微小隆起物を有するプラスチックにおける微小隆起物の要部の概略断面図を示す。
【図7】本発明の金型の原型の形成方法の一例を示す概略鳥瞰図である。
【符号の説明】
1 プラスチックシート
2a 円錐状の隆起物
2b 釣り鐘状の隆起物
2C カルデラ状の隆起物
2d テラス状の隆起物
2e 半球状の隆起物
1a プラスチックシート1の表面
1b プラスチックシート1の下部表面(下面)
T プラスチックシート1の厚さ
3 パルス幅が10-12秒以下である超短パルスレーザー
4 レンズ
5 レーザー3の焦点
6 レーザー3の照射方向
7 レーザー3の焦点5の移動方向
8 レーザー3の焦点5をライン状に移動させる際のライン
d プラスチックシート1の表面1aと、レーザー3の焦点5との距離
L ライン8における近接したライン間の間隔

Claims (19)

  1. 表面に微小隆起物を有する構造体形成用金型を作製する方法であって、下記工程A〜工程Cを具備することを特徴とする微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
    工程A:プラスチック内部にパルス幅が10-12秒以下の超短パルスのレーザーを照射することにより、プラスチック表面に該プラスチック内部から隆起して形成された微小の隆起物を形成して金型の原型を形成する工程
    工程B:工程Aで形成された金型の原型の表面上に金型材料を被覆する工程
    工程C:工程Bで形成された金型材料被覆層を金型の原型から金型として分離する工程
  2. 工程Aにおいて、微小の隆起物が、底面の直径0.3〜100μm、高さ0.1〜50μmの微小の隆起物である請求項1記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  3. 工程Aにおいて、微小の隆起物が、円錐状、釣り鐘状、カルデラ状、テラス状ないしは半球状の微小の隆起物である請求項1又は2記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  4. 工程Aにおいて、隆起物を形成する前の状態のプラスチックが、400〜800nmの可視光波長領域において10%以上の透過率を有するプラスチックである請求項1〜3の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  5. 工程Aにおいて、隆起物を形成する前の状態のプラスチックが、100℃以上のガラス転移温度を有するプラスチックである請求項1〜4の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  6. 工程Aにおいて、隆起物を形成する前の状態のプラスチックが、ポリマー材料と他の材料との複合体である請求項1〜5の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  7. 工程Aにおいて、プラスチック内部に外部よりパルス幅10-12秒以下の超短パルスのレーザーを、該超短パルスのレーザーの照射方向に対して垂直な方向に且つプラスチック表面に対して平行な方向に、超短パルスのレーザーの焦点をライン状に移動させながら照射することにより、プラスチックの表面に隆起物を形成する前記請求項1〜6の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  8. 工程Aにおいて、超短パルスのレーザーの焦点をライン状に移動させる際のラインが複数有り、各ライン同士が平行である請求項7記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  9. 工程Aにおいて、超短パルスのレーザーを、プラスチック表面から5〜150μmの深さに焦点を合わせて照射する請求項1〜8の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  10. 工程Aにおいて、超短パルスのレーザーを、プラスチック下部表面から5〜50μmの深さに焦点を合わせて照射し、下部表面に微小の隆起物を形成する請求項1〜8の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  11. 工程Aにおいて、超短パルスのレーザーの照射エネルギーが、500mW以下である請求項1〜10の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  12. 工程Aにおいて、プラスチック及び超短パルスのレーザー光源のうちいずれか一方を、他方に対して相対的に移動させることにより、超短パルスのレーザーの焦点をライン状に移動させる請求項7〜11の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  13. 工程Aにおいて、ライン状に移動する超短パルスのレーザーの焦点の移動速度が、10〜1,000μm/秒である請求項7〜12の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  14. 工程Aにおいて、焦点をライン状に移動させながら照射された複数のラインにおいて、近接したライン間の間隔が、10〜100μmである請求項7〜13の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  15. 工程Bで用いられる金型材料が金属材料である請求項1〜14の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  16. 表面に微小隆起物を有する構造体を製造する方法であって、下記工程D〜工程Eを具備することを特徴とする微小隆起物を有する構造体の製造方法。
    工程D:前記請求項1〜15の何れかの項に記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法により作製された金型に、成形材料を充填する工程
    工程E:工程Dで金型に充填された充填物を、微小隆起物を有する構造体として、金型から離型する工程
  17. 工程Dで用いられる成形材料がプラスチック材料である請求項16記載の微小隆起物を有する構造体の製造方法。
  18. 前記請求項16又は17記載の微小隆起物を有する構造体の製造方法により得られた微小隆起物を有する構造体を、金型の原型として用い、該金型の原型の表面上に金型材料を被覆させ、この金型材料被覆層を金型の原型から分離して、微小隆起物を有する構造体形成用金型を得ることを特徴とする微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法。
  19. 前記請求項18記載の微小隆起物を有する構造体形成用金型の作製方法により得られた金型に、成形材料を充填し、この充填物を金型から離型して、微小隆起物を有する構造体を得ることを特徴とする微小隆起物を有する構造体の製造方法。
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