JP2003197185A - 水素吸蔵合金電極とその製造方法およびそれを用いたニッケル水素蓄電池 - Google Patents

水素吸蔵合金電極とその製造方法およびそれを用いたニッケル水素蓄電池

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Manabu Kanemoto
金本  学
Mitsuhiro Kodama
充浩 児玉
Minoru Kurokuzuhara
実 黒葛原
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Yuasa Corp
Yuasa Battery Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素吸蔵合金電極を負極とするニッケル水素
蓄電池であって、短時間で初期化成が完了し、且つ、高
率放電性能およびサイクル特性が従来のニッケル水素蓄
電池に劣らないニッケル水素蓄電池を実現する。 【解決手段】 水素吸蔵合金電極用水素吸蔵合金粉末と
して、平均粒径が13〜25μmで表面改質処理を施し
た水素吸蔵合金粉末と平均粒径が30〜50μmの表面
改質処理を施さない水素吸蔵合金粉末の混合粉末であっ
て、前記表面改質処理を施さない水素吸蔵合金粉末の比
率が20〜80重量%の範囲の混合粉末を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金電極
およびそれを用いたニッケル水素蓄電池に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金電極を負極とするニッケル
水素蓄電池は、低公害でエネルギー密度が高く、かつ、
サイクル特性にも優れているところから、それまで広く
用いられてきたニッケルカドミウム蓄電池に替わるもの
として、ポータブル機器用電源や電気自動車(EV)、
ハイブリッド形電気自動車(HEV)等の動力源として
用いられている。
【0003】ニッケル水素蓄電池に広く用いられている
水素吸蔵合金は、ランタン(La)に代表される希土類
元素あるいは複数の希土類元素を含むミッシュメタル
(Mm)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アル
ミニウム(Al)、鉄(Fe)およびマンガン(Mn)
等の金属元素で構成されている。
【0004】前記水素吸蔵合金を構成する元素のうち、
希土類元素、Al、FeおよびMnは酸化され易く、空
気中に置かれただけで容易に酸化されて、水素吸蔵合金
粉末の表面に酸化物の被膜を形成する。
【0005】前記酸化物の被膜は、導電性に乏しくま
た、合金内への水素の吸蔵や合金からの水素の放出を阻
害する。従って、酸化物被膜が生成した水素吸蔵合金を
適用した水素吸蔵合金電極は、そのままでは所定の性能
を発揮し得ない。
【0006】このために、水素吸蔵合金電極を負極とす
るニッケル水素蓄電池の場合、初期活性化と称して、電
池組立後10サイイクル程度の充放電サイクルを繰り返
し、水素吸蔵合金電極の活性化を図る必要がある。
【0007】水素吸蔵合金電極が正常に動作しないと、
負極/正極の容量バランスが設計値からはずれているた
めに充電時に負極から水素ガスが発生して電池の内圧上
昇を引き起こし、電池寿命を短くする要因となる。従っ
て、電池の特性にできるだけ悪影響を及ぼさないこと、
およびニッケル水素蓄電池の初期化成を短時間で完了さ
せるために、水素吸蔵合金電極の初期活性化が速やかに
進行させることが望ましい。
【0008】水素吸蔵合金を速やかに正常に動作させる
ため、種々の提案がされている。最も一般的なのは、水
素吸蔵合金粒子自体の導電性、電極作用物質としての活
性を妨げている表面の酸化物被膜の除去である。
【0009】例えば、特開平7−29568号公報には
高温のアルカリ水溶液に浸漬処理する方法、特開平6−
88150号公報には塩酸等の酸性水溶液に浸漬処理す
る方法が提案されている。
【0010】水素吸蔵合金粉末を高温のアルカリ水溶液
で浸漬処理すると、酸化物被膜は除去される。しかし、
このこの処理方法は、粒子表面に新たに水酸化物被膜を
生成するために粒子間の接触抵抗が大きくなり、この合
金粉末を適用した水素吸蔵合金電極の高率放電特性が劣
るという欠点があった。
【0011】また、水素吸蔵合金粉末を酸性水溶液で処
理すると、表面の酸化物被膜が除去され、さらに、粉末
の表面が侵食を受けて比表面積が大きくなるので、この
合金粉末を適用した水素吸蔵合金電極は活性化が速やか
に進み、かつ、高率放電特性が優れるという利点があ
る。しかし、この方法では、水素吸蔵合金の耐食性が劣
り、電極にした後の腐食の進行が速いので、電極の寿命
が短くなる欠点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、短時
間で初期化成が完了し、且つ、高率放電性能およびサイ
クル特性が従来のニッケル水素蓄電池に劣らないニッケ
ル水素蓄電池を実現しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、平均粒径が13〜25μmで表面改質処
理を施した水素吸蔵合金粉末(以下表面改質処理品と略
記する)と、平均粒径が30〜50μmで表面改質処理
を施さない水素吸蔵合金粉末(以下未処理品と略記す
る)との混合粉末を用いる。また、前記水素吸蔵合金の
混合粉末に占める未処理品の比率を20〜80重量%と
する。尚、ここでいう表面改質処理とは、水素吸蔵合金
粉末をアルカリ性又は酸性溶液に浸漬して、合金粉末表
面の酸化物被膜を除去することを指す。本方法により、
簡便で安価に、初期活性化が速く且つ高率放電特性およ
びサイクル特性の優れた水素吸蔵合金電極を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明においては、平均粒径が1
3〜25μmの水素吸蔵合金粉末の表面改質処理を行
う。該表面改質処理をアルカリ性水溶液で実施する場合
は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウ
ム等、苛性アルカリの濃厚溶液を用いる。あるいは、後
記に示す有機酸のアルカリ金属塩を含む苛性アルカリの
水溶液を適用することができる。
【0015】合金表面に生成した酸化物被膜を除去する
ためには、アルカリ性処理液中の苛性アルカリの濃度が
数M〜8M/l、処理液の温度は、70〜100℃が好
適である。処理時間は、1〜3時間が好適である。ま
た、アルカリ金属塩を含む苛性アルカリ水溶液を用いて
処理するばあいには、処理液中の苛性アルカリの濃度が
数M〜8M/l、有機酸のアルカリ金属塩濃度が数重量
%〜10重量%、処理液温度が70〜90℃、処理時間
は、10〜30分間が好適である。
【0016】アルカリ性水溶液で処理を行った場合は、
合金の表面をNiリッチにして耐食性を高めることがで
きる。さらに、合金の表面がNiなどの酸素ガス吸収反
応の触媒活性の高い遷移金属に富んだ層が形成される
と、水素吸蔵合金電極が、ニッケル水素電池の充電時に
ニッケル電極で発生した酸素ガスを吸収して合金内に吸
蔵した水素と反応させることによって水分子に戻す反応
を促進する作用が生じる。酸素ガスを速やかに水分子に
戻すことは、合金自身が酸素によって腐食されるのを抑
制する効果に繋がる。
【0017】前記表面改質処理を酸性水溶液で実施する
場合、無機酸には塩酸を用いる。また、酢酸、蟻酸、プ
ロピオン酸、酪酸、マロン酸、蓚酸、アクリル酸、吉草
酸、グリコール酸、クエン酸、琥珀酸、グルタル酸、乳
酸、酒石酸等の有機酸を適用することもできる。酸性水
溶液で処理する場合は、処理液のpHを3〜5の範囲に
制御し、処理液の温度を70〜90℃に制御することが
望ましい。処理時間は10〜30分間が好適である。
【0018】水素吸蔵合金粉末を酸性水溶液で表面改質
処理を行うと、アルカリ性水溶液で処理するのと同様
に、合金表面の酸化物被膜が除去される。アルカリ性水
溶液による処理と異なり処理後において水酸化物の被膜
が新たに生成し難い利点がある。また、表面の被膜のみ
でなく被膜の下に位置する合金表面も浸食され、合金表
面の比表面積が大きくなるため、合金が電極の作用物質
として機能する活性の度合いが増大する。前記有機酸の
塩を含むアルカリ水溶液で処理した場合にも、これと同
様の効果が得られる。
【0019】本発明に係る水素吸蔵合金電極に適用する
前記表面改質処理品の平均粒径は、13〜25μmであ
り、さらには、16〜20μmであることが望ましい。
平均粒径が、13μm未満の場合は、合金粉末の充填密
度が低い欠点がある。また、アルカリ水溶液で処理した
場合は、処理後新たに表面に生成した水酸化物被膜の生
成量が多くなるので、有効な水素吸蔵合金の量が少なく
なる虞がある。また、酸性水溶液で処理した場合は、合
金粉末表面の浸食が大きくなり、電極にした後の腐食が
進み易くなる欠点がある。
【0020】逆に、前記表面改質処理品の平均粒径が大
きくて25μmを超えると、合金の腐食が抑制されるも
のの、水素を吸蔵または放出する際の水素吸蔵合金粉末
内における水素の移動パスが大きくなって、本発明の狙
いとする優れた高率放電特性を達成できない虞がある。
【0021】本発明に係る水素吸蔵合金電極に用いる水
素吸蔵合金粉末のうち、前記未処理品として、平均粒径
が30〜50μmのものを適用する。
【0022】本発明においては、水素吸蔵合金電極に適
用した水素吸蔵合金の一部に、粒径の小さい表面改質処
理品を適用することによって、初期活性化を促進すると
ともに、高率放電性能が従来電池の性能を下回らないよ
うにする。また、水素吸蔵合金の残部に平均粒径の大き
い未処理品を適用することによって合金の腐食の進行を
抑え、サイクル特性の維持を図る。
【0023】前記未処理品の平均粒径が30μm未満の
場合には、合金の腐食を抑制する効果が十分ではなく、
サイクル性能の維持が望めない。また、高率放電性能の
維持は主として表面改質処理を施した水素吸蔵合金粉末
の働きに依存しているが、未処理品の平均粒径が大きす
ぎ、50μmを超えると高率放電性能の向上が望めなく
なる虞がある。
【0024】本発明に係る水素吸蔵合金電極において
は、前記未処理品の水素吸蔵合金全体に占める比率を2
0〜80重量%、さらには30〜70重量%にすること
が望ましい。該比率が20重量%未満の場合には、優れ
た高率放電性能が達成できず、80重量%を超える場合
には、優れたサイクル性能が維持できない虞がある。
【実施例】以下、実施例に基づき本発明の詳細を説明す
る。
【0025】(水素吸蔵合金粉末の表面改質処理)Mm
Ni3.6Co0.75A10.29Mn0.36(Mmはミッシュメ
タルを表し、La、Ce、Pr、Ndから成る複合体で
ある)で表される組成を有し、平均粒径が13、16,
20、25,30μmの水素吸蔵合金粉末を用意した。
各々の合金粉末各1kgを6M/lの水酸化カリウムと
1M/lの水酸化リチウムの混合溶液1l中に投入し、
処理液の温度を90℃に保ちながら2時間撹拌した。処
理液を分離除去した後、蒸留水を用い洗浄水のpHが9
以下を示すまで繰り返し洗浄を行った。洗浄終了後、不
活性雰囲気中で温度75℃にて乾燥した。
【0026】前記と組成および平均粒径が同一の水素吸
蔵合金粉末各1kgを予め85℃にまで加温し、温度8
5℃、pH4に調整したの酒石酸水溶液1l中に投入し
た。温度を85℃に保ちながら15分間撹拌した。処理
液を分離除去後、蒸留水を用い洗浄水のpHが6以上を
示すまで繰り返し洗浄を行った。洗浄終了後、不活性雰
囲気中で温度75℃にて乾燥した。
【0027】前記と組成および平均粒径が同一の水素吸
蔵合金粉末各1kgを予め80℃にまで加温し、温度8
0℃、5重量%の酒石酸カリウムを含む6.8M/lの
水酸化カリウム水溶液1l中に投入した。温度を80℃
に保ちながら15間撹拌した。処理液を分離除去後、蒸
留水を用い洗浄水のpHが9以下を示すまで繰り返し洗
浄を行った。洗浄終了後、不活性雰囲気中で温度75℃
にて乾燥した。
【0028】(表面改質処理品と未処理品の混合)前記
表面改質処理品と未処理品の単品および両者の混合品を
調整した。使用した未処理品の平均粒径は、それぞれ2
5、30、40、50μmの4種類である。表面改質処
理品と未処理品の混合比は、混合品中に占める前記表面
改質処理品の比率が100重量%〜0重量%の範囲で1
0重量%の刻みで変化するように変えた。
【0029】(水素吸蔵合金電極の作製)水素吸蔵合金
粉末を95重量%に導電助剤として平均粒径1μmのニ
ッケル粉末3重量%、結着剤のスチレンブタジエンゴム
2重量%を加え、さらに適量のカルボキシメチルセルロ
ース水溶液を添加して混練しペースト状となした。該ペ
ーストを穿孔鋼板の両面に所定量塗布して乾燥した。そ
の後プレスして厚さ0.35mmに加工し、水素吸蔵合
金電極板とした。
【0030】(開放型セルによる水素吸蔵合金電極の初
期活性化)前記水素吸蔵合金電極板から作用面積が30
×30mmの大きさの電極を切り取った。該電極を親水
化処理を施したポリプロピレン不織布製セパレータで包
み、2枚のシンター式ニッケル電極で挟み極群を構成し
た。尚、水素吸蔵合金電極の容量450mAhに対し
て、シンター式ニッケル電極の2枚合わせた容量を大過
剰にした。該極群を所定の容器に挿入し、6.8M/l
の水酸化カリウム水溶液と0.8M/lの水酸化リチウ
ムからなる電解液を注入して開放型セルを作製した。
【0031】前記開放型セルを、温度20℃において、
レート1/10It(A)(電流45mA)の定率で1
5時間充電した。次いでレート1/5It(A)(電流
90mA)の定率で放電した。水素吸蔵合金電極の電位
が、参照電極である酸化水銀電極(Hg/HgO)に対
して、−600mVになった時点を放電終止とした。該
充電・放電を1サイクルとして充放電を繰り返すことに
よって、水素吸蔵合金電極の初期活性化過程での放電容
量の推移を調べた。
【0032】図1に、水素吸蔵合金粉末として、平均粒
径30μmの未処理品と平均粒径20μmの表面活性化
処理品の混合粉末で、該混合粉末に占める未処理品の比
率を50重量%とした本発明に係る水素吸蔵合金電極
と、水素吸蔵合金粉末として、平均粒径30μmの未処
理品のみを用いた水素吸蔵合金電極の初期活性化過程に
おける放電容量の推移を示す。
【0033】図1の縦軸は、水素吸蔵合金の単位重量当
たりの放電容量で表記した。図1に示した如く、本発明
に係る混合粉末を用いた水素吸蔵合金電極の場合2〜3
サイクル目でほぼ100%の放電容量示しているのに対
して、未処理品のみを用いた水素吸蔵合金電極において
は、100%の放電容量が得られるまでに8〜9サイク
ルを要した。図1に示した以外の結果においても表面改
質処理品を混合したものは、いずれも初期活性化が促進
された。表面改質処理品としていずれの平均粒径のもの
を適用しても、その水素吸蔵合金中に占める比率が20
重量%以上である場合には5サイクル以内にほぼ100
%の放電容量が得られた。
【0034】(ニッケル水素電池用水素吸蔵合金電極の
作製)前記、水素吸蔵合金電極板を所定の寸法に裁断し
て容量が2560mAhの水素吸蔵合金電極を作製し
た。
【0035】(ニッケル電極の作製)活物質として、亜
鉛を3重量%、コバルトを3重量%を固溶状態で含有
し、表面に7重量%の水酸化コバルトの層を被覆した水
酸化ニッケル粉末を用いた。該活物質粉末に所定量のカ
ルボキシメチルセルロース水溶液を添加して混練し、ペ
ースト状となした。該ペーストを発泡ニッケル製基板に
所定量充填し、乾燥した。乾燥後、プレスして厚さを
0.76mmとし、所定の寸法に裁断して容量1600
mAhのニッケル電極を作製した。
【0036】(特性評価用ニッケル水素蓄電池の作製)
前記水素吸蔵電極とニッケル電極を、セパレータを介し
て積層した後、捲回して極板群とした。該極板群に正極
端子部と集電端子を接合した後、金属製の有底筒型電槽
内に収納し、6.8M/lの水酸化カリウム水溶液と
0.8M/lの水酸化リチウムからなる電解液を1.8
ml注液した後、安全弁を備えた金属製蓋体で封口しA
A(単3)サイズの密閉型ニッケル水素蓄電池を作製し
た。
【0037】(ニッケル水素蓄電池の初期化成)前記電
池を温度20℃において1サイクル目の充放電に供し
た。充電は、レート1/25It(A)(電流64m
A)の定率で5時間、引き続きレート1/10It
(A)(電流160mA)の定率で10時間行った。充
電後の電池をレート1/5It(A)(電流320m
A)、放電終止電圧を1.0Vとして定電流にて放電し
た。2サイクル目以降、下記の条件で充放電を行った。
充電は、レート1/10It(A)(電流160mA)
の定率で15時間行った。放電は、レート1/5It
(A)(電流320mA)、放電終止電圧を1.0Vと
して定電流にて放電した。該条件で10サイクル目まで
充放電を繰り返し行い評価試験用電池の初期化成を行
い、安定した放電容量が得られることを確認した。
【0038】(電池の特性評価試験:低温高率放電試
験)前記初期化成終了後の電池を、下記の条件にて特性
評価試験に供した。(1)低温高率放電試験。温度20
℃において、レート1/10It(A)(電流160m
A)の定率で15時間充電した電池を、温度−20℃に
おいて、レート1It(A)(電流1600mA)、放
電終止電圧を1.0Vとして定電流にて放電した。
(2)充放電サイクル試験。温度20℃において、レー
ト1It(A)(電流1600mA)で1.05時間充
電し、0.5時間休止した後、レート1It(A)(電
流1600mA)にて終止電圧を1.0Vとして放電し
た。放電後0.5時間休止した後再度充電した。該充放
電サイクルを繰り返し行った。
【0039】(試験結果:未処理品の平均粒径との関
係)各々の平均粒径(D50)の未処理品を用いた電池
のサイクル特性および高率放電特性を図2〜図5に示
す。混合粉末を調整するに際しては、平均粒径(D5
0)が20μmのアルカリ性処理液で処理した処理品を
用いた。高率放電特性は、図の左側の縦軸に記したよう
に、得られた放電容量の、温度20℃、レート1/5I
t(A)(電流320mA)、放電終止電圧を1.0V
とした定電流放電にて得られた放電容量に対する比率
(%)で表示した。サイクル性能は、図の右側の縦軸に
記したサイクル寿命で表記した。放電容量が初期値の6
0%にまで低下した時点をもって寿命とした。
【0040】図2〜図5に示したように、未処理品の平
均粒径が25μm、30μm、40μm、50μmのう
ち、粒径の小さい方が高率放電特性において優れてい
る。逆に、平均粒径の大きい方がサイクル特性において
優れている傾向にある。図2に示す如く、未処理品の平
均粒径が25μmの場合、サイクル性能が劣り従来電池
と同等のレベル(ここでは400サイクル以上を目安と
した)を維持することが困難である。
【0041】他方、図3、図4および図5に示すよう
に、未処理品の平均粒径が30μm、40μmおよび5
0μmの場合は、未処理品の比率が少なくとも20重量
%以上、望ましくは30重量%以上であれば優れたサイ
クル性能を維持することが可能である。従って、本発明
に係る水素吸蔵合金電極においては、水素吸蔵合金の混
合粉末の一方に、平均粒径が30〜50μmであって、
表面改質処理を施さない水素吸蔵合金粉末を適用する。
【0042】また、未処理品の平均粒径が40μm、5
0μmの場合、未処理品の水素吸蔵合金粉末に占める比
率が高くなるほど高率放電特性が低下する傾向にあり、
その比率が80%を超えると、特性低下傾向が著しくな
る。高率放電特性の目安を放電容量40%以上とする
と、未処理品の平均粒径が約40μmおよび50μmの
場合は、未処理品の比率が80重量%以下、さらには7
0重量%以下とすることが望ましい。
【0043】(試験結果:アルカリ性処理液で処理した
表面改質処理品の適用)前記アルカリ性水溶処理液を用
いて表面改質処理を施した、各々の平均粒径の表面改質
処理品を用いた電池のサイクル特性と高率放電特性を図
6〜図10(但し図8は、図4と同一である)に示す。
尚、水素吸蔵合金の混合粉末に混合する未処理品には、
平均粒径40μmの未処理品を用いた。図の縦軸は、前
記図2〜図5と同一の表記とした。
【0044】表面改質処理品を用いない場合には、高率
放電において得られる容量の比率は、35%である。図
6〜図9に示したように、平均粒径が13〜25μmの
表面改質処理品を用いた場合には、その放電容量が左肩
上がりになっているところから、表面改質処理品を混合
使用することによって、高率放電特性が向上しているこ
とが判る。中でも平均粒径が小さい方が、その効果が大
きいことを示している。
【0045】一方、図10の場合は、高率放電特性が横
這いであり、平均粒径が30μmの表面改質処理品を用
いた場合には、高率放電特性向上に対して効果が無いこ
とが判る。従って、本発明に係る水素吸蔵合金電極に
は、平均粒径が13〜25μmの表面処理品を適用す
る。
【0046】前記表面改質処理品うちでも、平均粒径が
13〜20μmの場合に、その高率放電向上効果が顕著
であり、水素吸蔵合金粉末に占める表面改質処理品の比
率が20重量%以上であれば、容量が目安とする40%
以上となる。
【0047】図6〜図9に示したように、表面改質処理
品の平均粒径が小さくなる程、また、その比率が高くな
る程、サイクル性能が低くなる傾向が認められる。表面
改質処理品の平均粒径が13μmの場合には、その比率
が50%以下でないと目安とする400サイクル以上が
得られない。他方表面改質処理品の平均粒径が16〜2
5μmの場合にはその比率が80重量%であっても悠に
400サイクルを超えている。以上の理由から表面改質
処理品の平均粒径は16〜20μmであって、その混合
比率は20〜80重量%、さらには、30〜70重量%
とすることが望ましい。
【0048】図7および図8に示すように、未処理品の
平均粒径が40μmで、表面改質処理品の平均粒径が1
6および20μmの場合、未処理品の比率が30〜70
重量%の範囲で高率放電特性、サイクル特性ともに特に
優れている。また、図3に示したように未処理品の平均
粒径が30μmの場合にも、未処理品比率が20〜30
重量%以上の広い範囲で高率放電特性、サイクル特性と
もに特に優れている。
【0049】以上記述した高率放電特性とサイクル特性
が特に優れている点および前記の初期活性化を促進する
効果を併せると、未処理品の平均粒径が30〜40μ
m、表面改質処理品の平均粒径が16〜20μm、未処
理品の比率を30〜70重量%とした時に、特に優れた
効果が得られることが判る。
【0050】(試験結果:酸性処理液で処理した表面改
質処理品の適用)酸性処理液を用いた表面改質処理品を
適用した電池のサイクル特性および高率放電特性を図1
1〜図15に示す。尚、水素吸蔵合金の混合粉末に混合
する未処理品には、アルカリ性処理液で表面改質処理を
施した処理品を適用した場合と同様に平均粒径40μm
の未処理品を用いた。図の縦軸は前記図2〜図5と同一
の表記とした。
【0051】図11〜図14に示したように、水素吸蔵
合金混合粉末の平均粒径と混合比率が同一の場合、酸性
処理液を用いた表面改質処理品を適用したものの方が、
前記アルカリ性処理液を用いた表面改質処理品を適用し
たものと比べて高率放電特性が少し上回った。表面改質
処理品の平均粒径および未処理品の比率と水素吸蔵合金
電極の高率放電特性、サイクル特性との関係は、図6〜
図10に示したアルカリ性処理液を用いた場合と同じ傾
向を示した。従って、酸性の処理液で処理した表面改質
処理品を適用する場合も、前記同様、表面改質処理品の
平均粒径は、13〜25μmのものを適用する。さらに
は、16〜20μmのものを適用するのが望ましい。ま
たその比率は、20〜80重量%、さらには30〜70
重量%とすることが望ましい。
【0052】図12、図13の結果からして、表面改質
処理品として酸性処理液で処理したものを用いた場合
も、前記アルカリ性処理液で処理したものを用いた場合
同様、未処理品の平均粒径が30〜40μm、表面改質
処理品の平均粒径が16〜20μm、未処理品の比率を
30〜70重量%とした時に、特に優れた効果が得られ
る。
【0053】(試験結果:有機酸のアルカリ金属塩を含
むアルカリ性処理液で処理した表面改質処理品の適用)
前記酒石酸カリウムを含む水酸化カリウムで処理した表
面改質処理品を適用した場合は、前記酸性処理液で処理
したものとほぼ同一の試験結果が得られた。従って、こ
こでは詳細な結果の記述は省略する。
【発明の効果】
【0054】本発明の請求項1によれば、初期活性化が
速やかに進行し、優れたサイクル特性と高率放電特性を
同時に確保した水素吸蔵合金電極することができる。
【0055】本発明の請求項2によれば、請求項1にお
いて高率放電特性をさらに高めることができる。
【0056】本発明の請求項3によれば、サイクル特性
と高率放電特性が特に優れた水素吸蔵合金電極を提供す
ることができる。
【0057】本発明の請求項4によれば、サイクル特性
と高率放電特性に優れた水素吸蔵合金電極を簡便にしか
も安価に製造することができる。
【0058】本発明の請求項5によれば、初期化成を短
時間で実施でき、サイクル特性と高率放電特性の両方に
優れたニッケル水素蓄電池を実現することができる。
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水素吸蔵合金電極と比較例の水素
吸蔵合金電極の初期活性化の過程における放電容量の推
移を示すグラフである。
【図2】比較例電池のサイクル特性および高率放電特性
を示すグラフである。
【図3】本発明電池および比較例電池のサイクル特性お
よび高率放電特性を示すグラフである。
【図4】本発明電池および比較例電池のサイクル特性お
よび高率放電特性を示すグラフである。
【図5】本発明電池および比較例電池のサイクル特性お
よび高率放電特性を示すグラフである。
【図6】本発明電池および比較例電池のサイクル特性お
よび高率放電特性を示すグラフである。
【図7】本発明電池および比較例電池のサイクル特性お
よび高率放電特性を示すグラフである。
【図8】本発明電池および比較例電池のサイクル特性お
よび高率放電特性を示すグラフである。
【図9】本発明電池および比較例電池のサイクル特性お
よび高率放電特性を示すグラフである。
【図10】比較例電池のサイクル特性および高率放電特
性を示すグラフである。
【図11】本発明電池および比較例電池のサイクル特性
および高率放電特性を示すグラフである。
【図12】本発明電池および比較例電池のサイクル特性
および高率放電特性を示すグラフである。
【図13】本発明電池および比較例電池のサイクル特性
および高率放電特性を示すグラフである。
【図14】本発明電池および比較例電池のサイクル特性
および高率放電特性を示すグラフである。
【図15】比較例電池のサイクル特性および高率放電特
性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H028 AA02 AA06 BB02 BB03 BB06 HH01 HH05 5H050 AA02 AA07 AA19 BA14 CA04 CB16 CB17 CB30 DA18 FA17 GA10 GA12 GA13 GA14 GA21 HA01 HA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が13〜25μmで表面改質処
    理を施した水素吸蔵合金粉末と、平均粒径が30〜50
    μmで表面改質処理を施さない水素吸蔵合金粉末との混
    合粉末を用いたことを特徴とする水素吸蔵合金電極。
  2. 【請求項2】 前記水素吸蔵合金の混合粉末に占める前
    記表面改質処理を施さない水素吸蔵合金粉末の比率が2
    0〜80重量%である請求項1記載の水素吸蔵合金電
    極。
  3. 【請求項3】 表面改質処理を施した水素吸蔵合金粉末
    と表面改質処理を施さない水素吸蔵合金粉末の混合粉末
    からなり、前記表面改質処理を施した水素吸蔵合金粉末
    の平均粒径が16〜20μm、表面改質処理を施さない
    水素吸蔵合金粉末の平均粒径が30〜40μmであっ
    て、混合粉末に占める前記表面改質処理を施さない水素
    吸蔵合金粉末の比率が30〜70重量%である水素吸蔵
    合金電極。
  4. 【請求項4】 前記表面改質処理が水素吸蔵合金粉末を
    苛性アルカリの水溶液、塩酸または有機酸の水溶液また
    は苛性アルカリと有機酸のアルカリ金属塩を含む水溶液
    に浸漬処理することを特徴とする請求項1乃至請求項3
    記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1乃至請求項3に記載の水素
    吸蔵合金電極を用いたニッケル水素蓄電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005310605A (ja) * 2004-04-23 2005-11-04 Yuasa Corp 水素吸蔵合金電極とその製造方法およびニッケル水素蓄電池
US7976984B2 (en) 2004-09-17 2011-07-12 Sony Corporation Powdered graphite and nonaqueous electrolyte secondary battery

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