JP2003195493A - 感光性印刷用原版 - Google Patents

感光性印刷用原版

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JP2003195493A JP2001394640A JP2001394640A JP2003195493A JP 2003195493 A JP2003195493 A JP 2003195493A JP 2001394640 A JP2001394640 A JP 2001394640A JP 2001394640 A JP2001394640 A JP 2001394640A JP 2003195493 A JP2003195493 A JP 2003195493A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】露光収縮により版に反りが生ぜず、画像再現性
の良好な感光性印刷用原版を得ること。 【解決手段】少なくとも(A)可撓性を有する支持体、
(B)感光性樹脂層、(C)IRアブレーション層を有
する感光性印刷用原版であって、(B)感光性樹脂層が
高分子結合剤、エチレン性不飽和化合物、光開始剤組成
物を含有し、該感光性印刷用原版の活性光線照射前の反
り率が±2%以内、かつ活性光線照射後の反り率の変化
が15%以下である感光性印刷用原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ製版
技術により、例えば凸版印刷版を製造するために使用さ
れる感光性印刷用原版であって、画像再現性の優れた感
光性印刷用原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、凸版やフレキソ印刷の分野におい
て、デジタル画像形成技術としても知られているコンピ
ュータ製版技術(CTP技術)は、極めて一般的なもの
となってきている。CTP技術では、感光性印刷版の重
合するべきでない領域を覆うために従来から使用されて
いる写真マスク(フォトマスクやネガフィルムともい
う)は、印刷版内で形成統合されるマスクに取って代わ
られている。このような統合マスクを得るためには幾つ
かの可能な方法はあるが、市場には2つの技術が存在す
る。即ち、感光性印刷版上にインクジェットプリンター
でマスクを印刷するか、又は感光性層上に、化学線に対
して実質的に不透明(即ち化学線を実質的に通さない)
層(IRアブレーション層又は赤外融除層ともいう)を
設け、IRレーザでこのようなマスクに画像形成するこ
とである。このようなIRアブレーション層には、IR
吸収材料として、通常カーボンブラックを含有する。こ
のIRアブレーション層を有する感光性印刷用原版は、
例えばEP−A654150又はEP−A767406
号公報に開示されている。IRレーザで照射することよ
り、黒色層は、その部分で喪失し、下層の感光性層が露
出する。レーザ装置はレイアウトコンピュータシステム
に直接つながれている。この技術を用いて、画像は一般
に版上に直接形成され、次の工程で活性光線が照射され
る。
【0003】CTP技術は、別にフォトマスクを作製す
ることを回避させるだけでなく、遙かに高い解像度を与
えるものである。CTP技術の従来技術に対する優位性
の詳細な議論は、例えば"Deutsher Drucker, Nr. 21/3.
6.99,w12-w16頁"に記載されている。
【0004】IRアブレーション層を有する感光性印刷
用原版を用いて印刷版を製造する方法における重要な工
程は、IRレーザを照射し画像を形成したのち、その画
像を通して感光性樹脂層に化学線を照射し潜像を形成す
る工程である。この化学線の照射は減圧シートを介さな
いで行なうことにより、酸素の存在下での露光障害効果
によるシャープなレリーフ画像を得られることが特徴で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、凸版印刷用途の
感光性樹脂層は印刷時に所定の樹脂硬さが要求されるた
めにエチレン性不飽和結合を有する化合物により、感光
性樹脂層の架橋を充分に進める必要がある。また感光性
印刷版をIRアブレーションする際にドラムへの装着性
を良くするためには支持体として可撓性を有するものが
好ましい。ところがIRアブレーション後に減圧シート
を介さずに活性光線を照射すると、感光性樹脂硬度の高
いものは活性光線照射中に露光収縮により版に反りが生
じ、版面に均一な活性光線を照射することができず画像
再現性が悪いという欠点があった。従って、本発明は露
光収縮により版に反りが生ぜず、画像再現性の良好な感
光性印刷用原版を得ることを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは感光性印刷
用原版、特に感光性凸版印刷用原版について上記問題点
を解決するために研究を重ねた結果、以下に記載の感光
性印刷用原版を用いることで該課題を解決できることを
見出し、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発
明は、少なくとも(A)可撓性を有する支持体、(B)
感光性樹脂層、(C)IRアブレーション層を有する感
光性印刷用原版であって、(B)感光性樹脂層が高分子
結合剤、エチレン性不飽和化合物、光開始剤組成物を含
有し、該感光性印刷用原版の活性光線照射前の反り率が
±2%以内、かつ活性光線照射後の反り率の変化が15
%以下である感光性印刷用原版である。
【0007】本発明感光性印刷用原版について以下詳細
に説明する。本発明感光性印刷用原版に好適な(A)支
持体は、可撓性で、しかし寸法安定性に優れた材料が好
ましく用いられ、例えばスチール、アルミニウム、銅、
ニッケルなどの金属製またはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート、或いはポリカーボネートなどのプラスチックフ
イルムを挙げることができ、なかでもポリエチレンテレ
フタレートフイルムが寸法安定性に優れ、かつ可撓性に
優れた支持体材料として使用される。ここで使用される
支持体の厚みは50〜350μm、好ましくは100〜
250μmが機械的特性、形状安定化あるいは印刷版製
版時の取り扱い性等から望ましい。厚みが50μm未満
では支持体自身が折れなどの変形を生じ易くまた、35
0μmを超えると可撓性が低下し、IRアブレーション
時のシリンダーへの装着性が低下し好ましくない。また
必要により、支持体と感光性樹脂層との接着を向上させ
るために、一般に用いられる接着剤を設けても良い。
【0008】本発明感光性印刷用原版に用いられる
(B)感光性樹脂層は、公知の高分子結合剤、エチレン
性不飽和化合物および光開始剤組成物を含んでいる。さ
らに添加剤、例えば可塑剤、熱重合防止剤、染料、顔
料、紫外線吸収剤、香料又は酸化防止剤を含んでも良
い。
【0009】本発明において用いられる前記高分子結合
剤は、水または水とアルコールの混合物に溶解または分
散可能な高分子結合剤が好ましく、具体的にはポリエー
テルアミド(例えば特開昭55−79437号公報等)、ポ
リエーテルエステルアミド(例えば特開昭58−113
537号公報等)、三級窒素含有ポリアミド(例えば特
開昭50−76055公報等)、アンモニウム塩型三級
窒素原子含有ポリアミド(例えば特開昭53−3655
5公報等)、アミド結合を1つ以上有するアミド化合物
と有機ジイソシアネート化合物の付加重合体(例えば特
開昭58−140737号公報等)、アミド結合を有し
ないジアミンと有機ジイソシアネート化合物の付加重合
体(例えば特開平4-97154号公報等)などが挙げられ、そ
のなかでも三級窒素原子含有ポリアミドおよびアンモニ
ウム塩型三級窒素原子含有ポリアミドが好ましい。
【0010】また、好適に用いられるエチレン性不飽和
化合物としては、多価アルコールのポリグリシジルエー
テルとメタアクリル酸およびアクリル酸との開環付加反
応生成物であり、前記多価アルコールとして、ジペンタ
エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパン、グリセリン、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、フタル酸、
のエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAやビス
フェノールFのジグリシジルエーテルアクリル酸付加物
などが挙げられがこれらに限定されるものでなく、また
これらの化合物を2種類以上混合して使用することも出
来る。
【0011】さらに本発明で用いられる光開始剤組成物
の例としては、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、アセ
トフェノン類、ベンジル類、ベンゾインアルキルエーテ
ル類、ベンジルアルキルケタール類、アントラキノン
類、チオキサントン類などが挙げられる。具体的には、
ベンゾフェノン、クロロベンゾフェノン、ベンゾイン、
アセトフェノン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピ
ルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル
ジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジ
ルジイソプロピルケタール、アントラキノン、2−エチ
ルアントラキノン、2―メチルアントラキノン、2−ア
リルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、チオ
キサントン、2−クロロチオキサントンなどが挙げられ
る。
【0012】本発明感光性印刷用原版における構成成分
は、(B)感光性樹脂層の上に設けられる(C)IRア
ブレーション層であり、実質的に化学線を通さず(即ち
化学線に対して不透明である)、一般に、化学線に対す
る光学濃度は、2.5を超える値であり、好ましくは
3.5を超える値である。光学濃度は、画像を形成した
IRアブレーション層を介して、感光性組成物の全露光
に使用される化学線の波長又は波長範囲で得られる。
【0013】(C)IRアブレーション層がIRレーザ
照射に曝された際に、IR吸収材料より発生した熱によ
り効果的に除去することができるものである。なお用語
「熱−可燃性」とは、前段の溶融段階無しに、バインダ
が分解、解重合、又は蒸発することを意味する。このた
め、画像の各画素は、極めて急なエッジを有し、高解像
度をもたらすのである。
【0014】高分子バインダは上述の要求を満たすバイ
ンダであれば、どのような種類でも本発明の範囲内にお
いて使用することができるが、水系現像型感光性樹脂組
成物からなる感光性樹脂層の場合に対しては、水溶性ポ
リマーが好ましく使用できる。具体的には、ポリビニル
アルコールおよびその誘導体、セルロース系、水溶性ブ
チラール、分子中に水酸基を有する化合物が挙げられる
が、酸素遮断性、皮膜形成性、耐温湿度、塗工性より少
なくとも1種のポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、ポリエチレンオキシドなどを含むことが好ましい。
なかでも重合度500〜4000、好ましくは1000
〜3000、ケン化度70%以上、好ましくは80〜9
9%、さらに好ましくは80〜90%のポリビニルアル
コールおよび変性ポリビニルアルコールが望ましい。
【0015】本発明におけるIRアブレーション層は、
前記バインダー以外に、別の成分として、多価アルコー
ルおよび/またはアミン化合物を含有しても良い。具体
的にはエチレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ペ
ンタメチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキ
サメチレングリコールなどの低分子量のアルキレングリ
コール類、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール#200、ポリエチレン
グリコール#300、ポリエチレングリコール#40
0,ポリエチレングリコール#600などの低分子量ポ
リアルキレングリコール類、2,3ブタンジオール、
1,3ブタンジオールなどのブタンジオール類、グリセ
リン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチ
ロールプロパンなど3価以上のアルコール類などの多価
アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミンなどのエタノールアミン類
やN−メチルピロリドン、シクロヘキシルアミン、尿素
などのアミン化合物が挙げられる。また2種以上の混合
物も使用することができる。
【0016】IRアブレーション層は、少なくとも1種
のIR吸収材料を含み、これは750〜20000nm
の範囲で強い吸収を有し、層内に均一に分散されてい
る。好適なIR吸収材料としては、IR吸収染料(例、
フタロシアニン及び置換フタロシアニン誘導体、シアニ
ン染料、メロシアニン染料及びポリメチン染料)或いは
濃色の無機顔料(例、カーボンブラック、グラファイ
ト、酸化鉄又は酸化クロム)を挙げることができる。本
発明においては、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックは、IRアブレーション層が化学線に
対して不透明になり、これにより他のUV−吸収染料の
添加を絶対的に不要にすることを保証する。最大カラー
強度のためには小粒径を使用することが望ましい。特
に、60nm未満の平均粒径をもつ微細カーボンブラッ
クの銘柄を使用することが望ましい。好適な銘柄の例と
しては、PrintexR U(プリンテックス(商標登録)
U)、PrintexR L6、Spezialschwarz 4(スペチアールシ
ュバルツ(商標登録)4)又はSpezialschwarz 250(Deg
ussa社製)、BONJET CW-1(オリエント化学社製)を挙
げることができる。
【0017】また金属と合金も赤外吸収物質と活性光線
不透明材料の両方として作用するのでIRアブレーショ
ン層として採用することができる。金属の例にはアルミ
ニウム、銅および亜鉛が含まれ、そしてビスマス、スカ
ンジウム、インジウムなどの合金が含まれる。本発明に
おいてはアルミニウムが好ましい。
【0018】一般に、IRアブレーション層中のIR吸
収材料の配合量は、IRアブレーション層の全成分の合
計量に対して1〜60重量%であり、さらに10〜50
重量%が好ましく、特に25〜50重量%が好ましい。
1重量%未満では、IRアブレーション層の化学線に対
する光学濃度が2.0未満になって、レリーフ画像にカ
ブリが発生してしまう。また60重量%を超えると、I
Rアブレーション層の機械的強度が不足したり、後工程
の現像で現像液の汚染や劣化を早めてしまうので好まし
くない。
【0019】(C)IRアブレーション層は、必要によ
り追加の成分及び添加剤を含むこともできる。このよう
な成分の例としては、熱−可燃性である必要のない高分
子バインダ、顔料分散剤、フィラー、界面活性剤又は塗
布助剤を挙げることができる。このような添加剤は、層
に対する所望の性質に従い当業者が選択することができ
るが、それらがIRアブレーション層の画像形成性に悪
影響を与えないことが条件となる。添加剤として、UV
−吸収材料、又はUVに吸収のある染料を使用すること
もできる。UV−吸収材料を使用するのは、IR吸収剤
としてカーボンブラックと一緒でも有利であり、他のI
R吸収剤と共には避けた方がよい。その数は限定されな
いが、このような添加剤の量はIRアブレーション層の
全成分の合計量に対して20重量%以下、特に10重量
%以下が好ましい。
【0020】(C)IRアブレーション層の成分は、I
Rアブレーション層が感光性樹脂層の現像溶液に溶解又
は少なくとも膨潤する様に選択されることが好ましい。
但し、本発明のはこの態様に限定されるものではない。
【0021】(C)IRアブレーション層上において剥
離可能な可撓性カバーシートで感光性印刷版を覆うこと
が有利である。好適な剥離可能な可撓性カバーシートと
しては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、
ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレ
フタレートフィルムを挙げることができる。しかしなが
ら、このような保護カバーシートは絶対に必要というも
のではない。
【0022】さらに、IRアブレーション層を損傷せず
にカバーシートの除去を容易にする剥離改良ポリマーと
して、前記追加のバインダの少なくとも1種を使用する
ことも、必須ではないが、有利である。
【0023】本発明感光性印刷用原版は、また、必要に
応じて前記の層の間に1層以上の層を有していても良
い。このような層の例としては、当該技術分野では公知
であり、接着層、特に支持体と感光性層との間のもの、
モノマー又は他の低分子の、ある層から他の層への拡散
を防止するための感光性層とIRアブレーション層の間
の中間層、或いは非粘着層を挙げることができる。
【0024】本発明感光性印刷用原版は活性光線照射前
の反り率が±2%以内かつ活性光線照射後の反り率の変
化が15%以下であることを特徴とするが、本発明にお
ける反り率とは、辺に平行方向に凹状または凸状に変形
することを反りと呼び、長さ100mmに対する最大反
りの百分率で表わす。凹状をマイナス、凸状をプラスで
表記する。反り率の変化は活性光線照射前後の反り率の
差の絶対値を意味する。また、本発明における反り率の
測定方法として具体的には、直径100mmの感光性印
刷用原版をIRアブレーション層上に保護フイルムなど
がある場合は剥離除去をおこない、IRアブレーション
層を完全に除去して活性光線照射前の反り率を測定す
る。その後650mJの活性光線を全面に照射したのち
反り率を測定し照射前後の変化量を算出する。
【0025】本発明において、反り率が±2%を超える
と減圧シートを介さずに露光機台上へ感光性印刷用原版
を置いた場合、活性光線照射スタート時点で均一な照射
を行なうことが出来ない。また活性光線照射前後の反り
率の変化が15%を超えることは活性光線照射中に感光
性印刷用原版の反り変化が大きいことを意味し、原版へ
の照射ムラが生じて解像度の低下が発現し好ましくな
い。
【0026】次に本発明感光性印刷用原版を製造する方
法を具体的に説明する。まず、IRアブレーション層の
全成分を、適当な溶媒に溶解させるか、或いはカーボン
ブラック等の顔料を用いるときは、適当な溶媒中の顔料
及びその他の成分との分散液を作製する。後者の場合、
分散型カーボンブラックの使用が推奨される。このよう
な溶液又は分散液は、感光層の上に直接塗布され、その
後溶剤を蒸発させる。或いは、このような溶液又は分散
液を支持体(例、PETシート)上に塗布し、その後溶
剤を蒸発させる。その後、塗布支持体を、圧力及び/又
は加熱下に、印刷版の感光層と共に、感光層がIRアブ
レーション層に隣接するようにラミネートする。なお、
IRアブレーション層用支持体は、感光性印刷用原版表
面の保護フィルムとして機能している。
【0027】次に本発明感光性印刷用原版から印刷版を
製造する方法としては、存在する場合には、保護フィル
ムを感光性印刷版から除去する工程も包含する。その
後、IRアブレーション層をIRレーザにより画像用に
照射して、感光性樹脂層上にマスクを形成する。適当な
IRレーザの例としては、ND/YAGレーザ(106
4nm)又はダイオードレーザ(例、830nm)を挙
げることができる。コンピュータ製版技術に適当なレー
ザシステムとは、市販されており、例えばダイオードレ
ーザシステムCDI Spark(バルコグラフィックス社)を挙
げることができ、これは回転円筒ドラム、及びその上の
取り付けられたIRアブレーション層を有する感光性印
刷版からなる。画像情報は、レイアウトコンピュータか
らレーザ装置に直接移される。
【0028】マスクをIRアブレーション層に書き込ん
だ後、感光性印刷用原版にマスクを介して活性光線を全
面照射する。これはレーザシリンダ上において直接行う
ことも可能であるが、版はレーザ装置から除去し、慣用
の平板な照射ユニットで照射するほうが規格外の版サイ
ズに対応可能な点で有利であり一般的である。活性光線
としては、150〜500nm、特に300〜400n
mの波長を有する紫外線の照射により硬化させる。その
光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀
灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ジルコニ
ウムランプ、カーボンアーク灯、紫外線用蛍光灯等が使
用できる。照射工程の間、感光性層は前のアブレーショ
ン工程で露出した領域において重合し、一方照射光を通
さないIRアブレーション層によりなお被覆されている
IRアブレーション層領域では重合は起こらない。EP
−A767407号公報に記載されているように、活性
光線の照射は、減圧シートを介して慣用の真空フレーム
で酸素を除去して行うことも可能であるが、減圧なしに
大気酸素の存在下に行うことが有利である。
【0029】その後、照射された版は現像され、印刷版
を得る。現像工程は、慣用の現像ユニットで実施するこ
とができる。感光性樹脂層が水現像タイプの場合の現像
液としては、水または水/アルコール混合物を用い、界
面活性剤等を含有しても良い。なお現像液は25〜40
℃で用いられることが好ましい。現像の間に、感光性層
の非重合領域及びIRアブレーション層の残留部は除去
される。IRアブレーション層を1種の溶剤又は溶剤混
合物でまず除去し、別の現像剤で感光性層を現像するこ
とも可能である。現像工程後、得られた印刷版は乾燥さ
せる。PETベースフィルム付き刷版の典型的な条件
は、60〜70℃で15〜60分間である。PETベー
スフィルム付き印刷版は65℃を超える温度でさえ、寸
法安定性の損失無く乾燥させることができ、乾燥時間を
短縮できる。幾つかの後処理操作をさらに行うことがで
きる。
【0030】本発明感光性印刷用原版は優れた可撓性を
示す。これはIRアブレーション層において皺、クラッ
キングの発生無く、曲げ、伸ばしすることができる。こ
のことは問題を起こさずにレーザドラムに版を取り付け
たり、はずしたりすることができることを意味する。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の感光性凸版印刷用原版を
得るための一実施態様としては、例えば125μm厚み
からなるポリエステル系フィルムを準備し、前述に記載
のアブレーション層用コート液を105℃3分でコート
・乾燥処理しアブレーション層厚み約4μmの薄層を有
するカバーフィルムを作成する。次に250μm厚みの
ポリエチレンテレフタレートフィルムにポリエステル系
接着剤が塗布された支持体を準備し、本発明の感光性樹
脂組成物からなる感光性樹脂層を例えば熱プレス、注
型、溶融押出しなど任意の方法により所望厚みの感光性
樹脂積層体を得ることができる。次にこの原版を用いて
評価パターンのデジタルデータをアブレーション層に記
録し、露光・硬化および現像し印刷版を得て、印刷す
る。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお実施例中、部とあるのは重量部を意味する。
また、実施例中における評価方法は、次に述べる方法に
よる。 1)反り率の評価:前記記載の方法によりサンプルを調
製し、照度20〜30w/m2のランプ(三菱電器(株)
製)を有する露光機(日本電子精機(株)製)を用いて
照射をおこなった。照射前後の反り率を測定して反り率
の変化量を算出した。 2)印刷版の作成:上述の露光機を用いて21段ステップ
ガイド(大日本スクリーン製造(株)製)値が14段にな
る露光時間照射をおこない、平台式現像機(日本電子精
機(株)製)を用いて液温25℃で現像し印刷版を作成
した。
【0033】参考例1<IRアブレーション層(I)の
作製> 純水829部にゴーセノールGH−23(日本合成化学
工業(株)製ケン化度87〜88%)を25部添加し、
90℃で1時間撹拌した。次に室温まで冷却した後、こ
の水溶液にカーボンブラック BONJET CW-1を28部、
ポリエチレングリコール#600を20部とSE−27
0[三洋化成工業(株)製ポリエチレンソルビトール純
分85%]10部とエパン740(第1工業製薬(株)
製)0.06部をゆっくり撹拌下に添加し、更に30分
間撹拌した。次にこの溶液を毎分6mの速度で100μ
m厚のケミカルマットフィルム(東洋クロス(株)製
TC−5002)上にリバースロールでコートし、風速
0.5m/分の乾燥機で105℃×3分乾燥させた。こ
のようにして得られたIRアブレーション層は、4μm
の厚みであった。
【0034】実施例1 ε−カプロラクタム610重量部、アミノエチルピペラ
ジンとアジピン酸とのナイロン塩390重量部とを溶融
重合して共重合ポリアミドを得た。このようにして得ら
れたポリアミド50部をメタノール200部、水24部
に溶解し、この溶液にイタコン酸4部、アジピン酸4
部、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸
付加物32部、N−エチル−P−トルエンスルホンアミ
ド8部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、
ベンジルジメチルケタール1部を加え、感光性樹脂組成
物溶液を得た。この溶液を濃縮機に送り感光性樹脂層の
残存溶液含有率が5%、メタノールと水の比率が6:4
になるよう110℃で濃縮し、接着剤を20μコートし
た250μのペットフィルムと参考例1のIRアブレー
ション層を設けたフイルムで挟み込み、110℃で溶融
成型して感光性樹脂層の厚みが680μの感光性凸版印
刷用原版を作成した。この原版の反り率を測定したとこ
ろ活性光線照射前の反り率0%、照射後の反り率の変化
が10%であった。この原版よりカバーフィルムを剥離
し、IRアブレーション層に画像を記録後減圧なしに活
性光線照射を3分おこなった。25℃の中性水で2分間
現像し、70℃で10分間乾燥した。得られた感光性樹
脂の感度は14段、樹脂硬度はショアーDで57であっ
た。印刷物の画像再現性は満足できるものであった。
【0035】実施例2 ε−カプロラクタム500重量部、N,N’−ビスアミ
ノプロピルピペラジンとアジピン酸とのナイロン塩45
0重量部、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサ
ンとアジピン酸のナイロン塩50部とを重合せしめて、
比粘度2.40の3級窒素原子を有するポリアミドを得
た。このようにして得られたポリアミド55部をメタノ
ール200部、水24部に溶解し、この溶液にトリメチ
ロールプロパントリグリシジルエーテルとアクリル酸6
5モル%及びメタクリル酸35モル%との反応物36
部、N−エチル−P−トルエンスルホンアミド5部、ハ
イドロキノンモノメチルエーテル0.1部、ベンジルジ
メチルケタール1部を加え、感光性樹脂組成物溶液を得
た。この溶液を濃縮機に送り感光性樹脂層の残存溶液含
有率が6%、メタノールと水の比率が6:4になるよう
110℃で濃縮し、接着剤を20μコートした250μ
のペットフィルムと参考例1のIRアブレーション層を
設けたフイルムで挟み込み、110℃で溶融成型して感
光性樹脂層の厚みが680μの感光性凸版印刷用原版を
作成した。この原版の反り率を測定したところ活性光線
照射前の反り率1%、照射後の反り率の変化が12%で
あった。次いでこの原版よりカバーフィルムを剥離し、
IRアブレーション層に画像を記録後減圧なしに活性光
線照射を4分おこなった。25℃の中性水で1分30秒
間現像し、70℃で10分間乾燥した。得られた感光性
樹脂の感度は14段、樹脂硬度はショアーDで55であ
り、印刷物の画像再現性は満足できるものであった。
【0036】比較例1 実施例2において感光性樹脂層の残存溶液含有率が12
%、メタノールと水の比率が6:4になるよう110℃
で濃縮した以外はすべて同様にして溶融成型した。得ら
れた感光性凸版印刷用原版の反り率を測定したところ活
性光線照射前の反り率2%、照射後の反り率の変化が1
9%であった。この原版よりカバーフィルムを剥離し、
IRアブレーション層に画像を記録後減圧なしに活性光
線照射を4分行なったところインカールをおこし均一に
露光できなかった。25℃の中性水で1分30秒間現像
し、70℃で10分間乾燥した。得られた感光性樹脂の
感度は14段、樹脂硬度はショアーDで55であった。
その結果印刷物の画像再現性において満足できるもので
なかった。
【0037】実施例3 2−メチルペンタメチレンジアミン 4部、N,N’−
ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン14部をメタノ
ールに溶解し、ポリエチレングリコール(平均分子量6
00)600部とヘキサメチレンジイソシアネート37
0部と反応させて末端に実質的に両末端にイソシアネー
ト基を有するウレタンオリゴマーを82部をジアミンの
溶液に攪拌下に徐々に添加した。両者の反応は10分間
で完了した。この溶液をメタノールを蒸発除去後、減圧
乾燥して得られた重合体は、主鎖にポリエチレングリコ
ール鎖を50%含有し、比粘度が1.55であった。得
られた重合体55部をメタノール200部、水36部に
溶解し、アジピン酸3.1部を加えて溶解した。この溶
液に実施例2で使用したトリメチロールプロパンのトリ
グリシジルエーテルとアクリル酸25モル%及びメタク
リル酸75モル%との反応物34部、N−エチル−P−
トルエンスルホンアミド5部、ハイドロキノンモノメチ
ルエーテル0.1部、ベンジルジメチルケタール1部を
加えて感光性樹脂組成物を作成した。この溶液を濃縮機
に送り感光性樹脂層の残存溶液含有率が4%、メタノー
ルと水の比率が6:4になるよう110℃で濃縮し、1
88μm厚みのポリエチレンテレフタレートフイルムを
支持体として用いた以外は実施例1と同様にしてレリー
フを作成した。この原版の反り率を測定したところ活性
光線照射前の反り率0%、照射後の反り率の変化が3%
であった。次いでこの原版よりカバーフィルムを剥離
し、IRアブレーション層に画像を記録後減圧なしに活
性光線照射を4分おこなった。25℃の中性水で3分間
現像し、70℃で10分間乾燥した。得られた感光性樹
脂の感度は15段、樹脂硬度はショアーDで30°であ
り、印刷物の画像再現性において満足できるものであっ
た。
【0038】
【発明の効果】以上、かかる構成よりなる本発明感光性
印刷用原版は、活性光線照射時に反りがなく画像再現性
の優れたCTP版を得ることができるので、産業界に寄
与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】反り率測定サンプルの説明概略図
【図2】反り率測定サンプルの説明断面図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/36 G03F 7/36 (72)発明者 今橋 聰 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 2H025 AA04 AB02 AC08 AD01 BC13 BC42 BH01 CA00 CB00 CC11 DA01 DA11 FA06 FA30 2H096 AA02 BA05 CA20 EA04 GA60 HA03 2H114 AA01 AA23 BA01 DA03 DA25 DA51 DA53 DA73 EA05 FA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも(A)可撓性を有する支持体、
    (B)感光性樹脂層、(C)IRアブレーション層を有
    する感光性印刷用原版であって、(B)感光性樹脂層が
    高分子結合剤、エチレン性不飽和化合物、光開始剤組成
    物を含有し、該感光性印刷用原版の活性光線照射前の反
    り率が±2%以内、かつ活性光線照射後の反り率の変化
    が15%以下である感光性印刷用原版。
  2. 【請求項2】高分子結合剤が樹脂層が水または水とアル
    コールの混合物に溶解または分散可能である請求項1記
    載の感光性印刷用原版。
  3. 【請求項3】感光性印刷用原版が感光性凸版印刷用原版
    である感光性印刷用原版。
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WO2010150844A1 (ja) * 2009-06-25 2010-12-29 東洋紡績株式会社 感光性凸版印刷原版

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