JP2003193972A - 密閉型往復式圧縮機のクランクシャフト製造方法 - Google Patents

密閉型往復式圧縮機のクランクシャフト製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 散布が一定で初期切削加工が必要ないだけで
なく後加工がほとんど必要なく、またオイル流路加工が
容易になされる等加工工数が大幅に減少されることによ
って生産性向上及び製造原価低減を図ることができる密
閉型往復式圧縮機のクランクシャフト製造方法を提供す
る。 【解決手段】 本発明に係る密閉型往復式圧縮機のクラ
ンクシャフト製造方法は、メーン軸部とこのメーン軸部
から一定量偏心になったクランク部を各々分離形成した
後、このメーン軸部とクランク部をレーザー熔接で接合
させ製造して、前記メーン軸部を中空のパイプで、前記
クランク部は焼結成形品でなされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、密閉型往復式圧縮
機のクランクシャフト製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】よく知られているように、密閉型往復式
圧縮機はケース内に電動機構部と圧縮機構部が設置され
て構成される。前記電動機構部の回転運動は、クランク
シャフトにより圧縮機構部の往復直線運動に変換され伝
えられて、これにより圧縮機構部のピストンがシリンダ
ーで往復直線運動することによって冷媒の圧縮作用がな
される。
【０００３】このような密閉型往復式圧縮機の典型的な
一例を図1に示す。次に、これを簡単に説明する。
【０００４】図1に示されたように、一般的な密閉型往
復式圧縮機は、上、下シェル1、2でなされるケース10の
内部に電動機構部20と圧縮機構部30が設置されて、この
電動機構部20と圧縮機構部30はクランクシャフト40によ
り連結する。このクランクシャフト40により電動機構部
20の回転運動が圧縮機構部30の往復直線運動に変換され
て伝えられる。
【０００５】クランクシャフト40は、電動機構部20の回
転子21に圧入結合されるメーン軸部41と、圧縮機構部30
のピストン31とコネクティングロッド32の介在で連結す
るクランク部42が一体で構成される。参照符号22は固定
子、33はシリンダーブロック、そして、符号34はシリン
ダーヘッドである。
【０００６】前記のような密閉型往復式圧縮機のクラン
クシャフトを製造する一般的な方法は、鋳物によりクラ
ンクシャフトを成形した後、この成形品を望みの寸法で
加工して製造することである。すなわち、クランクシャ
フト鋳物成形品を作った後、この成形品を図に基づいて
黄削及び旋削などのような切削加工で黒皮を除去して望
みの寸法で作る。その次に、クランクシャフトの強度を
増大させる為に熱処理などを実施して、熱処理された製
品を再度精削及び仕上げ加工してクランクシャフトを完
成する。
【０００７】しかし、前記のような一般的なクランクシ
ャフト製造方法は、鋳物品の加工精度がよくないため
に、黄削、旋削及び錬磨などのようないろいろな段階の
後加工を必ずするべきため、加工工数の増加による生産
性低下及び製造原価の上昇を招く問題がある。
【０００８】それだけでなく、鋳物散布の増大で初期加
工時、切削量が多くなることによってサイクルタイムが
増加して生産性低下の原因になっているし、また、素材
状態及び硬度散布が大きくて加工時負荷条件が相異でツ
ールの摩耗が促進されるという問題もある。
【０００９】また、一般的なクランクシャフト製造方法
は、クランクシャフトを強度的に有利な中空で製造する
ことが難しいために、従来技術により製造されたクラン
クシャフトは強度面で不利なだけでなく重量が重くて圧
縮機の効率低下を招く問題もある。
【００１０】また、一般的なクランクシャフト製造方法
は、鋳物成形後成形された鋳物品に比較的深い構造のオ
イル流路を後加工で形成するべきため、オイル流路加工
工程の難しさで生産性が顕著に落ちるという問題もあ
る。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な問題を勘案して案出されたもので、散布が一定で初期
切削加工が必要ないだけでなく後加工がほとんど必要な
く、またオイル流路加工が容易になされる等加工工数が
大幅に減少されることによって、生産性向上及び製造原
価低減を図ることができる密閉型往復式圧縮機のクラン
クシャフト製造方法を提供することにその目的がある。
【００１２】本発明の他の目的は、軽量ながらも高強度
のクランクシャフトを製造できる密閉型往復式圧縮機の
クランクシャフト製造方法を提供することにある。
【００１３】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る密閉型往復式圧縮機のクランクシャフト
製造方法は、メーン軸部とこのメーン軸部から一定量偏
心になったクランク部を各々分離形成した後、このメー
ン軸部とクランク部をレーザー熔接で接合させ製造し
て、前記メーン軸部は中空のパイプで、前記クランク部
は焼結成形品でなされたことを特徴とする。
【００１４】前記中空パイプ及び焼結成形品の材質は、
炭素Cが0.5%以下で含まれていた鉄系合金でなされる。
好ましくは、前記中空パイプは、機械構造用炭素鋼管ま
たは、自動車構造用炭素鋼管でなされる。
【００１５】また、本発明は、前記クランク部のメーン
軸部結合面にメーン軸部の端部が収容される環状溝を形
成して、この環状溝にメーン軸部の端部を挿入した状態
で、二つの部材をレーザー熔接で接合することを特徴と
する。ここで、前記環状溝は、メーン軸部と中間嵌合の
関係になるよう形成される。
【００１６】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施例によれ
ば、密閉型往復式圧縮機のクランクシャフト製造方法
は、炭素鋼管をドローイング加工し、この炭素鋼管を一
定長さに切断した後この炭素鋼管の適所にオイル流路を
加工して中空のパイプで構成されるメーン軸部を準備す
る段階と；鉄系合金粉末を焼結して偏心軸及びウェート
バランサーを有する成形品を形成した後この成形品にオ
イル流路を加工すると共に成形品の一側に所定深さの環
状溝を形成して鉄系合金の焼結品でなされるクランク部
を準備する段階と；前記クランク部の環状溝にメーン軸
部の端部を挿入させた状態でメーン軸部とクランク部を
レーザー溶接機を利用して接合させる段階と；接合され
たクランクシャフトの表面に耐食性及び耐摩耗性増大の
ための酸化被膜を形成する段階；及び最終精削加工段階
と；を含むことを特徴とする。
【００１７】以下、添付図面を参照して本発明の好まし
い実施例を具体的に説明する。
【００１８】図2は、本発明の一実施例に係る密閉型往
復式圧縮機のクランクシャフト製造方法を説明するため
の図で、図3は、本発明により製造された密閉型往復式
圧縮機のクランクシャフトを示した斜視図である。
【００１９】図2及び図3に示されたように、本発明の製
造方法によって製造されたクランクシャフト40は、メー
ン軸部41とこのメーン軸部41から一定量偏心になったク
ランク部42を具備して、このメーン軸部41とクランク部
42がレーザー熔接により接合されて構成される。
【００２０】メーン軸部41は、中空のパイプで構成さ
れ、本実施例ではドローイング加工された炭素鋼管を一
定長さで切断して、切断された炭素鋼管の所定位置にオ
イル流路41aを加工して構成する。これと共に、メーン
軸部41を中空のパイプで構成するようになれば、鋼棒に
比べて重さを大きく軽減させることができて、また、直
進度が向上される等散布が一定になって、初期加工がほ
とんど必要なくなる。一方、本実施例では、機械構造用
炭素鋼管や自動車構造用炭素鋼管をメーン軸部41に利用
する例を説明しているが、これに限定されず、炭素Cが
0.5%以下で含まれていたあらゆる鉄系合金を利用して中
空のパイプ形態を有するメーン軸部41を形成できる。
【００２１】クランク部42は、偏心軸42aとウェートバ
ランサー42bを有して、鉄系合金粉末を焼結して望みの
製品を成形する粉末冶金法により形成される。ここで、
鉄系合金としては、炭素Cが0.5%以下に含まれている全
ての合金が利用できる。これと共に、クランク部42を粉
末冶金による焼結品で製造するために、加工精度が良く
て後加工での切削加工などをなくすことができ、したが
って、加工工数の減少を図ることができる。そして、ク
ランク部42は、偏心軸42aが中空で形成されて、この中
空からその裏面に貫通するように形成された多数のオイ
ル流路42cを具備する。
【００２２】また、クランク部42は、その一側面、より
具体的には、前記メーン軸部結合面にメーン軸部41の端
部が収容できる環状溝42dが形成されて、したがって、
メーン軸部41とクランク部42のレーザー熔接時メーン軸
部41の端部がクランク部42の環状溝42dに挿入された状
態で安定的に接合できる。環状溝42dは、概略メーン軸
部と中間嵌合の関係になるよう形成される。
【００２３】前記のように、メーン軸部41とクランク部
42を各々中空のパイプ形態と焼結成形品で分離形成した
後には、このメーン軸部41とクランク部42をレーザー溶
接機を利用して接合するが、次にこれを具体的に説明す
る。
【００２４】加工が完了した2個の部品、すなわちメー
ン軸部41とクランク部42を別の精密な治具にセッティン
グした次に、二つの部材の接合部をレーザー熔接で接合
する。この時、クランク部42の環状溝42dにメーン軸部4
1の端部が挿入された状態でレーザー熔接がなされる。
ここで、レーザー熔接の継ぎ手の引張強度が最大になる
熔接条件は、レーザー出力；3〜10Kw、移送速度；0.51
〜1.78m/min、焦点の位置；20〜70゜である。
【００２５】前記のような熔接条件で、メーン軸部41と
クランク部42をレーザー熔接した次には熔接された部材
の表面に耐食性及び耐摩耗性増大のための酸化被膜を形
成して、最終的に精削加工をしてクランクシャフトを製
造する。
【００２６】以上のような本発明によれば、同芯度を合
せるために従来不必要に行なわれた黄削及び旋削加工を
削除したり最小切削量に対応が可能で、なによりも生産
性が高くてエネルギー密度が高いレーザーを利用するた
めに、短い時間内に熔接がなされるので熱変形が少な
く、非接触式でより自由な設計が可能になる。
【００２７】以上、本発明を本発明の原理を例示するた
めの好ましい実施例に関し図示して説明したが、本発明
はこのように図示され説明されたそのままの構成及び作
用に限定されることはない。むしろ、添付された特許請
求範囲の思想及び範疇を逸脱することがなく本発明に関
する多数の変形及び修正が可能なことを当業者はよく理
解できる。したがって、そうしたあらゆる適切な変形及
び修正と均等物も本発明の範囲に属することで見なされ
るべきである。
【００２８】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明によれ
ば、クランクシャフトのメーン軸部が引張加工された鋼
管でなされるために、重さを軽減させることができるだ
けでなく散布が一定で初期加工が必要なくて、クランク
部が焼結成形されるために、後加工がほとんど必要でな
くて加工工数を大幅に減少させることができる。
【００２９】また、本発明によれば、クランク部に形成
された環状溝にメーン軸部が端部が挿入された状態でレ
ーザー熔接により二つの部材が接合されるために、熔接
時発生されるビードが環状溝を詰めて接合されるので熔
接部分の気孔が発生しなくて強度を増大できて、熔接ビ
ードが外部に突出されないので熔接ビードを除去するた
めの後工程をなくすことができる。
【００３０】また、本発明によれば、メーン軸部がパイ
プ形態でなされるために、オイル流路を形成するにあっ
てメーン軸部の半径方向に簡単な油溝だけを形成すれば
いいので、従来深いオイル流路を形成していたことに比
べて工程を大幅に簡素化できる。
【００３１】また、クランク部を焼結して形成するため
に、加工精度が優秀で後加工がほとんど必要ないので加
工工数を減少できる。
【００３２】結論的に、本発明によれば低費用で、高強
度のクランクシャフトを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】一般的な密閉型往復式圧縮機を示した分解斜視
図である。
【図２】本発明の一実施例に係る密閉型往復式圧縮機の
クランクシャフト製造方法を説明するための図である。
【図３】本発明により製造された密閉型往復式圧縮機の
クランクシャフトを示した斜視図である。
【符号の説明】
４０ クランクシャフト ４１ メーン軸部 ４１ａ、４２ｃ オイル流路 ４２ クランク部 ４２ａ 偏心軸 ４２ｂ ウェートバランサー ４２ｄ 環状溝

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 密閉型往復式圧縮機のローターが結合さ
    れるメーン軸部と、コネクティングロッドが連結する前
    記メーン軸部に対し一定量偏心になったクランク部を具
    備するクランクシャフトの製造方法において、 前記メーン軸部は、中空のパイプで、そして、前記クラ
    ンク部は焼結成形品で各々形成した後、このメーン軸部
    とクランク部をレーザー熔接して接合させることを特徴
    とする密閉型往復式圧縮機のクランクシャフト製造方
    法。
  2. 【請求項２】 前記中空のパイプ及び焼結成形品の材質
    は、炭素(C)が0.5%以下含まれる鉄系合金であることを
    特徴とする請求項1に記載の密閉型往復式圧縮機のクラ
    ンクシャフト製造方法。
  3. 【請求項３】 前記中空パイプは、機械構造用炭素鋼管
    または自動車構造用炭素鋼管でなされることを特徴とす
    る請求項1に記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャ
    フト製造方法。
  4. 【請求項４】 前記クランク部のメーン軸部結合面にメ
    ーン軸部の端部が収容される環状溝を形成して、この環
    状溝にメーン軸部の端部を挿入した状態で二つの部材を
    接合させることを特徴とする請求項1に記載の密閉型往
    復式圧縮機のクランクシャフト製造方法。
  5. 【請求項５】 前記環状溝は、メーン軸部と中間嵌合の
    関係になるよう形成されることを特徴とする請求項4に
    記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャフト製造方
    法。
  6. 【請求項６】 メーン軸部とこのメーン軸部から一定量
    偏心になったクランク部を具備する密閉型往復式圧縮機
    のクランクシャフト製造方法において、 炭素鋼管をドローイング加工して、この炭素鋼管を一定
    長さで切断した後、この炭素鋼管の適所にオイル流路を
    加工して中空のパイプに構成されるメーン軸部を準備す
    る段階と；鉄系合金粉末を焼結して偏心軸及びウェート
    バランサーを有する成形品を形成した後、この成形品に
    オイル流路を加工すると共に成形品の一側に所定深さの
    環状溝を形成して鉄系合金の焼結品でなされるクランク
    部を準備する段階と；前記クランク部の環状溝に前記メ
    ーン軸部の端部を嵌め込んで仮組立した状態で前記メー
    ン軸部とクランク部をレーザー溶接機を利用して接合さ
    せる段階と；接合されたクランクシャフトの表面に耐食
    性及び耐摩耗性増大のための酸化被膜を形成する段階；
    及び最終精削加工段階と；を含むことを特徴とする密閉
    型往復式圧縮機のクランクシャフト製造方法。
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