JP2004060634A - 密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】散布が一定で、初期切削加工が必要ないだけでなく後加工がほとんど必要なく、また油路加工が容易になる等加工工数が大幅に減少することによって生産性向上及び製造原価節減を図る密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法は、メーン軸部及びこのメーン軸部に対し一定量偏心されたクランク部を有するクランクシャフト部材を形成する段階と;前記クランクシャフト部材のメーン軸部とクランク部の境界部に位置するウェートバランス部材を形成する段階と;前記クランクシャフト部材と前記ウェートバランス部材をコーキングして仮組立する段階と;仮組立された前記クランクシャフト部材とウェートバランス部材をブレージング熔接して結合する段階とを含む。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、密閉型往復式圧縮機は、ケース内に設置される伝動機構部と圧縮機構部で構成される。前記伝動機構部の回転運動は、クランクシャフトにより圧縮機構部の往復直線運動に変換されて伝えられ、これにより圧縮機構部のピストンがシリンダーで往復直線運動することによって冷媒の圧縮作用が行われる。
【0003】
このような密閉型往復式圧縮機の典型的な一例を図1に示し、これを簡単に説明すると次の通りである。
【0004】
図1に示したように、一般的な密閉型往復式圧縮機は、上、下シェル1、2からなるケース10の内部に伝動機構部20と圧縮機構部30が設置され、この伝動機構部20と圧縮機構部30はクランクシャフト40により連結される。このクランクシャフト40により、伝動機構部20の回転運動が圧縮機構部30の往復直線運動に変換され伝えられる。
【0005】
クランクシャフト40は、伝動機構部20の回転子21に圧入結合するメーン軸部41、圧縮機構部30のピストン31とコネクティングロッド32を介して連結されるクランク部42及びウェートバランス部43を有する。図面で参照符号22は固定子、33はシリンダーブロック、そして、符号34はシリンダーヘッドである。
【0006】
前記のような密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトを製造する一般的な方法は、鋳物によりクランクシャフトを成形した後、この成形品を好みの寸法に加工して製造することである。すなわち、メーン軸部41、このメーン軸部41に対し一定量偏心されたクランク部42及びメーン軸部41及びクランク部42の境界部に位置するウェートバランス部43を有するクランクシャフト鋳物成形品を作った後、この成形品を図面に基づいて荒削及び旋削などのような切削加工で黒皮を除去して好みの寸法で作る。その次に、クランクシャフトの強度を大きくする為に熱処理などを施し、熱処理された製品を再び精削及び仕上げ加工してクランクシャフトを完成する。
【0007】
しかし、前記のように一般的なクランクシャフトの製造方法は、加工精度がよくない鋳物成形により製造されるため、荒削、旋削及び研磨などの複雑な段階の後加工を必ず経なければならないので、加工工数の増加による生産性低下及び製造原価の上昇を招く問題がある。
【0008】
その上、鋳物散布の増大で初期加工時の切削量が多くなり、サイクルタイムが増加して生産性低下の原因になっており、また、素材状態及び硬度散布が大きくて加工時負荷条件が相異なり、ツールの摩耗が促進される問題もある。
【0009】
また、一般的なクランクシャフトの製造方法は、クランクシャフトを強度的に有利な中空での製造が難しいために、従来技術により製造されたクランクシャフトは強度面で不利なだけでなく重くて圧縮機の効率低下を招く問題もある。
【0010】
また、一般的なクランクシャフトの製造方法は、鋳物成形後成形された鋳物品に比較的深い構造の油路を後加工で形成しなければならないために、油路加工工程の難しさで生産性が顕著に落ちるとの問題もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような問題を解決するためのものであり、散布が一定で初期切削加工の必要がないだけでなく後加工がほとんど必要なく、また油路加工が容易にできる等加工工数が大幅に減少することで、生産性向上及び製造原価低減を図れる密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法を提供するのをその目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、軽量でかつ高強度のクランクシャフトを製造できる密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明による密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法は、メーン軸部及びこのメーン軸部に対し一定量偏心されたクランク部を有するクランクシャフト部材とこのクランクシャフト部材のメーン軸部とクランク部の境界部に位置するウェートバランス部材を各々分離成形した後、前記クランクシャフト部材とウェートバランス部材をブレージング熔接して結合することを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい実施例によれば、密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法は、メーン軸部及びこのメーン軸部に対し一定量偏心されたクランク部を有するクランクシャフト部材を形成する段階と;前記クランクシャフト部材のメーン軸部とクランク部の境界部に位置するウェートバランス部材を形成する段階と;前記クランクシャフト部材と前記ウェートバランス部材をコーキングして仮組立する段階と;仮組立された前記クランクシャフト部材とウェートバランス部材をブレージング熔接して結合する段階と;を含む。
【0015】
ここで、前記クランクシャフト部材は、鉄系パイプまたは引抜鋼管を冷間成形を通じてメーン軸部及びこのメーン軸部に対し一定量偏心されたクランク部を一体形成することが好ましい。より好ましくは、前記クランクシャフト部材は、前記メーン軸部及びクランク部を形成する時、各種オイル穴及びオイルグルーブなどを共に形成して、また最終研磨まで完了するのが良い。
【0016】
また、前記ウェートバランス部材は、鉄系の冷間圧延板材をプレス加工して形成することが好ましい。
【0017】
また、本発明による密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法は、クランクシャフト部材とウェートバランス部材をブレージング熔接して結合した後、クランクシャフト部材の外径及びウェートバランス部材の側面部を研磨する段階を含むことができる。
【0018】
このような本発明によれば、クランクシャフト部材が鉄系パイプまたは引抜鋼管を冷間成形することにより形成されて、ウェートバランス部材が鉄系の冷間圧延板材をプレス加工することにより形成されるために、同心度などを合わせるための従来の旋削や荒削などの加工が必要ないので加工工数を大幅に減らすことができて、生産性の向上のみならず製造原価も低下できる。また、前記二つの部材をブレージング熔接して結合するので、熱変形が少ない高強度のクランクシャフトを製造できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の前述した目的及び他の長所は、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明することでより明白になる。
【0020】
本発明の一実施例による密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法は、図2に示すように、クランクシャフト部材を成形する段階S10、ウェートバランス部材を成形する段階S20、前記段階S10及びS20で各々成形されたクランクシャフト部材とウェートバランス部材を仮組立する段階S30及び仮組立されたクランクシャフト部材とウェートバランス部材組立品をブレージング熔接して結合する段階S40とを含んで成る。
【0021】
図3ないし図5によれば、クランクシャフト部材100は、メーン軸部110と、このメーン軸部110に対し一定量偏心されたクランク部120とを有する。このようなクランクシャフト部材100は、鉄系パイプまたは引抜鋼管を冷間成形してメーン軸部110とクランク部120を形成すると共に、オイル穴121及びオイルグルーブ122などを形成した後最終研磨して製造する。そして、ウェートバランス部材200は、鉄系の冷間圧延板材をプレス加工して形成する。
【0022】
したがって、従来鋳物により形成する方法で必ず行われたクランクシャフト部材の同心度などを合わせるための旋削や荒削加工などを行う必要がないし、また、中空パイプを利用するため、オイル穴やオイルグルーブなどの形成が非常に容易にできる。
【0023】
また、クランクシャフトを中空のパイプで構成すれば、鋼棒に比べて重さを大きく軽減できるだけでなく強性を増大でき、また、直進度が向上する等散布が一定になり、初期加工がほとんど必要なくなる。
【0024】
また、ウェートバランス部材200が板材をプレス加工により形成されるために、加工精度が良くて後加工での切削加工などをなくすことができ、よって加工工数の減少を図ることができる。
【0025】
前記のように各々製造されたクランクシャフト部材100とウェートバランス部材200は、図3に示すようなコーキング装置300でコーキング及び仮組立される。コーキング装置300は、下部ダイ310と上部パンチ320とを備える。下部ダイ310は、クランクシャフト部材100のメーン軸部110が受容されて固定される固定部311と、この固定部311上部の周縁部に突設した多数の突起311aとを備える。そして、上部パンチ320は、回避溝部321を備える。
【0026】
クランクシャフト部材100は、そのメーン軸部110が下部ダイ310の固定部311に受容固定され、ウェートバランス部材200はクランクシャフト部材100のメーン軸部110とクランク部120との境界部に位置するようにクランクシャフト部材100に挿設される。この時、ウェートバランス部材200は、その下部面が下部ダイ310の突起311aに接触する状態で位置する。この状態で、上部パンチ320が降下してウェートバランス部材200を押さえると、ウェートバランス部材200の内径が突起311aによりクランクシャフト部材100の軸径方向に圧入されクランクシャフト部材100とウェートバランス部材200がコーキングされて仮組立される。ここで、クランクシャフト部材100とウェートバランス部材200とは中間嵌合され、ウェートバランス部材200の圧入量は1.5ないし2.2mm程度が好ましい。
【0027】
前記のようにコーキングされ仮組立されたクランクシャフト部材100及びウェートバランス部材200組立品は、ブレージング盧に移されてブレージング熔接によって完全に結びつく。このように、ブレージング熔接で二つの部材100、200を結合させると、クランクシャフト部材100とウェートバランス部材200との軸間の接する隙間に銅が融着されて二つの部材が結びつくので、強性増大はもちろん残留応力を取り除く効果が得られる。
【0028】
ブレージング熔接で結合したクランクシャフトは、最終的にファイナル加工を通じて完成される。この時、ファイナル加工は、クランクシャフト部材100の円筒研磨及びウェートバランス部材200の側面部研磨などの加工をいう(S50)。
【0029】
【発明の効果】
以上のような本発明によれば、同心度を合わせるため、従来不要に行なわれた荒削及び旋削加工を無くしたり最小切削量に対応が可能で、なによりもブレージング熔接を通じて二つの部材を結合させるので、短時間に結合できて生産性が高まるし、また、熱変形が少ない高強度のクランクシャフトを製造できる。
【0030】
以上で説明したような本発明によれば、クランクシャフトが鉄系パイプまたは引抜加工の鋼管からなるため、重さを軽減できるだけでなく散布が一定で初期加工が必要なく、またウェートバランス部材がプレス加工で形成されるため、後加工がほとんど必要なくて加工工数を大幅に減少できる。したがって、生産性の向上及び製造原価の低減を図ることができる。
【0031】
また、本発明によれば、クランクシャフト部材とウェートバランス部材がブレージング熔接されて結合されるため、熱変形が小さいながらも高強度のクランクシャフトを製造できる。
【0032】
また、本発明によれば、クランクシャフトがパイプ形態に成るために、油路を形成するにおいてメーン軸部の半径方向に簡単なオイル穴だけを形成すればいいので、従来の深い油路を形成することに比べて工程を大幅簡素化できる。つまり、本発明によれば低費用でかつ高強度のクランクシャフトを製造できる。
【0033】
以上、本発明の原理を例示するための好ましい実施例について図示と説明をしたが、本発明はそのように図示され説明された通りの構成及び作用に限定されるものではない。むしろ、添付された特許請求範囲の思想及び範ちゅうを逸脱することがなく本発明に対する多数の変形及び修正が可能であることを当業者ならよく理解できる。したがって、そういったあらゆる適切な変形及び修正と均等物等も本発明の範囲に属することと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な密閉型往復式圧縮機を示した分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法に対する工程図である。
【図3】本発明のクランクシャフトの製造方法でクランクシャフト部材とウェートバランス部材をコーキングする状態を概略的に示した図である。
【図4】図3に示したコーキング装置の上部パンチの底面図である。
【図5】本発明により製造された密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトを示した斜視図である。
【符号の説明】
100 クランクシャフト部材
110 メーン軸部
120 クランク軸
121 オイル穴
122 オイルグルーブ
200 ウェートバランス部材
300 コーキング装置
310 下部ダイ
311 固定部
311a 突起
320 上部パンチ
321 回避溝部

Claims (9)

  1. メーン軸部及びこのメーン軸部に対し一定量偏心されたクランク部を有するクランクシャフト部材と、このクランクシャフト部材のメーン軸部とクランク部の境界部に位置するウェートバランス部材を各々分離成形した後、前記クランクシャフト部材とウェートバランス部材をブレージング熔接して結合することを特徴とする密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
  2. 前記クランクシャフト部材は、鉄系パイプまたは引抜加工された鋼管を冷間成形を通じてメーン軸部及びこのメーン軸部に対し一定量偏心されたクランク部を形成することを特徴とする請求項1に記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
  3. 前記クランクシャフト部材のメーン軸部及びクランク部を形成する時、オイル穴及びオイルグルーブを共に形成することを特徴とする請求項2に記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
  4. 前記ウェートバランス部材は、鉄系の冷間圧延板材をプレス加工して形成することを特徴とする請求項1に記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
  5. a)メーン軸部及びこのメーン軸部に対し一定量偏心されたクランク部を有するクランクシャフト部材を形成する段階と;b)前記クランクシャフト部材のメーン軸部とクランク部の境界部に位置するウェートバランス部材を形成する段階と;c)前記クランクシャフト部材と前記ウェートバランス部材をコーキングして仮組立する段階と;d)仮組立された前記クランクシャフト部材とウェートバランス部材をブレージング熔接して結合する段階と;を含むことを特徴とする密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
  6. 前記クランクシャフト部材は、鉄系パイプまたは引抜加工された鋼管を冷間成形を通じてメーン軸部及びこのメーン軸部に対し一定量偏心されたクランク部を形成することを特徴とする請求項5に記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
  7. 前記クランクシャフト部材のメーン軸部及びクランク部を形成する時、オイル穴及びオイルグルーブを共に形成することを特徴とする請求項6に記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
  8. 前記ウェートバランス部材は、鉄系の冷間圧延板材をプレス加工して形成することを特徴とする請求項5に記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
  9. 前記d)段階後、クランクシャフト部材の外径及びウェートバランス部材の側面部を研磨する段階e)を含むことを特徴とする請求項5に記載の密閉型往復式圧縮機のクランクシャフトの製造方法。
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