JP2003193314A - 防護衣料 - Google Patents

防護衣料

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JP2003193314A JP2001389034A JP2001389034A JP2003193314A JP 2003193314 A JP2003193314 A JP 2003193314A JP 2001389034 A JP2001389034 A JP 2001389034A JP 2001389034 A JP2001389034 A JP 2001389034A JP 2003193314 A JP2003193314 A JP 2003193314A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、伸縮性、耐熱性、機械的強度および
外観に優れ、さらに手や体によくフィットして作業性が
よい上に、毛羽や埃の発生しにくい防護衣料を提供せん
とするものである。 【解決手段】本発明の防護衣料は、芯糸に弾性繊維を用
い、鞘糸に耐熱高機能フィラメント糸を用いてなる被覆
糸で構成されていることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐燃焼性、耐熱
性、ストレッチ性に優れた被覆糸を用いた防護衣料に関
する。
【0002】
【従来の技術】衣料や産業資材として広く用いられてい
るナイロンやポリエステル繊維等の汎用熱可塑性合成繊
維は約250℃前後で溶融し、また限界酸素指数は約2
0前後であり、空気中でよく燃焼する。従ってこれらの
汎用熱可塑性合成繊維は、炎や高熱に曝される危険の大
きい場面で使用される衣料製品、例えば消防服、自動車
レース用のレーシングスーツ、製鉄用作業服または溶接
用作業服および手袋などの防護用の繊維素材として適し
ているとはいえない。
【0003】アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維
またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維
等の耐熱高機能フィラメント糸は約250℃前後では溶
融せず、その分解温度が約500℃前後と高温である。
また限界酸素指数は約25以上であって、空気中では熱
源である炎を近づけることによって燃焼するが、炎を遠
ざけると燃焼を続けることができない。
【0004】このように、耐熱高機能フィラメント糸は
耐熱性および難燃性に優れた素材である。それゆえに、
例えば耐熱高機能フィラメント糸であるアラミド繊維は
炎や高熱に曝される危険の大きい場面での衣料製品、例
えば消防服、自動車レース用のレーシングスーツ、製鉄
用作業服または溶接用作業服および手袋などの防護衣料
として好んで用いられている。中でも、耐熱性とともに
高強度特性をも併せ持ったパラ系アラミド繊維は、引裂
き強さと耐熱性を要するスポーツ衣料や作業服、ロー
プ、タイヤコードなどに利用されており、また刃物によ
って切れにくいことから創傷防止のための作業用手袋な
どにも利用されている。
【0005】パラ系アラミド繊維は、ポリパラフェニレ
ンテレフタルアミド繊維(以下PPTA繊維と記す)が
良く知られており、例えば米国特許第3,767,75
6号明細書、特公昭56−128312号公報にPPT
A繊維の製造方法が開示されている。
【0006】一方、メタ系アラミド繊維は、パラ系アラ
ミド繊維のように耐切創性や、高い引っ張り強さはない
が、その耐熱性を特長として消防服や断熱フィルター、
耐熱収塵フィルター、電気絶縁材料などに用いられてい
る。
【0007】従来、これら耐熱高機能フィラメント糸を
用いて衣料製品などの繊維製品を製造する際には、伸縮
性のないフィラメント糸や紡績糸などの形態で該繊維が
利用されているにすぎなかった。
【0008】しかし、フィラメント糸や紡績糸などの伸
縮性のない糸条を布地に加工し、消防服、レーシングス
ーツまたは作業服等の衣料製品を製造しても、該衣料製
品に伸縮性が劣っているため、該衣料製品を着用した場
合に、着心地が悪く、また活動しにくいという難点があ
った。また、同様に伸縮性の無い糸条から作られた従来
の作業用手袋は着用感が悪く、作業効率を低下させる原
因となっていた。
【0009】かかる市場の要求に鑑みて、耐熱性捲縮糸
または耐熱高機能フィラメント糸に捲縮を付与する方法
についての研究、提案が多数なされている(特開昭48
−19818号公報、特開昭53−114923号公
報、特開平3−27117号公報)。具体的には、ナイ
ロンまたはポリエステル繊維など一般の熱可塑性合成繊
維の捲縮付与方法を応用した方法が挙げられる。例え
ば、パラ系アラミド繊維などの高弾性率繊維に低弾性率
繊維を混合して押込み法により捲縮を付与する方法(特
開平1−192839号公報)、アラミド繊維をその分
解開始温度以上、分解温度未満(メタ系アラミド繊維の
場合390℃以上460℃未満)に加熱した非接触ヒー
ターを用い仮撚り捲縮加工した後、弛緩熱処理するとい
う仮ヨリ法により製造された捲縮糸(特開平6−280
120号公報)などが公知である。
【0010】しかし、これら公知技術のいずれにおいて
も、耐熱高機能フィラメントからなる良好な伸縮性を有
する織物や編み物を得ることができなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、伸縮性、耐熱性、機械的強度および
外観に優れ、さらに手や体によくフィットして作業性が
よい上に、毛羽や埃の発生しにくい防護衣料を提供せん
とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決とするために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の防護衣料は、芯糸に弾性繊維を
用い、鞘糸に耐熱高機能フィラメント糸を用いてなる被
覆糸で構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり伸縮
性、耐熱性、機械的強度および外観に優れ、さらに手や
体によくフィットして作業性がよい上に、毛羽や埃の発
生しにくい防護衣料について、鋭意検討し、耐熱高機能
フィラメント糸と高い伸縮性を持つ弾性繊維とを組み合
わせた被覆糸を使用して構成してみたところ、係る課題
を一挙に解決することを究明したものである。
【0014】また、高い伸縮性を解決するには、捲縮加
工した耐熱捲縮糸と、弾性繊維を組み合わせること好ま
しく、さらに高い伸縮性を持つスパンデックスを用いる
ことがより好ましい。
【0015】本発明において防護衣料とは、消防用衣
服、溶鉱炉における作業衣、溶接作業衣、自動車レーサ
ー用衣服などの耐熱防護衣料、工場や林業、建設業など
突起物や激しい摩耗から人体を防護する必要のある防護
衣料、各種スポーツやアウトドア用の衣料、また同様の
目的で用いられる各種手袋や靴下、前掛け、腕カバー、
スパッツ、目出し帽などを含むものである。
【0016】以下、本発明の防護衣料について図を用い
て説明する。
【0017】図1は本発明の防護衣料を構成する被覆糸
の一例を示す概略側面図である。該被覆糸(ハ)は、芯
糸である弾性繊維(イ)の周りが鞘糸である耐熱高機能
フィラメント糸(ロ)によって一重または二重に撚回被
覆されているものである。
【0018】かかる被覆糸における芯糸は、伸縮性のあ
る弾性繊維である。弾性繊維としては、高い伸縮性をも
つポリウレタン系弾性繊維が望ましく使用される。
【0019】かかるポリウレタン系弾性繊維としては、
ポリマージオールと有機ジイソシアネートを主体とする
イソシアネートと多官能活性水素化合物を反応させて得
られるポリウレタン重合体を紡糸して得られたものが好
ましく使用される。
【0020】かかるポリマージオールとしては、ポリテ
トラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレンエーテルグリコールのようなポリエーテルグリ
コール類、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ルなどのグリコール類の少なくとも一種とアジピン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、β−メチルア
ジピン酸、イソフタル酸などのジカルボン酸の少なくと
も一種を反応させて得られるポリエステルグリコール
類、ポリカプロラクトングリコール、ポリヘキサメチレ
ンジカーボネートグリコールのようなポリマージオール
の一種または二種以上の混合物または共重合物を使用す
ることができる。
【0021】また、有機ジイソシアネートとしては、
4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5
−ナフタレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジ
イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキ
サンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの
ような有機ジイソシアネートの一種または二種以上の混
合物を使用することができる。さらにかかる有機ジイソ
シアネートにトリイソシアネートを少量併用してもよ
い。
【0022】また、前記多官能活性水素化合物として
は、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4
´−ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジン、1,4−
ジアミノピペラジン、エチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水などの一
種またはこれらの二種以上の混合物を使用することがで
きる。所望により、これら前記化合物に、モノアミン、
モノアルコールのような停止剤を少量併用してもよい。
また、2,6−ジテトラブチルパラクレゾール、亜リン
酸エステルなどの酸化防止剤、ヒドロキシベンゾフェノ
ン系またはヒドオキシベンゾチアゾールなどの光吸収剤
または紫外線吸収剤、1,1−ジアルキル置換セミカル
バジド、ジチオカルバミン酸塩などのガス黄変、劣化防
止剤、および酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料を適
宜使用してもよい。
【0023】かかるポリウレタン系弾性繊維の繊度、断
面形状などは特に限定されるものではなく、例えば、ポ
リウレタン繊維の断面形状は円形であってもよく、扁平
であってもよい。
【0024】本発明の防護衣料を構成する被覆糸におけ
る鞘糸は、耐熱高機能フィラメントを使用して構成され
たものである。かかる耐熱高機能フィラメントとして
は、JIS K 7201に基づいて測定される限界酸
素指数が25以上の難燃性と、JIS K 7120に
基づいて測定される、つまり示差走査熱量測定法による
熱分解温度が400℃以上の耐熱性とを有する繊維が好
ましく使用される。
【0025】かかる耐熱高機能フィラメントの例として
は、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維(例えば
株式会社クラレ製、商品名ベクトラン)、ポリパラフェ
ニレンベンゾビスオキサゾール繊維(例えば東洋紡株式
会社製、商品名ザイロン)、ポリベンズイミダゾール繊
維、ポリアミドイミド繊維(例えばローヌプーラン社
製、商品名ケルメル)、ポリイミド繊維などが挙げられ
る。アラミド繊維にはメタ系アラミド繊維とパラ系アラ
ミド繊維などが好ましく使用される。
【0026】該メタ系アラミド繊維としては、例えば、
ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュポン社
製、商品名ノーメックス)などのメタ系全芳香族ポリア
ミド繊維が好ましく使用される。また、パラ系アラミド
繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタル
アミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名ケブラ
ー)およびコポリパラフェニレン−3,4'−ジフェニ
ルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商
品名テクノーラ)などのパラ系全芳香族ポリアミド繊維
が好ましく使用される。特に、耐熱性、難燃性とともに
高強度特性および耐切創性に優れている点から、パラ系
アラミド繊維が好ましく使用される。
【0027】かかる鞘糸として用いられる耐熱高機能フ
ィラメント糸は、長繊維の形態であるフィラメント糸の
原糸、撚糸、加工糸などいずれの形態であってもよい
が、編織物を形成したときの風合いがソフトであること
と伸縮性に優れるという観点から、捲縮加工を施された
ものが、より好ましく使用される。
【0028】かかる耐熱高機能フィラメントに捲縮を付
与する方法としては、押込み法や仮撚り法などのいかな
る方法であってもよい。例えば特開2001−2480
27号公報に示されるように、耐熱性高機能繊維フィラ
メント糸条に下記式で表わされる撚り係数(K)16,
000〜35,000の撚りを加え、次いで130〜2
50℃の温度下における高温高圧水蒸気または高温高圧
水処理を行って、撚りを固定し、撚りの固定された撚り
糸を前記と反対方向に撚りを解撚することによって、耐
熱性高機能繊維フィラメント捲縮糸を得ることができ
る。
【0029】K=t×D1/2 〔但し、tは撚り数(回/m)を表し、Dは繊度(Dte
x)を表す。〕 また、パラ系アラミド繊維フィラメント捲縮糸条は、パ
ラ系アラミド繊維糸条に、下記式で表される撚り係数
(K)16,000〜35,000の撚りを加え、次い
で例えば空気中で加熱などの方法を用いて乾燥すること
により、撚りを固定した後、撚りの固定された撚り糸を
前記と反対方向に解撚することによって得ることができ
る。このとき、該パラ系アラミドフィラメントとして、
好ましくは水分率15%以上、より好ましくは25%以
上、特に好ましくは30〜100%であるものを使用す
るのがよい。該パラ系アラミド繊維に撚りを加える前の
水分率が15%未満では、良好な撚りのセット効果が得
られず、一方撚りを加える前の水分率が100%を越え
ると、リング撚糸機やダブルツイスターで撚りをかける
ときに、遠心力で糸条から水分が飛び散って撚糸機が水
浸しになるなど環境や作業性に支障をきたす。
【0030】K=t×Dw1/2 〔但し、tは撚り数(回/m)を表し、Dwは水分を含む
繊度(dtex)を表す。〕 この方法は、撚り−乾燥(撚り固定)−解撚を別々の工
程で行ってもよいし、例えば仮撚り加工法のように連続
的に行ってもよい。
【0031】さらに、また、パラ系アラミド繊維フィラ
メント捲縮糸条は、該パラ系アラミド繊維糸条で天竺編
みなどの編み地を作り、これを乾燥して編み目を固定し
た後、その編み地を解くことによっても作ることができ
る。
【0032】かかる耐熱性高機能繊維フィラメント捲縮
糸のJIS L 1013に基づいて測定される伸縮復
元率は、望ましくは4〜80%である。かかる伸縮復元
率が4%未満では、編織物を形成したときの風合いにお
いてソフト感が劣り、また80%を越えると、ポリウレ
タン系弾性繊維との調和が悪く、被覆糸の外観に凹凸が
発生して好ましくない。
【0033】かかる耐熱性高機能繊維フィラメントは、
上記耐熱高機能フィラメント糸単独で構成されていても
よいし、任意の他の耐熱高機能フィラメント糸との2種
以上の耐熱高機能フィラメント糸からなっていてもよ
い。また、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルアルコ
ール系繊維など他の公知の繊維との混繊、交撚などによ
る複合糸の形でも使用することができる。
【0034】かかる耐熱高機能フィラメントの繊度、フ
ィラメント数は、用途目的に応じ、表面外観、耐熱性、
伸縮性、風合い等を考慮して適宜選択すればよい。
【0035】鞘糸の繊度は、用途目的に応じて20dt
ex以上1600dtex以下の範囲が好ましい。
【0036】さらに鞘糸の単糸繊度は用途に応じて0.
1dtex以上10dtex以下の範囲が好ましく、さ
らに好ましくは0.4dtex以上5dtex以下であ
る。0.1dtex未満では、製糸効率が低くコストア
ップとなり、10dtexを越えると、剛性が高く、柔
軟性の求められる衣料には向かない。
【0037】本発明の被覆糸は、優れた伸縮性を得る観
点から鞘糸が芯糸の回りを一重に被覆したものであって
もよく、また、優れた被覆性を得る観点から鞘糸が芯糸
の回りを二重に被覆したものであってもよい。
【0038】次に、本発明の被覆糸の製造方法について
説明する。図2は本発明の被覆糸の製造方法の一例を示
す概略模式図である。
【0039】本発明においては、弾性繊維を芯糸として
用い、その上から前記耐熱高機能フィラメントを鞘糸と
して被覆するものである。
【0040】被覆の際には市販のカバリング機等が好ま
しく用いられる。
【0041】図2は二重被覆の例であり、図2におい
て、芯糸1として使用するポリウレタン繊維は転がし給
糸ローラ3により積極送りされ、フィードローラ4との
間で1.2以上2.4以下の範囲でプレドラフトし、転
がし給糸ローラ3とデリベリローラ11の間のドラフト
が2.4以上4.0以下の範囲となるように設定するが
好ましい。
【0042】鞘糸は、市販の高速ワインダーにより、H
ボビン2に巻き取られた後、図2のように下段スピンド
ル5および上段スピンドル7に設置され、スピンドルを
回転させることによって芯糸に巻き付けられ、被覆糸を
形成する。
【0043】得られた被覆糸は、テイクアップローラ1
3によりチーズ14に巻き取られる。
【0044】なお、一重被覆糸を製造する際には、上段
スピンドルまたは下段スピンドルのいずれか一方にHボ
ビン1本を設置して、スピンドルを回転させることによ
って芯糸に鞘糸を巻き付ける。
【0045】鞘糸を芯糸に被覆する際、鞘糸のヨリ数
は、鞘糸の番手により適宜選択すればよいが、100〜
2000T/mの範囲とするのが好ましい。
【0046】また、二重に被覆する場合、上ヨリ数は下
ヨリ数の0.7〜0.9倍のヨリ数とすることが好まし
く、トルクをうち消すため、上ヨリは、下ヨリの逆方向
にかけるのが好ましい。
【0047】本発明の被覆糸である高い伸縮性をもつ耐
熱高機能フィラメント糸条は、編地や織物に加工して、
次のような防護衣料に有用である。たとえば、炎や火
花、溶けた金属など高温に曝される場面で用いられる耐
熱作業服、突起物や鋭利な破片などから人体を防護する
作業用衣料、各種スポーツやアウトドア活動用の衣料素
材として適しており、これらの衣料の表地および/また
は裏地、中地、あるいは下着として用いることができ
る。具体的には例えば消防用衣服、溶鉱炉における作業
衣、溶接作業衣、自動車レーサー用衣服、各種手袋や靴
下、前掛け、腕カバー、スパッツ、目出し帽などがあ
る。
【0048】また、本発明の被覆糸はフィラメント糸条
から成るため、毛羽やほこりを発生する紡績糸製品と異
なり、毛羽やほこりが問題となるクリーンルームや、精
密機器の組み立て作業などにおける作業衣や、手袋、腕
カバーなどの防護衣料にも有用である。
【0049】本発明において、編織物とは、織物や編み
物、組み紐などの組み物、ロープ、など糸条物から作ら
れる布帛およびひも状物である。
【0050】紡績糸からなるグローブは、エラストマー
樹脂をコーティングしたとき、紡績糸表面に出た毛羽の
ため樹脂被膜にピンホールができて水漏れするので防水
グローブには適さない。本発明の被覆糸はフィラメント
捲縮糸とフィラメントスパンデックスからなるのでな
り、本質的に毛羽のない糸であるのでエラストマー樹脂
をコーティングしたとき樹脂被膜にピンホールができな
いので防水用袋用素材としても適している。
【0051】さらに、樹脂補強材としても有用で、本発
明の高い伸縮性をもつ耐熱高機能フィラメント糸条を編
み地や織物に加工して、これにエラストマーを含浸させ
たり、エラストマーと張り合わせ接着することにより、
耐熱性あるいは耐熱性と高強度を併せ持った膜材が得ら
れる。例えば、難燃性の要求される車両、すなわち列車
や自動車などのエラストマーを用いた膜材の補強材とし
て有用である。具体的には列車の車両と車両の連結幌、
自動車の取り外し可能な幌などがあげられる。また、本
発明の編み地や織物は伸縮性があって凹凸面に添い易い
ことから、タイミングベルトの歯の表面の摩耗を防止す
るために歯の表面に配置される補強布(カバリングクロ
ス)など、産業用ゴム製品の補強材としても有用であ
る。建築物や構造物などの補強材としても有用である。
例えば列車の高架橋の柱、建築物の柱、道路床盤などを
樹脂と高強度繊維を用いて補強することが行われてい
る。補強面に凹凸がある場合、従来は伸縮性のない高機
能フィラメント織物が用いられてきたが、凹凸面に密着
しないために空気層や樹脂だまりが形成され補強効果を
低減する原因となっていた。本発明の高い伸縮性をもつ
耐熱高機能フィラメント糸条からなる編み地や織物をこ
のような補強における繊維補強材料として用いると、建
築物や構造物などの補強部分の凹凸面に良く追随密着す
るので、空気層や樹脂だまりを生じることが無い。
【0052】本発明の編織物は、本発明の被覆糸を10
%以上好ましくは40%以上、より好ましくは70%以
上含むことが望ましい。本発明の被覆糸を10%以上含
むことにより、本発明の目的とする耐熱性、耐燃焼製、
ストレッチ性を得ることができる。
【0053】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。ただし、本発明がこれら実施例により限定されるも
のではない。
【0054】各物性等の表示方法および評価方法は、次
の方法に依拠した。 [繊度表示]JIS L 0101−1978 テック
ス方式に従い、単位記号はdtexで表した。 [引張強度]自記記録装置付定速伸長型引張試験機を用
い、1dtex当たり7mgの初荷重をかけた状態で1
0cmのつかみの間隔に取付、引張速度を20cm/m
inとして、破断するまで引き伸ばし、破断時点での強
度を測定した。 [5cN荷重時の伸度および残留ひずみ]自記記録装置
付定速伸長型引張試験機を用い、1dtex当たり7m
gの初荷重をかけた状態で10cmのつかみの間隔に取
付、引張速度を20cm/minとして、5cNの荷重
まで引き伸ばし、5cNの荷重時の伸度を測定した。5
cNの荷重後、直ちに、同じ速度で除重し、完全に除重
した時点での伸度を残留ひずみとした。 [伸縮性]JIS L 1013:1999 化学繊維
フィラメント糸試験方法8.11.A法により伸縮伸長
率を測定した。測定前の前処理として、測定試料をかせ
状にしてガーゼに包んだまま、90℃20分間の温水処
理を行い、室温で自然乾燥させた。 [伸縮復元率]JIS L 1013:1999 化学
繊維フィラメント糸試験方法 8.12 伸縮復元率
に従って測定した。測定前の試料の調整はつぎのように
おこなった。測定試料をかせ状にしてガーゼに包んだま
ま、90℃20分間の温水処理を行い、室温で自然乾燥
させた。 [繊度]JIS L 1013:1999 化学繊維フ
ィラメント糸試験方法8.3により繊度を測定した。 [限界酸素指数]JIS K 7201:1999 酸
素指数法による高分子材料の燃焼試験方法により測定し
た。 [熱分解点]JIS K 7120:1987 プラス
チックスの熱重量測定方法により測定した。 [熱溶融性]500℃に加熱された金属棒(直径0.6
cm)の先端に6×6cmの試料を自重のもとに水平に
5秒間接触させたとき、熱によって布にできた穴あきの
程度を金属棒の断面積と相対比較して級で判定する。
【0055】 5級;穴あき無し、 4級;1/4穴あき、 3級;1/2穴あき、 2級;3/4穴あき、 1級;完全に穴があく。 [燃焼試験]JIS L 1091−1999 繊維製
品の燃焼性試験方法 8.1.1 A−1法(45ミク
ロバーナー法) に準じて、規定のバーナーによる1分
間加熱後の穴あき面積を測定した。 [切創抵抗(切れ難さCut resistance )] ISO
13997:1999Protective clothing - Mechanic
al properties - Determination of resistance to cut
ting by sharp objects に従って測定した。一定の移動
距離で刃が試験片を貫通する(切る)とき、切れにくい
素材ほど重い荷重が必要である。刃に加える荷重Lにお
いて、刃の移動距離20mmで刃が試験片を貫通する
時、荷重Lを切創抵抗値とする。刃はAmerican Safety
Razor Co.,品番No.88-0121を使用した。測定値はN(=
ニュートン)で表し、数値が大きいほど切れにくいこと
を示す。
【0056】[実施例1]東レ・デュポン(株)製ポリ
パラフェニレンテレフタルアミド繊維(以下PPTA繊
維と記す)フィラメント糸条220dtex(商品名・
ケブラー、単糸繊度1.65dtex,限界酸素指数2
8、熱分解点537℃、引張強度20.3cN/dte
x、引張弾性率499cN/dtex)にダブルツイス
ターで撚りを加えて、撚り数1685(回/m)の撚り
糸を得た。
【0057】このときの撚り係数は、下記式で表されK
=25000である。
【0058】K=t×D1/2 但し、tは撚り数(回/m)を表し、Dは繊度(dtex)
を表す。
【0059】これを飽和水蒸気処理設備に入れ、200
℃の飽和水蒸気処理を15分間行って撚りセットを行っ
た。冷却後、ダブルツイスターで逆よりをかけて撚り数
をほぼ0まで解撚し捲縮糸条を得た。
【0060】得られたPPTA捲縮糸の物性を表1に示
す。
【0061】
【表1】
【0062】33dtexのポリウレタン系弾性繊維
(東レ・デュポン(株)製、商品名ライクラ)を芯糸と
し、前記の得られた220dtexのPPTAフィラメ
ントの捲縮糸を鞘糸として用い、図2に示されるカバリ
ング工程を使用して、以下の条件でカバリング加工を施
した。
【0063】ドラフト:3.0倍 ヨリ数:Z200T/m スピンドル回転数:5000rpm 巻取比:93.0% 得られた一重被覆糸は、引張強度が11.2cN/dt
ex、5cN荷重時の伸度が4.8%、残留ひずみが
1.6%であり、良好な捲縮を有し、耐燃焼性に優れ、
高強度かつ高弾性なものであった。得られた一重被覆糸
を20ゲージの1口編機を用いて天竺編み組織を編成し
たところ、この編み地は限界酸素子数が26、熱溶融性
が5級、燃焼試験による穴あき面積が0(cm2 )であ
った。 また、この編み地の切創抵抗は1.2(N)で
あった。このようにソフトな風合いを有し、伸縮性に富
み、耐燃焼性、耐熱性に優れかつ刃物で切れにくい編地
が得られた。
【0064】[比較例1]330dtex68フィラメ
ントのポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸を用
い、市販の仮撚加工機を使用して、以下の条件で仮撚加
工を実施し、総繊度224dtex、フィラメント数6
8、伸縮復元率15%、限界酸素指数20のポリエチレ
ンテレフタレートフィラメント捲縮糸を得た。 「仮撚加工条件」 糸速 300m/min 施撚体 フリクションツイスター 仮撚方向 Z D/Y比 1.6 仮撚温度 200℃ 延伸倍率 1.5 実施例1で使用したものと同じ33dtexのポリウレ
タン弾性繊維を芯糸とし、得られた224dtexのポ
リエチレンテレフタレートフィラメント捲縮糸を鞘糸と
して用い、実施例1と同様に以下の条件でカバリング加
工を施し、一重被覆糸を得た。
【0065】ドラフト:3.0倍 ヨリ数:Z200T/m スピンドル回転数:5000rpm 巻取比:93.0% 得られた一重被覆糸は、引張強度が4.8cN/dte
x、5cN荷重時の伸度が5.3%、残留ひずみが1.
5%であり、良好な捲縮を有し、高弾性ではあるが、限
界酸素指数が20で、耐燃焼性に欠き、強度も不十分な
ものであった。得られた一重被覆弾性糸を20ゲージの
1口編機を用いて天竺編み組織を編成したところ、スト
レッチバック性には優れているものの、限界酸素子数が
20、熱溶融性が1級で、燃焼試験による穴あき面積は
45cm2 以上であり、耐熱性において不十分なもので
あった。また、この編み地の切創抵抗は0.6N)で、
ほぼ同じ糸使いの実施例1の編み地の約50%であっ
た。
【0066】[実施例2]実施例1より太い78dte
xのポリウレタン系弾性繊維を芯糸とし、実施例1で使
用したものと同じ220dtexのPPTAフィラメン
ト捲縮糸を鞘糸として用い、実施例1と同様に以下の条
件でカバリング加工を施し、一重被覆糸を得た。
【0067】ドラフト:3.0倍 ヨリ数:Z200T/m スピンドル回転数:5000rpm 巻取比:93.0% 得られた一重被覆糸は、引張強度が9.6cN/dte
x、5cN荷重時の伸度が27%、残留ひずみが4.5
%であり、良好な捲縮を有し、耐燃焼性に優れ、高強度
であり、実施例1よりさらに高弾性なものであった。得
られた一重被覆糸を20ゲージの1口編機を用いて天竺
編み組織を編成した。この編み地は限界酸素指数が2
6、熱溶融性が5級、燃焼試験による穴あき面積が0
(cm2 )、切創抵抗は1.2(N)であった。このよ
うにソフトな風合いを有し、伸縮性に富み、耐燃焼性、
耐熱性および耐切創性に優れた編地が得られた。
【0068】[実施例3]実施例2で使用したものと同
じ78dtexのポリウレタン系弾性繊維を芯糸とし、
実施例1で使用したものと同じ220dtexのPPT
Aフィラメント捲縮糸を鞘糸として用い、以下の条件で
カバリング加工を施し、二重被覆糸を得た。
【0069】ドラフト:3.0倍 下ヨリ数:S200T/m 上ヨリ数:Z150T/m スピンドル回転数:5000rpm 巻取比:93.0% 得られた二重被覆糸は、引張強度が12.2cN/dt
ex、5cN荷重時の伸度が24%、残留ひずみが4.
8%であり、良好な捲縮を有し、耐燃焼性に優れ、高強
度であり、実施例1よりさらに高弾性なものであった。
得られた二重被覆糸を20ゲージの1口編機を用いて天
竺編み組織で編成した。この編み地の限界酸素指数は2
7、熱溶融性は5級、燃焼試験による穴あき面積は0
(cm2 )、切創抵抗は2.1(N)であった。このよ
うに、ソフトな風合いを有し、ストレッチバック性に富
み、耐燃焼性、耐熱性に優れた編地が得られた。
【0070】[実施例4]通常の方法で得られたポリパ
ラフェニレンテレフタルアミド(以下PPTAと記す)
(ηinh=6.5)を99.9%の濃硫酸に溶かし、
ポリマー濃度19.0%、温度80℃の紡糸ドープと
し、孔径0.06mmの細孔数133個を有する口金か
ら押し出し、6mmの空気間隔を通した後、4℃の水中
に導いて凝固させ、ネルソンローラに導き、500m/
分の速度で前進させ、10%の水酸化ナトリウム水溶液
で中和処理し、水洗後、表面温度110℃のホットロー
ラでわずかに乾燥して耐水性のボビンに巻き取り、フィ
ラメント数133からなる、水分率46%の水分込み繊
度321dtex(絶乾換算220dtex、単糸繊度
絶乾換算1.65dtex)のPPTAフィラメント糸
を得た。
【0071】この糸条にリング撚糸機で、S撚りを加
え、撚り数1395(回/m)の撚り糸を得た。このと
きの撚り係数はK=25000で、下記式で計算され
る。
【0072】K=T×Dw1/2 但し、Tはヨリ数(T/m)を表し、Dwは水分込み繊度
(dtex)を表す。
【0073】得られた撚り糸300gをアルミ製のボビ
ンに巻き取り、ついで熱風乾燥機に入れて100℃で3
0分間の乾燥を行って撚りを固定した。このようにして
撚りを固定した撚り糸を、リング撚糸機で撚り方向Z撚
りの撚りを与えて撚り数0になるまで解撚し、PPTA
フィラメントの捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の捲縮特
性を表2に示す。また同捲縮糸の熱的特性は、限界酸素
指数28,熱分解温度537℃であった。
【0074】
【表2】
【0075】このようにして得たPPTAフィラメント
捲縮糸を用いて、実施例1と同様の方法で一重被覆糸を
得た。得られた一重被覆糸は、引張強度が11.0cN
/dtex、5cN荷重時の伸度が4.8%、残留ひず
みが1.6%であり、良好な捲縮を有し、耐燃焼性に優
れ、高強度かつ高弾性なものであった。得られた一重被
覆糸を20ゲージの1口編機を用いてスムス組織編成し
たところ、この編み地は限界酸素子数が26、熱溶融性
が5級、燃焼試験による穴あき面積が0(cm 2 )であ
った。 また、この編み地の切創抵抗は1.2(N)で
あった。このようにソフトな風合いを有し、伸縮性に富
み、耐燃焼性、耐熱性に優れかつ刃物で切れにくい編地
が得られた。
【0076】[実施例5]実施例2で使用したものと同
じ78dtexのポリウレタン系弾性繊維を芯糸とし、
市販の捲縮のないPPTAフィラメント糸(東レ・デュ
ポン(株)製、商品名ケブラー)220dtexを鞘糸
として用い、実施例1と同様に以下の条件でカバリング
加工を施し、一重被覆糸を得た。
【0077】ドラフト:3.0倍 ヨリ数:Z200T/m スピンドル回転数:5000rpm 巻取比:93.0% 得られた一重被覆糸は、引張強度が11.2cN/dt
ex、5cN荷重時の伸度が4.3%、残留ひずみが
1.9%であり、耐燃焼性に優れ、高強度かつ高弾性な
ものであった。
【0078】得られた一重被覆糸を20ゲージの1口編
機を用いて天竺編み組織を編成したところ、実施例2と
比べて風合いはやや硬くなるが、伸縮性に富み、限界酸
素指数が26、熱溶融性が5級で燃焼試験による穴あき
面積が0(cm2 )、切創抵抗1.2(N)の、耐燃焼
性、耐熱性に優れた編地を得た。
【0079】[比較例2]実施例2で使用したものと同
じ78dtexのポリウレタン系弾性繊維を芯糸とし、
比較例1で使用したものと同じ224dtexのポリエ
チレンテレフタレートフィラメント捲縮糸を鞘糸として
用い、実施例1と同様に以下の条件でカバリング加工を
施し、二重被覆糸を得た。
【0080】ドラフト:3.0倍 下ヨリ数:S200T/m 上ヨリ数:Z150T/m スピンドル回転数:5000rpm 巻取比:93.0% 得られた二重被覆糸は、引張強度が4.3cN/dte
x、5cN荷重時の伸度が25%、残留ひずみが4.7
%であり、良好な捲縮を有し、高弾性ではあるが、耐燃
焼性に欠き、強度も不十分なものであった。得られた一
重被覆弾性糸を24ゲージの1口編機を用いて天竺編み
組織を編成したところ、ストレッチバック性には優れて
いるものの、限界酸素子数が20、熱溶融性が1級で、
燃焼試験による穴あき面積は45cm2 以上であり、耐
熱性において不十分なものであった。また切創抵抗は
0.9(N)で、実施例3のPPTA繊維を用いた二重
被覆糸からなる編み地の約43%であった。
【0081】これらの結果を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】表3から明らかなように、実施例1〜5の
編み地は、比較例1,2のものに比して、耐熱性も切創
抵抗も優れていることがわかる。
【0084】[実施例6]実施例1と同様にして得られ
たPPTA繊維からなる一重被覆糸を4本引き揃え、S
FG−13ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機
製作所)に供給して、13ゲージの手袋を編みあげた。
【0085】このグローブの切創抵抗は6.7(N)
で、高い切創抵抗を持ち、伸縮性に富むので装着感がよ
く、またフィラメントからなるグローブであるので毛羽
やほこりが発生しにくく、自動車やアルミ建材の塗装作
業などに用いる安全性の高い作業手袋として適したもの
であった。
【0086】[比較例3]比較例1と同様にして得られ
たポリエチレンテレフタレート繊維からなる一重被覆糸
を4本引き揃え、SFG−13ゲージタイプの手袋編み
機(株式会社島精機製作所)に供給して、13ゲージの
手袋を編みあげた。このグローブは、縮性に富むので装
着感がよく、またフィラメントからなるグローブである
ので毛羽やほこりが発生しにくいが、切創抵抗は3.1
(N)で実施例6のPPTA繊維を含むグローブの切創
抵抗の46%にすぎなかった。
【0087】[実施例7]市販のエーテル系ウレタン樹
脂を溶媒のジメチルホルムアミドに溶かし濃度16%に
調整したコーティング液を作成した。実施例6で作成し
たグローブを、陶器で作られた手形にはめてコーティン
グ液に浸漬した後これを液から引きあげ、次いで乾燥し
てウレタン樹脂コーテッドグローブを作成した。グロー
ブの水漏れ試験を行ってピンホールが無いことを確認し
た。
【0088】得られたグローブの切創抵抗は、10.7
(N)であった。このグローブは、伸縮性があって手に
良くフィットし作業がしやすく、また切創抵抗が高いの
で水産作業用防護グローブとして適したものであた。
【0089】[実施例8]実施例3で得られた二重被覆
糸を18ゲージの16口編機を用いてゴム編み組織の編
み地を編成した。この編み地の限界酸素指数は27、熱
溶融性は5級、燃焼試験による穴あき面積は0(cm
2)、切創抵抗は3.8Nであった。ここの編み地を裁
断して縫製し、消防用手袋を作成した。この消防用手袋
は、本発明の二重被覆糸を含むのでソフトな風合いを有
し、ストレッチバック性に富み、耐燃焼性、耐熱性に優
れ、切創抵抗が高いので、火などの高い熱に曝される機
会や、ガラスの破片などに触れる機会の多い消防士用の
手袋として適したものである。
【0090】[実施例9]実施例1で得られた、33d
texのポリウレタン系弾性繊維を芯糸とし220dt
exのPPTAフィラメントの捲縮糸条を鞘糸とした被
覆糸(a)と、比較例1で得られた、224dtexの
ポリエチレンテレフタレートフィラメント捲縮糸を鞘糸
として用いた被覆糸(b)を用いてつぎの織物を製織し
た。
【0091】 たて糸配列 (a)と(b)を1本交互配列 よこ糸配列 (a)と(b)を1本交互配列 たて糸密度 46(本/25mm) よこ糸密度 36(本/25mm) 織物組織 平織り 織物重量 79(g/m2 ) 得られた織物の熱溶融性は5級、切創抵抗は0.9
(N)であった。
【0092】この織物にウレタン系樹脂による透湿防水
加工を施し、スキーウエアに縫製した。
【0093】このスキーウエアは、ポリエステル捲縮糸
を含むので柔軟性に富みソフトな風合いを有し、また、
ストレッチバック性に富み、PPTA捲縮糸を含むので
たばこの火などによる穴あきが無く、スキーのエッジに
よる切創事故を防ぐことができスキーウエア生地として
適したものである。
【0094】
【発明の効果】本発明の被覆糸を用いた防護衣料は、耐
熱性と耐切創性に優れ、また伸縮性に富み、身体や手な
どによくフィットして作業性がよく、毛羽や埃が発生し
にくいので、耐熱防護衣料、建設業、山林業などの作業
服、各種スポーツ衣料、各種防護手袋などに有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆糸の一例を示す概略側面図であ
る。
【図2】本発明の被覆糸の製造方法の一例を示す概略模
式図である。
【符号の説明】
(イ):芯糸 (ロ):鞘糸 (ハ):被覆糸 1:芯糸 2:鞘糸 3:転がし給糸ローラ 4:フィードローラ 5:下段スピンドル 6:下段ベルト 7:上段スピンドル 8:上段ベルト 9:Hボビン 10:スネルガイド 11:デリベリローラ 12:ガイドバー 13:テイクアップローラ 14:チーズ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D02G 3/32 D02G 3/32 3/36 3/36 Fターム(参考) 3B011 AA02 AB01 AB11 AC14 AC17 4L036 MA04 MA06 MA39 RA04 RA24 UA06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯糸に弾性繊維を用い、鞘糸に耐熱高機能
    フィラメント糸を用いてなる被覆糸で構成されているこ
    とを特徴とする防護衣料。
  2. 【請求項2】前記耐熱性高機能フィラメント糸が、JI
    S K 7201に基づいて測定される限界酸素指数が
    25以上で、かつ、JIS K 7120に基づいて測
    定される熱分解温度が400℃以上であることを特徴と
    する請求項1に記載の防護衣料。
  3. 【請求項3】前記耐熱性高機能フィラメント糸が、捲縮
    糸であることを特徴とする請求項1に記載の防護衣料。
  4. 【請求項4】前記捲縮糸が、JIS L 1013に基
    づいて測定される伸縮復元率が4〜80%の範囲内にあ
    るものであることを特徴とする請求項3に記載の防護衣
    料。
  5. 【請求項5】前記耐熱性高機能フィラメント糸が、アラ
    ミド繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の防護衣料。
  6. 【請求項6】前記アラミド繊維が、パラ系アラミド繊維
    であることを特徴とする請求項5に記載の防護衣料。
  7. 【請求項7】前記パラ系アラミド繊維が、ポリパラフェ
    ニレンテレフタルアミド繊維であることを特徴とする請
    求項6に記載の防護衣料。
  8. 【請求項8】前記弾性繊維が、ポリウレタン系弾性繊維
    である請求項1〜7のいずれかに記載の防護衣料。
  9. 【請求項9】該防護衣が、編織物組織で構成されている
    ものである請求項1〜8のいずれかに記載の防護衣料。
  10. 【請求項10】該防護衣料が、手袋である請求項1〜9
    のいずれかに記載の防護衣料。
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