JP2003191390A - 光学用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

光学用積層ポリエステルフィルム

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JP2003191390A
JP2003191390A JP2001393672A JP2001393672A JP2003191390A JP 2003191390 A JP2003191390 A JP 2003191390A JP 2001393672 A JP2001393672 A JP 2001393672A JP 2001393672 A JP2001393672 A JP 2001393672A JP 2003191390 A JP2003191390 A JP 2003191390A
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laminated
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Taro Oya
太郎 大宅
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Teijin DuPont Films Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取扱い性と色相コントラストとを兼ね備え、
長期の使用でもその特性を保持し、紫外線吸収剤の使用
量が少ないにもかかわらず従来と同等の耐紫外線劣化性
を有する映像表示面用光学用積層ポリエステルフィルム
を提供する。 【解決手段】 紫外線吸収剤を含有するポリエステルの
層に、可視光吸収剤を含有するポリエステルの層が積層
され二軸配向された積層ポリエステルフィルムであっ
て、ヘーズ値が5%以下であり、波長450〜650n
mの範囲における光線の透過率の平均値(Tav)が
0.40〜0.80であり、かつ該波長範囲における各
波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値が
0.70〜1.30であることを特徴とする光学用積層
ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学用積層ポリエス
テルフィルムに関し、さらに詳しくは青色光、緑色光お
よび赤色光のコントラストに優れ、映像表示面に貼合せ
て長期使用するのに好適な光学用積層ポリエステルフィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】テレビやパソコンのCRTディスプレイ
は、青色光、緑色光および赤色光の3つの光を発光させ
て映像を表示するが、青色光と緑色光の中間色の光や、
緑色光と赤色光の中間色の光をも発光しており、この為
これらの中間色の光によって映像の色相コントラストが
ぼやけるという問題を抱えている。さらに述べると、C
RTなどの発光色の強さと光の波長の関係をみると、短
波長側から青、緑、赤の3つのピークが存在するが、問
題は青色と緑色、および緑色と赤色のピークの裾野が重
畳していることにある。このため、青色だけあるいは緑
色だけが発色しても青色と緑色の中間色が、また緑色だ
けあるいは赤色だけが発色しても赤色と緑色の中間色、
すなわち黄色みがかった色が何がしか発色し、これらの
中間色が、映像のコントラストを弱める原因となってい
る。そして、この問題は、パーソナルコンピュータの急
速な普及によって、画面を長時間見続ける状況が多くな
ったことから、その改善が強く望まれている。
【0003】この問題の対策として、映像表示面に防護
層と粘着剤層からなる保護フィルムを貼り付けるとき、
該粘着剤層にカーボンブラックを配合させておくことが
特開平11−335639号公報で提案されている。こ
の公報によれば、粘着剤層中のカーボンブラックによっ
て、可視光帯の各波長にわたって吸光度を平均的に増加
しているので、青色光と緑色光の中間色光および緑色光
と赤色光の中間色光の透過をそれぞれ抑制することがで
き、映像の色相コントラストを明瞭にすることができ
る。また、この公報には、保護フィルムの吸光度を増加
させる手段として、粘着剤層中のカーボンブラックの濃
度を増やすことや、粘着剤層の厚みを増やすことが記載
されているが、前者については、粘着剤層の接合力の低
下や取扱い性の低下を引き起こすことから、その添加濃
度は自ずと限界がある。他方、後者については、粘着剤
の種類や貼合せる面の表面粗さなどによって適宜選択す
ればよいが、CRTディスプレイなどの粘着剤層の厚み
は5〜40μmの範囲が好ましく、これ以上の厚みは粘
着剤層としての機能向上には結びつかず、むしろ加工や
貼合せの工程における取扱い性を低下させる。
【0004】また、前記防護層を着色することは特開平
2000−57976号公報で提案されている。具体的
には、防護層はベースフィルムとハードコート層からな
り、該ハードコート層をバインダー樹脂に顔料を配合し
これを硬化させて形成するか、顔料を含有するハードコ
ート層を新たな層(着色層)としてベースフィルムに積
層するか、またはベースフィルムを染料で染着すること
が挙げられている。しかし、顔料をハードコート層に含
有させる場合、該層の厚みは通常6〜10μmと薄いた
めに、顔料の添加濃度を高くする必要があるが、この濃
度を高めると、工程上の取扱い性が低下し、またハード
コート層の耐磨耗性や耐擦傷性が低下するという問題が
生じる。また、着色層を新たに設けることは、工程を煩
雑化させるという問題も生じる。さらにまた、ベースフ
ィルムを染料で染着する方法では、染色工程が別に必要
となり、生産工程の煩雑化や生産コストの増加につなが
るという問題がある。加えて、フィルム製造工程で易接
着剤層を設けた易接着性フィルムに、この染色処理を施
すと、該易接着剤層の接着特性、例えばハードコート層
や粘着剤層への接着性が損なわれるという問題が生じ
る。他方、製膜後のベースフィルムを染色してから易接
着剤層を設けようとすると、該ベースフィルムと易接着
剤層との接着性が乏しいという問題がある。そのため、
このような問題を克服した視認性の良好な光学用の保護
フィルムの提供が強く望まれてきている。光学用の保護
フィルムでは、また、上記の映像表示の色相のコントラ
スト向上と工程の簡素化および粘着剤層の取扱い性向上
のほかに、透明性の向上、外来光による視認性低下の防
止、耐磨耗性の向上、さらには保護フィルムを構成する
層間の剥離防止なども強く望まれている。さらには、窓
越しの紫外線の影響で、長期使用の保護フィルムの視認
性が低下するという問題が指摘されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の問題を解消し、取扱い性と色相コントラストとを兼ね
備え、長期の使用でもその特性を保持し、紫外線吸収剤
の使用量が少ないにもかかわらず従来と同等の耐紫外線
劣化性を有する、映像表示面用に好適な、光学用積層ポ
リエステルフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、映像表示面に貼合せ
る保護フィルムの基材として積層ポリエステルフィルム
を用い、該フィルムの各層に、ヘーズを5%以下に抑え
ながら紫外線吸収剤と可視光吸収剤を別々に含有させ、
そして波長450〜650nmにおける光線の透過率の
平均値(Tav)を0.40〜0.80とし且つ前記波
長範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTa
vで割った値を0.70〜1.30の範囲にすることに
より青色光と緑色光の中間色光および緑色光と赤色光の
中間色光の透過をそれぞれ抑制させる機能を付与し、か
つ視認性と映像の色相のコントラストを両立させ、さら
にこの効果を長期間に亘って維持させることができるこ
とを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】すなわち、本発明は、紫外線吸収剤を含有
するポリエステルの層に、可視光吸収剤を含有するポリ
エステルの層が積層され二軸配向された積層ポリエステ
ルフィルムであって、ヘーズ値が5%以下であり、波長
450〜650nmの範囲における光線の透過率の平均
値(Tav)が0.40〜0.80であり、かつ該波長
範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTav
で割った値が0.70〜1.30であることを特徴とす
る光学用積層ポリエステルフィルムである。
【0008】本発明の光学用積層ポリエステルフィルム
は、好ましい態様として、 項2)紫外線吸収剤が下記式(I)
【0009】
【化5】 (ここで、X1は、上記式に表わされたX1からの2本の
結合手が1位、2位の位置関係にある、2価の芳香族残
基であり、nは1、2又は3であり、R1はn価の炭化
水素残基で、これは更にヘテロ原子を含有していてもよ
い、又はR1はn=2のとき直接結合であることができ
る。)および下記式(II)
【0010】
【化6】 (ここで、Aは下記式(II)−a
【0011】
【化7】 で表わされる基であるか又は下記式(II)−b
【0012】
【化8】 で表わされる基であり、R2およびR3は同一もしくは異
なる1価の炭化水素残基であり、X2は4価の芳香族残
基で、これは更にヘテロ原子を含有していてもよい。)
で表わされる環状イミノエステルから選ばれる少なくと
も1種の化合物である態様、 項3)可視光吸収剤が、平均粒径10〜500nmの顔
料または染料である態様、 項4)積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に易
滑易接着層がさらに設けられている態様、 項5)光学用積層ポリエステルフィルム側から入射した
光の、易滑易接着層と積層ポリエステルフィルムの界面
における反射率が0.4%以下である態様、 項6)芯層とこれに接する2つの表層からなる積層ポリ
エステルフィルムであり、芯層が可視光吸収剤を含有す
るポリエステルの層であり、2つの表層が紫外線吸収剤
を含有するポリエステルの層であり、且つ一方の表層の
厚みが他方の表層の厚みより厚い態様、および 項7)映像表示面貼合せ用である態様を包含する。
【0013】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】CRTなどの発光色の強さと光の波長の関
係では、短波長側から青色光、緑色光、赤色光の3つの
ピークが存在するが、この青色光と緑色光のピークの裾
野が重畳し、また緑色光と赤色光のピークの裾野が重畳
している。このため、青色だけあるいは緑色だけが発色
しても青色と緑色の中間色が何がしか発色し、また緑色
だけあるいは赤色だけが発色しても赤色と緑色の中間色
すなわち黄色みがかった色が何がしか発色し、これらの
中間色が、映像のコントラストを弱める原因となってい
る。
【0015】本発明の光学用積層ポリエステルフィルム
は、積層フィルムを構成する層を可視光吸収剤を含有す
るポリエステルと紫外線吸収剤を含有するポリエステル
で構成し、紫外線吸収剤と可視光吸収剤を別々に含有さ
せることで、フィルムの全波長領域に亘る光線透過率を
適量低下させ、これによって前記三原色光の重畳部分
(中間色の光)を透過させないようにしたものである。
【0016】[光線透過率]本発明の光学用積層ポリエ
ステルフィルムは、前記三原色光の重畳部分を透過させ
ないために、波長450〜650nmの範囲における光
線透過率の平均値(以下「Tav」と略称することがあ
り、「平均透過率」と略称することがある)が0.40
〜0.80の範囲にある特性を有する必要である。Ta
vが0.80を超えるとコントラストを強める効果が十
分に発現できず、0.40未満では画面全域が暗くなっ
て視認性が低下する。Tavは0.50〜0.70であ
ることが好ましい。
【0017】本発明の光学用積層ポリエステルは、前記
波長範囲における各波長における光線の透過率(Ti)
と前記波長範囲の透過率の平均値(Tav)の比(Ti
/Tav)が、0.70〜1.30の範囲にある特性を
有することが必要である。この比(Ti/Tav)の値
が0.70未満または1.30を超えると、積層フィル
ムによって透過光が着色され、発色に偏りができる。こ
の比(Ti/Tav)の上限は1.20が好ましく、
1.10が更に好ましい。他方、この比(Ti/Ta
v)の下限は0.80が好ましく、0.90が更に好ま
しい。
【0018】本発明においては、吸光度を上げる際、フ
ィルムのヘーズ値を大きくしないことが肝要であり、従
って本発明の光学用積層ポリエステルフィルムは、へー
ズ値を5%以下にすることが必要である。このヘーズ値
は3%以下が好ましく、2%以下が更に好ましい。ヘー
ズ値が5%より大きいと、映像の色相が白濁し、鮮映性
を欠いて視認性が低下する。
【0019】光学用積層ポリエステルフィルムのヘーズ
を5%以下にしつつ、Tavを0.80以下にすること
は、例えば可視光吸収剤として粒径500nm以下の顔
料または染料を用いることで達成できる。この場合の可
視光吸収剤の添加量は、光学用積層ポリエステルフィル
ムの一層の厚み方向に垂直な面に対して0.02〜0.
42g/m2の範囲であることが好ましい。
【0020】[可視光吸収剤]本発明に用いる可視光吸
収剤としては、染料および/または顔料を用いることが
できるが、染料は一般的に顔料に比べ耐侯性が劣るた
め、その使用には注意を要する。他方、耐侯性の観点か
らは顔料が好ましいが、顔料はその散乱光によりフィル
ムヘーズが増加するという二律背反の特性を有する。こ
のため顔料を用いる場合には、その粒径を小さくするこ
とによりヘーズを抑える必要がある。
【0021】本発明に用いる顔料は、フィルムを構成す
るポリエステルヘの分散性が良好であり、分散後は粒径
が小さく、均一な粒径分布をもち、各波長の吸光度を平
均的に低下させるものが好ましい。
【0022】可視光吸収剤は、顔料を用いる場合平均粒
径10〜500nmの顔料であることが好ましく、染料
を用いる場合平均粒径10〜500nmの染料であるこ
とが好ましい。
【0023】[顔料]顔料としては、ポリエステルヘの
分散性がよく、各波長の吸光度を平均的に低下させる観
点から無機顔料が好ましく、無機顔料としてはカーボン
ブラック、酸化コバルトが好ましい。
【0024】顔料の分散後の粒径は10〜500nmで
あることが好ましい。無機顔料を用いる場合の好ましい
添加量は、積層ポリエステルフィルムの一層の厚み方向
に垂直な面に対して、0.02〜0.18g/m2の範
囲である。
【0025】顔料には、有色系の顔料を適宜、色相が黒
色になるよう混合した有色顔料を使用してもよい。この
有色顔料の例としては、フタロシアニン系顔料(例え
ば、銅フタロシアニン、塩素化銅フタロシアニン、スル
ホン化フタロシアニン)、キナクリドン系顔料(例え
ば、キナクリドンピグメントバイオレッド19、2,9
−ジメチルキナクリドン、キナクリドンキノン)を挙げ
ることができる。
【0026】[染料]染料としては、ペリレン系染料
(例えば、ビオラントロン、イソビオラントロン、ペリ
レンテトラカルボン酸ジイミド等)、インダンスレンブ
ルー系染料(例えば、フラバントロン・イエロー、イン
ダンスレン・レッド5GK、インダンスレン・バイオレ
ッドBN)を挙げることができる。
【0027】染料は一般的に熱安定性および耐侯性が顔
料に比べて乏しいが、本発明においては、染料をポリエ
ステルに添加して用い、かつ大部分の紫外線が積層フィ
ルムを構成するポリエステルの他の層に添加された紫外
線吸収剤で吸収させることから、耐侯性の懸念なく該染
料を使用することができる。
【0028】染料としては、最終製品までの熱履歴を考
慮し、330℃以下の温度では変質や劣化が生じ難いも
のが好ましい。さらに染料によって選択透過性が発現す
ると、透過光に偏りができて着色するので、複数の染料
の混合物を用いて各波長の吸光度を平均的に低下させる
ことが好ましい。
【0029】染料の好ましい添加量は、積層ポリエステ
ルフィルムの一層の厚み方向に垂直な面の面積を基準と
して0.042〜0.42g/m2の範囲である。
【0030】[可視光吸収剤の配合方法]可視光吸収剤
の添加方法としては、ポリエステルを構成するグリコー
ル成分と同じグリコール、例えばエチレングリコールに
分散、溶解させ、ポリエステルの重合段階で添加しても
よいが、フィルムの生産性や異物の混入防止および工程
の簡素化といった観点から、別にフィルムへの添加濃度
よりも高濃度の可視光吸収剤を添加したポリエステルの
ペレット(マスターペレット)または可視光吸収座自体
を溶融固化したペレットを作成し、これを混合し添加す
る方法が好ましい。染料を溶融固化する際には、適宜バ
インダーを使用してもよい。添加方法としては特に限定
はないが、可視光吸収剤を溶融固化したペレットについ
ては、フィルム原料のポリエステルペレットと機械的物
性が異なるので、小型のフィーダにより供給する方法が
好ましい。フィーダによる添加量は、フィルム原料(ポ
リエステルペレット)の押出機の容量および添加量によ
って変化するが、設備上0.2〜20kg/hrが好ま
しい。ポリエステルに添加する可視光吸収剤の性質とし
ては、フィルム生産性の観点からポリエステルの押出時
に該ポリエステルの粘度低下の少ないものが好ましい。
また、溶融ポリエステルの粘度低下を抑える目的で、押
出機のせん断変形速度70(1/秒)において、滞留時
間は20〜4000秒であることが好ましい。この滞留
時間が20秒未満では染料の混練が十分でなく、色の斑
がみられ、一方4000秒を超えると粘度の低下による
フィルム切断を招きやすくなる。
【0031】[紫外線吸収剤]本発明の光学用積層フィ
ルムは、主として屋内で、例えばCRTの表面に貼り付
けて用いられることが想定されているが、長期間の使用
において窓越しの紫外線によってフィルムの劣化が進
み、可視光吸収剤も徐々に劣化退色して映像のコントラ
ストが低下する。そこで、積層ポリエステルフィルムの
反CRT側の層に紫外線吸収剤を含有させ、ポリエステ
ル及び可視光吸収剤の劣化を防止している。
【0032】本発明における紫外線吸収剤は、下記式
(I)
【0033】
【化9】 (ここで、X1は、上記式に表わされたX1からの2本の
結合手が1位、2位の位置関係にある、2価の芳香族残
基であり、nは1、2又は3であり、R1はn価の炭化
水素残基で、これは更にヘテロ原子を含有していてもよ
い、又はR1はn=2のとき直接結合であることができ
る。)および下記式(II)
【0034】
【化10】 (ここで、Aは下記式(II)−a
【0035】
【化11】 で表わされる基であるか又は下記式(II)−b
【0036】
【化12】 で表わされる基であり、R2およびR3は同一もしくは異
なる1価の炭化水素残基であり、X2は4価の芳香族残
基で、これは更にヘテロ原子を含有していてもよい。)
で表わされる環状イミノエステルから選ばれる少なくと
も1種の化合物であることが好ましい。さらに、この化
合物は未反応の形態で用いるのが好ましい。
【0037】上記の環状イミノエステルは紫外線吸収剤
として公知の化合物であり、例えば特開昭59−129
52号公報に記載されている。
【0038】前記一般式(1)中、X1は式(1)に表
わされたX1からの2本の結合手が1位、2位の位置関
係にある2価の芳香族残基であり、nは1、2又は3で
あり、R1はn価の炭化水素残基で、これは更にヘテロ
原子を含有していてもよい、又はR1はn=2のとき直
接結合であることができる。
【0039】X1としては、好ましくは1,2―フェニ
レン、1,2―ナフチレン、2,3―ナフチレン、下記
【0040】
【化13】 (式中、Rは―O―、―CO―、―S―、―SO2―、
―CH2―、―(CH2)―または―C(CH32―であ
る。)で表わされる基を挙げることができる。これらの
うち、特に1,2―フェニレンが好ましい。
【0041】X1について例示した上記芳香族残基は、
例えば炭素数1〜10のアルキル(例えばメチル、エチ
ル、プロピル、ヘキシル、デシル);炭素数6〜12の
アリール(例えばフェニル、ナフチル);炭素数5〜1
2のシクロアルキル(例えばシクロペンチル、シクロヘ
キシル):炭素数8〜20のアラルキル(例えばフェニ
ルエチル):炭素数1〜10のアルコキシ(例えばメト
キシ、エトキシ、デシルオキシ);ニトロ;ハロゲン
(例えば塩素、臭素);炭素数2〜10のアシル(例え
ばアセチル、プロポニル、ベンゾイル、デカノイル);
である置換基で置換されていてもよい。
【0042】R1はn価(ただし、nは1、2又は3で
ある)の炭化水素残基であるか、又はnが2であるとき
に限り直接結合であることができる。
【0043】1価の炭化水素残基(n=1の場合)とし
ては、第一に、例えば炭素数1〜10の未置換脂肪族
基、炭素数6〜12の未置換芳香族基、炭素数5〜12
の未置換脂環族基が挙げられる。炭素数1〜10の未置
換脂肪族基としては、例えばメチル、エチル、プロピ
ル、ヘキシル、デシルを、炭素数6〜12の未置換芳香
族基としては、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル
を、炭素数5〜12の未置換脂環族基としては、例えば
シクロペンチル、シクロヘキシルを挙げることができ
る。
【0044】また、上記1価の炭化水素残基としては、
第二に、例えば下記式(c)
【化14】 (式中、R4は炭素数2〜10のアルキレン、フェニレ
ン又はナフチレンである。)で表わされる基、下記式
(d)
【0045】
【化15】 (式中、R5は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル
基又はナフチル基である。)で表わされる基、下記式
(e)
【0046】
【化16】 (式中、R4およびR5の定義は上記に同じであり、R6
は水素原子又はR5に定義された基のいずれかであ
る。)で表される基、下記式(f)
【0047】
【化17】 (式中、R4およびR6の定義は上記に同じであり、R7
は水素原子又はR5に定義された基のいずれかであ
る。)で表わされる、置換された脂肪族残基又は芳香族
残基を挙げることができる。
【0048】また、上記1価の炭化水素残基としては、
第三に、上記未置換の芳香族残基が例えば上記X1を表
わす芳香族残基の置換基として例示したと同じ置換基で
置換されているものを挙げることができる。それ故、か
かる置換基で置換された場合の例としては、例えばニト
リル、メチルナフチル、ニトロフェニル、ニトロナフチ
ル、クロロフェニル、ベンゾイルフェニル、アセチルフ
ェニル又はアセチルナフチルを挙げることができる。
【0049】1価の炭化水素残基としては、上記式
(c)、(d)、(e)又は(f)で表わされる基、す
なわち置換された脂肪族残基又は芳香族残基、特にその
うち置換された芳香族残基が好ましい。
【0050】2価の炭化水素残基(n=2の場合)とし
ては、第一に、例えば2価の、炭素数2〜10の未置換
の脂肪族残基、炭素数6〜12の未置換の芳香族残基、
炭素数5〜12の未置換の脂環族残基が挙げられる。
【0051】2価の炭素数2〜10の未置換脂肪族基と
しては、例えばエチレン、トリメチレン、テトラメチレ
ン、デカメチレンを、2価の炭素数6〜12の未置換芳
香族残基としては、例えばフェニレン、ナフチレン、
P,P’―ビフェニレンを、2価の炭素数5〜12の未
置換脂環族残基としては、例えばシクロペンチレン、シ
クロヘキシレンを挙げることができる。
【0052】上記2価の炭化水素残基としては、第二
に、例えば下記式(g)
【0053】
【化18】 (式中、R8はR4に定義された基のいずれかである。)
で表わされる基、又は下記式(h)
【0054】
【化19】 (式中、R8の定義は上記に同じであり、R9はR4に定
義された基のいずれかであり、そしてR10はR6に定義
された基のいずれかである。)で表わされる、置換され
た脂肪族残基又は芳香族残基を挙げることができる。
【0055】また、上記2価の炭化水素残基としては、
第三に、上記未置換の2価の芳香族残基が、例えば上記
1を表わす芳香族基の置換基として例示したと同じ置
換基で置換されているものを挙げることができる。
【0056】nが2の場合には、R1としては、これら
のうち直接結合又は上記第一〜第三の群の未置換又は置
換された2価の芳香族炭化水素残基が好ましく、特に2
本の結合手が最も離れた位置から出ている第一又は第三
の群の未置換又は置換された芳香族炭化水素残基が好ま
しく、就中P―フェニレン、P,P’―ビフェニレン又
は2,6―ナフチレンが好ましい。3価の炭化水素残基
(n=3の場合)としては、例えば3価の炭素数6〜1
2の芳香族残基を挙げることができる。
【0057】かかる芳香族残基としては、例えば
【0058】
【化20】 を挙げることができる。かかる芳香族残基は、上記1価
の芳香族残基の置換基として例示したと同じ置換基で置
換されていてもよい。
【0059】上記一般式(1)中、R2およびR3は同一
もしくは異なる1価の炭化水素残基であり、X2は4価
の芳香族炭化水素残基である。R2およびR3としては、
上記式(1)の説明において、n=1の場合のR1につ
いて例示したと同じ基を例として挙げることができる。
【0060】4価の芳香族炭化水素残基としては、例え
【0061】
【化21】 (ここで、Rの定義は式(a)に同じ。)で表わされる
基を挙げることができる。
【0062】上記4価の芳香族残基は、上記式(1)の
説明において、R1を表わす1価の芳香族残基の置換基
として例示したと同じ置換基で置換されていてもよい。
【0063】本発明において用いられる上記式(1)お
よび(2)で表わされる環状イミノエステルの具体例と
しては、例えば下記の化合物を挙げることができる。上記式(1)の化合物 n=1の場合の化合物 2―メチル―3,1―ベンゾオキサジン―4―オン、2
―ブチル―3,1―ベンゾオキサジン―4―オン、2―
フェニル―3,1―ベンゾオキサジン―4―オン、2―
(1―又は2―ナフチル)―3,1―ベンゾオキサジン
―4―オン、2―(4―ビフェニル)―3,1―ベンゾ
オキサジン―4―オン、2―p―ニトロフェニル―3,
1―ベンゾオキサジン―4―オン、2―m―ニトロフェ
ニル―3,1―ベンゾオキサジン―4―オン、2―p―
ベンゾイルフェニル―3,1―ベンゾオキサジン―4―
オン、2―p―メトキシフェニル―3,1―ベンゾオキ
サジン―4―オン、2−o―メトキシフェニル―3,1
―ベンゾオキサジン―4―オン、2―シクロヘキシル―
3,1―ベンゾオキサジン―4―オン、2−p―(又は
m―)フタルイミドフェニル―3,1―ベンゾオキサジ
ン―4―オン、N―フェニル―4―(3,1―ベンゾオ
キサジン―4―オン―2―イル)フタルイミド、N―ベ
ンゾイル―4―(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン
―2―イル)アニリン、N―ベンゾイル―N―メチル―
4―(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン―2―イ
ル)アニリン、2―(p―(N―メチルカルボニル)フ
ェニル)―3,1―ベンゾオキサジン―4―オン。n=2の場合の化合物 2,2’―ビス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オ
ン)、2,2’―エチレンビス(3,1―ベンゾオキサ
ジン―4―オン)、2,2’―テトラメチレンビス
(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、2,2’―
デカメチレンビス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オ
ン)、2,2’―p―フェニレンビス(3,1―ベンゾ
オキサジン―4―オン)、2,2’―m―フェニレンビ
ス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、2,2’
―(4,4’―ジフェニレン)ビス(3,1―ベンゾオ
キサジン―4―オン)、2,2’―(2,6―又は1,
5―ナフチレン)ビス(3,1―ベンゾオキサジン―4
―オン)、2,2’―(2―メチル―p―フェニレン)
ビス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、2,
2’―(2―ニトロ―p―フェニレン)ビス(3,1―
ベンゾオキサジン―4―オン)、2,2’―(2―クロ
ロ―p―フェニレン)ビス(3,1―ベンゾオキサジン
―4―オン)、2,2’―(1,4―シクロヘキシレ
ン)ビス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、N
―p―(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン―2―イ
ル)フェニル、4―(3,1―ベンゾオキサジン―4―
オン―2―イル)フタルイミド、N―p―(3,1―ベ
ンゾオキサジン―4―オン―2―イル)ベンゾイル、4
―(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン―2―イル)
アニリン。n=3の場合の化合物 1,3,5―トリ(3,1―ベンゾオキサジン―4―オ
ン―2―イル)ベンゼン、1,3,5―トリ(3,1―
ベンゾオキサジン―4―オン―2―イル)ナフタレン、
2,4,6―トリ(3,1―ペンゾオキサジン―4―オ
ン―2―イル)ナフタレン。上記式(2)の化合物 2,8―ジメチル―4H,6H―ベンゾ(1,2―d;
5,4―d’)ビス(1,3)―オキサジン―4,6―
ジオン、2,7―ジメチル―4H,9H―ベンゾ(1,
2―d;4,5―d’)ビス(1,3)―オキサジン―
4,9―ジオン、2,8―ジフェニル―4H,8H―ベ
ンゾ(1,2―d;5,4―d’)ビス(1,3)―オ
キサジン―4,6―ジオン、2,7―ジフェニル―4
H,9H―ベンゾ(1,2―d;4,5―d’)ビス
(1,3)―オキサジン―4,6―ジオン、6,6’―
ビス(2―メチル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―
4―オン)、6,6’―ビス(2―エチル―4H,3,
1―ベンゾオキサジン―4―オン)、6,6’―ビス
(2―フェニル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4
―オン)、6,6’―メチレンビス(2―メチル―4
H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、6,6’
―メチレンビス(2―フェニル―4H,3,1―ベンゾ
オキサジン―4―オン)、6,6’―エチレンビス(2
―メチル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オ
ン)、6,6’―エチレンビス(2―フェニル―4H,
3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、6,6’―ブ
チレンビス(2―メチル―4H,3,1―ベンゾオキサ
ジン―4―オン)、6,6’―ブチレンビス(2―フェ
ニル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、
6,6’―オキシビス(2―メチル―4H,3,1―ベ
ンゾオキサジン―4―オン)、6,6’―オキシビス
(2―フェニル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4
―オン)、6,6’―スルホニルビス(2―メチル―4
H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、6,6’
―スルホニルビス(2―フェニル―4H,3,1―ベン
ゾオキサジン―4―オン)、6,6’―カルボニルビス
(2―メチル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―
オン)、6,6’―カルボニルビス(2―フェニル―4
H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、7,7’
―メチレンビス(2―メチル―4H,3,1―ベンゾオ
キサジン―4―オン’)、7,7’―メチレンビス(2
―フェニル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オ
ン)、7,7’―ビス(2―メチル―4H,3,1―ベ
ンゾオキサジン―4―オン)、7,7’―エチレンビス
(2―メチル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―
オン)、7,7’―オキシビス(2―メチル―4H,
3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、7,7’―ス
ルホニルビス(2―メチル―4H,3,1―ベンゾオキ
サジン―4―オン)、7,7’―カルボニルビス(2―
メチル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オ
ン)、6,7’―ビス(2―メチル―4H,3,1―ベ
ンゾオキサジン―4―オン)、6,7’―ビス(2―フ
ェニル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オ
ン)、6,7’―メチレンビス(2―メチル―4H,
3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、6,7’―メ
チレンビス(2―フェニル―4H,3,1―ベンゾオキ
サジン―4―オン)。
【0064】上記化合物のうち、上記式(I)の化合
物、より好ましくはn=2の場合の上記式(I)の化合
物、特に好ましくは下記式(I)−1
【0065】
【化22】 (式中、R11は2価の芳香族炭化水素残基である。)で
表わされる化合物が有利に用いられる。
【0066】式(I)−1の化合物としては、就中2,
2’―p―フェニレンビス(3,1―ベンゾオキサジン
―4―オン)、2,2’―(4,4’―ジフェニレン)
ビス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)および
2,2’―(2,6―ナフチレン)ビス(3,1―ベン
ゾオキサジン―4―オン)が好ましい。
【0067】これら環状イミノエステルの紫外線吸収特
性は、例えばその代表的化合物について特開昭59−1
2952号公報に記載されているので、それを援用す
る。
【0068】前記環状イミノエステルは、ポリエステル
に対して優れた相溶性を有するが、前記特開昭59−1
2952号公報や米国特許第4291152号明細書に
記載されているように、ポリエステルの末端水酸基と反
応する能力を有する。そこで、環状イミノエステルが実
質的に未反応な状態で含有されるように、環状イミノエ
ステルとポリエステルとを注意深く混合させることが求
められる。ただし、ポリエステルとして、主たる割合の
末端基がカルボキシル基であるポリエステルや、末端水
酸基が該環状イミノエステルと反応性の無い末端封鎖剤
で封鎖されているポリエステルを用いる場合、環状イミ
ノエステルを未反応の状態で含有する組成物を製造する
のに特別の注意を払う必要は無い。末端基の主たる割合
が水酸基であるポリエステルを用いる場合には、溶融混
合の時間は、下記式
【0069】
【数1】 及び
【0070】
【数2】 (式において、tは溶融混合時間(秒)、Tは溶融混合
温度(℃)及びTmはポリエステルの溶融温度(℃)で
ある。)を満足するように、短時間で完了するようにす
るのが望ましい。この場合、環状イミノエステルとポリ
エステルとが少しの割合で反応する可能性があるが、こ
の反応によってポリエステルの分子量は大きくなるの
で、この割合によっては可視光吸収剤によるポリエステ
ルの劣化による分子量低下を防ぐことが可能である。な
お、環状イミノエステルがポリエステルと反応した場
合、紫外線吸収波長領域が、一般に、未反応の状態の紫
外線吸収波長領域より低波長側にずれる傾向を示し、そ
れ故高波長側の紫外線を透過する傾向をもつ。
【0071】前記環状イミノエステルは、適量を添加す
る場合、昇華物が殆どないので、製膜でダイ周辺を汚す
ことが少なく、紫外線から380nm付近の光線を吸収
するのでフィルムの着色が無く、可視光線吸収剤やフィ
ルムの劣化を防止する特性に優れている。
【0072】紫外線吸収剤の添加量は、ポリエステルに
対し、0.1〜5重量%が好ましく、さらには0.2〜
3重量%が好ましい。この量が0.1%未満では紫外線
劣化防止効果が小さく、一方5重量%を超えるとポリエ
ステルの製膜特性が低下し、好ましくない。該紫外線吸
収剤の添加は、ポリエステルの重合時、または溶融押出
し時が好ましい。
【0073】[ポリエステル]本発明の光学用積層ポリ
エステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二
塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまた
はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和
ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例とし
て、ポリエチレンテレフタレート、ボリエチレンイソフ
タレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリ(1,4―シクロヘキシレンジ
メチレンテレフタレート)、ポリエチレン―2,6―ナ
フタレンジカルボキシレートが例示でき、これらの共重
合あるいはブレンドしたものも含まれる。これらの中で
も、ポリエステルの重量を基準として、70重量%以
上、さらには80重量%以上がエチレンテレフタレート
またはエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレー
トの繰返し単位からなるものが好ましく、特に二軸配向
フィルムとした際の加工性や透明性からエチレンテレフ
タレートを主たる繰返し単位とするポリエチレンテレフ
タレートが好ましい。
【0074】前記ポリエチレンテレフタレートヘの共重
合成分は、ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、フ
タル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族
ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸;シ
クロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸が
例示でき、ジオール成分としては1,4―ブタンジオー
ル、1,6―ヘキサンジオール、ジエチレングリコール
の如き脂肪族ジオール;1,4―シクロヘキサンジメタ
ノールの如き脂環族ジオール;ビスフェノールAの如き
芳香族ジオールが例示できる。これらの共重合成分は単
独でも2種以上併用しても良い。これらの共重合成分の
うち、加工性や透明性などの観点からイソフタル酸が特
に好ましい。共重合成分の割合は、その種類にもよる
が、結果としてポリマー融点が230℃以上になる割合
であることが好ましい。この融点が230℃未満では耐
熱性や機械的強度が劣ることがある。このようなポリエ
ステルとしては、例えばエチレンテレフタレートを主た
る繰返し単位とし、共重合成分をイソフタル酸とする場
合、酸成分のモル数を基準としてイソフタル酸の割合を
12mo1%以下にすればよい。
【0075】ここで、ポリエステルの融点測定は、Du
Pont Instruments910 DSCを用
い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法によ
る。なお、サンプル量は20mgとする。
【0076】本発明の光学用積層ポリエステルフィルム
を構成するポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェ
ノール、35℃)は0.52〜1.50であることが好
ましく、さらに好ましくは0.57〜1.00、特に好
ましくは0.60〜0.80である。この固有粘度が
0.52未満の場合には製膜性が不良であることがあ
り、好ましくない。他方、固有粘度が1.50を超える
と、成形加工性が損なわれたり、押出機に過負荷をかけ
たり、さらには樹脂温度の過上昇によって固有粘度が著
しく低下する場合があるので好ましくない。
【0077】前記ポリエステルは、それ自体公知の方法
によって製造できる。例えば、テレフタル酸とエチレン
グリコール、要すれば共重合成分(例えばイソフタル
酸)をエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物
を目的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエ
ステルとする方法、またはテレフタル酸ジメチルエステ
ルとエチレングリコール、要すれば共重合成分(例えば
イソフタル酸又はそのジメチルエステル)をエステル交
換反応させ、次いで得られた反応生成物を目的とする重
合度になるまで重縮合反応させてポリエステルとする方
法を好ましく挙げることができる。勿論、要すれば、主
たる酸成分に2,6―ナフタレンジカルボン酸を、また
主たるグリコール成分に1,4―シクロヘキサンジメタ
ノールを用いることができる。上記の方法(溶融重合)
により得られたポリエステルは、必要に応じて固相状態
での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高い
ポリマーとすることができる。
【0078】本発明においては、前記ポリエステルの製
造過程またはその後のダイより押出すまでの過程で、必
要に応じて、例えば酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整
剤、色相改良剤、滑剤、帯電防止剤である添加剤をポリ
エステルに加えることができる。
【0079】滑剤としては、フィルム表面を粗面化する
粗面化物質(フィラー)が好適である。このフィラーと
しては、従来からポリエステルフィルムの滑り性付与剤
として知られているものが挙げられ、例えば、炭酸カル
シウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリ
ン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪
素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン
粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子が好
ましく挙げられる。これらの中でも、透明性を保持しな
がら滑り性が得易いことから、多孔質シリカが好まし
い。滑材、特に多孔質シリカの平均粒径は1〜3μmで
あることが好ましい。滑剤の添加量は透明性と滑り性の
観点から、0.01〜0.005重量%であることが好
ましい。
【0080】前記の添加剤は、予め高濃度に含有させた
マスターポリマーを作成し、製膜時に適量混合してもよ
い。
【0081】また、透明性と滑り性を両立させるため、
表層に粒子を添加し、中層(3層の場合)には粒子を添
加しないか添加しても微量にとどめるのが好ましい。
【0082】[製膜法]本発明の光学用積層ポリエステ
ルフィルムは、それ自体公知の製膜方法、すなわち、紫
外線吸収剤含有ポリエステルと可視光吸収剤含有ポリエ
ステルをそれぞれ別の押出機で溶融状態にしてから2層
または3層のダイより積層押出して、未延伸フィルムと
し、これを縦、横方向に同時又は逐次に延伸、熱処理す
ることにより二軸配向された積層ポリエステルフィルム
とする方法で製造することができる。要すれば、製膜工
程で機能性塗膜を塗設することができる。
【0083】本発明の光学用積層ポリエステルフィルム
の厚みは、万一CRTが爆縮した場合にガラスの飛散を
抑制できやすいことから、50μm以上であることが好
ましい。また、該積層フィルムの厚みの上限は、へーズ
値を5%以下に保つことやフィルムの生産性から、25
0μmとするのが好ましい。各層の配分は特に制約は無
いが、表層にあって内部を保護すべき紫外線吸収剤含有
ポリエステル層は20μm以上あることが好ましい。3
層の場合は両表層に紫外線吸収剤含有ポリエステルを配
するが、CRT側の紫外線吸収剤は殆ど役割を果たさ
ず、吸光剤である色素が製膜工程を汚染するのを防止す
る役割と、該層に含有する粒子により、滑り性の確保を
担うものである。従ってCRT側の層厚は例えば2〜1
0μmあればよい。
【0084】[易滑易接層]本発明の光学用積層ポリエ
ステルフィルムは、その少なくとも片面にさらに易滑易
接着層を設けることが好ましい。そして、該易滑易接着
層は、水性ポリエステル樹脂と脂肪酸アミド及び/又は
脂肪酸ビスアミドを主成分とする組成物からなることが
好ましい。前記易滑易接着層を形成する水性ポリエステ
ル樹脂としては、ガラス転移点(Tg)が40〜85
℃、さらには45〜80℃のものが好ましい。水性ポリ
エステル樹脂のガラス転移点(Tg)が40℃未満の場
合、得られたフィルムは耐熱性が低くなり、耐ブロッキ
ング性が低下し易く好ましくない。他方、水性ポリエス
テル樹脂のTgが85℃を超えると、接着性の向上効果
が乏しくなり好ましくない。
【0085】ここでいう水性ポリエステル樹脂とは、水
に可溶性又は分散性のポリエステル樹脂である。具体的
には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6
―ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル
酸、4,4’―ジフェニルジカルボン酸、フェニルイン
ダンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、5―Na
スルホイソフタル酸、トリメリット酸、ジメチロールプ
ロピオン酸などのジカルボン酸成分とエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,4―ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、
1,4―シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ト
リメチロールプロパン、ビスフェノールAのアルキレン
オキシド付加物等のヒドロキシ化合物成分とから製造さ
れるポリエステル樹脂を挙げることができる。水性ポリ
エステル樹脂は、さらに水との親和性を付与することが
必要な場合、ポリエステル中にSO3Na基やCOON
a基を導入してもよく、またポリエーテル成分を導入す
ることもできる。
【0086】易滑易接着層を構成する脂肪酸アミドまた
は脂肪酸ビスアミドは、それぞれR 1CONH2またはR
1CONHR3NHOCR2で表される化合物であり、R1
CO―及びR2CO―は脂肪酸残基、―NHR3NH―は
ジアミン残基である。この脂肪酸としては炭素数6〜2
2の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、またこのジアミ
ンとしては炭素数1〜15のジアミン、特にアルキレン
ジアミンが好ましい。また、ビスアミドとしては、炭素
数が13〜15で分子量が200〜800のN,N’―
アルキレンビスアミドが好ましい。更に具体的には、
N,N’―メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’
―エチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’―メチレ
ンビスラウリン酸アミド、リノール酸アミド、カプリル
酸アミド、ステアリン酸アミドを例示することができ、
これらのうち、特に下記式で示されるビスアミドが好ま
しい。
【0087】
【化23】 (但し、RCO―は脂肪酸残基を示し、nは1又は2で
ある。) これらの脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸ビスアミドは、
塗膜を形成する組成物中に、3〜10重量%含まれてい
ることが好ましい。脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸ビス
アミドの含有量が少なすぎると、十分な接着力が得られ
ず、滑り性、耐ブロッキング性が低下する傾向があり、
逆に多すぎると、フィルムと塗膜との密着性が低下した
り、塗膜とガラス用接着剤との接着性が低下したり、塗
膜の脆化を招いたりすると共にヘーズ値が高くなりやす
いことから好ましくない。
【0088】本発明において易滑易接着層を設ける場
合、易滑易接着層は、摩擦係数が0.8以下であること
が好ましく、更に0.6以下であることが好ましい。こ
の易滑易接着層の摩擦係数が0.8を超えると、巻取り
性や加工作業性が悪く、円滑な製膜と加工ができないの
で好ましくない。
【0089】このような摩擦係数の易滑易接着層を形成
する手段としては、易滑易接着層の塗膜中に平均粒径が
0.15μm以下、特に0.01〜0.1μmの粗面化
物質を含有させることが挙げられる。該粗面化物質の具
体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸
化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ
素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化
ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三
酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン
等の無機微粒子、アクリル系架橋重合体、スチレン系架
橋重合体、架橋シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグ
アナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエ
チレンワックス等の有機微粒子などを例示することがで
きる。これらのうち、水不溶性の粒子としては、水分散
液中で沈降するのを避けるため、比重が3を超えない超
微粒子を用いるのが好ましい。これらの粗面化物質は、
塗膜表面を粗面化すると共に、微粉末自体による塗膜の
補強作用があり、さらには塗膜への耐ブロッキング性付
与作用、積層フィルムへの滑り性付与作用を奏する。粗
面化物質の好ましい添加量は、塗膜を形成する組成物中
に、5〜30重量%である。特に、平均粒径が0.1μ
m以上の比較的大きな粒子を用いるときは5〜10重量
%範囲から、また平均粒径が0.01〜0.1μmの粒
子を用いるときには8〜30重量%の範囲内から選定す
るのが好ましい。これら粗面化物質の塗膜中の含有量が
多くなり過ぎると、得られる積層フィルムのヘーズ値が
3%を超え、透明性が悪化するので注意を要する。
【0090】また、粗面化物質を添加した易滑易接着層
の中心線表面粗さ(Ra)は2〜10nmであることが
好ましい。Raが2nm未満であると、前述の摩擦係数
を達成し難く、塗膜付きフィルムの巻取り時に滑り性不
足のため巻き姿が悪くなって、以後の作業に支障をきた
すので好ましくない。他方、易滑易接着層のRaが10
nmを超えると透明性が悪化して、へーズ値が5%を超
えやすくなり好ましくない。
【0091】易滑易接着層は、前述の水性ポリエステル
観脂と脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸ビスアミドからな
る組成物の水溶液、水分散液或いは乳化液を、ロールコ
ート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプ
レーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテ
ンコート法などによって好ましく形成できる。また、塗
膜を形成するために、必要に応じて、前記水性ポリエス
テル樹脂以外の他の樹脂、帯電防止剤、界面活性剤、紫
外線吸収剤などを添加することもできる。塗布液の塗布
は、任意の段階で行なうことができるが、積層フィルム
の製膜過程で行なうのが好ましく、特に積層フィルムの
配向結晶化が完了するまでの段階で塗布するのが好まし
い。ここで、結晶配向が完了するまでの段階とは、未延
伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何
れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦
方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたも
の(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結
晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)などを含む
ものである。これらのなかでも、一方向に配向せしめた
一軸延伸フィルムに上記組成物の塗布液を塗布し、その
まま横延伸と熱固定とを施すのが好ましく、このように
して得られた易滑易接着層はベースフィルムの積層ポリ
エステルフィルムと強固な接合力が発現する。前記塗膜
は必要に応じて、フィルムの片面のみに形成してもよい
し、両面に形成してもよく、塗布液の塗布量は、塗膜の
厚さが70〜100nmの範囲であることが好ましく、
75〜95nmの範囲となるような量であるのがより好
ましい。塗膜の厚さが70nm未満であると、接着力が
不足し、逆に厚過ぎて100nmを超えると、ブロッキ
ングを生じることがあり、へーズ値が高くなる可能性が
あり好ましくない。
【0092】また、塗布液をフィルムに塗布する際に
は、塗布性を向上させるための予備処理として塗布面に
あらかじめコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等
の物理処理を施すか、あるいは塗膜組成物と共にこれと
化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好まし
い。この界面活性剤は、ポリエステルフィルムヘの水性
塗液の濡れを促進するものであり、例えば、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ン―脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリ
セリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸
塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩
等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることが
できる。
【0093】ところで、前記塗液は、原料中の不純物な
どの存在によって、イオン性の低分子化合物が混在する
ことがある。ここでいうイオン性の低分子化合物は、S
3X、―COOX、―PO4X、―NO―X(式中のX
はアルカリ金属またはアンモニウム基を表す)などで表
される分子量1000以下のイオン性官能基を有する物
質である。該イオン性の低分子化合物が易滑易接着層中
に1000ppmを超えて存在すると、前述の塗液を積
層フィルムに塗工するに際し、塗液の積層フィルムに対
する濡れ性が低下し、一定した厚みの塗膜が得られなく
なる上に、接着剤に対する接着性が低下しやすくなる。
該イオン性低分子化合物の検出はフィルム面に塗膜を形
成した後、その塗膜面をXPS(X線光電子分光)によ
り表面分析する。
【0094】本発明において、易滑易接着層を設けた場
合の光学用積層ポリエステルフィルムは、易滑易接着層
を裏面(両面塗布の場合は任意の片面)とするとき、積
層ポリエステルフィルムの側から可視光領域の光を、面
に対して45度の角度で入射したときの易滑易接着層と
積層ポリエステルフィルムとの界面における反射率(以
下、裏面反射率と称することがある)が0.4%以下で
あることが好ましい。この裏面反射率が0.4%を超え
ると、表面反射への影響が無視できなくなり、光学用フ
ィルムとしてディスプレイの防眩フィルムに用いた場
合、外来光の反射が表面反射と裏面反射の干渉で虹模様
となって目障りになり、視認性を損ない易く好ましくな
い。
【0095】前記裏面反射率を0.4%以下にするに
は、塗膜の厚み方向における屈折率(nz)を1.50
〜1.60にすることが好ましい。この屈折率(nz)
が上記範囲を逸脱すると、可視光領域の裏面反射が0.
4%を超え易くなる。一方、屈折率がこの範囲を超える
と、裏面反射の影響が顕在化し、後述の反射防止層を設
ける場合に反射防止が困難になるという不都合が生じる
場合もあり好ましくない。このようにして得られた易滑
易接着性フィルムは、表面の滑り性および接着性に優れ
ながらも、色相のコントラストが明確で、且つ透明性に
優れている。
【0096】[適用]本発明における光学用積層ポリエ
ステルフィルムは、CRTなどのディスプレイに貼り合
わせて使用する上で、両面に易滑易接着層が形成された
前述の易滑易接着性フィルムの片面に粘着剤層を、他方
の面にハードコート層を積層して用いる。これによって
光学用積層ポリエステルフィルムの耐擦傷性が向上す
る。前記ハードコート層の材料としては、電離放射線硬
化型樹脂、熱硬化型樹脂、縮合硬化型シラン化合物な
ど、実用に耐え得る硬度を発現するものなら特に限定は
されない。これらのうち、積層ポリエステルフィルムに
対して、膜形成作業が容易で且つ鉛筆硬度を所望の値に
容易に高めやすい電離放射線硬化型樹脂、特に紫外線硬
化型樹脂が好ましい。
【0097】さらに、ハードコート層の上に更に反射防
止層を形成するのが好ましい。この反射防止層として
は、屈折率の異なる複数の層を交互に積層したもの、例
えばゾルゲル法ウェットコートによる2層反射防止層、
スパッタリングによる3層反射防止層、コストと性能の
兼ね合いから両者の組合せなどが好ましく挙げられる。
さらには、低屈折率層と高屈折率層を、さらには中屈折
率層を積層したものが好ましい。この反射防止層によっ
て、本発明の光学用積層ポリエステルフィルムはディス
プレイの視認性を妨げる外来光の反射を抑制できる。
【0098】本発明の光学用積層ポリエステルフィルム
は、ハードコート層を形成した側とは反対側の面に、粘
着剤層を積層して用いるのが通常であるが、この粘着剤
の積層の場合もフィルムとの接着性を向上させるため
に、易滑易接着層を介して積層するのが好ましい。前記
粘着剤層としては、再剥離性があり、剥離時に糊残りが
ないこと、高温、高湿下での強制老化試験で剥がれや泡
の発生がないものが好ましい。このような特性を有する
粘着剤としては、例えばアクリル系、ゴム系、ポリビニ
ルエーテル系、シリコーン系から適宜選択使用できる
が、最も好ましいのはアクリル系粘着剤である。粘着剤
は、有機溶剤溶液とし、ロールコーター、リバースコー
ター、コンマコーター、リップコーター、ダイコーター
等の塗工機により積層フィルムに塗布される。
【0099】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0100】なお、実施例中の各特性値は以下の方法に
より評価した。
【0101】(1)ヘーズ値 日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH―20)を使
用してヘーズ値を測定する。へーズ値は次の基準で評価
する。 AA:へーズ値≦2.0% ……へーズ値極め
て良好 A: 2.0%<へーズ値≦3.0%……へーズ値良好 B: 3.0%<へーズ値≦5.0%……へーズ値やや
良好 C: 5.0%<へーズ値 ……へーズ値不良
【0102】(2)平均透過率 (株)島津製作所製分光光度計MPC3100を用い、
波長450〜650nmの範囲の可視光線の透過率を測
定する。 AA:波長450〜650nmの平均透過率(Tav)
が0.50以上0.70以下 A: 波長450〜650nmの平均透過率(Tav)
が0.40以上0.50未満、または0.70超0.8
0以下 B: 波長400〜750nmの平均吸光度(Aav)
が0.40未満または0.80超
【0103】(3)各波長における透過率 上記平均透過率の測定法に準じ、波長450〜650n
mの各波長iにおける透過率(Ti)を測定する。得ら
れる結果を下記の方法で評価する。 AA:0.8≦Ti/Tav≦1.2の範囲 A: 0.7≦Ti/Tav<0.8または1.2<T
i/Tav≦1.3の範囲 B: Ti/Tav<0.7またはTi/Tav>1.
3の範囲
【0104】(4)コントラスト 試験用CRTに対し、上方45°より30W蛍光灯で照
らし、正反射光が直接入射しないほぼ水平より上方30
°で画面上の最高輝度、最低輝度を輝度計(ミノルタ
製)により測定し、コントラスト1(最高輝度/最低輝
度)を求める。次に供試サンプルをCRTに粘着剤で貼
付し、再度、最高輝度、最低輝度を測定し、コントラス
ト2を求める。そして、(コントラスト2/コントラス
ト1)×100(%)(=CR)の値から、次の区分で
評価する。 AA:CRの値が120(%)以上 A: CRの値が100(%)以上120(%)未満 B: CRの値が100(%)未満
【0105】(5)彩度 標準光源Aに対する供試フィルムの透過スペクトルから
JISZ8729に準じてL*a*b*表色系における
L*、a*およびb*を求める。下記式より求められる
abクロマ(C*ab)で無彩色との彩度のずれを評価
する。
【0106】
【数3】C*ab={(a*)2+(b*)21/2 AA:C*abが5未満、極めて優れている A: C*abが5以上10末満、実用可 B: C*abが10以上、実用不可
【0107】(6)裏面反射率 積層ポリエステルフィルムの易滑易接着層の面を裏面
(両面塗布の場合は任意の片面)とするとき、フィルム
表面から45°の角度で点光源を照射し、主反射からd
/0.707(dはフィルム厚み)だけ離れた反射光を
裏面反射とし、これを点光源の光量で割ったものを反射
率とする。これを次の基準で評価する。 A: 裏面反射率が0.4%以下 B: 裏面反射率が0.4%超
【0108】(7)接着力 a.対接着剤 積層フィルムの易滑易接着層の面に厚さ10μmのアク
リル系粘着剤を塗設する。60℃、80%RHの恒温恒
湿槽中に24時間経時後、エポキシ樹脂系接着剤で貼合
せ、引き剥がし試験により、以下の基準で評価する。 AA:基材フィルムが破断する程度に接着力が強い A: 剥離するが、実用性はある B: たやすく剥離し、実用性無し b.対ハードコート層 フィルムの易滑易接着層の面に厚さ5μmのハードコー
ト層を形成して碁盤目のクロスカット(1mmのマス目
を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテ
ープ(ニチバン社製)を貼り付け、180度の剥離角度
で急激に剥がした後、剥離面を観察し、以下の基準で評
価する。 AA:剥離面積が10%未満 ……接着力極め
て良好 A: 剥離面積が10%以上20%未満……接着力良好 B: 剥離面積が20%以上30%未満……接着力やや
良好 C: 剥離面積が30%以上40%未満……接着力不良 D: 剥離面積が40%を超えるもの ……接着力極め
て不良
【0109】(8)イオン性低分子化合物の量 フィルムの易滑易接着層の面をXPS(X線光電子分
光)により表面分析する。その結果により、以下のよう
に評価する。 A: イオン性低分子化合物の含有量が1,000pp
m以下 B: イオン性低分子化合物の含有量が1,000pp
mを超える
【0110】(9)フィルム/フィルム摩擦係数 表面と裏面を重ね合せた2枚のサンプルフィルムの下側
に固定したガラスを置き、重ね合せたフィルムの下側
(ガラス板と接しているフィルム)のフィルムを定速ロ
ールにて引取り(10cm/分)、上側のフィルムの一
端(下側フィルムの引取り方向と逆端)に検出機を固定
してフィルム/フィルム間の引張力(F:kg)を検出
する。なお、その時に用いる上側のフィルムの上に載せ
てあるスレッドは下側面積が50cm2(80mm×6
2.5mm)であり、フィルムに接する面は硬度80°
のネオプレンゴムであり、その重さ(W)は1.2kg
とする。静摩擦係数(μs)は以下の式で算出される。
【0111】
【数4】μs=F/W 但し、Fはフィルムが滑り始める直前の値である。
【0112】(10)易接着層の厚み方向の屈折率 アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線を光源として測
定する。なお、マウント液にはヨウ化メチレンを用い、
測定雰囲気は25℃、65%RHとする。
【0113】(11)フィルムの表面反射特性 発光していない試験用CRTに700lxの外光を照射
し、反射輝度1を輝度計(ミノルタ製)によって測定す
る。次に、サンプルフィルムをCRTに粘着剤で貼付
し、再度反射輝度2を測定する。(反射輝度2/反射輝
度1)×100(%)の値を次の区分で評価する。 AA:(反射輝度2/反射輝度1)×100(%)が2
0(%)未満 A: (反射輝度2/反射輝度1)×100(%)が2
0(%)以上30(%)未満 B: (反射輝度2/反射輝度1)×100(%)が3
0(%)以上40(%)未満 C: (反射輝度2/反射輝度1)×100(%)が4
0(%)以上
【0114】(12)耐摩耗性 スチールウール#000を角型パッド(面積6.25c
2)に装着し、往復式摩粍試験機によるサンプルの摩
耗試験(荷重1kg,50回往復)前後のヘーズ値の差
(△ヘーズ)から以下のように評価する。 △ヘーズ=(摩耗試験後のへ一ズ値)−(摩耗試験前の
ヘーズ値) A: △ヘーズが10未満 B: △ヘーズが10以上20未満 C: △ヘーズが20超
【0115】(13)耐光劣化性 東洋精機(株)製キセノンウエザメータ(ウインドグラ
スフィルタ使用)を使用し、サンプルフィルムに300
〜800nmの波長の光線を放射照度765W/m2
100時間照射し、照射前後の標準C光源の下での三刺
激値(視感透過率を含む)、Lab(色度座標)、YI
(黄変度)を色差計(日本電色工業社製SZS―Σ9
0)を用いて測定し、次の基準で評価する。 A: 視感度透過率の変化が3%以内で且つ黄変度4以
内 B: 視感度透過率の変化が3%を超えるか及び/又は
黄変度4超 [実施例1]平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.
007重量%、下記化学式
【0116】
【化24】 の構造を持つ紫外線吸収剤を1.0重量%含有させたポ
リエチレンテレフタレート(以下PETと略称すること
がある。固有粘度[η]:0.65)を押出機で溶融状
態とし、3層ダイへ送出する。大日精化工業(株)製カ
ーボンブラック顔料を0.06重量%含有させたPET
(固有粘度[η]:0.65)を別の押出機で溶融状態
とし、前記3層ダイで前記紫外線吸収剤含有PETと積
層して中層となるようにして押出し、溶融物を常法によ
り冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとした。続い
て、該未延伸フィルムを一旦巻き取ることなく、90℃
に加熱した状態で縦方向に3.5倍延伸し、95℃に加
熱した状態で横方向に3.8倍延伸した後、230℃で
緊張熱処理して、厚み75μm、表層の紫外線吸収剤を
含有する層が30μm及び5μm、中層が40μmの二
軸配向された積層ポリエステルフィルムを得た。得られ
た光学用積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示
す。
【0117】[実施例2]積層ポリエステルフィルムの
厚みを200μmに変更し、且つ可視光吸収剤およびそ
の添加量を日本化薬(株)製Kayaset Blac
k AN(染料)0.04重量%に変更し、延伸倍率を
縦3.3倍、横3.5倍に変更し、各層厚みを55μ
m、140μm、5μmとする以外は実施例1と同じよ
うに行なった。得られた光学用積層ポリエステルフィル
ムの特性を表1に示す。
【0118】[実施例3]平均粒径1.7μmの多孔質シ
リカを0.007重量%、下記化学式
【0119】
【化25】 の構造を持つ紫外線吸収剤を1.0重量%含有させた固
有粘度0.65のポリエチレン―2,6―ナフタレート
(以下PENと略称することがある、固有粘度[η]:
0.65)を押出機で溶融状態とし、2層ダイへ送出し
た。大日精化工業(株)製カーボンブラック顔料を0.
06重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.
007重量%含有させたPEN(固有粘度[η]:0.
65)を別の押出機で溶融状態とし、前記2層ダイで前
記紫外線吸収剤等含有するPENと積層して押出し、溶
融物を常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルム
とした。次いで、該未延伸フィルムを一旦巻き取ること
なく、縦方向に140℃に加熱した状態で3.5倍延伸
し、横方向に135℃に加熱した状態で3.8倍延伸し
た後、235℃で緊張熱処理して、厚み50μm、表層
の前記紫外線吸収剤等含有する層が20μm、顔料含有
層が30μmの二軸配向された積層ポリエステルフィル
ムを得た。得られた光学用積層ポリエステルフィルムの
特性を表1に示す。
【0120】[実施例4]積層ポリエステルフィルムの
厚みを75μmに変更し、各層厚みを30/40/5μ
mとし、且つ可視光吸収剤、紫外線吸収剤およびその添
加量を表1に示すように変更する以外は実施例3と同じ
ように行なった。得られた光学用積層ポリエステルフィ
ルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0121】[比較例1〜4、6]可視光吸収剤、紫外
線吸収剤およびそれらの添加量、層厚みを表1に示すよ
うに変更する以外は実施例1と同じように行なった。得
られた光学用積層ポリエステルフィルムの特性を表1に
示す。
【0122】[比較例5]二軸配向フィルムの厚みと、
可視光吸収剤及び紫外線吸収剤の添加量を表1に示すよ
うに変更する以外は実施例3と同じように行なった。押
出機ダイ付近の発煙が多く、途中でフィルムの採取を断
念した。紫外線吸収剤、吸光剤の量を表1に示す。
【0123】なお、表1における可視光線吸収剤の記号
(a、b、c及びd)は、以下の染料および顔料を示
す。 a:大日精化工業(株)製カーボンブラック(顔料) b:日本化薬(株)製Kayaset Black A
N(染料) c:日本化薬(株)製Kayaset Green A
B(染料)/Kayaset VioletAR(染
料)の重量比1:1混合物 d:日本化薬(株)製Kayaset Black G
(染料) [実施例5]平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.
007重量%、下記化学式
【0124】
【化26】 の構造を持つ紫外線吸収剤を1.0重量%含有させたP
ETを押出機で溶融状態とし、3層ダイへ送出した。大
日精化工業(株)製カーボンブラック顔料を0.06重
量%含有させたPET(固有粘度[η]:0.65)を
別の押出機で溶融状態とし、前記3層ダイで前記紫外線
吸収剤等含有するPETと積層して中層となるようにし
て押出し、溶融物を常法により冷却ドラムで冷却して未
延伸フィルムとした。続いて、該未延伸フィルムを一旦
巻き取ることなく、90℃に加熱した状態で縦方向に
3.5倍延伸した後、その両面に以下の塗膜用組成物
(濃度8%)の水性液をロールコーターで均一に塗布
し、その後、引き続いて95℃で乾燥しながら横方向に
120℃で3.8倍に延伸し、230℃で熱固定して、
厚さ75μm、表層の前記紫外線吸収剤等含有する層が
30μm及び5μm、中層が40μmの、易滑易接着層
を備える二軸配向された積層ポリエステルフィルムを得
た。なお、易滑易接着層の塗膜の厚さは0.15μmで
あった。得られた光学用積層ポリエステルフィルムの特
性を表2に示す。
【0125】 [塗膜用組成物] 酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル酸(6モル%)および5― スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコー ル(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル%)から合成されるガ ラス転移温度(Tg)が68℃の共重合ポリエステル樹脂 :80重量% N,N’―エチレンビスカプリル酸アミド : 5重量% アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm) :10重量% ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル : 5重量% [実施例6〜8]塗膜用組成物の組成を表2に示すよう
に変更した以外は、実施例6と同様に行なって厚さ75
μmの二軸配向された積層ポリエステルフィルムを得
た。なお、塗膜の厚さは0.15μmであった。得られ
た光学用積層ポリエステルフィルムの特性を表2に示
す。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】 表2における塗膜用組成物の記号(P、Q、H、I、
J、G及びY)は、それぞれ以下の重合体又は化合物で
あることを示す。
【0128】[水性ポリエステル樹脂] P:酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル
酸(6モル%)及び5―スルホイソフタル酸カリウム
(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコール
(95モル%)及びネオペンチルグリコール(5モル
%)の共重合ポリエステル樹脂(Tg=68℃) Q:酸成分がテレフタル酸(85モル%)、イソフタル
酸(15モル%)、グリコール成分がエチレングリコー
ル(57モル%)及び1,4―ブタンジオール(40モ
ル%)、ジエチレングリコール(2モル%)およびポリ
エチレングリコール(分子量600)(1モル%)の共
重合ポリエステル樹脂(Tg=47℃) [脂肪酸のアミド、脂肪酸のビスアミド] H:N,N’―メチレンビススアテリン酸アミド I:N,N’―エチレンビスパルミチン酸アミド J:N,N’―エチレンビスカプリル酸アミド [粗面化物質] G:アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm) [界面活性剤] Y:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル [実施例9]実施例5で得られた光学用積層ポリエステ
ルフィルムの紫外線吸収剤含有層(厚い方)の塗膜上
に、以下の組成からなるUV硬化系組成物を、ロールコ
ーターを用いて硬化後の膜厚が5μmとなるように均一
に塗布した。
【0129】 [UV硬化組成物] ペンタエリスリトールアクリレート :45重量% N―メチロールアクリルアミド :40重量% N―ビニルピロリドン :10重量% 1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン: 5重量% その後、80W/cmの強度を有する高圧水銀灯で30
秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成
した。そして、該ハードコート層の上に、低屈折率層
(SiO2、30nm)―高屈折率層(TiO2、30n
m)―低屈折率層(SiO2、30nm)―高屈折率層
(TiO2、100nm)―低屈折率層(SiO2、10
0nm)がこの順で積層されてなる反射防止層をスパッ
タリングによって形成した。得られた光学用積層ポリエ
ステルフィルムの特性を表3に示す。
【0130】
【表3】 [実施例10〜12]フィルムの延伸温度と延伸倍率及
び二軸配向フィルムの厚みを実施例2〜4のものに変更
する以外は実施例9と同じように行なった。なお、実施
例11においては、紫外線吸収剤含有層側に、上記のハ
ードコートを塗工した。得られた光学用積層ポリエステ
ルフィルムの特性を表3に示す。
【0131】[比較例8〜12]フィルムの延伸温度と
延伸倍率及び積層ポリエステルフィルムの厚みを比較例
1〜4及び6のものに変更し、且つ易滑易接着層を形成
するのに用いる塗膜用組成物を以下に示すように変更す
る以外は実施例9と同じように行なった。得られた光学
用積層ポリエステルフィルムの特性を表3に示す。
【0132】 [塗膜用組成物] 酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル酸(6モル%)および5― スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコー ル(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル%)から合成される共 重合ポリエステル樹脂(Tg=68℃) :80重量% N,N’―エチレンビスカプリル酸アミド : 5重量% アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm):10重量% ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル : 5重量% 表1から明らかなように、実施例1〜4の光学用積層ポ
リエステルフィルムは透明性、映像のコントラスト性、
耐光劣化性に優れている。そしてこれらのフィルムに易
接着性塗膜を塗設した易接着性積層ポリエステルフィル
ム(実施例5〜8)は、表2から明らかなように、ガラ
ス用接着剤およびハードコートに対して良好な接着性を
有しながら光学特性を損なわないという特性を有してい
る。しかも、これらの易接着性二軸配向ポリエステルフ
ィルムにハードコート層および反射防止層を設けたフィ
ルム積層体(実施例9〜12)は、映像のコントラスト
に加えて、耐摩耗性や反射防止能にも優れるものであっ
た。これに対して、本発明の要件のいずれかを満たして
いない比較例1〜4および6の積層ポリエステルフィル
ムおよび比較例8〜11のフィルム積層体は、乏しい光
学特性のものであった。比較例12のフィルム積層体
は、耐光劣化性のみ、不十分であった。また、比較例5
は紫外線吸収剤が過剰であり、製膜性が不良のため、評
価できなかった。
【0133】
【発明の効果】本発明によれば、透明性を損なうことな
く、取扱い性と色相コントラストとを兼ね備え、長期間
の使用によっても特性の劣化がない光学用積層ポリエス
テルフィルムを提供することができる。特にパソコンデ
ィスプレイの表面保護用として有用である。また、本発
明の光学用積層ポリエステルフィルムは、パソコンディ
スプレイの表面保護用途、窓ガラス、ショーケース、眼
鏡、計器類、写真、絵画、イラスト、看板等の表面保護
シート用として好適に使用でき、工業的価値の高いもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK41A AK41B AK41D BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B BA10C BA10D CA07A CA07D CA13B CA30B EJ38 JK16C JL11C JN06 JN30 YY00 YY00B 4J002 CF041 CF051 CF061 CF071 CF081 EU206 EU216 EU226 EU236 FD056 GP00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線吸収剤を含有するポリエステルの
    層に、可視光吸収剤を含有するポリエステルの層が積層
    され二軸配向された積層ポリエステルフィルムであっ
    て、ヘーズ値が5%以下であり、波長450〜650n
    mの範囲における光線の透過率の平均値(Tav)が
    0.40〜0.80であり、かつ該波長範囲における各
    波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値が
    0.70〜1.30であることを特徴とする光学用積層
    ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 紫外線吸収剤が下記式(I) 【化1】 (ここで、X1は、上記式に表わされたX1からの2本の
    結合手が1位、2位の位置関係にある、2価の芳香族残
    基であり、nは1、2又は3であり、R1はn価の炭化
    水素残基で、これは更にヘテロ原子を含有していてもよ
    い、又はR1はn=2のとき直接結合であることができ
    る。)および下記式(II) 【化2】 (ここで、Aは下記式(II)−a 【化3】 で表わされる基であるか又は下記式(II)−b 【化4】 で表わされる基であり、R2およびR3は同一もしくは異
    なる1価の炭化水素残基であり、X2は4価の芳香族残
    基で、これは更にヘテロ原子を含有していてもよい。)
    で表わされる環状イミノエステルから選ばれる少なくと
    も1種の化合物である、請求項1に記載の光学用積層ポ
    リエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 可視光吸収剤が、平均粒径10〜500
    nmの顔料または染料である請求項1に記載の光学用積
    層ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 積層ポリエステルフィルムの少なくとも
    片面に易滑易接着層がさらに設けられている、請求項1
    から3のいずれかに記載の光学用積層ポリエステルフィ
    ルム。
  5. 【請求項5】 光学用積層ポリエステルフィルム側から
    入射した光の、易滑易接着層と積層ポリエステルフィル
    ムの界面における反射率が0.4%以下である請求項4
    に記載の光学用積層ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 芯層とこれに接する2つの表層からなる
    積層ポリエステルフィルムであり、芯層が可視光吸収剤
    を含有するポリエステルの層であり、2つの表層が紫外
    線吸収剤を含有するポリエステルの層であり、且つ一方
    の表層の厚みが他方の表層の厚みより厚い、請求項1か
    ら5のいずれかに記載の光学用積層ポリエステルフィル
    ム。
  7. 【請求項7】 映像表示面貼合せ用である請求項1から
    6のいずれかに記載の光学用積層ポリエステルフィル
    ム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012015117A (ja) * 2011-08-22 2012-01-19 Mitsubishi Plastics Inc 色素増感太陽電池用ポリエステルフィルム
WO2023243508A1 (ja) * 2022-06-14 2023-12-21 東洋紡株式会社 紫外線吸収性ポリエステルフィルムおよび偏光子保護フィルム、偏光板並びに画像表示装置

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