JP2003187793A - アルカリ蓄電池用ニッケル電極活物質、ニッケル電極およびアルカリ蓄電池。 - Google Patents
アルカリ蓄電池用ニッケル電極活物質、ニッケル電極およびアルカリ蓄電池。Info
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Abstract
容量を飛躍的に向上させるとともに、初期活性化が速
く、高率放電特性においても優れた特性を有するアルカ
リ蓄電池を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明に係るアルカリ蓄電池用ニッケル
電極活物質は、アルミニウム(Al)を含有するα形の
水酸化ニッケル{α-Ni(OH) 2}を主体とする活物
質であって、コバルト(Co)を固溶または共晶状態で
含むニッケル電極用活物質である。また、本発明に係る
ニッケル電極およびアルカリ蓄電池は、前記ニッケル電
極活物質を適用したニッケル電極およびアルカリ蓄電池
である。
Description
ニッケル電極活物質とそれを適用したニッケル電極およ
びアルカリ蓄電池に関するものである。
カリ蓄電池用ニッケル電極活物質は、β形のNi(OH)
2である。該活物質は、充電においてβ-Ni(OH)
2(ニッケルの酸価数は2価)からβ形のオキシ水酸化
ニッケルβ-NiOOH(ニッケルの酸価数は3価)に
酸化され、放電において元のβ-Ni(OH) 2 に還元さ
れる。充電および放電時の酸化還元反応は、1電子反応
(理論容量289mAh/g)で進行する。
より一部が高次のγ-NiOOH(ニッケルの価数は3
価を超える)にまで酸化される。従来の技術によれば、
前記により生成したγ-NiOOHは、不活性であり起
電反応に寄与しないため、γ-NiOOHが生成する
と、容量が低下したり、電圧が低下する原因となる。ま
た、γ-NiOOHは、水分子やK+などの金属カチオ
ンを結晶格子の層間に取り込み膨張する、このために電
極の体積膨張が起こって活物質と基板との接触不良が発
生したり、また、水分子を結晶格子の層間に取り込むこ
とによって水分の消費がおきるので、電解液の濃度変化
や遍在を引き起こし、充放電サイクル性能等電池の特性
の低下を引き起こす問題があった。そのため、γ-Ni
OOHの生成を抑制する工夫がなされてきた。
ますます高まっており、これを実現させるために、正極
・負極・電解液・セパレータなどの電池材料の改良や電
池のデザインの改良がさまざま試みられている。例え
ば、セパレータの薄型化、極板の高密度化、活物質の利
用率を高める各種添加剤や導電助剤の改良が行われてい
る。
して様々な改良が行われているにも拘わらず、電池容量
は、ほぼ飽和状態に達しつつあり、飛躍的な電池の高容
量化が望めない状況にある。そこで、電池容量を飛躍的
に向上させるために、正極の高容量化が重要になってき
ている。高次酸化物であるγ-NiOOHが活物質とし
て機能を発揮すれば、前記起電反応は、1電子を超える
反応(以下多電子反応と記述する)となるので、活物質
単位重量当たりの容量が増大する。従って、それを適用
したアルカリ蓄電池の容量を大幅に向上させることが可
能となる。このような状況から、前記γ-NiOOHが
活物質としての機能する技術を開発することが電池の容
量を飛躍的に向上させる鍵となる。
からγ-NiOOHへの反応は、活物質として不活性な
物質の生成を伴うため、充放電を行うと容量低下をきた
す。また、活物質材料の結晶格子の層間が広がるために
電極が体積膨張を起こし、基板との接触不良や電解液の
遍在を引き起こすなどの問題があった。
小さく、同型の結晶構造を有するα-Ni(OH) 2を活
物質として用いることが提案されている。充電および放
電が、α-Ni(OH) 2とγ-NiOOHとの間を行き来
する反応を利用すると、該反応が可逆反応である上、か
つ充放電時の体積変化も少なく、電極の体積膨張による
基板と接触不良や電解液の遍在を引き起こす心配もな
い。前記のように、該反応は多電子反応なので、ニッケ
ル電極の容量を飛躍的に向上させることが可能となる。
液中で不安定であり、容易にβ-Ni(OH) 2に変化し
てしまう性質がある。この変化を回避する方法として、
α型結晶構造を保持できるように、3価のカチオン(A
l、Fe、Mnなど)でニッケルの一部を置換し、結晶
格子の層間にアニオンを固定する方法が提案されてい
る。特に、Mnを固溶した活物質に関して特開平11-
312519号公報、特開平11−324296号公報
など幾つかの提案がされている。
ら、J. Electrochem. Soc., 141 (11)2956-2959 (199
4)、J. Electrochem.Soc., 146 (4) 1251-1255 (1999)
やJ. Power Sources, 89 40-45 (2000)に記載されてい
る如く、ニッケルの一部をAlで置換したα-Ni(O
H) 2について、さまざまな研究がなされいてる。
極活物質には、導電性を確保するために、Co化合物や
Ni粉末を大量に添加することを必要とし、ニッケル電
極中に占める水酸化ニッケルの量が相対的に少ない。文
献によっては、活物質とほぼ同量の導電助剤を添加して
いる例もある。このため、狙いとする高容量化が望めな
い。また、Alを固溶させたα-Ni(OH) 2活物質
は、初期活性化が遅いという欠点がある。これらの欠点
のため、Alを固溶させたα-Ni(OH) 2をニッケル
電極の活物質として適用することは、未だ実現していな
い。
術の問題点に鑑みなされたものであり、ニッケル電極を
正極とするアルカリ電池の容量を飛躍的に向上させると
ともに、初期活性化が速いアルカリ蓄電池用ニッケル電
極およびアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
電池用ニッケル電極活物質は、アルミニウム(Al)を
含有するa形の水酸化ニッケル{α-Ni(OH) 2}を主
体とする活物質であって、コバルト(Co)を固溶また
は共晶状態で含むニッケル電極用活物質である。ここで
いうCoを固溶状態または共晶状態で含むとは、活物質
粒子のX線回折を行った時に、回折図にコバルト単体ま
たはその化合物に固有の回折ピークが観測されない状態
を指す。
極活物質に含まれるCoの比率は、前記同Alの比率以
下であって、活物質に占めるAlとCoの比率の和が7
重量%以下であることが望ましい。
るAlの比率は、4重量%以上、6.9重量%以下であ
って、ニッケル電極活物質に占めるCoの比率が0.1
重量%以上、3重量%以下であることが望ましい。
極は、集電体と、前記集電体に担持させた活物質とを備
え、該活物質がアルミニウム(Al)を含有するα形の
水酸化ニッケル{α-Ni(OH) 2}を主体とする活物
質であって、コバルト(Co)を固溶または共晶状態で
含むニッケル電極用活物質であるニッケル電極である。
ウム(Al)を含有するα形の水酸化ニッケル{α-N
i(OH) 2}を主体とする活物質であって、コバルト
(Co)を固溶または共晶状態で含むニッケル電極用活
物質を適用したニッケル電極を正極として備えたアルカ
リ蓄電池である。
ッケル電極活物質は、Alを含有するα形の水酸化ニッ
ケル{α-Ni(OH) 2}を主体としCoを固溶または
共晶状態で含む活物質である。
-Ni(OH) 2}は、後述のように沈殿法によってNi
(OH) 2を合成する過程において、Alを共沈させるこ
とによって合成することができる。
なる固有のX線回折ピークを有するので粉末X線回折図
を解析することによって同定することができる。図1
は、本発明に係るAlを含有するα-Ni(OH) 2を主
体とするニッケル電極用活物質の粉末X線回折図であ
る。Al単体またはAl化合物に帰属する回折ピークが
見当たらないところから、該活物質に含まれるAlは、
α-Ni(OH) 2中に固溶または共晶状態で存在するも
のと考えられる。
以外にCoを、固溶または共晶した状態で含有するもの
である。該活物質は、沈殿法によってNi(OH) 2を合
成させる過程において、Al以外にCoを共沈させるこ
とによって合成することができる。図1に示したX線回
折図は、本発明に係るニッケル電極活物質の回折図であ
って、該活物質は、Al以外にCoを固溶または共晶し
た状態で含有する。図1に示したように、回折図に、C
o単体またはCo化合物に特有の回折ピークが見当たら
ないところから、本発明に係るニッケル電極活物質中に
含まれるCoは、本発明で定義する固溶状態もしくは共
晶状態にあることが判る。
生成し易くなる。本発明に係る活物質の合成において
は、α-Ni(OH) 2とβ-Ni(OH) 2が同時に生成す
る。このことは、前記図1に示したように、本発明に係
るニッケル電極活物質のX線回折図にα-Ni(OH) 2
に帰属する回折ピークに加えて、ピーク強度は弱いがβ
-Ni(OH) 2に帰属する回折ピークが観測されること
からも確認される。
Ni(OH) 2を含むが、α-Ni(OH) 2を主体とする
活物質である。対象とするニッケル電極活物質がα-N
i(OH) 2を主体とする活物質であるか否か、その目安
は、合成した活物質のX線回折図のα-Ni(OH) 2と
β-Ni(OH) 2の回折ピークの強度比によって判別す
る。
Ni(OH) 2 の(003)面{文献によっては(00
1)面に帰属するとしているものもあるが、ここでは
(003)に帰属するものとした}に帰属する回折ピー
クとβ-Ni(OH) 2の(001)面に帰属する回折ピ
ークの比、(003)/ (001)が1.2以上であ
る。前記比率が1.2未満の場合は、α-Ni(OH) 2
が活物質の主体でないことを示唆しており、高容量化が
達成できない虞がある。
以外にCoを固溶または共晶状態で含有する。前記Al
を含有させるのと同様に、Ni(OH)2 を沈殿によって
合成させる過程で、AlおよびCoを共沈させることに
よって、Al以外にCoを固溶または共晶状態で含有す
るニッケル電極活物質を合成することができる。
は、Coの含有比率が、Alの含有比率以下であって、
活物質に占めるAlの比率とCoの比率の和が4.1重
量%以上、7重量%以下であることが望ましい。Ni
(OH) 2に含まれるCoの比率がAlの含有比率を超え
ると、β-Ni(OH) 2が生成し易くなり、高容量化が
達成されない虞が高くなる。さらに、AlとCoの含有
比率の合計が7重量%を超えると、活物質である水酸化
ニッケルの量が相対的に少なくなるため、容量が低くな
る欠点がある。
れるAlは、α-Ni(OH) 2のアルカリ溶液中での安
定性を向上させる。活物質中のAlの含有比率が4重量
%以下であると、アルカリ溶液中での安定性に欠け、α
-Ni(OH) 2構造が維持されない。また、α-Ni(O
H) 2のアルカリ溶液中での安定性は、Alの含有比率
が約7重量%まででほぼ飽和に達し、それ以上Alの含
有が増大しても安定性向上に関して顕著な効果は得られ
ない。Alの含有比率が6.9重量%を超えると、活物
質であるNi(OH) 2の量が相対的に少なくなるため、
容量が低下する欠点がある。従って、活物質に占めるA
lの比率は、4重量%以上、6.9重量%以下であるこ
とが望ましい。
まれるCoは、Ni(OH) 2のニッケル電極活物質とし
ての高率放電特性と初期活性化の速さおよび活物質その
ものの導電性に影響を与える。活物質中のCoの含有比
率が0.1重量%以下であると、初期活性化が遅く、且
つ、高率放電特性が劣る。また、生成した活物質の導電
性が劣るので電極を作製するに際して多くの導電助剤の
添加を必要とする。
えると、β-Ni(OH) 2が生成し易くなり、高容量化
が達成されない虞が生じる。従って、活物質に占めるC
oの比率は、0.1重量%以上、3重量%以下であるこ
とが望ましい。
ッケル電極活物質は、タップ密度が1.5g/ml以上
である。タップ密度が1.6g/ml以上である高密度
球状粉末であることがさらに好ましい。また、比表面積
が6m2/g以上であって、半径が4ナノメートル(n
m)以上の細孔の容積が、全細孔容積に対して占める比
率が40%以下である高密度球状粉末であることが好ま
しい。比表面積が8m 2/g以上であり、さらに1.5
nm以上、3nm以下の細孔半径を有する細孔容積が全
細孔容積に対して80%以上である高密度球状粉末が、
より好ましい。
あるいは大きな半径の細孔の容積比率が大き過ぎると、
ニッケル電極の活物質充填密度が低いために電極の導電
性が不足し活物質の利用率が低くなる。また、比表面積
が小さ過ぎたり、前記値に比べて細孔の半径が小さいと
高率放電特性が劣る。従って、タップ密度、細孔半径、
比表面積が前記の条件を満たすことが望ましい。
極は、集電体と、この集電体に充填配置された、本発明
に係るニッケル電極活物質とを備えている。ニッケル電
極に用いられる集電体は、アルカリ蓄電池用のニッケル
電極において利用可能なものであれば、特に限定される
ものではない。例えば、発泡ニッケル板、繊維状ニッケ
ルの焼結体やニッケルメッキを施した穿孔鋼板を適用す
ることができる。
金電極やカドミウム電極、亜鉛電極などを使用すること
ができる。例えば、水素吸蔵電極として、CaCu5型
構造を有するMmNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3組成
の合金を用いることができる、ここで、Mmは、希土類
元素の混合物であるミッシュメタル[ランタン(La),
セリウム(Ce), プラセオジウム(Pr), ネオジ
ウム(Nd)]などを意味する。なお、本発明は、この
ような水素吸蔵合金電極の使用に限定されるものではな
く、任意の負極を適宜使用することができる。例えば、
“MmNi5合金”のNiの一部を、Al, Mn, Co,
Ti, Cu, Znのような元素で置換した多元素系の
ものや、または、TiNi系、TiFe系の合金を適用
することができる。
えば、アクリル酸グラフト重合させることによって親水
性を付与したポリプロピレン(PP)繊維からなる不織
布を用いることができる。ただし、本発明は、これに限
定されるものではなく、任意のセパレータを適宜使用す
ることができる。例えば、ポリプロピレンを含むポリオ
レフィン繊維やポリアミド繊維の不織布や、これらの繊
維にスルホン基などの親水性官能基を付与したものを適
用することができる。
い。通常使用される水酸化カリウム水溶液の他、水酸化
ナトリウムおよび水酸化リチウムの単独またはこれら3
種のうち少なくとも2種を含む水溶液を適用することが
できる。
る。尚、実施例はあくまで1例であって、本発明は、以
下の実施例に限定されるものではなく、前記請求項記載
の発明を特定する事項の範囲内で、種々の変更、変形が
可能である。
ッケル電極活物質である水酸化ニッケルを合成した。C
oのKα線を用いて、生成物のX線回折を行い、Alと
Coに関して単体およびその化合物に特有の回折ピーク
が存在しないことを確認した。また、α-Ni(OH) 2
の(003)面に帰属する回折ピークとβ-Ni(OH)
2の(001)面に帰属する回折ピークの強度比、(0
03)/(001)を求めた。定法により合成した活物
質粒子のタップ密度を測定した。また、BET法により
比表面積を測定した。
るよう、硫酸アルミニウム、硫酸ニッケル、硫酸コバル
トを含む水溶液を準備した。該溶液を激しく撹拌しなが
ら、アンモニア水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を同時
に滴下した。この間、水酸化ナトリウム水溶液の滴下ス
ピードを調整して、反応浴のpHを9〜11の範囲に保
持した。滴下を止めた後、所定時間混合継続した。その
後、沈殿物を濾過、水洗し、一定の重量になるまで60
℃で乾燥した。合成後、Al量、Co量を原子吸光法で
定量し、表1に示す実施例1〜8の活物質を得た。
アルミニウムを添加しないことを除いて、同様の方法で
合成し、Alを固溶せず、Coを3重量%含む活物質を
合成した。
コバルトを添加しないことを除いて、同様の方法で合成
し、Alを5重量%含有し、Coを含有しない活物質を
合成した。
lを2重量%、Coを5重量%含有した、活物質を合成
した。
較例1〜3に係るニッケル電極活物質は、タップ密度が
いずれも1.5以上であった。実施例1〜8に係るニッ
ケル電極活物質のα-Ni(OH) 2の(003)面に帰
属する回折ピークとβ-Ni(OH) 2の(001)面に
帰属する回折ピークの強度比、(003)/(001)
は1.4以上であり、α-Ni(OH) 2とする活物質材
料であることを確認した。本実施例の場合は、(00
3)/(001)が1.4以上であるが、該値が1.2
以上であれば、α-Ni(OH) 2が主体であることが判
明している。これに対して比較例1および比較例3の活
物質は、ピーク強度比が0および0.5でありβ-Ni
(OH) 2を主体とすることが判った。比較例2の場合
は、β-Ni(OH) 2の(001)面に帰属する回折ピ
ークが観察されなかった。
0重量%に導電助剤として一酸化コバルトを10重量%
添加した。これに結着剤としてカルボキシルメチルセル
ロースを含む水溶液を加えてペースト状とした。このペ
ーストを面密度450g/m2、多孔度が約95%のニ
ッケル金属多孔基板に所定量充填した。乾燥後プレスし
て所定の厚さを持つニッケル電極を作成した。充放電反
応が1電子反応(活物質単位重量当たりの容量が289
mAh/g)で進行するものとして活物質充填量より求
めたニッケル電極の容量は、極板1枚当たり1000m
Ahであった。
として、CaCu5型構造を有するMm(La:45%,
Ce:30%, Pr:3%, Nd:22%)Ni3.55
Co0.75Mn0.4Al0 .3の組成を有する合金を用いた。
この合金に増粘剤を加えてぺースト状にしたものを、穿
孔鋼板に塗布し、乾燥した。これを加圧形成後、切断
し、水素吸蔵合金電極(負極)を作製した。該水素吸蔵
合金電極の活物質充填容量を極板1枚当たり850mA
hとした。
極板を、アクリル酸グラフト重合したポリプロピレン
(PP)繊維不織布製のセパレータで包み、それを二枚
の負極板で挟み、開放型の容器に挿入した。また、電解
液として濃度6.8Mの水酸化カリウム水溶液を注液
し、試験用開放型電池とした。
極板の容量を前記1000mAhとすると、0.1It
(A)に相当する}の定電流で実容量の150%充電し
た後、200mA{0.2It(A)}の定電流で放電
した。正極の電位が、参照極である酸化水銀電極(Hg
/HgO)に対して0Vになった時点で放電を終止させ
た。該充放電を5回繰り返し行い、この間の放電容量か
ら求めた活物質利用率の推移を調べた。尚、前記実容量
は、実施例1〜実施例8と比較例1〜比較例3のおのお
のについて、予備として準備したニッケル電極を用いて
予め充放電試験を実施し、その結果から求めた。活物質
の利用率は、以下の式で算定した。 活物質利用率={放電容量(mAh) /(極板に充填し
た水酸化ニッケル量(g)×289(mAh / g)}
×100(%) 結果を図2に示す。
率推移を見ると、Coを固溶または共晶状態で含有して
いないニッケル電極活物質を適用した比較例2の電池
は、約120%の利用率に達するまで5サイクル以上必
要であるのに対し、Coを固溶または共晶状態で含有さ
せた本発明ニッケル電極活物質を用いた電池は、3サイ
クル目には120%を超える利用率に達した。
態で含ませることで、酸化電位が卑側にシフトし、大き
なη値(酸素発生電位と酸化電位の差)が得られ、その
ため充電効率が向上し、初期から高い利用率が得られた
ものと考えられる。このように、Alに加え、Coを固
溶または共晶状態で含有させることで、従来に比べてよ
り実用化に適した高容量ニッケル活物質を得ることがで
きることが判った。
0サイクル繰り返しおのおのの電池の放電容量が安定し
たことを確認した。放電容量が安定した電池を前記の条
件で充電後、200mA{0.2It(A)}および3
000mA{3It(A)}の定電流で放電した。正極
の電位が、参照極である酸化水銀電極(Hg/HgO)
に対して0Vになった時点で放電を終止させた。該放電
における放電容量から、前記同様活物質利用率を求め
た。その結果を表2および表3に示す。
t(A)}定電流での放電においては、本発明ニッケル
電極活物質を用いた電池は、120%以上の高い利用率
を示した。一方Alを含有しない従来型のβ-Ni(O
H) 2とする比較例1の場合は、利用率が100%であ
った。このことは、本発明に係るニッケル電極の容量
が、従来のニッケル電極に比べて20%以上向上したこ
とを示している。また、本発明に係るニッケル電極のう
ちでも、Alの含有比率が増加するにつれ、利用率が向
上する傾向を示した。
率が100%であった。前記X線回折ピークの強度比が
0.5であるところからも判る如く、比較例3のニッケ
ル電極活物質は、β-Ni(OH) 2が主体である。この
ことが原因で、容量の向上が達成されなかったと推定さ
れる。比較例3の活物質が、β-Ni(OH) 2主体にな
ったのは、Coの含有比率がAl含有比率を上回ったの
と、Al含有比率が本発明で望ましいとしている4重量
%を下回っていること、およびCoの含有比率が本発明
で望ましいとしている上限の3重量%を超えたためと考
えられる。
t(A)}定電流での高率放電では、本発明に係るニッ
ケル電極活物質を用いた電池が、Coを含有していない
ニッケル電極活物質を用いた比較例2の電池に比べ、高
い利用率を示した。特に、Coの含有比率が最も高い実
施例8の活物質を用いた電池では、63%と高い利用率
を示した。比較例2の高率放電特性が劣る原因の一つに
は、活物質材料そのものの導電性が不足している点にあ
ると考えられる。
(Al)を含有するα形の水酸化ニッケル{α-Ni(O
H) 2}を主体とするニッケル電極活物質を適用するこ
とにより、0.2It(A)のレートの放電において、
従来のβ形の水酸化ニッケル{β-Ni(OH) 2}を主
体とするニッケル電極活物質を適用したニッケル電極に
比べて高い放電容量を得ることができる。そのうち、コ
バルト(Co)を固溶または共晶状態で含むことを特徴
とするニッケル電極活物質を適用したニッケル電極は、
Coを含まない電極に比べて、初期活性化が速やかで、
且つ、3It(A)という高率放電において優れた放電
特性を有する。従って、本発明によれば、放電容量が大
きく、初期活性化が速やかに進行する電池であって、さ
らに高率放電特性においても優れた特性を持ったアルカ
リ蓄電池を実現することが可能となる。
(Al)を含有するα形の水酸化ニッケル{α-Ni(O
H) 2}を主体とするニッケル電極活物質であって、コ
バルト(Co)を固溶または共晶状態で含ませること
で、アルカリ蓄電池用ニッケル電極活物質の単位重量当
たりの放電容量を飛躍的に向上させることができる。
の効果をさらに高めることができる。
速やかに進み、高率放電特性においても優れたニッケル
電極用活物質を提供することができる。
活性に要する時間を短縮でき、かつ高率放電特性におい
ても優れたアルカリ蓄電池用ニッケル電極を提供するこ
とが出きる。
活性に要する時間を短縮でき、かつ高率放電特性におい
ても優れたアルカリ蓄電池を提供することが出きる。
折図を示す図である
クルにおける利用率の推移を示すグラフである
Claims (5)
- 【請求項1】 アルミニウム(Al)を含有するa形の
水酸化ニッケル{α-Ni(OH) 2}を主体とするニッ
ケル電極活物質であって、コバルト(Co)を固溶また
は共晶状態で含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用ニ
ッケル電極活物質。 - 【請求項2】 Coの含有比率が、Alの含有比率以下
であって、活物質に占めるAlの比率とCoの比率の和
が4.1重量%以上、7重量%以下であることを特徴と
する請求項1記載のアルカリ蓄電池用ニッケル電極活物
質。 - 【請求項3】 活物質に占めるAlの比率が、4重量%
以上、6.9重量%以下であって、活物質に占めるCo
の比率が、0.1重量%以上、3重量%以下であることを
特徴とする請求項1および請求項2記載のアルカリ蓄電
池用ニッケル電極活物質。 - 【請求項4】 主たる活物質が、請求項1乃至請求項3
記載のニッケル電極用活物質であるアルカリ蓄電池用ニ
ッケル電極。 - 【請求項5】 主たる活物質が、請求項1乃至請求項3
記載のニッケル電極用活物質であるアルカリ蓄電池用ニ
ッケル電極を正極として備えるアルカリ蓄電池。
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