JP2003184929A - 回転ダンパ及びその設置方法 - Google Patents

回転ダンパ及びその設置方法

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JP2003184929A JP2001390474A JP2001390474A JP2003184929A JP 2003184929 A JP2003184929 A JP 2003184929A JP 2001390474 A JP2001390474 A JP 2001390474A JP 2001390474 A JP2001390474 A JP 2001390474A JP 2003184929 A JP2003184929 A JP 2003184929A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定方向への回転ストロークの終端領域で高
トルクが発生し、その逆方向への回転ストロークの始端
領域で発生トルクを低くしてスムーズに回転始動する、
弁機構の無い回転ダンパを提供する。 【解決手段】 粘性液体が収納される流体室を有するケ
ーシングと、流体室内に収容される回転部材と、回転部
材の外周面に近接する先端面を有するケーシングの凸壁
と、ケーシングの内周面に近接する先端面を有する回転
部材の羽根と、流体室を羽根と凸壁で区画して形成され
た少なくとも二室の間で粘性流体の移動を許容する流体
通路とを備え、流体通路は回転部材の少なくとも一方向
への回転ストロークの終端領域においてその通路がほぼ
閉塞するように構成された回転ダンパにおいて、流体室
の中に、気体が封入された気体領域を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば蓋、扉等の
開閉に際してこれにダンピング力を与える回転ダンパ及
びその設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭58−50342号公報の第7図
に示す回転ダンパは、自動車等のパワートレインなどに
利用されるものであるが、トイレの便座・便蓋や扉など
の開閉体の開閉にも利用可能である。
【0003】この第7図の回転ダンパをトイレの便座・
便蓋の開閉部分に使用した場合、便座・便蓋が開いたと
きは、羽根13の側面と羽根17の側面とが接触し、羽
根14の側面と羽根18の側面とが接触した状態にあ
る。この状態から便座・便蓋を閉じる方向に回転させる
と、回転軸2は図中時計方向に回転する。回転軸2の回
転ストロークの始端領域では、流体の流路15、16、
19、20が狭く形成されているので、この流路に生ず
る流動抵抗は大きくなる。そのため、回転軸2はダンピ
ング作用が働いてゆっくりと回転する。
【0004】回転軸2は回転ストロークの中間領域に達
すると、流路15、16、19、20が広く形成されて
いるので、この流路に生ずる流動抵抗が小さくなり、ダ
ンピング作用が働かずに早く回転する。
【0005】回転軸2は回転ストロークの終端領域に達
すると、流路15、16、19、20が狭く形成されて
いるので、この流路に生ずる流動抵抗が再び大きくな
り、ダンピング作用が働いてゆっくりと回転する。
【0006】そして、羽根13の側面と羽根18の側面
とが接触し、羽根14の側面と羽根17の側面とが接触
した状態、即ち便座・便蓋が完全に閉じた状態になるま
で回転軸2の回転速度は遅い。従って、便座・便蓋が閉
じたとき、便器への衝撃が小さくなり、騒音も発生せ
ず、便座・便蓋及び便器の破損も防止される。
【0007】しかしながら、この回転ダンパを使用して
便座・便蓋を再び開く場合には、閉じる回転ストローク
の場合とは逆のダンピング作用が便座・便蓋に働くの
で、開く回転ストロークの始端領域においても回転軸2
にダンピング作用が働いてその回転動作は重くなる。そ
のため、便座・便蓋はかなりの力で持上げないと開くこ
とができず、スムーズな開放動作が得られないという欠
点を有する。
【0008】従来の回転ダンパのこの欠点を解消すべく
本出願人は特開平11−182607号公報に記載する
回転ダンパを提案した。この回転ダンパには、ケーシン
グの内周面と回転部材の外周面との間に弁機構が設けら
れており、同公報の第4図に示す流体トルク調節手段の
作用によれば、回転部材の時計方向への回転ストローク
の終端領域では高トルクが発生し、反時計方向への回転
ストロークの始端領域から終端領域となる前の中間領域
までは発生トルクを低くできる。従って、収納庫等の扉
が閉まる際には高トルクが発生し、開く際には発生する
トルクは低くできる。
【0009】しかしながら、この回転ダンパは、弁機構
を設けているので、構造が複雑になり、製造工程も多く
なるため、製造コストが高くなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、従
来の回転ダンパが有する斯かる点を改良した回転ダンパ
及びその設置方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の回転ダンパは、内部に粘性流体が収納され
る流体室を有するケーシングと、該ケーシングに対して
相対回転自在に前記流体室に収容される回転部材と、前
記ケーシングの内周面に軸方向に沿って設けられて内方
に突出し、前記回転部材の外周面に近接する先端面を有
する凸壁と、前記回転部材の外周面に軸方向に沿って設
けられて外方に突出し、前記ケーシングの内周面に近接
する先端面を有する羽根と、前記流体室が該羽根と前記
凸壁とによって区画された少なくとも第1室及び第2室
と、該第1室と該第2室との間で粘性流体の移動を許容
する流体通路とを備え、該流体通路は、前記回転部材の
少なくとも一方向への回転ストロークの終端領域におい
てその通路がほぼ閉塞するように構成された回転ダンパ
において、前記流体室の中に、気体が封入された気体領
域を形成した。
【0012】回転部材が正回転ストロークの終端領域に
達すると、流体通路はほぼ閉塞されるので、第2室から
第1室への粘性流体の移動が制限される。回転部材を更
に正回転方向に回転させると、気体領域の大部分は第1
室に移動し、第2室は粘性流体で充満された高圧室に成
る。そのため、正回転ストロークの終端領域においては
高トルクが発生する。
【0013】次に、高トルクが発生している正回転スト
ロークの終端領域にある回転部材を逆回転させると、流
体通路がほぼ閉塞されているので、高圧室を成している
第2室の内圧は同時に低下する。そのため、第1室に移
動した気体領域にある気体は、第2室に向かって吸引さ
れて、回転部材の外周面とケーシングの凸壁の先端面と
の間の僅かな隙間、及びケーシングの凸壁上端面と回転
部材のフランジ部の下面との間の僅かな隙間を通して第
2室に流入する。
【0014】気体が第1室から第2室へ流入する際、僅
かな隙間に生ずる気体の流動抵抗は粘性流体の流動抵抗
に比較すると極めて小さいので、第1室から第2室への
気体の前記両隙間を通しての流れはスムーズに行なわれ
る。そのため、逆回転ストロークの始端領域における発
生トルクは低くなる。
【0015】従って、特に弁機構を設けることなく、気
体領域が第1室及び第2室の間を移動するだけで、回転
部材の正回転ストロークの終端領域でダンピング力が与
えられ、逆回転ストロークの始端領域でダンピング力が
発生することなく回転始動する回転ダンパを得ることが
できる。
【0016】請求項2では、ケーシングをその軸が横に
なるように配置し、凸壁を最上部に位置させて設置し
た。これにより、気体の比重が粘性流体の比重よりも軽
いので、気体領域は流体室の最上部に位置し、同じく最
上部に位置する凸壁を挟んで第1室と第2室とにわたっ
て存在することになる。
【0017】流体通路が開放されて発生トルクが低く維
持されている回転部材の正回転ストロークにおいては、
流体室の最上部に位置する気体領域は、ケーシングの凸
壁を挟んで第1室と第2室とに略均等に配分される。回
転部材の羽根が回転してケーシングの凸壁に接近して正
回転ストロークの終端領域に達するまでの間は、気体の
比重が粘性流体よりも軽いので、気体は第2室から流体
通路と前記両隙間とを通して第1室に容易に移動する。
【0018】終端領域に達した羽根が更に回転して最上
部に位置する凸壁に接近すると、流体通路がほぼ閉塞さ
れているので、回転部材の羽根とケーシングの凸壁とで
画成された第2室の上部に残留する気体の殆どは、前記
両隙間を通して第1室に流入する。その結果、第2室は
粘性流体で充満された高圧室に成り、高トルク域を形成
する。
【0019】次に、上方に位置して高トルク域にある回
転部材の羽根を逆回転させると、流体通路がほぼ閉塞さ
れているので, 高圧室を成している第2室の内圧は同時
に低下し、ないしは第2室の室内は一時的に負圧にな
り、第1室に移動した気体は第2室に向って吸引され
て、最上部に位置する前記両隙間を通して第2室に容易
に流入する。そのため、羽根の逆回転ストロークの始端
領域の発生トルクは低くなる。
【0020】従って、回転ダンパの上述したいわゆる横
置き設置方法により、最上部に位置する凸壁を挟んで第
1室と第2室とにわたって形成される気体領域が第1室
及び第2室の間を移動するだけで、回転部材の正回転ス
トロークの終端領域でダンピング力が与えられ、逆回転
ストロークの始端領域でダンピング力が発生することな
くスムーズな回転始動をする回転ダンパを得ることがで
きる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について添付
した図面に基づき説明する。図1〜図6は本発明の回転
ダンパの第1実施の形態、図7〜図12はその第2実施
の形態をそれぞれ示す。
【0022】まず、本発明の回転ダンパの基本構成を示
す第1実施の形態について説明する。図1は本発明の第
1構成例の回転ダンパの縦断面図、図2は図1のA−A
線に沿う断面図、図3は第1構成例の回転ダンパの時計
方向(逆回転方向)及び反時計方向(正回転方向)への
回転時におけるダンピング効果を示す図、図4は第2構
成例の回転ダンパの時計方向及び反時計方向への回転時
におけるダンピング効果を示す図、図5は第2構成例の
回転ダンパを縦置きにして時計方向及び反時計方向への
回転時におけるダンピング効果を示す図、図6は第3構
成例の回転ダンパの時計方向及び反時計方向への回転時
におけるダンピング効果を示す図をそれぞれ示す。
【0023】図1に示すように、この回転ダンパ1はプ
ラスチック材料から構成されており、粘性の高いシリコ
ンオイル等の粘性流体9と、エアー、窒素やヘリウム等
の不活性ガスなどの気体とが封入されるケーシング2の
流体室6内に回転部材3の本体12が組込まれ、回転部
材3の軸部13が流体室6外に突出する構造を有する。
軸部13は、回転蓋や回転扉などの開閉体の軸体に連結
される。なお、ケーシング2側に開閉体の軸体が連結さ
れるようにしても良い。
【0024】ケーシング2の一方の端部は閉鎖されて底
部14を成し、かつ流体室6の一方の側壁を成す。ケー
シング2の底部14の流体室6側の中央部に軸受凹部1
5が形成されている。ケーシング2の他方の端部16は
開口されている。開口端部16は、回転部材本体12の
フランジ部11とOリング17とを介してキャップ18
が嵌合固定されて封止されている。フランジ部11は流
体室6の他方の側壁を成す。
【0025】軸部13とは反対側の回転部材3の端部に
は凸部19が形成されている。回転部材3は、その凸部
19が軸受凹部15に挿入されて軸承されている。回転
部材3の軸部13はキャップ18の中央部に形成された
軸受開口20に軸承されている。そのため、回転部材3
はケーシング2に対して相対回転自在にされている。
【0026】図2に示すように、回転ダンパ1のケーシ
ング2は、その内周面21に軸方向に沿って設けられて
内方に突出している凸壁4を有する。凸壁4は回転部材
本体12の外周面22に近接する先端面23を有する。
回転部材本体12は、その外周面22に軸方向に沿って
設けられて外方に突出する羽根5を有する。羽根5はケ
ーシング2の内周面21に近接する先端面24を有す
る。
【0027】更に、回転部材本体12は、その外周面2
2に周方向に沿って刻設された溝25を有する。溝25
が刻設された箇所と長さとによって、流体室6において
高トルクないし低トルクの発生領域が決定され、その溝
25の幅と深さとによって、低トルク領域における流体
室6において発生するトルクの大きさが決定される。溝
25の幅と深さは、全範囲で一定でなくとも良く、必要
なトルクに合わせて、任意に設定できる。
【0028】図2に示す第1構成例の回転ダンパ1は、
回転部材3の羽根5とケーシング2の凸壁4を各1個有
し、回転部材3の本体12の外周面22には、軸方向に
沿って設けられた羽根5に対向する周方向に、回転部材
3の軸を中心として約240°の開角度で、深さが一定
した溝25が刻設されている。そして、羽根5を挟んで
外周面22の両側には溝25は設けられていない。流体
室6は1個の羽根5と1個の凸壁4とによって第1室7
と第2室8とに区画されている。
【0029】上述したように、本発明の回転ダンパ1
は、流体室6の中に粘性流体を封入した他に、気体を封
入して気体領域を形成したことを特徴とする。次に、本
発明の回転ダンパ1の製造方法について説明する。
【0030】従来の回転ダンパは、ケーシングの流体室
の中に粘性流体、例えば、オイル等を満タンにして封入
した方式である。この方式で粘性流体を満タンにするた
めには、ケーシング2を先ず縦置きにして流体室6の中
に粘性流体9を入れた後、上記の回転部材3を収納し、
回転部材3の内部の細かい隙間部分に溜まったエアーが
完全に抜け切るまで略一昼夜そのまま放置した後、キャ
ップ18で流体室の開口部を密閉する製造工程が必要で
ある。しかしながら、この工程は相当の手間と時間を必
要とする。
【0031】これに対して、本発明の回転ダンパ1の場
合、流体室6中に気体領域、例えばエアー10が封入さ
れたエアー領域を積極的に形成する必要があるため、予
め必要な粘性流体9の量を、例えばその重量等で設定し
て決めておいて、所定量の粘性流体9を流体室6の中に
入れた後、上記の回転部材3を収納して、直ぐにキャッ
プ18で流体室6の開口部を密閉する製造工程だけで良
い。従って、本発明の回転ダンパ1の製造工程は従来の
ものに比較して手間と時間が大幅に改善できるという効
果を有する。なお、エアー10及び粘性流体9の量につ
いては後述する。
【0032】図3は、上述した第1構成例の回転ダンパ
1を、ケーシング2の軸が横になるように配置し、凸壁
4を最上部に位置させるように設置して、逆回転方向、
例えば時計方向、及び正回転方向、例えば反時計方向の
両方向に回転部材を回転せしめ各終端領域でダンピング
効果を発揮するようにした作用を示す。
【0033】次に、上記のように構成された第1構成例
の回転ダンパ1の作用を図3に基いて説明する。
【0034】図3(1)は、回転部材3が時計方向(矢印
A方向)に回転して一方の終端領域に達し、この終端領
域において、本発明の回転ダンパ1の外部に設けた図示
しないストッパ部材によって開閉体の開閉動作が停止さ
れた状態を示す。外部ストッパ部材は、終端領域におい
て回転部材3の羽根5がケーシング2の凸壁4に直接当
たるのを防止する役割を有す。
【0035】回転部材3が時計方向に回転する過程にお
いて、回転部材本体12の外周面22に溝25がない部
分とケーシング2の凸壁4の先端面23とが対向した状
態に至ってから、外部ストッパ部材によって開閉体の開
閉動作が停止されるまでの間(終端領域)は、第1室7
と第2室8との間で粘性流体9の移動を許容する溝25
がほぼ閉塞されて流体通路は極めて狭い状態となる。
【0036】終端領域の初期の段階では、第1室7の上
部に残留するエアー10は、ケーシング2の凸壁先端面
23と回転部材本体12の外周面22に溝25がない部
分との間の僅かな隙間26、及びケーシング2の凸壁4
の上端面と回転部材3のフランジ部11の下面との間の
僅かな隙間26’を通して第1室7から第2室8に移動
するので、高トルクにはならない。しかし、残りのエア
ー10が第1室7から第2室8に移動した後では、粘性
流体9が上記両隙間26、26’を通過する際に両隙間
26、26’が強い流動抵抗を受けるので、高トルクが
発生する。
【0037】図3(2)は、回転部材3が図3(1)から反
時計方向(矢印B方向)に回転し始めて反時計方向への
回転ストロークの回転角が約60°の状態を示す。この
間の回転ストロークでは、回転部材3は流体通路がほぼ
閉じた状態で回転するので、第1室7の内圧は同時に低
下する。そのため、既に第1室7から移動して第2室8
の上部に滞留しているエアー10は、その大部分が第1
室7に向かって吸引されて、前記両隙間26、26’を
通して第1室7に流入する。
【0038】第2室8から両隙間26、26’を通して
第1室7へのエアー10の流入は、狭い隙間に生じるエ
アーの流動抵抗が粘性流体の流動抵抗と比較すると極め
て小さいので、容易に行なわれる。従って、反時計方向
への回転ストロークのスタートの際は、回転部材3は高
トルクを発生することなくスムーズに回転始動する。
【0039】図3(3)は、回転部材3が図3(2)の状態
から更に反時計方向に回転して回転ストロークの回転角
が約180°の状態を示す。図3(3)では、回転部材3
の羽根5は最上部に位置するケーシング2の凸壁4に対
して反対側の位置、即ち最下部に来ている。
【0040】図3(2)と図3(3)の間の回転ストローク
では、流体通路が完全に開かれているので、第2室8の
粘性流体9は流体通路を通して第1室7に容易に流入す
る。そのため、回転部材3は低トルクでスムーズに回転
する。
【0041】一方、第1室7に流入してその上部に滞留
したエアー10は、その比重が粘性流体9に比して軽
く、流体室6の上方部に留まる性質から、その一部がケ
ーシング2の上端部分に存在する前記僅かな隙間26’
を通して第2室8に移動する。そして、図3(3)に示す
状態では、エアー10は、最上部に位置するケーシング
2の凸壁4を挟んで上方に第1室7と第2室8とに略均
等に配分される。従って、エアー10の第1室7から第
2室8への流入移動は、その移動抵抗が極めて小さいも
のであるから、回転部材3が低トルクでスムーズに回転
することを妨げない。
【0042】図3(4)は、回転部材3が図3(3)の状態
から更に反時計方向に回転して他方の終端領域に達し、
反時計方向への回転ストロークの回転角が約300°の
状態を示す。
【0043】図3(3)と図3(4)の間の回転ストローク
では、流体通路が完全に開かれているので、第2室8の
粘性流体9は流体通路を通して第1室7に容易に流入す
る。一方、第1室7と第2室8とに略均等に配分されて
流体室6の上部に滞留したエアー10は、その第2室8
のエアー10の大部分が粘性流体9の移動に随伴して第
1室7に容易に流入する。そのため、回転部材3は、他
方の終端領域に達する直前までは低トルクでスムーズに
回転する。
【0044】反時計方向への回転ストローク中の回転部
材3が図3(4)に示す他方の終端領域に達すると、ケー
シング2の凸壁先端面23の位置に回転部材3の外周面
22に溝25がない部分が来るので、流体通路がほぼ閉
じられる。回転部材3が図3(4)の状態から図3(5)の
状態に反時計方向に回転する段階においては、その初期
段階では、第2室8の上部に残留している僅かな量のエ
アー10は前記両隙間26、26’を通して第1室7に
流入する。その後は、粘性流体9の僅かな量が前記両隙
間26、26’を通して第1室7に流入するだけである
から、、第2室8は高圧室に成り、回転部材3はゆっく
りと回転することになる。
【0045】図3(5)は、他方の終端領域に達した回転
部材3が更に反時計方向に回転した状態を示す。この状
態では、第2室8の上部に残留するエアー10の殆ど
は、前記両隙間26、26’を通して第1室7に流出し
終わっている。そのため、第2室8では粘性流体9で充
満された高圧室が維持されるので、高トルク域は容易に
維持される。
【0046】なお、図3(5)に示す他方の終端領域にお
いても、図示しない外部ストッパ部材によって回転部材
3の羽根5がケーシング2の凸壁4に直接接触しないよ
うにされている。
【0047】図3(6)は、回転部材3が図3(5)の状態
から逆回転方向、即ち時計方向(矢印A方向)に回転し
始めて回転ストロークの回転角が約60°の状態を示
す。図3(5)から図3(6)に示す状態になるまでの時計
方向への回転ストローク中でも、回転部材3は流体通路
がほぼ閉じた状態で回転するので、第2室8の内圧は同
時に低下する。そのため、第1室7の上部に滞留するエ
アー10は、その大部分が第2室8に向かって吸引され
て、前記両隙間26、26’を通して第2室8に流入す
る。
【0048】第1室7から第2室8への両隙間26、2
6’を通してのエアー10の流入は、僅かな隙間に生じ
るエアーの流動抵抗が極めて小さいので、容易に行なわ
れる。従って、時計方向への回転ストロークのスタート
の際も、回転部材3は高トルクを発生することなくスム
ーズに回転始動する。なお、図3(5)から図3(1)に至
る回転部材3の時計方向への回転は、図3(1)から図3
(5)に至る回転部材3の反時計方向への回転の場合の逆
の動作をし、その動作形態は反時計方向への回転の場合
と同様である。
【0049】図4は、第1実施形態の第2構成例の回転
ダンパ1を、ケーシング2の軸が横になるように配置
し、凸壁4を最上部に位置させるように設置して、回転
部材3の反時計方向への回転の終端領域でダンピング効
果を発揮するようにした作用を示す。
【0050】図4に示すように、第2構成例の回転ダン
パ1は、溝の刻設箇所と長さとが第1構成例の場合と相
違する構成である。第2構成例の溝28は、羽根5の一
側面を始端として時計方向に回転部材3の軸を中心とし
て約300°の開角度で、回転部材3の外周面22に刻
設されている。
【0051】次に、上記のように構成された第2構成例
の回転ダンパ1の作用を図4に基いて説明する。
【0052】図4(1)は、回転部材3が時計方向(矢印
A方向)に回転して一方の終端領域に達し、この終端領
域において、第1構成例の場合と同様に、図示しない外
部ストッパ部材によって開閉体の開閉動作が停止された
状態を示す。この終端領域では、第1室7と第2室8と
の間で粘性流体9の移動を許容する溝28が開放されて
流体通路は開かれているので、低トルク領域が形成され
る。
【0053】図4(2)は、回転部材3が図4(1)から反
時計方向(矢印B方向)に回転し始めて反時計方向への
回転ストロークの回転角が約60°の状態を示す。この
間の回転ストロークでは、回転部材3は流体通路が開い
た状態で回転するので、第2室8の上部に滞留するエア
ー10の大部分が回転部材3の回転により生じる第2室
8の粘性流体9の液圧によって押出されて前記僅かな隙
間26’及び 流体通路を通して第1室7に流入する。
【0054】上記の通り、エアー10の第2室8から第
1室7への流入は、容易に行なわれる。従って、反時計
方向への回転ストロークのスタートの際は、回転部材3
はトルクを発生することなくスムーズに回転始動する。
【0055】図4(3)は、回転部材3が図4(2)の状態
から更に反時計方向に回転して回転ストロークの回転角
が180°の状態を示す。この間の回転ストロークで
も、流体通路が完全に開かれているので、第2室8の粘
性流体9は流体通路を通して第1室7に容易に流入す
る。そのため、回転部材3は低トルクでスムーズに回転
する。
【0056】そして、第1室7に流入してその上部に滞
留したエアー10の一部は、図4(3)に示す状態では、
第2室8に移動し、エアー10は最上部に位置するケー
シング2の凸壁4を挟んで上方に第1室7と第2室8と
に略均等に配分される。
【0057】図4(4)は、回転部材3が図4(3)の状態
から更に反時計方向に回転して他方の終端領域に達し、
反時計方向への回転ストロークの回転角が約300°の
状態を示す。この間の回転ストロークでは、前記第1構
成例の図3(3)と図3(4)の間の回転ストロークの場合
と同様に、回転部材3は他方の終端領域に達する直前ま
では低トルクでスムーズに回転する。
【0058】反時計方向への回転ストローク中の回転部
材3が図4(4)に示す他方の終端領域に達すると、ケー
シング2の凸壁先端面23の位置に回転部材3の外周面
22に溝28がない部分が来るので、流体通路はほぼ閉
じられる。回転部材3が図4(4)の状態から図4(5)の
状態に反時計方向に回転する段階においては、その初期
段階では、第2室8の上部に残留している僅かな量のエ
アー10は前記両隙間26、26’を通して第1室7に
流入する。その後は、第2室8の粘性流体9の僅かな量
が前記両隙間26、26’を通して第1室7に流入する
だけであるから、第2室8は高圧室に成り、回転部材3
はゆっくりと回転することになる。
【0059】図4(5)は、他方の終端領域に達した回転
部材3が更に回転した状態を示す。この状態では、前記
第1構成例の場合と同様に、高圧室が発生し維持された
第2室8では、高トルク域が容易に維持される。なお、
図4(5)に示す他方の終端領域においても、図示しない
外部ストッパ部材によって回転部材3の羽根5がケーシ
ング2の凸壁4に直接接触しないようにされている。
【0060】図4(6)は、回転部材3が図4(5)の状態
から時計方向(矢印A方向)に回転し始めて回転ストロ
ークの回転角が約60°の状態を示す。この時計方向へ
の回転ストロークのスタートの際も、前記第1構成例の
場合と同様に、回転部材3は高トルクを発生することな
くスムーズに回転始動する。なお、図4(5)から図4
(1)に至る回転部材3の時計方向への回転は、図4(1)
から図4(5)に至る回転部材3の反時計方向への回転の
場合の逆の動作をし、その動作形態は反時計方向への回
転の場合と同様である。
【0061】前記第1構成例及び上記第2構成例のよう
な回転ダンパ1のいわゆる横置き設置は、開閉体が上下
方向に開閉しその軸体が横方向に取付けられている物
品、例えば、トイレの便座・便蓋、ピアノの鍵盤蓋、自
動車のグローブボックスの蓋、自動販売機の商品取出し
口蓋などに使用すると好適である。
【0062】図5は、上記第2構成例の回転ダンパをい
わゆる縦置き設置して、反時計方向への回転の終端領域
でダンピング効果を発揮するようにした作用を示す。な
お、前記第1構成例の回転ダンパを同様に縦置き設置し
て、両回転方向の終端領域でダンピング効果を発揮する
ようにしても良い。
【0063】次に、いわゆる縦置き設置された第2構成
例の回転ダンパの作用を図5に基いて説明する。
【0064】図5(1)は、回転部材3が時計方向(矢印
A方向)に回転して一方の終端領域に達し、この終端領
域において、上記第1構成例の場合と同様に、図示しな
い外部ストッパ部材によって開閉体の開閉動作が停止さ
れた状態を示す。この終端領域では、第1室7と第2室
8との間で粘性流体9の移動を許容する溝28が開放さ
れて流体通路は開かれているので、低トルク領域が形成
される。
【0065】図5(2)は、回転部材3が図5(1)から反
時計方向(矢印B方向)に回転し始めて回転ストローク
の回転角が約60°の状態を示す。この間の反時計方向
への回転ストロークでは、回転部材3は流体通路が開い
た状態で回転するので、第2室8の下部に滞留する比重
が重い粘性流体9は流体通路を通して容易に第1室7に
流入する。
【0066】一方、第2室8の上部に滞留する比重が小
さいエアー10はケーシング2の凸壁4の上端面と回転
部材3のフランジ部11の下面との間の僅かな隙間2
6’及び流体通路を通して矢印b方向に第1室7に容易
に流入する。従って、反時計方向への回転ストロークの
スタートの際は、回転部材3はトルクを発生することな
くスムーズに回転始動する。
【0067】図5(3)は、回転部材3が図5(2)の状態
から更に反時計方向に回転して回転ストロークの回転角
が約180°の状態を示す。この間の回転ストロークで
も、流体通路が完全に開かれているので、第2室8の下
層の粘性流体9は流体通路を通して、上層のエアー10
は前記僅かな隙間26’及び流体通路を通して第1室7
に容易に流入する。そのため、回転部材3は低トルクで
スムーズに回転する。なお、図5(3)に示す状態では、
第1室7及び第2室8の上層にエアー10が下層に粘性
流体9が夫々滞留して、流体室6では二層を成してい
る。
【0068】図5(4)は、回転部材3が図5(3)の状態
から更に反時計方向に回転して他方の終端領域に達し、
反時計方向への回転ストロークの回転角が約300°の
状態を示す。この間の回転ストロークでは、流体通路が
開かれているので、第2室8の下層の粘性流体9は流体
通路を通して、上層のエアー10は前記僅かな隙間2
6’及び流体通路を通して図5(4)で示す矢印b方向に
第1室7に容易に流入する。そのため、回転部材3は他
方の終端領域に達する直前までは低トルクでスムーズに
回転する。
【0069】反時計方向への回転ストロークの回転部材
3が図5(4)に示す他方の終端領域に達すると、ケーシ
ング2の凸壁先端面23の位置に回転部材3の外周面2
2に溝28がない部分が来るので、流体通路が閉じられ
る。回転部材3が図5(4)の状態から図5(5)の状態に
反時計方向に回転する段階においては、その初期段階で
は、第2室8の上層に残留している僅かな量のエアー1
0は前記両隙間26、26’を通して第1室7に流入す
る。その後は、下層の粘性流体9の僅かな量が前記両隙
間26、26’を通して第1室7に流入するだけである
から、第2室8は高圧室に成り、回転部材3はゆっくり
と回転することになる。
【0070】図5(5)は、他方の終端領域に達した回転
部材3が更に回転した状態を示す。この状態では、前記
第1構成例の場合と同様に第2室8の下層に滞留した粘
性流体は、流体通路がほぼ閉じられているので、前記両
隙間26、26’を通して僅かな量が第1室7に流出す
るにすぎない。そのため、高圧室が発生し維持された第
2室8では、高トルク域が容易に維持される。
【0071】図5(6)は、回転部材3が図5(5)の状態
から時計方向(矢印A方向)に回転し始めて回転ストロ
ークの回転角が約60°の状態を示す。
【0072】図5(5)から図5(6)に示す状態になるま
での間の時計方向への回転ストロークでは、流体通路が
ほぼ閉じた状態で回転部材3が回転するので、その回転
と同時に、第2室8に滞留する容積が一定の粘性流体9
の上面は下降する。その結果、同時に内圧が低下した空
間室が第2室8の上部に発生する。そのため、第1室7
の上層に充満したエアー10は、第2室8に向かって吸
引されて、前記僅かな隙間26’、26を通して矢印a
方向に第2室8の上部空間室に容易に流入する。従っ
て、回転部材3の時計方向への回転ストロークのスター
トの際は、回転部材3は高トルクを発生することなくス
ムーズに回転始動する。
【0073】なお、図5(5)から図5(1)に至る回転部
材3の時計方向への回転は、図5(1)から図54(5)に
至る回転部材3の反時計方向への回転の場合の逆の動作
をし、その動作形態は反時計方向への回転の場合と同様
である。
【0074】回転ダンパ1の上記いわゆる縦置き設置
は、開閉体が左右方向に開閉しその軸体が縦方向に取付
けられている物品、例えば、ドアの扉などに使用すると
好適である。
【0075】図6は、第3構成例の回転ダンパをいわゆ
る横置き設置して、回転部材3の時計方向及び反時計方
向の両方向への回転の各終端領域でダンピング効果を発
揮するようにした作用を示す。
【0076】第3構成例の回転ダンパ1は、回転部材3
の羽根5とケーシング2の凸壁4を各2個有し、回転部
材本体12の外周面22には、軸方向に沿って設けられ
た2個の羽根5、5の中間部の周方向に、回転部材3の
軸を中心として約90°の開角度で、深さが一定した2
個の溝29が刻設されていることを特徴とする。そのた
め、第3構成例の流体室6は、2個の羽根5、5と2個
の凸壁4、4とによって第1室7、第2室8、第3室
7’及び第4室8’に区画されている。
【0077】次に、上記のように構成された第3構成例
の回転ダンパ1の作用を図6に基いて説明する。
【0078】図6(1)は、回転部材が時計方向(矢印A
方向)に回転して一方の終端領域に達し、この終端領域
において、図示しない外部ストッパ部材によって開閉体
の開閉動作が停止された状態を示す。
【0079】回転部材3が時計方向に回転する過程にお
いて、回転部材本体12の外周面22に溝29がない部
分とケーシング2の凸壁先端面23とが対向した状態に
至ってから、外部ストッパ部材によって開閉体の開閉動
作が停止されるまでの間(終端領域)は、第1室7と第
2室8との間、及び第3室7’と第4室8’との間で粘
性流体9の移動を許容する溝29がほぼ閉塞されて流体
通路は極めて狭い状態となる。
【0080】終端領域の初期の段階では、第1室7の上
部に残留するエアー10が、前記僅かな両隙間26、2
6’を通して第1室7から第2室8へ移動するので、高
トルクにはならない。しかし、エアー10が第1室7か
ら第2室8へ移動した後では、粘性流体9が上記両隙間
26、26’を通過する際、両隙間26、26’が強い
流動抵抗を受けるので、高トルクは発生して維持され
る。
【0081】図6(2)は、回転部材3が図6(1)から反
時計方向(矢印B方向)に回転し始めて反時計方向への
回転ストロークの回転角が約45°の状態を示す。この
間の回転ストロークでは、回転部材3は流体通路がほぼ
閉じた状態で回転するので、第1室7の内圧は同時に低
下する。そのため、第2室8の上部に滞留するエアー1
0は、その一部分が第1室7に向かって吸引されて、前
記両隙間26、26’を通して第1室7に流入する。
【0082】エアー10の第2室8から第1室7への流
入は、僅かな隙間26、26’に生じるエアー10の流
動抵抗が粘性流体9の流動抵抗と比較すると極めて小さ
いので、容易に行なわれる。従って、反時計方向への回
転ストロークのスタートの際は、回転部材3は高トルク
を発生することなくスムーズに回転始動する。なお、流
体室6の下方に位置する第3室7’と第4室8’との間
ではエアー10の移動がないので、高トルクが発生す
る。しかし、第3構成例においては、反時計方向への回
転ストロークのスタート段階では、回転部材3は前記第
1構成例及び第2構成例の場合に比して多少高トルクと
なるが、エアー領域のない従来の回転ダンパに比べれ
ば、充分な低トルクが得られる。
【0083】図6(3)は、回転部材3が図6(2)の状態
から更に反時計方向に回転して回転ストロークの回転角
が約90°の状態を示す。図6(3)では、回転部材3の
2個の羽根5、5はケーシング2の2個の縦方向の凸壁
4、4に対して直交する位置にある。
【0084】図6(2)と図6(3)の間の回転ストローク
では、各流体通路が完全に開かれているので、第2室8
及び第4室8’の粘性流体9は各流体通路を通して第1
室7及び第3室7’に容易に流入する。そのため、回転
部材3は低トルクでスムーズに回転する。
【0085】一方、第1室7に流入してその上部に滞留
したエアー10と、第2室8に残留するエアー10と
は、図6(3)に示す状態では、最上部に位置するケーシ
ング2の凸壁4を挟んで上方に第1室7と第2室8とに
略均等に配分される。
【0086】図6(4)は、回転部材が図6(3)の状態か
ら更に反時計方向に回転して他方の終端領域に達し、反
時計方向への回転ストロークの回転角が約135°の状
態を示す。
【0087】図6(3)と図6(4)の間の回転ストローク
では、各流体通路が完全に開かれているので、第4室
8’の粘性流体9は一方の流体通路を通して第3室7’
に容易に流入し、第2室8の上部に滞留したエアー10
と、第2室8に滞留した粘性流体9の一部分とは、他方
の流体通路を通して第1室7に容易に流入する。そのた
め、回転部材3は他方の終端領域に達する直前までは低
トルクでスムーズに回転する。
【0088】反時計方向への回転ストロークの回転部材
3が図6(4)に示す他方の終端領域に達すると、ケーシ
ング2の凸壁先端面23の位置に回転部材3の外周面2
2に溝29がない部分が来るので、流体通路がほぼ閉じ
られる。回転部材3が図6(4)の状態から図6(5)の状
態に反時計方向に回転する段階においては、その初期段
階では、第2室8に残留している僅かな量のエアー10
は前記両隙間26、26’を通して第1室7に流入す
る。その後は、粘性流体9の僅かな量が前記両隙間2
6、26’を通して第1室7に流入するだけであるか
ら、第2室8及び第4室8’は高圧室に成り、回転部材
3はゆっくりと回転することになる。
【0089】図6(5)は、他方の終端領域に達した回転
部材3が更に回転した状態を示す。この状態では各流体
通路がほぼ閉じられているので、第2室8及び第4室は
高圧室に成る。高圧室8、8’に滞留する粘性流体9
は、その一部分が僅かな隙間26、26’を通して第1
室7及び第3室7’に流出するにすぎない。そのため、
第2室8及び第4室8’は粘性流体9で充満された高圧
室が夫々維持されるので、高トルク域は容易に維持され
る。
【0090】なお、図6(5)に示す他方の終端領域にお
いても、図示しない外部ストッパ部材によって回転部材
3の羽根5、5がケーシング2の凸壁4、4に直接接触
しないようにされている。
【0091】図6(6)は、回転部材3が図6(5)の状態
から時計方向(矢印A方向)に回転し始めて回転ストロ
ークの回転角が約45°の状態を示す。この間の時計方
向への回転ストロークでは、回転部材3は各流体通路が
ほぼ閉じた状態で回転するので、第2室8の内圧は同時
に低下する。そのため、第1室7の上部に滞留するエア
ー10は、その一部分が第2室8に向かって吸引され
て、前記両隙間26、26’を通して第2室8に流入す
る。
【0092】エアー10の第1室7から第2室8への流
入は、僅かな隙間26、26’に生じるエアーの流動抵
抗が粘性流体の流動抵抗と比較すると極めて小さいの
で、容易に行なわれる。従って、時計方向への回転スト
ロークのスタートの際も、回転部材3は高トルクを発生
することなくスムーズに回転始動する。
【0093】なお、図6(5)から図6(1)に至る回転部
材3の時計方向への回転は、図6(1)から図6(5)に至
る回転部材3の反時計方向への回転の場合の逆の動作を
し、その動作形態は反時計方向への回転の場合と同様で
ある。
【0094】上記第3構成例の回転ダンパ1は、第1及
び第2構成例の場合に比べて回転部材3の回転ストロー
クが短く、終端領域で発揮するダンピング効果が大きい
という特徴を有する。そのため、開閉角度が少なく終端
領域で大きな高トルクが必要な開閉体に使用すると好適
である。
【0095】次に、本発明の回転ダンパの第2実施の形
態について説明する。なお、第1実施の形態と同一の構
成部分には同一の符合を付す。
【0096】図7は本発明の第1構成例の回転ダンパの
縦断面図、図8は図7のA-A線に沿う断面図、図9は
第1構成例の回転ダンパの時計方向(逆回転方向)及び
反時計方向(正回転方向)への回転時におけるダンピン
グ効果を示す図、図10は第2構成例の回転ダンパの時
計方向及び反時計方向への回転時におけるダンピング効
果を示す図、図11は第2構成例の回転ダンパを縦置き
にして時計方向及び反時計方向への回転時におけるダン
ピング効果を示す図、図12は第3構成例の回転ダンパ
の時計方向及び反時計方向への回転時におけるダンピン
グ効果を示す図をそれぞれ示す。
【0097】図7及び図8に示すように、上述した第1
実施の形態の溝25の代わりに、第2実施の形態のプラ
スチック製の回転ダンパ1は、回転部材本体12を貫通
し端面が矩形の長孔225を設けたことを特徴とする。
長孔225が形成された回転部材本体12の箇所とこの
長孔225の形態よって、流体室6において高トルクな
いし低トルクの発生領域と発生トルクの大きさは決定さ
れる。なお、長孔225の断面は矩形でなくても良い。
【0098】図9は、上記第1構成例の回転ダンパを、
ケーシング2の軸が横になるように配置し、凸壁4を最
上部に位置させるように設置して、回転部材3の時計方
向及び反時計方向の両方向への回転の各終端領域でダン
ピング効果を発揮するようにした作用を示す。
【0099】次に、第1構成例の回転ダンパの作用を図
9に基いて説明する。
【0100】図9(1)は、回転部材3が時計方向(矢印
A方向)に回転して一方の終端領域に達し、この終端領
域において、前記第1実施の形態の場合と同様に、図示
しない外部ストッパ部材によって開閉体の開閉動作が停
止された状態を示す。なお、流体室6は、1個の羽根5
と1個の凸壁4とによって第1室7と第2室8とに区画
されている。
【0101】回転部材3が時計方向に回転する過程にお
いて、回転部材本体12に形成した長孔225が第1室
7と第2室8との間を連通しない状態に至ってから、外
部ストッパ部材によって開閉体の開閉動作が停止される
までの間(終端領域)は、第1室7と第2室8との間で
長孔225を通しての粘性流体9の移動は制限され、流
体通路は極めて狭い状態となる。
【0102】終端領域の初期の段階では、第1室7の上
部に残留するエアー10が、前記第1実施の形態の場合
と同様に、前記僅かな両隙間26、26’を通して第1
室7から第2室8へ移動するので、高トルクにはならな
い。しかし、エアー10が第1室7から第2室8へ移動
した後では、粘性流体9が上記両隙間26、26’を通
過する際、両隙間26、26’が強い流動抵抗を受ける
ので、高トルクが発生する。
【0103】図9(2)は、回転部材3が図9(1)から反
時計方向(矢印B方向)に回転し始めて反時計方向への
回転ストロークの回転角が約60°の状態を示す。この
間の回転ストロークでは、前記第1実施の形態の第1構
成例の場合と同様に、第2室8のエアー10は第1室7
に容易に流入する。従って、反時計方向への回転ストロ
ークのスタートの際は、回転部材3は高トルクを発生す
ることなくスムーズに回転始動する。
【0104】図9(3)は、回転部材3が図9(2)の状態
から更に反時計方向に回転して回転ストロークの回転角
が約180°の状態を示す。この間の回転ストロークで
は、第1室7と第2室8を粘性流体9が連通する流体通
路は完全に開かれているので、第2室8の粘性流体9は
流体通路を通して第1室7に容易に流入する。そのた
め、回転部材3は低トルクでスムーズに回転する。
【0105】図9(4)は、回転部材3が図9(3)の状態
から更に反時計方向に回転して他方の終端領域に達し、
反時計方向への回転ストロークの回転角が約300°の
状態を示す。この間の回転ストロークでは、流体通路が
完全に開かれているので、他方の終端領域に達する直前
までは、回転部材3は低トルクでスムーズに回転する。
【0106】反時計方向への回転ストロークの回転部材
3が図9(4)に示す他方の終端領域に達すると、回転部
材本体12に形成した長孔225が第1室7と第2室8
との間を連通しない状態に至るので、流体通路がほぼ閉
じられる。回転部材3が図9(4)の状態から図9(5)の
状態に反時計方向に回転する段階においては、その初期
段階では、第2室8の上部に残留している僅かな量のエ
アー10は前記両隙間26、26’を通して第1室7に
流入する。その後は、粘性流体9の僅かな量が前記両隙
間26、26’を通して第1室7に流入するだけである
から、第2室8は高圧室に成り、回転部材3はゆっくり
と回転することになる。
【0107】図9(5)は、他方の終端領域に達した回転
部材3が更に回転した状態を示す。この状態では、第2
室8では粘性流体9で充満された高圧室が維持されるの
で、高トルク域は容易に維持される。
【0108】図9(6)は、回転部材3が図9(5)の状態
から時計方向(矢印A方向)に回転し始めて回転ストロ
ークの回転角が約60°の状態を示す。この間の時計方
向への回転ストロークでも、回転部材3は流体通路がほ
ぼ閉じた状態で回転するので、第2室8の内圧は同時に
低下する。そのため、第1室7の上部に滞留するエアー
10はその大部分が第2室8に向かって吸引されて、前
記両隙間26、26’を通して第2室8に容易に流入す
る。従って、時計方向への回転ストロークのスタートの
際も、回転部材3は高トルクを発生することなくスムー
ズに回転始動する。
【0109】なお、図9(5)から図9(1)に至る回転部
材3の時計方向への回転は、図9(1)から図9(5)に至
る回転部材3の反時計方向への回転の場合の逆の動作を
し、その動作形態は反時計方向への回転の場合と同様で
ある。
【0110】図10は、第2構成例の回転ダンパをいわ
ゆる横置き設置して、反時計方向への回転の終端領域で
ダンピング効果を発揮するようにした作用を示す。
【0111】図10に示す第2構成例の回転ダンパは、
長孔の形態が前記第1構成例の場合とは相違する構成で
ある。第2構成例の長孔228は、縦断面が鉤型でその
鉤部229が羽根5の一側面まで延びた形態を有する。
【0112】次に、上記のように構成された第2構成例
の回転ダンパの作用を図10に基いて説明する。
【0113】図10(1)は、回転部材3が時計方向(矢
印A方向)に回転して一方の終端領域に達し、この終端
領域において、図示しない外部ストッパ部材によって開
閉体の開閉動作が停止された状態を示す。この終端領域
では、第1室7と第2室8を連通する長孔228が開放
されて流体通路は開かれているので、低トルク領域が形
成される。
【0114】図10(2)は、回転部材3が図10(1)か
ら反時計方向(矢印B方向)に回転し始めて反時計方向
への回転ストロークの回転角が約60°の状態を示す。
この間の回転ストロークでは、回転部材3は流体通路が
開いた状態で回転するので、高トルクを発生することな
くスムーズに回転始動する。
【0115】図10(3)は、回転部材3が図10(2)の
状態から更に反時計方向に回転して回転ストロークの回
転角が約180°の状態を示す。この間の回転ストロー
クでも、流体通路が完全に開かれているので、回転部材
3は低トルクでスムーズに回転する。
【0116】図10(4)は、回転部材3が図10(3)の
状態から更に反時計方向に回転して他方の終端領域に達
し、反時計方向への回転ストロークの回転角が約300
°の状態を示す。この間の回転ストロークでも、回転部
材3は他方の終端領域に達する直前までは低トルクでス
ムーズに回転する。
【0117】反時計方向への回転ストロークの回転部材
3が図10(4)に示す他方の終端領域に達すると、回転
部材本体12に形成した長孔228が第1室7と第2室
8との間を連通しない状態に至るので、流体通路がほぼ
閉じられる。回転部材3が図10(4)の状態から図10
(5)の状態に反時計方向に回転する段階においては、そ
の初期段階では、第2室8の上部11に残留している僅か
な量のエアー10は前記両隙間26、26’を通して第
1室7に流入する。その後は、粘性流体9の僅かな量が
前記両隙間26、26’を通して第1室7に流入するだ
けであるから、第2室8は高圧室に成り、回転部材3は
ゆっくりと回転することになる。
【0118】図10(5)は、他方の終端領域に達した回
転部材3が更に回転した状態を示す。この状態では、第
1構成例の場合と同様に、高圧室が維持された第2室8
では、高トルク域が容易に維持される。
【0119】図10(6)は、回転部材3が図10(5)の
状態から時計方向(矢印A方向)に回転し始めて回転ス
トロークの回転角が約60°の状態を示す。時計方向へ
の回転ストロークのスタートの際も、上記第1構成例の
場合と同様に、回転部材3は高トルクを発生することな
くスムーズに回転始動する。
【0120】なお、図10(5)から図10(1)に至る回
転部材3の時計方向への回転は、図10(1)から図10
(5)に至る回転部材3の反時計方向への回転の場合の逆
の動作をし、その動作形態は反時計方向への回転の場合
と同様である。
【0121】図11は、上記第2構成例の回転ダンパを
いわゆる縦置き設置して、回転部材3の反時計方向への
回転の終端領域でダンピング効果を発揮するようにした
作用を示す。なお、前記第1構成例の回転ダンパを縦置
き設置して、両回転方向への終端領域でダンピング効果
を発揮するようにしても良い。
【0122】次に、いわゆる縦置き設置された第2構成
例の回転ダンパの作用を図11に基いて説明する。
【0123】図11(1)は、回転部材3が時計方向(矢
印A方向)に回転して一方の終端領域に達し、図示しな
い外部ストッパ部材によって開閉体の開閉動作が停止さ
れた状態を示す。この終端領域では、第1室7と第2室
8を連通する長孔228が開放されて流体通路は開かれ
ているので、低トルク領域が形成される。
【0124】図11(2)は、回転部材3が図11(1)か
ら反時計方向(矢印B方向)に回転し始めて反時計方向
への回転ストロークの回転角が約60°の状態を示す。
この間の反時計方向への回転ストロークでは、回転部材
3は流体通路が開いた状態で回転するので、第2室8の
下部に滞留する比重が重い粘性流体9は流体通路を通し
て容易に第1室7に流入する。一方、第2室8の上部に
滞留する比重が軽いエアー10はケーシング2の凸壁4
の上端面と回転部材3のフランジ部11の下面との間の
僅かな隙間26’と、流体通路とを通して矢印b方向に
第1室7に容易に流入する。従って、図11(1) と図
11(2)との間の回転ストロークのスタートの際は、回
転部材3は高トルクを発生することなくスムーズに回転
始動する。
【0125】図11(3)は、回転部材3が図11(2)の
状態から更に反時計方向に回転して回転ストロークの回
転角が約180°の状態を示す。この間の回転ストロー
クでも、流体通路が完全に開かれているので、第2室8
の下層の粘性流体9は流体通路を通して、第2室8の上
層のエアー10は前記隙間26’と流体通路とを通し
て、第1室7に容易に流入する。そのため、回転部材3
は低トルクでスムーズに回転する。
【0126】図11(4)は、回転部材3が図11(3)の
状態から更に反時計方向に回転して他方の終端領域に達
し、反時計方向への回転ストロークの回転角が約300
°の状態を示す。この間の回転ストロークでは、流体通
路が開かれているので、第2室8の下層の粘性流体9は
流体通路を通して、第2室8の上層のエアー10は前記
隙間26’と流体通路とを通して、矢印b方向に第1室
7に容易に流入する。そのため、回転部材3は他方の終
端領域に達する直前までは低トルクでスムーズに回転す
る。
【0127】反時計方向への回転ストロークの回転部材
3が図11(4)に示す他方の終端領域に達すると、回転
部材本体12に形成した長孔228が第1室7と第2室
8との間を連通しない状態に至るので、流体通路がほぼ
閉じられる。回転部材3が図11(4)の状態から図11
(5)の状態に反時計方向に回転する段階において、その
初期段階では、第2室8の上部に残留している僅かな量
のエアー10は前記両隙間26、26’を通して第1室
7に流入する。その後は、粘性流体9の僅かな量が前記
両隙間26、26’を通して第1室7に流入するだけで
あるから、第2室8は高圧室に成り、回転部材3はゆっ
くりと回転することになる。
【0128】図11(5)は、他方の終端領域に達した回
転部材3が更に回転した状態を示す。図11(4) と図
11(5)との間の回転ストロークでは、第2室8の上層
に残留したエアー10は前記両隙間26、26’を通し
て図11(4)で示す矢印b方向に第1室7に容易に流入
する。一方、第2室8の下層に滞留した粘性流体9の大
部分は、流体通路がほぼ閉じられているので、第2室8
に留まる。そのため、高圧室が維持された第2室8で
は、高トルク域が容易に維持される。
【0129】図11(6)は、回転部材3が図11(5)の
状態から時計方向(矢印A方向)に回転し始めて回転ス
トロークの回転角が約60°の状態を示す。この間の時
計方向への回転ストロークでは、流体通路がほぼ閉じた
状態で回転部材3が回転するので、その回転と同時に、
第2室8に滞留する容積が一定の粘性流体9の上面は下
降して、第2室8の上部に内圧が低下した空間室が発生
する。そのため、第1室7の上層に充満したエアー10
は、矢印a方向に第2室8に向かって吸引されて、前記
両隙間26、26’を通して第2室8の上部空間室に容
易に流入する。従って、時計方向への回転ストロークの
スタートの際は、回転部材3は高トルクを発生すること
なくスムーズに回転始動する。
【0130】なお、図11(5)から図11(1)に至る回
転部材3の時計方向への回転は、図11(1)から図11
(5)に至る回転部材3の反時計方向への回転の場合の逆
の動作をし、その動作形態は反時計方向への回転の場合
と同様である。
【0131】図12は、第3構成例の回転ダンパをいわ
ゆる横置き設置して、回転部材3の時計方向及び反時計
方向の両方向への回転の各終端領域でダンピング効果を
発揮するようにした作用を示す。
【0132】第3構成例の回転ダンパ1は、回転部材3
の羽根5とケーシング2の凸壁4とを各2個有し、前記
第1構成例の長孔225を対で回転部材本体12に形成
したことを特徴とする。第3構成例の流体室6は、2個
の羽根5、5と2個の凸壁4、4とによって第1室7、
第2室8、第3室7’及び第4室8’に区画されてい
る。
【0133】次に、上記のように構成された第3構成例
の回転ダンパ1の作用を図12に基いて説明する。
【0134】図12(1)は、回転部材3が時計方向(矢
印A方向)に回転して一方の終端領域に達し、図示しな
い外部ストッパ部材によって開閉体の開閉動作が停止さ
れた状態を示す。
【0135】回転部材3が時計方向に回転する過程にお
いて、回転部材本体12に形成した長孔225、225
が第1室7と第2室8との間を連通しない状態に至って
から、外部ストッパ部材によって開閉体の開閉動作が停
止されるまでの間(終端流域)は、第1室7と第2室8
との間、及び第3室7’と第4室8’との間で粘性流体
9の移動は制限され、流体通路は極めて狭い状態とな
る。
【0136】終端領域の初期の段階では、第1室7の上
部に残留するエアー10が、前記第1実施の形態の場合
と同様に、前記僅かな両隙間26、26’を通して第1
室7から第2室8へ移動するので、高トルクにはならな
い。しかし、エアー10が第1室7から第2室8へ移動
した後では、粘性流体9が上記両隙間26、26’を通
過する際、両隙間26、26’が強い流動抵抗を受ける
ので、高トルクが発生する。
【0137】図12(2)は、回転部材3が図12(1)か
ら反時計方向(矢印B方向)に回転し始めて回転ストロ
ークの回転角が約45°の状態を示す。反時計方向への
この間の回転ストロークでは、回転部材3は各流体通路
がほぼ閉じた状態で回転するので、第1室7の内圧は同
時に低下する。そのため、第2室8の上部に滞留するエ
アー10は、その一部分が第1室7に向かって吸引され
て、前記両隙間26、26’を通して第1室7に容易に
流入する。従って、図12(1) と図12(2)との間の
回転ストロークのスタートの際は、回転部材3は高トル
クを発生することなくスムーズに回転始動する。
【0138】なお、流体室6の下方に位置する第3室
7’と第4室8’との間ではエアー10の移動がないの
で、高トルクが発生する。しかし、第3構成例において
は、反時計方向への回転ストロークのスタート段階では
回転部材3は前記第1構成例及び第2構成例の場合にに
比して多少高トルクとなるが、エアー領域のない従来の
回転ダンパに比べれば、充分な低トルクが得られる。
【0139】図12(3)は、回転部材が図12(2)の状
態から更に反時計方向に回転して回転ストロークの回転
角が約90°の状態を示す。この間の反時計方向への回
転ストロークでは、各流体通路が完全に開かれていて、
第2室8及び第4室8’の粘性流体9は各流体通路を通
して第3室7’及び 第1室7に容易に流入するので、
回転部材3は低トルクでスムーズに回転する。
【0140】図12(4)は、回転部材3が図12(3)の
状態から更に反時計方向に回転して他方の終端領域に達
し、反時計方向への回転ストロークの回転角が約135
°の状態を示す。この間の回転ストロークでは、各流体
通路が完全に開かれているので、第4室8’の粘性流体
9は一方の流体通路を通して第1室7に容易に流入し、
第2室8に滞留した粘性流体9の一部分は他方の流体通
路を通して第3室7’に容易に流入する。一方、第2室
8の上部に滞留したエアー10は前記両隙間26、2
6’を通して第1室7に流入する。そのため、回転部材
3は他方の終端領域に達する直前までは低トルクでスム
ーズに回転する。
【0141】反時計方向への回転ストロークの回転部材
3が図12(4)に示す他方の終端領域に達すると、回転
部材本体12に形成した各長孔225、225が第1室
7と第2室8との間を連通しない状態に至るので、流体
通路がほぼ閉じられる。回転部材3が図12(4)の状態
から図12(5)の状態に反時計方向に回転する段階にお
いて、その初期段階では、第2室8の上部に残留してい
る僅かな量のエアー10は前記両隙間26、26’を通
して第1室7に流入する。その後は、粘性流体9の僅か
な量が前記両隙間26、26’を通して第1室7に流入
するだけであるから、第2室8及び第4室8’は高圧室
と成り、回転部材3はゆっくりと回転することになる。
【0142】図12(5)は、他方の終端領域に達した回
転部材3が更に回転した状態を示す。この状態では、各
高圧室8、8’に滞留する粘性流体9は、その一部分が
前記両隙間26、26’を通して第1室7及び第3室
7’に流出するにすぎない。そのため、粘性流体9で充
満された第2室8及び第4室8’では高圧室が夫々維持
されるので、高トルク域は容易に維持される。なお、他
方の終端領域においても、図示しない外部ストッパ部材
によって回転部材3の羽根5、5がケーシング2の凸壁
4、4に直接接触しないようにされている。
【0143】図12(6)は、回転部材が図12(5)の状
態から時計方向(矢印A方向)に回転し始めて回転スト
ロークの回転角が約45°の状態を示す。この間の時計
方向への回転ストロークにおいては、回転部材3は各流
体通路がほぼ閉じた状態で回転するので、第2室8の内
圧は同時に低下する。そのため、第1室7の上部に滞留
するエアー10は、その一部分が第2室に向かって吸引
されて前記両隙間26、26’を通して第2室8に容易
に流入する。従って、図12(5) と図12(6)との間
の回転ストロークのスタートの際も、回転部材3は高ト
ルクを発生することなくスムーズに回転始動する。
【0144】なお、図12(5)から図12(1)に至る回
転部材3の時計方向への回転は、図12(1)から図12
(5)に至る回転部材3の反時計方向への回転の場合の逆
の動作をし、その動作形態は反時計方向への回転の場合
と同様である。
【0145】本発明の回転ダンパの上述した第1及び第
2実施の形態において、反時計方向への回転ストローク
の終端領域で高トルクが発生し、時計方向への回転スト
ロークの始端領域で発生トルクが低く維持されてスムー
ズな回転始動が得られるための気体領域の容積の範囲
は、気体としてエアーを使用した実験結果によれば次の
通りである。この実験結果は、第1実施の形態及び第2
実施の形態における第1構成例、第3構成例の時計方向
への回転ストロークの終端領域で高トルクが発生し、反
時計方向への回転ストロークの終端領域で発生トルクが
低く維持されてスムーズな回転始動が得られるための条
件にも適用される。
【0146】(1)達成可能な最大及び最小のエアー容
積に関して、その最大量は前記高圧室の最大容積を除い
た残りの全ての流体室の容積であり、その最少量は前記
高圧室の最大容積の約10%である。なお、エアー容積
をこの最大量とした場合には、便座・便蓋・ドア等を移
動させるに当たって、その移動の最終端まで移動させた
後に反転移動させる必要がある。 (2)達成可能な最適のエアー容積は、前記高圧室の容
積の約60〜100%である。 (3)実施上有効なエアー容積は、使用条件、使用目的
等によって適宜選択して利用されることになるが、実際
上、ダンパ高トルク域容積、即ち前記高圧室の容積の2
00%程度以下であれば、かなり満足度の高いダンパ効
果が得られる。
【0147】上述した第1及び第2実施の形態におい
て、プラスチック製回転ダンパについて説明したが、本
発明の回転ダンパはプラスチック材料に限られるもので
はなく、金属材料でも製造可能であり、プラスチック材
料と金属材料を組合せて製造することもできる。特に開
閉体が大型の場合や重量物の場合では、金属製回転ダン
パにすると好適である。
【0148】なお、図13は、上述した第1及び第2実
施の形態において回転部材の時計方向及び反時計方向の
両方向への回転の両終端領域で高トルクが発生する場合
を弁機構のない従来例の場合と比較したトルク線図を示
す。
【0149】図13(1)に示す従来の回転ダンパでは、
反時計方向への回転の始端領域と終端領域とでは、高ト
ルクが発生し、時計方向への回転の始端領域と終端領域
とでは、高トルクが発生する。
【0150】一方、図13(2)に示す本発明の回転ダン
パでは、反時計方向への回転の始端領域では発生するト
ルクは低く、その終端領域では、高トルクが発生し、時
計方向への回転の始端領域では、発生するトルクは低
く、その終端領域では、高トルクが発生する。
【0151】また、図14は、上述した第1及び第2実
施の形態において回転部材の時計方向及び反時計方向へ
の回転の一方の終端領域で高トルクが発生する場合を弁
機構のない従来例の場合と比較したトルク線図を示す。
【0152】図14(1)に示す従来の回転ダンパでは、
回転部材の反時計方向への回転の終端領域では、高トル
クが発生し、時計方向への回転の始端領域では、高トル
クが発生する。
【0153】一方、図14(2)に示す本発明の回転ダン
パでは、回転部材の反時計方向への回転の終端領域で
は、高トルクが発生し、時計方向への回転の始端領域で
は、発生するトルクは低い。
【0154】
【発明の効果】以上のように、本発明の回転ダンパは、
複雑な構造の弁機構を設けないで、回転部材の特定方向
への回転ストロークの終端領域でダンピング力が与えら
れその逆方向への回転ストロークの始端領域でダンピン
グ力が発生することなくスムーズに回転始動する効果を
発揮するとともに、弁機構を無くすることにより構造が
極めて簡単になり、その結果回転ダンパを小型化でき、
小型又は軽量の開閉体にも取付け可能であると共に、製
造工程が縮小されて製造コストが低減され、更には、複
雑な構造の弁機構の破損の問題も生じないという効果を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態の第1構成例の回転ダ
ンパを示す縦断面図。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】図1の第1構成例の回転ダンパの時計方向及び
反時計方向への回転時におけるダンピング効果を示す
図。
【図4】本発明の第1実施の形態の第2構成例の回転ダ
ンパの時計方向及び反時計方向への回転時におけるダン
ピング効果を示す図。
【図5】図4の第2構成例の回転ダンパを縦置きにして
時計方向及び反時計方向への回転時におけるダンピング
効果を示す図。
【図6】本発明の第1実施の形態の第3構成例の回転ダ
ンパの時計方向及び反時計方向への回転時におけるダン
ピング効果を示す図。
【図7】本発明の第2実施の形態の第1構成例の回転ダ
ンパを示す縦断面図。
【図8】図7のA−A線に沿う断面図。
【図9】図7の第1構成例の回転ダンパの時計方向及び
反時計方向への回転時におけるダンピング効果を示す
図。
【図10】本発明の第2実施の形態の第2構成例の回転
ダンパの時計方向及び反時計方向への回転時におけるダ
ンピング効果を示す図。
【図11】図10の第2構成例の回転ダンパを縦置きに
して時計方向及び反時計方向への回転時におけるダンピ
ング効果を示す図。
【図12】本発明の第2実施の形態の第3構成例の回転
ダンパの時計方向及び反時計方向への回転時におけるダ
ンピング効果を示す図。
【図13】回転部材が時計方向及び反時計方向に回転す
る両終端領域で高トルクが発生する場合のトルク線図
で、(1)は従来例の回転ダンパの場合のトルク線図、
(2)は本発明の第1実施の形態及び第2実施の形態の
回転ダンパの場合のトルク線図。
【図14】回転部材が時計方向及び反時計方向に回転す
る一方の終端領域で高トルクが発生する場合のトルク線
図で、(1)は従来例の回転ダンパの場合のトルク線
図、(2)は本発明の第1実施の形態及び第2実施の形
態の回転ダンパの場合のトルク線図。
【符号の説明】
1…回転ダンパ、2…ケーシング、3…回転部材、4…
凸壁、5…羽根、6…流体室、7…第1室、8…第2
室、7’…第3室、8’…第4室、9…粘性流体、10
…エアー、11…フランジ部、12…回転部材の本体、
13…回転部材のの軸部、14…低部、15…軸受凹
部、16…ケーシングの端部、17…Oリング、18…
キャップ、19…回転部材の凸部、20…軸受開口、2
1…内周面、22…外周面、23…凸壁の先端面、24
…羽根の先端面、25…溝、26、26’…僅かな隙
間、28…溝、29…溝、225…長孔、228…長
孔、229…長孔の鉤部。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に粘性流体が収納される流体室を有
    するケーシングと、該ケーシングに対して相対回転自在
    に前記流体室に収容される回転部材と、前記ケーシング
    の内周面に軸方向に沿って設けられて内方に突出し、前
    記回転部材の外周面に近接する先端面を有する凸壁と、
    前記回転部材の外周面に軸方向に沿って設けられて外方
    に突出し、前記ケーシングの内周面に近接する先端面を
    有する羽根と、前記流体室が該羽根と前記凸壁とによっ
    て区画された少なくとも第1室及び第2室と、該第1室
    と該第2室との間で粘性流体の移動を許容する流体通路
    とを備え、該流体通路は、前記回転部材の少なくとも一
    方向への回転ストロークの終端領域においてその通路が
    ほぼ閉塞するように構成された回転ダンパにおいて、前
    記流体室の中に、気体が封入された気体領域を形成した
    ことを特徴とする回転ダンパ。
  2. 【請求項2】 前記ケーシングを軸が横になるように配
    置し、前記凸壁を最上部に位置させることを特徴とする
    請求項1に記載の回転ダンパの設置方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014005883A (ja) * 2012-06-25 2014-01-16 Somic Ishikawa Inc ロータリダンパー
JP2018134510A (ja) * 2018-06-06 2018-08-30 株式会社三洋物産 遊技機

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JP2018134510A (ja) * 2018-06-06 2018-08-30 株式会社三洋物産 遊技機

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