JP6218420B2 - 速度制御装置 - Google Patents
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この種のものとして、特許文献1〜3に示すダンパ装置が知られているが、これらは、粘性流体を封入したシリンダ内に、回転可能に支持された軸部材を備え、この軸部材の回転力に対して抵抗力を作用させるものである。
上記軸部材の外周にはシリンダ内周に向かって突出する羽根部を形成し、シリンダの内周には軸部材に向かって突出する隔壁部を形成している。これら羽根部と隔壁部とによって区画される流体室を形成し、軸部材の回転によってその容積が縮小する流体室から拡大する流体室へ粘性流体が流入するときの流動抵抗に応じた抵抗力が移動部材に対して発揮されるようにしている。そして、この抵抗力によって移動部材の移動速度を制御していた。
なお、上記のような流動抵抗による抵抗力を、相対回転位置や、回転方向に応じて変化させるために、流路となる隙間の大きさを調整したり、チェック弁機構を設けたりしたものも知られている。
このような回転角度でも、ピアノの蓋や便座のように回転角度範囲が小さい場合には問題はない。しかし、複数回転するような場合、例えば、長尺の部材を巻き取ったり繰り出したりするような装置には、上記特許文献1〜3に示すような構造のダンパ装置を速度制御装置として適用することは難しかった。
この発明の目的は、軸部材の回転角度範囲を大きくすることができるとともに、回転過程において抵抗力を変化させることができる速度制御装置を提供することである。
なお、上記チェック弁が移動部材の移動方向に応じて開閉するとは、移動部材が一方へ移動するときには開弁状態となり、他方へ移動するときには閉弁状態となるということである。
また、流体が通過する隙間の大きさを変化させているため、隙間の大きさに応じて流体の流動抵抗が変化し、結果として移動部材の移動速度や軸部材の回転速度を制御することができる。
上記シリンダ1は、一方の端部に大径の開口1aを備え、他端側は軸孔1bを形成した底部1cを備えている。
また、シリンダ1の内周1dは、図4に示すように底部1cから開口1aに向かって内径が大きくなるようなテーパー状にしている。図4は、後で説明するガイド凸部1e及びガイド凹部8bを避けた箇所での断面図に相当する模式図で、内周1dの形状をわかり易くするために、内周1dの傾斜を極端に表わしている。実際には底部1c側の内径D1と開口側の内径D2との差は微小で、上記内周1dの軸方向の傾斜はほとんどわからない程度のものである。
さらに、上記内周1dには、後で説明する移動部材8とシリンダ1との相対回転を規制し、軸方向の移動をガイドするため、軸方向に連続する一対のガイド凸部1eを形成している。
また、キャップ3の外周に環状のシール溝3cを形成し、このシール溝3cにもOリング5を嵌めている。
そして、上記Oリング4〜6によってシリンダ1内の流体が漏れ出ないようにしている。
なお、図中、符号7は上記キャップ3の抜け止め機能を有するCリングである。但し、上記キャップ3の抜け止めは上記Cリング7に限らない。上記Cリング7を用いる代わりに、キャップ3とシリンダ1とを溶着したり、ねじ結合したりしてもよい。
なお、この第1実施形態では、先端側の断面を六角形にした上記駆動軸などをシリンダ1の底部1c側から上記軸孔2eに挿入するようにしている。しかし、上記駆動軸などの挿入は、シリンダ1のどちら側からでもかまわない。例えば、駆動軸を上記開口1a側から挿入し、その先端部分を六角孔2fに一致させるようにしてもよい。
この移動部材8によって、上記シリンダ1の内周と軸部材2の外周とで形成される空間を第1の流体室9と第2の流体室10とに区画している。但し、移動部材8の外周とシリンダ内周1dとの間には図1には表われないわずかな隙間11が形成される(図2〜4参照)。
そして、この第1実施形態では、移動部材8が、シリンダ1の底部1c側から開口1a側へ近づくにしたがって、すなわち矢印B方向へ移動するにしたがって上記隙間11が大きくなる。
なお、この第1実施形態では、移動部材8とシリンダ1との相対回転を規制するためにシリンダ1に上記ガイド凸部1eを形成し、移動部材8にガイド凹部8bを形成しているが、ガイド凸部とガイド凹部とはいずれか一方をシリンダ1側に形成し、いずれか他方を移動部材8側に形成すればよく、どちらがガイド凸部でもガイド凹部でもかまわない。
上記連通孔8cの直径を連通孔8dの直径よりも小さくしているのは、その位置が上記ガイド凹部8bの位置に対応しているからで、連通孔8cの周囲の肉厚を確保するためである。
この弁部材12は、移動部材8の端面にほぼ一致するドーナツ形状をしているが、図3における上下位置に、シリンダ1のガイド凸部1eを回避するための切欠き12aを備えている。
なお、この第1実施形態では弁部材12を移動部材8にねじ止めしているが、上記弁部材12の取り付け方法はねじ止めに限らない。例えば、弁部材12あるいは移動部材8に設けた凸部を、移動部材8あるいは弁部材12に設けた凹部や孔に圧入したり、一方の部材に形成したフックを他方の部材に形成した凹部にはめ込んだりする所謂スナップフィットなどでもよい。
なお、上記弁部材12は、図3における左右方向の直径上に設けた一対のねじ部材13によって移動部材8に固定されているので、上記第2の流体室10の圧力が第1の流体室9の圧力より大きくなったとき、上記ねじ部材13,13を通る直径を境に折れ曲がるように変形して開弁する。
ここでは、軸部材2に図示しない駆動軸を挿入固定し、その駆動軸を介して軸部材2を回転させるとき、その回転力に対して抵抗力を発揮させる場合について説明する。
なお、この第1実施形態では、軸部材2が、図1に矢印で示した時計回りCWに回転すると、移動部材8は矢印A方向に移動し、反時計回りCCWに回転すると移動部材8は矢印B方向へ移動するものとする。なお、軸部材2の回転方向は、シリンダ1の底部1c側から見た場合のものである。
つまり、この第1実施形態の速度制御装置では、軸部材2が時計回りCWに回転する場合には、流動抵抗に基づく抵抗力は発揮されず、反時計回りCCWに回転する場合にのみ抵抗力が発揮される。
この第1実施形態では、上記隙間11の大きさをシリンダ1の底部1cから開口1aに向かって連続的に大きくなるようにしている。そのため、軸部材2が反時計回りCCWに回転したときに発揮される抵抗力は徐々に小さくなる。
このように、この第1実施形態の速度制御装置では、軸部材2の回転方向によって回転力に対する抵抗力を発揮させたり、発揮させなかったりすることができる。さらに、発揮する抵抗力に変化を付け、移動部材8や軸部材2の速度を変化させることができる。
しかし、発揮させる抵抗力は上記シリンダ1の内周1dの形状によって様々な変化を付けることができる。
例えば、シリンダ1の内周1dの傾斜を、図4とは反対にして、底部1cから開口1aに向かって内径が小さくなるようにしてもよい。このようにすれば、軸部材2が反時計回りCCWに回転したとき、矢印B方向へ移動する移動部材8の外周とシリンダ1の内周1dとの隙間11は徐々に小さくなる。
このように、隙間11の大きさを様々に変化させることによって、上記抵抗力の大きさに変化を付けたり、抵抗力が効き始めるタイミングを調整したりすることもでき、それによって移動部材8の軸方向の移動速度や、軸部材2の回転速度を制御することができる。
その場合を、第2実施形態として以下に説明する。
この第2実施形態は、上記移動部材8に連通孔8c,8d及び弁部材12を備えていない以外は上記第1実施形態と同じ構成である。したがって、第1実施形態と同じ構成要素については第1実施形態と同じ符号を用い、第1実施形態と同じ構成要素についての説明は省略する。また、以下の説明にも図1及び図4を参照する。
この第2実施形態において、上記第1実施形態と同じ構成要素には上記第1実施形態と同じ符号を用い、詳細な説明は省略する。そして、以下には、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
そして、この第2実施形態では、図5〜7に示すように、軸部材2の外周2gに、軸方向に連続する一対のガイド凹部2hを形成し、移動部材8の内周8fに、上記ガイド凹部2gに一致する一対のガイド凸部8gを形成している。このガイド凸部8gを上記ガイド凹部2hに嵌め合わせることによって軸部材2と移動部材8との相対回転を規制し、軸部材2が回転すると移動部材8も回転するようにしている。
但し、上記ガイド凹部及びガイド凸部は、いずれか一方を軸部材2側に形成し、いずれか他方を移動部材8側に形成すればよく、どちらがガイド凹部でもガイド凸部でもかまわない。
したがって、上記軸部材2の回転力によって移動部材8が回転すると、この移動部材8は上記雌ねじ1fのねじ溝に沿って軸方向に移動する。
この第2実施形態においては、軸部材2が時計回りCWに回転すると、移動部材8は矢印B方向へ移動し、反時計回りCCWに回転すると矢印A方向へ移動する。この軸部材2の回転方向は、シリンダ1の底部1c側から見た場合のものである。
そして、上記軸部材2をシリンダ1に回転可能に支持する構成は、第1実施形態と同じである。
また、上記移動部材8には、上記第1実施形態と同様に、複数の連通孔8c,8dを貫通させるとともに、これら貫通孔8c,8dを開閉する弁部材12を取り付けている。
図8は、上記凸部1e及びガイド凹部8bを避けた箇所での断面図に相当する模式図で、軸部材2の外周の形状をわかり易くするために、軸部材2の外周2gの傾斜を極端に表わしている。実際には底部1c側の内径D3と開口側の内径D4との差は微小で、上記外周2gの軸方向の傾斜はほとんどわからない程度のものである。
軸部材2を時計回りCW方向へ回転させると、移動部材8も時計回りCW方向へ回転する。移動部材8が時計回りCWに回転すれば、シリンダ1の雌ねじ1fに沿って矢印B方向へ移動する。移動部材8が矢印B方向へ移動すると、第1の流体室9が収縮するので、その圧力によって弁部材12が閉弁する。したがって、流体は上記隙間14を通過し、隙間14の大きさに対応した流動抵抗が、移動部材8へ抵抗力として作用する。上記隙間14は、移動部材8が矢印B方向へ移動するにしたがって徐々に大きくなるので、上記抵抗力が徐々に小さくなる。この抵抗力によって移動速度が制御される。
この第2実施形態の速度装置も、上記第1実施形態と同様に軸部材2が複数回転するような装置に用い、移動部材8の移動速度を制御することができる。
さらに、上記第2実施形態の装置の移動部材8に、連通孔8c,8d及び弁部材12を設けなければ、軸部材2の回転方向が時計回りCW、反時計回りCCWのいずれの場合にも、流動抵抗による抵抗力を発揮させて移動速度を制御できるようになる。
または、軸部材2に軸孔や凹部を形成せずに、軸部材2の端部をシリンダ1の端部から突出させ、この突出部に駆動軸などを連結するようにしてもよい。
但し、上記実施形態のように、駆動軸などを軸部材2に挿入するようにした場合、シリンダ1の端部から軸部材2の突出がなく、速度制御装置全体をコンパクトにできる。
1d 内周
1e ガイド凸部
1f 雌ねじ
2 軸部材
2d 雄ねじ
2g 外周
2h ガイド凹部
8 移動部材
8a 雌ねじ
8b ガイド凹部
8c、8d (連通路である)連通孔
8f 内周
8g ガイド凸部
8h 雄ねじ
9 第1の流体室
10 第2の流体室
11 隙間
12 (チェック弁である)弁部材
14 隙間
Claims (2)
- シリンダと、
シリンダに回転可能に支持された軸部材と、
上記軸部材を貫通させるとともに、上記シリンダあるいは軸部材との相対回転を規制され、上記軸部材の回転力によって軸方向に移動可能にした移動部材と、
この移動部材によって上記シリンダ内に区画された一対の流体室と、
上記移動部材の外周と上記シリンダの内周との間の隙間あるいは上記移動部材の内周と上記軸部材の外周との間の隙間とを備え、
上記隙間を介して流れる流体の流動抵抗によって軸部材の回転力に対する抵抗力を発揮させる速度制御装置であって、
上記シリンダの内周面あるいは上記軸部材の外周面の形状を、上記移動部材の移動位置に応じて形成される上記隙間の大きさを変化させる形状にして上記隙間を介して流れる流体の流動抵抗を変化させるとともに、
上記移動部材には、上記一対の流体室間を連通可能にする連通路及び上記移動部材の移動方向に応じて上記連通路を開閉させるチェック弁が設けられ、
このチェック弁は、上記移動部材の一方の端面において、その直径上で中心を介して互いに対向する位置に設けられた一対の止め部材によって固定され、上記連通路を覆うドーナツ形状の弁部材からなることを特徴とする速度制御装置。 - 上記軸部材は、その直径を変化させ、その外周面と上記移動部材の内周面との間の隙間が上記移動部材の移動位置に応じて変化する構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の速度制御装置。
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