JP2003183370A - 含リン不飽和ポリエステル、その製造方法、含リン不飽和ポリエステル樹脂、含リン不飽和ポリエステル樹脂組成物、それを用いた成形材及び積層板 - Google Patents

含リン不飽和ポリエステル、その製造方法、含リン不飽和ポリエステル樹脂、含リン不飽和ポリエステル樹脂組成物、それを用いた成形材及び積層板

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JP2003183370A
JP2003183370A JP2001391360A JP2001391360A JP2003183370A JP 2003183370 A JP2003183370 A JP 2003183370A JP 2001391360 A JP2001391360 A JP 2001391360A JP 2001391360 A JP2001391360 A JP 2001391360A JP 2003183370 A JP2003183370 A JP 2003183370A
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phosphorus
containing unsaturated
polyester resin
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Application number
JP2001391360A
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Takeshi Tamura
健 田村
Yoshifusa Hara
原  義房
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Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた難燃性を有する第二級ホスフィン誘導
体を用いた含リン不飽和ポリエステルを提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される第二級ホス
フィン誘導体から誘導される構造単位を含有する含リン
不飽和ポリエステル。 【化1】 (R1 およびR2 は置換されていてもよい直鎖状又は分
岐状のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、該アル
キル基中の1つあるいは2つ以上のメチレン基は−CH
=CH−によって置き換えられていてもよく、R1 とR
2 は同一な基であっても異なる基であってもよく、また
1 とR2 はPを含んであるいはPを含まないで環状物
を形成していてもよい。Xは酸素原子又は硫黄原子を示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲンフリーで
ありながら難燃性に優れた含リン不飽和ポリエステル及
びその製造方法、含リン不飽和ポリエステル樹脂、これ
を含有する含リン不飽和ポリエステル樹脂組成物、これ
を用いてなる成形材及び積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂は、その優れた
電気絶縁性や耐水性などの特微を生かした電気部品とし
ての用途、低圧成形が可能であるという特徴を生かした
注型用樹脂、繊維強化プラスチック用樹脂等として利用
されている。
【0003】これらの樹脂の難燃化は、従来からハロゲ
ン系の難燃剤を添加する等の方法により行われてきた。
しかし、ハロゲン系の難燃剤を含有する樹脂は燃焼時に
ダイオキシンを発生する等の理由で、環境を配慮した難
燃剤が望まれている。
【0004】不飽和ポリエステルに用いられるノンハロ
ゲンの難燃剤としては、リン酸エステル等のリン系難燃
剤、ハイドロタルサイト類(特開2001−21404
7号公報)等が挙げられるが、これらの添加型の難燃剤
を用いた場合には、難燃性を発現させるためには難燃剤
の添加量が多くなり、得られる材料の機械物性の低下を
招いたり、樹脂中からブリードアウトする等の問題があ
る。
【0005】これらの課題を解決することを目的とし
て、樹脂中に反応によって化学的に結合させる反応型難
燃剤の検討も行われている。例えば、特開昭53−11
2997号公報及び特開2000−309697号公報
には、不飽和ポリエステルの不飽和結合の一部に下記一
般式(4)
【0006】
【化4】
【0007】(式中、R1 ,R2 は水素原子、ハロゲ
ン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はア
ラールキル基を示す。m,nは1又は2を示す。)で表
されるリン酸エステル構造を有する化合物を付加させて
なるリン含有不飽和ポリエステルが提案されている。
【0008】しかし、この化合物は分子内に加水分解性
であるP−O結合を有するため、耐湿性に問題があり、
特に電気部品用の樹脂に使用したものは、有機リン化合
物の分解によるリン酸が溶出し、電気特性が低下すると
いう問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、優れた難燃性を有し、分子中に加水分解性基を有し
ない反応型難燃剤の第二級ホスフィン誘導体を用いた含
リン不飽和ポリエステルおよびその製造方法、含リン不
飽和ポリエステル樹脂、含リン不飽和ポリエステル樹脂
組成物、それを用いた成形材及び積層板を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、下記一般
式(1)で表される構造単位を不飽和ポリエステルに導
入することにより達成されることを見出し、本発明を完
成させるに至った。
【0011】即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0012】
【化5】
【0013】(式中、R1 およびR2 は置換されていて
もよい直鎖状又は分岐状のアルキル基又はシクロアルキ
ル基を示し、該アルキル基中の1つあるいは2つ以上の
メチレン基は−CH=CH−によって置き換えられてい
てもよく、R1 とR2 は同一な基であっても異なる基で
あってもよく、またR1 とR2 はPを含んであるいはP
を含まないで環状物を形成していてもよい。Xは酸素原
子又は硫黄原子を示す。)で表される第二級ホスフィン
誘導体から誘導される構造単位を含有することを特徴と
する含リン不飽和ポリエステルを提供するものである。
【0014】前記R1 とR2 が形成する環状物は、下記
一般式(2)または一般式(3)で表されるものが好ま
しい。
【0015】
【化6】
【0016】(式中、R3 は置換されていてもよいアル
キレン基を示す。)
【0017】
【化7】
【0018】(式中、R4 は置換されていてもよいシク
ロアルキレン基またはアリーレン基を示す。)
【0019】更に、前記第二級ホスフィン誘導体は、
1,4−シクロオクチレンホスフィンオキシド及び1,
5−シクロオクチレンホスフィンオキシドから選ばれる
少なくとも一種であることが好ましい。
【0020】本発明の第二の発明は、前記不飽和ポリエ
ステルの不飽和結合の一部に一般式(1)乃至一般式
(3)のいずれかで表される第二級ホスフィン誘導体が
付加した部分構造を有する含リン不飽和ポリエステルを
提供するものである。
【0021】本発明の第三の発明は、不飽和ポリエステ
ルの不飽和結合の一部に一般式(1)乃至一般式(3)
のいずれかに表される第二級ホスフィン誘導体を付加す
ることを特徴とする含リン不飽和ポリエステルの製造方
法である。
【0022】本発明の第四の発明は、一般式(1)乃至
一般式(3)のいずれかで表される第二級ホスフィン誘
導体を不飽和結合を有す多塩基酸あるいはその誘導体の
一部の不飽和結合に付加した後、該多塩基酸あるいはそ
の誘導体を用いて不飽和ポリエステルを合成することを
特徴とする含リン不飽和ポリエステルの製造方法であ
る。
【0023】本発明の第五の発明は、前記含リン不飽和
ポリエステルを含有する含リン不飽和ポリエステル樹脂
を提供するものである。本発明の第六の発明は、前記含
リン不飽和ポリエステル樹脂を含有する含リン不飽和ポ
リエステル樹脂組成物に関するものである。
【0024】本発明の第七の発明は、前記含リン不飽和
ポリエステル樹脂組成物を硬化してなることを特徴とす
る含リン不飽和ポリエステル樹脂硬化物に関するもので
ある。本発明の第八の発明は、前記含リン不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形材
に関するものである。本発明の第九の発明は、前記含リ
ン不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いてなることを特
徴とする積層板に関するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明が提供しようとする含リン不飽和ポリエステル
は、下記一般式(1)
【0026】
【化8】
【0027】で表される第二級ホスフィン誘導体から誘
導される構造単位を含有することを特徴とするものであ
る。
【0028】前記一般式(1)で表される第二級ホスフ
ィン誘導体の式中、R1 およびR2は、置換されていて
もよい直鎖状又は分岐状のアルキル基又はシクロアルキ
ル基を示し、アルキル基としては、炭素数1〜18、好
ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的に
は、メチル基、エチル基 、プロピル基、ブチル基、イ
ソプロピル基、3級ブチル基、sec−ブチル基等を例
示することが出来る。また、シクロアルキル基として
は、炭素数3〜18、好ましくは炭素数3〜8のシクロ
アルキル基であり、具体的には、シクロブチル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示することが出
来る。
【0029】また、式中のR1 とR2 は、それぞれが同
一の基であっても異なる基であってもよい。また、該ア
ルキル基中の1つあるいは2つ以上のメチレン基は−C
H=CH−によって置き換えられていてもよく、具体的
には、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等が挙げ
られる。
【0030】また、R1 およびR2 は置換されていても
よく、置換基としてはフェニル基、アルコキシ基、シア
ノ基、水酸基等が挙げられる。置換されているR1 およ
びR 2 は、具体的には、ベンジル基等のアラルキル基、
シアノアルキル基、シアノアルケニル基、ヒドロキシア
ルキル基、ヒドロキシアルケニル基等が挙げられる。
【0031】また、R1 とR2 はPを含んであるいはP
を含まないで環状物を形成していてもよい。
【0032】R1 およびR2 がPを含んで環状物を形成
する場合は、下記一般式(2)で表される結合で形成さ
れた環状物が挙げられる。
【0033】
【化9】
【0034】一般式(2)中、R3 は置換されていても
よいアルキレン基を示す。
【0035】アルキレン基としては、炭素数3〜9、好
ましくは炭素数4〜6のアルキレン基であり、具体的に
は、プロピレン基,ブチレン基,ペンタメチレン基,ヘ
キサメチレン基,ヘプタメチレン基,オクタメチレン
基、ノナメチレン基等を挙げることができる。R3 は置
換されていてもよく、置換基としてはフェニル基、アル
コキシ基、シアノ基、水酸基等が挙げられる。
【0036】R1 およびR2 がPを含まないで環状物を
形成する場合は、下記一般式(3)で表される結合で形
成された環状物が挙げられる。
【0037】
【化10】
【0038】一般式(3)中、R4 は置換されていても
よいシクロアルキレン基またはアリーレン基を示す。
【0039】シクロアルキレン基としては、炭素数4〜
9、好ましくは炭素数5〜7のシクロアルキレン基であ
り、具体的には、シクロブチレン基、シクロペンタメチ
レン基、シクロヘキサメチレン基、シクロヘプタメチレ
ン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基等を挙げ
ることができる。
【0040】アリーレン基としては、フェニレン基、ナ
フチレン基等を挙げることができる。R4 は置換されて
いてもよく、置換基としてはフェニル基、アルコキシ
基、シアノ基、水酸基等が挙げられる。
【0041】また、これらのR3 およびR4 の置換基の
中に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子が
含まれていても良い。式中のXは酸素原子、硫黄原子を
示し、好ましくは酸素原子である。
【0042】前記一般式(1)で表される第二級ホスフ
ィン誘導体の具体的な化合物を例示すると、ジメチルホ
スフィンオキシド、ジエチルホスフィンオキシド、ジ−
n−プロピルホスフィンオキシド、ジ−iso−プロピ
ルホスフィンオキシド、ジ−n−ブチルホスフィンオキ
シド、ジ−sec−ブチルホスフィンオキシド、ジ−t
ert−ブチルホスフィンオキシド、メチルエチルホス
フィンオキシド、メチル−n−プロピルホスフィンオキ
シド、メチル−n−ブチルホスフィンオキシド、メチル
−iso−ブチルホスフィンオキシド、メチル−sec
−ブチルホスフィンオキシド、メチル−tert−ブチ
ルホスフィンオキシド、エチル−n−プロピルホスフィ
ンオキシド、エチル−iso−プロピルホスフィンオキ
シド、エチル−tert−ブチルホスフィンオキシド、
n−プロピル−iso−プロピルホスフィンオキシド、
n−プロピル−n−ブチルホスフィンオキシド、n−プ
ロピル−sec−ブチルホスフィンオキシド、n−ブチ
ル−sec−ブチルホスフィンオキシド、n−ブチル−
tert−ブチルホスフィンオキシド、プロピレンホス
フィンオキシド、ブチレンホスフィンオキシド、ペンタ
メチレンホスフィンオキシド、ヘキサメチレンホスフィ
ンオキシド、1,4−シクロペンチレンホスフィンオキ
シド、1,4−シクロオクチレンホスフィンオキシド、
1,5−シクロオクチレンホスフィンオキシド、ジメチ
ルホスフィンスルフィド、1,5−シクロオクチレンホ
スフィンスルフィド等を例示することが出来、この中、
本発明において、1,4−シクロオクチレンホスフィン
オキシド又は1,5−シクロオクチレンホスフィンオキ
シドが特に好ましい。
【0043】なお、本発明において、前記した第二級ホ
スフィン誘導体は、1種又は2種以上で用いられる。
【0044】前記一般式(1)で表される第二級ホスフ
ィン誘導体は、公知の方法により製造することができ
る。例えば、R1 とR2 とでPを含まない環を形成して
いるシクロアルキレンホスフィンオキシドの製造方法の
一例を示せば、下記反応式(1)
【0045】
【化11】
【0046】で表される反応により、ホスフィン(化合
物(5))と1,5−シクロオクタジエン(化合物
(6))をラジカル発生触媒の存在下に反応させて、
1,4−シクロオクチレンホスフィン(化合物(7))
と1,5−シクロオクチレンホスフィン(化合物
(8))の混合物を得た後(特開昭55−122790
号公報参照)、これを酸化することにより、目的とする
1,4−シクロオクチレンホスフィンオキシドと1,5
−シクロオクチレンホスフィンオキシドの混合物を得る
ことができる。
【0047】本発明において、不飽和ポリエステルと
は、マレイン酸のような不飽和結合を有する多塩基酸
(以降、不飽和多塩基酸と記す)(A)とエチレングリ
コールのような多価アルコール(C)との重縮合反応
物、又は不飽和多塩基酸(A)及びフタル酸のような飽
和多塩基酸(B)と多価アルコール(C)との重縮合反
応物をいい、分子内に不飽和結合を有するポリエステル
であって、以下の化学式(9)及び(10)にて例示す
ることができる。
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】不飽和多塩基酸(A)の例としては、無水
マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フマル酸ジブチ
ル、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げら
れる。特に、不飽和二塩基酸が好ましい。
【0051】飽和多塩基酸(B)の例としては、無水フ
タル酸、フタル酸ジメチル、イソフタル酸、テレフタル
酸、テレフタル酸ジメチル、オルソフタル酸、テトラヒ
ドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、アジ
ピン酸、セバチン酸、グルコン酸等が挙げられる。
【0052】多価アルコール(C)の例としては、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、オキサアルカン
ジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プ
ロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリエチ
レングリコール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘ
キサジオール、水素化ビスフェノールA等が挙げられ
る。通常は好ましくは2価のアルコールを用いるが、1
価あるいは3価のアルコールを併用することもできる。
【0053】ここで、不飽和多塩基酸(A)のみではな
く、飽和多塩基酸(B)をも用いるのは、ポリエステル
中の不飽和結合の比率を調整するためであり、一例を挙
げれば、不飽和多塩基酸(A)としてマレイン酸、飽和
多塩基酸(B)としてテレフタル酸、多価アルコール
(C)としてエチレングリコールを用いた場合、(A+
B)/(A+B+C)を0.25〜0.5、A/(A+
B)を0.1〜1.0の比率で用いることが好ましい。
【0054】不飽和ポリエステルは通常の方法で製造す
ることができ、例えば、不飽和多塩基酸あるいはその誘
導体の単独または不飽和多塩基酸あるいはその誘導体お
よび飽和多塩基酸の混合物(それらを以降、多塩基酸成
分と記す)と、多価アルコールとを、不活性気体雰囲気
中で無触媒又は酸性触媒の存在下、100℃から250
℃の範囲内で縮合水を系外へ除きながら重縮合反応を行
うことにより得ることができる。また、要求される樹脂
特性に応じて使用する樹脂を選択して、架橋密度および
反応性を調整することができる。
【0055】本発明の含リン不飽和ポリエステルは、前
記一般式(1)で表される第二級ホスフィン誘導体から
誘導される構造単位を含有する不飽和ポリエステルであ
る。ここで、前記一般式(1)で表される第二級ホスフ
ィン誘導体から誘導される構造単位を含有するとは、前
記一般式(1)で表される第二級ホスフィン誘導体中の
リン原子に直結した活性水素と、不飽和ポリエステル中
の不飽和結合が反応し、下記の化学式(11)に示す様
に化学的に結合された状態を意味するものである。
【0056】
【化14】
【0057】本発明の含リン不飽和ポリエステルの製造
方法は、不飽和ポリエステルの不飽和結合の一部に一
般式(1)で表される第二級ホスフィン誘導体を付加す
る方法、又は不飽和ポリエステルの原料である前記不
飽和多塩基酸あるいはその誘導体の中の、一部の不飽和
多塩基酸あるいはその誘導体の不飽和結合に一般式
(1)で表される第二級ホスフィン誘導体を付加した
後、これらを原料として用いて不飽和ポリエステルを合
成する方法の2種類の方法によって製造することができ
る。
【0058】<の製造方法>通常の不飽和ポリエステ
ルの製造工程中又は製造後に一般式(1)で表される第
二級ホスフィン誘導体を付加する方法である。付加する
時期は、重縮合前、重縮合中、重縮合完了後のいずれの
時期においても行うことができる。
【0059】原料の仕込み順序としては、多塩基酸成分
と多価アルコールを同時に全量仕込み縮合反応させる1
段合成法と、一部の多塩基酸成分と多価アルコールを先
に縮合させ、途中で残りの多塩基酸成分、多価アルコー
ルを仕込んで反応させる2段合成法等により行うことが
できる。したがって、第二級ホスフィン誘導体と一部の
多塩基酸成分と多価アルコールを先に仕込み、途中で残
りの成分を仕込む方法、第二級ホスフィン誘導体と多塩
基酸成分と多価アルコールをすベて仕込んで一段で合成
する方法、先に一部の多塩基酸成分と多価アルコールを
縮合させ、途中で第二級ホスフィン誘導体と残りの多塩
基酸成分及び多価アルコールを仕込む方法のいずれをも
とることができる。さらに、重縮合完了後に第二級ホス
フィン誘導体を添加し加熱して、不飽和ポリエステル中
の不飽和結合に第二級ホスフィン誘導体を付加させるこ
ともできる。
【0060】いずれの方法によっても、一般式(1)で
表される第二級ホスフィン誘導体は、リン原子に直結し
た活性水素が高い反応性を有するため、不飽和ポリエス
テルの不飽和結合に容易に付加反応することができる。
【0061】上記の反応において、第二級ホスフィン誘
導体の使用量は、多塩基酸成分の中の不飽和多塩基酸の
化学当量に対して化学当量未満の少ない量で使用するの
が好ましい。すなわち、不飽和多塩基酸の不飽和結合に
第二級ホスフィン誘導体が結合しても、不飽和多塩基酸
には架橋のための不飽和結合が残っていることにより架
橋が行われる。
【0062】不飽和ポリエステルの脱水縮合反応は、生
じる縮合水を系外に除きながら進められる。この除去
は、不活性気体を反応装置に通じることによる自然留出
又は減圧留出によって行われる。
【0063】反応の温度は、使用する材料の物性により
適宜選択でき特に限定はないが、100℃以上とするこ
とが好ましい。また、酸化による副反応を防止するため
に、窒素などの不活性気体を通気しながら反応させるこ
とが好ましい。この際、ゲル化を防ぐ目的で、重合禁止
剤を添加することが望ましい。
【0064】反応の進行は、一般に反応により生成する
留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の
測定などにより知ることができる。
【0065】<の製造方法>一般式(1)で表される
第二級ホスフィン誘導体と不飽和結合を有する多塩基酸
またはその誘導体とを反応させることによって、該多塩
基酸またはその誘導体の不飽和結合に第二級ホスフィン
誘導体を付加させて得られる含リン多塩基酸又はその誘
導体を、不飽和ポリエステルの原料の一部として用いる
方法である。
【0066】一般式(1)で表される第二級ホスフィン
誘導体と、前記不飽和多塩基酸との反応を、イタコン酸
で例示すると、下記反応式(2)
【0067】
【化15】
【0068】で表される。この反応において、第二級ホ
スフィン誘導体(D)と不飽和多塩基酸又はその誘導体
(E)をモル比で(D/E)=1.30〜1.00、好
ましくは1.05〜1.00で、50℃〜200℃の温
度条件で1〜8時間反応することにより、完結する。
【0069】続いて上記の方法によって得られた含リン
多塩基酸、多塩基酸成分及び多価アルコールを用いて、
常法に従つて重縮合反応を行う。
【0070】前記反応における一般式(1)で表される
第二級ホスフィン誘導体の使用量は、得られる含リン不
飽和ポリエステルに対してリン原子として0.1〜10
重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲となるように使
用することが優れた難燃性を得るために好ましい。
【0071】また、本発明の含リン不飽和ポリエステル
の製造方法は、前記した製造方法と製造方法を適宜
組み合わせて行うこともできる。
【0072】上記、のいずれの方法によっても、本
発明の含リン不飽和ポリエステルにおける前記一般式
(1)で表される第二級ホスフィン誘導体は、活性水素
が不飽和ポリエステルの不飽和結合と反応した構造をと
る。また、一般式(1)で表される第二級ホスフィン誘
導体中のリン原子は、P−C共有結合により結合してい
る。このため、本発明の含リン不飽和ポリエステルは、
P−O結合を有する有機リン化合物のように分解してリ
ン酸が溶出し電気特性を低下させることがなく、極めて
耐湿性、耐薬品性等に優れている特徴を有する。
【0073】また、本発明において、含リン不飽和ポリ
エステル中のリン含有量が、リン原子として、0.1〜
10重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲で含有され
ているものが、優れた難燃性を得る上で好ましい。リン
含有量が0.1重量%より小さくなると十分な難燃効果
が得られず、また10重量%より大きくなると相対的に
不飽和結合が少なくなり、硬化後の樹脂の架橋密度が低
下し、また硬化後の樹脂材料の機械物性が低下すること
から好ましくない。
【0074】なお、含リン不飽和ポリエステルの不飽和
結合当量は、架橋密度、硬化物の物性、Tgやその他必
要な諸物性を考慮して適宜設定することができる。
【0075】従つて、不飽和結合に一般式(1)で表さ
れる第二級ホスフィン誘導体が付加反応した後に、必要
な量の不飽和結合が残存する不飽和ポリエステルを得ら
れるように、あらかじめ不飽和多塩基酸その他の原料の
使用量を調整することが望ましい。
【0076】次に、本発明の含リン不飽和ポリエステル
樹脂は、前記含リン不飽和ポリエステルをスチレンのよ
うな重合性ビニルモノマーからなる反応性希釈剤に溶解
した液状物をいう。この液状物にさらに過酸化物触媒等
の硬化剤を添加するか、電子線を用いる重合反応による
架橋を起こさせることによって、樹脂硬化物を得ること
ができる。
【0077】本発明に係る含リン不飽和ポリエステルを
使用目的に応じスチレン等の反応性希釈剤で希釈するこ
とにより、含リン不飽和ポリエステル樹脂とすることが
できる。
【0078】反応性希釈剤としては、スチレン、ビニル
トルエン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレー
ト、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸グリシジル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジビ
ニルトルエン、ジビニルベンゼン、p−t−ブチルスチ
レン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレン
グリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラアクリレート等を挙げることがで
き、これらは2種以上を併用してもよい。これらのう
ち、スチレンが特に好ましい。
【0079】反応性希釈剤の使用量は、通常、樹脂合計
量を100重量%とすると、そのうち10〜80重量%
であり、好ましくは10〜60重量%である。
【0080】また、必要に応じて、ハイドロキノン、キ
ノン、p−t−ブチルカテコール、第四級アンモニウム
塩、ヒドラジン誘導体、2,6−ジフェニルパラベンゾ
キノン、モノメチルハイドロキノン等の重合抑制剤、ベ
ンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤を含有していても
よい。
【0081】本発明の含リン不飽和ポリエステル樹脂組
成物は、前記不飽和ポリエステル樹脂を必須成分として
含むものであり、液状物から半固形物や固形物のもので
硬化していないものが挙げられる。
【0082】本発明の含リン不飽和ポリエステル樹脂組
成物には、不飽和結合を有する他の樹脂を混合すること
もできる。混合することのできる樹脂としては、ビニル
エステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ
る。さらに、適宜他の難燃剤、硬化剤、硬化促進剤、低
収縮剤、充填材、着色剤、離型剤、増粘剤及び補強材等
を含むこともできる。
【0083】他の難燃剤としては、本発明の目的である
ハロゲンフリーの不飽和ポリエステル樹脂組成物を得る
ためには、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン
系難燃剤は用いないことが好ましい。用いることのでき
る難燃剤としては、水和金属酸化物、含窒素系難燃剤、
リン系難燃剤等が挙げられる。
【0084】水和金属酸化物としては、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化ジルコニウム、ドーソナイト、スズ酸
亜鉛、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、五酸化アンチ
モン、塩基性炭酸亜鉛、酸化コバルト、酸化ジルコニウ
ム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、ホウ砂等が挙げられる。
【0085】含窒素系難燃剤としては、メラミン、メラ
ミンシアヌレー卜、メチロール化メラミン、(イソ)シ
アヌール酸、メラム、メレム、メロン、サクシノグアミ
ン、硫酸メラミン、硫酸アセトグアナミン、硫酸メラ
ム、硫酸グアニルメラミン、メラミンイソシアヌレー
ト、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンなどが挙げら
れる。
【0086】リン系難燃剤としては、溶出するリン酸分
があまり間題とならない分野への利用では、リン酸トリ
エチル、リン酸トリフェニル、リン酸クレジルフェニ
ル、リン酸オクチルジフェニル、ジエチレンリン酸エチ
ルエステル、ジヒドロキシプロピレンリン酸ブチルエス
テル、エチレンリン酸ジナトリウムエステル、メチルホ
スホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン
酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、
ブチルホスホン酸、2−メチル−プロピルホスホン酸、
t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチルブチルホスホ
ン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジエ
チルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチル
プロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオク
チルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフ
ェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸等のリン
酸系難燃剤、リン酸メラミン、リン酸グアニル尿素、ポ
リリン酸メラミン、赤リン、各種の被覆赤リン等を用い
ることができ、含窒素系難燃剤等を併用することもでき
る。
【0087】硬化剤としては、メチルエチルケトンパー
オキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベン
ゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメ
ンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ
る。硬化剤の使用量は、樹脂組成物100重量部に対し
0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部
である。
【0088】硬化促進剤としては、ナフテン酸コバル
ト、ナフテン酸マンガン、ジメチルアニリン、ジエチル
アニリン、アセチルアセトン等が挙げられる。硬化促進
剤の使用量は、樹脂組成物100重量部に対し0.01
〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部であ
る。
【0089】低収縮剤としては、ボリメタクリル酸メチ
ル、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリエチレン、ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0090】充填材としては、水酸化アルミニウム、ガ
ラス粉末、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、
ガラスバルーン等の無機充填材、各種FRP成形品の粉
砕物等の有機系充填材、木粉、ポリエチレンパウダー等
が挙げられる。これらは通常、樹脂組成物100重量部
に対して400重量部以下、好ましくは50〜300重
量部の範囲で使用される。
【0091】着色剤としては、二酸化チタン、カーボン
ブラック、黒色酸化鉄、クロムイエロー、クロムグリー
ン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、
セラミックブラック、ウルトラマリンブルー、チタン顔
料、モリブデン酸塩などが挙げられる。
【0092】離型剤としては、ステアリン酸のような脂
肪族有機酸やその金属塩、亜リン酸トリメチル、亜リン
酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリフェ
ニル等のようなリン酸又は亜リン酸のトリエステル系、
ワックス系、シリコーン系などのものを単独で又は2種
以上組み合わせて使用することができる。
【0093】増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸
化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化
亜鉛、多官能イソシアネート化合物などが用いられる。
【0094】硬化剤を含有する含リン不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物を重合反応による架橋を起こさせることに
よって、樹脂硬化物を得ることができる。硬化物を作成
する際には、目的に応じてガラス繊維のような補強材、
その他上述したような充墳材などを加え、触媒を加えて
高熱成形するか、触媒および促進剤を加え常温にて成形
する。
【0095】補強材としては、一般的には直径約8〜1
5μmで長さ25mm以下のガラス繊維が使用される。
補強材は、通常組成物全量に対して1〜40重量%程度
配合される。
【0096】本発明の含リン不飽和ポリエステル樹脂硬
化物は、前記含リン不飽和ポリエステルをスチレンのよ
うな反応性希釈剤に溶解した液状物等からなる含リン不
飽和ポリエステル樹脂、または該含リン不飽和ポリエス
テル樹脂を含有する含リン不飽和ポリエステル樹脂組成
物を、硬化剤や電子線を用いて重合反応による架橋を起
こさせることによって樹脂硬化物としたものである。
【0097】上記の含リン不飽和ポリエステル樹脂硬化
物を作成するには、製造方法、において述べたよう
にして製造した含リン不飽和ポリエステルを用いるのが
好ましい。
【0098】また、これらの方法による他、通常の不飽
和ポリエステルを作成し、これを硬化させるまでの間の
工程中のどこかで一般式(1)で表される第二級ホスフ
ィン誘導体を添加して行うこともできる。例として、不
飽和ポリエステルにスチレン等の希釈剤を添加する際、
又は硬化剤を添加して硬化させる際に、同時に一般式
(1)で表される第二級ホスフィン誘導体を添加し、不
飽和結合に付加させることもできる。この場合は、付加
反応により不飽和ポリエステル樹脂中の不飽和結合が減
少するため、硬化物を得るのに必要な量の不飽和結合が
残存するような不飽和ポリエステル樹脂を用いる必要が
ある。
【0099】また、本発明の含リン不飽和ポリエステ
ル、含リン不飽和ポリエステル樹脂またはこれを含む樹
脂組成物を用いて、成形材、積層板等を得ることができ
る。
【0100】成形材を作成する際は、そのまま注型して
もよいし、繊維強化プラスチック(FRP)として用い
ることもできる。FRPとして用いる場合は、マトリッ
クスとして本発明の含リン不飽和ポリエステル樹脂又は
これを含む樹脂組成物を用い、強化材としてガラス繊
維、カーボン織維、アラミド繊維、ボロン繊維等を用い
る。成形は通常用いられる方法で行うことができ、型の
上に樹脂とガラス繊維を積層していくハンドレイアッ
プ、ガラス繊維と樹脂を同時に型に吹き付けるスプレー
アップ、連続的にガラス繊維を含浸し型に合わせて加熱
硬化させる連続成形の他、あらかじめシートモールディ
ングコンパウンド(SMC)、バルクモールディングコ
ンパウンド(BMC)、プリプレグ等の成形材料を作成
し、これを金型の中で加圧加熱成形する圧縮成形(プレ
ス)を行うこともできる。
【0101】SMCの場合、調合した樹脂組成物を離型
フィルム上に均一の厚さになるように塗布し、この上に
カットしたガラス繊維等の強化材を均一に散布し、さら
にこの上に調合した樹脂組成物を塗布したフィルムを塗
布面同士が合わさるように重ね合わせ、これをロールに
巻き取り、必要に応じて熟成等を行ってシート状の成形
材料とすることができる。
【0102】これらの方法により成形し、住宅機材、舟
艇、船舶、タンク・容器、建設資材、工業機材、自動車
・車両、電気・電子部品、雑貨等に用いることができ
る。
【0103】積層板を作成する際は、含リン不飽和ポリ
エステル、含リン不飽和ポリエステル樹脂又はこれらを
含む樹脂組成物をガラスクロス、ガラス不織布などの補
強繊維層に含浸させ、必要によりこの含浸物を複数枚重
ね合わせ、加熱加圧することにより作成することができ
る。また、含浸物を複数枚重ね合わせ、きらに銅箔を重
ね合わせ、加熱して樹脂組成物を硬化させることにより
補強繊維層と銅箔を一体化した銅張り積層板を得ること
ができる。
【0104】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0105】製造例1 反応容器に1,5−シクロオクタジエン(東京化成社
製)1843g(16.69mol)とトルエン375
0mlを仕込み、十分に窒素置換した。続いてホスフィ
ン(日本化学工業社製)731g(21.50mol)
を仕込み、60℃に昇温した。ラジカル開始剤として、
2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)(日本ヒドラジン社製)58.8g(0.237m
ol)を3時間かけて圧入し、60℃にて一晩熟成し、
1,4−シクロオクチレンホスフィンと1,5−シクロ
オクチレンホスフィンよりなる混合物のトルエン溶液を
得た(混合物の含有量31.9wt%、1,4−シクロ
オクチレンホスフィン:1,5−シクロオクチレンホス
フィン=38.4:61.6(GC相対面積比))。
【0106】攪拌機、コンデンサー、滴下ロートを備え
付けた2000mlの4つ口フラスコを十分に窒素置換
した後、上記反応液の一部434.6g(0.975m
ol)を室温下にて仕込んだ。さらに440gのメタノ
ールを仕込み氷浴にて約5℃に冷却した後、106.5
g(1.05mol)の過酸化水素を滴下ロートより約
3時間かけて滴下した。反応の終点はガスクロマトグラ
フ法にて判断した。酸化反応終了後、ロータリーエバポ
レーターで濃縮して、無色の結晶1,4−シクロオクチ
レンホスフィンオキシドと1,5−シクロオクチレンホ
スフィンオキシドよりなる混合物152.8g(0.9
96mol、1,4−シクロオクチレンホスフィンオキ
シド:1,5−シクロオクチレンホスフィンオキシド=
39.4:60.6(31P−NMR相対面積比))を得
た。
【0107】実施例1 撹拌機、温度計、還流管および窒素ガス導入管を備えた
反応容器にイタコン酸40.3g(0.310mo
l)、製造例1で作成したホスフィンオキシド50.0
g(0.316mol)、プロピレングリコール73.
0g(0.960mol)、ハイドロキノン8.0mg
を仕込み、容器内を窒素置換して180℃で5時聞反応
し、酸価8.3mgKOH/gのリン含有オリゴエステ
ルを得た。この反応混合物に、フマル酸67.3gおよ
びハイドロキノン13.0mgをさらに加え、200℃
で6時間脱水縮合反応を行い、酸価20.6mgKOH
/gのリン含有不飽和ポリエステルを177.0g得た
(リン含有率4.8%)。このリン含有不飽和ポリエス
テル170gにスチレン192gを加え、含リン不飽和
ポリエステル樹脂(A)を得た。数平均分子量を求めた
ところ、4000であった。
【0108】実施例2 撹拌機、温度計、還流管および窒素ガス導入管を備えた
反応容器に無水マレイン酸61.7g(0.630mo
l)、無水フタル酸56.3g(0.380mol)及
びプロピレングリコール83.7g(1.10mol)
を仕込み、容器内を窒素置換して220℃で8時間、水
を除去しながら反応させた。内容物を150℃まで冷却
し、製造例1で作成したホスフィンオキシド50.lg
(0.317mol)を加えて同温度に5時間保った。
これを冷却して酸価23.5mgKOH/gのリン含有
不飽和ポリエステルを226.5g得た(リン含有率
4.0%)。このリン含有不飽和ポリエステル220g
にスチレン100gを加え、含リン不飽和ポリエステル
樹脂(B)を得た。数平均分子量を求めたところ、40
00であった。
【0109】実施例3 撹拌機、温度計、還流管および窒素ガス導入管を備えた
反応容器に無水マレイン酸30.4g(0.310mo
l)及び製造例1で作成したホスフィンオキシド50.
0g(0.316mol)を仕込み、内容物の温度を1
00℃にした。この温度に3時間保ち、冷却すると、第
二級ホスフィンの無水マレイン酸付加物76.5gが得
られた。
【0110】この付加物76.0g(0.296mo
l)、無水マレイン酸24.5g(0.250mo
l)、プロピレングリコール68.5g(0.90mo
l)及びハイドロキノン10.0mgを仕込み、容器内
を窒素置換して210℃で7時間、水を除去しながら反
応させた。これを冷却して酸価19.7mgKOH/g
のリン含有不飽和ポリエステルを132.0g得た(リ
ン含有率5.6%)。このリン含有不飽和ポリエステル
130gにスチレン103gを加え、含リン不飽和ポリ
エステル樹脂(C)を得た。数平均分子量を求めたとこ
ろ、3700であった。
【0111】比較例1 製造例1で作成した第二級ホスフィンオキシドを使用し
ない他は実施例1と同様の操作を行い、リンを含まない
不飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステル樹脂(D)
を得た。数平均分子量を求めたところ、3500であっ
た。
【0112】実施例4〜7、比較例2 実施例1〜3で作成した含リン不飽和ポリエステル樹脂
(A)〜(C)及び比較例1で作成したリンを含有しな
い不飽和ポリエステル樹脂(D)に表1の割合で各種の
樹脂及び添加剤を加え、樹脂組成物とした。この樹脂組
成物をガラス製の型に流し込み、100℃で1時間、続
いて175℃で30分間加熱して硬化させ、それぞれ厚
さ3mmの注型板を得た。これらの注型板から長さ12
5mm×幅13mm×厚さ3mmの試験板を切り出し、
UL94に分類した材料の垂直燃焼試験(94V−0、
94V−1及び94V−2)に従って試験した。その結
果を表1に示した。
【0113】
【表1】
【0114】(注1)硬化剤は、日本油脂(株)社製、
パークミルH80(商品名)を使用した。 (注2)ビニルエステル樹脂は、日本触媒(株)社製、
エポラック RF701PT(商品名)を使用した。
【0115】実施例8 上記実施例1で作成した含リン不飽和ポリエステル樹脂
(A)60重量部、ポリスチレンのスチレン溶液(ポリ
スチレン32重量%)を20重量部、t−ブチルパーオ
キシベンゾエートを1.0重量部、ステアリン酸亜鉛3
重量部、炭酸カルシウム120重量部、酸化マグネシウ
ム1重量部を混合し、樹脂組成物とした。
【0116】これを用いて、SMC製造装置により上下
のポリプロピレンフィルムに樹脂組成物を塗布し、下の
塗布面にガラス繊維を含有量25重量%となるように散
布し、上の塗布面を重ね合わせたのち、ローラーの間を
通して含浸、脱泡し、その後35℃で3日間熟成させて
シート状成形材料(SMC)を得た。続いてSMCから
ポリプロピレンフィルムをはがし、50トンプレスを用
いて面圧7.0MPa、金型温度を上が140℃下が1
30℃とし、成形時間5分間で加熱加圧して平板成形品
を作成した。
【0117】実施例9 上記実施例1で作成した不飽和ポリエステル樹脂(A)
を80重量部、ジアリルフタレートモノマー15重量
部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート82
8、油化シェルエポキシ(株)社製)40重量部、N,
N,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン2
重量部、ジクミルパーオキサイド1.9重量部、メチル
エチルケトン140重量部を撹拌混合して、含浸用溶液
を作成した。この溶液をガラスクロスに含浸させた後、
80℃で10分間乾燥し、プリプレグを作成した。作成
したプリプレグ17枚を積層し、この積層物の両面に厚
さが35μmの銅箔を重ね、温度170℃、圧力1.9
6MPa(20kg/cm2)で1時間加熱加圧成形を
行い、銅張り積層板を作成した。
【0118】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の含リン不
飽和ポリエステルは優れた難燃性を有すると共に工業的
に有利な方法で製造でき、更に、この含リン不飽和ポリ
エステルを含有するポリエステル樹脂又は含リン不飽和
ポリエステル樹脂組成物およびその硬化物は、成形材、
積層板等の難燃化に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA49 AA81 AC15 AE07 AF47 AH03 AH07 AH13 BC07 4J029 AA07 AC01 AD01 AE18 BA02 BA03 BA04 BA05 BA08 BA09 BF08 BF09 CA02 CA04 CA06 CB04A CB05A CB06A DC03 GA12 GA13 GA14 GA15 GA16 GA17 JC503 JC593 JC603

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1 およびR2 は置換されていてもよい直鎖状
    又は分岐状のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、
    該アルキル基中の1つあるいは2つ以上のメチレン基は
    −CH=CH−によって置き換えられていてもよく、R
    1 とR2 は同一な基であっても異なる基であってもよ
    く、またR1 とR2 はPを含んであるいはPを含まない
    で環状物を形成していてもよい。Xは酸素原子又は硫黄
    原子を示す。)で表される第二級ホスフィン誘導体から
    誘導される構造単位を含有することを特徴とする含リン
    不飽和ポリエステル。
  2. 【請求項2】 前記R1 とR2 が形成する環状物は、下
    記一般式(2)または一般式(3)で表されることを特
    徴とする請求項1記載の含リン不飽和ポリエステル。 【化2】 (式中、R3 は置換されていてもよいアルキレン基を示
    す。) 【化3】 (式中、R4 は置換されていてもよいシクロアルキレン
    基またはアリーレン基を示す。)
  3. 【請求項3】 前記第二級ホスフィン誘導体は、1,4
    −シクロオクチレンホスフィンオキシド及び1,5−シ
    クロオクチレンホスフィンオキシドから選ばれる少なく
    とも1種である請求項1または2記載の含リン不飽和ポ
    リエステル。
  4. 【請求項4】 前記不飽和ポリエステルの不飽和結合の
    一部に一般式(1)乃至一般式(3)のいずれかで表さ
    れる第二級ホスフィン誘導体が付加した部分構造を有す
    る請求項1乃至3のいずれかの項に記載の含リン不飽和
    ポリエステル。
  5. 【請求項5】 前記不飽和ポリエステル中のリン含有量
    が、Pとして0.1〜10重量%である請求項1乃至4
    のいずれかの項に記載の含リン不飽和ポリエステル。
  6. 【請求項6】 不飽和ポリエステルの不飽和結合の一部
    に一般式(1)乃至一般式(3)のいずれかで表される
    第二級ホスフィン誘導体を付加することを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれかの項に記載の含リン不飽和ポリ
    エステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(1)乃至一般式(3)のいずれ
    かで表される第二級ホスフィン誘導体を不飽和結合を有
    す多塩基酸あるいはその誘導体の一部の不飽和結合に付
    加した後、該多塩基酸あるいはその誘導体を用いて不飽
    和ポリエステルを合成することを特徴とする請求項1乃
    至5のいずれかの項に記載の含リン不飽和ポリエステル
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至5のいずれかに記載の含リ
    ン不飽和ポリエステルを含有することを特徴とする含リ
    ン不飽和ポリエステル樹脂。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の含リン不飽和ポリエステ
    ル樹脂を含有することを特徴とする含リン不飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の含リン不飽和ポリエス
    テル樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする含リン
    不飽和ポリエステル樹脂硬化物。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の含リン不飽和ポリエス
    テル樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形材。
  12. 【請求項12】 請求項9記載の含リン不飽和ポリエス
    テル樹脂組成物を用いてなることを特徴とする積層板。
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