JP2003183357A - フェノール樹脂、エポキシ樹脂、その製造方法及び半導体封止材用樹脂組成物 - Google Patents
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、その製造方法及び半導体封止材用樹脂組成物Info
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Abstract
樹脂またはエポキシ樹脂において、硬化した後の耐熱
性、耐湿性、耐クラック性および成形性のバランスが優
れた組成物となるフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を
提供する。 【解決手段】 酸触媒の存在下にフェノール、ジシクロ
ペンタジエンおよびノルボルネン化合物を反応させて得
られるフェノール樹脂において、ポリスチレン換算数平
均分子量が320以下であり、かつ1分子中にフェノー
ル性水酸基を1つのみ含有し、少なくともフェノールと
ノルボルネン化合物の1:1付加物を含む一官能性成分
の含有量を、該樹脂中の2質量%を超え10質量%以下
とする。
Description
に半導体封止材用樹脂や積層板用樹脂として有用な耐熱
性、耐湿性、耐クラック性および成形性のバランスに優
れたフェノール樹脂およびエポキシ樹脂ならびに半導体
封止材用組成物に関する。
おり、各部品およびその原料に対する要求特性が厳しい
ものとなってきている。特に、半導体のメモリーの集積
度の向上に伴う配線の微細化、チップサイズの大型化が
進んでおり、更には実装方法もスルーホール実装から表
面実装への移行が進んでいる。しかしながら、表面実装
の自動化ラインにおいては、リード線の半田付けの際に
半導体パッケージが急激な温度変化を受け、半導体封止
材用樹脂成形部にクラックが生じたり、リード線樹脂間
の界面が劣化して耐湿性が低下するという問題がある。
半導体封止材用樹脂組成物に用いられるフェノール樹脂
としては、従来、硬化剤としてフェノールノボラック樹
脂やクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂が使
用されたり、また主剤として、クレゾールノボラック骨
格を有するエポキシ樹脂が使用されている。しかしこれ
らの樹脂を用いた場合、半導体パッケージの吸湿特性が
悪く、その結果として前述のような半田浴浸漬時におけ
るクラックの発生が避けられないという問題がある。
物の耐湿性、耐熱性を改善するために、エポキシ樹脂原
料および、エポキシ樹脂の硬化剤としてのフェノール樹
脂を改良する検討がなされており、たとえば、特開昭6
1−291615号公報において、フェノール類とジシ
クロペンタジエン(以下、DCPDと称することがあ
る。)から誘導されるエポキシ樹脂を必須成分とする耐
湿性、耐熱性および内部可塑性のバランスに優れたエポ
キシ樹脂組成物が提案されている。しかしながら、必ず
しも成形性が十分とはいえない。また特開平9−488
39号公報では、DCPD・フェノール変性エポキシ樹
脂において、エポキシ樹脂またはその原料となるフェノ
ール樹脂を蒸留あるいは再沈殿を行い、低分子量成分の
量を調整することにより、耐熱性を損なわずに良好な流
動性が得られることが開示されている。しかしながら、
蒸留による調整は困難であり、また樹脂中の残存フェノ
ール量が増加するなどの問題点がある。また再沈殿によ
る調整は溶剤を使用するため、樹脂から再び溶剤を除去
する必要がある等の問題がある。
する課題は、硬化後の耐熱性に優れるとともに、流動性
が良好で半導体を封止する際の成形性に優れるフェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂およびそれらの製造方法ならびに
それらの樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物を提供するこ
とにある。
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、酸触媒の存在下でフ
ェノール、ジシクロペンタジエンおよび特定のノルボル
ネン化合物を反応させることにより、ポリスチレン換算
数平均分子量が320以下であり、かつ1分子中にフェ
ノール性水酸基を1つのみ含有し、少なくともフェノー
ル−ノルボルネン化合物の1:1付加体を含む一官能性
成分(以下、単に「一官能性成分」と称することがあ
る。)が含まれるフェノール樹脂が得られ、該フェノー
ル樹脂が硬化後の耐熱性と成形時の流動性のバランスが
優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
ロペンタジエンおよび下記の一般式(1)で示されるノ
ルボルネン化合物を反応させて得られるフェノール樹脂
であって、ポリスチレン換算数平均分子量が320以下
であり、かつ1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ
含有し、少なくとも下記の一般式(2)で示されるフェ
ノール−ノルボルネン化合物付加体(フェノール−ノル
ボルネン化合物の1:1付加体)を含む一官能性成分の
含有量が、該樹脂の2質量%を超え10質量%以下であ
ることを特徴とするフェノール樹脂に関する。
ジエンとを接触させる反応工程を含むフェノール樹脂の
製造方法において、反応工程において上記一般式(1)
で示されるノルボルネン化合物をジシクロペンタジエン
と該ノルボルネン化合物の合計量に対して5質量%を超
え30質量%以下となるように共存させことにより、ポ
リスチレン換算数平均分子量が320以下で、かつフェ
ノール性水酸基を1つのみ含有し、少なくとも上記一般
式(2)で示されるフェノール−ノルボルネン化合物付
加体を含む一官能性成分の含有量が該樹脂の2質量%を
超え10質量%以下にすることを特徴とするフェノール
樹脂の製造方法に関する。また、上記製造法により得ら
れたフェノール樹脂とエピハロヒドリン類との反応で得
られるエポキシ樹脂に関する。さらに、エポキシ樹脂、
上記製造法により得られるフェノール樹脂等からなる硬
化剤、硬化促進剤および無機充填剤を必須成分として含
有する半導体封止材用のエポキシ樹脂組成物あるいは上
記製造法により得られるエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促
進剤および無機充填剤を必須成分として含有する半導体
封止材用のエポキシ樹脂組成物に関する。
する。本発明のフェノール樹脂は、酸触媒の存在下に
て、フェノール、ジシクロペンタジエンおよび特定のノ
ルボルネン化合物を反応させることにより製造される。
フェノールは、製造方法の違いにより、不純物の少ない
合成系フェノールと、純度が若干低い石炭抽出系フェノ
ールに大別されるが、いずれも好ましく使用することが
できる。
きるいずれのものも使用できるが、下記の一般式(1)
で示されるノルボルネン化合物を含むものが好ましい。
該ノルボルネン化合物の含有量が少ないジシクロペンタ
ジエンを用いる場合は、別途用意した該ノルボルネン化
合物を使用してもよい。
にはビニルノルボルネン、メチルエテニルノルボルネ
ン、プロペニルノルボルネン、イソプロペニルノルボル
ネン、プロピニルノルボルネン、ブタンジエニルノルボ
ルネンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でも複
数混合していてもよく、その組成割合は特に限定されな
い。
無機酸およびギ酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸、三フ
ッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・エーテル錯体、三フッ化
ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・水錯体、三
フッ化ホウ素・アルコール錯体、三フッ化ホウ素・アミ
ン錯体などのフリーデル・クラフツ触媒、または、これ
らの混合物等が用いられる。これらの中でも特に、触媒
活性および触媒除去の容易さの点から、三フッ化ホウ
素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素
・エーテル錯体が好ましく用いられる。
ール、ジシクロペンタジエンおよびノルボルネン化合物
を酸触媒の存在下で反応させることにより得られ、ポリ
スチレン換算数平均分子量が320以下でありかつ1分
子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有し、少なくと
も下記の一般式(2)で示されるフェノール−ノルボル
ネン化合物付加体を含む一官能性成分の含有量が、該樹
脂の2質量%を超え10質量%以下に制御することを特
徴とする。含有量が2質量%以下では樹脂の流動性の改
善効果が十分でなく、10質量%を超える場合は樹脂の
耐熱性が必要以上に低下するため好ましくない。
以外の化合物、例えばフェノールとジシクロペンタジエ
ンの1:1付加物等を含んでいてもよく、それらの含有
比率は特に限定されるものではないが、特に上記の一般
式(2)で示される化合物は、フェノールと上記一般式
(1)で示されるノルボルネン化合物とがほぼ定量的に
反応することで生成するため、上記のノルボルネン化合
物の量を調整することにより、樹脂中の量を容易に制御
することが可能である。
能性成分は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ
ィー(GPC)により分取して単離した成分を核磁気共
鳴(NMR、磁気周波数400MHz)で分析すること
により同定することができる。同定は、1H−NMR測
定チャートにおいて、0〜6ppmおよび6.5〜8.5
ppmのピークの面積強度を用いて計算される分子中の
脂肪族水素含有率により行うことができる。一般式
(2)で示される化合物を含む一官能性成分のフェノー
ル樹脂中の含有量は、GPC分析により、ポリスチレン
換算数平均分子量320以下相当の領域に検出されるそ
れらの量を測定することにより求めることができる。な
おポリスチレン換算数平均分子量とは、GPC測定にお
いて、同等の保持時間を有するポリスチレンの分子量に
換算した分子量から計算した数平均分子量である。
量としては、得られる樹脂の物性を改善できる範囲で特
に制限されるものではないが、ジシクロペンタジエンと
該ノルボルネン化合物の合計量に対して5質量%を超え
30質量%以下が好ましく、さらには7質量%を超え2
0質量%以下が好ましい。これらの範囲で調整すること
により、上記の一般式(2)で示される化合物の樹脂中
の含有量を好ましく制御することが可能であり、5質量
%以下の場合は、得られるフェノール樹脂の流動特性の
改善効果が十分ではなく、また、30質量%を超える場
合は、流動特性が改善される反面、硬化性が著しく低下
するため好ましくない。
ェノールのモル比は、目的とするフェノール樹脂の分子
量および溶融粘度により、適宜に調節される。通常は、
フェノール/ジシクロペンタジエン=1〜20(モル
比)の範囲が好ましい。特に溶融粘度を低くするには、
フェノール/ジシクロペンタジエン=2〜15(モル
比)の範囲が好ましい。なお、溶融粘度が低いフェノー
ル樹脂、及びこれをエポキシ化して得られる溶融粘度の
低いエポキシ樹脂は、いずれも半導体封止材料に用いた
場合にフィラーの高充填が可能で線膨張係数が小さくな
り、また、耐湿性が向上するので好ましい。
ル、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン化合物および
酸触媒の合計量に対して0.01〜0.5質量%、さらに
は0.03〜0.3質量%とするのが好ましい。例えば、
フェノールとジシクロペンタジエンとを三フッ化ホウ素
・フェノール錯体の存在下に反応させる場合は、フェノ
ール、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン化合物およ
び三フッ化ホウ素・フェノール錯体の合計量に対して、
三フッ化ホウ素が上記範囲となるようにする。触媒濃度
が0.5質量%より多い場合は、反応の進行が速くなり
すぎ、また0.01質量%未満の場合は、反応の進行が
著しく遅くなるため好ましくない。なお、触媒濃度は反
応の全工程にわたって維持する必要がある。したがっ
て、フェノールと酸触媒を先に反応器に仕込み、ジシク
ロペンタジエンおよびノルボルネン化合物を滴下して反
応させる場合、反応開始時点の触媒濃度は、実際上フェ
ノールに対する濃度となるが、反応開始時から終了時ま
で上記の触媒濃度の範囲が維持されるようにする。
が触媒活性および反応生成物の組成に影響する。水分量
が多いと触媒活性が低下し、反応の進行が遅くなる結
果、樹脂組成の制御が困難となる。そのため、反応開始
前における触媒添加前のフェノール、ジシクロペンタジ
エンおよびノルボルネン化合物中の水分濃度を500p
pm以下とすることが好ましい。特にフェノールは水分
を含有し易いため、適宜、脱水操作を行って水分を制御
することが好ましい。脱水方法としては例えば、窒素気
流下においてフェノールを必要に応じて有機溶剤ととも
に共沸する方法等が挙げられる。上記酸触媒の使用量と
原料中の水分量は、上記の範囲に限定されるものではな
く、樹脂組成を制御しうる範囲で適宜そのバランスを調
整することが好ましい。反応に際しては、通常、反応器
内を窒素、アルゴン等の不活性ガスで置換する。不活性
ガスで置換された密閉系において反応を行うのが好まし
いが、反応器内に不活性ガスを供給しつつ開放系で反応
を行なうこともできる。反応においては、系内に水分が
入り込まないようにして、反応系中の水分量を500p
pm以下とすることが好ましい。
が、例えば、反応器に所定量のフェノールおよび酸触媒
等を仕込み、次いでノルボルネン化合物を含むジシクロ
ペンタジエンを滴下して反応を行う方法が挙げられる。
反応温度は、反応の進行度に応じて適宜調整すれば良
く、特に限定されるものではないが、本発明において
は、通常30〜150℃、好ましくは50〜120℃の
範囲で反応を行うことにより、反応の進行を好ましく制
御することができる。反応時間は、樹脂中の一官能性成
分の量が所望の量となるところで停止させれば良く、特
に制限されるものではないが、通常10分〜60時間、
好ましくは1〜20時間、さらに好ましくは2〜10時
間の範囲で反応を行うことにより、効率的に反応を行う
ことができる。反応の終点は、反応液中の樹脂組成を確
認することによって決められる。
せる。その際、反応を確実に停止させることが重要であ
る。失活の手段は特に制限されないが、最終的に得られ
るフェノール樹脂中のホウ素、フッ素等のイオン性不純
物の残存量が100ppm以下となるような手段を用い
るのが好ましい。失活剤として、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属もしくはそれらの酸化物、水酸化物、炭酸
塩、水酸化アンモニウム、アンモニアガス等の無機塩基
類等を用いることができるが、速く簡潔な処理が可能
で、かつ処理後のイオン性不純物の残存量も少ないこと
からハイドロタルサイト類を失活剤として用いるのが好
ましい。
去したのち濃縮工程で処理される。濃縮工程では、未反
応のフェノールが回収されるとともに一官能性成分の量
も調整されて、本発明のフェノール樹脂が得られる。濃
縮条件は、濃縮系内の温度や圧力と蒸気圧との関係から
一定の条件が定められるものではないが、以下の条件で
行うことにより最も効率的な濃縮が可能となる。すなわ
ち、系内温度については、樹脂の分解が起こらない範囲
であれば特に制限されるものではないが、250℃以下
が好ましく、さらに好ましくは180〜220℃の範囲
である。系内圧力については、常圧、減圧、加圧のいず
れの条件下で実施しても良いが、前記の温度範囲で濃縮
を円滑にかつ迅速にすませるために系内を減圧下にする
ことが好ましい。具体的には、66.5kPa(500
torr)以下の範囲が好ましく、特に40kPa(3
00torr)以下にすることが好ましい。さらに、樹
脂中の未反応フェノールを効率良く除去するために、減
圧条件下において系内に窒素あるいは高圧水蒸気等を吹
き込む操作を行うのが好ましい。系内に導入する水蒸気
あるいは窒素の圧力については特に限定されるものでは
ないが、具体的には0.3〜2.0MPaの範囲が好まし
く、より好ましくは0.5〜1.5MPaの範囲で吹き込
み操作を行った場合に効率良く不純物を除去できる。
が、好ましい濃縮方法として以下の例が挙げられる。濾
過を行った反応液(濾液)を濃縮を行う釜に移送した
後、加熱を開始すると同時に系内を連続的に減圧してい
く。系内が200℃に到達した時点で系内をフル減圧と
し、13kPa(100torr)以下とする。任意の
時間、この状態で濃縮を行った後、減圧下において高圧
水蒸気を系内に吹き込み、最終的に水蒸気を残留させな
いよう窒素を吹き込むことにより濃縮を終了する。濃縮
の終了点は、GPC分析により、未反応フェノールおよ
びポリスチレン換算数平均分子量320以下の領域に検
出される一官能性成分の量を確認することによって決定
される。フェノール樹脂中における一官能性成分の含有
量は、2質量%を超え10質量%以下になっていること
が必要である。また、未反応フェノールの含有量は製品
を使用する際の環境への配慮の点からは少ない方が好ま
しいが、生産効率および品質の面から、樹脂中の残存量
が500ppm以下になるようにすれば十分であり好ま
しくは200ppm以下、さらに好ましくは100pp
m以下である。すなわち、500ppmより多い場合
は、樹脂の性能や環境への影響の面から好ましくなく、
一方、より少なくしようとすると濃縮時間が長くなる等
の問題があるため、それらのバランスを考慮することが
大切である。
る化合物を含む一官能性成分の生成量を特定量に制御
し、反応工程終了時に一官能性成分の合計の含有量が樹
脂全体の2質量%を超え25質量%以下であれば、後の
濃縮工程で一官能性成分を容易に調整することができ、
最終的にそれらの含有量が適量に制御されたフェノール
樹脂を得ることが可能となる。濃縮工程においては、減
圧下で高圧水蒸気の吹き込み操作を行うことにより、樹
脂中の一官能性成分の含有量を2質量%を超え10質量
%以下とすることができる。さらには、一官能性成分の
含有量を2〜8質量%にするのが好ましい。なお、この
一官能性成分中には一般式(2)で示されるフェノール
−ノルボルネン化合物付加体(フェノール−ノルボルネ
ン化合物の1:1付加体)が含有されている。以上のよ
うに、反応工程および濃縮工程において一官能性成分の
量を制御することにより、本発明の耐熱特性と流動性の
バランスの良好なフェノール樹脂を得ることが可能とな
る。
脂として使用した場合に、優れた硬化性、成形性等を示
し、硬化後に優れた耐熱性、耐湿性等を付与するため
に、フェノール樹脂の樹脂物性を以下のように制御する
ことが重要である。ジシクロペンタジエン1分子にフェ
ノールが2分子付加した、フェノール性水酸基を2つ含
有する化合物(以下、二核体成分と称することがあ
る。)の樹脂中における含有量は、樹脂の粘度、流動
性、硬化性等に大きく影響するため、適宜調整すること
が重要である。フェノール樹脂中の二核体成分の含有量
としては、30〜90質量%が好ましく挙げられ、特に
40〜80質量%の範囲において好ましい硬化特性を示
す。二核体成分の含有量が30質量%未満の場合は樹脂
の流動性が低下して成形性が悪くなり、また90質量%
より多い場合は流動性は良好であるものの硬化後の架橋
密度が低下するため好ましくない。二核体成分の量は、
主としてフェノールとジシクロペンタジエンの反応モル
比によって制御可能であり、モル比を適宜調整して二核
体成分の量を制御するのが好ましい。また、樹脂粘度は
成形時の流動特性に大きく影響を与えるため適度に調節
する必要がある。粘度の規定については特に限定される
ものではないが、例えばキャノン−フェンスケ動粘度管
手法による、n−ブタノールの50%樹脂溶液の溶液粘
度を把握することが有効であり、同法による溶液粘度に
おいて10mm2/sec〜200mm2/secの範
囲に入るものが好ましく、特に30mm2/sec〜1
80mm2/secの範囲で制御された樹脂は好ましい
流動特性を発揮する。また、樹脂中のフェノール性水酸
基含有量は硬化特性等に影響するため、適宜調節する必
要がある。フェノール性水酸基含有量の規定については
特に制限されるものではないが、例えばピリジン−無水
酢酸溶液中でのアセチル化物のアルカリ逆滴定法で測定
された樹脂中水酸基の当量で165g/eq〜300g
/eqの範囲が好ましく、特に170g/eq〜250
g/eqに調整された樹脂は好ましい硬化特性を発揮す
るだけでなく、流動性とのバランスが良く成型時のハン
ドリングが非常に良好である。本明細書に記載の製造方
法によれば、上記の樹脂物性を満足するフェノール樹脂
を製造することができる。以上のようにして得られたフ
ェノール樹脂は、耐熱性、耐湿性、耐クラック性に優
れ、さらに流動性に優れるため成形性が良好であり、電
気絶縁材料、特に半導体封止材用あるいは積層板用のエ
ポキシ樹脂の硬化剤として、もしくはエポキシ樹脂の原
料として有用であるが、特にその用途が限定されるもの
ではない。
ついて説明する。本発明のエポキシ樹脂は、上記のフェ
ノール樹脂を、塩基触媒の存在下でエピハロヒドリン類
と反応させグリシジル化することにより得ることができ
る。グリシジル化の反応は、常法により行うことができ
る。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等の塩基の存在下、通常10〜150℃、好まし
くは30〜80℃の温度で、フェノール樹脂を、エピハ
ロヒドリン類すなわちエピクロルヒドリン、エピブロム
ヒドリン等のグリシジル化剤と反応させたのち、水洗、
乾燥することにより得ることができる。グリシジル化剤
の使用量は、フェノール樹脂に対して好ましくは2〜2
0倍モル当量、特に好ましくは3〜7倍モル当量であ
る。また反応の際、減圧下にて、グリシジル化剤との共
沸蒸留により水を留去することによって反応をより速く
進行させることができる。また本発明のエポキシ樹脂を
電子分野で使用する場合、副生する塩化ナトリウム等の
塩は、水洗工程で完全に除去しておかなければならな
い。この際、未反応のグリシジル化剤を蒸留により回収
して反応溶液を濃縮した後、濃縮物を溶剤に溶解して水
洗してもよい。好ましい溶剤としては、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、ブチルセロソ
ルブ等を挙げることができる。水洗した濃縮物は、加熱
濃縮を行う。
て使用した場合に、優れた硬化性、成形性等を示し、硬
化後に優れた耐熱性、耐湿性等を付与するために、エポ
キシ樹脂の樹脂物性を以下のように制御することが重要
である。樹脂中の二核体成分にグリシジル基が2つ付加
した化合物(以下、二核体エポキシ化成分と表現するこ
とがある)の含有量は、樹脂の粘度、流動性、硬化性に
大きく影響を与えるため、適宜調整することが重要であ
る。すなわちエポキシ樹脂中の二核体エポキシ化成分の
含有量は、30〜90質量%であるのが好ましく、特に
40〜80質量%の範囲が好ましい。30質量%未満の
場合は、流動性が低下し硬化物の成形性に大きく影響を
与え、また90質量%より多い場合は良好な流動性が得
られるものの、架橋密度が低下し硬化特性を悪化させる
ため好ましくない。樹脂粘度は成形時の流動特性に大き
く影響を与えるため適度に調節する必要がある。この粘
度の規定については特に限定されるものではないが、例
えばキャノン−フェンスケ動粘度管手法による、1,4
−ジオキサンの50%樹脂溶液の溶液粘度を把握するこ
とが有効であり、同法による溶液粘度において、100
mm 2/sec以下の範囲が好ましく、特に70mm2
/sec以下の範囲で制御された化合物は好ましい流動
特性を発揮する。エポキシ樹脂中のエポキシ基の含量
は、通常200〜500g/eq、好ましくは250〜
450g/eqであるのが望ましい。エポキシ基の含量
が500g/eq以上の場合には、架橋密度が低くなり
すぎるため好ましくない。本発明に記載の製造法によれ
ば、上記の物性を満足するエポキシ樹脂を製造すること
ができる。このようにして得られたエポキシ樹脂は、従
来の方法で得られる同様の構造を有するエポキシ樹脂と
比較すると流動性に優れ成形性が良好である。またエポ
キシ基の濃度が高いため硬化性および耐熱性に優れる。
特に耐ハンダクラック性に著しく優れる等の利点から半
導体封止材料用途が極めて有用である。また、積層板用
のエポキシ樹脂組成物原料としても有用であり、エポキ
シ樹脂の溶剤への溶解性に優れるために電気積層板用途
でのワニス等として用いることができる。また、本発明
のエポキシ樹脂を臭素化多価フェノール類で変性を施し
たオリゴマー型エポキシ樹脂を積層板用途に用いること
もできる。さらにはこれに多官能型エポキシ樹脂を配合
或いは変性して耐熱性を付与させたものも使用できる。
また高分子型エポキシ樹脂を得るため、2段法反応の原
料樹脂として当該樹脂を使用することも可能である。そ
の他、粉体塗料、ブレーキシュー等にも有用であり、特
にその用途が限定されるものではない。
樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組
成物は、エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填剤を必須
成分として含有するが、エポキシ樹脂として本発明のエ
ポキシ樹脂を用い、または、硬化剤として本発明のフェ
ノール樹脂を用いることを特徴とする。エポキシ樹脂と
して、本発明のエポキシ樹脂を用いる場合、さらにその
他のエポキシ樹脂を併用しても構わない。他のエポキシ
樹脂としては、公知のものが何れも使用でき、例えばビ
スフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラ
ック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エ
ポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹
脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル
型2官能エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。これらの中でも、特に耐熱性に優
れる点からオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂
が、また流動性に優れる点からビフェニル型二官能エポ
キシ樹脂が好ましい。上記の他の公知のエポキシ樹脂
は、本発明のフェノール樹脂を硬化剤として用いる場合
にもエポキシ樹脂として用いることができる。
に加え、通常エポキシ樹脂の硬化剤として常用されてい
る化合物はすべて使用することができ、特に限定される
ものではないが、例えばジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミンなどの脂肪族アミン類、メタフェニレ
ンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフ
ェニルスルホンなどの芳香族アミン類、フェノールノボ
ラック樹脂、オルソクレゾールノボラック樹脂、ビスフ
ェノールAノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラッ
ク樹脂、フェノール類−ジシクロペンタジエン重付加型
樹脂、ジヒドロキシナフタレンノボラック樹脂、キシリ
デンを結接基とした多価フェノール類、フェノールアラ
ルキル樹脂、ナフトール類樹脂、ポリアミド樹脂および
これらの変性物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水
ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無
水物系硬化剤、ジシアンジアミド、イミダゾール、三フ
ッ化ホウ素・アミン錯体、グアニジン誘導体等の潜在性
硬化剤等が挙げられる。中でも半導体封止材用としては
上記フェノールノボラック樹脂等の芳香族炭化水素−ホ
ルムアルデヒド樹脂が耐熱性、成形性に優れ、またフェ
ノールアラルキル樹脂が耐熱性、成形性、低吸水性に優
れる点から好ましい。硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂
組成物に十分な耐熱性を付与する量であれば特に限定さ
れないが、好ましくはエポキシ樹脂の一分子中に含まれ
るエポキシ基の数と、硬化剤中の活性水素の数が当量付
近となる量である。
きる。硬化促進剤としては公知のものがいずれも使用で
きるが、例えば、リン系化合物、第三級アミン、イミダ
ゾール、有機酸金属塩、ルイス酸・アミン錯塩等が挙げ
られ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能で
ある。
度、硬度を高め、低吸水率、低線膨張係数を達成し、ク
ラック防止効果を高めることができる。用いる無機充填
剤としては特に限定されないが、溶融シリカ、結晶シリ
カ、アルミナ、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げら
れる。これらの中でも、特に半導体封止材料用途におい
ては溶融シリカ、結晶シリカが一般的に用いられてお
り、特に流動性に優れる点から溶融シリカが好ましい。
また球状シリカ、粉砕シリカ等も使用できる。無機充填
剤の配合量は特に限定されるものではないが、組成物中
75〜95質量%の範囲であることが好ましく、特に半
導体封止剤用途において耐ハンダクラック性が非常に優
れるため、この範囲が好ましい。本発明においては75
質量%以上としても流動性、成形性を全く損なうことが
ない。
難燃剤、離型剤、またはカップリング剤などの公知の各
種の添加剤も適宜配合することができる。半導体封止材
料としては、テトラブロモA型エポキシ樹脂、ブロム化
フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキ
シ樹脂、三酸化アンチモン、ヘキサブロモベンゼン等の
難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、天然
ワックス、合成ワックス等の雌型剤及びシリコンオイ
ル、合成ゴム、シリコーンゴム等の低応力添加剤等の添
加剤を適宜配合することが好ましい。
製するには、エポキシ樹脂、硬化剤、および無機充填
剤、さらには硬化促進剤、その他の添加剤をミキサー等
によって十分に均一に混合した後、更に熱ロールまたは
ニーダー等で溶融混練し、射出成形あるいは冷却後粉砕
等を行う。
例により具体的に説明する。なお、フェノール樹脂の特
性は以下の方法により測定した。 1)一官能性成分の含有量(質量%) 一官能性成分をフェノール樹脂中から分取GPC、オー
プンカラム等を用い単離精製し、NMR等を用いて同定
を行った。また、分析GPCを用いポリスチレン換算数
平均分子量320以下の範囲内に検出される物質の量を
測定し、フェノール樹脂全体の測定チャートの面積比か
らフェノール樹脂全体に対する一官能性成分の含有量と
した。測定はフェノール樹脂の1質量%テトラヒドロフ
ラン(THF)溶液でWATERS社製高速液体クロマ
トグラフィーシステム「ミレニアム」を用いて行った。 2)OH当量 フェノール樹脂をピリジン−無水酢酸混合溶液中で加熱
還流し、反応後の溶液を水酸化カリウムで逆滴定するこ
とにより決定した。 3)軟化点 JIS K2207に記載の環球式軟化点測定法に従い
測定した。 4)溶液粘度 フェノール樹脂はn−ブタノール溶液、エポキシ樹脂は
1,4−ジオキサン溶液とし、それぞれ固形分濃度50
±0.001%として、逆流型キャノンフェンスケ粘度
計で恒温槽水温25℃で測定した。 5)二核体成分量および二核体エポキシ化成分量 樹脂の1質量%THF溶液を用い、WATERS社製の
示差屈折検出器「WATERS410」により検出し、
同社製高速液体クロマトグラフィーシステム「ミレニア
ム」を用いて測定した。
した4つ口フラスコにフェノール1500gにトルエン
100gを添加して、共沸脱水を行い、フェノール中の
水分を400ppmとした。このフェノール1050g
(11.1モル)に三フッ化ホウ素・フェノール錯体1.
5gを添加し十分攪拌した。その後攪拌しながら以下の
組成を有するノルボルネン化合物を含むジシクロペンタ
ジエン188g(ジシクロペンタジエン1.3モル)を
系内温度70℃に保ちながら2時間かけて添加した。該
組成の内訳はジシクロペンタジエン89.9質量%、ビ
ニルノルボルネン3.3質量%、プロペニルノルボルネ
ン、イロプロペニルノルボルネンの合計5.3質量%、
その他炭素数3のアルキル基付加ノルボルネン1.2質
量%、炭素数4のアルキル基付加ノルボルネン0.3質
量%であった。その後、系内温度を150℃に昇温後加
熱攪拌を3時間保持した。系内温度を90℃まで低下さ
せた後、得られた反応生成物溶液にハイドロタルサイト
「KW−1000」(商品名:協和化学工業(株)製)1
0gを添加し反応を失活させた。反応溶液をろ過し、得
られた溶液から未反応フェノールを蒸留回収しながら1
90℃に昇温し13kPa(100torr)の減圧下
で窒素バブリングを施し3時間保持した。その結果、赤
褐色のフェノール樹脂(I)413gを得た。この樹脂
中のフェノール−ノルボルネン化合物1:1付加体を含
む一官能性成分の含有量は5.7質量%であった。また
二核体成分の含有量は62質量%であった。この樹脂の
各物性を測定したところ、軟化点は86℃、水酸基当量
は178g/eqであった。n−ブタノール50質量%
溶液の25℃における溶液粘度は85mm2/secで
あった。
付きの3リットル4つ口フラスコに、製造実施例1で製
造したフェノール樹脂(I)178gとエピクロルヒド
リン400gとを仕込んだ後、撹拌、溶解した。反応系
内の圧力を20kPa(150torr)に調節し、6
8℃に昇温した。そこへ、濃度48質量%の水酸化ナト
リウム水溶液100gを連続的に添加しながら3.5時
間反応させた。該反応により生成する水および水酸化ナ
トリウム水溶液の水を、水−エピクロルヒドリン共沸混
合物の還流により分解し、反応系外へ連続的に除去し
た。反応終了後、反応系を常圧に戻し、110℃まで昇
温して反応系の水を完全に除去した。過剰のエピクロル
ヒドリンを常圧下で蒸留除去し、さらに2kPa(15
torr)の減圧下に140℃で蒸留を行った。 (水洗)生成した樹脂、塩化ナトリウムの混合物に、メ
チルイソブチルケトン300gおよび10質量%の水酸
化ナトリウム水溶液36gを加え、85℃で1.5時間
反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン7
50gおよび水300gを加え、下層の無機塩水溶液を
分液除去した。油層と水層の分離性は非常に良かった。
次にメチルイソブチルケトン液層に水150gを加えて
洗浄し、リン酸で中和し、水層を分離したのちさらに水
800gで洗浄して水層を分離した。定量的に無機塩類
を回収した後、メチルイソブチルケトン液層を常圧下で
蒸留し、続いて0.67kPa(5torr)、140
℃で減圧蒸留を行い、216gのエポキシ樹脂(I)を
得た。得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量が265
g/eq、1,4−ジオキサン50質量%の溶液粘度が
21mm2/sec、二核体エポキシ化成分の含有量が
51質量%であった。
ンタジエン97.1質量%、ビニルノルボルネン1.9質
量%、プロペニルノルボルネン、イロプロペニルノルボ
ルネンの合計0.9質量%、その他炭素数3のアルキル
基付加ノルボルネン0.1質量%の混合不飽和炭化水素
類を用いた以外は製造実施例1と同様に製造を行い、赤
褐色のフェノール樹脂(II)410gを得た。この樹脂
中のフェノール−ノルボルネン化合物1:1付加体を含
む一官能性成分の含有量は0.8質量%であった。また
二核体成分の含有量は66質量%であった。この樹脂の
各物性を測定したところ、軟化点は89℃、水酸基当量
は172g/eqであった。n−ブタノール50質量%
溶液の25℃における溶液粘度は89mm2/secで
あった。
フェノール樹脂(II)172gを使用した以外は、製造実
施例2と同様に製造を行い、213gのエポキシ樹脂
(II)を得た。得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量
が263g/eq、1,4−ジオキサン50質量%の溶
液粘度が25mm2/sec、二核体エポキシ化成分の
含有量が54質量%であった。
ルボルネン化合物の含有量が22.1質量%のジシクロ
ペンタジエン188g(ジシクロペンタジエン1.1モ
ル)を用いた以外は製造実施例1と同様に製造を行い、
赤褐色のフェノール樹脂(III)422gを得た。この
樹脂中のフェノール−ノルボルネン化合物1:1付加体
を含む一官能性成分の含有量は11.3質量%であっ
た。また二核体成分の含有量は57質量%であった。こ
の樹脂の各物性を測定したところ、軟化点は82℃、水
酸基当量は185g/eqであった。n−ブタノール5
0質量%溶液の25℃における溶液粘度は76mm2/
secであった。
ル樹脂(III)176gを使用した以外は製造実施例2
と同様に製造を行い、215gのエポキシ樹脂(III)
を得た。得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量が26
7g/eq、1,4−ジオキサン50質量%の溶液粘度
が21mm2/sec、二核体エポキシ化成分の含有量
が51質量%であった。
造したフェノール樹脂を用いてエポキシ樹脂組成物とし
ての流動性と硬化性についての比較を行った。表1で示
される配合に従って調製した混合物を熱ロールにて10
0℃、8分間混練し、その後粉砕したものを120〜1
40MPa(1200〜1400kg/cm2)の圧力
にてタブレットを作成し、それを用いてトランスファー
成形機にてプランジャー圧力8MPa(80kg/cm
2)、金型温度175℃、成形時間100秒の条件下に
て封止し、厚さ2mmのフラットパッケージを評価用試
験片として作成した。その後175℃で8時間の後硬化
を施した。エポキシ樹脂組成物の流動性の指標としてゲ
ルタイムと試験用金型を用い175℃、7MPa(70
kg/cm2)、120秒の条件のスパイラルフローの
測定を行った。また、評価用試験片を用いて硬化性の指
標としてDMAによるガラス転移温度の測定を行った。
また85℃、85%RHの雰囲気中168時間放置し吸
湿処理を行い吸水率の測定を行った。また、この後26
0℃のハンダ浴に10秒浸せきさせた際のクラック発生
率を調べた。これらの結果を表1に示す。実施例1は流
動性と耐熱性のバランスがよく、比較例1は流動性が悪
く、また比較例2は耐熱性が劣る。なお、フェノールノ
ボラックはタマノール758(荒川化学(株)製、軟化点
83℃、水酸基当量104g/eq)を用いた。オルソ
クレゾールノボラックエポキシはESCN−220L
(住友化学(株)製、軟化点66℃、エポキシ当量212
g/eq)を用いた。
造したエポキシ樹脂を用いてエポキシ樹脂組成物として
の流動性と硬化性についての比較を行った。表2で示さ
れる配合に従って調製した混合物を熱ロールにて100
℃、8分間混練し、その後粉砕したものを120〜14
0MPa(1200〜1400kg/cm2)の圧力に
てタブレットを作成し、それを用いてトランスファー成
形機にてプランジャー圧力8MPa(80kg/c
m2)、金型温度175℃、成形時間100秒の条件下
にて封止し、厚さ2mmのフラットパッケージを評価用
試験片として作成した。その後175℃で8時間の後硬
化を施した。エポキシ樹脂組成物の流動性の指標として
ゲルタイムと試験用金型を用い175℃、7MPa(7
0kg/cm2)、120秒の条件のスパイラルフロー
の測定を行った。また、評価用試験片を用いて硬化性の
指標としてDMAによるガラス転移温度の測定を行っ
た。また85℃、85%RHの雰囲気中168時間放置
し吸湿処理を行い吸水率の測定を行った。また、この後
260℃のハンダ浴に10秒浸せきさせた際のクラック
発生率を調べた。これらの結果を表2に示す。実施例2
は流動性と耐熱性のバランスがよく、比較例3は流動性
が悪く、また比較例4は耐熱性が劣る。なお、フェノー
ルノボラックはフェノライトTD−2131(大日本イ
ンキ化学(株)製、軟化点80℃、水酸基当量104g/
eq)を用いた。
を封止する際の成形性に優れる上に、更に封止硬化後の
耐熱性に優れるフェノール樹脂組成物、エポキシ樹脂組
成物及び半導体封止材料を提供することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 酸触媒の存在下にフェノール、ジシクロ
ペンタジエンおよび下記の一般式(1)で示されるノル
ボルネン化合物を反応させて得られるフェノール樹脂で
あって、ポリスチレン換算数平均分子量が320以下
で、かつ1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有
し、少なくとも下記の一般式(2)で示されるフェノー
ル−ノルボルネン化合物付加体を含む一官能性成分の含
有量が、該樹脂の2質量%を超え10質量%以下である
ことを特徴とするフェノール樹脂。 【化1】 【化2】 - 【請求項2】 酸触媒の存在下にフェノールとジシクロ
ペンタジエンとを反応させる反応工程を含むフェノール
樹脂の製造方法において、反応工程において前記一般式
(1)で示されるノルボルネン化合物をジシクロペンタ
ジエンと該ノルボルネン化合物の合計量に対して5質量
%を超え30質量%以下となるように共存させることに
より、ポリスチレン換算数平均分子量が320以下で、
かつフェノール性水酸基を1つのみ含有し、少なくとも
前記一般式(2)で示されるフェノール−ノルボルネン
化合物付加体を含む一官能性成分の含有量が、該樹脂の
2質量%を超え10質量%以下になるようにすることを
特徴とするフェノール樹脂の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載のフェノール樹脂とエピ
ハロヒドリン類との反応で得られるエポキシ樹脂。 - 【請求項4】 請求項2に記載の製造方法によりフェノ
ール樹脂を製造し、次いで塩基触媒の存在下で当該フェ
ノール樹脂とエピハロヒドリン類を反応させるエポキシ
樹脂の製造方法。 - 【請求項5】 エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤およ
び無機充填剤を必須成分として含有する半導体封止材用
のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤が請求項1に記
載のフェノール樹脂であることを特徴とするエポキシ樹
脂組成物。 - 【請求項6】 請求項3に記載のエポキシ樹脂、硬化
剤、硬化促進剤および無機充填剤を必須成分として含有
することを特徴とする半導体封止材用のエポキシ樹脂組
成物。
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JP2001380869A JP4004787B2 (ja) | 2001-12-14 | 2001-12-14 | フェノール樹脂、エポキシ樹脂、その製造方法及び半導体封止材用樹脂組成物 |
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JP2003183357A true JP2003183357A (ja) | 2003-07-03 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009091424A (ja) * | 2007-10-05 | 2009-04-30 | Namics Corp | 保護膜層用封止剤 |
JP4772675B2 (ja) * | 2003-08-13 | 2011-09-14 | ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・(スイッツランド)・ゲーエムベーハー | イソシアネートを使用せずに製造したポリウレタン樹脂またはポリウレタン−エポキシハイブリッド樹脂をベースとするナノ複合材料 |
-
2001
- 2001-12-14 JP JP2001380869A patent/JP4004787B2/ja not_active Expired - Fee Related
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