JP2003182014A - 多層シート - Google Patents
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Abstract
トを提供する。 【解決手段】 ジカルボン酸構成単位とジオー構成単位
とを有するポリエステル樹脂であって、少なくとも、
(1)前記ジカルボン酸構成単位の10〜50モル%が
環状アセタール骨格を有するジカルボン酸単位である
か、又は(2)前記ジオール構成単位の10〜50モル
%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポ
リエステル樹脂(A)から成る層の少なくとも1層と、
ポリエステル樹脂(A)以外の他のポリエステル樹脂、
アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びメチルメタクリレ
ート−スチレン共重合体からなる群から選ばれた少なく
とも1種の樹脂から成る透明樹脂層の少なくとも1層と
を含む多層シート。
Description
位とジオール構成単位とを有するポリエステル樹脂であ
って、ジカルボン酸構成単位及び/又はジオール構成単
位が環状アセタール骨格を有する化合物に由来する単位
を含むことを特徴とするポリエステル樹脂(A)から成
る層と、ポリエステル樹脂(A)を除くポリエステル樹
脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、およびメチルメ
タクリレート−スチレン共重合体からなる群から選ばれ
た少なくとも1種の樹脂から成る透明樹脂層を含む、耐
熱性、耐衝撃性及び透明性に優れ、且つ経済性に優れた
多層シートに関する。
屋外看板、カーポート等のエクステリア用途や透明容
器、耐熱透明飲料用カップ、惣菜トレー、再加熱を要す
る容器、蓋材等の食品用途等の用途を有しており、基材
としてポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメ
タクリレート、メチルメタクリレート−スチレン共重合
体等の樹脂が用いられてきた。しかし、ポリカーボネー
トは耐候性に劣ることや剛性が低いこと、またポリスチ
レン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレー
ト−スチレン共重合体は耐衝撃性に劣るなどの欠点を有
するため、それぞれ用途への利用には制限があった。
下「PET」ということがある)は透明性、機械的性
能、耐溶剤性、保香性、耐候性、リサイクル性等にバラ
ンスのとれた樹脂であり、近年、ポリエステル系の透明
シートの需要が拡大している。しかしながらPETは耐
熱性が必ずしも良好でないため、高い耐熱性が要求され
る分野には利用できない。
ては、ポリエチレンナフタレートやポリアリレート、ナ
フタレンジカルボン酸変性PET等が用いられてきた
が、これらの樹脂は非常に高価であるため、用途は限ら
れたものであった。
許2,945,008号の実施例9,10には、エチレ
ングリコールとPETの変性成分として下記構造式
(5):
ロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピ
ロ〔5.5〕ウンデカンとを含むジオール成分とジカル
ボン酸成分としてのジメチルテレフタレートとをチタン
化合物触媒の存在下で重合せしめて180〜220℃で
溶融するポリエステルが得られたことが記載されてい
る。また同公報中には、開示されている変性PETは、
ガラス転移点が高く耐熱性に優れるとの記載がなされて
いる。
る変性PETから単層シートを製造したところ、耐熱
性、機械物性、透明性に優れるものの、シート表面に傷
が付くことにより耐衝撃性が著しく低下するという欠点
を有することが分かった。
如き状況に鑑み、耐熱性、透明性、耐衝撃性に優れた多
層シートを提供することにある。
した結果、ジカルボン酸成分とジオール成分の少なくと
も一方が環状アセタール骨格を有する化合物を含む原料
モノマーを重合して得られたポリエステル樹脂(A)か
ら成る層の少なく1層と、ポリエステル樹脂(A)を除
くポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹
脂、及びメチルメタクリレート−スチレン共重合体から
なる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂から成る透明
樹脂層の少なくとも1層を含む多層シートが耐熱性、透
明性、及び耐衝撃性に優れ、且つ経済性に優れることを
見出し、本発明に到達した。
位とジオール構成単位とを有するポリエステル樹脂であ
って、少なくとも、(1)前記ジカルボン酸構成単位の
10〜50モル%が環状アセタール骨格を有するジカル
ボン酸単位であるか、又は(2)前記ジオール構成単位
の10〜50モル%が環状アセタール骨格を有するジオ
ール単位であるポリエステル樹脂(A)から成る層の少
なくとも1層と、ポリエステル樹脂(A)以外の他のポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及び
メチルメタクリレート−スチレン共重合体からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の樹脂から成る透明樹脂層の
少なくとも1層とを含む多層シート。
する。本発明のポリエステル樹脂(A)は、(1)環状
アセタール骨格を有するジカルボン酸単位(環状アセタ
ール骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位)を
10〜50モル%含むジカルボン酸構成単位と環状アセ
タール骨格を有さないジオール構成単位、(2)環状ア
セタール骨格を有さないジカルボン酸構成単位と環状ア
セタール骨格を有するジオール単位(環状アセタール骨
格を有するジオールに由来する構成単位)を10〜50
モル%含むジオール構成単位、又は、(3)環状アセタ
ール骨格を有するジカルボン酸単位を10〜50モル%
含むジカルボン酸構成単位と環状アセタール骨格を有す
るジオール単位を10〜50モル%含むジオール構成単
位とからなるポリエステル樹脂である。本発明に用いる
ポリエステル樹脂(A)に用いられる環状アセタール骨
格を有するジオールとしては一般式(1):
おいて、R1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数が1
〜10の脂肪族基、炭素数が3〜10の脂環式基、及び
炭素数が6〜10の芳香族基からなる群から選ばれる有
機基、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレ
ン基、ブチレン基又はこれらの構造異性体、例えば、イ
ソプロピレン基、イソブチレン基を表す。R3は炭素数
が1〜10の脂肪族基、炭素数が3〜10の脂環式基、
及び炭素数が6〜10の芳香族基からなる群から選ばれ
る有機基、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、又はこれらの構造異性体、例えば、イソ
プロピル基、イソブチル基を表す。一般式(1)及び
(2)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメ
チル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テ
トラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−メチロー
ル−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロ
キシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好ましい。
環状アセタール骨格を有するジオール以外のジオールと
しては、特に制限はされないが、エチレングリコール、
トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネ
オペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチ
レングリコール等のポリエーテル化合物類;1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノー
ル、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,
4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカ
ヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナ
フタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレン
ジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルネン
ジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタ
シクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;
4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、
メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,
4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノ
ールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビス
フェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノ
ール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レ
ゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒド
ロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のア
ルキレンオキシド付加物等が例示できる。
しては、一般式(3):
において、R3は前記と同様であり、R4及びR5はそれ
ぞれ独立して炭素数が1〜10の脂肪族基、炭素数が3
〜10の脂環式基、及び炭素数が6〜10の芳香族基か
らなる群から選ばれる有機基、好ましくは、メチレン
基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基又はこれら
の構造異性体、例えば、イソプロピレン基、イソブチレ
ン基を表す。R6およびR7はそれぞれ独立して水素原
子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基、好まし
くは水素原子あるいはメチル基を表す。一般式(3)及
び(4)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジ
メチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボ
キシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カル
ボキシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好まし
い。
環状アセタール骨格を有するジカルボン酸以外のジカル
ボン酸としては、特に制限はされないが、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロ
ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ノルボル
ナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペ
ンタシクロドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン
酸及びこれらのエステル形成性誘導体;テレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テト
ラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれら
のエステル形成性誘導体が例示できる。
は、少なくとも、(1)環状アセタール骨格を有するジ
カルボン酸単位を10〜50モル%、好ましくは15〜
45モル%含むジカルボン酸構成単位、又は(2)環状
アセタール骨格を有するジオール単位を10〜50モル
%、好ましくは15〜45モル%含むジオール構成単位
を有する。環状アセタール骨格を有するジカルボン酸単
位及び/又は環状アセタール骨格を有するジオール単位
の含有量が上記より小さい場合には、本発明に用いるポ
リエステル樹脂(A)が十分な耐熱性を示さない場合が
あり好ましくない。また上記範囲より大きい場合には耐
衝撃性がかえって低下する場合があり、好ましくない。
ジカルボン酸成分としては機械的性能の面から芳香族ジ
カルボン酸及びこのエステル形成性誘導体が好ましく、
特にテレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体が好ま
しい。ジカルボン酸構成単位中に占める芳香族ジカルボ
ン酸単位の割合は、好ましくは70モル%以上、より好
ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以
上である。上記割合とすることにより、本発明の多層シ
ートは耐熱性、機械的性能に優れたものとなる。
芳香族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボ
ン酸構成単位と、環状アセタール骨格を有するジオール
単位を10〜50モル%及びエチレングリコール単位を
50〜90モル%(但し、前記モル%はジオール類の合
計量に基づく)を含むジオール構成単位を有するポリエ
ステル樹脂である。上記組成割合のジオール構成単位と
ジカルボン酸構成単位を有することにより、本発明のポ
リエステル樹脂(A)は特に機械的性能、耐熱性を優る
という特長が得られる。
ス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカ
ンを使用することが好ましい。更に、経済性、耐熱性、
機械的性能のバランスを考慮すると、ジカルボン酸成分
及びジオール成分の組み合わせとしてジカルボン酸成分
にテレフタル酸、ジオール成分に3,9−ビス(1,1
−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)2,4,8,10
−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン及びエチレ
ングリコールを用いるのが好ましい。
製造する方法は特に制限はなく、従来公知の方法を適用
することができる。例えばエステル交換法、直接エステ
ル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げること
ができる。エステル交換触媒、エステル化触媒、エーテ
ル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合
調整剤等も従来既知のものを用いることが出来る。
ール骨格を有するジカルボン酸を含むジカルボン酸成分
及び/又は環状アセタール骨格を有するジオールを含む
ジオール成分を用いて得られたポリエステル樹脂(A)
と、ポリエステル樹脂(A)を除くポリエステル樹脂、
アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、メチルメタクリレー
ト−スチレン共重合体から選ばれた1種以上の透明樹脂
とを、少なくとも2以上の層を有する多層シートに成形
することにより得られる。
明樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、イソフタル酸変性ポリエチレンテ
レフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール変
性ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポ
リエステル樹脂;ポリスチレン樹脂;アクリル樹脂;ポ
リカーボネート樹脂;メチルメタクリレート−スチレン
共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体;塩化ビニル樹脂;脂環式ポリオレフィン樹脂が
挙げられるが、技術的に容易に多層化のできる樹脂とし
てポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹
脂、メチルメタクリレート−スチレン共重合体が特に好
ましく用いられる。
の表面に傷が付くことで、耐衝撃性が低下するという欠
点を有する。耐衝撃性の低下は、傷が付いた面の裏面か
ら力が加わった場合のみ観察され、力が加わる面に傷が
付いても耐衝撃性の低下は観察されない。このため、力
の加わる面が限定された用途であれば、多層化によりポ
リエステル樹脂(A)層の少なくとも片面を保護する、
すなわち最低2層の多層シート(ポリエステル樹脂
(A)層/透明樹脂層)とすることでポリエステル樹脂
(A)の表面に傷が付いても、耐衝撃性が低下するとい
う欠点は改善される。ポリエステル樹脂(A)をコア層
にした3層以上の層構成(例えば、透明樹脂層/ポリエ
ステル樹脂(A)層/透明樹脂層、透明樹脂層/ポリエ
ステル樹脂(A)層/透明樹脂層/透明樹脂層、透明樹
脂層/ポリエステル樹脂(A)層/透明樹脂層/ポリエ
ステル樹脂(A)層/透明樹脂層)としてポリエステル
樹脂(A)層の両面を保護すれば、一層の改善効果が得
られる。更に、ポリエステル樹脂(A)をスキン層とし
て用いた3層以上の層構成(例えば、ポリエステル樹脂
(A)層/透明樹脂層/ポリエステル樹脂(A)層、ポ
リエステル樹脂(A)層/透明樹脂層/透明樹脂層/ポ
リエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(A)層/透
明樹脂層/ポリエステル樹脂(A)層/透明樹脂層/ポ
リエステル樹脂(A))とした場合にも同様の改善効果
が得られることが分かった。
樹脂の種類および層構成(積層順、層の数)は用途によ
り選択すれば良い。例えば、PETのシートにさらに耐
熱性を付与するために、PETをスキン層、ポリエステ
ル樹脂(A)をコア層、あるいはポリエステル樹脂
(A)をスキン層、PETをコア層に用いた2種3層の
層構成(PET層/ポリエステル樹脂(A)/PET
層、ポリエステル樹脂(A)層/PET層/ポリエステ
ル樹脂(A)層)とすることで、耐熱性、透明性、耐衝
撃性に優れた多層シートが得られる。また、耐候性や表
面硬度を特に必要とする用途ではアクリル樹脂をスキン
層に、ポリエステル樹脂(A)をコア層に用いることで
(アクリル樹脂層/ポリエステル樹脂(A)/アクリル
樹脂層)、耐候性、表面硬度、耐熱性、透明性、耐衝撃
性に優れた多層シートが得られる。
メタクリレート、ポリスチレン、メチルメタクリレート
−スチレン共重合体の耐衝撃性をポリエステル樹脂
(A)によって改善した多層シートをも内包する。ポリ
メチルメタクリレート、ポリスチレン、メチルメタクリ
レート−スチレン共重合体をコア層に、ポリエステル樹
脂(A)をスキン層に用いることで、ポリメチルメタク
リレート、ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチ
レン共重合体単層のシートに比べて飛躍的に耐衝撃性が
向上する。なお、特に傷が付きやすい用途ではスキン層
のポリエステル樹脂(A)を塗膜などで保護しても良
い。
押出法、共押出ラミネート法、押出ラミネート法、ドラ
イラミネート法等の公知の積層化技術を用いることがで
きる。またこれらの積層化のために樹脂間に適した接着
剤、あるいは接着性樹脂を用いても良い。
さ0.8mmの多層シートをASTM D1003に基
づき測定される値で好ましくは87%以上である。87
%未満の場合、厚さが1mmを越える多層シートでは透
明性が不十分となり好ましくない。
0.8mm厚の多層シートから、押出方向を縦、幅方向
を横として、縦、横100mmの正方形試験片を切り出
し、この試験片を5℃刻みのオーブン内で30分加熱
し、加熱後の縦及び横方向の収縮率が10%を越えない
最高温度が好ましくは85℃以上、より好ましくは90
℃以上である。該最高温度が85℃未満の場合、熱水等
に触れた場合に多層シートが変形しやすくなり、好まし
くない。
0.8mm厚の多層シートに、JISR6010で粒度
P80の研磨紙で試験片を片面に均一に傷を付け、傷の
ない他方の面に直径2cmの半球の錘を落下させて47
0Jの衝撃エネルギーを垂直に与えた際の落錘衝撃破断
強度が好ましくは30kJ/m以上、より好ましくは3
5kJ/m以上である。落錘衝撃破断強度が30kJ/
m未満の場合、シートを薄型化すると、十分な耐衝撃性
が得られず好ましくない。
途、層を形成する樹脂の種類、層の数などに応じて決め
られるが、通常は、500μm〜10mmである。ま
た、多層シートの総厚さは用途により異なり、例えば、
食品向けシート等では0.1〜0.9mm、建材、商品
ディスプレイ用等の厚物シートでは1〜40mmの厚み
で使用される。ポリエステル樹脂(A)層と透明樹脂層
の層数の合計は通常6層までである。
ば、自動販売機電照板、ショーケース、屋外看板、カー
ポート等のエクステリア用途、各種産業機械カバー、風
防、間仕切り板等に使用することができる。また、食品
用途として、例えば、殺菌、滅菌が必要とされる透明容
器、耐熱透明飲料用カップ、惣菜トレー、再加熱を要す
る容器、蓋材等が挙げられる。その他の分野では、クリ
アケース/クリアボックス(折り曲げ加工成形品)、電
灯カバー、ブリスター、赤道直下を越えるような輸出製
品等が挙げられる。
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。なお、実施例の評価に用い
た、原料は次の通りである。
4に記載の原料モノマー(ジカルボン酸成分とジオール
成分)の所定量を、ジカルボン酸成分100モルに対し
酢酸マンガン四水和物0.03モルの存在下、窒素雰囲
気下で200℃迄昇温してエステル交換反応を行った。
メタノールの留出量が理論量に対して90%以上に達し
た後、ジカルボン酸成分100モルに対し、酸化アンチ
モン(III)0.01モルとトリフェニルホスフェート
0.06モルを加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的
に280℃、0.1kPa以下で重合を行った。適度な
溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹
脂(A)を得た。
を以下に記す。 (1)ポリエチレンテレフタレート(PET):日本ユ
ニペット(株)製、商品名:UNIPET RT553
C (2)メチルメタクリレート−スチレン共重合体(PM
S):新日鉄化学(株)製、商品名:エスチレンMS6
00 (3)ポリメチルメタクリレート(PMMA):(株)
クラレ製、商品名:パラペット HR−L
多層シートの評価方法は以下の通りである。 (1)耐熱性 0.8mm厚の多層シートから、押出方向を縦、幅方向
を横として、縦、横100mmの正方形試験片を切り出
し、この試験片を5℃刻みのオーブン内で30分加熱
し、加熱後の縦及び横方向の収縮率が10%を越えない
最高温度とした。
1003に準じて0.8mm厚の多層シートを用いて測
定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価
測定装置(型式:COH−300A)である。
に準じて測定した。0.8mm厚の多層シートを48時
間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定し
た。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定
装置(型式:COH−300A)である。
を横として、縦、横100mmの正方形試験片を切り出し
測定試料とした(表中傷無しと表記)。また、JIS
R6010で粒度P80の研磨紙で試験片の片面に均一
に傷を付け、同様に測定試料とした(表中傷有りと表
記)。測定装置は、パーカーコーポレーション社製、落
錘衝撃測定試験機を用い、錘の形状は直径2cmの半
球、衝撃エネルギーは470Jで落錘衝撃破断強度の測
定を行った。紙ヤスリで傷を付けた測定試料を測定する
場合は傷の付いていない面に錘が落下するようにして測
定を行った。
機を用い押出し、一方、スキン層原料は30mm押出機
を用いて押出し、マルチマニホールドタイプのダイを用
いて2種3層の多層シート(多層シート厚み:約0.8
mm、スキン層厚み:約100μm)を作成した。比較
例1〜4は樹脂を65mm押出機を用い押出し、単層ダ
イスを用いて、シート厚み約0.8mmの単層シートを
製造した。結果を表1〜5に示す。尚、表中の略記の意
味は下記の通りである。 DMT:ジメチルテレフタレート SPD:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボ
キシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5.5〕ウンデカン DOD:5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−
ジメチル−2−カルボキシキシエチル)−1,3−ジオ
キサン EG:エチレングリコール SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロ
キシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5.5〕ウンデカン DOG:5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−
ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサ
ン PET:ポリエチレンテレフタレート PMS:メチルメタクリレート−スチレン共重合体 PMMA:ポリメチルメタクリレート
層シートを圧縮成形(熱成形)してフランジ部を有する
容器を作成した。各種評価は以下に示す方法により行っ
た。結果を表6に示す。
した。成形性に関する評価は以下に示す基準で行った。 ○:金型形状通りに成形されており、透明性も有してい
る △:金型通りに成形されているが、屈曲部分に白化が生
じた。 ×:金型通りに成形されなかった。
のフランジ部に蓋材をヒートシールし、充填時の熱水温
度で20分間保持後、容器の容量を測定し、容量保持率
を計算した。計算式を以下に示す。 容量保持率(%)=[(熱水処理後の容量)/(熱水充
填前の容量]×100
性、耐衝撃性に優れており、エクステリア用途や食品用
途などの有用な素材として用いることができ、本発明の
工業的意義は大きい。
Claims (8)
- 【請求項1】 ジカルボン酸構成単位とジオール構成単
位とを有するポリエステル樹脂であって、少なくとも、
(1)前記ジカルボン酸構成単位の10〜50モル%が
環状アセタール骨格を有するジカルボン酸単位である
か、又は(2)前記ジオール構成単位の10〜50モル
%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポ
リエステル樹脂(A)から成る層の少なくとも1層と、
ポリエステル樹脂(A)以外の他のポリエステル樹脂、
アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びメチルメタクリレ
ート−スチレン共重合体からなる群から選ばれた少なく
とも1種の樹脂から成る透明樹脂層の少なくとも1層と
を含む多層シート。 - 【請求項2】 環状アセタール骨格を有するジオールが
下記一般式(1)または一般式(2)で表される請求項
1に記載の多層シート。 【化1】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数が1
〜10の脂肪族基、炭素数が3〜10の脂環式基、及び
炭素数が6〜10の芳香族基からなる群から選ばれる有
機基を表す。) 【化2】 (式中、R1は前記と同様であり、R3は炭素数が1〜1
0の脂肪族基、炭素数が3〜10の脂環式基、及び炭素
数が6〜10の芳香族基からなる群から選ばれる有機基
を表す。) - 【請求項3】 環状アセタール骨格を有するジカルボン
酸が下記一般式(3)または一般式(4)で表される請
求項1又は2に記載の多層シート。 【化3】 (式中、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数が1〜
10の脂肪族基、炭素数が3〜10の脂環式基、及び炭
素数が6〜10の芳香族基からなる群から選ばれる有機
基を表し、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子、
メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す。) 【化4】 (式中、R3、R4、R6及びR7は前記と同様である。) - 【請求項4】 環状アセタール骨格を有するジオールが
3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチ
ル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.
5〕ウンデカン、または5−メチロール−5−エチル−
2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−
1,3−ジオキサンである請求項1ないし3のいずれか
に記載の多層シート。 - 【請求項5】 環状アセタール骨格を有するジカルボン
酸が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシ
エチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5.5〕ウンデカン、または5−カルボキシ−5−エ
チル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチ
ル)−1,3−ジオキサンである請求項1ないし4のい
ずれかに記載の多層シート。 - 【請求項6】 ポリエステル樹脂(A)のジカルボン酸
構成単位の70モル%以上が芳香族ジカルボン酸単位で
あり、ジオール構成単位の10〜50モル%が環状アセ
タール骨格を有するジオール単位、及び50〜90モル
%がエチレングリコール単位であるポリエステル樹脂で
ある請求項1ないし5のいずれかに記載の多層シート。 - 【請求項7】 芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸及び
/又はそのエステル形成性誘導体である請求項6記載の
多層シート。 - 【請求項8】 下記の(1)ないし(3)の物性を有す
る請求項1ないし6のいずれかに記載の多層シート。 (1)厚さ0.8mmの多層シートの全光線透過率が8
7%以上である。 (2)0.8mm厚の多層シートから、押出方向を縦、
幅方向を横として、縦、横100mmの正方形試験片を
切り出し、この試験片を5℃刻みのオーブン内で30分
加熱したとき、加熱後の縦及び横方向の収縮率が10%
を越えない最高温度が85℃以上である。 (3)0.8mm厚の多層シートに、JIS R601
0で粒度P80の研磨紙で試験片の片面に均一に傷を付
け、傷のない面に直径2cmの半球錘を落下して470
Jの衝撃エネルギーを垂直に与えた際の落錘衝撃破断強
度が30kJ/m以上である。
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