JP2003182003A - 酸素ガスバリア性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

酸素ガスバリア性フィルム及びその製造方法

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JP2003182003A JP2001387956A JP2001387956A JP2003182003A JP 2003182003 A JP2003182003 A JP 2003182003A JP 2001387956 A JP2001387956 A JP 2001387956A JP 2001387956 A JP2001387956 A JP 2001387956A JP 2003182003 A JP2003182003 A JP 2003182003A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い酸素ガスバリア性、特に、高湿度下でも
優れた酸素ガスバリア性を発揮することができ、また、
シーラント接着性が良好である酸素ガスバリア性フィル
ム、および、容易に入手可能な素材から低コストで優れ
た酸素ガスバリア性を有するフィルムを製造する方法を
提供する。 【解決手段】 二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム
の少なくとも一方の面に、接着剤層を介してポリビニル
アルコール系樹脂層を形成した酸素ガスバリア性フィル
ムにおいて、前記接着剤層が、酸変性ポリオレフィンを
含有する、酸変性量0.3〜0.8重量%、メルトフロ
ーレート2.0〜5.0g/10分の変性ポリオレフィ
ン系樹脂からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素ガスバリア性
フィルム及びその製造方法、特に包装用、さらには食品
包装用フィルムとして好適な、高湿度下でも優れた酸素
ガスバリア性二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム及
びその製造方法に関する。さらに詳しくは、燃焼したと
きに塩化水素ガスを発生せずに、高湿度下での酸素ガス
バリア性、シーラント接着性に優れたフィルム及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、飲食品、医薬品、化学薬品、
日用雑貨品などの種々の物品を充填包装する包装用材料
として各種樹脂フィルムが用いられており、例えばポリ
プロピレンフィルムは加工性、透明性、耐熱性など優れ
た特性を有しており、汎用されている。しかしながら、
食品、医薬品など酸素によってその品質が劣化する物品
の包装用材料には、これら被包装物の品質を保護・保存
するために高いガスバリア性(酸素遮断性)が要求され
ており、十分な酸素ガスバリア性を有していないポリプ
ロピレンフィルムでは適用が難しかった。
【0003】そこで、酸素ガスバリア性を付与する手段
として、酸素ガスバリア性を有する材料をコーティング
することが行われている。その一つとして、ポリ塩化ビ
ニリデン系樹脂フィルムにコーティングしたポリ塩化ビ
ニリデン系樹脂コートフィルムがあり、吸湿性がほとん
どなく、高湿度下でも良好な酸素ガスバリア性を有する
ことから、現在大量に使用されている。
【0004】しかしながら、ポリ塩化ビニリデン系樹脂
コートフィルムは塩素を含有することから、燃焼によ
り、有毒な塩化水素ガス、ダイオキシンを発生し、地球
環境を汚染する点で問題になってきた。そこで、塩素を
使わない素材による酸素ガスバリア性フィルムが強く要
望されており、開発検討がされている。
【0005】そのような酸素ガスバリア性が高い素材と
しては、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニ
ルアルコール共重合樹脂がよく知られている。このよう
な樹脂をコートしたフィルムは、低湿度下では非常に優
れた酸素ガスバリア性を示すが、吸湿性が大きいため、
相対湿度が上昇するにつれ酸素ガスバリア性が低下し、
実用性に乏しいと考えられていた。
【0006】また、特開平3−30944号公報には
「ポリビニルアルコール系樹脂のコーティング液に膨潤
性を有するコロイド性含水層状ケイ酸塩化合物を添加す
る方法」が、特許2789705号公報には「膨潤性を
有するコロイド性含水層状ケイ酸塩化合物及び分子内に
シリル基を有する化合物の少なくとも1種により変性さ
れたポリビニルアルコール」が開示されている。しかし
ながら、これらを用いたフィルムは、いずれも高湿下で
の酸素ガスバリア性は優れているが、コスト高になる問
題がある。
【0007】このような、現状では、高湿度下での酸素
ガスバリア性が十分でないことや、高コストであること
から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂コートフィルムを代替
できるフィルムはまだ得られていないのが現状である。
また、これらのフィルムは、包装袋にするためにシーラ
ントとラミネートされて使用されるが、そのシーラント
との接着性も十分でないことも問題になっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
酸素ガスバリア性フィルムの有する問題点を踏まえ、ポ
リ塩化ビニリデン系樹脂がコーティングされた二軸延伸
ポリプロピレン系樹脂フィルムの代替として、容易に入
手可能な素材としてポリビニルアルコール系樹脂を選択
し、ポリビニルアルコール系樹脂の問題点である、高湿
度下での酸素ガスバリア性とシーラント接着性を改良す
ることについて鋭意検討した結果、二軸延伸ポリプロピ
レン系樹脂フィルムを基材フィルムとし、特定の接着剤
層を介して、特定のポリビニルアルコール系樹脂層を積
層し、かつ、ポリビニルアルコール系樹脂層の結晶化度
を上げることにより、高湿度下での酸素ガスバリア性と
シーラント接着性を大きく改善できることを見出した。
【0009】即ち、本発明は、高い酸素ガスバリア性、
特に、高湿度下でも優れた酸素ガスバリア性を発揮する
ことができ、また、シーラント接着性が良好である酸素
ガスバリア性フィルム、および、容易に入手可能な素材
から低コストで優れた酸素ガスバリア性を有するフィル
ムを製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の酸素ガスバリア性フィルムは、二軸延伸ポ
リプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、
接着剤層を介してポリビニルアルコール系樹脂層を形成
した酸素ガスバリア性フィルムにおいて、前記接着剤層
が、酸変性ポリオレフィンを含有する、酸変性量0.3
〜0.8重量%、メルトフローレート2.0〜5.0g
/10分の変性ポリオレフィン系樹脂からなることを特
徴とする。
【0011】上記の構成からなる本発明の酸素ガスバリ
ア性フィルムは、高い酸素ガスバリア性、特に、高湿度
下でも優れた酸素ガスバリア性を発揮することができ、
また、シーラント接着性が良好である酸素ガスバリア性
フィルムである。
【0012】この場合、ポリビニルアルコール系樹脂層
の結晶化度パラメータ(CP(M//)⊥)を0.8以上
とすることができる。
【0013】ここで、結晶化度パラメータとは、赤外偏
光ATR法(全反射測定法)における偏光ATRスペク
トルによって得られた結晶化度パラメータ(CP(M/
/)⊥)であって、具体的にはこの結晶化度パラメータ
は、ポリビニルアルコール系樹脂の吸収帯を利用したも
ので、1095cm-1付近の吸光度に対する1140c
-1付近の吸光度の比を意味する。
【0014】また、この場合、ポリビニルアルコール系
樹脂層の厚みを1μm以下とすることができる。
【0015】また、本発明の酸素ガスバリア性フィルム
の製造方法は、少なくとも一方の面に酸変性ポリオレフ
ィンを含有する、酸変性量0.3〜0.8重量%、メル
トフローレート2.0〜5.0g/10分の変性ポリオ
レフィン系樹脂からなる接着剤層を積層した未延伸フィ
ルムを一方向に延伸した後、該接着剤層の表面にポリビ
ニルアルコール系樹脂層を形成し、次いで前記延伸方向
と直角方向に延伸することを特徴とする。
【0016】上記の構成からなる本発明の酸素ガスバリ
ア性フィルムの製造方法は、高い酸素ガスバリア性、特
に、高湿度下でも優れた酸素ガスバリア性を示すフィル
ムを、容易に入手可能な樹脂から製造することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の酸素ガスバリア性
フィルム及びその製造方法の実施の形態を説明する。
【0018】本発明で用いる二軸延伸ポリプロピレン系
樹脂フィルムは、公知の二軸延伸ポリプロピレン系樹脂
フィルムであり、その原料、混合比率などは特に限定さ
れない。例えばポリプロピレンホモポリマー(プロピレ
ン単独重合体)であるほか、プロピレンを主成分として
エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのα−オレ
フィンから選ばれる1種又は2種以上とのランダム共童
合体やブロック共重合体など、あるいはこれらの重合体
を2種以上混合した混合体によるものであってもよい。
また物性改質を目的として酸化防止剤、帯電防止剤、可
塑剤など、公知の添加剤が添加されていてもよく、例え
ば石油樹脂やテルペン樹脂などが添加されていてもよ
い。
【0019】また、本発明で用いる二軸延伸ポリプロピ
レン系樹脂フィルムは、機械強度、透明性など、所望の
目的に応じて任意の膜厚のものを使用することができ
る。特に限定するものではないが、通常は10〜250
μmであることが推奨され、包装材料として用いる場含
は15〜60μmであることが望ましい。
【0020】また、本発明で用いる二軸延伸ポリプロピ
レン系樹脂フィルムは、単層フィルムであってもよく、
あるいは二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを含む
複数の樹脂フィルムが積層された積層型フィルムであっ
てもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、
積層数、積層方法などは特に限定されず、目的に応じて
公知の方法から任意に選択することができる。
【0021】本発明の酸素ガスバリア性フィルムにおい
ては、このような二軸延伸プロピレン系樹脂フィルムの
少なくとも一方の面に、酸変性ポリオレフィンを含有
し、酸変性量0.3〜0.8重量%、メルトフローレー
ト2.0〜5.0g/10分の変性ポリオレフィン系樹
脂からなる接着剤層を介してポリビニルアルコール系樹
脂層を積層してなることが必要である。
【0022】上記接着剤層を形成する変性ポリオレフィ
ン系樹脂の酸変性量が少ないと、二軸延伸プロピレン系
樹脂フィルムの層と、ポリビニルアルコール系樹脂層と
の間の接着力が弱くなってしまう。酸変性成分としては
特に限定するものではないが、通常マレイン酸、無水マ
レイン酸、フマール酸、アクリル酸、メタアクリル酸な
どの不飽和カルボン酸の単位であり、その量は、例え
ば、0.3〜5モル%程度である。
【0023】また、接着剤層を形成する変性ポリオレフ
ィン系樹脂のメルトフローレートは2.0〜5.0g/
10分である。メルトフローレートが2.0g/10分
未満の場合、成形性が悪く、メルトフローレートが5.
0g/10分を越える場合、表面の結晶化に伴う突起の
出現によりポリビニルアルコール系樹脂層を形成する
際、突起による層の欠陥が発生し、十分なガスバリア性
が得られない。
【0024】ここで、変性ポリオレフィン系樹脂は、通
常、酸変性ポリオレフィン又は酸変性ポリオレフィンと
ポリオレフィン系樹脂との混合組成物からなる。
【0025】上記酸変性ポリオレフィンとしては、マレ
イン酸、無水マレイン酸、フマール酸、アクリル酸、メ
タアクリル酸などの不飽和カルボン酸の単位を、例え
ば、0.3〜5モル%、ポリオレフィン系樹脂にグラフ
ト共重合させて得られるものが好ましい。特に、不飽和
カルボン酸の単位としてマレイン酸又は無水マレイン酸
の単位をポリオレフィン系樹脂にグラフト共重合させて
得られるものが好ましい。
【0026】また、ポリオレフィン系樹脂としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の単独重合
体や、これらを主成分としてエチレン、プロピレン、ブ
テン、ペンテン、ヘキセンなどのα−オレフィンから選
ばれる1種又は2種以上とのランダム共重合体やブロッ
ク共重合体など、あるいはこれらの重合体を2種以上混
合した混合体によるものである。。
【0027】また、接着剤層の厚みは特に限定されない
が、接着性、コストの観点からもその厚みは0.5〜5
μmとすることが望ましい。また接着剤層には目的に応
じて帯電防止剤などの添加剤が添加されていてもよい。
【0028】本発明においては、二軸延伸プロピレン系
樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、前記接着剤層を
介して、ポリビニルアルコール系樹脂層が積層される。
【0029】本発明で用いるポリビニルアルコール系樹
脂は、ビニルアルコールのモノマー単位を主成分とする
ポリマーであって、酢酸ビニル重合体、トリフルオロ酢
酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、トリメチルシリル
ビニルエーテル重合体などを鹸化して得られるポリマー
などが挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂
の重合度と鹸化度は、目的とするフィルムの特性、特に
酸素ガスバリア性及びフィルム製造時のポリビニルアル
コール系樹脂水溶液の粘度及びコート後のフィルムの延
伸性から定められる。延伸性については、重合度の高い
方が結晶化速度が遅く、延伸性が良好である。しかし、
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が高すぎると、水
溶液粘度が高いことやゲル化しやすいことから.コーテ
ィングが困難となる。従って、重合度はコーティングフ
ィルムの延伸性の点から200以上であり、コーティン
グの作業性から2600以下のものを用いるのが好まし
い。好ましいポリビニルアルコール系樹脂の重合度は5
00〜2000である。ポリビニルアルコール系樹脂の
鹸化度については、90%未満では高湿度下での必要な
酸素ガスバリア性が得られず、99.7%を越えると水
溶液の調整が困難で、ゲル化しやすく、工業生産には向
かない。従って、鹸化度は90〜99.7%であり、好
ましくは93〜99%である。
【0030】本発明におけるポリビニルアルコール系樹
脂層の偏向ATRスペクトルによって得られる結晶化度
パラメータ(CP(M//)⊥)は0.8以上であること
が好ましい。結晶化度パラメータ(CP(M//)⊥)の
値が0.8以上であれば、高湿度下であっても優れた酸
素ガスバリア性を発揮することができる。
【0031】本発明において結晶化度パラメータは、酸
素ガスバリア性フィルムのポリビニルアルコール系樹脂
層を赤外偏光ATR法(全反射測定法)によって測定し
た値であり、詳細には赤外偏光ATR法における偏光A
TRスペクトルによって得られた結晶化度パラメータ
(CP(M//)⊥)である。なお、IRスペクトルによ
ってポリビニルアルコール系樹脂の結晶化度を評価する
場合、通常1140cm -1付近の吸光度で評価するが、
赤外偏光ATR法による吸光度は、試料の測定面積、厚
み及び表面状態の影響を強く受けるため、他の吸光度と
の相対強度によって評価することが好ましい。そこで本
発明における結晶化度パラメータは、1095cm-1
近の吸光度に対する1140cm-1付近の吸光度の比と
した。結晶化度パラメータ(CP(M//)⊥)は高いほ
ど、より優れた酸素ガスバリア性が得られ、0.8以上
であることが好ましく、さらに、好ましくは1.0以
上、より好ましくは1.2以上、最も好ましくは1.9
以上である。
【0032】上記の、1140cm-1はポリビニルアル
コール系樹脂の結晶性バンドの吸収が認められる波長で
あり、1095cm-1はC−Oの伸縮運動に碁づく吸収
が現れる波長である。この吸光度の比を0.8以上とす
ることにより、高湿度下での酸素ガスバリア性が改良さ
れ、さらには従来の方法に比較すると薄膜でありながら
酸素ガスバリア性の優れたフィルムが得られる。これは
ポリプロピレン系樹脂フィルム層と接着剤層の積層フィ
ルムを一軸方向に延伸後、ポリビニルアルコール系樹脂
溶液を接着剤層に積層し、その後、前記延伸方向に対
し、直角に延伸することにより達成される。この吸光度
の比が0.8未満の場合は、ポリビニルアルコール系樹
脂の結晶化が低く、高湿下での酸素ガスバリア性が十分
でない。
【0033】ポリビニルアルコール系樹脂の積層方法と
しては、特にコーティング法が好ましい。コーティング
法は限定するものではないが、使用するコーティング液
の塗布量と粘度により、リバースロールコーティング
法、ロールナイフコーティング法、ダイコーティング法
など最適な方法を採用することができる。
【0034】コーティング時の乾燥、熱処理の条件は塗
布厚み、装置の条件にもよるが、乾燥工程を設けずに直
ちに直角方向の延伸工程に送入し、延伸工程の予熱ゾー
ンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましい。こ
のような場合、通常80〜170℃程度で行う。なお、
必要であれば、ポリビニルアルコール系樹脂層を形成さ
せる前に接着剤層にコロナ放電処理その他の表面活性化
処理や公知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施
してもよい。また、ポリビニルアルコール系樹脂中に静
電防止剤や滑り剤、アンチブロッキング剤などの公知の
無機、有機の各種添加剤を加えることは本発明の目的を
阻害しない限り任意である。
【0035】ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは、
ポリプロピレン系樹脂フィルム及び必要とする酸素ガス
バリア性によって異なるが、酸素ガスバリア性を発揮さ
せる最小限の厚みがよく、通常は乾燥厚みで1μm以下
であることが、透明性、取り扱い性、経済性の点で好ま
しい。
【0036】本発明の酸素ガスバリア性フィルムは、通
常、ポリビニルアルコール系樹脂層の上にシーラントと
呼ばれるヒートシール性樹脂層が形成される。ヒートシ
ール性樹脂層の形成は、通常、押出しラミネート法ある
いはドライラミネート法によリなされる。
【0037】本発明で用いられるヒートシール性樹脂層
を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性
が十分に発現できるものであればよく、高密度ポリエチ
レン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンな
どのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン系樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィンラ
ンダム共重合体、アイオノマー樹脂などを使用できる。
通常ヒートシール樹脂も塩素含有樹脂でないものが、使
用後の焼却処理時の環境問題上から好ましい。
【0038】本発明によリ、安価でかつ、高湿度下での
酸素ガスバリア性、シーラント接着性が優れ、さらに焼
却排ガス中に塩化水素ガスを含まず、近年問題とされて
いる環境保全に対して有効であるフィルムを提供でき
る。
【0039】
【実施例】次に本発明を以下の実施例、比較例を用いて
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。なお液中の濃度表示は、特に断らない限り重
量基準であり、特性値評価は以下の方法により行った。
【0040】1)酸素透過度 酸素透過度は、モダンコントロール社製「MOCON OX-TRA
N 2/20」を使用し、23℃、相対湿度85%にコントロ
ールした雰囲気下、測定時間は30分で実施した。酸素
透過度の単位は、mL/m2・day・MPaで示し
た。
【0041】(2)ラミネート強度 ラミネート強度は、ポリビニルアルコール系樹脂からな
る酸素ガスバリア層表面に、ラミネート接着剤としてポ
リエーテル系ポリウレタン系接着剤(東洋モートン社
製:商品名:アドコート)を3g/m2塗布した後、無
延伸ポリプロピレンフィルム(厚み40μm、東洋紡績
社製:P1128)のコロナ放電処理面と張り合わせ、
40℃で72時間エージングを行い、ラミネートフィル
ムを得た。このラミネートフィルム(15mm幅)を常
温で90゜剥離したときの強度で示した。
【0042】(3)結晶化度パラメータ Bio-Rad社製FT-IR(FTS-60A/896)にATR測定用付属装
置(Perkin-Elmer社製)、偏光子及び対称形のエッジを
有するInternal Reflection Element(Ge、入射角4
5度、厚さ2mm×長さ50mm×幅20mm)を取り
付けたATR装置を用いて赤外偏光ATR法によって各
試験片(長さ45mm×幅17mm)の結晶化度を測定
した。なお、Internal Reflection Elementの中央部
(幅12mm)のみに赤外光が入射するように端部の赤
外光を遮断した。
【0043】試験片は、長さ方向をフィルムの幅方向
(流れ方向に対し直角方向)に取り、ポリビニルアルコ
ール系樹脂からなる酸素ガスバリア層を該Internal Ref
lection Elementに密着させて、試験片の反射面に対し
垂直偏光の光を照射して測定した。得られたスペクトル
をSpectrum(M//)⊥とする。
【0044】得られた偏光ATRスペクトルにおいて、
1140cm-1付近の吸収と1095cm-1付近の吸収
の吸光度を求める。このとき、偏光ATRスペクトルの
1140cm-1付近のピークの高波数側の谷部と109
5cm-1付近のピークの低波数側の谷部の二点を結んだ
線をベースラインとし、ベースラインから吸収帯のピー
クまでの高さをポリビニルアルコール系樹脂からなる酸
素ガスバリア層吸収帯の吸光度とする。1140cm-1
付近のピークの吸光度をA1140、1095cm-1
近のピークの吸光度をA1095とする。明確なピーク
が観察されない場合は、1140cm-1、1095cm
-1の位置での吸光度をA1140、A1095とした。
【0045】Spectrum(M//)⊥のスペクトルに対し、
A1095に対するA1140の比(A1140/A1
095)を求めた。この値を結晶化度パラメータとし、
CP(M//)⊥で示す。
【0046】(実施例1) コート液の調製 イソプロピルアルコール7%を含有する水溶液900g
を攪拌しながら、その水溶液にポリビニルアルコール系
樹脂の粉末97gを徐々に投入した。約80℃に加熱し
完全に溶解させた後、40℃まで冷却した。
【0047】フィルムヘのコーティングと評価 基層としてポリプロピレン系樹脂97重量%と極性基を
実質的に含まない石油樹脂(エスコレッツE5300:
トーネックス社製)3重量%とを混合した樹脂、接着剤
層としてポリプロプレン系樹脂50重量%とエチレン含
有量が5mol%のプロピレン−エチレンランダム共重
合体にマレイン酸を1.0重量%グラフト共重合させた
酸変性ポリプロピレン50重量%とを混合した変性ポリ
オレフィン系樹脂を使用した。このときの接着剤層の変
性ポリオレフィン系樹脂の酸変性量は0.50重量%、
メルトフローレートは2.8g/10分であった。これ
らを基層/接着剤層=19/1(重量比)の割合で樹脂
温度260℃になるように2層状態でTダイから共押出
しして、温度25℃のキャスティングロールにてキャス
ティング後、縦方向に4倍延伸し、厚さ200μmのフ
ィルムを得た。次に、得られた積層フィルムの接着剤層
面上にリバースロールコーティング法にて前記コート液
を塗布後、横方向に9倍延伸し、1.1μmのポリビニ
ルアルコール系樹脂層を含む多層樹脂フィルムを得た。
このコートフィルムにつき、酸素透過度、結晶化度パラ
メータ(A1140/A1095)を測定した。
【0048】次に、このフィルムのコート面側に、ポリ
エーテル系ポリウレタン接着剤(東洋モートン社製:商
品名=アドコート)を3g/m2塗布した後、無延伸ポ
リプロピレンフィルム(東洋紡績社製:P1128)の
コロナ放電処理面と張リ合わせ、40℃で72時間エー
ジングを行い、ラミネートフィルムを得た。このラミネ
ートフィルムにつき、ラミネート強度を評価した。
【0049】(実施例2)接着剤層の酸変性ポリプロピ
レンの混合量を39重量%、ポリビニルアルコール系樹
脂層の厚みを0.7μmになるようにコーティングした
以外は、実施例1と同様の方法で、サンプルを作製し、
評価を行った。
【0050】(比較例1)接着剤層の酸変性ポリプロピ
レンの混合量を17重量%とした以外は、実施例1と同
様の方法で、サンプルを作製し、評価を行った。
【0051】(比較例2)接着剤層をポリプロプレン系
樹脂50重量%とエチレン含有量が5mol%のプロピ
レン−エチレンランダム共重合体にマレイン酸を1.0
重量%グラフト共重合させた変性ポリプロピレン50重
量%とを混合した変性ポリオレフィン系樹脂を使用し、
酸変性量0.50重量%、メルトフローレート7.0g
/10分とした以外は、実施例1と同様の方法で、サン
プルを作製し、評価を行った。
【0052】表1に、上記の実施例、比較例の接着剤
層、ポリビニルアルコール系樹脂層の特性、および、得
られたフィルムの評価結果を示した。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明の酸素ガスバリア性フィルムによ
れば、高い酸素ガスバリア性、特に、高湿度下でも優れ
た酸素ガスバリア性を発揮することができ、また、シー
ラント接着性が良好である。
【0055】また、本発明の酸素ガスバリア性フィルム
の製造方法によれば、容易に入手可能な素材から低コス
トで優れた酸素ガスバリア性を有するフィルムを製造す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 (72)発明者 松村 豊 愛知県犬山市大字木津字前畑344番地 東 洋紡績株式会社犬山工場内 (72)発明者 山本 克史 愛知県犬山市大字木津字前畑344番地 東 洋紡績株式会社犬山工場内 (72)発明者 多賀 敦 愛知県犬山市大字木津字前畑344番地 東 洋紡績株式会社犬山工場内 Fターム(参考) 4F100 AK02 AK03D AK03E AK03H AK07A AK21B AK21C AK52 AK52H AK64 AL07D AL07E AL07H BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA10B BA10C BA10D BA10E EH20 EH202 EH46 EH462 EJ38 EJ38A EJ382 EJ55 EJ552 EJ98 EJ982 GB16 GB66 JD03 JL12 4F210 AA11 AA19 AE10 AG01 AG03 QC06 QD05 QD08 QG01 QG15 QG18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム
    の少なくとも一方の面に、接着剤層を介してポリビニル
    アルコール系樹脂層を形成した酸素ガスバリア性フィル
    ムにおいて、前記接着剤層が、酸変性ポリオレフィンを
    含有する、酸変性量0.3〜0.8重量%、メルトフロ
    ーレート2.0〜5.0g/10分の変性ポリオレフィ
    ン系樹脂からなることを特徴とする酸素ガスバリア性フ
    ィルム。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系樹脂層の結晶化
    度パラメータ(CP(M//)⊥)が0.8以上である請
    求項1記載の酸素ガスバリア性フィルム。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みが
    1μm以下である請求項1又は2記載の酸素ガスバリア
    性フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の酸素ガスバリ
    ア性フィルムの製造方法であって、少なくとも一方の面
    に酸変性ポリオレフィンを含有する、酸変性量0.3〜
    0.8重量%、メルトフローレート2.0〜5.0g/
    10分の変性ポリオレフィン系樹脂からなる接着剤層を
    積層した未延伸フィルムを一方向に延伸した後、該接着
    剤層の表面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成し、
    次いで前記延伸方向と直角方向に延伸することを特徴と
    する酸素ガスバリア性フィルムの製造方法。
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