JP2003181700A - プリプレグの製造装置、及びプリプレグの製造方法 - Google Patents
プリプレグの製造装置、及びプリプレグの製造方法Info
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Abstract
ることを防止し、所望の繊維目付のプリプレグを製造す
ることが可能な手段を提供する。 【解決手段】 本発明のプリプレグの製造装置は、片面
に熱硬化性樹脂を塗布した一対の担持シートで強化繊維
を挟持して、積層体11を形成する積層体形成手段50
と、張力をかけながら、積層体11を加熱する加熱手段
40と、積層体11を加熱、加圧することにより、強化
繊維に熱硬化性樹脂を含浸させ、プリプレグを生成する
プリプレグ生成手段60とを具備することを特徴とす
る。加熱手段40は、積層体11に接して加熱を行う複
数の加熱ロール(加熱部材)41〜43を具備し、複数
の加熱ロール41〜43は、隣接する加熱ロールが積層
体11の異なる面に接し、かつ、隣接する加熱ロール間
を通過する時の積層体11の進行方向がその直前の進行
方向と異なるように、配置されていることが好ましい。
Description
性樹脂を含浸させたプリプレグの製造装置、及びプリプ
レグの製造方法に関するものである。
強化複合材は、軽量で優れた機械特性を有することか
ら、釣竿、ゴルフシャフト等のスポーツレジャー用部
材、航空機、自動車、船舶、建築物等の部材として広く
用いられている。かかる繊維強化複合材は、例えば、エ
ポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を、炭素繊維、アラミド繊
維、ガラス繊維等の強化繊維に含浸させ、半硬化状態と
した、シート状等の繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグを
複数積層させた後、加熱、加圧し、プリプレグを硬化す
ることにより製造されている。なお、本明細書では、
「繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグ」のことを単にプリ
プレグと称す。
シートにより担持した担持シート付きプリプレグの形態
で製造されている。以下、図2に基づいて、従来のプリ
プレグの製造装置について簡単に説明する。図2に示す
従来のプリプレグの製造装置は、炭素繊維等の強化繊維
若しくは強化繊維の織物等を供給するクリール101
と、片面に熱硬化性樹脂が塗布された担持シートを供給
する巻出しロール103、104と、所定の温度に加熱
されたニップロール105〜107と、巻出しロール1
03から供給された担持シートを巻取る巻取りロール1
08と、製造された担持シート付きプリプレグを巻取る
巻取りロール109とを具備して構成されている。
うにして、担持シート付きプリプレグが製造される。す
なわち、クリール101から供給された強化繊維110
は、コーム102により一方向に揃えられ、開繊手段
(図示略)により開繊された後、第1のニップロール1
05に供給される。同時に、第1のニップロール105
には、巻出しロール103、104から、片面に熱硬化
性樹脂が塗布された担持シート120、130が供給さ
れ、ニップロール105を構成する一対のロール間にお
いて、強化繊維110は、片面に熱硬化性樹脂が塗布さ
れた担持シート120、130により挟持され、積層体
111が形成される。なお、積層体111は形成される
と同時に、第1のニップロール105により加熱及び加
圧される。さらに、積層体111は、第2、第3のニッ
プロール106、107により順次、加熱及び加圧され
る。
ロール105〜107により加熱及び加圧し、熱硬化性
樹脂を強化繊維110に含浸させることにより、プリプ
レグが生成される。次いで、巻出しロール103から供
給された担持シートのみを剥離し、巻取りロール108
により巻取り、担持シート付きプリプレグ112を得た
後、これを巻取りロール109により巻取ることによ
り、担持シート付きプリプレグ112が製造される。
強化繊維束も含めて、単に「強化繊維」と称す。
造装置を用いた場合には、積層体がニップロールに接す
る時間が短いことに起因して、積層体が十分に加熱され
ないままニップロールを通過し、樹脂の含浸が不十分と
なる恐れがあった。そこで、かかる問題を解決するため
に、図3に示すように、第1のニップロール105と第
2のニップロール106との間に熱板140を配置し、
プリプレグを生成する前に熱板140上を通過させるこ
とにより、積層体111を予熱することが提案されてい
る。また、熱板140を設ける代わりに、赤外加熱ヒー
タ(図示略)を配置し、赤外加熱ヒータから赤外線を照
射することにより、積層体111を予熱することも提案
されている。このように、プリプレグを生成する前に、
熱板若しくは赤外加熱ヒータにより積層体を予熱するこ
とにより、樹脂の含浸をより確実に行うことができる。
レグを生成する前に積層体を予熱する予熱手段として、
熱板、赤外加熱ヒータのいずれを採用した場合において
も、予熱によって、積層体を構成する樹脂が軟化するた
め、開繊手段により開繊させたにもかかわらず、開繊幅
が狭くなり、所望の繊維目付のプリプレグが得られない
恐れがあった。
には、積層体の片面側からのみ加熱を行うため、他方の
面側まで十分に予熱されない恐れがあった。また、生産
効率の向上を図るために、積層体の搬送速度を大きくし
た場合には、熱板に対して積層体が押し付けられる力が
弱まり、熱板と積層体との密着性が低下するため、熱板
による予熱効率が一層低下し、予熱が不十分となる恐れ
があった。そのため、十分な予熱を行うためには、熱板
の長さを長くし、積層体の熱板への接触時間を長くする
必要があり、生産性が低下するという問題があった。ま
た、予熱手段として赤外加熱ヒータを採用した場合に
は、赤外線により積層体全体を加熱するため、効率良く
予熱することができるものの、非接触で加熱を行うた
め、温度制御が難しく、安定してプリプレグを製造する
ことが困難となる恐れがあった。
たものであり、予熱を行う際に、開繊幅が狭くなること
を防止し、所望の繊維目付のプリプレグを安定して製造
することが可能な手段を提供することを第一の目的とす
る。また、生産性を低下させることなく、安定して予熱
を行うことができ、樹脂の含浸状態が良好なプリプレグ
を安定して製造することが可能な手段を提供することを
第二の目的とする。
決するべく検討を行った結果、以下のプリプレグの製造
装置、及びプリプレグの製造方法を発明するに到った。
本発明のプリプレグの製造装置は、強化繊維に熱硬化性
樹脂を含浸させたプリプレグの製造装置において、片面
に熱硬化性樹脂を塗布した一対の担持シートで強化繊維
を挟持して、積層体を形成する積層体形成手段と、前記
積層体に張力をかけながら、前記積層体を加熱する加熱
手段と、前記積層体を加熱、加圧することにより、強化
繊維に熱硬化性樹脂を含浸させ、プリプレグを生成する
プリプレグ生成手段とを具備することを特徴とする。
においては、プリプレグ生成手段によりプリプレグを生
成する前に、加熱手段(予熱手段)により、積層体に張
力をかけながら、積層体の予熱を行うことを特徴として
いる。かかる構成とすることにより、予熱を行う際に
は、強化繊維がその延在方向に引っ張られた状態となる
ので、予熱により樹脂が軟化しても、各繊維の動きが拘
束され、開繊幅が狭くなることを防止することができ、
所望の繊維目付のプリプレグを安定して製造することが
できる。
いて、前記加熱手段は、前記積層体に接して加熱を行う
複数の加熱部材を具備し、前記複数の加熱部材は、隣接
する前記加熱部材が前記積層体の異なる面に接し、か
つ、隣接する前記加熱部材間を通過する時の前記積層体
の進行方向がその直前の進行方向と異なるように、配置
されていることが好ましい。
数の加熱部材により構成すると共に、隣接する加熱部材
間を通過する時の積層体の進行方向がその直前の進行方
向と異なるように、複数の加熱部材を配置することによ
り、積層体が隣接する加熱部材の存在により引っ張られ
た状態となる。また、積層体は各加熱部材と接する際に
加熱されるので、積層体に張力をかけながら、積層体の
予熱を行うことができる。
面に接するように、複数の加熱部材を配置する構成とし
ているので、積層体の両面を複数の加熱部材により交互
に加熱することができる。また、積層体は張力がかかっ
た状態で加熱部材に接するため、加熱部材に対して積層
体が押し付けられた状態を維持することができる。した
がって、積層体の搬送速度を大きくしたとしても、積層
体と加熱部材との密着性が低下する恐れがない。このよ
うに、積層体を両面側から加熱することに加えて、加熱
部材に対して積層体が押し付けられる力が低下する恐れ
がないので、加熱部材による積層体の予熱を安定して行
うことができ、樹脂の含浸状態が良好なプリプレグを安
定して製造することができる。また、予熱効率を向上す
ることができるので、樹脂含有率を低くした場合におい
ても、短時間で予熱を終了することができ、生産性にも
優れている。また、積層体を加熱部材に接触させて予熱
を行うため、予熱を行う際の加熱温度についても簡易に
制御することができ、安定してプリプレグを製造するこ
とができる。
して行うことができると共に、予熱効率を向上すること
ができる結果、樹脂の含浸速度を著しく向上させること
ができ、プリプレグの生産効率を著しく向上できると共
に、プリプレグ生成手段の構造を簡略化できることを見
出した。具体的には、プリプレグ生成手段としてはニッ
プロール等が用いられているが、本発明者は、ニップロ
ール等の数を少なくしても、樹脂の含浸状態が良好なプ
リプレグを安定して製造できることを見出した。
られる圧力は、積層体にかかる張力の指標であり、加熱
部材に対して積層体が押し付けられる圧力が高い(ある
いは低い)ということは、積層体にかかる張力が高い
(あるいは低い)ことに相当するが、加熱部材に対して
積層体が押し付けられる圧力が0.01〜0.5kg/
cm2であることが好ましい。本発明者は、加熱部材に
対して積層体が押し付けられる圧力がこの範囲となるよ
うに、積層体に張力をかけながら予熱を行うことによ
り、上記の効果、すなわち、所望の繊維目付のプリプレ
グを安定して製造することができるという効果、及び積
層体の予熱を安定して行うことができると共に、予熱効
率を向上することができるという効果を安定して得るこ
とができることを見出した。
面が曲面であることが好ましい。このように、加熱部材
の積層体と接する面を曲面とすることにより、隣接する
加熱部材間における積層体の搬送を滑らかに行うことが
できるので、好適である。
強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグの製造
方法において、片面に熱硬化性樹脂を塗布した一対の担
持シートで強化繊維を挟持して、積層体を形成する工程
と、前記積層体に張力をかけながら、前記積層体を加熱
する工程と、前記積層体を加熱、加圧することにより、
強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させ、プリプレグを生成
する工程とを有することを特徴とする。
に張力をかけながら、積層体を加熱する工程を有するも
のであるので、予熱を行う際に、開繊幅が狭くなること
を防止することができ、所望の繊維目付のプリプレグを
安定して製造することができる。
いて説明する。 (プリプレグの製造装置)図1に基づいて、本発明に係
る一実施形態のプリプレグの製造装置、及びこの製造装
置を用いたプリプレグの製造方法について説明する。本
実施形態のプリプレグの製造装置は、炭素繊維等の強化
繊維を供給するクリール(強化繊維供給手段)1と、ク
リール1から供給された強化繊維を一方向に揃えるため
のコーム2と、片面にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が
塗布された離型紙等の担持シートを供給する巻出しロー
ル3、4と、所定の温度に加熱されたニップロール5〜
7と、巻出しロール3から供給された担持シートを巻取
る巻取りロール8と、製造された担持シート付きプリプ
レグを巻取る巻取りロール9とを具備して構成されてい
る。
置には、第1のニップロール5と第2のニップロール6
との間に、第1のニップロール5において生成された積
層体の予熱を行う加熱手段(予熱手段)40が設けられ
ており、本実施形態のプリプレグの製造装置において
は、この加熱手段40を備えている点が特徴的なものと
なっている。
ら見て、巻取りロール8により巻取る担持シートを供給
する巻出しロール3側を「上側」、もう一方の担持シー
トを供給する巻出しロール4側を「下側」として説明す
るが、上下の構成は逆であっても構わない。
て、クリール1から供給された強化繊維10は、コーム
2により一方向に揃えられ、開繊手段(図示略)により
開繊された後、第1のニップロール5に供給される。ま
た、巻出しロール3から供給され、片面に熱硬化性樹脂
が塗布された担持シート20は、第1のニップロール5
を構成する上側のロールに供給され、巻出しロール4か
ら供給され、片面に熱硬化性樹脂が塗布された担持シー
ト30は、第1のニップロール5を構成する下側のロー
ルに供給される。そして、ニップロール5を構成する一
対のロール間において、片面に熱硬化性樹脂が塗布され
た担持シート20、30により強化繊維10を挟持した
積層体11が形成される。
た側の面が強化繊維10側に位置するように、熱硬化性
樹脂が塗布された担持シート20、30が第1のニップ
ロール5に供給されるようになっている。このように、
巻出しロール3、4、第1のニップロール5により、片
面に熱硬化性樹脂が塗布された担持シート20、30に
より強化繊維10を挟持した積層体11を形成する積層
体形成手段50が構成されている。
された積層体11は、加熱手段40により予熱された
後、さらに、第2、第3のニップロール6、7を順次通
過するように構成されているが、ニップロール5〜7は
熱硬化性樹脂の軟化点以上の所定の温度に加熱されてい
るので、ニップロール5〜7を通過する際に、積層体1
1は加熱及び加圧される。これによって、熱硬化性樹脂
を強化繊維10に含浸させ、プリプレグが生成されるよ
うになっている。このように、本実施形態では、ニップ
ロール5〜7によりプリプレグ生成手段60が構成され
ている。なお、ニップロール5〜7の加熱温度は、用い
る熱硬化性樹脂の種類により異なるが、例えば、70〜
130℃に設定される。また、ニップロール5〜7から
積層体11にかかる線圧は、例えば、10〜50kg/
cm(1〜5t/m)に設定される。
ロール3から供給された担持シートのみを剥離し、巻取
りロール8により巻取ることにより、担持シート付きプ
リプレグ12を得た後、これを巻取りロール9により巻
取ることにより、担持シート付きプリプレグ12が製造
される。
プロール6との間に設けられた加熱手段40の構造につ
いて詳述する。加熱手段40は、互いに離間配置され、
所定の温度に加熱された3個の円柱状の第1〜第3の加
熱ロール(加熱部材)41〜43により構成されてお
り、積層体11はこれら加熱ロール41〜43に接する
ように搬送されて加熱されるようになっている。なお、
十分な予熱効果を得るためには、加熱ロール41〜43
の加熱温度がニップロール5〜7と同等以上に設定され
ていることが好ましい。また、加熱ロール41〜43は
積層体11の動きに合わせて自由に回動するものであっ
ても良いし、駆動手段に接続され、所定の周速度で回動
されるものであっても良い。また、回動せずに、完全固
定されたものであっても良い。但し、積層体11の搬送
を滑らかに行うためには、完全固定されたものよりは、
回動可能なものであることが好ましい。
43は、ニップロール5〜7を構成する下側のロールと
平行に配置されているが、積層体11は、図示左側から
奇数番目の第1、第3の加熱ロール41、43の上端部
側を通過し、偶数番目の第2の加熱ロール42の下端部
側を通過するように構成されている。換言すれば、加熱
ロール41〜43は、隣接する加熱ロール41〜43が
積層体11の異なる面に接するように配置されており、
図示左側から奇数番目の第1、第3の加熱ロール41、
43は積層体11の下面に接し、偶数番目の第2の加熱
ロール42は積層体11の上面に接するように構成され
ている。そして、積層体11の両面を加熱ロール41〜
43により交互に加熱できるようになっている。
を通過する時の積層体11の進行方向がその直前の進行
方向と異なるように構成されている。具体的には、第1
の加熱ロール41に接するまでの積層体11の進行方向
は水平方向である。これに対して、第1、第2の加熱ロ
ール41、42間を通過する積層体11の進行方向は、
第1の加熱ロール41の上端部側から第2の加熱ロール
42の下端部側に向かう方向となるので、図示右下がり
の方向となっている。また、同様に、第2、第3の加熱
ロール42、43間を通過する積層体11の進行方向
は、第2の加熱ロール42の下端部側から第3の加熱ロ
ール43の上端部側に向かう方向となるので、図示右上
がりの方向となっている。
3が積層体11の異なる面に接し、かつ、隣接する加熱
ロール41〜43間を通過する時の積層体11の進行方
向がその直前の進行方向と異なるように、加熱ロール4
1〜43を配置することにより、積層体11が隣接する
加熱ロール41〜43の存在により引っ張られた状態と
なるので、積層体11に張力をかけながら、予熱を行う
ことができる。ここで、加熱ロール41〜43に対して
積層体11が押し付けられる圧力は、積層体11にかか
る張力の指標となるが、加熱ロール41〜43に対して
積層体11が押し付けられる圧力が0.01〜0.5k
g/cm2であることが好ましい。なお、各加熱ロール
41〜43の対向側には、加熱ロール41〜43と共に
積層体11を挟持する対向ロールが配置されていないの
で、積層体11が加熱ロール41〜43に押し付けられ
る力は、一対のロールで積層体11を挟持して加圧する
ニップロール5〜7から受ける力よりは、はるかに小さ
いものである。
のように構成されており、本実施形態のプリプレグの製
造装置では、プリプレグ生成手段60によりプリプレグ
を生成する前に、加熱手段(予熱手段)40により、張
力をかけながら、積層体11を予熱することを特徴とし
ている。そのため、予熱を行う際に、強化繊維がその延
在方向に引っ張られた状態となるので、予熱により樹脂
が軟化しても、各繊維の動きが拘束され、開繊幅が狭く
なることを防止することができ、所望の繊維目付のプリ
プレグを安定して製造することができる。
予熱を行う加熱手段40を3個の加熱ロール41〜43
により構成する共に、隣接する加熱ロール41〜43が
積層体11の異なる面に接するように、加熱ロール41
〜43を配置する構成としているので、積層体11の両
面を加熱ロール41〜43により交互に加熱することが
できる。また、積層体11は張力がかかった状態で加熱
ロール41〜43に接するため、加熱ロール41〜43
に対して積層体11が押し付けられた状態を維持するこ
とができる。したがって、積層体11の搬送速度を大き
くしたとしても、積層体11と加熱ロール41〜43と
の密着性が低下する恐れがない。
することに加えて、加熱ロール41〜43に対して積層
体11が押し付けられる力が低下する恐れがないので、
加熱ロール41〜43による積層体11の予熱を安定し
て行うことができ、樹脂の含浸状態が良好なプリプレグ
を安定して製造することができる。また、予熱効率を向
上することができるので、樹脂含有率を低くした場合に
おいても、短時間で予熱を終了することができ、生産性
にも優れている。また、積層体11を加熱ロール41〜
43に接触させて予熱を行うため、予熱を行う際の加熱
温度についても簡易に制御することができ、安定してプ
リプレグを製造することができる。
置を用いることにより、積層体11の予熱を安定して行
うことができると共に、予熱効率を向上することができ
る結果、樹脂の含浸速度を著しく向上させることがで
き、プリプレグの生産効率を著しく向上できると共に、
加熱手段40の後に設けるニップロールの数を少なくす
ることができ、プリプレグ生成手段60の構造の簡略化
を図ることができる。
体11が押し付けられる圧力を0.01〜0.5kg/
cm2の範囲となるように、積層体11の予熱を行うこ
とにより、上記の効果、すなわち、所望の繊維目付のプ
リプレグを安定して製造することができるという効果、
及び積層体11の予熱を安定して行うことができると共
に、予熱効率を向上することができるという効果を安定
して得ることができる。
0.01kg/cm2未満の場合には、積層体11にか
かる張力が小さくなりすぎ、所望の繊維目付のプリプレ
グを安定して製造することができない恐れがある。ま
た、積層体11と加熱ロール41〜43との密着性が低
下し、加熱ロール41〜43による積層体11の予熱を
安定して行うことができない恐れがあると共に、予熱効
率が低下する恐れもある。また、積層体11が押し付け
られる圧力が0.5kg/cm2超の場合には、担持シ
ートに張力がかかりすぎる結果、製造後に担持シートに
収縮が発生し、プリプレグ表面の平滑性が低下する恐れ
がある。
柱状の加熱ロール41〜43により構成したが、加熱ロ
ール41〜43の積層体11と接する面は曲面であるた
め、隣接する加熱部材41〜43間における積層体11
の搬送を滑らかに行うことができ、好適である。なお、
加熱手段40を構成する加熱部材としては、円柱状の加
熱ロールに限定されるものではなく、半円柱状の加熱部
材など、積層体11と接する面が曲面であれば、いかな
る加熱部材を用いても良い。また、積層体11の搬送に
支障がなければ、加熱部材の積層体11と接する面は曲
面である必要もない。また、加熱部材の配置位置や個数
についても適宜設計することが可能であり、隣接する加
熱部材が積層体11の異なる面に接し、かつ、隣接する
加熱部材間を通過する時の積層体11の進行方向がその
直前の進行方向と異なるように、複数の加熱部材を配置
すれば、本実施形態と同等の効果を得ることができる。
0に限定されるものではなく、少なくとも積層体11に
張力をかけながら予熱を行うことが可能な構成とすれば
良く、かかる構成とすることにより、少なくとも、予熱
を行う際に、開繊幅が狭くなることを防止することがで
き、所望の繊維目付のプリプレグを安定して製造するこ
とができるという効果を得ることができる。
によれば、本実施形態のプリプレグの製造装置と同様の
効果を得ることができる。
て説明する。以下の実施例、比較例において、強化繊維
として炭素繊維、担持シートとして離型紙を用い、製造
装置を変えてプリプレグの製造を行った。なお、以下の
実施例、比較例において、特に明記していない条件につ
いては、すべて共通とした。
レグの製造装置(以下、装置1という。)を用い、繊維
目付が150g/m2、樹脂含有率が25質量%の炭素
繊維プリプレグを製造した。製造条件は以下に示す通り
とした。なお、第1〜第3の加熱ロールに積層体が押し
付けられる圧力を測定した結果も合わせて示す。 第1のニップロールの加熱温度:70℃ 第2のニップロールの加熱温度:110℃ 第3のニップロールの加熱温度:110℃ 第1のニップロールから積層体にかかる線圧:1.0t/m 第2のニップロールから積層体にかかる線圧:1.5t/m 第3のニップロールから積層体にかかる線圧:1.5t/m 第1〜第3の加熱ロールの加熱温度:110℃ 積層体の第1の加熱ロールへの接触時間:0.8秒 積層体の第2の加熱ロールへの接触時間:1.6秒 積層体の第3の加熱ロールへの接触時間:0.8秒 第1の加熱ロールに積層体が押し付けられる圧力:0.09kg/cm2 第2の加熱ロールに積層体が押し付けられる圧力:0.045kg/cm2 第3の加熱ロールに積層体が押し付けられる圧力:0.09kg/cm2
グの製造装置(以下、装置2という。)を用い、繊維目
付が150g/m2、樹脂含有率が25質量%の炭素繊
維プリプレグを製造した。なお、装置2は、第1のニッ
プロールと第2のニップロールとの間に、積層体の予熱
を行う加熱手段が設けられていない以外は、装置1と全
く同様の構造を有するものであるが、ニップロールの加
熱温度、ニップロールから積層体にかかる線圧は実施例
1と同様とした。
グの製造装置(以下、装置3という。)を用い、繊維目
付が150g/m2、樹脂含有率が25質量%の炭素繊
維プリプレグを製造した。なお、装置3は、第1のニッ
プロールと第2のニップロールとの間に、積層体の予熱
を行う熱板が設けられている以外は、装置1と全く同様
の構造を有するものであるが、熱板の長さは3m、熱板
の加熱温度は100℃とした。また、ニップロールの加
熱温度、ニップロールから積層体にかかる線圧は実施例
1と同様とした。
た以外は実施例1と同様にして、装置1を用い、炭素繊
維プリプレグを製造した。 (比較例3)樹脂含有率を35質量%とした以外は比較
例1と同様にして、装置2を用い、炭素繊維プリプレグ
を製造した。 (比較例4)樹脂含有率を35質量%とした以外は比較
例2と同様にして、装置3を用い、炭素繊維プリプレグ
を製造した。
おいて、第2、第3のニップロール通過後のプリプレグ
に対して、以下のようにして樹脂の含浸状態の評価を行
った。プリプレグの製造が定常状態となった後、装置を
止め、第2、第3のニップロール通過後の積層体をそれ
ぞれ取り出した。次いで、各積層体から一方の離型紙を
剥離し、1枚の離型紙によりプリプレグを担持した離型
紙付きプリプレグとした後、これを、直径10cmのパ
イプの外周に沿って、プリプレグ側がパイプ側になるよ
うに、繊維方向に1周巻き付けた。この状態を10秒間
保持した後、プリプレグを水平な状態に戻し、プリプレ
グの表面を肉眼で観察した。なお、評価面積は0.1m
2とした。樹脂の含浸が不十分な場合には、プリプレグ
内に微細な気泡が残った状態となるので、このように、
パイプの外周に沿って曲げた場合、気泡が押し出され、
気泡が形成された部分が盛り上がった状態となる。この
盛り上がった部分のことを「繊維浮き」と称す。繊維浮
きの発生状態から、下記基準に基づいて、樹脂の含浸状
態を評価した。 <樹脂の含浸状態> ○:繊維浮きがほとんどなく、樹脂の含浸が完了してい
る。 △:部分的に小さい繊維浮きがあり、樹脂の含浸がやや
不十分である。 ×:全体に渡って大きな繊維浮きがあり、樹脂の含浸が
全く不十分である。
施例1、比較例1、2において、得られた結果を表1に
示す。また、樹脂含有率を35質量%とした実施例2、
比較例3、4において、得られた結果を表2に示す。な
お、表1、表2には、用いた装置、及び、製造したプリ
プレグの炭素繊維目付、樹脂含有率についても合わせて
示している。樹脂含有率が高い程、また、通過させたニ
ップロールの数が多い程、樹脂を含浸させやすいが、表
1、表2に示すように、本発明の装置1を用い、樹脂含
有率を25質量%、35質量%とした実施例1、2で
は、第2のニップロール通過後においても、繊維浮きが
ほとんどなく、樹脂の含浸が完了していることが判明し
た。すなわち、本発明の装置1を用いた場合には、樹脂
含有率を25質量%と低くしても、計2個のニップロー
ル(第1、第2のニップロール)を通過させるだけで、
樹脂の含浸状態が良好なプリプレグを製造できることが
判明した。
を具備しない従来の装置2を用い、樹脂含有率を25質
量%とした比較例1では、第3のニップロール通過後に
おいても、樹脂の含浸が全く不十分であった。また、同
じ装置2を用い、樹脂の含有率を35質量%と多くした
比較例3では、比較例1に比較して結果が多少良くなっ
ているものの、第2のニップロール通過後では、樹脂の
含浸が全く不十分であり、第3のニップロール通過後に
おいても、樹脂の含浸がやや不十分であった。換言すれ
ば、積層体の予熱を行わない場合には、樹脂の含浸を十
分に行うためには、少なくとも4個以上のニップロール
を配置させる必要があることが判明した。
板を備えた従来の装置3を用い、樹脂含有率を25質量
%とした比較例2では、積層体を予熱する加熱手段を具
備しない装置2を用いた比較例1に比較すると、結果が
良くなっているものの、第2、第3のニップロール通過
後のいずれにおいても、樹脂の含浸はやや不十分であっ
た。また、同じ装置3を用い、樹脂の含有率を35質量
%と多くした比較例4では、比較例2に比較して結果が
良くなっており、第3のニップロール通過後には樹脂の
含浸が完了していたものの、第2のニップロール通過後
の樹脂の含浸はやや不十分であった。
造装置を用いることにより、樹脂の含浸効率を著しく向
上することができるので、樹脂含有率を低くしても、少
ない数のニップロールで樹脂を含浸させることができ、
樹脂の含浸状態が良好なプリプレグを効率良く、かつ安
定して製造することができることが判明した。
グの製造装置及びプリプレグの製造方法によれば、プリ
プレグを生成する前に、張力をかけながら、積層体を予
熱する構成を採用しているので、予熱を行う際に、強化
繊維の開繊幅が狭くなることを防止し、所望の繊維目付
のプリプレグを安定して製造することができる。また、
本発明のプリプレグの製造装置において、加熱手段を、
積層体に接して加熱を行う複数の加熱部材により構成す
ると共に、隣接する加熱部材が積層体の異なる面に接
し、かつ、隣接する加熱部材間を通過する時の積層体の
進行方向がその直前の進行方向と異なるように、複数の
加熱部材を配置することが好ましく、かかる構成とする
ことにより、生産性を低下させることなく、安定して予
熱を行うことができ、樹脂の含浸状態が良好なプリプレ
グを効率良く、かつ安定して製造することができる。
グの製造装置を示す概略図である。
概略図である。
他の構造例を示す概略図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプ
リプレグの製造装置において、 片面に熱硬化性樹脂を塗布した一対の担持シートで強化
繊維を挟持して、積層体を形成する積層体形成手段と、 前記積層体に張力をかけながら、前記積層体を加熱する
加熱手段と、 前記積層体を加熱、加圧することにより、強化繊維に熱
硬化性樹脂を含浸させ、プリプレグを生成するプリプレ
グ生成手段とを具備することを特徴とするプリプレグの
製造装置。 - 【請求項2】 前記加熱手段は、前記積層体に接して加
熱を行う複数の加熱部材を具備し、 前記複数の加熱部材は、隣接する前記加熱部材が前記積
層体の異なる面に接し、かつ、隣接する前記加熱部材間
を通過する時の前記積層体の進行方向がその直前の進行
方向と異なるように、配置されていることを特徴とする
請求項1に記載のプリプレグの製造装置。 - 【請求項3】 前記加熱部材に対して前記積層体が押し
付けられる圧力が0.01〜0.5kg/cm2である
ことを特徴とする請求項2に記載のプリプレグの製造装
置。 - 【請求項4】 前記加熱部材の前記積層体と接する面が
曲面であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記
載のプリプレグの製造装置。 - 【請求項5】 強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプ
リプレグの製造方法において、 片面に熱硬化性樹脂を塗布した一対の担持シートで強化
繊維を挟持して、積層体を形成する工程と、 前記積層体に張力をかけながら、前記積層体を加熱する
工程と、 前記積層体を加熱、加圧することにより、強化繊維に熱
硬化性樹脂を含浸させ、プリプレグを生成する工程とを
有することを特徴とするプリプレグの製造方法。
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- 2001-12-14 JP JP2001382208A patent/JP4015415B2/ja not_active Expired - Fee Related
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