JP2003180817A - 水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化時間制御方法 - Google Patents

水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化時間制御方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リン酸カルシウムペーストの組成等を変化さ
せることなく、容易にペーストの硬化時間を制御するこ
とができる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化
時間制御方法を提供する。 【解決手段】 本発明の水和硬化型リン酸カルシウムペ
ーストの硬化時間制御方法は、リン酸カルシウム系粉体
(リン酸水素カルシウム及びリン酸四カルシウムを主成
分とするものが好ましい)と、水又は水を含む硬化液を
混練してなる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬
化時間制御方法であって、予め上記リン酸カルシウム系
粉体を、加熱温度(好ましくは40〜160℃)及び加
熱時間(好ましくは24時間以下)の少なくとも一方を
制御して加熱処理することにより、水和硬化型リン酸カ
ルシウムペーストの硬化時間を制御する。また、加熱処
理を減圧下で行うことで、より安定した硬化時間の制御
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医科用或いは歯科
用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化時間制
御方法に関する。更に詳しくは、リン酸カルシウムペー
ストの組成等を変化させることなく、容易にペーストの
硬化時間を制御することができる水和硬化型リン酸カル
シウムペーストの硬化時間制御方法に関する。この水和
硬化型リン酸カルシウムペーストは、人工骨、人工関節
及び人工歯根等を形成する材料として幅広く利用でき
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、リン酸カルシウム系粉体と、
水又は水を含む硬化液とを混練して得られる水和硬化型
リン酸カルシウムペーストは、リン酸八カルシウムやア
パタイトの結晶を析出し、これらの結晶が絡み合うこと
により硬化反応が進むことが知られている。この硬化物
は、生体骨や歯の組織を構成する無機成分と同様な成分
であるため、生体親和性に優れ、整形や形成等の医療分
野に幅広く用いられている。また、この水和硬化型リン
酸カルシウムペーストは、使用時に任意の形態を付与す
ることができるため、骨欠損部のあらゆる形状に適用す
ることができ、骨折部に生じた複雑な骨欠損部への適用
も可能である。
【0003】術中において、実際に水和硬化型リン酸カ
ルシウムペーストを使用する場合、リン酸カルシウム系
粉体と水又は水を含む硬化液とを混合してリン酸カルシ
ウムペーストを調製し、得られたペーストに任意の形態
を付与した後、骨欠損部等に充填される。この際、リン
酸カルシウムペーストの硬化反応は、リン酸カルシウム
系粉体と水とが接触した時点から開始されるため、ペー
ストの操作可能時間(形態付与時間)は硬化終了までと
限られる。この場合、操作可能時間が長いほど、骨欠損
部に十分に適合する形態を付与することができるため有
利である。しかし、硬化に要する時間が長すぎると、手
術時間の延長に繋がり、患者に負担を掛けることになる
ため、あまり好ましくない。このような理由から、リン
酸カルシウムペーストを使用する状況ごとに、適度な時
間で硬化させられるペーストが望まれており、ペースト
の硬化時間制御方法が検討されている。
【0004】このリン酸カルシウムペーストの硬化時間
を制御する方法、即ち、リン酸八カルシウムやアパタイ
トの結晶の析出速度を制御する方法としては、例えば、
リン酸カルシウム系粉体の原料粉末の少なくとも1種
に、摩砕混合等による表面改質処理を行ったり、この原
料粉末の粒径を調整したりすることにより、硬化時間を
制御する方法(特開平6−169979号公報及び特開
平7−33490号公報等)などが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
は、リン酸カルシウム系粉体製造時の工程において調整
を必要とするものであり、すでに製造された一定の性状
を有するリン酸カルシウム系粉体を用いた場合において
は、硬化時間を制御することができなかった。本発明
は、上記課題を解決するものであり、リン酸カルシウム
ペーストの組成等を変化させることなく、容易にペース
トの硬化時間を制御することができる水和硬化型リン酸
カルシウムペーストの硬化時間制御方法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の水和硬化型リン
酸カルシウムペーストの硬化時間制御方法は、リン酸カ
ルシウム系粉体と、水又は水を含む硬化液とを混練して
なる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化時間制
御方法であって、予め上記リン酸カルシウム系粉体を、
加熱温度及び加熱時間の少なくとも一方を制御して加熱
処理することにより、上記水和硬化型リン酸カルシウム
ペーストの硬化時間を制御することを特徴とする。
【0007】また、上記加熱温度が40〜160℃であ
る水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化時間制御
方法とすることができる。更に、上記加熱時間が24時
間以下である水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬
化時間制御方法とすることができる。また、上記加熱処
理を減圧下で行う水和硬化型リン酸カルシウムペースト
の硬化時間制御方法とすることができる。更に、本発明
では、上記リン酸カルシウム系粉体の主成分が、リン酸
水素カルシウム及びリン酸四カルシウムである水和硬化
型リン酸カルシウムペーストの硬化時間制御方法とする
ことができる。また、上記水和硬化型リン酸カルシウム
ペーストが、多糖類を含有する水和硬化型リン酸カルシ
ウムペーストの硬化時間制御方法とすることができる。
更に、上記多糖類はデキストラン及びデキストラン硫酸
塩のうちの少なくとも一方である水和硬化型リン酸カル
シウムペーストの硬化時間制御方法とすることができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。上記「リン酸カルシウム系粉体」に施される、上
記「加熱処理」においては、加熱温度を高くするほど、
或いは加熱時間を長くするほど硬化時間が長くなる。こ
の加熱温度が低すぎる場合は、硬化時間へ影響を与える
には長時間の処理が必要となる。また、加熱温度が高す
ぎる場合は、短時間の処理で硬化時間が長くなるが、リ
ン酸カルシウム系粉体の組成が変化してしまう等の問題
がある。このため、上記「加熱温度」は、40〜160
℃(より好ましくは50〜150℃、更に好ましくは6
0〜140℃)とすることが好ましい。また、上記「加
熱時間」は、24時間以下(好ましくは16時間以下、
より好ましくは8時間以下)とすることが好ましい。
【0009】本発明に用いられるリン酸カルシウム系粉
体は、水分と容易に反応する性質であり、大気中に曝さ
れている時間が長いと硬化時間が長くなりすぎ、加熱処
理による硬化時間の制御が難しくなることがある。この
ため、加熱処理は、乾燥機等を用いてある程度密閉され
た雰囲気で行うことが好ましく、更には真空乾燥機等を
用い、減圧下(より好ましくは0.013MPa以下、
更に好ましくは0.0013MPa以下)で行うことが
好ましい。この場合、湿度等の加熱処理雰囲気によるリ
ン酸カルシウムペーストの硬化時間への影響が小さくな
り、安定した硬化時間の制御が可能となる。尚、減圧下
で加熱処理する場合は、硬化時間が長くなり過ぎないよ
うに、加熱温度及び加熱時間を減圧の程度に応じて、設
定することが好ましい。また、加熱処理されたリン酸カ
ルシウム系粉体は、加熱処理直後に使用する必要はな
く、硬化時間に影響を及ぼさない条件で、例えば、デシ
ケータ等の乾燥雰囲気などで保管したものを使用するこ
ともできる。
【0010】リン酸カルシウム系紛体としては、リン酸
水素カルシウム、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フ
ッ化アパタイト、リン酸四カルシウム、α−リン酸三カ
ルシウム及びβ−リン酸三カルシウム等の粉体が用いら
れる。また、このリン酸カルシウム系粉体は、炭酸カル
シウム等のリン成分を含まないカルシウム化合物粉体を
含んでいてもよい。これらの粉体は、単独で含まれてい
てもよいし、2種以上含まれていてもよい。また、リン
酸水素カルシウム粉体とは、リン酸水素カルシウム二水
和物及び無水リン酸水素カルシウムのうちの少なくとも
一方の粉体を意味する。
【0011】更に、リン酸カルシウム系粉体の主成分
が、リン酸水素カルシウム粉体及びリン酸四カルシウム
粉体であることが好ましい。これら2種類の粉体の量比
は特に限定されないが、モル比で8/2〜2/8(より
好ましくは6/4〜4/6、更に好ましくは等量程度)
とすることが好ましい。この範囲の量比とすることで、
より好ましい硬化速度を有するペーストとすることがで
きる。尚、主成分とは、リン酸カルシウム系粉体を10
0質量%とした場合に、リン酸水素カルシウム紛体及び
リン酸四カルシウム粉体が合計で60質量%以上(好ま
しくは80質量%以上、実質的に100質量%であって
もよい。)であることを意味する。これら2種類の粉体
が合計で60質量%以上であれば、適度な硬化速度を有
し、充填性及び形態付与性に優れ、充填後は十分な速さ
で硬化するリン酸カルシウムペーストとすることができ
る。
【0012】また、リン酸カルシウム系粉体の調製方法
は特に限定されず、どのような方法によって調製された
粉体も使用することができる。例えば、リン酸水素カル
シウム粉体及びリン酸四カルシウム粉体等を混合して得
ることができる。このリン酸水素カルシウム粉体として
は、例えば、リン酸水素カルシウム二水和物又は無水物
として市販されているものをそのまま用いることもでき
るし、この二水和物を120℃程度の温度で加熱し、脱
水したものを用いることもできる。また、リン酸四カル
シウム粉体としては、例えば、炭酸カルシウムとリン酸
水素カルシウム二水和物との等モル混合物を成形後、1
450〜1550℃で焼成し、平均粒径が約100μm
程度の粉体に整粒したもの等を用いることができる。
【0013】水は、特に限定されないが、純水、蒸留水
等を用いることができる。水又は水を含む硬化液とリン
酸カルシウム系粉体との量比は、質量比で水/リン酸カ
ルシウム系粉体を0.2〜0.4(より好ましくは0.
25〜0.35)とすることが好ましい。この量比が
0.2未満では、ペーストの粘度が高くなり、所定の形
態を付与することが容易ではない。一方、量比が0.4
を越えると、ペーストの粘度が低くなって取り扱い易く
はなるが、ペーストが、体液との接触によって崩壊し易
くなる傾向にある。
【0014】また、水和硬化型リン酸カルシウムペース
トを100質量%とした場合に、リン酸カルシウム系粉
体及び水又は水を含む硬化液の合計が80質量%以上で
あることが好ましく、この合計が85質量%以上、特に
90質量%以上であってもよく、更には実質的に100
質量%であってもよい。リン酸カルシウム系粉体及び水
の合計を80質量%以上とすることで、適度な硬化速度
を有し、充填性及び形態付与性等に優れ、充填後は十分
な速さで硬化させることができる水和硬化型リン酸カル
シウムペーストとすることができる。
【0015】本発明における水和硬化型リン酸カルシウ
ムペーストには、上記リン酸カルシウム系粉体及び水又
は水を含む硬化液以外にも、ペーストの形態付与性の向
上、生体内での崩壊の抑制等の観点から、多糖類や水溶
性高分子等を含有させることができる。これらは各々1
種のみを使用してもよいし、2種以上を用いてもよい。
また、多糖類と水溶性高分子とを併用することもでき
る。なかでも、多糖類を含有させることが好ましい。こ
の多糖類としては、各種の単糖類がポリグリコシル化
し、高分子化したもの等を用いることができ、特に、デ
キストラン及びデキストラン硫酸塩のうちの少なくとも
一方を用いることが好ましい。デキストラン硫酸塩とし
ては、デキストラン硫酸ナトリウム及びデキストラン硫
酸カリウム等のアルカリ金属塩が特に好ましく、これら
は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用するこ
ともできる。また、デキストランとその硫酸塩とを併用
することもできる。デキストラン及びその硫酸塩は、水
に易溶性であるため、水に溶解し易く、容易に均質なペ
ーストとすることができる。尚、多糖類等は、混練前に
リン酸カルシウム系粉体及び水の少なくとも一方に予め
配合してもよいし、リン酸カルシウム系粉体と水との混
練時に配合してもよい。なかでも、予め水に配合し、溶
解させ、水と多糖類等とを含む硬化液として用いること
が好ましい。
【0016】多糖類の配合量は、水を100質量%とし
た場合に、1〜180質量%(好ましくは5〜130質
量%、より好ましくは10〜100質量%)とすること
ができる。この場合、水に溶解した多糖類がリン酸カル
シウム系粉体の粒子間を接合するため、ペーストが適度
な粘性を有するものとなり、形態付与性に優れたペース
トとなる。多糖類の含有量が1質量%未満の場合、形態
付与のし易さ等、多糖類を含有させることによる特有の
作用、効果が低減することがある。一方、含有量が18
0質量%を越える場合、ペーストの粘度が高くなる傾向
にあり、形態付与が困難になることがある。また、水の
量比を比較的高めにすることで、ペーストの粘度を適度
に下げ、骨欠損部等への注射器などによる充填を容易に
することができ、それによって患者への負担を軽減する
こともできる。
【0017】更に、水和硬化型リン酸カルシウムペース
トには、用途に応じて、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス
等のX線造影剤を含有させることもできる。また、抗ガ
ン剤、抗生物質等の薬物を混ぜ合わせ、薬物徐放性を付
加させることもでき、タンパク質、ホルモン又は細胞等
と複合化させ、骨欠損部へ充填した際の骨形成を更に促
進させることもできる。尚、これらを混合させる操作
は、上記リン酸カルシウム系粉体と水又は水を含む硬化
液とを混練してペーストにする前、混練中及び混練後の
全ての工程において可能である。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明する。 (1)水和硬化型リン酸カルシウムペーストの調製 (実施例1〜15)リン酸水素カルシウム粉体と、リン
酸四カルシウム粉体との等モル量をライカイ器によって
摩砕混合して、粉体が均一に混合したリン酸カルシウム
系粉体を得た。その後、得られたリン酸カルシウム系粉
体を15gずつ採取し、表1に示す条件で加熱処理を施
した。尚、加熱処理は真空乾燥機を用いて、減圧下(1
50Pa)にて行った。次いで、加熱処理されたリン酸
カルシウム系粉体と純水とを、液粉比(純水/リン酸カ
ルシウム系粉体)0.25及び0.30で各々混練し、
実施例1〜15の各リン酸カルシウムペーストを調製し
た。
【0019】(実施例16)上記実施例14に用いたリ
ン酸カルシウム系粉体を、絶対湿度0.003kg/k
g以下に制御した密閉容器内に、室温で30日間保管し
た後、混練し、リン酸カルシウムペーストを調製した。 (参考例1)リン酸カルシウム系粉体に加熱処理を施さ
なかったこと以外は、実施例1〜15と同様にしてリン
酸カルシウムペーストを調製した。 (参考例2)リン酸カルシウム系粉体に加熱処理を施さ
ず、実施例16と同様に粉体を保管した後、リン酸カル
シウムペーストを調製した。
【0020】
【表1】
【0021】(2)性能評価 上記(1)で得られた、実施例1〜16及び参考例1、
2の各リン酸カルシウムペーストの37℃における硬化
時間をJIS T6602に準拠し測定した。その結果
を表1に併記する。また、各ペーストの形態付与性につ
いて、ペーストに形態を付与した際の状態を目視により
観察し評価した。更に、各ペーストの充填性について、
ペーストを樹脂型に充填した際の充填具合を目視で観察
し、また、ペーストが充填された樹脂型を37℃の純水
中に入れ、25分後に取り出して、指で押した際の変形
の有無により評価した。
【0022】(3)実施例の効果 表1によれば、加熱処理を施さなかったリン酸カルシウ
ム系粉体を用いた参考例1、及び加熱処理を施さなかっ
たリン酸カルシウム系粉体を保管してから用いた参考例
2のリン酸カルシウムペーストの硬化時間は、各液粉比
において共に7分であった。形態付与性及び充填性にお
いては、特に問題は認められなかった。
【0023】これに対して、温度40〜160℃で24
時間加熱処理を施したリン酸カルシウム系粉体を用い
た、実施例1〜9のリン酸カルシウムペーストにおいて
は、各液粉比において、加熱温度が高いほど、ペースト
の硬化時間が長くなる傾向を示した。また、形態付与性
及び充填性においては、参考例1及び2と同様に、特に
問題は認められなかった。また、温度120℃で、0.
5〜24時間加熱処理を施したリン酸カルシウム系粉体
を用いた、実施例10〜15のリン酸カルシウムペース
トにおいては、各液粉比において、加熱時間が長いほ
ど、ペーストの硬化時間が長くなる傾向を示した。ま
た、形態付与性及び充填性においては、参考例1及び2
と同様に、特に問題は認められなかった。
【0024】更に、実施例14に用いたリン酸カルシウ
ム系粉体と同様の粉体を保管してから用いた実施例16
の硬化時間においては、実施例14と同等であった。ま
た、形態付与性及び充填性においても、特に問題は認め
られなかった。上記のことから、リン酸カルシウム系粉
体に、条件を変えて加熱処理を行うことで、リン酸カル
シウムペーストの硬化時間を制御できることが分かっ
た。
【0025】更に、実施例1〜16及び参考例1、2の
水和硬化型リン酸カルシウムペーストに用いた、各リン
酸カルシウム系粉体においてX線回折測定及びFT−I
R分析を行ったところ組成の相違は見られなかった。こ
こで、図1(X線回折)及び図2(FT−IR)にペー
ストの硬化時間にもっとも差異があった、実施例9及び
参考例2の各分析結果のチャートを示す。
【0026】
【発明の効果】本発明の水和硬化型リン酸カルシウムペ
ーストの硬化時間制御方法によれば、リン酸カルシウム
ペーストの組成等を変化させることなく、容易にペース
トの硬化時間を制御することができる。また、本発明で
は、リン酸カルシウム系粉体に、特定の加熱温度或いは
加熱時間で加熱処理を施すことで、より容易に硬化時間
を制御することができる。更に、水和硬化型リン酸カル
シウムペーストに多糖類を含有することで、特には特定
の多糖類を含有させることで、より充填性及び形態付与
性に優れる水和硬化型リン酸カルシウムペーストとする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9及び参考例2で用いた各リン酸カルシ
ウム系粉体のX線回折結果を示すチャートによる説明図
である。
【図2】実施例9及び参考例2で用いた各リン酸カルシ
ウム系粉体のFT−IR測定結果を示すチャートによる
説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 28/34 C04B 28/34 // C04B 103:44 103:44 (72)発明者 水谷 洋一郎 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 岩元 孝一 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 服部 昌晃 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 4C081 AB03 AB05 AB06 BB09 CF01 CF21 DA01 EA04 EA11 EA12 4C089 AA02 BA16 BE14 CA03 CA07 4G012 PB39 PC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸カルシウム系粉体と、水又は水を
    含む硬化液とを混練してなる水和硬化型リン酸カルシウ
    ムペーストの硬化時間制御方法であって、予め上記リン
    酸カルシウム系粉体を、加熱温度及び加熱時間の少なく
    とも一方を制御して加熱処理することにより、上記水和
    硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化時間を制御する
    ことを特徴とする水和硬化型リン酸カルシウムペースト
    の硬化時間制御方法。
  2. 【請求項2】 上記加熱温度が40〜160℃である請
    求項1記載の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬
    化時間制御方法。
  3. 【請求項3】 上記加熱時間が24時間以下である請求
    項1又は2に記載の水和硬化型リン酸カルシウムペース
    トの硬化時間制御方法。
  4. 【請求項4】 上記加熱処理を減圧下で行う請求項1乃
    至3のうちのいずれか1項に記載の水和硬化型リン酸カ
    ルシウムペーストの硬化時間制御方法。
  5. 【請求項5】 上記リン酸カルシウム系粉体の主成分
    が、リン酸水素カルシウム及びリン酸四カルシウムであ
    る請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の水和硬
    化型リン酸カルシウムペーストの硬化時間制御方法。
  6. 【請求項6】 上記水和硬化型リン酸カルシウムペース
    トが、多糖類を含有する請求項1乃至5のうちのいずれ
    か1項に記載の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの
    硬化時間制御方法。
  7. 【請求項7】 上記多糖類はデキストラン及びデキスト
    ラン硫酸塩のうちの少なくとも一方である請求項6記載
    の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化時間制御
    方法。
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