JP4224234B2 - 医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法 - Google Patents

医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明及び他の本発明は、医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法に関する。更に詳しくは、本発明は、リン酸カルシウムペーストの組成等を変化させることなく、容易にペーストの硬化速度を制御することができる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法に関する。他の本発明は、リン酸カルシウムペースト調製後、ペーストを被充填部に充填するまでの時間を十分に確保でき、且つ充填後は迅速に硬化させることができる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法に関する。
これらの水和硬化型リン酸カルシウムペーストは、人工骨、人工関節及び人工歯根等を形成する材料として幅広く利用できる。
【0002】
【従来の技術】
現在までに、水和硬化型リン酸カルシウムペーストが多数提案されている。このリン酸カルシウムペーストは、水和反応により低結晶性のアパタイト、リン酸八カルシウム及びリン酸水素カルシウム水和物等のリン酸カルシウム系化合物を析出し、それに伴い硬化するものである。このように析出したリン酸カルシウム系化合物の中でも、特に、体温に近い反応により得られるアパタイトは、結晶性が低く、成分や結晶性が生体骨に類似している。そのため、生体親和性に優れると共に、長期埋入により徐々に吸収され、更には焼結アパタイトと比べ非常に骨形成が良好であることが確認されている。また、リン酸八カルシウムは、水酸アパタイトの前駆体として知られており、徐々に低結晶性の水酸アパタイトに転移していくため、生体内で同様な挙動を示すことが知られている。
【0003】
更に、水和硬化型リン酸カルシウムペーストは、使用時に任意の形態を付与することができるため、骨欠損部等のあらゆる形状に適用することができ、骨折部に生じた複雑な骨欠損部などへの適用も可能である。
このようなペーストを使用するにおいては、混練後のペーストの操作可能時間(形態付与可能時間)が長い方が好ましく、これを体内に充填後は迅速に硬化することが望ましい。
そのため、硬化時間を制御する方法が幾つか提案されているが、そのほとんどは、液粉比を変化させたり、酸等を配合することにより、体温付近である37℃における硬化時間の短縮を図ったものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際にペーストが使用される手術時には、出血を極力抑えるために止血帯を使用し、切開部及び骨欠損部等からの止血を行うことが多く、止血により充填部位付近の温度(体温)が低下する。そのため、充填する際に充填部周囲が体温に近い37℃付近であることはあまりないのが現状である。また、このような止血手段をとることができない部位に充填する場合においても、生体骨と接している部分は体温に近い温度であるが、外気と接する部分は室温である25℃前後となってしまう。このような場合、体温付近の温度での硬化時間の短縮を図ったリン酸カルシウムペーストでは硬化しにくいことがあり、形態を維持するために必要な強度に達するまで十分に硬化するには時間が掛かっていた。
【0005】
また、生理食塩水などで術部の洗浄を行った場合には、ペーストが十分硬化していない状態で、過剰な水分と接触することになり、形態を維持することが困難となる。更に、形態を維持するのに必要な強度となるまで硬化するのを待つことは、手術時間を延長させることになり、患者への負担を大きくしてしまい、あまり好ましくない。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、リン酸カルシウムペーストの組成等を変化させることなく、容易にペーストの硬化速度を制御することができる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法を提供することを目的とする。
他の本発明は、リン酸カルシウムペースト調製後、ペーストを被充填部に充填するまでの時間を十分に確保でき、且つ充填後は迅速に硬化させることができる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法は、リン酸カルシウム系粉体と、水又は水を含む硬化液とを混練してなる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法であって、滅菌され且つ加熱された生理食塩水、滅菌され且つ加熱された疑似体液、或いは滅菌フィルターを介した温風を上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストに直接或いは間接的に接触させて、該水和硬化型リン酸カルシウムペーストの温度を調整することにより、該水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度を制御することを特徴とする。
【0008】
他の本発明の医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法は、リン酸カルシウム系粉体と、水又は水を含む硬化液とを混練してなる水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法であって、上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストを被充填部に充填する段階と、次いで、滅菌され且つ加熱された生理食塩水、滅菌され且つ加熱された疑似体液、或いは滅菌フィルターを介した温風を、上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストに直接或いは間接的に接触させて、充填された該水和硬化型リン酸カルシウムペーストの温度を調整することにより、該水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度を制御する段階と、を備えることを特徴とする。
【0009】
更に、上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストの調整された温度が30〜45℃である水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法とすることができる。
【0010】
また、上記リン酸カルシウム系粉体は、リン酸水素カルシウム粉体及びリン酸四カルシウム粉体を含む水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法とすることができる。
更に、多糖類を含む水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法とすることができる。また、上記多糖類はデキストラン及びデキストラン硫酸塩のうちの少なくとも一方である水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
上記「水和硬化型リン酸カルシウムペースト」の温度の調整方法は、加熱した媒体を直接或いは間接的に、リン酸カルシウムペーストに接触させることにより行われる。
上記媒体としては、手術時等に使用することを考慮して、滅菌された生理食塩水や疑似体液、或いは滅菌フィルターを介した温風が用いられる
【0012】
これらの媒体は、直接ペーストに接触させてもよいし、これらの媒体を容器内に入れ、ペーストの表面に静置して間接的に接触させてもよい。更に、ペーストを充填する部位が複雑な形状の場合には、その形状に適応するように、ビニル樹脂製又はゴム製の袋状容器等の任意形状に変形可能なものに加熱した媒体を密封し、ペーストの表面に静置することが好ましい。
また、これら媒体の加熱温度は、生体に使用すること、及び形態付与等の操作性などを考慮すると、30〜45℃が好ましく、35〜40℃がより好ましい。
【0013】
他の本発明は、上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストを調製し、その後、ペーストを被充填部に充填し、充填したペーストの温度を調整することにより硬化速度を制御し、ペーストの硬化時間を短縮することができる。このリン酸カルシウムペーストにおいては、ペーストを被充填部に、そのまま充填してもよいし、形態付与した後、充填してもよい。
この温度の調整は、前記媒体を直接ペーストに接触させて、或いはこれらを容器内に入れ、ペーストの表面に静置して間接的に接触させて行う。
このようにすることで、体内にペーストを充填するまでの時間を十分に確保でき、混練具合が不十分となることがなく、均一なペーストとすることができる。また、形態付与する場合においても、十分な操作時間をとることができる。更に、充填後は迅速に硬化させることが可能となり、その後の手術操作(洗浄、縫合等)等を速やかに行うことができる。
【0014】
本発明及び他の本発明において、上記リン酸カルシウム系紛体は特に限定されず、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム水和物、α−リン酸三カルシウム及びβ−リン酸三カルシウム等の粉体が挙げられる。これらのうちで、リン酸水素カルシウム水和物は、水酸アパタイトより溶解性が高く、吸収され易い点で好ましい。更に、このリン酸カルシウム系粉体としては、2種以上を組み合わせることにより、リン酸水素カルシウム水和物、或いはリン酸八カルシウム等を生成するものを使用することもできる。これらのリン酸カルシウム系粉体は1種のみであってもよいし、2種以上が併含されていてもよい。また、炭酸カルシウム等のリンを含まない化合物が含有されていてもよい。
【0015】
更に、リン酸カルシウム系粉体の主成分が、リン酸水素カルシウム粉体及びリン酸四カルシウム粉体であることが好ましい。これら2種類の粉体の量比は特に限定されないが、モル比で8/2〜2/8、特に6/4〜4/6、更には等量程度とすることが好ましい。この範囲の量比とすることで、より好ましい硬化速度を有するペーストとすることができる。
尚、リン酸水素カルシウム粉体とは、リン酸水素カルシウム二水和物及び無水リン酸水素カルシウムのうちの少なくとも一方の粉体を意味する。更に主成分とは、リン酸カルシウム系粉体を100質量%とした場合に、リン酸水素カルシウム紛体及びリン酸四カルシウム粉体が合計で60質量%以上、特に80質量%以上、更には実質的に100質量%であることを意味する。これら2種類の粉体が合計で60質量%以上であれば、適度な硬化速度を有し、充填性及び形態付与性に優れ、充填後は十分な速さで硬化するリン酸カルシウムペーストを容易に調製することができる。
【0016】
また、リン酸カルシウム系粉体の調製方法は特に限定されず、どのような方法によって調製された粉体も使用することができる。例えば、リン酸水素カルシウム粉体及びリン酸四カルシウム粉体等を混合して得ることができる。このリン酸水素カルシウム粉体としては、例えば、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物として市販されているものをそのまま使用することもできるし、水和物を120℃程度の温度で加熱し、脱水したものを使用することもできる。また、リン酸四カルシウム粉体としては、例えば、炭酸カルシウムとリン酸水素カルシウム二水和物との等モル混合物を成形後、1450〜1550℃で焼成し、平均粒径が約100μm程度の粉体に整粒したもの等を用いることができる。
【0017】
水は特に限定されないが、純水、蒸留水等を用いることができる。水又は水を含む硬化液と、リン酸カルシウム系粉体との量比も限定されないが、この量比は質量比(水又は水を含む硬化液/リン酸カルシウム系粉体)で0.2〜0.4(より好ましくは0.25〜0.35)とすることが好ましい。この量比が0.2未満では、ペーストの粘度が高くなり、所定の形態を付与することが容易ではない。一方、量比が0.4を越えると、ペーストの粘度が低くなって取り扱い易くはなるが、ペーストが、体液との接触によって崩壊し易くなる傾向にある。
【0018】
また、水和硬化型リン酸カルシウムペーストを100質量%とした場合に、リン酸カルシウム系粉体及び水の合計が80質量%以上であることが好ましく、この合計が85質量%以上、特に90質量%以上であってもよく、更には実質的に100質量%であってもよい。リン酸カルシウム系粉体及び水の合計を80質量%以上とすることで、適度な硬化速度を有し、充填性及び形態付与性等に優れ、充填後は十分な速さで硬化させることができる水和硬化型リン酸カルシウムペーストを容易に調製することができる。
【0019】
本発明における水和硬化型リン酸カルシウムペーストには、上記リン酸カルシウム系粉体及び水以外にも、ペーストの形態付与性の向上、生体内での崩壊の抑制等の観点から、多糖類等の水溶性高分子を含有させることができる。これらは、2種以上を併用することもできる。
この多糖類としては、各種の単糖類がポリグリコシル化し、高分子化したもの等を用いることができ、特に、デキストラン及びデキストラン硫酸塩のうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。デキストラン硫酸塩としては、デキストラン硫酸ナトリウム及びデキストラン硫酸カリウム等のアルカリ金属塩が特に好ましく、これらは1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。また、デキストランとその硫酸塩とを併用することもできる。デキストラン及びその硫酸塩は、水に易溶性であるため、水に溶解し易く、容易に均質なペーストとすることができる。
尚、多糖類等は、混練前に粉体及び水の少なくとも一方に予め配合することができる。更に、これらは粉体と水との混練時に配合することもできるが、予め水に溶解させ、水と多糖類等とを含む硬化液として用いることが好ましい。
【0020】
多糖類の配合量は、水を100質量%とした場合に、1〜150質量%(好ましくは5〜130質量%、より好ましくは10〜100質量%)とすることができる。この場合、水に溶解した多糖類がリン酸カルシウム系粉体の粒子間を接合するため、ペーストが適度な粘性を有するものとなり、形態付与性に優れたペーストとなる。多糖類の含有量が1質量%未満の場合、形態付与のし易さ等、多糖類を含有させることによる特有の作用、効果が低減することがある。一方、含有量が150質量%を越える場合、ペーストの粘度が高くなる傾向にあり、形態付与が困難になることがある。
また、水の量比を比較的高めにすることで、ペーストの粘度を適度に下げ、骨欠損部等への注射器などによる充填を容易にすることができ、それによって患者への負担を軽減することもできる。
【0021】
更に、水和硬化型リン酸カルシウムペーストには、用途に応じて、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス等のX線造影剤を含有させることもできる。また、抗ガン剤、抗生物質等の薬物を混ぜ合わせ、薬物徐放性を付加させることもでき、タンパク質、ホルモン又は細胞等と複合化させ、骨欠損部へ充填した際の骨形成を更に促進させることもできる。
尚、これらを混合させる操作は、上記リン酸カルシウム系粉体と水又は水を含む硬化液とを混練してペーストにする前、混練中及び混練後の全ての工程において可能である。
【0022】
【実施例】
以下、基礎試験例及び実施例によって本発明を更に具体的に説明する。
(1)基礎試験例
無水リン酸水素カルシウム粉体と、リン酸四カルシウム粉体との等モル量をライカイ器によって混合して、リン酸カルシウム系粉体を得た。その後、得られたリン酸カルシウム系粉体と、50質量%デキストラン硫酸ナトリウム水溶液(硬化液)とを、液粉比[硬化液/リン酸カルシウム系粉体(質量比)]0.30で混練し、リン酸カルシウムペーストを室温(約25℃)にて調製した。次いで、得られたリン酸カルシウムペーストを円柱状の金型(直径10mm×高さ5mm)に入れて、表1に示す各温度に設定した恒温槽内にて硬化させ、各温度におけるペーストの硬化速度をJIS T6602に準拠し測定した。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0004224234
【0024】
表1によれば、温度が上昇するほど、硬化速度が短くなっており、30〜50℃と高温の場合には、硬化速度が3〜12分と著しく短くなっていた。また、室温付近である25℃及び28℃に設定した恒温槽にて硬化させたリン酸カルシウムペーストの硬化速度は120分(25℃)及び67分(28℃)であった。
このことから、低温であれば硬化に長く時間を要するが、高温であればペーストの硬化速度を短縮できることが確認できた。
【0025】
(2)実験例1
上記(1)の基礎試験例で調整したリン酸カルシウムペーストと同様のペーストを樹脂型(塩化ビニル樹脂製、縦;50mm、横;30mm、高さ;30mm)に充填し、室温(約25℃)で放置した。10分後に、硬化具合を指で押して確認したところ、変形をきたし、ほぼペースト調整直後の状態と同様であった。更に、50分放置した後、再度、硬化具合を指で押して確認したところ、若干硬化していたが、変形をきたした。その後、完全に硬化が確認できたのは、更に60分放置した後であった。
【0026】
(3)実験例2
上記(2)と同様にして、ペーストを樹脂型に充填し、直後に、37℃に加温した純水1リットル中に静置した。10分後に純水中から樹脂型を取り出し、ペーストの硬化具合を指で押して確認したところ、全く変形せず、形状を維持しており、ペースト充填後に迅速に硬化させることができた。
【0027】
(4)実験例3
上記(2)と同様にして、ペーストを樹脂型に充填し、直後に、充填されたペーストの露出表面に、45℃に加温した純水1リットルを密封したポリエチレン製の袋を接触させ、静置した。5分後に袋を取り除き、ペーストの硬化具合を指で押して確認したところ、全く変形せず、形状を維持しており、ペースト充填後に迅速に硬化させることができた。
【0028】
(5)実験例4
上記(2)と同様にして、ペーストを樹脂型に充填し、直後に、充填されたペーストの露出表面に、ドライヤーによる温風をあてた。3分後にドライヤーを停止し、ペーストの硬化具合を指で押して確認したところ、全く変形せず、形状を維持しており、ペースト充填後に迅速に硬化させることができた。尚、ドライヤーを停止した際の、硬化したペーストの表面温度は42℃であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度の制御方法によれば、リン酸カルシウムペーストの組成等を変化させることなく、容易にペーストの硬化速度を制御することができる。
他の本発明の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法によれば、リン酸カルシウムペースト調製後、ペーストを被充填部に充填するまでの時間を十分に確保でき、且つ充填後は迅速に硬化させることができる。
また、リン酸カルシウム系粉体として、リン酸水素カルシウム及びリン酸四カルシウムを含有させることで、より充填性及び形態付与性に優れる水和硬化型リン酸カルシウムペーストを容易に調製することができる。
更に、多糖類を含有させることで、特に特定の多糖類を含有させることで、より充填性及び形態付与性に優れる水和硬化型リン酸カルシウムペーストを容易に調製することができる。

Claims (6)

  1. リン酸カルシウム系粉体と、水又は水を含む硬化液とを混練してなる医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法であって、
    滅菌され且つ加熱された生理食塩水、滅菌され且つ加熱された疑似体液、或いは滅菌フィルターを介した温風を上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストに直接或いは間接的に接触させて、該水和硬化型リン酸カルシウムペーストの温度を調整することにより、該水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度を制御することを特徴とする医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法。
  2. リン酸カルシウム系粉体と、水又は水を含む硬化液とを混練してなる医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法であって、
    上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストを被充填部に充填する段階と、次いで、滅菌され且つ加熱された生理食塩水、滅菌され且つ加熱された疑似体液、或いは滅菌フィルターを介した温風を、上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストに直接或いは間接的に接触させて、充填された該水和硬化型リン酸カルシウムペーストの温度を調整することにより、該水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度を制御する段階と、を備えることを特徴とする医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法。
  3. 上記水和硬化型リン酸カルシウムペーストの調整された温度が30〜45℃である請求項1又は2に記載の医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法。
  4. 上記リン酸カルシウム系粉体は、リン酸水素カルシウム粉体及びリン酸四カルシウム粉体を含む請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法。
  5. 更に、多糖類を含む請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法。
  6. 上記多糖類はデキストラン及びデキストラン硫酸塩のうちの少なくとも一方である請求項記載の医科用或いは歯科用の水和硬化型リン酸カルシウムペーストの硬化速度制御方法。
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