JP2003176754A - エンジンにおけるオイルパン構造 - Google Patents

エンジンにおけるオイルパン構造

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JP2003176754A JP2002312901A JP2002312901A JP2003176754A JP 2003176754 A JP2003176754 A JP 2003176754A JP 2002312901 A JP2002312901 A JP 2002312901A JP 2002312901 A JP2002312901 A JP 2002312901A JP 2003176754 A JP2003176754 A JP 2003176754A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝動ケースの延長部によりオイルパンの容量
拡大を図る上,調時伝動機構における駆動プーリ下方の
デットスペースを有効活用を図り,さらに駆動プーリや
伝動帯の保護にも有効なエンジンにおけるオイルパン構
造を提供する。 【解決手段】 伝動ケース13の下方延長部13eと,
クランク軸一端を開放したオイルパン本体41 とにより
オイルパン4を構成し,前記延長部13eは,クランク
軸9の伝動ケース13外方の端部に固着される補機駆動
用駆動プーリ48の下方に位置していると共に,縦断面
コ字状をなしていて,該駆動プーリ48のクランク軸方
向の幅を超えてクランク軸方向外方に張り出している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,エンジン,主とし
て車両用エンジンにおいて,そのシリンダブロックの下
部に設けられて,潤滑オイルを貯留するためのオイルパ
ン構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来シリンダブロックの下面にオイルパ
ンを備えたウエットサンプ式エンジンにおいては,その
オイルパンは,全体が一体に形成されてシリンダブロッ
ク下部のクランクケース下面に固着されるのが一般的で
ある(たとえば特開昭55−64128号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところでかかるウエッ
トサンプ式エンジンのオイルパンは,エンジンの各被潤
滑系を十分に潤滑し,しかもオイルパンから外気に熱を
放散してオイル温度を下げるのに必要なオイル量を貯留
しておくだけの容量を確保する必要があり,このためオ
イルパンの容量は大きい方が望ましい。
【0004】ところが従来の一体型オイルパンの容量を
大きくしようとすれば,オイルパン自体が大きくなり,
その製造コストが嵩むばかりでなくエンジン自体の大型
化を招くという課題がある。
【0005】本発明はかかる実情に鑑みてなされたもの
で,動弁系の動弁カム軸を駆動するための調時伝機構を
覆う伝動ケースの一部をオイルパンの一部として利用で
きるようにして前記課題を解決し,さらにエンジンのデ
ッドスペースをオイルパンの容量空間として利用できる
ようにした,新規なエンジンにおけるオイルパン構造を
提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的達成のため,請
求項1の発明は,シリンダブロックのクランク軸方向の
一端面に,クランク軸の駆動力を動弁カム軸に伝達する
ための調時伝動機構を設け,この調時伝動機構を伝動ケ
ースにより被覆してなるエンジンにおいて,前記シリン
ダブロックの下面に,そのクランク軸方向の一端面を開
口したオイルパン本体を固着し,一方,前記伝動ケース
に前記シリンダブロックの下面よりも下方に延長する延
長部を設け,この延長部を前記オイルパン本体の開口端
面に固着して,前記伝動ケースの延長部と,オイルパン
本体とによりオイルパンを構成し,前記伝動ケースの延
長部は,クランク軸の伝動ケース外方の端部に固着され
る補機駆動用駆動プーリの下方に位置していると共に,
縦断面コ字状をなしていて,該補機駆動用駆動プーリの
クランク軸方向の幅を超えてクランク軸方向外方に張り
出していることを特徴としている。
【0007】上記特徴によれば,伝動ケースの下方への
延長部と,オイルパン本体とによりオイルパンを構成し
たから,伝動ケースの一部(延長部)をオイルパンの一
部として利用することができ,オイルパン本体の大型化
に依存せずに,オイルパン内に必要,十分な潤滑オイル
量を確保することができる。しかも伝動ケースの延長部
は,クランク軸の伝動ケース外方の端部に固着される補
機駆動用駆動プーリの下方に位置していると共に,縦断
面コ字状をなしていて,該補機駆動用駆動プーリのクラ
ンク軸方向の幅を超えてクランク軸方向外方に張り出し
ているから,伝動ケースの延長部により,オイルパンに
おけるオイルパン室の容量が拡大されて,オイルパン内
の潤滑オイル量の増量を図ることができ,またこの延長
部は,前記駆動プーリの下方のデットスペースを占有す
るように外側方に張り出し形成されるから,そのデッド
スペースを有効に利用することができ,エンジン自体の
大型化を招くことがなく,さらに前記駆動プーリや伝動
帯の保護に優れている。
【0008】また請求項2の発明は,請求項1の上記特
徴に加えて,前記オイルパン本体の開口端面を通してそ
の内部に組み付け可能なオイルポンプを,該オイルパン
本体内の,前記開口端面寄りの底面に取り付けたことを
特徴としており,この特徴によれば,オイルパン本体の
開口端面を通してその内部に組み付け可能なオイルポン
プを,該オイルパン本体内の,前記開口端面寄りの底面
に取り付けたので,オイルポンプの組付性が良好であ
り,その組付作業性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態を,添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】この実施例は,本発明を直列四気筒の四サ
イクルエンジンに実施した場合の実施例であって,図1
は,エンジンの一部破断側面図,図2は,エンジンの一
部破断正面図,図3は,図1の3−3線に沿うエンジン
の縦断面図,図4は,図2の4−4線に沿うエンジンの
部分側面図,図5は,図1の5−5線に沿う部分拡大
図,図6は,図5の6−6線に沿う断面図,図7はオイ
ルパン本体の斜視図である。
【0011】図1〜4において,四サイクルエンジンE
のエンジン本体1は,シリンダブロック2と,そのデッ
キ面上にガスケットを挟んで連結ボルトにより結合され
るシリンダヘッド3と,前記シリンダブロック2のクラ
ンクケース側の下端面にパッキンを挟んで同じく連結ボ
ルトにより結合される,ベアリングキャップ一体型オイ
ルパン(以下単にオイルパンという)4とより構成され
ている。
【0012】図3に明瞭に示すように,シリンダブロッ
ク2およびシリンダヘッド3の幅方向前後すなわちクラ
ンク軸方向両側には,それぞれ互いに一致する複数のボ
ルト通し孔71 ,171 ;72 ,172 がそれぞれクラ
ンク軸方向に並んで設けられ,前記シリンダヘッド3,
シリンダブロック2およびオイルパン4の三者は,シリ
ンダヘッド3側から前記ボルト通し孔71 ,171 ;7
2 ,172 を貫通してオイルパン4の複数のベアリング
キャップ部4B1 〜4B5 に形成した盲ねじ孔191
192 にねじ込まれる,複数の通しボルト381 ,38
2 により一体に結合される。
【0013】図1,2に示すように,前記シリンダブロ
ック2には,直列に並ぶ四つのシリンダボア5およびそ
れらを取り囲む水ジャケット6が形成され,さらにその
水ジャケット6の外側には,複数の前記ボルト通し孔7
1 ,72 が設けられる。
【0014】前記四つのシリンダボア5内にピストン8
がそれぞれ摺動自在に嵌合され,またシリンダブロック
2の,クランクケース側の下端面と,前記オイルパン本
体4 1 の複数のベアリングキャップ部4B1 〜4B5
にはクランク軸9が回転自在に支承され,このクランク
軸9のクランクピンと,前記ピストン8のピストンピン
間にはそれぞれコンロッド10が連接される。また前記
シリンダヘッド3には,動弁カム軸11が回転自在に支
承され,また通常のように前記動弁カム軸と,それを挟
んで配設される吸,排気弁14,15とを連動して,そ
れらを所定のタイミングをもって開閉作動する,従来公
知の動弁機構16が設けられる。また動弁カム軸11の
左右両側には,前記シリンダブロック2側のボルト挿通
孔71 ,72 と一致する複数のボルト挿通孔171 ,1
2 がクランク軸9方向に並んで設けられる。さらにシ
リンダヘッド3の上面には,前記動弁機構16を覆うヘ
ッドカバー18がパッキンを介して固着される。
【0015】図1に示すように,動弁カム軸11の外端
と,前記クランク軸9の外端との間には,伝動機構12
が連結されている。この伝動機構12は,クランク軸9
の外端に固着される駆動スプロケット45と,動弁カム
軸11の外端に固着される被動スプロケット46と,そ
れら両スプロケット45,46間に懸回される無端状の
伝動チエン47とより構成されており,クランク軸9の
駆動力は,この伝動機構12を介して1/2の減速比を
もって前記動弁カム軸11に伝達される。またこの伝動
機構12は,シリンダヘッド3のクランク軸方向の一端
部に一体に形成される伝動ケース部31 と,シリンダブ
ロック2のクランク軸方向の一端面に複数の連結ボルト
29により固着される伝動ケース13により被覆されて
いる。この伝動ケース13は,シリンダブロック2より
も下方に延長される延長部13eが一体に形成されてお
り,この延長部13eは,後に詳述するオイルパン本体
1 の開口端面24に複数のボルト29により固着さ
れ,オイルパン本体41 と,伝動ケース13の延長部1
3eとよりこのエンジンEのオイルパン4が構成され
る。図5,6に明瞭に示すように,伝動ケース13の延
長部13eは縦断面コ字状をなしてクランク軸方向外方
に張り出されており,これによりオイルパン4のオイル
パン室Coの容量が拡大される。
【0016】また図6に示すように,クランク軸9の一
端は,前記伝動ケース13の軸孔50を貫通してその外
部に突出しており,その外端に駆動輪すなわち駆動プー
リ48が固着され,この駆動プーリ48は無端伝動帯4
9を介して図示しない水ポンプ等のエンジン補機に連動
されている。クランク軸9と伝動ケース13の軸孔50
との間にはオイルシール手段54が介在される。伝動ケ
ース13内において,クランク軸9には,駆動スプロケ
ット45に隣接して他の駆動スプロケット51が固着さ
れ,この駆動スプロケット51は,オイルパン室Co内
に設けたオイルポンプOpの駆動用スプロケット52に
無端状チエン53を介して連動されている。
【0017】前記オイルパン4は,その主体部である,
前記オイルパン本体41 が,Fe,Al合金等の金属材
料により一体に鋳造成形される。このオイルパン本体4
1 は,シリンダブロック2の下面に連結ボルト35によ
り一体に結合されるもので,図7に明瞭に示すように,
底壁20,左,右側壁21,22および端壁23とより
形成されており,このオイルパン本体41 の,前記伝動
機構12側の一端面が開放されており,この開口端面2
4は,そこに複数のボルト孔25が設けられていて,前
記シリンダブロック2の一端面30(図4参照)と同一
面となっており,それらの面24,30に,前記伝動ケ
ース13が複数の連結ボルト29によりパッキンを介し
て固着される。そして前述したようにオイルパン本体4
1 開口端面24は前記伝動ケース13の下部の延長部
13eにより被覆され,オイルパン本体41 と,伝動ケ
ース13の延長部13eとにより,このエンジンEのオ
イルパン4が構成される。
【0018】前記オイルパン本体41 内には,そのクラ
ンク軸9方向に略等間隔を存して,そのクランク軸9と
交叉する方向に複数のベアリングキャップ部4B1 〜4
5が一体に形成されており,これらのベアリングキャ
ップ部4B1 〜4B5 は,何れもクランク軸9に対して
垂直な壁体により構成されていて,それらの左右両側端
部は,前記左,右側壁21,22にそれぞれ一体に連続
されている。オイルパン本体41 の一方の最外側(ミッ
ション取付側)のベアリングキャップ部4B5は,該オ
イルパン本体41 の前記端壁23と一体であって,該端
壁23の一部を構成している。複数のベアリングキャッ
プ部4B1 〜4B5 の上面の中央部には,半円状の軸受
下半部26がそれぞれ形成されており,これらの軸受下
半部26は,前記シリンダブロック2の下部のクランク
ケース部に一体に形成される複数の半円状軸受上半部2
7と協働して,前記クランク軸9を回転自在に支持する
クランク軸受孔28を構成している(図3参照)。
【0019】オイルパン本体41 の下半部には,その底
壁20,両側壁21,22,端壁23および複数のベア
リングキャップ部4B1 〜4B5 の底面とにより,クラ
ンク軸方向に一端が開放され,そのクランク軸方向に連
続する,洞穴状のオイルパン室Coが形成され,このオ
イルパン室Coは,オイルパン本体41 を一体に鋳造成
形するときに,中子等の成形型の型抜きによる鋳抜き孔
として成形され,オイルパン本体41 の底壁20および
左右両側壁21,22の内面と,複数のベアリングキャ
ップ部4B1 〜4B5 の底面は,クランク軸9と交叉す
る断面が同形状に形成され,かつオイルパン本体41
端壁23から開口端面24に沿って末広状に拡がる型抜
き勾配が形成されており,これによりオイルパン室Co
の下面は端壁23から開口端面24に向かって下り勾配
の傾斜面に形成される。オイルパン本体41 の開口端面
24の最下部に対応する,伝動ケース13の延長部13
eの最下端部には,ボス部55が形成されており,この
ボス部55にオイル排出口56が開口され,このオイル
排出口56は,栓体すなわちドレンボルト57のねじ込
みにより閉じられる。さらに伝動ケース13にオイル排
出口56を設けたので,オイルパン4の地上からの距離
を確保しやすい。特にオイル排出口56をクランク軸方
向に形成したのでドレンボルト57が下方に突出するこ
ともない。
【0020】なお,前記オイルパン室Coは,そのクラ
ンク軸方向と直交する方向の両端壁がいずれも開放され
たトンネル状の鋳抜き孔として成形することもできる。
【0021】前記複数のベアリングキャップ部4B1
4B5 の相隣り合うもの同士は,それぞれクランク軸9
と直交する方向の左右両側において,左右バッフルプレ
ート31により一体に橋架状に連結されており,これら
のバッフルプレート31は,オイルパン4内の,クラン
ク室Ccとオイルパン室Coとの連通部の一部を仕切る
ように,横方向に延びており,オイルパン室Co内の潤
滑オイルの波立ちを抑制する。またクランク軸9の一方
向回転(図2,3,矢印a方向)により潤滑オイルが跳
ね上げられる側にあるバッフルプレートすなわち図7に
おいて,左側の複数のバッフルプレート31の内側縁部
には,クランク室Cc側に向けて突出する補強壁33が
一体に形成されており,これらの補強壁33は,前記バ
ッフルプレート31と協働してベアリングキャップ部4
2 〜4B5 の剛性確保に寄与している。また前記補強
壁33の長手方向の両端部には,それぞれ対をなしてリ
ブ片34が一体に形成されており,これらのリブ片34
は,クランク軸9の回転による,オイルパン室Coの潤
滑オイルの跳ね上がりを抑制するのに役立つ。
【0022】図3に明瞭に示すように,ベアリングキャ
ップ部4B1 〜4B5 には,その上面左右に,それぞれ
上面に開放される凹部36,37が形成されるとともに
それらの凹部36に開口する,前記盲ねじ孔191 ,1
2 が形成されており,それらの盲ねじ孔191 ,19
2 に,前記通しボルト38がねじ込まれる。
【0023】また図3に示すように,ベアリングキャッ
プ部4B1 〜4B5 の,クランク軸9の一方側の凹部3
6は,シリンダブロック2側の一方側の凹部39と協働
して,給油路40を形成しており,この給油路40内の
潤滑オイルはクランク9の軸受およびクランク軸9の一
方側の前記ボルト通し孔71 ,171 と,通しボルト3
1 間に形成されるオイル通路43を通してエンジンの
被潤滑部に供給される。一方ベアリングキャップ部4B
1 〜4B5 の,クランク軸の他方側の凹部37は,シリ
ンダブロック2側の他方の凹部41と協働してオイルパ
ン室Coに連通する戻し油路42を形成しており,この
戻し油路42は,クランク軸9の他方側の前記ボルト通
し孔72 ,172 と,通しボルト382 間のオイル通路
44に連通されており,潤滑後のオイルをオイルパン室
Coに導く。
【0024】エンジン本体1の,吸気系部材Inの取付
側において,オイルパン4の,ベアリングキャップ部4
1 〜4B5 とオイルパン室Coとの境界壁部の外面に
は,クランク軸9方向に間隔をあけて複数の肉厚なボス
状の取付部61が外向きに一体に成形されており,これ
らの取付部61に,前記吸気系部材Inとしてのインテ
ークマニホールドの下部が,ボルト等の固着具62によ
り固着される。前記吸気系部材Inは,インテークマニ
ホールドの外に,スロットルボディ,吸気ダクト,吸気
チャンバ,エアクリーナ等であってもよい。
【0025】なお,図中Fuは,吸気系部材Inに取り
付けられる,燃料噴射ノズルを備えた燃料供給ユニッ
ト,Exは,エンジン本体1の他側に取付られる排気系
組立体である。
【0026】このウエットサンプ式エンジンEの運転に
よるクランク軸9の回転によれば,伝動機構12を介し
て動弁カム軸11が駆動されて動弁機構16が作動さ
れ,また駆動プーリ48の駆動により無端伝動帯49を
介して水ポンプ等のエンジン補機が駆動され,さらにこ
の駆動スプロケット51,チエン53およびスプロケッ
ト52を介してオイルポンプOpが駆動されて,オイル
パン室Co内の潤滑オイルは吸上げられてエンジンEの
各被潤滑部に強制給油される。
【0027】ところでこのエンジンEでは,伝動機構1
2を被覆する伝動ケース13の延長部13eを利用して
オイルパン4の一部が構成されることにより,シリンダ
ブロック2の下面に固着されるオイルパン本体41 自体
の小型化を図りながら,必要,十分な潤滑オイル量を確
保し得るオイルパン4を提供することができる。またオ
イルパン4の一部となる,伝動ケース13の延長部13
eは,駆動プーリ48の下方のデッドスペースを占有す
るように外側方に張り出し形成されるので,そのデッド
スペースを有効に利用することができ,エンジンE自体
を大型化することもなく,さらに図5に示すように伝動
ケース13の延長部13eは,駆動プーリ48の下部を
覆うことになり,その駆動プーリ48や伝動帯49の保
護にも寄与する。特に前記延長部13eが駆動プーリ4
8のクランク軸方向の幅を超えて外側に張り出している
ので,駆動プーリ48や伝動帯49の保護に優れてい
る。
【0028】またオイルパン本体41 は,中子等の成形
型の型抜きにより鋳抜き成形され,これによりオイルパ
ン室Coの底面は,その開口端面24に向けて下り勾配
の傾斜面に形成され,しかも伝動ケース13の延長部1
3eの最下部にオイル排出口56が設けられることによ
り,オイルパン4内の潤滑オイルの抜取り作業が容易に
なるばかりでなくオイルパン4内に潤滑オイルが残留し
たままになることもない。さらに前記伝動ケース13の
延長部13eにオイル排出口56を開口するにあたり,
そこにボス部55が形成されることにより,伝動ケース
13自体の剛性も高められる。
【0029】さらにまたオイルポンプOpは,オイルパ
ン本体41 の開口端面24を通してその内部に組み付け
ることができ,その組付作業性が向上する。特にオイル
ポンプOpはオイルパン本体41 内の前記開口端面24
寄りの底面に取り付けられているため,組付性がよい。
【0030】またシリンダブロック2と,オイルパン4
を一体に結合するのに,シリンダブロック2側からの複
数の通しボルト381 ,382 を,前記オイルパン本体
1のベアリングキャップ部4B1 〜4B5 にねじ込む
ことにより行なうので,それらのベアリングキャップ部
4B1 〜4B5 の下面には,下方に突出する部分がな
く,これによりこのオイルパン本体41 を鋳造成形する
に際して,前記ベアリングキャップ部4B1 〜4B5
下方に,それらの並列方向に連続したオイルパン室Co
を,クランク軸9方向に中子等の成形型の型抜きにより
一挙に鋳抜き成形することができ,該オイルパン本体4
1 ,特にそのオイルパン室Coの成形が容易になり,そ
の成形コストの低減が可能になるばかりでなくオイルパ
ン4自体の軽量化にも寄与し,さらにオイルパン室Co
の容量確保がし易くなり,そのオイルパン4自体の小型
化も可能になる。
【0031】またオイルパン4にボルト孔等の取付孔を
開口する必要がないことにより,潤滑オイルの漏洩を防
止するためのシール手段が不要であり,部品点数も少な
くて済み,さらにオイルパン4は,それ自体の必要な剛
性が確保される。
【0032】以上,本発明の一実施例について説明した
が,本発明はその実施例に限定されることなく,本発明
の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば前記実
施例では,四気筒直列型エンジンに本発明を実施した場
合を説明したが,他の型式の単気筒または多気筒エンジ
ンにも本発明を実施することができることは勿論であ
り,また前記実施例では,クランク軸と動弁カム軸とを
連動する伝動機構としてチエン伝動機構が採用される
が,これに代えて歯車伝動機構,ベルト伝動機構,その
他の伝動機構を採用してもよい。また前記実施例ではオ
イルパン本体の底面の,開口端面に向かう下り勾配の傾
斜面は成形型の型抜きにより形成されるが,これをオイ
ルパン本体の鋳造成形時に,他の公知の成形手段により
形成してもよい。
【0033】
【発明の効果】以上のように各請求項の発明によれば,
伝動ケースの下方への延長部と,オイルパン本体とによ
りオイルパンを構成したから,伝動ケースの一部(延長
部)をオイルパンの一部として利用することができ,オ
イルパン本体の小型化を図りながら,オイルパン内に必
要,十分な潤滑オイル量を確保することができ,これに
よりエンジンの各被潤滑部を潤滑するのに十分な潤滑オ
イル量を確保し,かつそのオイルの温度上昇を抑えるこ
とができる。その上,伝動ケースの延長部は,クランク
軸の伝動ケース外方の端部に固着される補機駆動用駆動
プーリの下方に位置していると共に,縦断面コ字状をな
していて,該補機駆動用駆動プーリのクランク軸方向の
幅を超えてクランク軸方向外方に張り出しているので,
伝動ケースの延長部により,オイルパンにおけるオイル
パン室の容量が拡大されて,オイルパン内の潤滑オイル
量の一層の増量を図ることができ,またこの延長部は,
前記駆動プーリの下方のデットスペースを占有するよう
に外側方に張り出し形成されるから,そのデッドスペー
スを有効に利用することができ,エンジン自体の大型化
を招くことがなく,さらに前記駆動プーリや伝動帯の保
護に優れている。
【0034】また特に請求項2の発明によれば,オイル
パン本体の開口端面を通してその内部に組み付け可能な
オイルポンプを,該オイルパン本体内の,前記開口端面
寄りの底面に取り付けたので,オイルポンプの組付性が
良好であり,その組付作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの一部破断側面図
【図2】エンジンの一部破断正面図
【図3】図1の,3−3線に沿うエンジンの縦断面図
【図4】図2の4−4線に沿うエンジンの部分側面図
【図5】図1の5−5線に沿う部分拡大図
【図6】図5の6−6線に沿う断面図
【図7】オイルパン本体の斜視図
【符号の説明】
2・・・・・・・・・・・シリンダブロック 4・・・・・・・・・・・シリンダヘッド部一体型オイ
ルパン 41 ・・・・・・・・・・オイルパン本体 9・・・・・・・・・・・クランク軸 11・・・・・・・・・・動弁カム軸 12・・・・・・・・・・伝動機構 13・・・・・・・・・・伝動ケース 13e・・・・・・・・・延長部(伝動ケースの) 24・・・・・・・・・・開口端面(オイルパン本体
の) 48・・・・・・・・・・補機駆動用駆動プーリ Op・・・・・・・・・・オイルポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村田 雅史 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G013 BB05 BB19 3G015 BA01 BB00 BB11 CA06 CA07 DA01 3G024 AA46 AA63 AA69 AA73 DA03 DA18 FA14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダブロック(2)のクランク軸方
    向の一端面に,クランク軸(9)の駆動力を動弁カム軸
    (11)に伝達するための調時伝動機構(12)を設
    け,この調時伝動機構(12)を伝動ケース(13)に
    より被覆してなるエンジンにおいて,前記シリンダブロ
    ック(2)の下面に,そのクランク軸方向の一端面を開
    口したオイルパン本体(41 )を固着し,一方,前記伝
    動ケース(13)に前記シリンダブロック(2)の下面
    よりも下方に延長する延長部(13e)を設け,この延
    長部(13e)を前記オイルパン本体(41 )の開口端
    面(24)に固着して,前記伝動ケース(13)の延長
    部(13e)と,オイルパン本体(41 )とによりオイ
    ルパン(4)を構成し,前記伝動ケース(13)の延長
    部(13e)は,クランク軸(9)の伝動ケース(1
    3)外方の端部に固着される補機駆動用駆動プーリ(4
    8)の下方に位置していると共に,縦断面コ字状をなし
    ていて,該補機駆動用駆動プーリ(48)のクランク軸
    方向の幅を超えてクランク軸方向外方に張り出している
    ことを特徴とする,エンジンにおけるオイルパン構造。
  2. 【請求項2】 前記オイルパン本体(41 )の開口端面
    (24)を通してその内部に組み付け可能なオイルポン
    プ(Op)を,該オイルパン本体(41 )内の,前記開
    口端面(24)寄りの底面に取り付けたことを特徴とす
    る,請求項1に記載のエンジンにおけるオイルパン構
    造。
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