JP2003176275A - 安定化された形態安定加工薬剤の製法 - Google Patents

安定化された形態安定加工薬剤の製法

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JP2003176275A
JP2003176275A JP2001402692A JP2001402692A JP2003176275A JP 2003176275 A JP2003176275 A JP 2003176275A JP 2001402692 A JP2001402692 A JP 2001402692A JP 2001402692 A JP2001402692 A JP 2001402692A JP 2003176275 A JP2003176275 A JP 2003176275A
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英二 山田
Toshio Hagiwara
敏夫 萩原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明が対象とする水溶性のジハロゲノ−S−
トリアジン系化合物は古くから公知であったが、最近、
形態安定加工を初めとする機能性繊維の開発に有効であ
る事が確認され見直されている。ところがこれらの化合
物は一般的には水溶液として使用されるが、不安定な化
合物であり、水溶液の場合、温度が高いほど加水分解が
起こり易く、PHを8〜9に調整して室温での経時変化
を追跡すると加水分解が急速に進行し、数日の内に純度
が半減してしまう。5℃以下の低温で保存すれば数十日
間乃至数ヶ月間保存に耐える場合もあるが、なお安定性
が不充分であり不良品となって処分せざるをえなくなる
事がある。冷蔵保管する場合は設備が必要な上に、物流
が厄介となり物流・保管費用も高くなる。冷凍保存する
と液が凍結し、取り扱いが困難となる。特に海外に薬剤
を輸出する場合は水溶液の輸出は事実上不可能と考えら
れる。塩析したあと、低温で析出した結晶を濾過してウ
エットケーキを取り出し、このウエットケーキを低温で
乾燥して安定化された薬剤を作る事は不可能ではない
が、廃液が発生する上に作業効率が悪く、コストアップ
となるので工業的製法としては考えられない。これらの
化合物が繊維や不織布の改質薬剤として有用であるにも
拘わらず実用化が進み難いのは、一つは薬剤水溶液の不
安定性にあると考えられる。従って我々はこれらの薬剤
をスプレードライ法によって薬剤を粉体化して安定化す
る事を目的に研究を行なった。 【解決手段】本発明者はかかる繊維改質薬剤の不安定
性、別の言葉で言えば経時変化性を取り除き、安定化す
る手段について研究を重ねた結果、水溶性のジハロゲノ
−S−トリアジン系化合物の単独或いは混合物をアルカ
リ性物質及び/又は緩衝剤を添加して所定のPH範囲に
調整・安定化したあと、高温で一瞬の内にスプレードラ
イしてやれば高純度で安定化された繊維改質薬剤が得ら
れる事を見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は天然繊維材料を形態
安定加工する上で或いは機能性を付与する上で有用な、
ジハロゲノ−S−トリアジン系化合物の水溶液をスプレ
ードライする事による、安定化された粉体状の繊維改質
薬剤の製法に関するものである。更に詳しくは本発明は
下記一般式(1)で表されるジハロゲノ−S−トリアジ
ン系化合物の単独或いは混合物の水溶液を、アルカリ性
物質及び/又は緩衝剤を添加して一定の範囲内にPHを
調整、安定化した上で、粉体の水分を所定の範囲内に制
御しながら高温でスプレードライして粉体化する事を特
徴とする安定化された高純度ジハロゲノ−S−トリアジ
ン系化合物の製法である。 (式中Xは塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子を意味
する。Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チ
オール基、4級アミノ基等の親水性置換基を少なくとも
1個以上を有するアリールアミノ基、アリールオキシ
基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコ
キシ基、アルキルチオ基等の親水性置換基を有する置換
基を意味するか、或いは、ヒドロキシ基、チオール基等
のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を意味するか、
或いは、親水性置換基を有するトリアジニルオキシ基、
トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジ
ニルアミノスチルベンアミノ基などの親水性置換基を意
味する)
【0002】
【従来の技術】本発明が対象とする水溶性のジハロゲノ
−S−トリアジン系化合物は古くは特公昭38−103
96号公報によって公知であり、最近では特開平9−7
8451号公報、特開平9−316777号公報、特開
平11−152681号公報等に記載がある。これらの
繊維改質薬剤が形態安定加工を初めとする機能性繊維の
開発に有用である事は、これら多くの特許文献により窺
い知る事ができる。ところがこれらの化合物は一般的に
は水溶液として使用されるが、水溶液中では不安定な化
合物であり、温度が高いほど加水分解が起こり易く、P
Hを8〜9に調整して室温での経時変化を追跡すると加
水分解が急速に進行し、数日の内に純度が半減してしま
う。5℃以下の低温で保存すれば数十日間乃至数ヶ月間
保存に耐える場合もあるが、冷蔵保管設備が必要な上
に、物流が厄介となり物流・保管費用も高くなる。冷凍
保存すると液が凍結し、取り扱いが困難となる。特に海
外に薬剤を輸出する場合は、水溶液の輸出は事実上不可
能と考えられる。無機塩類を用いて塩析したあと、低温
で析出した結晶を濾過してウエットケーキを取り出し、
このウエットケーキを低温で乾燥して安定化された薬剤
を作る事は不可能ではないが、廃液が発生する上に作業
効率が悪く工業的製法としては考えられない。これらの
化合物が繊維の改質薬剤として有用であるにも拘わらず
本格的な実用化が進み難いのは、一つは薬剤水溶液の不
安定性にあると考えられる。しかるに従来これらの化合
物を工業的に安定化する為の研究は見当たらず、いわん
やスプレードライ法によって薬剤を粉体化して安定化し
た文献は見当たらない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる繊維改
質薬剤の不安定性、別の言葉で言えば経時変化性を取り
除き、安定化する手段について研究を重ねた結果、下記
一般式(1)で表される水溶性のジハロゲノ−S−トリ
アジン系化合物の単独或いは混合物をアルカリ性物質及
び/又は緩衝剤を添加して所定のPH範囲に調整・安定
化したあと、高温で一瞬の内にスプレードライしてやれ
ば高純度で安定化された繊維改質薬剤が得られる事を見
出した。 (式中Xは塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子を意味
する。Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チ
オール基、4級アミノ基等の親水性置換基を少なくとも
1個以上を有するアリールアミノ基、アリールオキシ
基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコ
キシ基、アルキルチオ基等の親水性置換基を有する置換
基を意味するか、或いは、ヒドロキシ基、チオール基等
のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を意味するか、
或いは、親水性置換基を有するトリアジニルオキシ基、
トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジ
ニルアミノスチルベンアミノ基などの親水性置換基を意
味する)
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は木綿、麻、ビスコースレ
ーヨン、キュプラレーヨン、リヨセル、酢酸セルロース
等のセルロース系繊維材料或いは絹、羊毛、獣毛等の蛋
白質系繊維材料等、分子構造中にアルコール性水酸基、
アミノ基、チオール基等を有する天然繊維材料或いは半
合成繊維材料の単独或いは混紡、交織、複合繊維或いは
不織布の形態安定加工或いは機能性を付与する上で有効
な化合物であるジハロゲノ−S−トリアジン系化合物の
水溶液を、所定の乾燥条件の元で乾燥し粉体化する事に
よって室温付近の温度で安定化させる事を目的とする。
前記一般式(1)で表される水溶性のジハロゲノ−S−
トリアジン系化合物をスプレードライする前処理条件と
乾燥条件は、例えば塩化シアヌルを原料として用い、弱
アルカリ性で加水分解するか、アミン類或いはアルコー
ル類と反応させて得たジハロゲノ−S−トリアジン系化
合物類の単独或いは混合物の10〜30%水溶液にアル
カリ性物質及び/又は緩衝材を添加してPHを7.5〜
9.5、好ましくは8〜9に調整・安定化し、入口温度
160〜260℃、好ましくは180〜240℃、出口
温度70〜130℃、好ましくは90〜110℃、ディ
スク回転数15000〜35000R.P.M.、好ま
しくは20000〜30000R.P.M.の範囲内で
行なわれる。
【0006】本発明で原料として用いる事が出来るジハ
ロゲノ−S−トリアジン誘導体の水溶液とは、前記一般
式(1)で表される化合物であるが、これらの改質薬剤
を、より具体的に説明すると、トリハロゲノ−S−トリ
アジン、好ましくは塩化シアヌルを主原料として用い、
カルボキシル基、水酸基、チオール基、スルファミノ
基、スルフォン酸基等の水溶性或いは親水性置換基を有
するアニリン類、フェノール類、チオフェノール類、ナ
フチルアミン類、ナフトール類、アミノ酸類、トリアジ
ン類等の単体或いは混合物を塩化シアヌル1モルに対し
て1モルを、酸結合剤を共存させ水溶媒中、中性乃至弱
アルカリ性で縮合させるか、或いは塩化シアヌルを重炭
酸ソーダ、炭酸ソーダ、カセイソーダ、カセイカリ、水
酸化マグネシューム等を用いて中性乃至弱アルカリ性で
加水分解させる公知の方法によって得る事が出来る。こ
れらの化合物は純粋である必要はなく、2種類以上の混
合物と塩化シアヌルを反応させた水溶液であっても良い
し、純粋に作られた物をあとから混合して多成分系とし
た水溶液で使用する事が好ましい場合もある。トリハロ
ゲノ−S−トリアジン、好ましくは塩化シアヌルと反応
させて水溶液とする事が出来る化合物とは具体的には次
のような化合物である。
【0007】D−アラニン、β−アラニン、D−グルタ
ミン酸、L−グルタミン酸、グリシルグリシン、L−ア
スパラギン酸、D−アスパラギン酸、γ−アミノ酪酸、
L−アルギニン、L−シスチン、L−ロイシン、メタニ
ル酸、スルファニル酸、2,5−ジスルファニル酸、ナ
フチオン酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p
−アミノ安息香酸、フェノールスルフォン酸、ジオキシ
クロルトリアジン、シアヌル酸、ピロカテキン、ハイド
ロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、アミド
ール、プロトカテキュ酸、C酸、G酸、J酸、γ酸、H
酸、4,4−ジアミノスチルベン−2,2−ジスルフォ
ン酸、サリチル酸、ジチオクロルトリアジン、アミノオ
キシクロルトリアジン、アミノジオキシトリアジン、エ
タノールアミン、プロパノールアミン、N−(2−アミ
ノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールア
ミン、トリメチル(2−ヒドロキシルエチル)アンモニ
ュウムクロライド、チオサリチル酸、チオアセトアミ
ド、チオカルボヒドラジド、チオグリコール酸、1−チ
オグリセロール、チオジグリコール、トリグリコールジ
メルカプタン、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、グリセリン、ビス(2−メルカプトエチル)サル
ファイト、α−ヒドロキシイソ酪酸、尿素、チオ尿素、
チオセミカルバジド、1−チオグリセロール、チオカル
ボヒドラジド、ヒドロキシルアミン、スルファミン酸、
重炭酸ソーダ、炭酸ソーダ、苛性ソーダ、重炭酸カリ、
炭酸カリ、苛性カリ、水酸化マグネシューム、水酸化リ
チウム等を挙げる事が出来る。
【0008】これらの化合物が具備すべき条件は、トリ
ハロゲノトリアジンと反応する置換基を有することと、
同時に親水性の置換基を有するか或いは反応生成物に親
水性を付与することができる化合物である。本発明で用
いられる加工薬剤の出発原料トリハロゲノ−S−トリア
ジンは水不溶性であるが、これらの親水性化合物と反応
させた後は、全体として水溶性の化合物となる。トリハ
ロゲノ−S−トリアジンとこれら水溶性化合物とを反応
させた生成物とは具体的には次のような化合物の単体或
いは混合物の水溶液を例として挙げることが出来る。 2,6−ジクロル−4−(α−カルボキシエチルアミ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(β−カルボキシエチルアミ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(γ−カルボキシプロピルアミ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(α−カルボキシ−γ−カルボ
キシプロピルアミノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシフェニルチ
オ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(カルボキシメチルチオ)−S
−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S
−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(4−スルフォアニリノ)−S
−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(2−スルフォアニリノ)−S
−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルフォアニリ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルフォアニリ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3−スルフォ−4−オキシ−
5−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアニリノ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシアニリノ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシアニリノ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(4−スルフォフェノキシ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3−スルフォフェノキシ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(2−スルフォフェノキシ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)
−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3−スルフォフェニルチオ)
−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(4,8−スルフォナフタレン
−2−イルアミノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンK塩 2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンLi塩 2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンMg塩 2,6−ジクロル−4−チオ−S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4(4−オキシ−6−クロル−S−
トリアジン−2−イルオキシ)−S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4(4−チオ−6−クロル−S−ト
リアジン−2−イルチオ)−S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4(4,6−ジオキシ−S−トリア
ジン−2−イルオキシ)−S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4(3,5−ジオキシフェニルオキ
シ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4(3−オキシフェニルオキシ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4(4−オキシフェニルオキシ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4(4−カルボキシメトキシ)−S
−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4(4−スルフォエチルアミノ)−
S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4(4−カルボキシメチルチオ)−
S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4(4−スルフォニルオキシエチル
アミノ)−S−トリアジンNa塩 4,4−ビス(4,6−ジクロロ−S−トリアジン−
2−イルアミノ)−スチルベン−2,2−ジスルフォ
ニックアシッドNa塩 2,6−ジクロル−4−カルバモイルアミノ−S−トリ
アジン 2,6−ジクロル−4−チオカルバモイルアミノ−S−
トリアジン 水溶性の置換基を有するジハロゲノ−S−トリアジン類
は、この他にも数多くの有効な化合物が考えられるので
あって、本発明はこれらの具体例に制約されるものでは
ない。要は親水性置換基を有する化合物であることと、
活性ハロゲン原子又はそれに類する反応基、例えばスル
ファトエチルスルフォン基、ビニルスルフォン基等を含
めた反応基を2個以上有する事がポイントである。ま
た、活性塩素を有する化合物としてはS−トリアジン系
に限らず、ピリダジン系、ピリミジン系等の中で、活性
塩素を2個以上有する化合物も有効である。尚、上記の
化合物は全ての場合に水溶性置換基がアルカリ金属塩或
いはアルカリ土類金属塩となっている場合も含まれてい
る。
【0009】本発明の構成要素の中で水溶液の前処理、
即ちPHを一定範囲に調整し安定化させる事は重要な要
素の一つである。前記の方法で得られたジクロル−S−
トリアジン系化合物の水溶液は反応直後は通常PHが中
性乃至弱アルカリ性となっているが、スプレードライす
る前に必ずPHを7.5〜9.5好ましくは8.0〜
9.0に調整する必要がある。その場合用いることが出
来る具体的なアルカリ性物質及び/又は緩衝剤とは次の
ような化合物である。 重炭酸ソーダ、炭酸ソーダ、珪
酸ソーダ、苛性ソーダ、水酸化マグネシューム、第3燐
酸ソーダ、第2燐酸ソーダ、第1燐酸ソーダ、水酸化リ
チウム、炭酸カリ、苛性カリ、重炭酸カリ、酢酸ソー
ダ、酢酸カリ等を具体例として挙げる事が出来る。もし
PH調整を怠り、例えばPH7.4〜6.5の状態でス
プレードライすると、化合物によって若干差があるが、
ほぼ完全に加水分解が進行し、目的とする化合物の含有
量は10%以下に低下してしまう。また、PH10以上
の強アルカリ性にする事もスプレードライする前の原液
保存中の分解を含めて加水分解が進行するので好ましく
ない。
【0010】本発明の構成要素の中で次に重要な要素は
乾燥後の薬剤粉体中の水分である。薬剤粉体中の水分が
多いほど経時変化が進みやすいのでこの点も厳密に制御
する必要がある。例えばスプレードライ後、水分が15
%のサンプルを25℃で経時変化性を追跡すると1週間
前後で純度が約半分に低下する。水分が7%の場合でも
1ヶ月で数%の純度低下が見られる。従って室温付近の
温度で保存可能とする為には、水分は6%以下、好まし
くは5%以下に制御する必要があり、出来る限り少ない
水分とする事が望ましい。
【0011】本発明によって粉体化された薬剤は、天然
繊維素材、具体的には木綿、麻、ビスコースレーヨン、
キュプラレーヨン、リヨセル、酢酸セルロース等、分子
構造中にアルコール性水酸基を有する繊維材料或いは
絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料を主要成分とする
素材或いは織物、編物、不織布の形態安定加工或いは機
能性を付与する改質加工に有効である。それらは単品で
も混紡、交織品でもよく、いわゆる合成繊維を含めた複
合系繊維であってもよい。これらの素材は糸や布帛の状
態或いは織編み物製品にした後、或いは工程途中の半製
品の段階で加工することも可能である。これらの加工対
象素材はポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等石油系
合成素材との複合系であってもよい。
【0012】本発明の加工薬剤ジハロゲノトリアジン類
は、ドイツ公開公報2357252号、或いはアメリカ
特許公報5601971号等に記載があるように、公知
の合成法に準じて水溶媒中で反応して水溶液として得る
ことが出来る。
【0013】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものでは
ない。なお、例中、%は重量%を、部は重量部を意味す
る。
【0014】実施例1 塩化シアヌルを水溶媒中で5℃で重炭酸ソーダと反応さ
せて得た、2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−ト
リアジンNa塩のPH7.5の12%水溶液1000部
に、攪拌しながら炭酸ソーダと第2燐酸ソーダを加えて
溶解しPHを8.2とする。次いで小型スプレードライ
ヤーNIRO ATOMIZERを用いて入口温度21
0℃に設定し、出口温度100℃となるように、ロータ
リーポンプで薬剤水溶液をディスクに連続的に送液し、
ディスク回転数25000回転でスプレードライした。
この様にして得た2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−
S−トリアジンNa塩の粉体の流動性は良好で、回収率
は90%以上を確保できた。スプレードライする前の水
溶液のHPLC面積百分率純度は97.5%であった
が、スプレードライした後の粉体のHPLC面積百分率
純度は96.5%と良好な値を示した。この粉体を25
℃で経時変化性を追跡したところ、1ヶ月間全く変化が
無かった。また、この粉体を用いて木綿を形態安定加工
したところ、水溶液を用いた場合と同様、良好なウォッ
シャブル性を示した。
【0015】実施例2 前記実施例1に於ける重炭酸ソーダの代わりに炭酸ソー
ダを用いてえた、2,6−ジクロル−4−(3−スルフ
ォアニリノ)−S−トリアジンNa塩のPH7.5の1
0%水溶液1000部に、攪拌しながら重炭酸ソーダと
第2燐酸ソーダを加えて溶解しPHを8.1とする。次
いで小型スプレードライヤーNIROATOMIZER
を用いて入口温度210℃に設定し、出口温度100℃
となるように、ロータリーポンプで薬剤水溶液をディス
クに連続的に送液し、ディスク回転数25000回転で
スプレードライした。この様にして得た2,6−ジクロ
ル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジンN
a塩の粉体の流動性は良好で、回収率は90%以上を確
保できた。スプレードライする前の水溶液のHPLC面
積百分率純度は95.1%であったが、スプレードライ
した後の粉体のHPLC面積百分率純度は93.8%と
良好な値を示した。この粉体を25℃で経時変化性を追
跡したところ、1ヶ月間殆ど変化が無く、良好な安定性
を示した。また、この粉体を用いてオフスケールした羊
毛を形態安定加工したところ、水溶液を用いた場合と同
様、良好なウォッシャブル性を示した。
【0016】実施例3 前記実施例1に於ける2,6−ジクロル−4−ヒドロキ
シ−S−トリアジンNa塩の12%水溶液の代わりに
4,4−ビス(4,6−ジクロロ−S−トリアジン−
2−イルアミノ)−スチルベン−2,2−ジスルフォ
ニックアシッドNa塩の10%水溶液を用いて同様にス
プレードライしたところ、粉体の流動性は良好で、回収
率は90%以上を確保できた。スプレードライする前の
水溶液のHPLC面積百分率純度は95.7%であった
が、スプレードライした後の粉体のHPLC面積百分率
純度は95.1%と良好な値を示した。この粉体を25
℃で経時変化性を追跡したところ、1ヶ月間全く変化が
無く、良好な保存安定性を示した。また、この粉体を用
いてシルクを形態安定加工したところ、水溶液を用いた
場合と同様、良好なウォッシャブル性を示した。
【発明の効果】セルロース系繊維材料、蛋白質系繊維材
料或いは半合成繊維材料の形態安定加工薬剤或いは機能
性を付与する薬剤として有効なジハロゲノ−S−トリア
ジン系化合物の水溶液は一般的に不安定な化合物で、室
温付近の温度では加水分解が進行して分解するという問
題があった。5℃以下で冷蔵保管すれば若干加水分解速
度を抑える事が出来るが十分とは言えないし、物流・保
管費用のコストアップともなる。本発明方法によれば、
所定の乾燥条件の元で高温でスプレードライして粉体化
する事によって室温付近の保存温度で数ヶ月間安定化さ
せる事ができる。それによって薬剤の加水分解による不
良品発生と廃棄処分が無くなるだけでなく、薬剤の備蓄
が可能となるので、生産計画が容易となる。また、物流
・保管が容易となるので国内販売の物流・保管コストが
低減できるだけでなく、海外への輸出が可能となる。排
水を発生しない本発明方法は環境に優しい製法でもあ
る。本系統の薬剤の不安定性は、本系統の薬剤を用いる
形態安定加工法・機能性付与加工法を工業化の軌道に乗
せる上でネックとなっていたが、本発明によって問題が
解決され、本格的に実用化される可能性が大きい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリハロゲノ−S−トリアジンとアルカ
    リ性化合物、水溶性アミン類、アルコール類、フェノー
    ル類或いはチオール類の1モルとを、中性乃至弱アルカ
    リ性水溶液中で反応させ、一般式(1)で表されるジハ
    ロゲノ−S−トリアジン系化合物の単独或いは混合物の
    水溶液としたあと、アルカリ性物質及び/又は緩衝剤を
    添加して一定の範囲内にPHを調整、安定化した上で、
    粉体製品の水分を所定の範囲内に制御しながら高温でス
    プレードライして粉体化する事を特徴とする安定化され
    たジハロゲノ−S−トリアジン系化合物の製法。 (式中Xは塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子を意味
    する。Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チ
    オール基、4級アミノ基等の親水性置換基を少なくとも
    1個以上を有するアリールアミノ基、アリールオキシ
    基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコ
    キシ基、アルキルチオ基等の親水性置換基を有する置換
    基を意味するか、或いは、ヒドロキシ基、チオール基等
    のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を意味するか、
    或いは、親水性置換基を有するトリアジニルオキシ基、
    トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジ
    ニルアミノスチルベンアミノ基などの親水性置換基を意
    味する)
  2. 【請求項2】請求項1におけるPH調整範囲として7.
    5〜9.5好ましくは8.0〜9.0に調整した上でス
    プレードライする事を特徴とするジハロゲノ−S−トリ
    アジン系化合物を粉体化する事によって安定化された繊
    維改質薬剤の製法。
  3. 【請求項3】請求項1におけるPH調整用アルカリ性物
    質及び/又は緩衝剤として弱酸とその共役塩基の混合物
    を使用してPHを7.5〜9.5好ましくは8.0〜
    9.0に調整した上でスプレードライする事を特徴とす
    るジハロゲノ−S−トリアジン系化合物を粉体化する事
    によって安定化された繊維改質薬剤の製法。
  4. 【請求項4】請求項1において、親水性のジハロゲノ−
    S−トリアジン系化合物の単独或いはその混合物の水溶
    液のPHを調整・安定化した上でスプレードライするに
    当たって、乾燥製品の水分を6%以下に制御する事を特
    徴とする粉体化され安定化された高純度ジハロゲノ−S
    −トリアジン系化合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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