JP2003176237A - ペプチドを有効成分とする糖尿病の治療用医薬 - Google Patents

ペプチドを有効成分とする糖尿病の治療用医薬

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インスリン活性を有する真性糖尿病の治療剤
を提供する。 【解決手段】 Leu−Glu−Asn−Tyr−Cy
s−Asn、アセチル−Leu−Glu−Asn−Ty
r−Cys−Asn、およびTyr−Gln−Leu−
Glu−Asn−Tyr−Cys−Asn、よりなる群
から選ばれた少なくとも一種のペプチドを有効成分とし
て含有する糖尿病の治療用医薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインスリン活性を有する
ペプチドを有効成分とする真性糖尿病の治療剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インスリンは2種のポリペプチド鎖、す
なわち21個のアミノ酸残基を含有するA鎖および30
個のアミノ酸残基を有するB鎖からなる。A鎖およびB
鎖は2つのジスルフィド橋で一緒に連結されている。す
なわちA7位およびB7位のシステイン残基並びにA2
0位およびB19位のシステイン残基が一緒に結合して
いる。A6とA11との間には第3のジスルフィド橋が
存在している。動物およびヒトインスリンはプレプロイ
ンスリンの形態で膵臓において産生される。ヒトプレプ
ロインスリンは例えば86個のアミノ酸残基を有するプ
ロインスリンの結合した24個のアミノ酸残基含有プレ
ペプチドからなっていて、以下の配置:プレペプチド−
B−Arg−Arg−C−Lys−Arg−A(ここで
Cは31個の残基からなるアミノ酸鎖である)を有す
る。ランゲルハンス島からの排出中にプレペプチドは分
裂してプロインスリンになる。最後にC鎖がタンパク質
分解により開裂して活性なヒトインスリンを産生する。
【0003】インスリンはインスリン感受性組織に多く
の作用を及ぼす。1つの顕著な作用は、インスリンが使
用される場合の哺乳類におけるグルコースレベルの迅速
な減少である。これにより筋細胞および脂肪細胞は血液
からグルコースを迅速に吸収するようになる。さらにイ
ンスリンはグリコーゲンシンテターゼを活性化し、脂肪
加水分解を阻止する。インスリンはアミノ酸からのタン
パク質合成を促進し、グリコキナーゼおよびホスホフル
クトキナーゼの誘発を高めそしてある種のグルコース新
生酵素例えばピルベートカルボキシラーゼおよびフルク
トースジホスファターゼの生成を阻止する。
【0004】II型糖尿病である非インスリン依存性糖尿
病は、末梢組織例えば筋肉または脂肪組織のインスリン
抵抗性に関与している。グルコース利用で生ずるこの減
少は、グルコース輸送過程およびそれに続く代謝過程の
インスリン刺激欠除によって生起される。この多重抵抗
性はレセプターまたはポスト−レセプターレベルにおけ
る、すなわち2次メッセンジャー産生前の欠損を示唆し
ている(Garvey, Diabetes/Metabolism Reviews, 5,
(1989), 727〜742参照)。
【0005】
【発明の構成】本発明によれば意外なことに、短ペプチ
ドがインスリン活性を有することができ、真性糖尿病の
治療に適しているということが見出された。
【0006】〔医薬組成物〕すなわち、本発明は、ペプ
チドLeu−Glu−Asn−Tyr−Cys−As
n、アセチル−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cy
s−Asn、およびTyr−Gln−Leu−Glu−
Asn−Tyr−Cys−Asn、よりなる群から選択
される少なくとも1種のペプチドを含有する糖尿病治療
のための医薬組成物に関する。
【0007】本明細書中において、アミノ酸は一般的な
慣用法で略記される(Schroeder, Luebke, The Peptide
s, Volume I, New York 1965, pages XXII−XXIII; Hou
ben-Weyl, Methoden der Org. Chemie (Methods of Or
g. Chemistry) Volume XV/1 and 2 Stuttgart 1974参
照)。
【0008】本発明にかかるペプチドはペプチド化学の
一般的手法に従ってC−末端から段階的にまたは各セグ
メントの結合により製造される(Houben-Weyl, Methode
n der Organischen Chemie, Volume 15/1,2参照)。ペ
プチド結合は例えば活性エステル、アジドを経る混合無
水物法によりまたはカルボジイミド法によって、特に反
応速度を増加しかつラセミ化を防止する物質例えば1−
ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシ
ンイミド、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒ
ドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン、N−ヒドロキシ−
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドを用
い、さらにまた1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの活
性誘導体またはリン酸、ホスホン酸およびホスフィン酸
の無水物を用いて−10℃と溶媒の沸点との間の温度好
ましくは−5℃〜40℃で実施されうる。
【0009】上記反応のために適当な溶媒はジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドンまたはジメチルスルホキシドである。さらにまた、
各成分の溶解性から可能である場合には例えばメチレン
クロライド、クロロホルムまたはテトラヒドロフランの
ような溶媒を用いることも可能である。これらの各方法
は例えばMeienhofer-Gross: “The Peptides" Academic
Press, Vol. I (1979)に記載されている。
【0010】必要により、副反応を防止するためまたは
特定のペプチド合成のために、アミノ酸側鎖中の官能基
はさらに適当な保護基により保護される(例えばT.W.Gr
eene, “ Protective Groups in Organic Synthesis"
参照)が、主として用いられるのは下記のとおりであ
る。
【0011】Arg(Tos)、Arg(Mts)、A
rg(Mtr)、Arg(PMC)、Asp(OBz
l)、Asp(OBut)、Cys−(4−MeBz
l)、Cys(Acm)、Cys(SBut)、Glu
(OBzl)、Glu(OBut)、His(Tos)、
His(Fmoc)、His(Dnp)、His(Tr
t)、Lys(Cl−Z)、Lys(Boc)、Met
(O)、Ser(Bzl)、Ser(But)、Thr
(Bzl)、Thr(But)、Trp(Mts)、T
rp(CHO)、Tyr(Br−Z)、Tyr(Bzl)また
はTyr(But)。
【0012】アミノ保護基として使用するのが好ましい
のは、接触水添により除去されうるベンジルオキシカル
ボニル(Z)基、弱酸により除去されうる2−(3,5
−ジメチルオキシフェニル)−2−プロピルオキシカル
ボニル(Ddz)基またはトリチル(Trt)基並びに
第2アミンにより除去されうる9−フルオレニルメチル
オキシカルボニル(Fmoc)基である。システインの
SH基は多数の保護基により遮断されうる。これに好ま
しいのはトリチル(Trt)基およびS−tert−ブ
チル(StBu)基である。該トリチル基を沃素酸化に
より除去するとシステイン化合物が生成され、または該
基を還元酸性分裂により除去するとシステイン化合物が
得られる(Liebigs Ann. Chem. 1979, 227〜247)。
【0013】他方、S−tert−ブチル基はトリブチ
ルホスフィンによる還元分裂に付すのが最もよい(Aus
t. J. Chem. 19 (1966) 2355〜2360)。側鎖中のOHお
よびCOOH官能基は、酸で除去されうるtert−ブ
チル(tBu)基により保護するのが最もよい(これに
ついてもまたMeienhofer-Gross: “ The Peptides" ,Vo
l. 3参照)。
【0014】医薬組成物は約3.0〜9.0好ましくは約
5.0〜8.5のpHを有する注射用の溶液または懸濁液で
あるのが好ましく、該組成物は適当な等張化剤、適当な
保存剤および適切な場合には適当な緩衝剤および適切な
場合にはさらにまたデポー主剤(principle)を含有す
るが、勿論全ては滅菌水性溶液または懸濁液状態で存在
する。活性物質を別とした組成物成分の全体は該組成物
ビヒクルを形成する。
【0015】適当な等張化剤の例にはグリセロール、グ
ルコース、マンニトール、NaCl、カルシウムまたは
マグネシウム化合物例えばCaCl2またはMgCl2
ある。
【0016】適当な保存剤の例にはフェノール、m−グ
レゾール、ベンジルアルコールおよび/またはp−ヒド
ロキシ安息香酸エテスルがある。
【0017】特に約5.0〜8.5のpHに調整するのに使
用できる緩衝物質の例には酢酸ナトリウム、クエン酸ナ
トリウム、リン酸ナトリウム等がある。あるいはまた生
理学的に許容しうる希酸(代表的にはHCl)またはア
ルカリ(代表的にはNaOH)もpHの調整に適当であ
る。
【0018】また本発明組成物の作用プロフィルを変更
させるために、修飾(EP−B 132 769およびE
P−B 132 770参照)および/または未修飾イン
スリン好ましくはウシ、ブタまたはヒトインスリン特に
好ましくはヒトインスリンを混合することも可能であ
る。
【0019】医薬組成物はLeu−Glu−Asn−T
yr−Cys−Asn、アセチル−Leu−Glu−A
sn−Tyr−Cys−Asn、およびTyr−Gln
−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Asnよ
りなる群から選ばれた少なくとも一種のペプチドを、適
切な場合には修飾および/または未修飾インスリンまた
はその誘導体とともに、生理学的に許容しうるビヒクル
とともに、並びに適切な場合には適当な添加剤および補
助剤とともに一緒に用いて適当な剤形に変換することに
よって調製される。
【0020】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0021】〔ペプチド製造実施例〕 実施例1 アセチル−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−
Asn−OH ジメチルホルムアミド30ml中に溶解したH−Leu−
Glu(OtBu)−Asn−Tyr(tBu)−Cy
s(Trt)−Asn−OtBu・トリフルオロアセテ
ート(Liebigs Ann. Chem. 1979, 243)2.0g(1.5
6ミリモル)の溶液にN−エチルモルホリン0.4mlお
よびアセチル−N−ビトロキシスクシンイミド0.53
gを加えた。室温で4時間反応させた後に混合物を高真
空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル中に溶解し、飽和
NaHCO3溶液、KHSO4溶液および水で順次振とう
することにより抽出した。これより沈殿が得られ、それ
を吸引濾去した。収量:1.3g。酢酸エチル相をNa2
SO4で乾燥しついで濃縮した。残留物をジエチルエー
テルで摩砕し、吸引濾過した。収量:0.8g。全収
量:2.1g(>100%)。
【0022】前記で得たAc−Leu−Glu(OtB
u)−Asn−Tyr(tBu)−Cys(Trt)−
Asn−OtBuの純粋バッチ1.3g(約1.07ミリ
モル)を、トリフルオロ酢酸30mlおよびエチルメルカ
プタン30mlの混合物中に溶解した。4時間の反応時間
の経過後に混合物を水300ml中に入れ、その水溶液を
ジエチルエーテルで3回抽出した。水性相は凍結乾燥し
た。収量:740mg(87%)。 C3348813S(796.86) 〔α〕23 D=−25.1°(c=1、水中)
【0023】実施例2 H−Tyr(But)−Gln−Leu−Glu(OB
t)−Asn−Tyr(But)−Cys(Trt)−
Asn−OBut・HBr(7・HBr)の合成 2a. Ddz−Tyr(But)−Gln−ONb
(16) N,N−ジメチルホルムアミド100ml中に溶解したD
dz−Tyr(But)−OH 25.24g(55ミリ
モル)、H−Gln−ONb・HCl 15.88g(5
0ミリモル)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
水和物6.75gの溶液にN−エチルモルホリン6.4ml
(50ミリモル)およびジシクロヘキシルカルボジイミ
ド10.5gを−3℃で加えた。混合物を0℃で1時間
次に室温で6時間撹拌させついで室温で一夜放置した。
沈殿を吸引濾去し、濾液を濃縮した。得られた油状物を
酢酸エチル中に溶解し、溶液をNaHCO3溶液、クエ
ン酸塩緩衝液(pH3)および水で順次洗浄し、Na2
4で乾燥しついで濃縮した。油状生成物を石油エーテ
ルで摩砕して粉末を得、それを吸引濾去した。次にそれ
を煮沸し、それぞれ100mlずつで3回ジイソプロピル
エーテルでデカンテーションした。それを最後に冷ジイ
ソプロピルエーテルで摩砕し、吸引濾去しそして石油エ
ーテルで洗浄した。収量:32.8g(91%)。 融点80〜90℃ 〔α〕22 D=+15.1°(c=1、メタノール中) C3746411(722.81) 計算値: C 61.48 H 6.41 N 7.75 実測値: C 61.3 H 6.7 N 7.9
【0024】2b. Ddz−Tyr(But)−Gl
n−OH・ジシクロヘキシルアミン メタノール500ml中に溶解した前記4aで得た16の
化合物32.5g(45ミリモル)の溶液に水5mlおよ
びPd/BaSO4を加え、水素化を7時間実施した。
次に触媒を吸引濾去し、濾液を濃縮した。残留油状物を
酢酸エチル250ml中に溶解した。これにジシクロヘキ
シルアミン11.3ml(55ミリモル)を加え、混合物
を3℃で数時間放置しついで沈殿を吸引濾去した。それ
を粉砕機中において酢酸エチルで摩砕し、吸引濾去しつ
いで真空乾燥した。収量:27g(78%)。 融点170〜171℃ 〔α〕23 D=+10.2°(c=1、メタノール中) C426449(769.0) 計算値: C 65.6 H 8.39 N 7.28 実測値: C 65.4 H 8.5 N 7.3
【0025】2c. Ddz−Tyr(But)−Gl
n−OH(17) Ddz−Tyr(But)−Gln−OH・ジシクロヘ
キシルアミン2.9g(3.7ミリモル)を酢酸エチルと
クエン酸塩緩衝液(pH=3)との間に分配した。酢酸エ
チル相を中性になるまで水洗し、Na2SO4で乾燥しつ
いで濃縮した。残留物は無定形の17の化合物であっ
た。収量:2g(90%)。 融点110〜115℃ 〔α〕22 D=+19.8(c=1、メタノール中) C304139(587.68) 計算値: C 61.31 H 7.03 N 7.15 実測値: C 60.6 H 7.2 N 7.0
【0026】2d. Ddz−Tyr(But)−Gl
n−Leu−Glu(OBut)−Asn−Tyr(B
t)−Cys(Trt)−Asn−OBut(18) 前記4c.の17の化合物9.7g(16.5ミリモ
ル)、実施例3の化合物19.2g(15ミリモル)お
よびHOBt 2.025g(15ミリモル)を室温で撹
拌してN,N−ジメチルホルムアミド30ml中に溶解し
た。混合物を0℃に冷却し、N−エチルモルホリン1.
95ml(15ミリモル)並びにN,N−ジメチルホルム
アミド9ml中におけるジシクロヘキシルカルボジイミド
3.3g(16ミリモル)の溶液を加え、その混合物を
0℃で1時間次に室温で4時間撹拌させついで室温で一
夜放置し、ジシクロヘキシル尿素を吸引濾去した。次に
それをそれぞれ4.5mlずつで2回N,N−ジメチルホル
ムアミドで洗浄した。濾液を撹拌下で飽和NaHCO3
溶液159ml中に流し入れ、粉末状沈殿が得られるまで
撹拌を続けた。これを吸引濾去し、クエン酸塩緩衝液
(pH3)で摩砕し、吸引濾去し、中性になるまで水洗し
ついで約0.1トルの下で乾燥した(収量23.1g)。
粗物質をほとんど蒸気浴上で沸騰するまで加熱し、希懸
濁液を3℃で一夜貯蔵し、沈殿を吸引濾去しついで酢酸
エチルおよびエーテルで洗浄した。収量20g(76.
8%)。〔α〕22 D=−10.2°(c=1、メタノール
中) この物質は205℃以上で分解し、約250℃で木炭化
した。アミノ酸分析:Asp 2.00;Glu 2.0
1;Cys 0.75;Leu 0.99;Tyr1.9
5。 C921231120S(1735.15) 計算値: C 63.68 H 7.15 N 8.88 S 1.85 実測値: C 62.0 H 7.2 N 8.6 S 2.1
【0027】2e. H−Tyr(But)−Gln−
Leu−Glu(OBut)−Asn−Tyr(But)−
Cys(Trt)−Asn−OBut・HBr(7・HB
r)前記で得た18の化合物3.5g(2ミリモル)を、
トリフルオロ酢酸1.75ml(20ミリモル)、水0.3
5mlおよびメチレンジクロライド33ml(1%の水を有
する5%トリフルオロ酢酸溶液約35ml)並びにアニソ
ール3.5mlの撹拌混合物中に溶解した。この混合物を
室温で3時間撹拌させ、ピリジン2ml(24.8ミリモ
ル)を加え、その混合物を約0.1トルの下で濃縮し
た。残留物をエーテルで摩砕し、吸引濾去し、エーテル
で洗浄し、乾燥し、水で摩砕し、吸引濾去し、水洗しつ
いでP25で乾燥した(収量3.35g)。さらに精製
するために、物質を暫時煮沸し、熱いうちにそれぞれ2
0mlずつの酢酸エチルで2回吸引濾過した。次にそれを
エーテルで洗浄した。収量 3.0g(92%)。融点
225〜265℃(分解) 〔α〕22 D=−20.2°(c=1、メタノール中) アミノ酸分析:Asp 1.97;Glu 2.00;Cy
s 0.61;Leu 1.00;Tyr 2.01 C80110BrN1116S(1593.8) 計算値:C 60.23 H 6.96 N 9.67 S 2.01 実測値:C 60.6 H 7.0 N 9.5 S 2.2
【0028】〔薬理実施例〕 実施例3 本発明ペプチドの生物活性はラットから解剖によって得
られた脂肪細胞および横隔膜の断片を用いて測定する。
「ヘキサペプチド」はアセチル−Leu Glu Asn
Tyr Cys Asn−OHを意味する。「ベースラ
イン」(baseline)の用語は刺激のない場合の活性を意
味し、インスリンはヒトインスリンを意味しそしてdp
mは1分間当たりの放射性壊変を意味する。「ペプチ
ド」の用語は本発明によりインスリン活性を有するペプ
チドを意味する。ラットの脂肪細胞は以下のようにして
調製した。
【0029】副睾丸の脂肪組織(Wistarラット、160
〜180g、給餌制限なし)をコラゲナーゼで消化し、
得られた個々の脂肪細胞を浮遊により数回洗浄する。
【0030】ラットからの横隔膜断片の調製:組織の小
断片(直径5mm)を、数回洗浄した半横隔膜(Wistarラ
ット、60〜70g、給餌制限なし)から打ち抜く。
【0031】下記の2種の試験によって、グルコースが
酸化(解糖、ペントースホスフェート経路)により代謝
されようがまたは酸化により代謝されないかに関係な
く、インスリンで刺激されることができかつ機能性イン
スリンシグナル透過カスケードおよびグルコース輸送を
必要とするグルコース吸収を測定する。ラクテートの産
生ではなくて脂質、グリコーゲンまたは膜不透過性中間
体(グルコース 6−ホスフェート)への変換が次に行
われる。
【0032】a) ラット脂肪細胞をインスリンまたは
ペプチドの存在または不在下でD−〔U−14C〕−グル
コース(D−グルコースの最終濃度22μM)とともに
インキュベートする。細胞をシリコーン油層を介しての
遠心分離により培地から分離しついで再び単離し、細胞
性放射能を測定する。
【0033】b) 横隔膜の断片をインスリンまたはペ
プチドの存在または不在下でD−〔U−14C〕−グルコ
ース(Dグルコースの最終濃度75μM)とともにイン
キュベートする。培地を完全に吸引する。各組織片を数
回洗浄し次いで放射能測定のためにアルカリ処理を行な
って可溶化する。結果は表1に示すとおりである。
【0034】
【表1】
【0035】実施例4 グルコース輸送 脂肪細胞および横隔膜の断片は実施例3のようにして調
製する。下記試験によって、グルコース輸送担体例えば
インスリンシグナル透過カスケードにより血漿膜を通過
してインスリンで刺激され得る特異的グルコース輸送
(促進拡散)を独占的に試験する。グルコース輸送にお
けるグルコース代謝のいずれもの作用は、非代謝性グル
コース類似体を用いることによって除外される。
【0036】a) ラット脂肪細胞をインスリンまたは
ペプチドの存在または不在下で2−デオキシ−D−〔1
3H〕−グルコース(D−グルコースの最終濃度0.2
mM)およびL−〔1−14C〕−グルコース(輸送不可
能)とともにインキュベートする。放射能(〔3H〕お
よび〔14C〕)を測定するために細胞を油層を介しての
遠心分離により培地から分離する。特異的な立体選択性
グルコース輸送は、総細胞結合放射能(〔3H〕−グル
コース)並びに拡散および非特異的作用によって会合さ
れた放射能(〔14C〕−グルコース)との間の差として
計算される。
【0037】b) 横隔膜の各断片をインスリンまたは
ペプチドの存在または不在下で2−デオキシ−D−〔1
3H〕−グルコース(D−グルコースの最終濃度0.1
mM)およびL−〔1−14C〕−グルコースとともにイン
キュベートする。各組織片をガラスファイバーフィルタ
ーでの迅速濾過により培地から分離しついで完全に洗浄
する。放射能をアルカリ性抽出物中で測定する。結果は
表2に示すとおりである。
【0038】
【表2】
【0039】実施例5 マウスの血中グルコースプロフィル 体重17〜21g(約30日令)のCharles River Wiga
Balb-C種の雌マウスに標準食を摂食させる。実験開始
前の16時間は食物を全く与えない。各実験グループ中
の5匹の動物に実施例2の化合物(オクタペプチド)の
水溶液(pH6)を静脈内投与する。動物1匹当たり0.
3mlの容量を投与する。
【0040】表3には、対照グループ(5匹の動物、緩
衝溶液pH6.0;動物1匹あたり投与される容量0.3m
l)および本発明のオクタペプチド投与の動物との間の
差の百分率としての血中グルコースレベルが示されてい
る。
【0041】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヴオルフガング・ケーニヒ ドイツ連邦共和国デー−6238ホフハイム・ アム・タウヌス.エプシユタイナーシユト ラーセ25 (72)発明者 ギユンター・ミユラー ドイツ連邦共和国デー−6230フランクフル ト・アム・マイン.ノイツアイルスハイム 38 Fターム(参考) 4C084 AA01 AA02 BA01 BA17 BA23 CA59 DB34 MA02 MA17 MA23 MA66 NA05 NA14 ZC352 ZC752 4H045 AA30 BA14 BA15 DA37 EA20 EA27 EA30 FA30 FA32 FA44 FA58 FA59 FA60 FA61 GA05 HA02 HA03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Leu−Glu−Asn−Tyr−Cy
    s−Asn、 アセチル−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−
    Asn、およびTyr−Gln−Leu−Glu−As
    n−Tyr−Cys−Asn、よりなる群から選ばれた
    少なくとも一種のペプチドを有効成分として含有する糖
    尿病の治療用医薬。
  2. 【請求項2】 少なくとも1種の修飾または未修飾イン
    スリンまたはその誘導体を含有する請求項1記載の糖尿
    病の治療用医薬。
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