JP2003173569A - 光学的情報記録媒体 - Google Patents

光学的情報記録媒体

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JP2003173569A
JP2003173569A JP2001372306A JP2001372306A JP2003173569A JP 2003173569 A JP2003173569 A JP 2003173569A JP 2001372306 A JP2001372306 A JP 2001372306A JP 2001372306 A JP2001372306 A JP 2001372306A JP 2003173569 A JP2003173569 A JP 2003173569A
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JP2001372306A
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Nobuaki Onaki
伸晃 小名木
Yasutomo Aman
康知 阿萬
Shiyouzou Murata
省蔵 村田
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐湿性,耐摺動性に優れた表面記録型の光学
的情報記録媒体を提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルム(PET)のフレ
キシブル基板1に反射層2としてAg−2mol%Cu
合金を30nm成膜した上に、第1保護層3として窒化
シリコンを8nm形成する。次に、光磁気型の記録層4
として希土類遷移金属合金であるTbFeCoを10n
m形成し、この記録層4の上に、第2保護層(最表面保
護膜)5として、窒化シリコン−窒化チタン混合膜を3
0nm形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に、例えば
相変化記録型あるいは光磁気記録型の記録膜が形成さ
れ、さらに、この記録膜上に保護膜が形成されて、この
保護膜側から光を入射させて情報の記録および/または
再生が行われる表面記録型の光学的情報記録媒体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、テレビ放送のデジタル化が始まる
など、大容量のデジタルデータを記録することが光ディ
スクに求められている。光ディスクの高密度化のための
手法のうち、基本的な方法は記録/再生のための光のス
ポット径を小さくすることである。このためには、記録
/再生のために用いられる光の波長を短く、かつ対物レ
ンズの開口数NAを大きくすることが有効である。光の
波長についてはCD(compact disk)では近赤外光の7
80nm、DVD(digital versatile disk)では赤色
光の650nm近傍の波長が用いられている。最近、青
紫光の半導体レーザが開発され、今後は400nm近傍
のレーザ光が使用されると予想される。
【0003】また、対物レンズについては、CD用は開
口数(NA)0.5未満であったが、DVD用はNA
0.6程度である。今後、さらにNAを大きくしてNA
0.7以上とすることが求められる。しかし、対物レン
ズのNAを大きくすること、および光の波長を短くする
ことは、光を絞るときに収差の影響が大きくなることで
もある。したがって、光ディスクのチルトに対するマー
ジンが減ることになる。また、NAを大きくすることに
よって焦点深度が小さくなるため、フォーカスサーボ精
度を上げなくてはならない。
【0004】さらに、高NAの対物レンズを使用するこ
とによって、対物レンズと光ディスクの記録面との距離
が小さくなってしまうため、光ディスクの面ぶれを小さ
くしておかないと、始動時のフォーカスサーボを引き込
む直前、対物レンズと光ディスクとが衝突することがあ
り、ピックアップの故障の原因となる。
【0005】短波長,高NAの大容量光ディスクとし
て、例えばO PLUS E(vol.20 No.2)
の183ページに示されているように、CDと同程度に
厚く剛性の大きい基板に記録膜を成膜し、記録/再生用
の光を基板を通さずに、薄いカバー層内を通して記録膜
に対して記録/再生する構成のシステムが提案されてい
る。
【0006】一方、特開平7−105657号公報,特
開平10−308059号公報などには、平面をもつ安
定化板上で可撓性を有する光ディスクを回転させて、光
ディスクにおける面ぶれを安定化させる装置が提案され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】今後、光ディスクにお
いて極限までの大容量化を目標とすると、収差低減の観
点で記録膜上に透明基板、あるいはカバー層がまったく
ない表面記録型が望ましいと考えられる。また、表面に
カバー層を形成することは、欠陥の増加など好ましいこ
とではない。
【0008】しかし、CD−RWなどのZnS−SiO
保護膜は、柔らかいために紫外線硬化樹脂のカバー層
を設けないと、何かに多少接触,摺動しただけで傷が付
くという問題がある。
【0009】また光磁気ディスクで用いられているSi
保護膜は硬いが脆いために、可撓性を有する光デ
ィスクのように基板を曲げながら用いる使い方の場合に
は、膜にクラックを発生させるおそれがある。このこと
は、膜厚の厚い光入射側の保護膜で顕著である。
【0010】本発明の目的は、前記従来技術の課題に鑑
みて、耐湿性,耐摺動性に優れた表面記録型の光学的情
報記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、基板上に記録膜が形成さ
れ、この記録膜上に保護膜が形成され、この保護膜側か
ら光を入射させて情報の記録および/または再生が行わ
れる光学的情報記録媒体において、前記保護膜における
最表面層を窒化シリコン中に窒化チタンが分散した材料
で形成したことを特徴とし、この構成によって、硬く、
緻密であって耐摺動性に優れる窒化シリコンの特性に、
さらに窒化チタンを分散することによって窒化シリコン
に欠けている靭性を大きくすることができるため、機械
的強度を維持したままで靭性が向上し、かつ膜応力を減
少させることができ、窒化シリコンが有する優れた耐水
保護性能および耐摺動性能を保持したままで膜浮きなど
を少なくすることができる。
【0012】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
光学的情報記録媒体において、基板として、可撓性を有
する材料からなるものを用いたことを特徴とし、この構
成によって、基板変形を繰り返す可撓性を有するディス
ク、すなわちフレキシブルディスクに実施したとき、窒
化シリコン−窒化チタン混合体の性質がより良く発揮さ
れ、窒化シリコン−窒化チタン保護膜の特性が最大限に
発揮される。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2記載の光学的情報記録媒体において、基板の材料をポ
リエチレンテレフタレートとし、この基板上に、銀合
金,窒化シリコン,希土類遷移金属合金,窒化シリコン
−窒化チタン混合体の各層を順に形成したことを特徴と
し、この構成によって、光吸収の大きな窒化チタンの影
響を小さくするために、表面側の保護層を2層に分けて
最表面のみを窒化チタン混合層としたことにより、ディ
スクの反射率を大きくすることができ、ディスクの信号
再生能力(性能指数)を大きくすることができる。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項1または
2記載の光学的情報記録媒体において、基板の材料をポ
リエチレンテレフタレートとし、この基板上に、銅合
金,窒化シリコン,希土類遷移金属合金,窒化シリコン
−窒化チタン混合体の各層を順に形成したことを特徴と
し、この構成によって、反射層をCu合金とすることに
より、反射層の熱伝導率はAgにせまるものとしなが
ら、反射層の靭性をAgより大きくすることができて、
膜浮きに起因するエラーを小さくできる。
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項1または
2記載の光学的情報記録媒体において、基板の材料をポ
リエチレンテレフタレートとし、この基板上に、Al−
Mo混合体,窒化シリコン,希土類遷移金属合金,窒化
シリコン−窒化チタン混合体の各層を順に形成したこと
を特徴とし、この構成によって、反射層をAl−Mo合
金とすることにより、反射層の靭性をAgより大きくす
ることができて、膜浮きに起因するエラーを小さくでき
る。
【0016】請求項6に記載の発明は、請求項3〜5い
ずれか1項記載の光学的情報記録媒体において、希土類
遷移金属合金層と窒化シリコン−窒化チタン混合体層の
間に窒化シリコンの層を介在させたことを特徴とし、こ
の構成によって、記録層である希土類遷移金属合金層に
対する保護機能を向上させることができる。
【0017】請求項7に記載の発明は、請求項1または
2記載の光学的情報記録媒体において、基板の材料をポ
リエチレンテレフタレートとし、この基板上に、Al−
Mo混合体,ZnS−SiO,相変化型合金,ZnS
−SiO,窒化シリコン−窒化チタン混合体の各層を
順に形成したことを特徴とし、この構成によって、反射
層をAl−Mo合金とすることにより、反射層の靭性を
Agより大きくすることができて、膜浮きに起因するエ
ラーを小さくできる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて図面を参照しながら説明する。
【0019】図1は本発明の第1実施形態を説明するた
めの光磁気型のフレキシブル光ディスクの一部を示す断
面図であり、シート状のフレキシブル基板1の上に情報
記憶層を構成する4層の膜2,3,4,5が形成されて
いる。該光ディスクでは、記録/再生時に、フレキシブ
ル基板1とは反対側の最表面側の層5から入射光が入
る。
【0020】以下に第1実施形態の光磁気型のフレキシ
ブル光ディスクにおける形成方法を説明する。
【0021】 直径120mm、厚さ100μmのポ
リエステルフィルム(PET)のフレキシブル基板1
に、熱転写によって、トラックピッチ0.66μm、グ
ルーブ幅0.33μm、深さ30nmのスパイラル溝を
形成した。
【0022】 フレキシブル基板1に対して、最初
に、反射層2としてAg−2mol%Cu合金を30n
m成膜した。
【0023】 次に、第1保護層3として窒化シリコ
ンを8nm形成した。これは、例えばシリコンターゲッ
トをアルゴンと窒素の混合ガスで反応性スパッタリング
で形成した。
【0024】 次に、光磁気型の記録層4として希土
類遷移金属合金であるTbFeCoを10nm形成し
た。
【0025】 記録層4の上に、第2保護層(最表面
保護膜)5として、窒化シリコン−窒化チタン混合膜を
30nm形成した。窒化シリコン−窒化チタン混合膜の
組成はSi:Tiの原子数の比で7:3とした。窒化シ
リコン−窒化チタン混合膜は、シリコンとチタンの混合
体ターゲットを使用し、アルゴン−窒素混合ガス中で反
応性スパッタリングすることで形成した。窒化シリコン
は膜応力の大きな膜であるが、混合体としたことで応力
が小さくなった。このことは成膜後のシート基板のそり
が、窒化シリコンのみに比べて小さくなったことでも分
かる。
【0026】そして、この無機層の上には紫外線硬化樹
脂などのカバー層は一切設けないで、フレキシブル光デ
ィスクとした。
【0027】図3は本発明に係る光ディスクの特性評価
を行うための光学的情報記録/再生装置の概略構成図で
あり、11は本発明に係る可撓性を有するシート状の光
ディスク、12は光ディスク11のハブ13を保持する
スピンドルシャフト、14はスピンドルシャフト12を
回転駆動するスピンドルモータ、15は、対物レンズ1
6が設置され、光ディスク11に対して情報の書き込み
を行う記録手段および書き込まれた情報の読み取りを行
う再生手段としての光ピックアップ、17は光ピックア
ップ16を光ディスク11の半径方向へ移動させるピッ
クアップ用位置決め機構、18は、光ディスク11を介
して光ピックアップ16に対向設置され、ベルヌーイの
法則に基づく空気流を発生させて光ディスク11の面ぶ
れを防止するための安定化ガイド部材、19は安定化ガ
イド部材18を光ピックアップ16と連動して光ディス
ク11の半径方向へ移動させる安定化ガイド用位置決め
機構、20は前記各構成部材を収納する装置本体であ
る。
【0028】前記光学的情報記録/再生装置に第1実施
形態において、スピンドルシャフト12に光ディスク1
1をセットして3600rpmで回転させ、光ビーム波
長405nm,対物レンズNA0.85の光ピックアッ
プ16で1−7変調したランダムデータを記録して、そ
のジッターを検査して記録/再生特性を評価した。記録
密度は0.2μm/bitである。
【0029】光ディスク11の耐久性評価は、光ディス
ク11を、気温80℃、湿度85%RHの環境下に50
0時間放置した後、3600rpmで回転させ、安定化
ガイド部材18でベルヌーイの法則による安定化状態に
して放置した。そして、連続再生回数が約1000万回
に達する47時間後に再生信号のチェックを行い、光学
的情報記録/再生装置から取り外して記録面の表面を観
察した。
【0030】その結果、試験後のエラー率の増加は約4
0%であった。しかし、バースト的な大きな劣化ではな
かった。したがって、エラー訂正可能な範囲であった。
また、目視でも膜のクラック発生は認められなかった。
【0031】次に本発明の第2実施形態の光磁気型のフ
レキシブル光ディスクの形成方法について説明する。
【0032】 直径120mm、厚さ65μmのポリ
エステルフィルム(PET)のフレキシブル基板1に、
熱転写によってトラックピッチ0.66μm、グルーブ
幅0.33μm、深さ30nmのスパイラル溝を形成し
た。
【0033】 フレキシブル基板1に対して、最初
に、反射層2としてCu−1mol%Mg合金を30n
m成膜した。
【0034】 次に、第1保護層3として窒化シリコ
ンを8nm形成した。これは、シリコンターゲットをア
ルゴンと窒素の混合ガスで反応性スパッタリングで形成
した。
【0035】 次に、光磁気型の記録層4としてTb
FeCoを10nm形成した。
【0036】 記録層4の上に、第2保護層(最表面
保護膜)5として、窒化シリコン−窒化チタン混合膜を
30nm形成した。窒化シリコン−窒化チタン混合膜の
組成はSi:Tiの原子数の比で8:2とした。窒化シ
リコン−窒化チタン混合膜は、シリコンとチタンの混合
体ターゲットを使用し、アルゴン−窒素混合ガス中で反
応性スパッタリングすることで形成した。
【0037】そして、この無機層の上には紫外線硬化樹
脂などのカバー層は一切設けないで、フレキシブル光デ
ィスクとした。
【0038】この第2実施形態の光ディスクを、第1実
施形態にて説明したと同様にして、青色光を用いた光学
的情報記録/再生装置にてランダムデータを記録し、高
温高湿試験を行い、連続再生試験を行った。その結果、
試験後のエラー率の増加は約20%であり、バースト的
な大きな劣化はなかった。また、目視でも膜のクラック
発生は認められなかった。
【0039】反射放熱機能を有する反射層2に使用され
るCu合金は、Ag系に比べて柔らかい膜であり靭性が
大きい。このため、反射層2の機械的な劣化が小さく膜
浮きなどの劣化が抑制され、第1実施形態に比べてエラ
ー増加が少なくなっていると考えられる。ただし、Ag
合金からなる反射層の方が高反射率となり、ディスクの
初期特性としては好ましい。
【0040】次に本発明の第3実施形態の光磁気型のフ
レキシブル光ディスクの形成方法について説明する。
【0041】 直径120mm、厚さ65μmのポリ
エステルフィルム(PET)のフレキシブル基板1に、
熱転写によって、トラックピッチ0.66μm、グルー
ブ幅0.33μm、深さ30nmのスパイラル溝を形成
した。
【0042】 フレキシブル基板1に対して、最初
に、反射層2としてAl−5mol%Mo合金を50n
m成膜した。
【0043】 次に、第1保護層3として窒化シリコ
ンを8nm形成した。これは、シリコンターゲットをア
ルゴンと窒素の混合ガスで反応性スパッタリングで形成
した。
【0044】 次に、光磁気型の記録層4としてTb
FeCoを10nm形成した。
【0045】 記録層4の上に、第2保護層(最表面
保護膜)5として、窒化シリコン−窒化チタン混合膜を
30nm形成した。窒化シリコン−窒化チタン混合膜の
組成はSi:Tiの原子数の比で8:2とした。窒化シ
リコン−窒化チタン混合膜は、シリコンとチタンの混合
体ターゲットを使用し、アルゴン−窒素混合ガス中で反
応性スパッタリングすることで形成した。
【0046】そして、この無機層の上には紫外線硬化樹
脂などのカバー層は一切設けないで、フレキシブル光デ
ィスクとした。
【0047】この第3実施形態の光ディスクを、第1,
2実施形態にて説明したと同様にして、青色光を用いた
光学的情報記録/再生装置にてランダムデータを記録
し、高温高湿試験を行い、連続再生試験を行った。その
結果、試験後のエラー率の増加は約10%であり、バー
スト的な大きな劣化はなかった。また、目視でも膜のク
ラック発生は認められなかった。
【0048】反射放熱機能を有する反射層2に使用され
るAl合金は、Ag系に比べて柔らかい膜であり靭性が
大きい。このため、CD−RWやMOディスクでは、A
l合金としてAl−Ti系,Al−Cr系などが用いら
れるが、本実施形態のAl−Mo系は膜浮きが生じ難い
という点で優れていた。このため、反射層2の機械的な
劣化が小さく膜浮き、あるいは腐食などの劣化が抑制さ
れ、第1実施形態に比べてエラー増加が少なくなってい
ると考えられる。ただし、Ag合金からなる反射層の方
が熱伝導率が大きいため、第3実施形態では膜厚を厚く
することで熱伝導を大きくして補償するようにした。
【0049】なお、前記第1〜3実施形態の積層構成に
おいて、記録層4と第2保護層5との間に、保護層とし
て窒化シリコンを介在させることで、さらに保護機能を
向上させることも考えられる。
【0050】前記第1〜3実施形態のように、記録層4
が希土類遷移金属合金から構成される光磁気型光ディス
クにおいては、記録時に記録層4を昇温して、磁化を弱
くし、外部磁界で記録用マークを形成するものであり、
記録時の温度は200℃程度であって相変化型光ディス
クよりも低い。このため光磁気型光ディスクの場合、記
録層4の両側に設けられる保護層3,5の熱伝導の程度
にかかわらず、記録特性は余り変化しない。
【0051】したがって、保護層3,5としては、保護
特性,光学的特性のみを考慮した保護層の材料,構造を
選択することができ、記録温度が低いため、特に第2記
録層5が薄くても問題がなく、このため第2記録層5と
して窒化シリコン−窒化チタン混合膜のみを光入射側に
設置するようにしても不具合の発生はなく、前記第1〜
3実施形態のように、シート状のフレキシブル基板1の
上に、反射層2,第1保護層3,記録層4,第2保護層
5とからなる4層のみを設置する構成であっても問題は
ない。
【0052】しかしながら、記録層がGeTe,SbT
eなどの相変化型合金から構成される相変化型光ディス
クにおいては、記録層を昇温させ、相変化型合金を溶融
させて冷やし、この冷やすときの速度が大である場合に
非結晶化し、その速度が小の場合に結晶化することで相
変化が生じる。すなわち、冷却速度の大小にて記録が行
われる。このときの融点温度は500〜600℃であっ
て、前記光磁気ディスクの記録温度よりも高い。
【0053】このため、相変化型光ディスクにおいて
は、光磁気型光ディスクと異なり、記録層に隣接する両
側の層として、熱を貯めるために低熱伝導の保護層が必
要となる。このため、保護層としては第1〜3実施形態
で採用した窒化シリコン−窒化チタン混合合金は比較的
熱伝導率が高く不適当であって、この点に対する考慮が
必要になる。
【0054】図2は本発明の第4実施形態である相変化
型のフレキシブル光ディスクの一部を示す断面図であ
り、シート状のフレキシブル基板21の上に情報記憶層
を構成する5層の膜22,23,24,25,26が形
成されている。
【0055】以下に形成方法を説明する。
【0056】 直径120mm、厚さ65μmのポリ
エステルフィルム(PET)のフレキシブル基板21
に、熱転写によって、トラックピッチ0.66μm、グ
ルーブ幅0.33μm、深さ30nmのスパイラル溝を
形成した。
【0057】 フレキシブル基板21に、最初に、反
射層22としてAl−5mol%Mo合金を50nm成
膜した。
【0058】 次に、第1保護層23としてZnS−
SiOを10nm形成した。
【0059】 次に、相変化型の記録層24としてG
eTeを15nm形成した。
【0060】 次に、記録層24の上に、第2保護層
25としてZnS−SiOを30nm形成した。
【0061】 最後に、第3保護層(最表面保護膜)
26として、窒化シリコン−窒化チタン混合膜を10n
m形成した。窒化シリコン−窒化チタン混合膜の組成は
Si:Tiの原子数の比で7:3とした。窒化シリコン
−窒化チタン混合膜は、シリコンとチタンの混合体ター
ゲットを使用し、アルゴン−窒素混合ガス中で反応性ス
パッタリングすることで形成した。
【0062】上述したように、相変化型の光ディスクに
おける記録の場合、記録時にある程度の熱を記録層に蓄
積する必要があるため、記録層24である相変化層の両
隣には断熱型の材料が必要であって、第4実施形態で
は、記録層24の両側に機械特性には劣るが熱伝導率が
高いZnS−SiO(ZnS−SiOは窒化シリコ
ン−窒化チタン混合金属と比べて約10倍程度の熱伝導
率を有する)を用い、最表面に窒化シリコン−窒化チタ
ン混合膜を設けるようにした。
【0063】そして、この無機層の上には紫外線硬化樹
脂などのカバー層は一切設けないで、フレキシブル光デ
ィスクとした。
【0064】第4実施形態では、相変化追記型の光ディ
スクとして用いるため、記録層24のGeTeには、成
膜後のアモルファス状態を0、記録後の結晶状態を1と
して記録/再生を行う、いわゆるLow to Hig
h記録が行われる。
【0065】この第4実施形態の光ディスクを、第1〜
3実施形態にて説明したと同様にして、青色光を用いた
光学的情報記録/再生装置にてランダムデータを記録
し、高温高湿試験を行い、連続再生試験を行った。その
結果、試験後のエラー率の増加は約10%であり、バー
スト的な大きな劣化はなかった。また、目視でも膜のク
ラック発生は認められなかった。
【0066】反射放熱機能を有する反射層22に使用さ
れるAl−Mo合金は、Ag系に比べて柔らかい膜であ
り靭性が大きい。このため、CD−RWやMOディスク
では、Al合金としてAl−Ti系,Al−Cr系など
が用いられるが、第4実施形態のAl−Mo系は膜浮き
が生じ難いという点で優れていた。このため、反射層2
2の機械的な劣化が小さく膜浮き、あるいは腐食などの
劣化が抑制され、第1実施形態に比べてエラー増加が少
なくなっていると考えられる。ただし、Ag合金からな
る反射層の方が熱伝導率が大きいため、第4実施形態で
は膜厚を厚くすることで熱伝導を大きくして補償するよ
うにした。
【0067】なお、窒化シリコン−窒化チタン混合膜に
おいて窒化チタンに光の吸収性がある。このために窒化
チタンの混合比を大きくすると、ディスクの反射率が小
さくなっていく弊害がある。窒化チタンの比率はこの意
味で制限される。窒化シリコンに対する窒化チタンの添
加比率は、30原子%を超えれば、膜質の靭性向上の目
的は達せれるので、この範囲でディスク設計に応じ、添
加比率を適宜可変すればよい。
【0068】反射率があまり重要ではない場合には、窒
化チタンをできるだけ30原子%程度近くの多い量にす
る。一方、反射率の大きさが重要である場合には、その
範囲で適切な窒化チタン量にすればよい。
【0069】本実施形態の効果を考察するために、いく
つか比較例を比較検討した。
【0070】(比較例1)第1実施形態と同様な構成に
し、第2保護層5を純粋な窒化シリコンのみとした光デ
ィスクを作成し、保存試験,再生耐久試験を行い、外観
検査を行った結果、目視で判別できるような巨視的なス
ケールの膜浮き、クラックなどの欠陥が生じた。この比
較例1の光ディスクでは、記録/再生装置に搭載して行
うエラーの測定が無意味な状態であり、使用に耐えな
い。
【0071】これは第2保護層の窒化チタン添加の省略
がもたらした結果であるといえる。
【0072】(比較例2)第3実施形態と同様な構成に
し、反射層2をAl−1wt%Tiとした光ディスクを
作成し、保存試験,再生耐久試験を行った結果、エラー
率が初期の60%に増加した。第3実施形態における試
験結果は10%程度の増加であったから、かなり劣化し
たといえる。これは、Alへの添加物としてTiよりも
Moが優れていることを意味している。
【0073】(比較例3)第3実施形態と同様な構成に
し、反射層2をAl−2wt%Crとした光ディスクを
作成し、保存試験,再生耐久試験を行った結果、エラー
率が初期の40%に増加した。第3実施形態における試
験結果は10%程度の増加であったから、かなり劣化し
たといえる。これは、Alへの添加物としてCrよりも
Moが優れていることを意味している。
【0074】また、比較例2,3からは、普通のCDな
どでは純AlにTiあるいはCrを添加すると耐腐食性
が向上して、十分実用的であるが、紫外線硬化樹脂など
による保護、あるいは基板の繰り返し変形の応力が加わ
る環境下では、Moの添加が特に有効であると考えられ
る。
【0075】(比較例4)第1実施形態と同様の構成に
し、フレキシブル基板1の材料をポリイミド樹脂とした
光ディスクを作成し、保存試験,再生耐久試験を行った
結果、目視で判別できる巨視的なスケールの膜浮き、ク
ラックなどの欠陥が生じた。この理由としは、ポリイミ
ド樹脂は、基板材料としての耐熱性は優れているが、基
板と無機膜の付着力が弱く、このため膜浮きが発生しや
すいためである。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
記録膜上の保護膜における最表面層を、窒化シリコン中
に窒化チタンが分散した材料で形成したことにより、硬
く、緻密であって耐摺動性に優れる窒化シリコンの特性
に、さらに窒化チタンを分散することによって窒化シリ
コンに欠けている靭性を大きくすることができるため、
機械的強度を維持したままで靭性が向上し、かつ膜応力
を減少させることができ、窒化シリコンが有する優れた
耐水保護性能および耐摺動性能を保持したままで膜浮き
などを少なくすることができるなど、実際上の効果の大
なる光学的情報記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を説明するための光磁気
型のフレキシブル光ディスクの一部を示す断面図
【図2】本発明の第4実施形態である相変化型のフレキ
シブル光ディスクの一部を示す断面図
【図3】本発明に係る光ディスクの特性評価を行うため
の光学的情報記録/再生装置の概略構成図
【符号の説明】
1,21 フレキシブル基板 2,22 反射層 3,23 第1保護層 4,24 記録層 5,25 第2保護層 26 第3保護層(最表面保護膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 531 G11B 11/105 531D 531Q (72)発明者 村田 省蔵 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 5D029 KA09 KC10 LA16 LC12 LC13 LC21 MA13 5D075 FG01 FG04 FG15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に記録膜が形成され、この記録膜
    上に保護膜が形成され、この保護膜側から光を入射させ
    て情報の記録および/または再生が行われる光学的情報
    記録媒体において、前記保護膜における最表面層を窒化
    シリコン中に窒化チタンが分散した材料で形成したこと
    を特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記基板として、可撓性を有する材料か
    らなるものを用いたことを特徴とする請求項1記載の光
    学的情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記基板の材料をポリエチレンテレフタ
    レートとし、この基板上に、銀合金,窒化シリコン,希
    土類遷移金属合金,窒化シリコン−窒化チタン混合体の
    各層を順に形成したことを特徴とする請求項1または2
    記載の光学的情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記基板の材料をポリエチレンテレフタ
    レートとし、この基板上に、銅合金,窒化シリコン,希
    土類遷移金属合金,窒化シリコン−窒化チタン混合体の
    各層を順に形成したことを特徴とする請求項1または2
    記載の光学的情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記基板の材料をポリエチレンテレフタ
    レートとし、この基板上に、Al−Mo混合体,窒化シ
    リコン,希土類遷移金属合金,窒化シリコン−窒化チタ
    ン混合体の各層を順に形成したことを特徴とする請求項
    1または2記載の光学的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記希土類遷移金属合金層と前記窒化シ
    リコン−窒化チタン混合体層の間に窒化シリコンの層を
    介在させたことを特徴とする請求項3〜5いずれか1項
    記載の光学的情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記基板の材料をポリエチレンテレフタ
    レートとし、この基板上に、Al−Mo混合体,ZnS
    −SiO,相変化型合金,ZnS−SiO ,窒化シ
    リコン−窒化チタン混合体の各層を順に形成したことを
    特徴とする請求項1または2記載の光学的情報記録媒
    体。
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