JP2006252766A - 相変化光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】トラックピッチを狭小化してもクロスイレースを低減することができ、記録密度の高い相変化光記録媒体を提供する。
【解決手段】光照射により可逆的に記録・消去がなされる相変化記録膜と、前記相変化記録膜に対して光入射側に高屈折率誘電体膜、低屈折率誘電体膜および高屈折率誘電体膜を含む積層誘電体膜とを有し、前記低屈折率誘電体膜が、Si、OおよびCを含有しC濃度が0.1〜30[at.%]であるSiOC膜であることを特徴とする相変化光記録媒体。
【選択図】図2
【解決手段】光照射により可逆的に記録・消去がなされる相変化記録膜と、前記相変化記録膜に対して光入射側に高屈折率誘電体膜、低屈折率誘電体膜および高屈折率誘電体膜を含む積層誘電体膜とを有し、前記低屈折率誘電体膜が、Si、OおよびCを含有しC濃度が0.1〜30[at.%]であるSiOC膜であることを特徴とする相変化光記録媒体。
【選択図】図2
Description
本発明は、光ビームの照射により状態を可逆的に変化させて情報を記録する光記録媒体に関し、特に記録膜の原子配列が非晶質と結晶質の間を遷移する相変化光記録媒体に関する。
相変化光記録媒体の記録、消去、再生の原理は以下のとおりである。相変化記録膜は、光照射により一部が融点以上に加熱されるとその部分が溶融し、急激に冷却される際に非晶質の原子配列をとるので、その部分が記録されたことになる。また、相変化記録膜は、融点以下結晶化温度以上の温度領域に一定時間以上保持されると、初期状態が結晶の場合は結晶のままであるが、初期状態が非晶質の場合は結晶化するので、消去がなされる。このような相変化記録膜では、非晶質部位からの反射光強度と結晶部位からの反射光強度とが異なることから、反射光の強弱を電気信号の強弱に変換し、さらにA/D変換を行って情報を読み出すことができる。
相変化記録媒体の記録密度を増すためには以下の二通りの方法が考えられる。
一つは、トラック方向の記録マークのピッチを微細化する方法である。しかし、微細化の程度が進むと、再生ビームの大きさよりも記録マークが小さくなり、再生ビームスポット内に2つの記録マークが一時的に含まれる場合が生じる。このため、記録マークが互いに十分離れている場合には振幅の大きい信号が得られるが、記録マークが互いに近接している場合には振幅の小さい信号となり、デジタルデータへの変換の際にエラーを生じやすい。
一つは、トラック方向の記録マークのピッチを微細化する方法である。しかし、微細化の程度が進むと、再生ビームの大きさよりも記録マークが小さくなり、再生ビームスポット内に2つの記録マークが一時的に含まれる場合が生じる。このため、記録マークが互いに十分離れている場合には振幅の大きい信号が得られるが、記録マークが互いに近接している場合には振幅の小さい信号となり、デジタルデータへの変換の際にエラーを生じやすい。
もう一つの記録密度向上の方法は、トラックピッチを狭小化することである。この方法は、前記のマークピッチ微細化による信号強度低減の影響を大きく受けることなく、記録密度を上げることができる。しかし、この方法では、トラックピッチが光ビームの大きさに比べて同程度か小さい領域で、あるトラックの情報が、隣接したトラックへの書き込みまたは消去動作時に劣化してしまう、いわゆるクロスイレースが発生するという問題がある。
したがって、これらの問題を解決することが相変化光記録媒体の高密度化に必要である。
次世代DVDなどの光ディスク・ドライブ・システムにおいては、相変化光記録媒体に対してレーザー光のビーム径を回折限界近くまで絞ることによって上記の問題を解決することが1つの目標となっており、そのために種々の提案がなされている。しかし、可視光を使用する限り、光学的にビーム径を更に絞り込むことは望めない。ビーム径をさらに絞るために近接場光を使用することも検討されているが、近接場光を用いる光記録媒体は多くの問題点を含んでおり、未だ実用的な段階にはない。したがって、記録密度を向上させるためには、ビーム径を絞るのではなく、クロスイレースを低減することが事実上最善の手法と考えられる。
上述したクロスイレースが生じる原因は二つ考えられる。一つの原因は、隣接するトラックにビームを照射する際に、当該トラックにかかるビームの裾の光強度がすでにかなり大きく、光照射の効果だけで当該トラックの記録マークが劣化することである。もう一つの原因は、隣接するトラックが光ビームにより加熱された際に、発生した熱が膜面内方向の伝熱により当該トラックへも伝導し、その影響で記録マークの形状が劣化することである。
後者の原因によるクロスイレースは、膜面内方向の伝熱を低減することで影響を減らすことができるので、記録膜に近接して熱伝導率および/または熱容量の大きい膜を配置した構造(いわゆる急冷構造)を採用し、膜面内よりも膜面垂直方向への熱伝導を促進することによって低減する工夫がなされている。
例えば、従来の相変化記録媒体では、記録膜と金属反射膜との間に適切な熱伝導率を有する誘電体膜(熱制御膜)を配置し、その膜厚を比較的薄くすることにより、記録膜で発生した熱を反射膜へ逃がしやすくし、膜面内方向への伝熱を抑制する効果を得ている。
この場合、熱制御膜の膜厚を薄くすればするほど、膜面垂直方向への伝熱を促進することができるので、クロスイレース改善の上では効果がある。しかし、熱制御膜の膜厚が薄すぎると、記録時にレーザービームによる加熱と同時に反射膜への伝熱が開始されるため、記録膜の温度上昇が不十分となって融点に達する領域が小さくなり、必要な面積の記録マークを形成することができなくなるという問題がある。また、消去時にも、記録膜は加熱されると同時に冷却されるため結晶化可能な温度領域に保持される時間が不十分になり、記録マークの結晶化が困難となり、消去率が著しく低下する問題がある。
逆に、熱制御膜の膜厚が厚すぎる場合には、記録時のレーザービームに関するパワーマージンおよび消去率の点では問題ないが、すでに述べたように膜面内での伝熱が助長されてクロスイレースが激しくなるばかりか、記録膜の冷却速度が遅くなるため記録時に溶融した領域が非晶質化せずに再度結晶化してしまい、結果として形成されるマークが過小になる問題がある。
従来、光入射側から順に、記録層、上側保護層、中間層、反射層を設け、中間層または反射層の材料特性を規定することによりクロスイレースを抑制するようにする相変化光記録媒体が知られている(特許文献1)。しかし、この文献では中間層に熱伝導率の低い材料を選んでいるので、記録層が急冷しにくくクロスイレースの低減に十分な効果があるとはいえない。
上記のように、従来から記録膜と金属反射膜との間に設ける誘電体膜の厚さと熱伝導特性を調整する技術が知られているが、記録のパワー感度、クロスイレースや再結晶化、消去率といった問題をすべて同時に満足することはできなかった。
また、光入射側から順に、第1誘電体膜、記録層、第2誘電体膜、反射層を積層した構造において、第2誘電体膜に熱伝導性に優れたSiCを用いることにより記録膜および基板の熱損傷を低減する技術が知られている(特許文献2)。しかし、この文献ではクロスイレースについては検討されていない。事実、単に記録膜を冷却するだけでは、良好な記録特性とクロスイレースの低減を両立させることはできない。
同様に、光入射側から順に、第1誘電体膜、記録層、第2誘電体膜、反射層を積層した構造において、第1および第2誘電体膜の少なくとも一方の一部をSiCとすることにより記録膜への熱損傷を低減する技術が知られている(特許文献3)。しかし、この文献でもクロスイレースについては検討されていない。この文献も、単に記録層を冷却してダメージを低減することによりオーバーライト特性を向上させることを主眼としているため、クロスイレースを低減することはできない。
特開2000−215516号公報
特開平11−003538号公報
特開2002−269823号公報
本発明の目的は、トラックピッチを狭小化してもクロスイレースを低減することができ、記録密度の高い相変化光記録媒体を提供することにある。
本発明の一態様に係る相変化光記録媒体は、光照射により可逆的に記録・消去がなされる相変化記録膜と、前記相変化記録膜に対して光入射側に高屈折率誘電体膜、低屈折率誘電体膜および高屈折率誘電体膜を含む積層誘電体膜とを有し、前記低屈折率誘電体膜が、Si、OおよびCを含有しC濃度が0.1〜30[at.%]であるSiOC膜であることを特徴とする。
本発明によれば、トラックピッチを狭小化してもクロスイレースを低減することができ、記録密度の高い相変化光記録媒体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係る相変化光記録媒体は、単層媒体でもよいし、光入射側のL0基板と奥側のL1基板とを貼り合せた片面二層媒体でもよい。いずれの場合でも、媒体の基本的な構成は光入射側から順に誘電体膜、相変化記録膜、誘電体膜、金属反射膜を積層した積層構造である。
本発明の実施形態に係る相変化光記録媒体は、単層媒体でもよいし、光入射側のL0基板と奥側のL1基板とを貼り合せた片面二層媒体でもよい。いずれの場合でも、媒体の基本的な構成は光入射側から順に誘電体膜、相変化記録膜、誘電体膜、金属反射膜を積層した積層構造である。
相変化記録膜としては、GeSbTeBi、GeSbTe、GeSbTeSn、AgInSbTe、InSbTe、AgInGeSbTe、GeInSbTe、AgInSbTeVなどが挙げられる。なお、相変化記録膜の上下または片側にGeN、CrO、SiC、SiNなどの界面層を設けてもよい。
上述したように、相変化光記録媒体の記録密度を向上させるためにはクロスイレースを低減させることが最善の手法と考えられる。クロスイレースを低減させるのに最も有効な方法は、レーザー光の照射により発生した熱を膜面に垂直な方向へ伝導させることであると考えられており、従来も同様な考え方に基づいて多くの提案がなされてきた。ところが、従来は相変化光記録媒体に使用されている薄膜の膜厚がナノメートルオーダーであるにもかかわらず、膜の熱伝導率などの熱物性値をバルクと同程度に見積もっているケースが多かった。たとえば、ナノメートルオーダーの薄膜を積層した場合には、各膜間の界面熱抵抗または接触熱抵抗Rthが膜の熱伝導による熱抵抗と同程度か場合によっては逆転することすらある。従来はこのような効果が寄与しているとの認識がほとんどなく、これらの問題を考慮に入れて検討することがほとんどなかった。そのため、現実の相変化光記録媒体を記録・消去する過程において、媒体中で起こっている結晶化またはアモルファス化という非常にダイナミックな組織変動と熱移動の現象を理解できているとは言えなかった。したがって、これらの点を考慮して、記録・消去時の記録膜中の熱的挙動を理解する必要がある。
本発明者らは、相変化光記録媒体を構成する誘電体膜の少なくとも1層として、Si(珪素)、O(酸素)およびC(炭素)を含有しC濃度が0.1〜30[at.%]であるSiOC膜を用いることにより、レーザー光の照射により発生した熱を膜面に垂直な方向へ有効に伝導させることができ、効果的にクロスイレースを低減できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の実施形態において、SiOC膜とは、Si、O、Cを主成分とする膜であり、典型的にはSi、O、Cのat.%を合計すると99%以上となる膜を意味する。この膜には不可避な不純物が含まれていてもよい。
たとえば、相変化記録膜に対して光入射側に高屈折率誘電体膜、低屈折率誘電体膜および高屈折率誘電体膜を含む積層誘電体膜を有し、低屈折率誘電体膜としてSiOC膜を用いれば、相変化記録膜からSiOC膜側(すなわち相変化記録膜から反射膜の方向とは反対側)への良好な熱伝導が生じ、再生信号強度が高く、クロスイレースがなく、記録マーク形状が良好で高密度化が可能になる。なお、高屈折率誘電体膜としてはZnS−SiO2などが用いられる。
また、相変化記録膜に対して光入射側と反対側の誘電体膜としてSiOC膜を用いれば、相変化記録膜からSiOC膜側(すなわち相変化記録膜から反射膜側)への良好な熱伝導が生じ、再生信号強度が高く、クロスイレースがなく、記録マーク形状が良好で高密度化が可能になる。
上記のような構成は、単層媒体に対しても、片面二層媒体の光入射側のL0媒体および奥側のL1媒体のいずれに対しても適用できる。また、相変化記録膜に対して光入射側および光入射側と反対側の両方の誘電体膜にSiOC膜を用いてもよい。
次に、誘電体膜の少なくとも1層にSiOC膜を用いることによって、従来の相変化光記録媒体では実現できなかった良好なクロスイレース耐性が得られる理由についてより詳細に説明する。
まず、SiOC膜はZnS−SiO2などの他の膜との密着性が非常に高く、その結果としてSiOC膜が平滑になる。このため、膜間の界面での熱抵抗(接触熱抵抗Rth)を非常に低減でき、相変化光記録膜からSiOC膜への良好な熱伝導を達成できる。加えて、SiOC膜を用いれば、SiOx(x=1〜2)より熱伝導率を向上させることができる。また、SiOC膜上に成膜される他の膜でも平滑性が保持されるので、他の膜との間での接触熱抵抗を低減でき、相変化記録媒体全体としての接触熱抵抗が小さくなる。上述したように、相変化光記録媒体を記録・消去する過程においては、媒体中で結晶化またはアモルファス化という非常にダイナミックな組織変動が起こるため、膜間の密着性は非常に重要なファクターとなる。このような効果は、SiOC膜中のC濃度が0.1[at.%]以上で得られるが、より効果的なC濃度は1[at.%]以上である。
次に、SiC膜は青紫の波長帯すなわちλ=400[nm]の近傍では、透過率は低い(100[nm]の膜厚で20[%]程度)ことが知られている。単純に考えれば、SiOC膜はSiOx(x=1〜2)とSiCとの混合膜のような形態になっていると想像されるので、透過率が低下することが予想される。ところが、本発明者らは、C濃度が0.1〜30[at.%]の範囲にあるSiOC膜では、透過率の低下が予想よりはるかに小さいことを見出した。これは、SiOC膜では、炭素(C)の存在によってSi−Oの結合形態が変化し、炭素(C)が光学的な散乱または吸収の要因にならないことによるものと考えられる。すなわち、赤外線(IR)吸収スペクトルにおいて、SiOC中のSi−O結合による吸収ピークがSiO2中のSi−O結合による吸収ピークより小さい方へ0.1〜50[cm-1]シフトしていれば、比較的炭素量が高濃度であっても透過率が95[%]以上になることを見出した。なお、IRによる吸収ピークの測定は、Si−Oのいずれのピークを用いてもよいが、ピーク強度が比較的大きい1050[cm-1]近傍のピークを観察することが好ましい。
また、本発明者らは、C濃度が0.1〜30[at.%]の範囲にあるSiOC膜は、その複素屈折率をn−ikと表したとき、1.45<n<1.55、k<0.01という良好な光学特性が示すことを見出した。これらの値は、SiOC膜をSiOx(x=1〜2)とSiCとの混合膜として、SiOxの屈折率n(約1.47)、SiCの屈折率n(2.8〜3.4程度)、SiCの比較的大きい減衰係数kから予想される値よりはるかに小さい。上記のような光学特性を発揮するSiOC膜におけるC濃度の上限は30[at.%]である。
好適なSiOC膜を得るためには、スパッタリングによる成膜条件を適切に設定することが好ましい。スパッタリング・ターゲットとしては、主成分がSi、C、SiCもしくはSiOx(x=1〜2)またはこれらの混合物からなるものを用いることができる。ターゲットは、膜中に主成分として取り込まれない微量のバインダーを含んでいてもよい。放電用のガスとしては、Arなどの希ガスとO2との混合ガスを用いることができる。また、放電用のガスとして、この他にCO2、メタンガスなどを用いることもできる。スパッタリング法としては、用いるスパッタリング・ターゲットの電気抵抗に応じて、RFスパッタ、RF重畳DCスパッタ、パルスモードを含むDCスパッタ、DCスパッタなどを用いることができる。
具体的には、SiCターゲットまたはSiとSiCとの混合ターゲットを用い、ArおよびO2を含むガス中でRFスパッタを行う場合、スパッタリングガス全圧を1[Pa]以下で、酸素分圧を0.01〜0.5[Pa]、より望ましくは0.01〜0.1[Pa]に設定することが望ましい。
なお、SiOC膜は、膜中で炭素(C)の濃度勾配が形成された、いわゆる傾斜機能材料であってもよい。SiOC膜中の炭素の濃度勾配はスパッタ条件により変えることができる。定性的には、C濃度が高いほど、SiC成分が多く、熱伝導率が高く、屈折率が大きく、吸収も大きい。例えば、SiOC膜の記録膜に近い部分でC濃度が高く、記録膜から遠い部分でC濃度が低くなるような構成にすれば、記録膜で発生した熱を速やかに逃がすとともに記録膜から少し離れた部分で蓄熱して、急冷と徐冷の速度をコントロールするという機能を持たせることが考えられる。一方、均一に放熱する設計の方がよいこともあるので、この場合には炭素濃度を均一に保つ条件でスパッタすることが望ましい。また、分割してスパッタすれば、C濃度を増減させることも可能であり、設計の自由度も非常に広くなる。また、SiOC膜のC濃度分布を調整することにより、応力緩和膜としての機能を発揮させることもできる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
SiOCの各種物性については、各々の実施例または比較例と同一の条件で、基板上にSiOCのみを成膜し、以下のようにして分析した。SiOCの組成は、ICP(Induced Coupled Plasma)、RBS(ラザフォード後方散乱)、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)などの分析手法を用いて分析した。SiOCの熱伝導率、界面熱抵抗などの熱物性は、サーモ・リフレクタンス法または3ω法を用いて測定した。SiOCの複素屈折率n、減衰係数k、透過率Tなどの光学物性は、分光光度計および分光エリプソメーターを用いて測定した。SiOCのSi−O結合形態(ピークシフト)は、IR(赤外分光法)により調べた。薄膜の表面の平滑性は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価した。
SiOCの各種物性については、各々の実施例または比較例と同一の条件で、基板上にSiOCのみを成膜し、以下のようにして分析した。SiOCの組成は、ICP(Induced Coupled Plasma)、RBS(ラザフォード後方散乱)、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)などの分析手法を用いて分析した。SiOCの熱伝導率、界面熱抵抗などの熱物性は、サーモ・リフレクタンス法または3ω法を用いて測定した。SiOCの複素屈折率n、減衰係数k、透過率Tなどの光学物性は、分光光度計および分光エリプソメーターを用いて測定した。SiOCのSi−O結合形態(ピークシフト)は、IR(赤外分光法)により調べた。薄膜の表面の平滑性は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価した。
[実施例1](単層媒体、界面層なし)
図1は本実施例における相変化光記録媒体の断面図である。
基板101は0.6mm厚のポリカーボネート基板からなる。この基板101には、0.6μmピッチ、深さ40nmのグルーブが設けられており、ランド・グルーブ記録を行う場合にはトラックピッチが0.34μmとなる。以下、グルーブ・トラックとは光入射面からの距離が近いトラック、ランド・トラックとは光入射面から遠い方のトラックを指すことにする。
図1は本実施例における相変化光記録媒体の断面図である。
基板101は0.6mm厚のポリカーボネート基板からなる。この基板101には、0.6μmピッチ、深さ40nmのグルーブが設けられており、ランド・グルーブ記録を行う場合にはトラックピッチが0.34μmとなる。以下、グルーブ・トラックとは光入射面からの距離が近いトラック、ランド・トラックとは光入射面から遠い方のトラックを指すことにする。
この基板101上に光入射側から順に下記の膜を成膜した。
高屈折率誘電体膜102a ZnS−SiO2 30nm
低屈折率誘電体膜103 SiOC 60nm
高屈折率誘電体膜102b ZnS−SiO2 25nm
相変化記録膜104 GeSbTeBi 13nm
第2誘電体膜105 ZnS−SiO2 20nm
反射膜106 Ag合金 100nm。
高屈折率誘電体膜102a ZnS−SiO2 30nm
低屈折率誘電体膜103 SiOC 60nm
高屈折率誘電体膜102b ZnS−SiO2 25nm
相変化記録膜104 GeSbTeBi 13nm
第2誘電体膜105 ZnS−SiO2 20nm
反射膜106 Ag合金 100nm。
上記のように本実施例の相変化光記録媒体では、相変化記録膜104に関して光入射側に設けられる第1誘電体膜が高屈折率誘電体膜102a/低屈折率誘電体膜103/高屈折率誘電体膜102bの積層構造となっている。なお、高屈折率誘電体膜として用いられているZnS−SiO2はZnSとSiO2との混合物である。
本実施例では、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCを、Si+SiCターゲットを用い、パルスモードDCスパッタ法により、スパッタガス(Ar+O2)全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.1[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は28.2[at.%]であった。
さらに、紫外線硬化樹脂をスピンコート法により塗布した後、0.6mm厚のポリカーボネート基板を貼り合わせて光硬化させた。
表1に、SiOC成膜時の放電形式、全圧[Pa]および酸素分圧[Pa]、ならびにSiOC中のC濃度[at.%]、Si濃度[at.%]およびO濃度[at.%]を示す。
表2に、SiOCについて、波長405[nm]における光学特性(屈折率n、減衰係数k、透過率T)、常温・常圧で測定した熱伝導率、IRピークのシフト量を示す。
製造した相変化光記録媒体を初期化装置に設置し、幅50μm、長さ1μmの長円形ビームを照射して全面の記録膜を初期化(結晶化)した。
相変化光記録媒体のディスク特性の評価に先立ち、反射率の測定を行った。その結果、結晶・非晶質間の反射率差が約15%以上とコントラストの大きいディスクを作製することができた。
この相変化光記録媒体について記録・消去実験を行った。実験には、NA=0.65の対物レンズと波長405nmの半導体レーザーを備えたピックアップをもつ光ディスク評価装置を用いた。記録線速度を5.6[m/sec]として、1_7(いちなな)変調された信号を記録した。ビットピッチ0.13μm、最長マーク長0.78μmとし、9T(Tは信号の長さを表す指標である)の信号を用いて記録実験を行った。
実験方法は、以下のとおりである。ランドまたはグルーブ・トラックの特性を評価する場合には、それぞれ他のトラックに書き込んだ信号の影響が出ないように配慮して実験を行った。
初期のCNR(Carrier to Noise Ratio)およびクロスイレース特性を以下のような実験により測定した。まず、CNRのライトパワー、イレースパワー依存性を測定し、最適パワーを求めた。次に、最適パワーでランダムパターンをランドまたはグルーブ・トラック上に10回オーバーライトし、更に9Tの信号を書き込んだ。この時点で、そのトラック上の9T信号のCNRを測定した。次いで、両側の隣接トラックにランダム信号を書き込んだ。その後、先に9T信号を記録した元のトラックに戻って、CNRの変化を測定した。先のCNRと後のCNRとの差をクロスイレース量(X−E)とした。
また、相変化記録媒体の信頼性を評価するために、作製した相変化光記録媒体を85℃、相対湿度85%の環境下に300時間曝露した後に上記と同様の実験を行い、環境試験後のCNRおよびクロスイレース特性を測定した。
オーバーライト特性は、同一トラックにランダム信号を2000回オーバーライトした後、9T信号を記録してCNRを測定することにより評価した。
表3にわかるように、本実施例の相変化光記録媒体は、初期特性としてCNR55.2[dB]およびX−E0.2[dB]、環境試験後の特性としてCNR53.8[dB]およびX−E0.3[dB]、オーバーライト特性としてCNR54.7[dB]と良好な値を示した。
[実施例2〜10、比較例1〜8]
各種の相変化光記録媒体を作製した。表1にSiOCの成膜条件、表2にSiOCの物性を示す。また、表3に相変化光記録媒体の初期のCNRおよびクロスイレース特性、環境試験後のCNRおよびクロスイレース特性、ならびにオーバーライト特性を示す。
各種の相変化光記録媒体を作製した。表1にSiOCの成膜条件、表2にSiOCの物性を示す。また、表3に相変化光記録媒体の初期のCNRおよびクロスイレース特性、環境試験後のCNRおよびクロスイレース特性、ならびにオーバーライト特性を示す。
[実施例2](単層媒体、界面層あり)
図2は本実施例における相変化光記録媒体の断面図である。0.6mm厚のポリカーボネート基板101上に光入射側から順に下記の膜を成膜した。
高屈折率誘電体膜102a ZnS−SiO2 30nm
低屈折率誘電体膜103 SiOC 60nm
高屈折率誘電体膜102b ZnS−SiO2 20nm
下部界面膜107a GeN 5nm
相変化記録膜104 GeSbTe 13nm
上部界面膜107b GeN 5nm
第2誘電体膜105 ZnS−SiO2 15nm
反射膜106 Ag合金 100nm
本実施例では相変化記録膜104の上下にGeN界面膜107a、107bを設けている。
図2は本実施例における相変化光記録媒体の断面図である。0.6mm厚のポリカーボネート基板101上に光入射側から順に下記の膜を成膜した。
高屈折率誘電体膜102a ZnS−SiO2 30nm
低屈折率誘電体膜103 SiOC 60nm
高屈折率誘電体膜102b ZnS−SiO2 20nm
下部界面膜107a GeN 5nm
相変化記録膜104 GeSbTe 13nm
上部界面膜107b GeN 5nm
第2誘電体膜105 ZnS−SiO2 15nm
反射膜106 Ag合金 100nm
本実施例では相変化記録膜104の上下にGeN界面膜107a、107bを設けている。
本実施例では、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCを、RFスパッタ法により、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.02[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は30.0[at.%]であった。その他は実施例1と同様にして相変化光記録媒体を作製した。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
[実施例3](単層媒体、界面層あり)
0.6mm厚のポリカーボネート基板上に光入射側から順に下記の膜を成膜した。
高屈折率誘電体膜 ZnS−SiO2 30nm
低屈折率誘電体膜 SiOC 60nm
高屈折率誘電体膜 ZnS−SiO2 25nm
相変化記録膜 GeSbTe 13nm
界面膜 GeN 5nm
第2誘電体膜 ZnS−SiO2 15nm
反射膜 Ag合金 100nm
本実施例では相変化記録膜の上部にのみGeN界面膜を設けている。
0.6mm厚のポリカーボネート基板上に光入射側から順に下記の膜を成膜した。
高屈折率誘電体膜 ZnS−SiO2 30nm
低屈折率誘電体膜 SiOC 60nm
高屈折率誘電体膜 ZnS−SiO2 25nm
相変化記録膜 GeSbTe 13nm
界面膜 GeN 5nm
第2誘電体膜 ZnS−SiO2 15nm
反射膜 Ag合金 100nm
本実施例では相変化記録膜の上部にのみGeN界面膜を設けている。
本実施例では、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCを、RFスパッタ法により、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.2[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は19.7[at.%]であった。その他は実施例1と同様にして相変化光記録媒体を作製した。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
[実施例4](単層媒体、界面層あり)
0.6mm厚のポリカーボネート基板上に光入射側から順に下記の膜を成膜した。
高屈折率誘電体膜 ZnS−SiO2 30nm
低屈折率誘電体膜 SiOC 60nm
高屈折率誘電体膜 ZnS−SiO2 25nm
相変化記録膜 GeSbTeBi 13nm
界面膜 GeN 2nm
第2誘電体膜 ZnS−SiO2 18nm
反射膜 Ag合金 100nm
本実施例でも相変化記録膜の上部にのみGeN界面膜を設けている。
0.6mm厚のポリカーボネート基板上に光入射側から順に下記の膜を成膜した。
高屈折率誘電体膜 ZnS−SiO2 30nm
低屈折率誘電体膜 SiOC 60nm
高屈折率誘電体膜 ZnS−SiO2 25nm
相変化記録膜 GeSbTeBi 13nm
界面膜 GeN 2nm
第2誘電体膜 ZnS−SiO2 18nm
反射膜 Ag合金 100nm
本実施例でも相変化記録膜の上部にのみGeN界面膜を設けている。
本実施例では、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCを、DCスパッタ法により、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.08[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は10.3[at.%]であった。その他は実施例1と同様にして相変化光記録媒体を作製した。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
[実施例5](二層媒体)
図3は本実施例における相変化光記録媒体の断面図である。この相変化光記録媒体は、いわゆる片面二層媒体であり、光入射側から見て手前側のL0基板100と光入射側から見て奥側のL1基板110とを貼り合わせたものである。
図3は本実施例における相変化光記録媒体の断面図である。この相変化光記録媒体は、いわゆる片面二層媒体であり、光入射側から見て手前側のL0基板100と光入射側から見て奥側のL1基板110とを貼り合わせたものである。
L0基板100は、厚さ0.59mmのポリカーボネート基板上に、ZnS−SiO2、GeSbTeBi、ZnS−SiO2、Ag合金、ZnS−SiO2を順に積層したものであり、透過率は約50[%]であった。
L1基板110は、厚さ0.59mmのポリカーボネート基板111上に反射膜116、第2誘電体膜117、相変化記録膜114、第1誘電体膜112を積層したものである。L1基板110表面の第1誘電体膜112が、L0基板100上に塗布された紫外線硬化樹脂109を介してL0基板100に貼り合わされている。したがって、L1基板110を光入射側から見ると下記の膜が順に積層されている。
第1誘電体膜112 ZnS−SiO2 65nm
相変化記録膜114 GeSbTe 13nm
第2誘電体膜117 SiOC 40nm
反射膜116 Ag合金 100nm。
第1誘電体膜112 ZnS−SiO2 65nm
相変化記録膜114 GeSbTe 13nm
第2誘電体膜117 SiOC 40nm
反射膜116 Ag合金 100nm。
本実施例では、L1基板110の第2誘電体膜117として用いられるSiOCを、RF重畳DCスパッタ法により、スパッタガス全圧0.8[Pa]、酸素分圧0.5[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は6.3[at.%]であった。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
[実施例6](二層媒体)
図4は本実施例における相変化光記録媒体の断面図である。この相変化光記録媒体も片面二層媒体であり、L0基板100とL1基板110とを貼り合わせたものである。
図4は本実施例における相変化光記録媒体の断面図である。この相変化光記録媒体も片面二層媒体であり、L0基板100とL1基板110とを貼り合わせたものである。
L0基板100は、ポリカーボネート基板上に、ZnS−SiO2、SiOC、GeSbTeBi、SiOC、ZnS−SiO2、Ag合金、ZnS−SiO2を順に積層したものであり、透過率は約50[%]であった。
L1基板110は、ポリカーボネート基板111上に反射膜116、熱制御膜118、第2誘電体膜115、相変化記録膜114、高屈折率誘電体膜112b、低屈折率誘電体膜1113、高屈折率誘電体膜112aを積層したものである。L1基板110表面の高屈折率誘電体膜112aが、L0基板100上に塗布された紫外線硬化樹脂を介してL0基板100に貼り合わされている。したがって、L1基板110を光入射側から見ると下記の膜が順に積層されている。
高屈折率誘電体膜112a ZnS−SiO2 20nm
低屈折率誘電体膜113 SiOC 25nm
高屈折率誘電体膜112b ZnS−SiO2 40nm
相変化記録膜114 GeSbTeBi 13nm
第2誘電体膜115 ZnS−SiO2 15nm
熱制御膜118 AlN 25nm
反射膜116 Ag合金 100nm。
高屈折率誘電体膜112a ZnS−SiO2 20nm
低屈折率誘電体膜113 SiOC 25nm
高屈折率誘電体膜112b ZnS−SiO2 40nm
相変化記録膜114 GeSbTeBi 13nm
第2誘電体膜115 ZnS−SiO2 15nm
熱制御膜118 AlN 25nm
反射膜116 Ag合金 100nm。
本実施例では、L1基板110の低屈折率誘電体膜113として用いられるSiOCを、DCスパッタ法により、スパッタガス全圧0.5[Pa]、酸素分圧0.01[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は5.0[at.%]であった。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
[実施例7]
実施例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RFスパッタ法、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.1[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.1[at.%]であった。
実施例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RFスパッタ法、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.1[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.1[at.%]であった。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
[実施例8]
実施例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RFスパッタ法、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.07[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は1.0[at.%]であった。
実施例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RFスパッタ法、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.07[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は1.0[at.%]であった。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
[実施例9]
実施例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCの成膜条件を変え、パルスモードDCスパッタ法、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.03[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は2.0[at.%]であった。
実施例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCの成膜条件を変え、パルスモードDCスパッタ法、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.03[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は2.0[at.%]であった。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
[実施例10]
実施例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RF重畳DCスパッタ法、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.3[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.5[at.%]であった。
実施例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜103として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RF重畳DCスパッタ法、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.3[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.5[at.%]であった。
表3からわかるように、本実施例の相変化光記録媒体も、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値を示した。
図5に本発明の実施例に係る相変化光記録媒体に用いられるSiOC膜中の元素の濃度分布の測定例を示す。シリコン基板上にSiOC膜を成膜して測定を行った。この図の左端がSiOC膜の表面であり、深さが60[nm]近傍での各元素がともにピークを形成している部分より右が基板(Siウェファー)である。この図からわかるように、SiOC膜表面だけでなく、膜中で炭素の濃度を高くすることもできる。
[比較例1]
ポリカーボネート基板上に光入射側から順にZnS−SiO2(30nm)、SiOC(60nm)、ZnS−SiO2(25nm)、GeSbTe(13nm)、ZnS−SiO2(20nm)、Ag合金(100nm)を成膜して相変化光記録媒体を作製した。
ポリカーボネート基板上に光入射側から順にZnS−SiO2(30nm)、SiOC(60nm)、ZnS−SiO2(25nm)、GeSbTe(13nm)、ZnS−SiO2(20nm)、Ag合金(100nm)を成膜して相変化光記録媒体を作製した。
この比較例では、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCを、RFスパッタ法により、スパッタガス全圧0.5[Pa]、酸素分圧0.008[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.09[at.%]であった。
表3からわかるように、この相変化光記録媒体は、初期特性としてCNR47.6[dB]およびX−E1.7[dB]、環境試験後の特性としてCNR46.8[dB]およびX−E1.8[dB]、オーバーライト特性としてCNR46.9[dB]を示し、良好な値が得られなかった。
[比較例2]
SiOCの代わりにSiO2を用い(ターゲットとしてSiO2を使用)、ポリカーボネート基板上に光入射側から順にZnS−SiO2(30nm)、SiO2(60nm)、ZnS−SiO2(25nm)、GeSbTe(13nm)、ZnS−SiO2(20nm)、Ag合金(100nm)を成膜して相変化光記録媒体を作製した。
SiOCの代わりにSiO2を用い(ターゲットとしてSiO2を使用)、ポリカーボネート基板上に光入射側から順にZnS−SiO2(30nm)、SiO2(60nm)、ZnS−SiO2(25nm)、GeSbTe(13nm)、ZnS−SiO2(20nm)、Ag合金(100nm)を成膜して相変化光記録媒体を作製した。
表3からわかるように、この相変化光記録媒体は、初期特性としてCNR47.3[dB]およびX−E1.8[dB]、環境試験後の特性としてCNR46.4[dB]およびX−E2.1[dB]、オーバーライト特性としてCNR46.5[dB]を示し、良好な値が得られなかった。
[比較例3]
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RF重畳DCスパッタ法、スパッタガス全圧0.5[Pa]、酸素分圧0.007[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.005[at.%]であった。
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RF重畳DCスパッタ法、スパッタガス全圧0.5[Pa]、酸素分圧0.007[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.005[at.%]であった。
表3からわかるように、この相変化光記録媒体では、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値が得られなかった。
[比較例4]
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、DCスパッタ法、スパッタガス全圧1.1[Pa]、酸素分圧0.003[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.003[at.%]であった。
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、DCスパッタ法、スパッタガス全圧1.1[Pa]、酸素分圧0.003[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は0.003[at.%]であった。
表3からわかるように、この相変化光記録媒体では、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値が得られなかった。
[比較例5]
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、パルスモードDCスパッタ法により、スパッタガス全圧1.1[Pa]、酸素分圧0.001[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は35[at.%]であった。
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、パルスモードDCスパッタ法により、スパッタガス全圧1.1[Pa]、酸素分圧0.001[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は35[at.%]であった。
表3からわかるように、この相変化光記録媒体では、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値が得られなかった。
[比較例6]
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RF重畳DCスパッタ法により、スパッタガス全圧1.1[Pa]、酸素分圧0.006[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は40[at.%]であった。
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RF重畳DCスパッタ法により、スパッタガス全圧1.1[Pa]、酸素分圧0.006[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は40[at.%]であった。
表3からわかるように、この相変化光記録媒体では、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値が得られなかった。
[比較例7]
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、パルスモードDCスパッタ法により、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.004[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は34[at.%]であった。
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、パルスモードDCスパッタ法により、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.004[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は34[at.%]であった。
表3からわかるように、この相変化光記録媒体では、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値が得られなかった。
[比較例8]
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RFスパッタ法により、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.004[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は32[at.%]であった。
比較例1と同様の積層構造を有する相変化光記録媒体を作製したが、低屈折率誘電体膜として用いられるSiOCの成膜条件を変え、RFスパッタ法により、スパッタガス全圧1.0[Pa]、酸素分圧0.004[Pa]の条件で成膜した。SiOC中のC濃度は32[at.%]であった。
表3からわかるように、この相変化光記録媒体では、初期特性、環境試験後の特性、オーバーライト特性ともに良好な値が得られなかった。
以上の結果から、各実施例のようにSiOC膜中の炭素濃度が0.1〜30[at.%]であれば、相変化光記録媒体は再生信号強度が高くかつクロスイレースが少ないことがわかる。
表1から、SiOC膜の組成は成膜条件にも微妙に依存することがわかる。ただし、スパッタリング時のスパッタガス全圧が1[Pa]以下で酸素分圧が0.01〜0.5[Pa]であれば、上記のような最適なSiOC膜を得るのに有利になる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
100…L0基板、101…基板、102a、102b…高屈折率誘電体膜、103…低屈折率誘電体膜、104…相変化記録膜、105…第2誘電体膜、106…反射膜、107a、107b…界面膜、109…紫外線硬化樹脂、110…L1基板、111…基板、112…第1誘電体膜、112a、112b…高屈折率誘電体膜、113…低屈折率誘電体膜、114…相変化記録膜、115、117…第2誘電体膜、116…反射膜、118…熱制御膜。
Claims (5)
- 光照射により可逆的に記録・消去がなされる相変化記録膜と、前記相変化記録膜に対して光入射側に高屈折率誘電体膜、低屈折率誘電体膜および高屈折率誘電体膜を含む積層誘電体膜とを有し、前記低屈折率誘電体膜が、Si、OおよびCを含有しC濃度が0.1〜30[at.%]であるSiOC膜であることを特徴とする相変化光記録媒体。
- 前記SiOC膜の複素屈折率をn−ikとするとき、1.45<n<1.55、k<0.01であることを特徴とする請求項1に記載の相変化光記録媒体。
- 前記SiOC膜の透過率が95[%]以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の相変化光記録媒体。
- 前記SiOC膜の常温・常圧下における熱伝導率λth[W/m・K]が0.6<λth<2.0であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の相変化光記録媒体。
- 前記SiOC膜のSi−O結合による赤外線吸収ピークが、SiO2中のSi−O結合による赤外線吸収ピークより0.1〜50cm-1の範囲でシフトしていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の相変化光記録媒体。
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WO2020230357A1 (ja) * | 2019-05-15 | 2020-11-19 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 情報記録媒体とその製造方法 |
-
2006
- 2006-05-15 JP JP2006135630A patent/JP2006252766A/ja active Pending
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