JP2003172264A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機

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JP2003172264A
JP2003172264A JP2001371171A JP2001371171A JP2003172264A JP 2003172264 A JP2003172264 A JP 2003172264A JP 2001371171 A JP2001371171 A JP 2001371171A JP 2001371171 A JP2001371171 A JP 2001371171A JP 2003172264 A JP2003172264 A JP 2003172264A
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piston
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iron
compressor
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秀夫 平野
Takeo Kitamura
武男 北村
Toru Adachi
徹 足立
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動部における潤滑の確保と低摩擦係数化を
図って耐久性を高める。 【解決手段】 冷媒としてHFC系冷媒、HC系冷媒又
はCO2を用い、圧縮機構部の潤滑油としてエステル
油、エーテル油、PAG油、カーボネイト油、アルキル
ベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を用
いる圧縮機であって、圧縮機構部30の摺動し合いかつ
冷媒に触れる少なくとも1組の部材31と32またはお
よび32と35の少なくとも1つをAl合金で形成し、
Al合金よりなる少なくとも1つの部材の摺動面に鉄系
硬質膜を形成して、上記の目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷媒としてHFC系冷
媒、HC系冷媒又はCO2を用い、潤滑油としてはそれ
ら冷媒と相溶性のあるエステル油、エーテル油、PAG
油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、ナフテン系
鉱油又はパラフィン系鉱油を用いる圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の空気調和装置や冷却装置に使われ
ているR22に代表されるHCFC系冷媒は、その物性
の安定性からオゾン層を破壊すると言われている。従っ
て、現在、HCFC系冷媒の代替冷媒として、HFC系
冷媒が利用され始めている。
【0003】この種の圧縮機としては特開平07―29
3468号公報に記載のものが知られている。このもの
は、図7に示すように圧縮機80として圧縮機構83を
用い、容器81内に電動機82とともに収納したいわゆ
るメンテナンスフリーなものとしている。圧縮機構83
で圧縮する冷媒にはHFC冷媒を用い、圧縮機構83の
摺動部を潤滑する冷凍機油84に前記冷媒と相溶性のあ
る4価以上のエステル油を用いている。冷凍機油84は
容器81の底部に貯留され、圧縮機構83の駆動に伴っ
てその吐出圧、あるいは容積ポンプによって圧縮機構8
3やその軸受部などの摺動部の潤滑に供された後、貯留
部に戻って以降循環を繰り返す。一方、冷凍機油84は
冷媒との相溶性によって持ち運ばれることによっても各
部を潤滑する。しかし、HFC系冷媒、HC系冷媒、C
O2は塩素を含まないものであることによって、塩素を
含むHCFC系冷媒のように冷媒自体に潤滑性がないか
低いことが影響して潤滑が不足しがちで、耐久性に乏し
い。
【0004】これに対処するのに図7に示す圧縮機で
は、圧縮機構83の摺動部をなす例えばコンロッド85
とクランクシャフト86の組において、コンロッド85
はアルミニウム材料を主体として表面をアルマイト処理
することにより、クランクシャフト86は炭素鋼等の金
属材料を用いることにより、それぞれ耐摩耗性を上げ、
HFC系の冷媒下でメンテナンスフリーに対応する長期
間安定した運転を保証しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような構成は、以下に示す問題点を有している。
【0006】(1)アルマイト処理による酸化物層の表
面には亀裂が多く、摺動部に供給された油は、その一部
が酸化物層表面の亀裂に逃げるため軸受の負荷容量が低
下する。
【0007】(2)アルマイト処理によって表面には酸
化物層が形成されるが、この酸化物層は親油性が低く、
特に極性の高いエステル油は酸化物層の表面に吸着され
にくく、摺動部の表面では潤滑油不足が起きやすい。
【0008】これらの結果、高負荷運転では高摩擦にな
り、アルマイト処理による脆い酸化物層は破壊される恐
れがあり、また潤滑油不足が起きやすい始動時などの過
渡運転においても大幅な耐久性低下が発生すると予測さ
れる。
【0009】本発明の目的は、圧縮機構部の摺動部にお
ける潤滑油の確保と低摩擦係数化を図って、耐久性の高
い圧縮機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、本発明の圧縮機は、冷媒としてHFC系冷
媒、HC系冷媒又はCO2を用い、圧縮機構部の潤滑油
としてエステル油、エーテル油、PAG油、カーボネイ
ト油、アルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフ
ィン系鉱油を用いる圧縮機であって、圧縮機構部の摺動
し合う少なくとも1組の部材の少なくとも1つをAl合
金で形成し、Al合金よりなる少なくとも1つの部材の
摺動面に鉄系硬質膜を形成していることを主たる特徴と
する。
【0011】このような構成では、塩素を含まないHF
C系冷媒、HC系冷媒又はCO2を用いるのでオゾン層
を破壊しない。また、これに相溶なエステル油、エーテ
ル油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン
油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を潤滑油に用
いるので、それ自体が供給されることによる潤滑に加
え、冷媒によって持ち運ばれることによる潤滑も行え
る。特に、圧縮機構部の摺動し合う少なくとも1組の部
材の少なくとも1つをAl合金で形成するので、Al合
金化した部材の数に比例した軽量化が図れる上、Al合
金よりなる少なくとも1つの部材の摺動面にて、アルマ
イト処理層のように脆くない安定な鉄系硬質膜の硬質性
による低摩擦係数化と優れた油吸着性による高潤滑性と
を確保し、この摺動面が臨む摺動部での耐摩耗性を長期
に高められるのに併せ、前記鉄系硬質膜がAl合金部材
の疲労強度をも長期に高められるので、長寿命化が図れ
る。また、前記高潤滑性は高シール性をも発揮するので
高い圧縮性能が長期に安定して得られる。また、前記高
潤滑性は潤滑油が不足しがちな始動時の過渡運転に特に
有効である。
【0012】前記鉄系硬質膜の表面に再溶融処理層を設
けている構成では、Al合金部材の表面硬度がさらに増
すので、その分だけAl合金部材の耐摩耗性および耐久
性が向上する。
【0013】前記再溶融処理層に固体潤滑剤が分散して
いる構成では、この固体潤滑剤がAl合金部材の摺動面
と他方の摺動面との間の潤滑を図るので、潤滑油の供給
がないドライ状態でも運転ができ、何らかの理由で潤滑
油が供給されない場合や不足する場合、あるいは、潤滑
油を供給し難い個所や供給しない方がよい個所において
特に有効である。
【0014】前記1組の部材は、スクロール圧縮機にお
いて、相互間に圧縮室を形成する固定側スクロールと可
動側スクロール、あるいは、固定側スクロールとの間に
圧縮室を形成する可動側スクロールとこれの自転を拘束
して円軌道運動させる自転拘束手段の部材、の各組合せ
で代表され、1組の部材の双方がAl合金により形成さ
れている構成では、1組の部材の一方の摺動面にのみ前
記鉄系硬質膜を形成することによって異種金属間の摺動
構造が実現し、同一材質どうしの間で潤滑が不足したと
きに生じやすい凝着の問題を回避することができる。も
っとも、1組の部材の双方に鉄系硬質膜を形成して双方
間の高い潤滑性、耐摩耗性、およびシール性を確保する
ようにもできるが、一方に設けるだけでよい分コストが
低減する。
【0015】1組の部材は、ロータリ圧縮機におけるシ
リンダと、このシリンダ内で回動するピストンと、これ
らシリンダおよびピストンによって形成される空間を圧
縮空間および吸入空間に分離するシリンダ側のベーン
と、シリンダおよびピストンの両端面を閉塞する上下軸
受部材と、前記ピストンに駆動力を伝達するクランク軸
とであり、ピストンがAl合金で形成され、このピスト
ンに前記鉄系硬質膜を形成した構成では、ピストン1つ
を鉄系硬質膜を形成したAl合金部材とするだけで、こ
のピストンと摺動し合うシリンダ、ベーン、上下軸受部
材およびクランク軸との間の全摺動部において、異種金
属どうしの摺動構造の実現と、前記鉄系硬質膜による高
い潤滑性と耐摩耗性とシール性を確保し、かつ、ピスト
ンの疲労強度を高めることができ、しかも、偏心回転す
るピストンの軽量化が図れた分だけピストンが偏心回転
することに対するバランサの小型化、軽量化も同時に図
ることができ、この結果、さらに高速での運転が可能と
なり、能力制御幅を拡大できる。
【0016】1組の部材は、ベーン型ロータリ圧縮機に
おける、シリンダと、このシリンダの内部に配設された
ロータと、このロータを軸支し前記シリンダの前後両端
を閉塞する前部側板および後部側板と、前記ロータに形
成されたベーン溝内に摺動自在に収容されたベーンとで
あり、前記シリンダ、前部側板、後部側板およびベーン
をAl合金で形成し、シリンダに前記鉄系硬質膜を形成
した構成では、ロータが偏心回転しないことを利用し、
他の部材をAl合金部材として大幅な軽量化を図りなが
ら、シリンダのみの摺動面に鉄系硬質膜を設けるだけ
で、摺動の激しいシリンダとロータおよびベーンとの間
で鉄系硬質膜による高い潤滑性、耐摩耗性およびシール
性を確保し、かつ圧力容器となるシリンダの疲労強度を
鉄系硬質膜にて高めて運転可能な最大負荷をさらに大き
くすることができる。
【0017】1組の部材は、リニア圧縮機における、シ
リンダと、このシリンダにその軸線方向に沿って摺動自
在に支持されるピストンとであり、これらシリンダおよ
びピストンをAl合金で形成し、その少なくとも一方に
前記鉄系硬質膜を形成した構成では、シリンダおよびピ
ストンの双方で軽量化を図りながら、リニア圧縮機の場
合、通常、始動時や停止時のピストンとシリンダとの片
当たりが摩耗や焼付きの原因になりやすく潤滑油量を多
く設定するところを、ピストンとシリンダとの少なくと
も一方に形成した鉄系硬質膜により高い潤滑性、耐摩耗
性およびシール性を得て始動時および停止時のための必
要潤滑油量を少なく抑えられる。しかも、圧力容器とな
るシリンダ側に鉄系硬質膜を形成して疲労強度を高める
と、運転可能な最大負荷をさらに大きくすることができ
る。
【0018】本発明のそれ以上の目的および特徴は、以
下の詳細な説明および図面の記載によって明らかにな
る。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限
り種々な組み合わせで複合して採用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る圧縮機の実施の形態
について図1〜図6を参照しながら詳細に説明し、本発
明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例を示す
もので、特許請求の範囲の記載を限定するものではな
い。
【0020】本実施の形態では図1に示す例、図2、図
3に示す例、および図6に示す例のように、圧縮機構部
30、50、70がそれらを駆動する電動機部20、7
3とともに容器10内に収容したいわゆる密閉型のメン
テナンスフリーな圧縮機の場合と、図4、図5に示す例
のように、圧縮機構部60単独で構成した場合とを示し
たが、本発明はこれらに限られることはなく、摺動部を
持つ圧縮機全般に適用して有効であり、いずれも本発明
の範疇に属する。本実施の形態の各圧縮機はいずれも冷
媒としてHFC系冷媒、HC系冷媒又はCO2を用い、
圧縮機構部の潤滑油42としてエステル油、エーテル
油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、
ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を用いる。これに
より、物性がHCFCのように安定していないHFC系
冷媒、HC系冷媒又はCO2を用いるのでオゾン層を破
壊しない。また、これに相溶なエステル油、エーテル
油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、
ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を潤滑油42とし
て用いるので、それ自体が供給されることによる潤滑に
加え、冷媒によって持ち運ばれることによる潤滑も行え
る。
【0021】特に、圧縮機構部30、50、60、70
における摺動し合う少なくとも1組の部材の少なくとも
1つをAl合金で形成し、Al合金よりなる少なくとも
1つの部材の摺動面に鉄系硬質膜を形成する。これによ
り、圧縮機構部30、50、60、70におけるAl合
金化した部材の数に比例した軽量化が図れる上、摺動し
合う1組の部材におけるAl合金よりなる少なくとも1
つの部材の摺動面にて、アルマイト処理層のように脆く
ない安定な鉄系硬質膜の硬質性による低摩擦係数化と優
れた油吸着性による高潤滑性とを確保し、この摺動面が
臨む摺動部での耐摩耗性を長期に高められるのに併せ、
前記鉄系硬質膜がAl合金部材の疲労強度をも長期に高
められるので、圧縮機構部30、50、60、70の長
寿命化が図れる。また、前記高潤滑性は高シール性をも
発揮するので高い圧縮性能が長期に安定して得られる。
【0022】この場合、前記鉄系硬質膜の表面に再溶融
処理層を設けるのが好ましい。これによると、Al合金
部材の表面硬度がさらに増すので、その分だけAl合金
部材の耐摩耗性および耐久性が向上する。また、前記再
溶融処理層に固体潤滑剤が分散しているようにするとさ
らに好適である。これによると、この固体潤滑剤がAl
合金部材の摺動面と他方の摺動面との間の潤滑を図るの
で、潤滑油の供給がないドライ状態でも運転ができ、何
らかの理由で潤滑油が供給されない場合や不足する場
合、あるいは、潤滑油を供給し難い個所や供給しない方
がよい個所において特に有効である。
【0023】図1(a)(b)に示す例はスクロール圧
縮機の場合の一例である。図1(a)に示すように容器
10は吸入管11と吐出管12とを備え、外部サイクル
と接続されることによって密閉状態となる。電動機部2
0は、容器10の内周に固定されたステータ21とこれ
の内側に位置するロータ22とから構成され、ロータ2
2は圧縮機構部30を駆動するクランク軸33が貫通す
る状態で一体化され、クランク軸33が圧縮機構部30
側の主軸受34と反圧縮機構部30側の副軸受34aと
によって軸受けされ、電動機部20の作動によってロー
タ22と一体に回転する。
【0024】圧縮機構部30は圧縮室30Aを形成する
固定側スクロール31と可動側スクロール32とで構成
され、可動側スクロール32がクランク軸33によって
電動機部20からの駆動力を主軸33A、旋回軸受33
B、自身の旋回軸32Fを介して伝達されて固定側スク
ロール31に対し円軌道上を旋回運動し、圧縮室30A
が例えば外周側から中央部に移動しながら容積が小さく
なっていくことにより、冷媒を外部サイクルから吸入し
て圧縮し、圧縮後の冷媒を容器10内の空間を経て外部
サイクルに供給することを繰り返す。
【0025】固定側スクロール31は前記主軸受34を
持ち容器10の内周に固定された支持部材としての主軸
受部材29の一面にボルトなどにより取り付けられ、主
軸受部材29と固定側スクロール31との間に可動側ス
クロール32が挟み込まれている。主軸受部材29と可
動側スクロール32との間に可動側スクロール32の自
転を拘束し円軌道運動だけするように案内する自転拘束
手段としての一例であるオルダムリング35を設けてあ
る。オルダムリング35は一面側に形成した第1の直径
線上2箇所の突起によって可動側スクロール32とこの
第1の直径線方向に摺動し合うように係合し、他面側に
形成した前記第1の直径線と直交する第2の直径線上の
2箇所の突起によって主軸受部材29とこの第2の直径
線方向に摺動し合うように係合している。
【0026】固定側スクロール31は、渦巻状に形成さ
れた固定側羽根部材31Aと、この固定側羽根部材31
Aを形成するための溝の底面を構成する固定側鏡板31
Bと、固定側羽根部材31Aの外周部に形成されて可動
側スクロール32と当接する固定側スラスト面31C
と、固定側鏡板31Bの中央部に形成された吐出孔31
Dとを有している。可動側スクロール32は、渦巻状に
形成された可動側羽根部材32Aと、この可動側羽根部
材32Aを形成するための溝の底面を構成する可動側鏡
板32Bと、可動側羽根部材32Aの外周部に形成され
て固定側スクロール31と当接する可動側スラスト面3
2Cと、背面32Eと、この背面32E側の中央部に突
出して形成された前記旋回軸32Fと、固定側スラスト
面31Cと可動側スラスト面32Cとの間に潤滑油を供
給する給油路32Gとを有している。
【0027】クランク軸33の前記副軸受34aは容器
10の内周に固定された支持部材としての副軸受部材3
4bに保持され、この副軸受部材34bを利用して潤滑
ポンプの一例としての容積ポンプ41が取り付けけられ
てクランク軸33によって圧縮機構部30とともに駆動
される。容積ポンプ41は駆動されると容器10内の下
部に貯留された潤滑油42を給油管43を通じ吸入し
て、クランク軸33の中央に軸線方向に形成した給油管
43を経て旋回軸受33Bおよび主軸受34に供給しそ
れらを潤滑するとともに冷却する。旋回軸受33Bと主
軸受34との間の高圧液溜め部に達した潤滑油42の一
部は、可動側スクロール32の給油路32Gを通じて固
定側スラスト面31Cと可動側スラスト面32Cとの間
に供給され圧縮機構部30の摺動部を潤滑するとともに
シールをする一方、可動側スクロール32の可動側鏡板
32Bの外周背部の背圧室28へ絞りを経て所定の減圧
を受けた後に達し、可動側スクロール32をバックアッ
プして固定側スクロール31から離れたり転覆したりし
ないようにする。また、背圧室28は前記オルダムリン
グ35の設置空間にも通じていて、オルダムリング35
と可動側スクロール32および主軸受部材29との間の
摺動部も潤滑する。圧縮機構部30を潤滑した潤滑油4
2は冷媒とともに容器10内に吐出される。以上のよう
な潤滑油42の働きは圧縮機構部30から一旦容器10
内に吐出される冷媒の吐出圧を貯留されている潤滑油4
2に働かせ、この吐出圧によってクランク軸33を通じ
て給油することによっても行える。
【0028】以上のような構成を有し運転に振動が少な
く比較的静かなスクロール式の圧縮機において、摺動し
合う1組の部材は相互間に圧縮室30Aを形成する固定
側スクロール31と可動側スクロール32、あるいは、
可動側スクロール32とこれの自転を拘束して円軌道運
動させる自転拘束手段の部材としてのオルダムリング3
5、の各組合せで代表される。これらの組における少な
くとも1組の部材の双方がAl合金により形成されてい
るようにすると、それらによる軽量化が図れる上、一方
の摺動面にのみ形成した前記鉄系硬質膜により異種金属
間の摺動構造が実現するので、同一材質どうしの間で潤
滑が不足したときに生じやすい凝着の問題を回避するこ
とができる。もっとも、1組の部材の双方に鉄系硬質膜
を形成して双方間の高い潤滑性、耐摩耗性、およびシー
ル性を確保するようにもできるが、一方に設けるだけで
よい分コストが低減する。
【0029】本例では、固定側スクロール31、可動側
スクロール32、およびオルダムリング35をAl合金
部材としてあり、特に、図1(b)に示すように可動側
スクロール32に鉄系硬質膜100として鉄メッキが施
されている。この鉄メッキの表面は固体潤滑剤と共にシ
ョットピーニングがかけられ、瞬間的に溶融・冷却され
た鉄メッキの表層部には固体潤滑剤が分散された再溶融
処理層を形成している。鉄メッキの厚さは5〜100μ
m、再溶融処理層の厚さは2〜30μm、表面粗さはR
max8μm以下とすることが好ましい。この鉄メッキ
は、可動側スクロール32の可動側羽根部材32A、可
動側鏡板32B、可動側スラスト面32C、背面32
E、オルダムリング35の突起と係合する係合溝、旋回
軸32Fに形成されている。つまり全面に形成されてい
る。
【0030】固定側羽根部材31Aと可動側羽根部材3
2Aとの側面は、可動側スクロール32の駆動中常に複
数箇所において接触する。この接触個所は、可動側スク
ロール32が円軌道運動する公転にともなって移動す
る。これが圧縮室30Aの外周部から中央部への移動と
なって徐々に狭くなる。このときの容積変化によって前
記した吸入、圧縮、吐出の作用が行われる。
【0031】一方、容器10内底部にある潤滑油42
は、容積ポンプ41によって給油管43から吸い上げら
れ、クランク軸33に設けられた給油管43を通って、
旋回軸受33B、旋回軸32Fに供給され、その後可動
側スクロール32に形成された給油路32Gを通って固
定側スラスト面31Cと可動側スラスト面32Cに供給
される。この固定側スラスト面31Cと可動側スラスト
面32Cとの間に供給された潤滑油42は、冷媒ととも
に圧縮室30A内に吸入され、固定側羽根部材31Aや
可動側羽根部材32Aに供給される。
【0032】上記のように、原理的に低振動であるスク
ロール圧縮機の可動側スクロール32に鉄メッキが施さ
れて鉄系硬質膜100を形成しているため、低摩擦、高
耐摩耗またドライ状態での運転が可能であるが、さらに
可動側羽根部材32Aに吸着された潤滑油42によって
圧縮室30Aのシールが確保されるため、潤滑油42が
不足になりがちな始動などの過渡運転における漏れも低
減でき、圧縮機の性能を向上できる。またオルダムリン
グ35の突起と係合する係合溝においては、潤滑油42
不足になる始動などの過渡運転でも固体潤滑剤の作用で
高速始動ができ、その結果立上り性能を向上できる。
【0033】なお、上記実施例では可動側スクロール3
2に鉄メッキを設けたが、固定側スクロール31とオル
ダムリング35に鉄メッキを設けても同じ作用および効
果が得られる。また鉄系硬質膜100として鉄溶射を用
いても同じ作用および効果が得られる。また再溶融処理
層をレーザで形成しても同じ作用および効果が得られ、
レーザによる場合ではさらに表面がポーラスになり、保
油性は高く、更なる低摩擦かつ高耐摩耗が期待できる。
また固体潤滑剤としては、MoS2、WS2、カーボン
などがあげられる。
【0034】図2、図3に示す例はロータリ圧縮機の場
合の一例である。図2に示すように圧縮機構部50が図
1の場合と同様な電動機部20と共に容器10に収容さ
れ、容器10はその吸入管11と吐出管12とが外部サ
イクルに接続されて密閉状態になり、メンテナンスフリ
ーな圧縮機を構成している。なお、図1に示す場合と共
通する部材などには同一の符号を付し重複する説明は省
略する。
【0035】圧縮機構部50は、シリンダ51と、シリ
ンダ51内を回動するピストン52と、シリンダ51と
ピストン52によって形成される空間を図3に示すよう
に圧縮空間50Aおよび吸入空間50Bに分離するベー
ン53と、シリンダ51およびピストン52の両端面を
閉塞する図2に示すような上下軸受部材54、55と、
ピストン52に駆動力を伝達するクランク軸56とを備
えている。
【0036】シリンダ51には図3に示すように、ベー
ン53を装着するベーン溝51Aと、冷媒を吸入する吸
入孔51Bと、冷媒を吐出する吐出孔51Cを設けてい
る。ベーン53は図3に示すように背部に配した弾性体
53Aにより常にピストン52側に押圧されている。ク
ランク軸56は図2、図3に示すようにクランク部56
Aを有し、ピストン52はこのクランク部56Aの外ま
わりに設けられている。
【0037】上軸受部材54には図示しないが吐出孔5
1Cと連通する吐出ポートを設けている。容器10の下
部には、潤滑油42が貯留され、この潤滑油42は、吐
出圧またはクランク軸56の下端部に設けた図示しない
潤滑ポンプによって汲み上げられ、ないしは吐出圧によ
って圧縮機構部50の摺動部に供給される。
【0038】上軸受部材54と下軸受部材55は、シリ
ンダ51内にピストン52を装着した状態で、シリンダ
51を上下両端から挟み込んでボルトなどによって固定
されそれらを閉塞している。
【0039】このような部品点数の少ない簡単な構造の
ロータリ圧縮機で、摺動し合う1組の部材は、シリンダ
51と、このシリンダ51内で回動するピストン52
と、これらシリンダ51およびピストン52によって形
成される空間を圧縮空間50Aおよび吸入空間50Bに
分離するシリンダ51側のベーン53と、シリンダ51
およびピストン52の両端面を閉塞する上下軸受部材5
4,55と、前記ピストン52に駆動力を伝達するクラ
ンク軸56とし、ピストン52をAl合金で形成し、こ
のピストン52に図に示すような前記鉄系硬質膜100
を形成する。これによると、ピストン52の1つを鉄系
硬質膜100を形成したAl合金部材とするだけで、こ
のピストン52と摺動し合うシリンダ51、ベーン5
3、上下軸受部材54、55およびクランク軸56との
間の全摺動部において、前記鉄系硬質膜による異種金属
どうしの摺動構造の実現と、高い潤滑性と耐摩耗性とシ
ール性を確保し、かつ、ピストン52の疲労強度を高め
ることができ、しかも、偏心回転するピストンの軽量化
が図れた分だけピストン52が偏心回転することに対す
るバランサの小型化、軽量化も同時に図れる。
【0040】本例では特に、圧縮機構部50を構成する
シリンダ51およびピストン52をAl合金で形成す
る。Al合金として焼結材を用いることもできる。ピス
トン52には鉄系硬質膜100として鉄メッキが施され
同じAl合金部材であるシリンダ51との摺動部を異種
金属構造にしている。この鉄メッキの表面は固体潤滑剤
と共にショットピーニングがかけられ、瞬間的に溶融・
冷却された鉄メッキの表層部には固体潤滑剤が分散され
た再溶融処理層が形成されている。鉄メッキの厚さは5
〜100μm、再溶融処理層の厚さは2〜30μm、表
面粗さはRmax8μm以下とすることが好ましい。こ
の鉄メッキは、ピストン52の外周面に形成されてい
る。
【0041】電動機部20によってクランク軸56が回
転するのに伴いピストン52はシリンダ51内を偏心回
動する。ピストン52はベーン53が当接したままで、
シリンダ51内を図3の矢印の方向に回動する。この回
動に伴って、吸入空間50Bは、吸入孔51Bが連通状
態にある間、冷媒の吸入を続ける。そしてピストン52
のシリンダ51との接触位置が、吸入孔51Bを通過し
たときに冷媒の吸入を終了する。その後は、圧縮空間5
0Aとして冷媒を圧縮する。ピストン52のシリンダ5
1との接触位置が吐出孔51Cに近づき、冷媒が所定圧
まで圧縮される時点で、圧縮空間50A内の冷媒を吐出
孔51Cから容器10内に吐出する。
【0042】一方、容器10内の下部にある潤滑油42
は吐出圧またはクランク軸56の回転に伴う潤滑ポンプ
の働きによって吸い上げられ、クランク軸56に設けら
れた給油路を通じ上下軸受部材54、55やピストン5
2の摺動面に供給される。圧縮空間50Aや吸入空間5
0Bに供給された潤滑油42は、冷媒とともに容器10
内に吐出される。
【0043】このように、スクロール圧縮機に比べ部品
点数が少なくて低価格であるロータリ圧縮機において、
Al合金部材としたピストン52の外周面に鉄メッキが
形成されているため、低摩擦、高耐摩耗またドライ状態
での運転が可能であるが、さらにピストン52がAl合
金で軽量であるためその偏心回転に対応するためロータ
22に設けるバランスウェイトを小型化、軽量化がで
き、その結果、さらに高速での運転が可能となり、能力
制御幅を拡大できる。
【0044】なお、上記実施例ではピストン52の外周
面のみに鉄メッキを設けたが、表面全体に鉄系硬質膜1
00を設けてもシリンダ51以外の部材との摺動部を含
め同じ作用および効果が得られるし、ピストン52の疲
労強度の向上に有効である。また鉄系硬質膜100とし
て鉄溶射を用いても同じ作用および効果が得られる。ま
た再溶融処理層をレーザで形成しても同じ作用および効
果が得られる。ただし、レーザでは表面がポーラスにな
り、保油性が高く、さらなる低摩擦かつ高耐摩耗が期待
できる。また固体潤滑剤としては、MoS2、WS2、
カーボンなどがあげられる。
【0045】図4、図5に示す例は開放型でベーン型の
ロータリ圧縮機の場合の一例であり、図に示すように圧
縮機構部60は、シリンダ57と、ロータ58と、ベー
ン59と、前部側板61aと、後部側板61と、駆動軸
62で構成されている。シリンダ57は内周面を摺接面
とした筒状に形成されている。このシリンダ57は前部
側板61aと後部側板61との間にボルトで固定されて
いる。
【0046】駆動軸62の両端は前部側板61aの軸受
63と後部側板61の軸受63Aによって支持されてい
る。この駆動軸62の中間部分には円柱状のロータ58
が取り付けられている。ロータ58にはベーン溝64が
形成され、ベーン溝64にはベーン59が摺動自在に収
納されている。背圧室65に供給される潤滑油42の油
圧によってベーン59はベーン溝64から突出する方向
に付勢されている。そして、ベーン59の先端はシリン
ダ57の内周面に摺接しながらロータ58とともに回転
し、隣り合うベーン59の間に吸入室66と圧縮室67
が形成される。吸入室66は、シリンダ57に設けられ
た吸入口68に通じ、圧縮室67はシリンダ57に設け
られた吐出口69に通じている。吐出口69はリアケー
ス61bに通じ、高圧となっているリアケース61b内
の下部には潤滑油42が貯留され、例えば吐出圧によっ
て圧縮機構部60の摺動部と前記背圧室65に供給され
る。
【0047】本例では、シリンダ57、前部側板60、
後部側板61およびベーン59をAl合金としてある。
Al合金として焼結材を用いることもできる。シリンダ
57の内周には図に実線で示すように鉄系硬質膜100
として鉄メッキが施されている。この鉄メッキの表面は
固体潤滑剤と共にショットピーニングがかけられ、瞬間
的に溶融・冷却された鉄メッキの表層部には固体潤滑剤
が分散された再溶融処理層が形成されている。鉄メッキ
の厚さは5〜100μm、再溶融処理層の厚さは2〜3
0μm、表面粗さはRmax8μm以下とすることが好
ましい。この鉄メッキは、シリンダ57の内周面に形成
されている。
【0048】本例のロータリ圧縮機は例えば、エンジン
からベルトを介して駆動軸62に動力が伝達されロータ
58が回転する。この回転による遠心力と背圧室65の
油圧によってベーン59はベーン溝64から突出し、ベ
ーン59の先端はシリンダ57の内周面に摺接しながら
ロータ58とともに回転する。ロータ58の回転に伴っ
て、冷媒を吸入口68から吸入室66に吸入し、その後
圧縮室67で圧縮して吐出口69、リアケース61bを
経て外部に吐出する。一方、潤滑油42はその一部がシ
リンダ57に供給され、前部側板60、後部側板61と
ロータ58との隙間やシリンダ57内周面の潤滑を行
う。
【0049】以上のように、シリンダ57の内周面に鉄
メッキが形成されているため、低摩擦、高耐摩耗またド
ライ状態での運転が可能であるが、さらにヤング率が大
きくなるので疲労強度は高くなる。その結果、Al合金
のみの場合に比べより高負荷での運転が可能となり、運
転可能な最大負荷をさらに大きくできる。そこで、鉄系
硬質膜100は図に仮想線で示すように内外周面双方、
あるいは全面に設けるほど疲労強度を高められる。全面
ではメッキ操作が簡単な浸漬方式でよくなる。
【0050】なお、上記実施例では鉄メッキを設けた
が、鉄系硬質膜として鉄溶射を用いても同じ作用および
効果が得られる。また再溶融処理層をレーザで形成して
も同じ作用および効果が得られる。ただし、レーザでは
表面がポーラスになり、保油性が高く、更なる低摩擦か
つ高耐摩耗が期待できる。また固体潤滑剤としては、M
oS2、WS2、カーボンなどがあげられる。
【0051】図6に示す例はリニアモータを利用したレ
シプロ式のリニア圧縮機の場合の一例である。図に示す
ように、容器10内にシリンダ71、ピストン72、リ
ニアモータ73、バネ機構部83を収容している。容器
10は吸入管11と吐出管12とにより外部サイクルと
接続されて密閉状態になる。
【0052】リニアモータ73はアウターヨーク74に
埋設されるステータ75と、ステータ75と相対向する
内側に配置されインナーヨーク76に固持されるマグネ
ット77とで構成されている。シリンダ71はピストン
72を摺動自在に嵌め合わせ支持するシリンダ孔71A
とフランジ部71Bを有し、フランジ部71Bにはアウ
ターヨーク74が連結されている。
【0053】一方、ピストン72はその前端側の開口部
72Aに自身の進退に伴い開閉するように保持した吸入
バルブ78を持ち、後端のフランジ部72Bにはインナ
ーヨーク76が連結されている。なお、インナーヨーク
76はシリンダ71の外周に摺動可能に支持され、前記
したようにマグネット77を固持している。また、ピス
トン72は冷媒を導入するための吸入孔79を有してい
る。シリンダ71の前面側は、吐出バルブ支持体80に
より閉止され、ピストン72の前端面との間に圧縮室8
1を形成している。また、吐出バルブ支持体80内の中
心部には、吐出バルブ(図示せず)が収納されている。
また吐出バルブ支持体80は、消音室を形成するマフラ
82を介して螺旋状の吐出管12に接続されている。
【0054】アウターヨーク74およびピストン72の
後端側にはバネ機構部83の共振バネ84が固定されて
いる。この共振バネ84は支持バネ85を介して容器1
0に保持されている。また、容器10の前側に保持され
る支持バネ85Aはマフラ82を保持している。容器1
0の下部には、潤滑油42が貯留されている。
【0055】本例ではシリンダ71およびピストン72
をAl合金で形成してある。Al合金として焼結材を用
いることもできる。ピストン72の外周面には鉄系硬質
膜100として鉄メッキが施されている。この鉄メッキ
の表面は固体潤滑剤と共にショットピーニングがかけら
れ、瞬間的に溶融・冷却された鉄メッキの表層部には固
体潤滑剤が分散された再溶融処理層が形成されている。
鉄メッキの厚さは5〜100μm、再溶融処理層の厚さ
は2〜30μm、表面粗さはRmax8μm以下とする
ことが好ましい。
【0056】リニアモータ73のステータ75に通電す
ることによってマグネット77との間に渦流電流が流れ
る。この結果、ピストン72が吐出管12側と反対の方
向に移動する(すなわち、後退する)。このため、吸入
孔79から導入された冷媒が吸入バルブ72Aを開放
し、圧縮室81内に吸入される。なお、ピストン72の
後退により共振バネ84や支持バネ85がチャージされ
てエネルギーが蓄積される。
【0057】この状態でステータ75の通電を停止する
と、共振バネ84等に蓄積されたエネルギーが放出さ
れ、ピストン72が吐出管12の方向に移動する(すな
わち、前進する)。これにより、吸入バルブ78が閉止
し、圧縮室81内の冷媒が圧縮される。そして圧縮され
た冷媒は、吐出バルブ支持体80の中央部に設けられて
いる吐出バルブを押し開き、マフラ82内に吐出されて
消音され、螺旋状の吐出管12内を流れ外部サイクルに
供給される。一方、潤滑油42は共振バネ84および支
持バネ85の攪拌作用により飛散して冷媒とともに圧縮
機構部70におけるシリンダ71およびピストン72の
摺動部に搬送され、摺動部を潤滑する。
【0058】以上のように、リニアモータ73の内部に
圧縮機構部70が収納されているので超小型となるリニ
ア圧縮機において、ピストン72には鉄メッキが形成さ
れ、低摩擦、高耐摩耗またドライでの運転が可能であ
る。さらに始動時や停止時に発生するピストン72とシ
リンダ71との片当りによる摩耗や焼付きを防止できる
ため、必要な潤滑油量を減らすことができ、少潤滑油量
が可能である。
【0059】なお、上記実施例ではピストン72の外周
面のみに鉄メッキを設けたが、表面全体に鉄メッキを設
けても同じ作用および効果が得られ、疲労強度を高める
のに好適となり、メッキ操作が簡単な浸漬方式でよくな
る。また鉄系硬質膜として鉄溶射を用いても同じ作用お
よび効果が得られる。また再溶融処理層をレーザで形成
しても同じ作用および効果が得られる。ただし、レーザ
では表面がポーラスになり、保油性が高く、更なる低摩
擦かつ高耐摩耗が期待できる。また固体潤滑剤として
は、MoS2、WS2、カーボンなどがあげられる。
【0060】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、請求項
1記載の発明によれば、塩素を含まない代替冷媒又はC
O2を用いるのでオゾン層を破壊しない。また、これに
相溶な潤滑油に用いるので、それ自体が供給されること
による潤滑に加え、冷媒によって持ち運ばれることによ
る潤滑も行える。特に、摺動し合いかつ冷媒に触れる少
なくとも1組の部材の少なくとも1つをAl合金で形成
して、Al合金化した部材数に比例した軽量化が図れる
上、Al合金部材の少なくとも1つの摺動面にて、アル
マイト処理層のように脆くない安定な鉄系硬質膜の硬質
性による低摩擦係数化と優れた油吸着性による高潤滑性
とを確保し、この摺動面が臨む摺動部での耐摩耗性を長
期に高められるのに併せ、前記鉄系硬質膜がAl合金部
材の疲労強度をも長期に高められるので、長寿命化が図
れる。また、前記高潤滑性は高シール性をも発揮するの
で高い圧縮性能が長期に安定して得られる。
【0061】請求項2記載の発明によれば、請求項1に
記載の発明に加え、さらに、鉄系硬質膜の表面に再溶融
処理層を設けているものであり、耐摩耗性をさらに向上
できる。
【0062】請求項3記載の発明によれば、請求項2記
載の発明に加え、さらに、再溶融処理層に固体潤滑剤を
分散しているものであり、ドライ運転ができる。
【0063】請求項4または5記載の発明によれば、請
求項1〜3記載の発明のいずれか1つに加え、さらに、
スクロール圧縮機の1組の部材である固定側スクロール
と可動側スクロール、またはおよび可動側スクロールと
自転拘束手段の部材、の組における双方をAl合金部材
としてさらなる軽量化を図りながら、その一方の摺動面
にのみ前記鉄系硬質膜を形成することによって異種金属
間の摺動構造が実現し、同一材質どうしの間で潤滑が不
足したときに生じやすい凝着の問題を回避することがで
き、潤滑油不足になる始動などの過渡運転でも高速始動
ができ、その結果立上り性能を向上できる。
【0064】請求項6記載の発明によれば、請求項1〜
3記載の発明のいずれか1つに加え、さらに、部品点数
が少なく簡単な構造のロータリ圧縮機におけるピストン
1つを鉄系硬質膜を形成したAl合金部材とするだけ
で、このピストンと摺動し合うシリンダ、ベーン、上下
軸受部材およびクランク軸との間の全摺動部において、
異種金属どうしの摺動構造の実現と、前記鉄系硬質膜に
よる高い潤滑性と耐摩耗性とシール性を確保し、かつ、
ピストンの疲労強度を高めることができ、しかも、偏心
回転するピストンの軽量化が図れた分だけピストンが偏
心回転することに対するバランサの小型化、軽量化も同
時に図ることができ、この結果、さらに高速での運転が
可能となり、能力制御幅を拡大できる。
【0065】請求項7記載の発明によれば、部品点数が
少なく簡単な構造のベーン型のロータリ圧縮機における
ロータが偏心回転しないことを利用し、他の部材をAl
合金部材として大幅な軽量化を図りながら、シリンダの
みの摺動面に鉄系硬質膜を設けるだけで、摺動の激しい
シリンダとロータおよびベーンとの間で鉄系硬質膜によ
る高い潤滑性、耐摩耗性およびシール性を確保し、かつ
圧力容器となるシリンダの疲労強度を高めて運転可能な
最大負荷をさらに大きくすることができる。
【0066】請求項8記載の発明によれば、請求項1〜
3記載の発明のいずれか1つにおいて、さらに、リニア
圧縮機のシリンダとピストンをAl合金部材として双方
で軽量化を図りながら、レスプロ式の圧縮機の場合、通
常、始動時や停止時のピストンとシリンダとの片当たり
が摩耗や焼付きの原因になりやすく潤滑油量を多く設定
するところを、ピストンとシリンダとの少なくとも一方
に形成した鉄系硬質膜により高い潤滑性、耐摩耗性およ
びシール性を得て始動時および停止時のための必要潤滑
油量を少なく抑えられる。しかも、圧力容器となるシリ
ンダ側に鉄系硬質膜を形成して疲労強度を高めると、運
転可能な最大負荷をさらに大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機の
場合の例を示し、(a)は全体の断面図、(b)は固定
側、可動側各スクロールの一部拡大断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るロータリ圧縮機の場
合の例を示す断面図。
【図3】図2の圧縮機における圧縮機構部の断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るベーン型のロータリ
圧縮機の場合の例を示す断面図。
【図5】図4の圧縮機における圧縮機構部の断面図。
【図6】本発明の実施の形態に係るリニア圧縮機の場合
の例を示す断面図。
【図7】従来のレシプロ圧縮機の場合の例を示す断面
図。
【符号の説明】
10 容器 20 電動機部 30、50、60、70 圧縮機構部 31 固定側スクロール 32 可動側スクロール 33 クランク軸 35 オルダムリング 42 潤滑油 51 シリンダ 52 ピストン 53 ベーン 54 上軸受部材 55 下軸受部材 56 クランク軸 57 シリンダ 58 ロータ 59 ベーン 60 前部側板 61 後部側板 62 駆動軸 71 シリンダ 72 ピストン 73 リニアモータ 83 バネ機構部 84 共振バネ 85 支持バネ 100 鉄系硬質膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04C 29/00 F04C 29/00 U (72)発明者 足立 徹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3H003 AA02 AB01 AC03 AD01 BD00 CB00 CD03 3H029 AA02 AA04 AA05 AB03 BB44 CC03 CC05 CC38 3H039 AA06 BB04 BB11 CC04 CC35 3H040 AA09 BB01 CC01 CC08 CC14 DD02 DD07 DD36 3H076 AA02 BB17 CC04 CC30 CC34

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒としてHFC系冷媒、HC系冷媒又
    はCO2を用い、圧縮機構部の潤滑油としてエステル
    油、エーテル油、PAG油、カーボネイト油、アルキル
    ベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を用
    いる圧縮機であって、圧縮機構部の摺動し合う少なくと
    も1組の部材の少なくとも1つをAl合金で形成し、A
    l合金よりなる少なくとも1つの部材の摺動面に鉄系硬
    質膜を形成していることを特徴とする圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記鉄系硬質膜の表面に再溶融処理層を
    設けていることを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記再溶融処理層に固体潤滑剤が分散し
    ていることを特徴とする請求項2記載の圧縮機。
  4. 【請求項4】 1組の部材は、スクロール圧縮機におい
    て、相互間に圧縮室を形成する固定側スクロールと可動
    側スクロールとであり、双方がAl合金により形成され
    ていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の圧縮機。
  5. 【請求項5】 1組の部材は、スクロール圧縮機におい
    て、固定側スクロールとの間に圧縮室を形成する可動側
    スクロールとこれを自転を拘束して円軌道運動させる自
    転拘束手段の部材であり、双方がAl合金により形成さ
    れていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の圧縮機。
  6. 【請求項6】 1組の部材は、ロータリ圧縮機における
    シリンダと、このシリンダ内で回動するピストンと、こ
    れらシリンダおよびピストンによって形成される空間を
    圧縮空間および吸入空間に分離するシリンダ側のベーン
    と、シリンダおよびピストンの両端面を閉塞する上下軸
    受部材と、前記ピストンに駆動力を伝達するクランク軸
    とであり、ピストンがAl合金で形成され、このピスト
    ンに前記鉄系硬質膜を形成したことを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  7. 【請求項7】 1組の部材は、ベーン型のロータリ圧縮
    機における、シリンダと、このシリンダの内部に配設さ
    れたロータと、このロータを軸支し前記シリンダの前後
    両端を閉塞する前部側板および後部側板と、前記ロータ
    に形成されたベーン溝内に摺動自在に収容されたベーン
    とであり、前記シリンダ、前部側板、後部側板およびベ
    ーンをAl合金で形成し、シリンダに前記鉄系硬質膜を
    形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の圧縮機。
  8. 【請求項8】 1組の部材は、リニア圧縮機における、
    シリンダと、このシリンダにその軸線方向に沿って摺動
    自在に支持されるピストンとであり、これらシリンダお
    よびピストンをAl合金で形成し、その少なくとも一方
    に前記鉄系硬質膜を形成したことを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
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