JP2003172044A - 免震装置 - Google Patents

免震装置

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Sugimoto Kenchiku Kenkyusho KK
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(57)【要約】 【課題】 構成が簡単で、装置全体をコンパクトに形成
することができ、振動の規模に容易に対応することので
きる免震装置を提供する。 【解決手段】 基礎構造物8に固着され、摺動面2aと
摺動面2aに立設された周壁2bとを有する筐体2と、
基礎構造物8の上方に配設される上部構造物12に固着
される可動部材3に一体に設けられ、筐体2の摺動面2
a上を移動可能なスライダ4と、一端がスライダ4に一
体に、他端が筐体2の周壁2bと当接可能に設けられ、
スライダ4を筐体2の摺動面2aの中央部に付勢する複
数の板ばね6、7とを備える免震装置。筐体2の周壁2
bは、円筒状に形成され、板ばね6、7は、上下方向に
2段に設けられることが好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免震装置に関し、
特に、住宅等の低層建築物に設置される免震装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】地震等によって基礎構造物が振動する
と、基礎構造物上に構築された上部構造物には、揺れに
よる大きな繰返し応力が発生する。そして、振動規模が
大きい場合には、上部構造物が変形したり、破損、倒壊
し、大きな被害が生じるおそれがある。
【0003】上述の被害を防止するため、基礎構造物と
上部構造物との間に振動を減衰させる免震装置を介在さ
せたり、上部構造物の中に上部構造物の振動エネルギー
を吸収する水槽を設置する等各種の振動対策技術が開発
されている。
【0004】基礎構造物と上部構造物の間に介在させる
免震装置には、基礎構造物に対して上部構造物を水平方
向にスライド可能にしたスライド形式の免震装置や、基
礎構造物と上部構造物とを弾性体を介して連結した弾性
体介在形式のものがある。
【0005】ここで、スライド形式の免震装置には、基
礎構造物と上部構造物とを摺動面で重ね合わせたもの
や、基礎構造物と上部構造物との間に転動可能なローラ
を挿入したものがある。そして、基礎構造物が振動する
と、上部構造物がその水平力を受けた方向に移動しよう
とするが、その際に減衰装置が機能する。このスライド
形式の免震装置では、スライドする上部構造物が何物に
も衝突することなく停止するための広いスライド面が必
要であり、免震装置の全体容積が大型化する問題があ
る。
【0006】一方、弾性体介在型の免震装置では、基礎
構造物に生じる振動をすべて弾性体で受け、剪断方向の
弾性変形により衝撃を発生させることなく減衰するた
め、弾性体は強い振動に耐えることができ、しかも、振
動振幅よりも大きい弾性変形量が必要である。この弾性
体には、一般に広い面積のゴム材を複数段に積層した大
型のものが使用されるが、免震装置全体構成が複雑にな
り、大型化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記従来の免震装置における問題点等に鑑みてなされたも
のであって、構成が簡単で、装置全体をコンパクトに形
成することができ、振動の規模に容易に対応することの
できる複合型の免震装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、免震装置であって、基礎構
造物に固着され、摺動面と該摺動面に立設された周壁と
を有する筐体と、前記基礎構造物の上方に配設される上
部構造物に固着される可動部材に一体に設けられ、前記
筐体の摺動面上を移動可能なスライダと、一端が該スラ
イダに一体に、他端が前記筐体の周壁と当接可能に設け
られ、前記スライダを前記筐体の摺動面の中央部に付勢
する複数の板ばねとを備えることを特徴とする。
【0009】請求項1記載の発明によれば、地震等によ
り基礎構造物とともに筐体が水平方向に振動した場合に
スライダ4が筐体の摺動面上をスライドし、板ばねが弾
性変形する。そして、スライダの摺動面に対する相対的
移動量が増加するに従って、板ばねの弾性力が大きくな
ってスライダの相対的移動量を抑制する。そのため、基
礎構造物が振幅の大きい振動を受けてもスライダが摺動
面上を大きく移動することなく上部構造物の振動が低減
される。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の免
震装置の好ましい一形態として、前記筐体の周壁は、円
筒状に形成されることを特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の免震装置において、前記板ばねは、上下方向に2
段に設けられることを特徴とする。これによって、免震
装置をよりコンパクトに構成することができる。
【0012】請求項4記載の発明は、免震装置であっ
て、基礎構造物に固着され、摺動面と該摺動面に立設さ
れた周壁とを有する第1筐体と、該第1筐体の摺動面に
摺動可能に載置され、摺動面と該摺動面に立設された周
壁とを有する第2筐体と、前記基礎構造物の上方に配設
される上部構造物に固着される可動部材に一体に設けら
れ、前記第2筐体の摺動面上を移動可能なスライダと、
一端が該スライダに一体に、他端が前記第2筐体の周壁
と当接可能に設けられ、前記スライダを前記第2筐体の
摺動面の中央部に付勢する複数の第1板ばねと、一端が
前記第2筐体の外側周壁に一体に、他端が前記第1筐体
の内側周壁に当接可能に設けられ、前記第2筐体を前記
第1筐体の摺動面の中央部に付勢する複数の第2板ばね
とを備えることを特徴とする。
【0013】請求項4記載の発明によれば、地震等によ
り基礎構造物とともに筐体が水平方向に振動した場合
に、第2筐体及びスライダが第1筐体及び第2筐体の摺
動面上をスライドし、第1及び第2板ばねが重なること
なく変形に応じるため、より大規模な建築物に対して、
構成が簡単で、コンパクトで、振動の規模に容易に対応
することのできる免震装置を提供することができる。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
いずれかに記載の免震装置において、前記可動部材と前
記スライダとの間に積層ゴムを有するゴムパッドを介装
したことを特徴とする。これによって、地震動の初期ま
たは微動の振動に対してより柔軟に対応することができ
る。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の
いずれかに記載の免震装置の好ましい一形態として、前
記基礎構造物と前記筐体または前記第1筐体とが水平調
整ボルトを介して固着されることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる免震装置の
実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0017】図1は、本発明にかかる免震装置の第1実
施例を示し、この免震装置1は、大きく分けて、基礎構
造物8に水平調整ボルトとして機能するボルト10、長
ナット11及びアンカーボルト9を介して固着された筐
体2と、上部構造物12に固着される可動部材3にゴム
パッド5を介して一体に設けられたスライダ4と、スラ
イダ4と筐体2の周壁2bとの間に介装された板ばね
6、7等で構成される。
【0018】筐体2は、平面円形の摺動面2aと、この
摺動面2aの縁部に立設された円筒状の周壁2bとを備
え、上方が開口している。そして、底面2cに固着され
たボルト10と、長ナット11及び基礎構造物8に植設
されたアンカーボルト9とを介して基礎構造物8に固着
される。摺動面2aの表面にはフッ素樹脂層または金属
板が敷設される。
【0019】可動部材3は、平面矩形状の板状部材であ
って、図示しない締結部材を介して上部構造物12に締
結される。
【0020】スライダ4は、中空の円筒状に形成され、
積層ゴムを有するゴムパッド5を介して可動部材3に一
体に設けられ、筐体2の摺動面2a上に移動可能に載置
される。スライダ4の底面4bには、複数箇所にフッ素
樹脂層または金属板からなる摺動部4aが配設される。
摺動部4aと摺動面2aの接触面積を調整することによ
り、摩擦力を調整することができる。また、スライダ4
の円筒状側面には、防震ゴム13が巻回、固着される。
【0021】スライダ4と筐体2の周壁2bとの間に
は、その一端がスライダ4の円筒状側面に一体に固定さ
れ、他端が筐体2の周壁2bと当接可能な板ばね6、7
が設けられる。この板ばね6、7は、上下方向に2段に
設けられ、スライダ4を筐体2の摺動面の中央部に付勢
し、スライダ4の移動量を減衰させる。
【0022】次に、上記構成を有する免震装置1の動作
について説明する。
【0023】振動の発生しない通常状態では、図1
(a)に示すように、スライダ4が、筐体2の摺動面2
aの略々中央部に位置する。そして、地震等により基礎
構造物8とともに筐体2が水平方向に振動すると、図2
に示すように、スライダ4が摺動面2a上をスライド
し、板ばね6、7の先端が周面2bに当接し、板ばね
6、7が弾性変形する。この際、スライダ4の摺動面2
aに対する相対的移動量が増加するに従って、板ばね
6、7の弾性力が大きくなり、スライダ4の相対的移動
量を抑制する。従って、基礎構造物8が振幅の大きい振
動を受けてもスライダ4が摺動面2a上を大きく移動す
ることはなく、これに伴って、上部構造物12の振動が
低減される。
【0024】次に、図3を参照しながら本発明にかかる
免震装置の第2実施例について説明する。
【0025】本実施例にかかる免震装置21は、第1実
施例にかかる免震装置1よりは大規模の建築物に適用す
るものであって、基礎構造物8に固着された第1筐体2
2と、第1筐体22の摺動面をスライドする第2筐体2
3とを備えることを特徴としている。すなわち、この免
震装置は、大きく分けて、第1筐体22と、第2筐体2
3と、上部構造物12に固着される可動部材3に一体に
設けられたスライダ24と、スライダ24と第2筐体2
3と間に介装された第1板ばね26、27と、第1筐体
22と第2筐体23と間に介装された第2板ばね28、
29等で構成される。
【0026】第1筐体22は、平面円形の摺動面22a
と、この摺動面22aの縁部に立設された円筒状の周壁
22bとを備え、底面に固着された水平調整ボルトとし
て機能するボルト10と、長ナット11及び基礎構造物
8に植設されたアンカーボルト9とを介して基礎構造物
8に固着される。摺動面2aの表面にはフッ素樹脂層ま
たは金属板が敷設される。
【0027】第2筐体23は、平面円形の摺動面23a
と、この摺動面23aの縁部に立設された円筒状の周壁
23bとを備え、第1筐体22の摺動面22a上に移動
可能に載置される。第2筐体23の底面23cには、複
数箇所にフッ素樹脂層または金属板からなる摺動部23
dが配設される。摺動部23dと摺動面22aの接触面
積を調整することにより、摩擦力を調整することができ
る。また、第2筐体23の円筒状側面には、防震ゴム3
0が巻回、固着される。
【0028】スライダ24は、中空の円筒状に形成さ
れ、複数の板状のゴムが積層されたゴムパッド5を介し
て可動部材3に一体に設けられ、第2筐体23の摺動面
23a上に移動可能に載置される。スライダ24の底面
24bには、複数箇所にフッ素樹脂層または金属板から
なる摺動部24aが配設される。また、スライダ24の
円筒状側面には、防震ゴム31が巻回、固着される。
【0029】スライダ24と第2筐体23との間には、
その一端がスライダ24に一体に、他端が第2筐体23
の周壁23bと当接可能な複数の第1板ばね26、27
が上下方向に2段に設けられ、スライダ24を第2筐体
23の摺動面23aの中央部に付勢する。
【0030】また、第2筐体23と第1筐体22との間
には、その一端が第2筐体23の外側周壁に一体に、他
端が第1筐体22の内側周壁に当接可能な複数の第2板
ばね28、29が上下方向に2段に設けられ、第2筐体
23を第1筐体22の摺動面22aの中央部に付勢す
る。
【0031】上記構成を有する免震装置21の動作は、
第1実施例にかかる免震装置1と略々同様であるが、第
1筐体22及び第2筐体23と2つの筐体が設けられて
いるため、第1板ばね26、27と、第2板ばね28、
29とでスライダ24の相対的移動量を抑制することが
できる。そのため、基礎構造物8が振幅の大きい振動を
受けてもスライダ24が摺動面2a上を大きく移動する
ことはなく、比較的大規模の上部構造物12の振動を低
減することができる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
構成が簡単で、装置全体をコンパクトに形成することが
でき、振動の規模に容易に対応することのできる複合型
の免震装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる免震装置の第1実施例を示す図
であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線
断面図である。
【図2】図1の免震装置の動作を説明するための平面図
である。
【図3】本発明にかかる免震装置の第2実施例を示す図
であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線
断面図である。
【符号の説明】
1 免震装置 2 筐体 2a 摺動面 2b 周壁 2c 底面 3 可動部材 4 スライダ 4a 摺動部 4b 底面 5 ゴムパッド 6 板ばね 7 板ばね 8 基礎構造物 9 アンカーボルト 10 ボルト 11 長ナット 12 上部構造物 13 防震ゴム 21 免震装置 22 第1筐体 22a 摺動面 22b 周壁 23 第2筐体 23a 摺動面 23b 周壁 23c 底面 23d 摺動部 24 スライダ 24a 摺動部 24b 底面 26 第1ばね 27 第1ばね 28 第2ばね 29 第2ばね 30 防震ゴム 31 防震ゴム
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 15/073 F16F 15/073

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎構造物に固着され、摺動面と該摺動
    面に立設された周壁とを有する筐体と、 前記基礎構造物の上方に配設される上部構造物に固着さ
    れる可動部材に一体に設けられ、前記筐体の摺動面上を
    移動可能なスライダと、 一端が該スライダに一体に、他端が前記筐体の周壁と当
    接可能に設けられ、前記スライダを前記筐体の摺動面の
    中央部に付勢する複数の板ばねとを備えることを特徴と
    する免震装置。
  2. 【請求項2】 前記筐体の周壁は、円筒状に形成される
    ことを特徴とする請求項1記載の免震装置。
  3. 【請求項3】 前記板ばねは、上下方向に2段に設けら
    れることを特徴とする請求項1または2記載の免震装
    置。
  4. 【請求項4】 基礎構造物に固着され、摺動面と該摺動
    面に立設された周壁とを有する第1筐体と、 該第1筐体の摺動面に摺動可能に載置され、摺動面と該
    摺動面に立設された周壁とを有する第2筐体と、 前記基礎構造物の上方に配設される上部構造物に固着さ
    れる可動部材に一体に設けられ、前記第2筐体の摺動面
    上を移動可能なスライダと、 一端が該スライダに一体に、他端が前記第2筐体の周壁
    と当接可能に設けられ、前記スライダを前記第2筐体の
    摺動面の中央部に付勢する複数の第1板ばねと、 一端が前記第2筐体の外側周壁に一体に、他端が前記第
    1筐体の内側周壁に当接可能に設けられ、前記第2筐体
    を前記第1筐体の摺動面の中央部に付勢する複数の第2
    板ばねとを備えることを特徴とする免震装置。
  5. 【請求項5】 前記可動部材と前記スライダとの間に積
    層ゴムを有するゴムパッドを介装したことを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれかに記載の免震装置。
  6. 【請求項6】 前記基礎構造物と前記筐体または前記第
    1筐体とが水平調整ボルトを介して固着されることを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の免震装置。
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