JP2003171408A - 水性エマルジョンの製造方法 - Google Patents

水性エマルジョンの製造方法

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JP2003171408A JP2001368603A JP2001368603A JP2003171408A JP 2003171408 A JP2003171408 A JP 2003171408A JP 2001368603 A JP2001368603 A JP 2001368603A JP 2001368603 A JP2001368603 A JP 2001368603A JP 2003171408 A JP2003171408 A JP 2003171408A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホルムアルデヒドをほとんどまたはまったく
含有しないので、環境負荷が少なく、さらに低温におけ
る造膜性に優れる水性エマルジョンの製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 ホルムアルデヒド濃度が1ppm以下で
あるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン
をシードとして、ビニルエステル系単量体を乳化重合す
ることを特徴とする水性エマルジョンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性エマルジョン
の製造方法に関し、さらに詳しくは、ホルムアルデヒド
をほとんどまたはまったく含有しないため、環境負荷が
少なく、さらに低温における造膜性に優れた水性エマル
ジョンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリビニルアルコール(以下、P
VAと略記することがある)は、酢酸ビニルに代表され
るビニルエステル系単量体の乳化重合用保護コロイドと
して広く用いられており、これを保護コロイドとして用
いて乳化重合して得られるビニルエステル系水性エマル
ジョンは、紙用、木工用およびプラスチック用などの各
種接着剤、含浸紙用および不織製品用などの各種バイン
ダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工
などの分野で広く用いられている。このように広く用い
られている酢酸ビニル樹脂エマルジョンも種々の欠点を
有している。すなわち、粘度の温度依存性が大きく、冬
期などの低温時に粘度が著しく上昇して作業性が悪くな
る。特に、低温における造膜性が悪く、フタル酸ジブチ
ル(DBP)などの可塑剤の添加が必要である。従って
得られた皮膜は可塑剤の添加により可撓性は付与される
が、強度が弱くなり、耐熱性が低下する。特に冬期用と
して使用する場合にはDBPの添加量が多くなり、この
傾向が顕著になる。また、DBPは環境ホルモンとして
作用する化合物として取り上げられており、このような
化合物を含まない酢酸ビニル樹脂エマルジョンの開発が
急務である。このような状況下、特開平11−9273
4号公報などでエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エ
マルジョンをシードとした酢酸ビニル樹脂エマルジョン
が提案され、無可塑剤化を達成している。しかし、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンは高圧下
での重合コントロール性の観点から、過酸化水素/ソジ
ウムホルムアルデヒドスルホキシレート(通称ロンガリ
ット、以下ロンガリットと記述する)のレドックス系重
合開始剤が常用されるが、ロンガリットは分解時にホル
ムアルデヒドを発生するため、得られるエマルジョン中
にホルムアルデヒドが含まれるという重大な問題点を有
しており、昨今の環境問題から、ロンガリットの使用が
忌避されている。また、このようなホルムアルデヒドを
含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジ
ョンをシードとして使用して得られる酢酸ビニル樹脂エ
マルジョンは、低温における造膜性が充分優れていると
は言えない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、環境負荷が少なく、さらに低温における
造膜性に優れた水性エマルジョンを製造する方法を提供
することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の実
情に鑑み、鋭意検討した結果、けん化度70モル%以上
のビニルアルコール系重合体を分散剤として含有し、ホ
ルムアルデヒド濃度が1ppm以下であるエチレン−酢
酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンをシードとして、
ビニルエステル系単量体を乳化重合することを特徴とす
る水性エマルジョンの製造方法が上記目的を満足するも
のであるこを見出した。また、上記エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体系樹脂エマルジョンとして、けん化度70モ
ル%以上のビニルアルコール系重合体を分散剤として、
エチレンと酢酸ビニルを乳化重合する際に、過酸化水素
と酒石酸および/またはその金属塩からなるレドックス
系重合開始剤を用い、重合系のpHを3〜7に調整し、
鉄化合物を添加して得たエチレン−酢酸ビニル共重合体
系樹脂エマルジョンを使用することにより、上記目的が
より好適に達成されることを見出した。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水性エマルジョン
の製造方法について詳細に説明する。まず、シードとし
て使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマル
ジョンの製造法について説明する。シードとして使用す
るエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを
乳化重合により製造する際、分散剤として用いるけん化
度70モル%以上のビニルアルコール系重合体(以下、
PVA系重合体と略記する場合がある)は、常法によ
り、ビニルエステル系重合体をけん化することにより得
ることができる。ここで、ビニルエステルとしては、蟻
酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン
酸ビニルなどが挙げられるが、酢酸ビニルが好ましい。
【0006】また、上記分散剤を構成するPVA系重合
体は、本発明の目的を損なわない範囲で共重合可能なエ
チレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。この
ようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチ
レン、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィ
ン、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マ
レイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメ
チル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)
−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビ
ニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロ
リドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化
ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレ
ン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナ
トリウムなどが挙げられる。これらのエチレン性不飽和
単量体の内、エチレンが好適であり、またエチレン性不
飽和単量体、とくにエチレンの含有量は0.5〜20モ
ル%、さらには1〜15モル%であることが好適であ
る。また、上記分散剤としては、チオール酢酸、メルカ
プトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢
酸ビニルを重合し、または酢酸ビニルと上記エチレン性
不飽和単量体とを共重合し、それをけん化することによ
って得られる末端変性物を用いることもできる。
【0007】上記分散剤として使用するPVA系重合体
は、けん化度が、70モル%以上であることが必要であ
り、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましく
は85モル%以上である。けん化度が70モル%未満の
場合には、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマル
ジョンを安定して得ることができず、そのためにそのエ
マルジョンをシードとして乳化重合しても、低温におけ
る造膜性が充分優れた水性エマルジョンが得られない。
また本発明の目的を達成するためには該PVA系重合体
の粘度平均重合度は、100〜8000の範囲が好まし
く、300〜3000がより好ましい。
【0008】上記分散剤として使用するPVA系重合体
の使用量については特に制限はないが、分散質(エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体系樹脂)100重量部に対して
好ましくは2〜15重量部、より好ましくは3〜10重
量部の範囲である。該使用量が2重量部未満および15
重量部を越える場合には、低温における造膜性が低下す
ることがある。
【0009】本発明においては、乳化重合時に単量体と
してエチレンおよび酢酸ビニルを主に使用するが、本発
明の目的を損なわない範囲で、エチレン性不飽和単量体
および/またはジエン系単量体を共重合しても構わな
い。このような単量体としては、プロピレン、イソブチ
レンなどのα−オレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニ
ル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリドなどの
ハロゲン化オレフィン、アクリル酸、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸
2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸およびそのエス
テル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸およびそのエステ
ル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジ
メチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、さらに
は、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロー
ルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および
そのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体、スチ
レン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸お
よびナトリウム、カリウム塩などのスチレン系単量体、
その他N−ビニルピロリドンなど、また、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体、さら
にはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート、ジアリルフタレートなどの多官能性単量体が挙げ
られる。
【0010】分散質を構成する重合体のエチレンの含有
量は、5〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは7
〜40重量%、最適には10〜30重量%である。エチ
レンの含有量が上記範囲にあるとき、得られる水性エマ
ルジョンの低温における造膜性が向上する。
【0011】本発明では、重合開始剤として過酸化水素
と酒石酸および/またはその金属塩からなるレドックス
系重合開始剤を用いることが好適である。酒石酸として
は右旋性のL(+)酒石酸、左旋性のD(−)酒石酸、
これら対掌体のラセミ化合物であるDL酒石酸があり、
特に制限されないが、これらの中でもL(+)酒石酸を
用いた場合、乳化重合コントロール性が顕著に良好であ
り、好ましく用いられる。また、酒石酸の金属塩を用い
ることも可能であり、金属の種類は特に制限されない
が、通常、酒石酸ナトリウムが用いられる。中でもL
(+)酒石酸ナトリウムが好ましく用いられる。L
(+)酒石酸ナトリウムを用いた場合、上記利点に加え
て、乳化重合後通常行われるアンモニア、苛性ソーダ等
のアルカリによるpH調整も不要となる長所がある。過
酸化水素の使用量は、全単量体100重量部に対して
0.01〜0.2重量部であることが好適であり、さら
に好適には0.02〜0.15重量部である。
【0012】過酸化水素と酒石酸および/またはその金
属塩の使用割合は特に制限されないが、通常過酸化水素
100重量部に対して、酒石酸および/またはその金属
塩を50〜300重量部、好ましくは70〜250重量
部、より好ましくは80〜200重量部である。酒石酸
および/またはその金属塩をこの範囲で使用することに
より、低温における造膜性が良好となり、重合コントロ
ール性も良好となる。該レドックス系重合開始剤の重量
は、未反応酢酸ビニルモノマーが5重量%になるまでに
用いる量を示す。
【0013】本発明では、乳化重合系のpHを3〜7、
好ましくは4〜6に調整する。pHをこの範囲に調整す
ることにより、水性エマルジョンの低温における造膜性
が良好となり、また重合コントロール性も良好となる。
乳化重合系のpHの調整方法は特に制限されず、任意の
緩衝剤を用いることが可能であるが、通常、酢酸ナトリ
ウム、酢酸/酢酸ナトリウム系、水酸化ナトリウム、炭
酸ナトリウムなどが好ましく用いられる。本発明におい
て、乳化重合系のpHとは、重合初期から重合終了まで
のpHを言い、本発明においては重合系のどの時点にお
いてもpHが3〜7にあることが好適である。
【0014】本発明では、乳化重合系に鉄化合物を添加
することが好適である。鉄化合物としては特に制限され
ないが、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第
二鉄、硫酸第二鉄から選ばれる少なくとも1種の鉄化合
物が好ましく用いられ、中でも塩化第一鉄、硫酸第一鉄
が特に好ましく用いられる。
【0015】鉄化合物の使用量は特に制限されないが、
通常全単量体に対して1〜100ppm、より好ましく
は5〜50ppmである。鉄化合物をこの範囲で使用す
ることにより、着色が少なく、水性エマルジョンの低温
における造膜性が良好となり、また重合コントロール性
も良好となる。
【0016】前記レドックス系重合開始剤の添加方法は
特に制限されない。過酸化水素は通常の乳化重合で行わ
れる方法、すなわち、重合開始初期にショットで添加す
る方法、重合中に逐次的に添加する方法などが挙げられ
る。酒石酸および/またはその金属塩は、乳化重合初期
に全量を添加して用いても良いし、乳化重合中に逐次的
に添加する方法でも構わないが、通常全量を乳化重合初
期に添加して用いる。鉄化合物の添加方法も特に制限さ
れないが、通常、乳化重合初期に全量を添加して用い
る。
【0017】本発明では、乳化重合は、加圧下、好適に
は20〜70kg/cmの加圧下に行われるが、乳化
重合途中で、たとえば残存酢酸ビニル濃度が10重量%
となった時点で、最初の重合圧力より5〜35kg/c
低い圧力下、好適には10〜30kg/cm低い
圧力下に調整してエチレンの一部を放出することが好適
である。
【0018】シードとして用いる上記エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体系樹脂エマルジョンは、ホルムアルデヒド
濃度が1ppm未満であることが必須である。ホルムア
ルデヒド濃度が1ppm未満であることにより、環境問
題がすくなく、また低温における造膜性に優れた水性エ
マルジョンを得ることができる。このようなエマルジョ
ンは、上記した方法により好適に得ることができる。こ
こでエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン
中のホルムアルデヒド濃度の測定は、ガス検知管を用い
て行った数値をいう。エマルジョン中に含まれるホルム
アルデヒド濃度が1ppmを超える場合、いわゆるノン
ホルムアルデヒドエマルジョンを得ることは不可能であ
り、本発明の目的を達成することができない。
【0019】次に、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹
脂エマルジョンをシードとしてビニルエステル系単量体
を乳化重合する方法について説明する。シードとして用
いるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン
の含有量は、シード重合後の水性エマルジョン中の全固
形分に対して、固形分で5〜50重量%が好ましく、さ
らに好ましくは10〜45重量%であり、最適には15
〜40重量%である。シードをこの範囲で使用すること
により、低温における造膜性に優れた水性エマルジョン
を得ることができる。
【0020】シード重合時には分散剤として、ビニルア
ルコール系重合体を用いることが好ましい。ビニルアル
コール系重合体としては、上記した、シードとして使用
するエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン
を製造する際に分散剤として使用するビニルアルコール
系重合体と同様のものが挙げられる。シード重合時に分
散剤として使用するビニルアルコール系重合体の使用量
については特に制限はないが、最終的に得られる水性エ
マルジョンの固形分中に対し2〜20重量%となる程度
が好ましい。この範囲にあるとき低温における造膜性に
優れた水性エマルジョンが得られる。
【0021】分散剤として、ビニルアルコール系重合体
を使用することにより、低温における造膜性のより優れ
た水性エマルジョンを得ることができる。
【0022】シード重合時に用いるビニルエステル系単
量体としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、酢酸ビ
ニルが最適である。
【0023】また、本発明の特徴を損なわない範囲で、
エチレン性不飽和単量体および/またはジエン系単量体
をシード重合時に共重合しても構わない。このような単
量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンな
どのα−オレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニ
リデンクロリド、ビニリデンフルオリドなどのハロゲン
化オレフィン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロ
キシエチルなどのアクリル酸およびそのエステル、メタ
クリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチルなどのメタクリル酸およびそのエステル、アク
リル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルア
ミノエチルおよびこれらの四級化物、さらには、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリ
ウム塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン、α−
メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸およびナトリ
ウム、カリウム塩などのスチレン系単量体、ジビニルベ
ンゼン、テトラアリロキシエタン、N,N'−メチレン
ビス−アクリルアミド、1,3−ブチレングリコールジ
アクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコー
ルジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレ
ート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリ
エチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレング
リコールジアクリレート等の多官能性エチレン性不飽和
単量体、その他N−ビニルピロリドンなど、また、ブタ
ジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量
体が挙げられる。
【0024】本発明では、上記のエチレン−酢酸ビニル
共重合体系樹脂エマルジョンをシードとして、酢酸ビニ
ルなどのビニルエステル系単量体を乳化重合する方法は
特に制限されないが、代表的には、重合容器に水および
エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを入
れ、通常のラジカル重合に使用される重合開始剤を用い
て、酢酸ビニルモノマーを添加しながら重合する方法が
挙げられる。この場合、酢酸ビニルモノマーの一部或い
は全部を重合開始前に水およびエチレン−酢酸ビニル共
重合体系樹脂エマルジョンと一緒に重合容器に添加して
もよいし、またはその一部或いは全量を重合中、連続的
に或いは断続的に添加してもよい。重合開始剤として
は、過硫酸アンモニウムと炭酸水素ナトリウム、あるい
は上記した、シードとして使用するエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体系樹脂エマルジョンを製造する際に使用する
レドックス系重合開始剤などが挙げられる。
【0025】分散剤としては、上記したビニルアルコー
ル系重合体が好適に用いられるが、必要に応じて、従来
公知のアニオン性、ノニオン性あるいはカチオン性の界
面活性剤や、ヒドロキシエチルセルロースなどを併用す
ることもできる。
【0026】本発明により得られる水性エマルジョン
は、そのままで用いることができるが、必要があれば、
本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種エマ
ルジョンを添加して用いることができる。本発明により
得られる水性エマルジョンは、ホルムアルデヒドをほと
んどまたはまったく含有しないので、環境負荷が少な
く、さらに、とくに可塑剤を使用しなくても低温におけ
る造膜性に優れており、紙用、木工用およびプラスチッ
ク用接着剤、含浸紙用、不織製品用のバインダー、セメ
ントモルタル用混和剤、セメントモルタル用打継ぎ材、
塗料、紙加工および繊維加工などの分野で好適に用いら
れる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらによって何等限定されるもので
はない。なお、以下の実施例および比較例において
「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意
味する。また、シードとして用いるエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂系エマルジョン中、および得られた水性
エマルジョン中のホルムアルデヒド含有量、水性エマル
ジョンの低温における造膜性などを下記の要領で測定ま
たは評価した。
【0028】(評価方法) (1)ホルムアルデヒド含有量 10mlガラスバイアルにシードとして用いるエチレン
−酢酸ビニル樹脂系エマルジョンおよび得られた水性エ
マルジョンを0.1g採取し、40℃×1hr加温した
後、ガス検知管(No.171SB:光明理化学工業製、
100ml吸引)で測定。 (2)低温における造膜性 0〜10℃において、スライドグラス上にエマルジョン
0.5gを滴下し、24時間後に乾燥皮膜の状態を観察
し、造膜可能な温度を判定した。
【0029】(シード:エチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂系エマルジョンの製造例) 製造例1 窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧50リッ
トルオートクレーブにPVA−1{重合度1700、け
ん化度88モル%、(株)クラレ製PVA−217}を
1061g、イオン交換水19440g、L(+)酒石
酸8.3g、酢酸ナトリウム10g、塩化第一鉄0.4
gを仕込み、95℃で完全に溶解し、その後60℃に冷
却し、窒素置換を行った。次に酢酸ビニル22360g
を仕込んだ後、エチレンを45kg/cmまで加圧し
て導入し、0.4%過酸化水素水溶液1000gを5時
間かけて圧入し、60℃で乳化重合を行った。重合開始
直後に系のpHを確認したところ、pH=5.2であっ
た。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エ
チレンを放出し、エチレン圧力20kg/cmとし、
3%過酸化水素水溶液50gを圧入し、重合を完結させ
た。冷却後、pHを確認したところpH=4.1であっ
た。10%水酸化ナトリウム水溶液を230g添加しエ
マルジョンのpHを5.5に調整し、60メッシュのス
テンレス製金網を用いてろ過した。その結果、固形分濃
度54.3%、エチレン含量18重量%のエチレン−酢
酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(シードEm−
1)が得られた。
【0030】比較製造例1 製造例1において用いた酢酸ナトリウムを用いなかった
他は、製造例1と同様にして乳化重合を試みたが、乳化
重合の進行が非常に遅く、重合を終了することが出来な
かった。
【0031】製造例2 製造例1において用いたL(+)酒石酸8.3gの代わ
りに、L(+)酒石酸ナトリウムを12.7g用いた他
は、製造例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度
54.4%、エチレン含量18重量%のエチレン−酢酸
ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(シードEm−2)
を得た。
【0032】比較製造例2 窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧50リッ
トルオートクレーブにPVA−1を1061g、イオン
交換水19440g、塩化第一鉄0.4gを仕込み、9
5℃で完全に溶解し、その後60℃に冷却した後ロンガ
リット8.2gを添加し、窒素置換を行った。次に酢酸
ビニル22360gを仕込んだ後、エチレンを45kg
/cmまで加圧して導入し、0.4%過酸化水素水溶
液1000gを5時間かけて圧入し、60℃で乳化重合
を行った。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところ
で、エチレンを放出し、エチレン圧力20kg/cm
とし、3%過酸化水素水溶液50gを圧入した。さらに
残存酢酸ビニル濃度が3%となったところで、ロンガリ
ットの10%水溶液180gを圧入し、重合を完結させ
た。10%水酸化ナトリウム水溶液を230g添加しエ
マルジョンのpHを5.5に調整し、60メッシュのス
テンレス製金網を用いてろ過した。その結果、固形分濃
度54.5%、エチレン含量18重量%のエチレン−酢
酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(シードEm−
3)が得られた。
【0033】比較製造例3 製造例1において用いた塩化第一鉄を用いなかった他
は、製造例1と同様にして乳化重合を試みたが、重合の
コントロール性が乏しく危険であったため途中で中止し
た。表1に上記製造例1〜2および比較製造例1〜3で
得られたシード用エマルジョンの評価結果を示す。
【0034】
【表1】
【0035】なお、いずれの製造例にもレドックス触媒
の片方の成分である過酸化水素を使用していることか
ら、表1にはこの記載を省略した。表中、HCHOはホ
ルムアルデヒドを示す。
【0036】実施例1 撹拌機付きの反応容器に水344重量部をとり、PVA
−1{重合度1700、けん化度98.5%、(株)ク
ラレ製PVA−117}50重量部を加え、95℃迄加
熱した。PVAが完全に溶解した後、製造例1の(シー
ドEm−1)200重量部を添加した。系内の温度を8
0℃に調整し、重合開始剤(過硫酸アンモニウムと炭酸
水素ナトリウムそれぞれ1重量部を水20重量部に溶解
させた溶液)と、酢酸ビニル384重量部を2時間かけ
て滴下し重合を行った。その結果、固形分濃度54.6
%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(Em−1)が得ら
れた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行っ
た。結果を表2に示す。
【0037】実施例2、比較例1 上述の製造例2、比較製造例2で得られたシードEm−
2およびシードEm−3を用い、実施例1と同様にし
て、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(Em−2および
3)を得た。このエマルジョンの評価結果を併せて表2
に示す。
【0038】実施例3 実施例1において用いたPVA−1を用いる代わりにP
VA−2{重合度1700、けん化度88%、(株)ク
ラレ製PVA−217}を用いた他は、実施例1と同様
にして酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(Em−4)を得
た。このエマルジョンの評価結果を併せて表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明により得られる水性エマルジョン
は、ホルムアルデヒドをほとんどまたはまったく含有し
ないので、環境負荷が少なく、さらに低温における造膜
性に優れている。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 KA16 PA68 4J026 AC04 BA19 BA20 DB04 DB08 FA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 けん化度70モル%以上のビニルアルコ
    ール系重合体を分散剤として含有し、ホルムアルデヒド
    濃度が1ppm以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合
    体系樹脂エマルジョンをシードとして、ビニルエステル
    系単量体を乳化重合することを特徴とする水性エマルジ
    ョンの製造方法。
  2. 【請求項2】 エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エ
    マルジョンが、けん化度70モル%以上のビニルアルコ
    ール系重合体を分散剤として、エチレンと酢酸ビニルを
    乳化重合するに際し、過酸化水素と酒石酸および/また
    はその金属塩からなるレドックス系重合開始剤を用い、
    重合系のpHを3〜7に調整し、鉄化合物を添加して乳
    化重合して得たエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エ
    マルジョンである請求項1記載の水性エマルジョンの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 ビニルエステル系単量体が、酢酸ビニル
    である請求項1または2記載の水性エマルジョンの製造
    方法。
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CN1303864C (zh) * 2005-06-16 2007-03-14 西北农林科技大学无公害农药研究服务中心 用于水稻种子包衣剂的成膜剂及其制备方法

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CN1303864C (zh) * 2005-06-16 2007-03-14 西北农林科技大学无公害农药研究服务中心 用于水稻种子包衣剂的成膜剂及其制备方法

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