JP2003171199A - 大型高品質酸化物単結晶育成方法 - Google Patents

大型高品質酸化物単結晶育成方法

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JP2003171199A
JP2003171199A JP2001365912A JP2001365912A JP2003171199A JP 2003171199 A JP2003171199 A JP 2003171199A JP 2001365912 A JP2001365912 A JP 2001365912A JP 2001365912 A JP2001365912 A JP 2001365912A JP 2003171199 A JP2003171199 A JP 2003171199A
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lithium
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crystal
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Kenji Kitamura
健二 北村
Shunji Takegawa
俊二 竹川
Masaru Nakamura
優 中村
Yasunori Furukawa
保典 古川
Koichi Kakimoto
浩一 柿本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】二重るつぼ法に基づき3インチ以上の大口径ニ
オブ酸リチウム単結晶又はタンタル酸リチウム単結晶を
得ようとすると、インクルージョンが混入してくるとい
う困難に直面した。本発明は、大口径化を図ると共にイ
ンクルージョンが混入することのない前記単結晶を製造
し、確保する手段を提供しようというものである。 【解決手段】その解決手段として、二重るつぼ法に基づ
く前記単結晶育成技術に、るつぼの回転数、回転方向を
変化させる、いわゆるるつぼ加速回転法(ACRT;a
ccerelated crucible rotat
ion technique)を適用し、これによって
るつぼの動作を制御し、撹拌効果を高め、気泡等のイン
クルージョンのない大口径ニオブ酸リチウム単結晶又は
タンタル酸リチウム単結晶を得ることを特徴とするもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニオブ酸リチウム
又はタンタル酸リチウム単結晶の製造方法に関する。特
に、二重るつぼを用いたリチウム過剰融液からニオブ酸
リチウム又はタンタル酸リチウム単結晶の製造方法にお
いて、いわゆるるつぼ加速回転法(ACRT:accerelated
crucible rotation technique、以下ACRTという)に基
づいてるつぼを制御し、攪拌効果を高め、気泡等のイン
クルージョンのない大口径単結晶を得ることを特徴とし
た大口径ニオブ酸リチウム単結晶又はタンタル酸リチウ
ム単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチ
ウム結晶は、大きな電気光学効果、非線形光学効果を有
し、光変調や波長変換に応用されている。特に最近で
は、これら材料の強誘電体分極を周期的あるいは特定の
形状に反転した波長変換素子、電気光学素子の開発が盛
んに行われている。
【0003】さらに近年、従来のコングルエント融液
(Li:Nb又はTa比;48.5:51.5)からチョクラルスキー法
(引き上げ法)によって育成されたニオブ酸リチウム、
タンタル酸リチウム結晶に比べ、本出願人、すなわち物
質・材料研究機構(旧無機材質研究所)で開発された原
料自動供給二重るつぼ法によって作製された単結晶は、
その製造方法上の利点だけでなく、この方法によって作
製された定比に近い定比ニオブ酸リチウム、タンタル酸
リチウム単結晶自体にも、種々の優れた特性を有してい
ることが明らかになってきた。そのため、最近、これら
の単結晶に対して急速に関心が集まり、その特性を利用
した各種研究、すなわち光デバイスを始め様々な応用研
究、製品開発が活発に行われるようになってきた。この
ような背景のもとに、前示単結晶に対する需要は、今後
一層活発になってくること、また、品質に対する要求も
次第に強まってくるものと予想される。
【0004】その一環として、単結晶の大型化を求める
強い要求がある。この要求に対応して大型化製造プロセ
スを早急に確立する必要が生じてきた。この大型化に対
する要求は、単結晶の需要が研究開発段階から具体的に
製品化段階へと移行するに伴い、一段と加速されること
は明らかで、その対策は極めて重要になってきた。
【0005】すなわち、本発明者等においては、二重る
つぼ法によりリチウム濃度が50%よりも過剰な融液か
らニオブ酸リチウム単結晶又はタンタル酸リチウム単結
晶を成長させる製造技術を完成し、すでに特許出願(特
願2000−083448号「酸化物単結晶の製造法お
よび装置」)している。しかしながら、この発明は、3
インチ以上の直径のものを得ようとすると、単結晶にイ
ンクルージョンの混入が生じることがあることが分かっ
てきた。すなわち、前記単結晶の大口径化に際しては、
そこに解決しなければならない特有な問題があることが
分かってきた。
【0006】本発明は、既に特許出願されている前記先
願発明を前提技術として、すなわち二重るつぼ法による
リチウム過剰融液からニオブ酸リチウムあるいはタンタ
ル酸リチウムの単結晶を得る技術を前提技術として、イ
ンクルージョンのない3インチ以上の大口径単結晶を得
ようとするものであり、鋭意研究した結果、ACRTが必要
不可欠であることがわかった。すなわち、ACRT以外の育
成条件を同じにした場合、ACRTを行わなかった結晶はイ
ンクルージョンの混入があったが、ACRTを行った結晶
は、インクルージョンの混入はなくなった。さらに、結
晶育成速度も2倍程度、向上可能であることがわかっ
た。
【0007】本発明は上記知見に基づいて成されたもの
である。すなわち、本発明の第1番目の解決手段は、二
重るつぼ法によって、リチウム濃度が50%よりも過剰
な融液からニオブ酸リチウム単結晶又はタンタル酸リチ
ウム単結晶を成長させるニオブ酸リチウム単結晶又はタ
ンタル酸リチウム単結晶の製造方法において、二重るつ
ぼの外るつぼに育成した結晶重量分だけ原料供給を行い
ながら、なおかつるつぼの回転数、回転方向を変化させ
る、いわゆるるつぼ加速回転法(ACRT:accerelated cr
ucible rotation technique)により、攪拌効果を高
め、気泡等のインクルージョンのない大口径単結晶を得
ることを特徴とする大口径ニオブ酸リチウム単結晶又は
タンタル酸リチウム単結晶の製造方法である。ここに、
本発明において、ACRTとは、単結晶をるつぼ中の融液か
ら育成する際に、容器であるるつぼの回転数、回転方向
を変化させる事により融液の攪拌を促すことをいい、加
速は、るつぼの回転数を変えたり、回転の方向を変えた
りすること、すなわち、加速がつくことを意味している
ものである。
【0008】また、本発明の第2番目の解決手段は、第
1の解決手段において、そのるつぼ加速回転法が、
(1)設定るつぼ回転数までの所用時間:1秒〜20分、
設定回転数:0.1〜30rpm、設定回転数保持時間:0秒〜3
0分、保持時間終了から回転停止までの所用時間:1秒〜
20分、を1サイクルとして、このサイクルに基づきこれ
を繰り返すか、または(2)設定るつぼ回転数までの所
用時間:1秒〜20分、設定回転数:0.1〜30rpm、設定回
転数保持時間:0秒〜30分、保持時間終了から回転停止
までの所用時間:1秒〜20分、反対回転の設定回転数ま
での所用時間1秒〜20分、設定回転数保持時間:0秒〜30
分、保持時間終了からるつぼ回転停止までの所用時間:
1秒〜20分、を1サイクルとして、このサイクルに基づ
きこれを繰り返すかによって行われることを特徴とする
ものである。
【0009】さらに本発明の第3番目の解決手段は、第
1番目の解決手段または第2番目の解決手段において、
そのリチウム過剰融液にMg、Zn、Sc、Inよりなる群から
選ばれた元素を1種又は2種以上を含んでいることを特
徴とするものである。
【0010】さらにまた、本発明の第4番目の解決手段
は、第1番目の解決手段または第2番目の解決手段にお
いて、そのリチウム過剰融液にFe、Mn等の遷移金属元素
を1種又は2種以上含んでいることを特徴とするもので
ある。
【0011】そしてまた、本発明の第5番目の解決手段
は、第1番目の解決手段または第2番目の解決手段にお
いて、そのリチウム過剰融液にNd、Eu、 Yb、Ce、Tb等
の希土類元素を1種又は2種以上含んでいることを特徴
とするものである。
【0012】そしてさらに、本発明の第6番目の解決手
段は、第1番目の解決手段または第2番目の解決手段に
おいて、そのリチウム過剰融液に、Mg、Zn、Sc、Inより
なる群から選ばれた1種又は2種以上の元素と1種又は
2種以上の遷移金属元素とを含んでいるか、またはMg、
Zn、Sc、Inよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の
元素と1種又は2種以上希土類元素とを含んでいること
を特徴とするものである。
【0013】ここに、インクルージョンは、結晶の中に
結晶とは違うものが結果的に何らかの作用によって包有
され、取り込まれたような場合、該包有物を総称して意
味しているものである。気泡も代表的なインクルージョ
ンの一つである。気泡のほかに、本単結晶の場合、容器
に由来した白金やイリジウムの微粒子が取り込まれた
り、あるいは、特定の成分が結晶が成長する境界(界
面)で濃集することにより、全く異なる組成の結晶が析
出し、これが取り込まれるためである等、いろいろな原
因物質が挙げられる。ちなみに、単結晶にインクルージ
ョンが混入すると、これは光学素子としての使用目的の
みならず、何れにの使用目的においても単結晶としては
致命的であり、使用に供することは出来ない。光を通す
場合には、散乱体として作用し、到底使用に供すること
が出来なくなる。また、インクルージョンの周りは結晶
が歪んでおり、極めて不均質なものとなっており、均質
性が求められている単結晶は、この点でも欠陥を有して
おり、使用に供することができなくなる。すなわち、イ
ンクルージョンによって、結晶の製造方法は、歩留まり
が悪化する。
【0014】この現象、原因は、結晶が成長する界面に
おいて顕著であり、界面が凹凸していたりするとインク
ルージョンはまさにこの状態の成長界面に凝集し、界面
が凹んだよころで取り込まれやすくなっている、といわ
れている。結晶が成長する界面では結晶側と融液側との
温度勾配がきついほど、すなわち、結晶側を冷たく、融
液側を高温に設定するほど安定な界面を保つことが出来
るが、大型化によって、スケールアップすることによ
り、温度分布が緩くなり、その結果界面が安定せず、凹
凸しやすくなる。すなわち、2インチの口径の単結晶で
は特に問題ではなかったことが、3インチ以上の口径の
単結晶を製造しようとしたことにより、前記スケールア
ップ問題が生じ、これがインクルージョンが発生しやす
い所以の一つであると考えられる。いずれにしても、そ
の理由は、いくつかの要因が複雑に関係していると考え
られ、すなわち、成長速度(引き上げ速度)、攪拌、温
度分布これらはインクルージョンの生成、混入と密接に
関係していると考えられている。
【0015】ここに上記第1番目の解決手段に記載する
要件事項による技術的意義は、その前段の事項は、本発
明が前提とする従来技術を示しているものであり、この
従来技術によって大口径単結晶を製造するときは、イン
クルージョンが混入することが避けられないところ、こ
れを後段の事項、すなわち、ACRT動作なる手段を講じる
ことにによって解決しようというものである。
【0016】第2番目の解決手段に記載する要件事項
は、前記後段の事項において、るつぼの回転数、回転方
向を変化させる、いわゆるるつぼ加速回転法について、
これを具体的態様に基づき規定、開示しているものであ
る。その意義は、一定時間正回転、一定時間逆回転を繰
り返すことを意味し、その際設定するつぼ回転数までの
所要時間規定の意義は、回転方向を瞬時に変えると機械
的に負荷が大きくなりすぎること、慣性が働いて危険で
あることから、これらについても配慮しているものであ
る。
【0017】第3番目から第6番目までの解決手段に記
載する要件事項は、リチウム過剰融液について具体的設
計態様を開示しているものである。各添加元素は単結晶
に、結晶の修飾材として取り込まれ、その特性を改質す
るのに寄与するものである。
【0018】本発明によって、ACRTを用いたことによ
り、3インチ以上の直径の単結晶においても、インクル
ージョンの混入はなくなった。さらに、結晶育成速度も
2倍程度向上可能であることを見出した。その理由は、A
CRT によって攪拌がよくなったことが要因と思われる。
今回の様な非一致溶融組成からの育成では、特に、原料
をチャージする系では、ACRTは、きわめて技術的に重要
な事項であると考えられる。ACRTによって、攪拌が改善
された結果、融液中での気泡が残留しにくくなること、
界面から結晶中に取り込まれにくくなることから、結晶
中の気泡が減ったと考えられる。さらに、結晶成長界面
の制御が容易になったことにより、クラックやメカニカ
ル・ツインの発生も防ぐことが可能となった。これはAC
RTによって温度分布の中心対象性が顕著となり、界面制
御に適切となったことが高品質化には好条件となったと
考えられる。さらにまた、融液のシュミレーションを行
った結果、融液中の対流、及び、融液中の熱分布もACRT
を行った場合、行わなかった場合に比べて顕著な違いが
あることを示しており、上記実験結果を支持するシュミ
レーション結果が得られた。
【0019】以下本発明を実施例によって説明する。し
かしながら、本発明はこの実施例に限定される趣旨では
なく、あくまでも一つの実施態様を示しているものであ
る。
【0020】
【実施例】 本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図1は、二重るつぼ法による原料供給を行いながら
単結晶引き上げを行う装置である。該装置は、二重るつ
ぼ回転台の上に回転制御自在に載置され、るつぼ上部に
は種結晶が回転自在に取り付けられている。るつぼは高
周波発振コイルによる加熱装置によって取り囲まれてい
る。るつぼが収容されているチャンバーの外側上部には
原料粉末供給器が設置され、そこからるつぼへ原料粉末
を供給する樋が設定されている。供給粉末は、樋を介し
て外るつぼの上部に供給されるように構成されている。
該装置には結晶重量を検出するモニター、このモニター
からの情報に基づき結晶重量変化情報を得、この情報に
基づいて補充する粉末原料の供給量を自動的演算設定す
る装置、及び結晶重量変化から結晶径を自動制御する装
置が付設され、これらによって単結晶の育成を自動供試
ながら行う装置が記載されている。図2は、ACRTを行わ
ず育成した結晶の概観図であり、インクルージョンが結
晶全体含まれ、透明度のない状態となっていることを示
している。図3は、実験に用いたACRTの動作パターンの
1例を示している図である。図4は、結晶育成途中から
ACRTを行った結晶の概観図で、ACRTを行った結晶にはイ
ンクルージョンが見られない。
【0021】図1に示した装置を用いて、原料供給を行
いながら結晶作製を行った。この時のるつぼ内の液相組
成はLi:Ta=60:40とし、るつぼはIr製二重るつぼで外
るつぼ径200mm、外るつぼ高さ90mm、内るつぼ径160mm、
内るつぼ高さ105mmのとした。結晶引き上げ速度は0.5mm
/Hとし、育成中の雰囲気は約0.5%の低酸素分圧に制御
した。また、育成した結晶の重量分だけを結晶と同じ組
成の原料を外るつぼに供給しながら二重るつぼに充填
し、引き上げ法により結晶育成を行った。その時の引き
上げ速度は0.5mm/H、育成中の雰囲気は約0.5%の低酸素
分圧に制御した。
【0022】次に、はじめに結晶右回転、回転数1〜10r
pm、るつぼ左回転1〜10rpm、結晶育成速度0.5mm/Hとし
て直胴3インチの結晶育成を行った。その結果、図2に示
したような結晶育成初期から結晶育成終期まで、結晶内
には全領域においてインクルージョンが入り、透明な結
晶を作製することが出来なかった。
【0023】次に、その途中まで上記育成条件にて結晶
育成を行い、結晶育成の途中から図3に示すACRT動作を
行った。さらにその後、ACRT動作を行いつつ、結晶育成
速度を1.0mm/Hまで連続的に上げた。その結果、図4に示
したようなACRT動作を行う前の結晶部はインクルージョ
ンが入ったがACRT動作を行った以降の結晶部には、結晶
育成速度1.0mm/Hの領域まで、すべてにわたりインクル
ージョンは見られなかった。このことはACRT動作を行う
ことにより、溶質が結晶成長界面に到着する前に完全に
溶け、均質な融液になり、結晶成長界面近傍に輸送され
ること、また、結晶界面近傍での攪拌が十分に行われ、
結晶界面に溶質が十分供給されたことにより、インクル
ージョンのない結晶が得られたと考えられる。
【0024】さらに、このことを確認するために二重る
つぼにおいて、ACRT動作を行った場合とそうでない場合
において、るつぼ融液の対流、温度分布についてシュミ
レーションを行った。その結果、同じ5rpmにおいてACRT
を行った場合と行わなかった場合を比較すると、ACRTを
行った場合の方が外るつぼ内に速い渦流れが生じている
ことが分かった。これにより、外るつぼに供給された原
料は外るつぼ内で十分撹拌が行われた後、内るつぼ内に
供給されると考えられる。また、内るつぼ内においては
ACRTを行った方が対流が強いことが分かった。このこと
はACRTを行った方がより強くるつぼ内融液を撹拌し、結
晶成長界面に十分の溶質が供給されると考えられる。今
回の結果は実験およびシュミレーションを行ってはじめ
て明らかになった。
【0025】以上述べたように本発明は、ニオブ酸リチ
ウム単結晶あるいはタンタル酸リチウム単結晶を、二重
るつぼ法により、リチウム過剰融液から育成する方法に
おいて、ACRTによって制御することにより、インクルー
ジョンの混入を避け、3インチ以上の大口径単結晶を作
製することが出来るようになったこと、しかもその育成
速度をこれまでの2倍程度まで向上させることが可能と
なった意義は、これらの単結晶の応用研究、製品開発を
促進する上において、極めて大きな意義を有するもので
ある。特に本発明において対象としている両単結晶は、
いずれも注目の的となっている物性、特性を有している
ところから、これを応用した波長変換や光変調等の光デ
バイスが製品化された場合、特にそれが光通信関連の製
品の場合、上記大型結晶の安定供給は必要不可欠である
ため、大きな市場が期待できる。
【0026】本発明の第1番目の解決手段で要件事項に
おいて、前段の事項及び後段の事項は、それぞれ別個の
独立した技術手段であり、本願出願前の技術手段であ
る。したがって、各々は、それ自体は新規性はない。但
し本発明はこれらの技術手段を組み合わせた点に特徴を
有し、各事項単独では到底奏し得ない作用効果が、両者
を組み合わせたことによって、発揮されたものであるこ
とは、如上のとおりである。すなわち本発明の第1番目
の解決手段において、その前段の事項は、物質・材料研
究機構(旧無機材質研究所)で開発され完成された結晶
育成技術であり、既に特許出願されている事項である。
また、その後段の事項、すなわちACRTは、公知の事実で
あり、他の材料で用いられている例が報告〔H.J.Schee
l;J.Cryst.Growth,13/14(1972)560〕されている。しか
し、実際にLi過剰融液からインクルージョン、気泡等の
欠陥のない高品質で3インチ以上の大型ニオブ酸リチウ
ム、タンタル酸リチウム結晶を育成する場合、非常に有
効であることを実証したのは本発明において初めてであ
る。これまでの実験室レベルでの結晶の大きさならば、
かならずしも今回の方法を用いなくともインクルージョ
ンのない結晶を育成することが可能であった。しかしな
がら、同じ条件において3インチ以上の結晶を作製した
場合、インクルージョンが入り高品質の結晶を育成する
ことができなかった。さらに、今回の方法を用いること
によって、結晶育成速度を2倍程度向上させることが可
能であることも明らかになった。したがって、本特許は
今後、3インチ、4インチと結晶の大型化が進むにつれ
て、ますます重要になると思われる。
【0027】
【発明の効果】すなわち、本発明は、単結晶の大型化に
対応するため、従前の技術に基づきスケールアップして
も、インクルージョンが生じるという重大な技術的困難
に直面したところ、これを解決したものであるから、そ
の意義は極めて高いというべきである。しかも単結晶作
成の上で重要な事項である育成速度も従来の2倍の速
度、2倍の製造効率を達成し得たことも、それだけをと
っても称賛に値することであるところ、前示困難克服と
共に達成しえたことは、この分野の産業の発展に大きく
寄与することになると確信する。これによって、実験室
レベルから実用段階に一歩飛躍し得たことを意味し、そ
の意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】原料供給を行いながら結晶引き上げを行う装置
の概念図。
【図2】ACRTを行わずに育成した結晶の概観図。
【図3】ACRTパターン。
【図4】ACRTを結晶育成途中から用いて育成した結晶の
概観図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柿本 浩一 佐賀県三養基群基山町けやき台4−3−4 Fターム(参考) 4G077 AA02 BC32 BC37 CF10 EH08 PA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二重るつぼ法によって、リチウム濃度が5
    0%よりも過剰な融液からニオブ酸リチウム単結晶又は
    タンタル酸リチウム単結晶を成長させるニオブ酸リチウ
    ム単結晶又はタンタル酸リチウム単結晶の製造方法にお
    いて、二重るつぼの外るつぼに育成した結晶重量分だけ
    原料供給を行いながら、なおかつるつぼの回転数、回転
    方向を変化させる、いわゆるるつぼ加速回転法(ACRT:
    accerelated crucible rotation technique)により、
    攪拌効果を高め、気泡等のインクルージョンのない大口
    径単結晶を得ることを特徴とした大口径ニオブ酸リチウ
    ム単結晶又はタンタル酸リチウム単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】前記るつぼ加速回転法が、(1)設定るつ
    ぼ回転数までの所用時間:1秒〜20分、設定回転数:0.1
    〜30rpm、設定回転数保持時間:0秒〜30分、保持時間終
    了から回転停止までの所用時間:1秒〜20分、を1サイ
    クルとして、このサイクルに基づきこれを繰り返すか、
    または(2)設定るつぼ回転数までの所用時間:1秒〜2
    0分、設定回転数:0.1〜30rpm、設定回転数保持時間:0
    秒〜30分、保持時間終了から回転停止までの所用時間:
    1秒〜20分、反対回転の設定回転数までの所用時間1秒〜
    20分、設定回転数保持時間:0秒〜30分、保持時間終了
    からるつぼ回転停止までの所用時間:1秒〜20分、を1
    サイクルとして、このサイクルに基づきこれを繰り返す
    かによって行われることを特徴とする請求項1記載の大
    口径ニオブ酸リチウム単結晶又はタンタル酸リチウム単
    結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】リチウム過剰融液にMg、Zn、Sc、Inよりな
    る群から選ばれた元素を1種又は2種以上を含んでいる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の大口径ニオブ
    酸リチウム単結晶又はタンタル酸リチウム単結晶の製造
    方法。
  4. 【請求項4】リチウム過剰融液にFe、Mn等の遷移金属元
    素を1種又は2種以上含んでいることを特徴とする請求
    項1または2記載の大口径ニオブ酸リチウム単結晶又は
    タンタル酸リチウム単結晶の製造方法。
  5. 【請求項5】リチウム過剰融液にNd、Eu、 Yb、Ce、Tb
    等の希土類元素を1種又は2種以上含んでいることを特
    徴とする請求項1または2記載の大口径ニオブ酸リチウ
    ム単結晶又はタンタル酸リチウム単結晶の製造方法。
  6. 【請求項6】リチウム過剰融液に、Mg、Zn、Sc、Inより
    なる群から選ばれた1種又は2種以上の元素と1種又は
    2種以上の遷移金属元素とを含んでいるか、またはMg、
    Zn、Sc、Inよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の
    元素と1種又は2種以上希土類元素とを含んでいること
    を特徴とする請求項1または2記載の大口径ニオブ酸リチ
    ウム単結晶又はタンタル酸リチウム単結晶の製造方法。
JP2001365912A 2001-11-30 2001-11-30 大型高品質酸化物単結晶育成方法 Pending JP2003171199A (ja)

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