JP2003166171A - セルロース系繊維含有布帛の製造方法 - Google Patents
セルロース系繊維含有布帛の製造方法Info
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- JP2003166171A JP2003166171A JP2001364402A JP2001364402A JP2003166171A JP 2003166171 A JP2003166171 A JP 2003166171A JP 2001364402 A JP2001364402 A JP 2001364402A JP 2001364402 A JP2001364402 A JP 2001364402A JP 2003166171 A JP2003166171 A JP 2003166171A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、実用に十分耐え得る強力特性をも
ち、かつ、従来レベル以上の防しわ性、防縮性等の形態
安定性能に優れたセルロース系繊維含有布帛の製造方法
を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のセルロース系繊維含有布帛の製造
方法は、セルロース系繊維を含有する布帛を高圧水蒸気
雰囲気下で架橋剤中に浸漬して、該セルロース系繊維を
下記式で定義される架橋指数が0.1〜4.0の範囲に
なるまで架橋することを特徴とするものである。 架橋指数=(A−B) ここで A:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%) 架橋改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%)
ち、かつ、従来レベル以上の防しわ性、防縮性等の形態
安定性能に優れたセルロース系繊維含有布帛の製造方法
を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のセルロース系繊維含有布帛の製造
方法は、セルロース系繊維を含有する布帛を高圧水蒸気
雰囲気下で架橋剤中に浸漬して、該セルロース系繊維を
下記式で定義される架橋指数が0.1〜4.0の範囲に
なるまで架橋することを特徴とするものである。 架橋指数=(A−B) ここで A:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%) 架橋改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防しわ性、防縮性
に優れたセルロース系繊維含有布帛の製造方法に関する
ものである。
に優れたセルロース系繊維含有布帛の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、セルロース系繊維を含む布帛
は、吸水性が高い、肌触りがよい、など様々な利点を有
するため、衣料用途など多方面に幅広く利用されてい
る。しかしながら、その一方で合成繊維布帛に比べ、し
わになりやすい、洗濯により収縮するといった欠点があ
り、これらを改善する目的で、様々な加工が検討されて
いる。その代表的な例としては、ホルムアルデヒドやグ
リオキザール樹脂などの繊維素反応型樹脂を架橋改質剤
として用い、セルロース系繊維の内部を架橋改質するこ
とで、防しわ性、防縮性等の形態安定性能を付与する方
法があげられる。この加工法では、セルーロス系繊維内
部の水酸基間を架橋改質剤により封鎖するため、洗濯時
に繊維が膨潤することで発生するしわを効果的に防止す
ることができる。しかし架橋改質剤と反応可能なセルロ
ース系繊維の水酸基数には限りがあるため、使用する薬
剤濃度を増やしても、ある一定レベル以上は防しわ効果
を上げることができないという問題がある。また、必要
量以上の薬剤を使用すると大幅な強力低下を引き起こし
てしまうという問題もある。一方で架橋改質を十分に行
わなかった場合には、必要とされるレベルの防しわ性、
防縮性等の形態安定性能が付与出来ないというのが現状
である。
は、吸水性が高い、肌触りがよい、など様々な利点を有
するため、衣料用途など多方面に幅広く利用されてい
る。しかしながら、その一方で合成繊維布帛に比べ、し
わになりやすい、洗濯により収縮するといった欠点があ
り、これらを改善する目的で、様々な加工が検討されて
いる。その代表的な例としては、ホルムアルデヒドやグ
リオキザール樹脂などの繊維素反応型樹脂を架橋改質剤
として用い、セルロース系繊維の内部を架橋改質するこ
とで、防しわ性、防縮性等の形態安定性能を付与する方
法があげられる。この加工法では、セルーロス系繊維内
部の水酸基間を架橋改質剤により封鎖するため、洗濯時
に繊維が膨潤することで発生するしわを効果的に防止す
ることができる。しかし架橋改質剤と反応可能なセルロ
ース系繊維の水酸基数には限りがあるため、使用する薬
剤濃度を増やしても、ある一定レベル以上は防しわ効果
を上げることができないという問題がある。また、必要
量以上の薬剤を使用すると大幅な強力低下を引き起こし
てしまうという問題もある。一方で架橋改質を十分に行
わなかった場合には、必要とされるレベルの防しわ性、
防縮性等の形態安定性能が付与出来ないというのが現状
である。
【0003】また、近年、レーヨン等のセルロース系繊
維に高圧水蒸気処理を施すことによって形態保持性を付
与しようとする試みも盛んになされているが(特開平5
−33259号公報等)、この処理では、ある程度の防
縮効果は見られるものの、防しわ性の向上に関してはほ
とんど効果がないというのが現状である。
維に高圧水蒸気処理を施すことによって形態保持性を付
与しようとする試みも盛んになされているが(特開平5
−33259号公報等)、この処理では、ある程度の防
縮効果は見られるものの、防しわ性の向上に関してはほ
とんど効果がないというのが現状である。
【0004】以上のように単独の技術では、防しわ性、
防縮性等の形態安定性能が付与が十分出来ないことか
ら、セルロース系繊維の内部を架橋改質の前処理とし
て、高圧水蒸気処理を始め、液体アンモニア処理、熱水
処理を施す方法も近年多く試みられているが、工程が複
雑になる上に、満足のいく結果は得られていない。
防縮性等の形態安定性能が付与が十分出来ないことか
ら、セルロース系繊維の内部を架橋改質の前処理とし
て、高圧水蒸気処理を始め、液体アンモニア処理、熱水
処理を施す方法も近年多く試みられているが、工程が複
雑になる上に、満足のいく結果は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、実用に十分耐え得る強力特性をも
ち、かつ、従来レベル以上の防しわ性、防縮性等の形態
安定性能に優れたセルロース系繊維含有布帛の製造方法
を提供せんとするものである。
技術の背景に鑑み、実用に十分耐え得る強力特性をも
ち、かつ、従来レベル以上の防しわ性、防縮性等の形態
安定性能に優れたセルロース系繊維含有布帛の製造方法
を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のセルロース系繊維含有布帛の製
造方法は、セルロース系繊維を含有する布帛を高圧水蒸
気雰囲気下で架橋剤中に浸漬して、該セルロース系繊維
を下記式で定義される架橋指数が0.1〜4.0の範囲
になるまで架橋することを特徴とするものである。
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のセルロース系繊維含有布帛の製
造方法は、セルロース系繊維を含有する布帛を高圧水蒸
気雰囲気下で架橋剤中に浸漬して、該セルロース系繊維
を下記式で定義される架橋指数が0.1〜4.0の範囲
になるまで架橋することを特徴とするものである。
【0007】架橋指数=(A−B)
ここで A:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%)
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、上記課題、つまり実用
に十分耐え得る強力特性をもち、かつ、従来レベル以上
の防しわ性、防縮性等の形態安定性能を有したセルロー
ス系繊維含有布帛の製造方法について鋭意検討し、高圧
水蒸気雰囲気下で架橋剤中に浸漬しながら、高圧水蒸気
で処理して、特定な架橋指数の範囲内に架橋改質させる
か、あるいは特定な架橋指数の範囲内に架橋改質させた
後、高圧蒸気で処理してみたところ、かかる課題を一挙
に解決することを究明したものである。
に十分耐え得る強力特性をもち、かつ、従来レベル以上
の防しわ性、防縮性等の形態安定性能を有したセルロー
ス系繊維含有布帛の製造方法について鋭意検討し、高圧
水蒸気雰囲気下で架橋剤中に浸漬しながら、高圧水蒸気
で処理して、特定な架橋指数の範囲内に架橋改質させる
か、あるいは特定な架橋指数の範囲内に架橋改質させた
後、高圧蒸気で処理してみたところ、かかる課題を一挙
に解決することを究明したものである。
【0009】本発明でいうセルロース系繊維とは、綿、
麻、パルプなどの天然セルロース繊維、ビスコースレー
ヨンなどの再生セルロース繊維等を使用するものであ
り、かかるセルロース系繊維を含有布帛とは、かかるセ
ルロース系繊維からなる布帛であって、さらに、他の繊
維として、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレン
テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどの
ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などの
ポリアミド系繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなど
のポリオレフィン系繊維、羊毛や絹などのタンパク質系
繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ビニロン繊維、アセテー
ト繊維等を混用してなる布帛をいうものである。かかる
混用の形としては、混繊、混紡、交織、交編等の手段に
よって形成されるものであってもよい。なお、得られる
効果の面からは、他の繊維と混用される場合、セルロー
ス系繊維を繊維重量で少なくとも10重量%含有するも
のであることが好ましい。
麻、パルプなどの天然セルロース繊維、ビスコースレー
ヨンなどの再生セルロース繊維等を使用するものであ
り、かかるセルロース系繊維を含有布帛とは、かかるセ
ルロース系繊維からなる布帛であって、さらに、他の繊
維として、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレン
テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどの
ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などの
ポリアミド系繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなど
のポリオレフィン系繊維、羊毛や絹などのタンパク質系
繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ビニロン繊維、アセテー
ト繊維等を混用してなる布帛をいうものである。かかる
混用の形としては、混繊、混紡、交織、交編等の手段に
よって形成されるものであってもよい。なお、得られる
効果の面からは、他の繊維と混用される場合、セルロー
ス系繊維を繊維重量で少なくとも10重量%含有するも
のであることが好ましい。
【0010】本発明は、かかる布帛に対し、高圧水蒸気
雰囲気下で架橋剤中に浸漬しながら、高圧水蒸気で処理
して、架橋改質をすること、あるいは架橋改質を行った
後に、高圧蒸気処理をすることによって、従来レベル以
上の防しわ効果が得られるばかりでなく、従来から問題
となっていた架橋改質後の強力低下も防止できることを
見出したものである。さらに、高圧水蒸気雰囲気下で架
橋剤中に浸漬しながら、高圧水蒸気で処理して架橋改質
をする方法では、従来別々に行っていた高圧水蒸気処理
と架橋改質剤による樹脂加工を1度に処理することが出
来る。
雰囲気下で架橋剤中に浸漬しながら、高圧水蒸気で処理
して、架橋改質をすること、あるいは架橋改質を行った
後に、高圧蒸気処理をすることによって、従来レベル以
上の防しわ効果が得られるばかりでなく、従来から問題
となっていた架橋改質後の強力低下も防止できることを
見出したものである。さらに、高圧水蒸気雰囲気下で架
橋剤中に浸漬しながら、高圧水蒸気で処理して架橋改質
をする方法では、従来別々に行っていた高圧水蒸気処理
と架橋改質剤による樹脂加工を1度に処理することが出
来る。
【0011】ここでいう高圧水蒸気とは、高温の飽和水
蒸気のことであり、具体的には温度120〜200℃、
圧力0.2〜1.6MPaの高圧飽和水蒸気であること
が好ましい。温度が120℃に満たない場合には、この
処理による効果が不十分となり、また、200℃よりも
高い場合には熱による黄変、脆化等の現象が見られるた
め好ましくない。処理時間は処理温度との兼ね合いで適
宜設定すればよいが、好ましくは30秒〜30分の範囲
内である。また、かかる処理には、上述の条件に耐えう
る耐圧容器を用いればよく、通常の高圧釜を使用するこ
とができる。
蒸気のことであり、具体的には温度120〜200℃、
圧力0.2〜1.6MPaの高圧飽和水蒸気であること
が好ましい。温度が120℃に満たない場合には、この
処理による効果が不十分となり、また、200℃よりも
高い場合には熱による黄変、脆化等の現象が見られるた
め好ましくない。処理時間は処理温度との兼ね合いで適
宜設定すればよいが、好ましくは30秒〜30分の範囲
内である。また、かかる処理には、上述の条件に耐えう
る耐圧容器を用いればよく、通常の高圧釜を使用するこ
とができる。
【0012】次に本発明でいう架橋改質剤とは、セルロ
ース系繊維を構成しているセルロース分子中の水酸基、
とりわけ洗濯時のしわ、収縮の原因となる非晶領域にあ
る水酸基と反応し、セルロース分子間および分子内に架
橋を形成することが可能な化合物のことであり、具体的
にはホルムアルデヒドや、ジメチロールエチレン尿素、
ジメチロールトリアゾン、ジメチロールウロン、ジメチ
ロールグリオキザールモノウレイン、ジメチロールプロ
ピレン尿素、これらのメチロール基の一部または全部を
メトキシ化、エトキシ化したもの等の繊維素反応型樹
脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等を使用する
ことができる。これらの架橋剤の中でも、セルロース系
繊維の架橋改質をより効率的、効果的に行うためには、
ホルムアルデヒドまたは下記一般式で示された化合物が
好ましく用いられる。
ース系繊維を構成しているセルロース分子中の水酸基、
とりわけ洗濯時のしわ、収縮の原因となる非晶領域にあ
る水酸基と反応し、セルロース分子間および分子内に架
橋を形成することが可能な化合物のことであり、具体的
にはホルムアルデヒドや、ジメチロールエチレン尿素、
ジメチロールトリアゾン、ジメチロールウロン、ジメチ
ロールグリオキザールモノウレイン、ジメチロールプロ
ピレン尿素、これらのメチロール基の一部または全部を
メトキシ化、エトキシ化したもの等の繊維素反応型樹
脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等を使用する
ことができる。これらの架橋剤の中でも、セルロース系
繊維の架橋改質をより効率的、効果的に行うためには、
ホルムアルデヒドまたは下記一般式で示された化合物が
好ましく用いられる。
【0013】
【化2】
【0014】(ここで、R1 、R2 は、−H、炭素数1
〜4のアルキル基、又は−CH2 OR7 のいずれかであ
る同種又は異種の基、R3 、R4 、R5 、R6 は、−H
または−OR8 のいずれかである同種又は異種の基、R
7 、R8 は、−H又は炭素数1〜4のアルキル基のいず
れかである同種又は異種の基である。) かかるセルロース系繊維の架橋改質を行うにあたり、架
橋改質剤の反応を促進する目的で、触媒を併用すること
も好ましく行われ、具体的には、有機酸、有機アミン
塩、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、硝
酸マグネシウム、塩化亜鉛等の金属塩などを使用するこ
とができる。
〜4のアルキル基、又は−CH2 OR7 のいずれかであ
る同種又は異種の基、R3 、R4 、R5 、R6 は、−H
または−OR8 のいずれかである同種又は異種の基、R
7 、R8 は、−H又は炭素数1〜4のアルキル基のいず
れかである同種又は異種の基である。) かかるセルロース系繊維の架橋改質を行うにあたり、架
橋改質剤の反応を促進する目的で、触媒を併用すること
も好ましく行われ、具体的には、有機酸、有機アミン
塩、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、硝
酸マグネシウム、塩化亜鉛等の金属塩などを使用するこ
とができる。
【0015】本発明のセルロース系繊維含有布帛は、か
かる方法により架橋改質されたものであるが、その改質
の程度は、下記式で定義される架橋指数が0.1〜4.
0の範囲内、より好ましくは2〜3.5の範囲内に架橋
するものである。かかる架橋指数は、温度20℃、相対
湿度65%RH雰囲気下での架橋改質前のセルロース系
繊維の吸湿率の値から、温度20℃、相対湿度65%R
H雰囲気下での架橋改質後の吸湿率の値を差し引いて算
出されるものであり、セルロース系繊維がどの程度架橋
改質されているかを知る上での指標となる。すなわち、
これは、架橋改質によりセルロース分子中の水酸基が封
鎖され、結果として吸湿率の値が低下することを利用し
たものである。この指数が小さいものほど架橋改質の度
合いが大きく、大きいものほど架橋改質の度合いが小さ
い。一般に未加工の木綿、麻で4〜5程度である。
かる方法により架橋改質されたものであるが、その改質
の程度は、下記式で定義される架橋指数が0.1〜4.
0の範囲内、より好ましくは2〜3.5の範囲内に架橋
するものである。かかる架橋指数は、温度20℃、相対
湿度65%RH雰囲気下での架橋改質前のセルロース系
繊維の吸湿率の値から、温度20℃、相対湿度65%R
H雰囲気下での架橋改質後の吸湿率の値を差し引いて算
出されるものであり、セルロース系繊維がどの程度架橋
改質されているかを知る上での指標となる。すなわち、
これは、架橋改質によりセルロース分子中の水酸基が封
鎖され、結果として吸湿率の値が低下することを利用し
たものである。この指数が小さいものほど架橋改質の度
合いが大きく、大きいものほど架橋改質の度合いが小さ
い。一般に未加工の木綿、麻で4〜5程度である。
【0016】架橋指数=(A−B)
ここで A:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%) 架橋指数が0.1より小さい場合、架橋が過度に形成さ
れ、布帛の強力や柔軟性が低下し、形態安定性は良好で
あるものの、実用に耐えないものとなってしまう。一
方、架橋指数が4.0より大きい場合は、セルロース繊
維の架橋改質が十分でなく、必要とされるレベルの防し
わ性、防縮性等の形態安定性能が付与出来ない。布帛の
強力、柔軟性と形態安定性のバランスを考えた場合に
は、架橋指数が2〜3.5の範囲内にあることがより好
ましい。
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%) 架橋指数が0.1より小さい場合、架橋が過度に形成さ
れ、布帛の強力や柔軟性が低下し、形態安定性は良好で
あるものの、実用に耐えないものとなってしまう。一
方、架橋指数が4.0より大きい場合は、セルロース繊
維の架橋改質が十分でなく、必要とされるレベルの防し
わ性、防縮性等の形態安定性能が付与出来ない。布帛の
強力、柔軟性と形態安定性のバランスを考えた場合に
は、架橋指数が2〜3.5の範囲内にあることがより好
ましい。
【0017】本発明においては、布帛の柔軟性を向上さ
せる目的で柔軟剤等を併用することや、吸水性を向上さ
せる目的で吸水剤等を併用すること、さらには抗菌剤、
制菌剤等を併用することも好ましく行われる。
せる目的で柔軟剤等を併用することや、吸水性を向上さ
せる目的で吸水剤等を併用すること、さらには抗菌剤、
制菌剤等を併用することも好ましく行われる。
【0018】本発明によって得られるセルロース系繊維
含有布帛は、強力特性、防しわ性、防縮性、形態安定性
に優れており、ドレスシャツ、学童用スクールシャツ、
ニットシャツ、ユニフォーム、婦人衣料、スポーツ衣料
等の用途に好適に使用されるものである。
含有布帛は、強力特性、防しわ性、防縮性、形態安定性
に優れており、ドレスシャツ、学童用スクールシャツ、
ニットシャツ、ユニフォーム、婦人衣料、スポーツ衣料
等の用途に好適に使用されるものである。
【0019】
【実施例】以下、実施例により、さらに詳細に説明す
る。
る。
【0020】評価には常法により糊抜、精錬、漂白、マ
ーセライズを行ったタテ・ヨコ45番手のポリエステル
45%、綿55%からなる目付112g/m2 のブロー
ド織物を用いた。
ーセライズを行ったタテ・ヨコ45番手のポリエステル
45%、綿55%からなる目付112g/m2 のブロー
ド織物を用いた。
【0021】また、実施例および比較例中の評価は、下
記の方法で行った。 [架橋指数] 架橋指数 =(A−B) ここで A:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%) [防しわ性]AATCC−124−1984の5段階レ
プリ法に基づいて判定を行った。
記の方法で行った。 [架橋指数] 架橋指数 =(A−B) ここで A:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%) [防しわ性]AATCC−124−1984の5段階レ
プリ法に基づいて判定を行った。
【0022】5級(良好)〜1級(不良)
[洗濯収縮]JIS L−1042のG法により、家庭
洗濯法で布帛のタテ方向、ヨコ方向の収縮率を測定し
た。なお、洗濯後は脱水機で絞らずに、乾燥ろ紙の間に
はさみ、軽く押さえて脱水し、水平に置いた金網の上で
乾燥した。 [引裂強力]JIS L−1096 D法 ペンジュラ
ム法で布帛のタテ糸切断方向、ヨコ糸切断方向の引裂強
力を測定した。
洗濯法で布帛のタテ方向、ヨコ方向の収縮率を測定し
た。なお、洗濯後は脱水機で絞らずに、乾燥ろ紙の間に
はさみ、軽く押さえて脱水し、水平に置いた金網の上で
乾燥した。 [引裂強力]JIS L−1096 D法 ペンジュラ
ム法で布帛のタテ糸切断方向、ヨコ糸切断方向の引裂強
力を測定した。
【0023】実施例1
上述の織物3疋を幅110cm、直径100mmのボビ
ンに巻き取り、高圧釜内で温度180℃、圧力0.92
MPaの条件下で架橋剤としてジメチロールジヒドロキ
シエチレン尿素樹脂水溶液(固形分20%)を70g/
l、および触媒として塩化マグネシウム10g/lを含
む加工液に浸漬し後、3分間高圧水蒸気処理した。
ンに巻き取り、高圧釜内で温度180℃、圧力0.92
MPaの条件下で架橋剤としてジメチロールジヒドロキ
シエチレン尿素樹脂水溶液(固形分20%)を70g/
l、および触媒として塩化マグネシウム10g/lを含
む加工液に浸漬し後、3分間高圧水蒸気処理した。
【0024】表1に示す架橋指数の試料を得た。評価結
果を併せて表1に示す。
果を併せて表1に示す。
【0025】実施例2
高圧水蒸気処理条件を温度150℃、圧力0.38MP
a、20分処理とした以外は実施例1と同様にして表1
に示す架橋指数の試料を得た。評価結果を併せて表1に
示す。
a、20分処理とした以外は実施例1と同様にして表1
に示す架橋指数の試料を得た。評価結果を併せて表1に
示す。
【0026】実施例3
上述の織物3疋を、架橋剤としてジメチロールジヒドロ
キシエチレン尿素樹脂水溶液(固形分20%)を70g
/l、および触媒として塩化マグネシウム10g/lを
含む加工液に浸漬し、絞り率80%でパディング後、1
00℃×2分予備乾燥、ついで170℃×1分熱処理
し、かかる織物を、幅110cm、直径100mmのボ
ビンに巻き取り、高圧釜内で温度180℃、圧力0.9
2MPaの条件下、3分間高圧水蒸気処理した。表1に
示す架橋指数の試料を得た。評価結果を併せて表1に示
す。
キシエチレン尿素樹脂水溶液(固形分20%)を70g
/l、および触媒として塩化マグネシウム10g/lを
含む加工液に浸漬し、絞り率80%でパディング後、1
00℃×2分予備乾燥、ついで170℃×1分熱処理
し、かかる織物を、幅110cm、直径100mmのボ
ビンに巻き取り、高圧釜内で温度180℃、圧力0.9
2MPaの条件下、3分間高圧水蒸気処理した。表1に
示す架橋指数の試料を得た。評価結果を併せて表1に示
す。
【0027】実施例4
高圧水蒸気処理条件を温度150℃、圧力0.38MP
a、20分処理とした以外は実施例3と同様にして表1
に示す架橋指数の試料を得た。評価結果を併せて表1に
示す。
a、20分処理とした以外は実施例3と同様にして表1
に示す架橋指数の試料を得た。評価結果を併せて表1に
示す。
【0028】実施例5
該布帛を架橋剤として0.02%のホルムアルデヒドを
含む容器内で130℃×10分間気相処理し表1に示す
架橋指数に架橋し、実施例3と同様にして高圧水蒸気処
理した評価結果を併せて表1に示す。
含む容器内で130℃×10分間気相処理し表1に示す
架橋指数に架橋し、実施例3と同様にして高圧水蒸気処
理した評価結果を併せて表1に示す。
【0029】実施例1〜5より、本発明によりに実用に
十分耐え得る強力特性をもち、かつ従来レベル以上の防
しわ性、防縮性等の形態安定性能を有したセルロース系
繊維含有布帛が得られることがわかる。
十分耐え得る強力特性をもち、かつ従来レベル以上の防
しわ性、防縮性等の形態安定性能を有したセルロース系
繊維含有布帛が得られることがわかる。
【0030】比較例1
何も処理を行わずに評価を行った。評価結果を併せて表
1に示す。
1に示す。
【0031】比較例2
実施例3と同様の架橋剤を用いた処理のみを行った(す
なわち、実施例3の高温水蒸気処理は行わない)試料を
得た。評価結果を併せて表1に示す。
なわち、実施例3の高温水蒸気処理は行わない)試料を
得た。評価結果を併せて表1に示す。
【0032】比較例3
架橋剤を用いず、実施例1と同様の条件で高圧水蒸気処
理のみを行い、試料を得た。評価結果を併せて表1に示
す。
理のみを行い、試料を得た。評価結果を併せて表1に示
す。
【0033】
【表1】
【0034】表1から明らかなように、実施例1〜5の
ものは、防しわ性、防縮性等の形態安定性能にすぐれて
いることがわかる。これに対して、比較例1〜3のもの
は、たとえば高圧水蒸気処理を行わない場合は、従来レ
ベルの防しわ性にとどまり、また、未処理布に比べ強力
低下が大きいことがわかる。また、高圧水蒸気処理のみ
の場合は、十分な防しわ効果が得られないことがわか
る。
ものは、防しわ性、防縮性等の形態安定性能にすぐれて
いることがわかる。これに対して、比較例1〜3のもの
は、たとえば高圧水蒸気処理を行わない場合は、従来レ
ベルの防しわ性にとどまり、また、未処理布に比べ強力
低下が大きいことがわかる。また、高圧水蒸気処理のみ
の場合は、十分な防しわ効果が得られないことがわか
る。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、実用に十分耐え得る強
力特性をもち、かつ従来レベル以上の防しわ性、防縮性
等の形態安定性能を有したセルロース系繊維含有布帛を
安定して供給することができる。
力特性をもち、かつ従来レベル以上の防しわ性、防縮性
等の形態安定性能を有したセルロース系繊維含有布帛を
安定して供給することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4L033 AA02 AB04 AC01 BA10 BA56
BA79 BA98
Claims (7)
- 【請求項1】 セルロース系繊維を含有する布帛を高圧
水蒸気雰囲気下で架橋剤中に浸漬して、該セルロース系
繊維を下記式で定義される架橋指数が0.1〜4.0の
範囲になるまで架橋することを特徴とするセルロース系
繊維含有布帛の製造方法。 架橋指数=(A−B) ここで A:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下
での架橋改質前のセルロース系繊維の吸湿率(%) B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋
改質後のセルロース系繊維の吸湿率(%) - 【請求項2】 該架橋改質した後、該セルロース系繊維
を高圧水蒸気処理すること特徴とする請求項1記載のセ
ルロース系繊維含有布帛の製造方法。 - 【請求項3】 該高圧水蒸気が、120〜200℃の高
圧飽和水蒸気である請求項2記載のセルロース系繊維含
有布帛の製造方法。 - 【請求項4】 該架橋指数が、2〜3.5の範囲内であ
る請求項1〜3のいずれかに記載のセルロース系繊維含
有布帛の製造方法。 - 【請求項5】 該架橋改質剤が、ホルムアルデヒドであ
る請求項1〜4のいずれかに記載のセルロース系繊維含
有布帛の製造方法。 - 【請求項6】 該架橋改質剤が、下記一般式で示される
化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のセルロー
ス系繊維含有布帛の製造方法。 【化1】 (ここで R1 、R2 は、−H、炭素数1〜4のアルキ
ル基、又は−CH2 OR7 のいずれかである同種又は異
種の基、R3 、R4 、R5 、R6 は、−Hまたは−OR
8 のいずれかである同種又は異種の基、R7 、R8 は、
−H又は炭素数1〜4のアルキル基のいずれかである同
種又は異種の基である。) - 【請求項7】該セルロース系繊維含有布帛が、セルロー
ス系繊維を少なくとも10重量%含有するものである請
求項1〜6のいずれかに記載のセルロース系繊維含有布
帛の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001364402A JP2003166171A (ja) | 2001-11-29 | 2001-11-29 | セルロース系繊維含有布帛の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001364402A JP2003166171A (ja) | 2001-11-29 | 2001-11-29 | セルロース系繊維含有布帛の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003166171A true JP2003166171A (ja) | 2003-06-13 |
Family
ID=19174599
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001364402A Pending JP2003166171A (ja) | 2001-11-29 | 2001-11-29 | セルロース系繊維含有布帛の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003166171A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008163519A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Tokai All-Set Kk | 機能性繊維材料の製造方法 |
-
2001
- 2001-11-29 JP JP2001364402A patent/JP2003166171A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008163519A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Tokai All-Set Kk | 機能性繊維材料の製造方法 |
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