JP2003164296A - プロモーター及びその用途 - Google Patents

プロモーター及びその用途

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JP2003164296A
JP2003164296A JP2002208328A JP2002208328A JP2003164296A JP 2003164296 A JP2003164296 A JP 2003164296A JP 2002208328 A JP2002208328 A JP 2002208328A JP 2002208328 A JP2002208328 A JP 2002208328A JP 2003164296 A JP2003164296 A JP 2003164296A
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Japan
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dna
promoter
seq
gene
cells
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Application number
JP2002208328A
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English (en)
Inventor
Masahito Kasuga
雅人 春日
Wataru Ogawa
渉 小川
Hiroshi Sakagami
浩 阪上
Yasushi Matsuki
泰 松木
Haruhisa Iguchi
晴久 井口
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 組織における前駆脂肪細胞から成熟脂肪
細胞への分化誘導によって細胞内での脂肪蓄積を促進さ
せる細胞分化促進因子を見出し、当該因子及びその遺伝
子等を利用する。 【解決手段】 特定の配列の塩基で示される、異なる特
定の二つの塩基配列のいずれかの塩基配列からなるDN
A、或いは、当該DNAとストリンジェントな条件下に
ハイブリダイズしかつ特定の配列で示されるアミノ酸配
列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝子の転写
を制御する能力を有するDNA等を含むことを特徴とす
るプロモーター等が提供可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロモーター、特
に細胞分化促進因子KKLFをコードする遺伝子の転写
を制御する能力を有するDNAを含むプロモーター、及
びその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】適切な量での脂肪蓄積は、多くの生命現
象に不可欠な役割を果たしている。従って、遺伝子障
害、生活習慣の変化・環境要因等により脂肪蓄積に異常
な誘導(亢進)又は抑制がおこれば(即ち、脂肪の過少
蓄積や過剰蓄積)、種々の病態や疾患が発生するのは必
然である。一般に、細胞内での脂肪蓄積は、脂肪蓄積を
促進する能力を有さない前駆脂肪細胞が何らかの刺激に
よって脂肪蓄積を促進する能力を有する成熟脂肪細胞へ
と分化誘導される結果、成熟脂肪細胞が有する脂肪合成
機構によって当該細胞内で行われることが実験的に示さ
れてきた。例えば、ファットレス症又は脂肪萎縮症等の
病態・疾患では、当該病態・疾患において本来起こるべ
き脂肪蓄積が前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化誘
導不全により不適切に抑制されるような障害を発生して
いると考えられる。また逆に、肥満等の病態・疾患では
前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化誘導を抑制する
ことにより過剰な脂肪蓄積を防ぐことが可能になると考
えられる。そこで、組織における前駆脂肪細胞から成熟
脂肪細胞への分化誘導によって細胞内での脂肪蓄積を促
進させ、これにより脂肪蓄積障害に伴う種々の疾患や異
常の予防、治療に有用な方法や薬剤の開発が切望されて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる状
況の下、鋭意検討した結果、配列番号1、2又は3で示
されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子が、組織
における前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化誘導
し、その結果として細胞内での脂肪蓄積が促進されるこ
とを見出している(特願2001−288719:本願
の出願時点ではまだ未公開である)。このような細胞分
化促進因子遺伝子の転写を調節することができれば、脂
肪蓄積促進又は抑制剤、脂肪蓄積促進又は抑制方法、前
駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化誘導又は抑制方
法、脂肪蓄積調節能力を有する物質の探索方法等の研究
・開発に極めて有用となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者らは鋭意検討を行った結果、前記細胞分化促進因子
をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有するDN
Aを見出して、本発明に至った。
【0005】すなわち本発明は、 1.以下の(1)〜(6)のいずれかに記載されるDN
Aを含むことを特徴とするプロモーター(以下、本発明
プロモーターと記すこともある。) (1)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
される塩基配列からなるDNA (2)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
される塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ配
列番号1で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進
因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有する
DNA (3)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
件下にハイブリダイズし、かつ配列番号1で示されるア
ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
子の転写を制御する能力を有するDNA (4)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
される塩基配列からなるDNA (5)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
される塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ配
列番号2で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進
因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有する
DNA (6)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
件下にハイブリダイズし、かつ配列番号2で示されるア
ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
子の転写を制御する能力を有するDNA; 2.配列番号20の塩基番号1番から3195番で示さ
れる塩基配列からなるDNAを含むことを特徴とするプ
ロモーター; 3.配列番号23の塩基番号1番から3463番で示さ
れる塩基配列からなるDNAを含むことを特徴とするプ
ロモーター; 4.前項1記載のプロモーターを含有することを特徴と
するプラスミド(以下、本発明プラスミドと記す。); 5.前項1記載のプロモーターを含有し、かつ当該プロ
モーターの下流(3’側)に当該プロモーターによって
転写が制御されるDNAを含有することを特徴とするプ
ラスミド; 6.前項1記載のプロモーター又は前項4記載のプラス
ミドが導入されてなる形質転換細胞(以下、本発明形質
転換細胞と記すこともある。); 7.脂肪蓄積調節能力を有する物質の探索方法であっ
て、(1)前項1記載のプロモーターを機能可能な形で
連結されてなるレポーター遺伝子を含有しかつ脂肪蓄積
非誘導条件下において配列番号1、2又は3で示される
アミノ酸配列を有する細胞分化促進因子を実質的に発現
しない細胞に、脂肪蓄積非誘導条件下又は脂肪蓄積誘導
条件下、被験物質を接触させる第一工程、及び、(2)
前記第一工程後に、レポーター遺伝子の発現量をモニタ
ーする第二工程、及び(3)前記第二工程によりモニタ
ーされた発現量の変化に基づき前記物質の脂肪蓄積調節
能力を評価する第三工程、及び(4)前記第三工程で評
価された脂肪蓄積調節能力に基づき脂肪蓄積調節能力を
有する物質を選抜する第四工程、を有することを特徴と
する探索方法(以下、本発明探索方法と記すこともあ
る。); 8.物質が有する転写調節能力を評価する方法であっ
て、(1)前項1記載のプロモーターを機能可能な形で
連結されてなるレポーター遺伝子を含有しかつ脂肪蓄積
非誘導条件下において配列番号1、2又は3で示される
アミノ酸配列を有する細胞分化促進因子を実質的に発現
しない細胞に、脂肪蓄積非誘導条件下又は脂肪蓄積誘導
条件下、被験物質を接触させる第一工程、及び、(2)
前記第一工程後に、レポーター遺伝子の発現量をモニタ
ーする第二工程、及び、(3)前記第二工程によりモニ
ターされた発現量の変化に基づき前記物質の転写調節能
力を評価する第三工程、を有することを特徴とする評価
方法。 9.前項1記載のプロモーターと結合する物質の選抜方
法であって、(1)前項1記載のプロモーターと被験物
質とを接触させる第一工程、及び(2)前記第一工程後
に、当該プロモーターと被験物質との複合体生成の有無
を調べる第二工程、を有することを特徴とする選抜方
法; 10.前項1記載のプロモーターと結合する物質の精製
方法であって、(1)前項1記載のプロモーターと試料
とを接触させて、当該プロモーターと当該試料中に含有
される当該プロモーターと結合する物質との複合体を生
成させる第一工程、及び、(2)前記第一工程後、生成
させた複合体から当該結合物質を単離する第二工程、を
有することを特徴とする精製方法(以下、本発明精製方
法と記すこともある。); 11.プロモーターとしての、以下の(1)〜(6)の
いずれかに記載されるDNAの使用 (1)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
される塩基配列からなるDNA (2)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
される塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ配
列番号1で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進
因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有する
DNA (3)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
件下にハイブリダイズし、かつ配列番号1で示されるア
ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
子の転写を制御する能力を有するDNA (4)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
される塩基配列からなるDNA (5)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
される塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ配
列番号2で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進
因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有する
DNA (6)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
件下にハイブリダイズし、かつ配列番号2で示されるア
ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
子の転写を制御する能力を有するDNA 13.プロモーターとしての、以下の(1)〜(2)の
いずれかに記載されるDNAの使用。 (1)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
される塩基配列からなるDNA (2)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
される塩基配列からなるDNA 等を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる遺伝子工学的技術は、たとえば、
「MolecularCloning:A Labor
atory Manual 2nd edition」
(1989), Cold Spring Harbo
r Laboratory Press及び D.,
M.,Glover著、DNA クローニング(DNA
Cloning)、IRL発行、1985年などに記
載されている通常の方法に準じて行うことができる。
【0007】本発明プロモーターは、(1)配列番号2
0の塩基番号1番から3195番で示される塩基配列か
らなるDNA、(2)配列番号20の塩基番号1番から
3195番で示される塩基配列において1個もしくは複
数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列か
らなり、かつ配列番号1で示されるアミノ酸配列を有す
る細胞分化促進因子をコードする遺伝子の転写を制御す
る能力を有するDNA、(3)配列番号20の塩基番号
1番から3195番で示される塩基配列からなるDNA
とストリンジェントな条件下にハイブリダイズし、かつ
配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促
進因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有す
るDNA、(4)配列番号23の塩基番号1番から34
63番で示される塩基配列からなるDNA、(5)配列
番号23の塩基番号1番から3463番で示される塩基
配列において1個もしくは複数個の塩基が欠失、置換も
しくは付加された塩基配列からなり、かつ配列番号2で
示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコー
ドする遺伝子の転写を制御する能力を有するDNA
(6)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
件下にハイブリダイズし、かつ配列番号2で示されるア
ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
子の転写を制御する能力を有するDNAを含むプロモー
ターである。
【0008】本願において「プロモーター」とは、調節
遺伝子の一種で、σ因子を持つRNAポリメラーゼが結
合し、オペロンの転写を開始する部位であり、転写を促
すために必要な配列を含むDNAを意味し、さらに、例
えば、細胞型特異的もしくは組織特異的な制御を受ける
プロモーター要素、又は外来性のシグナルもしくは因子
(例えば、転写活性化蛋白質)によって誘導されるプロ
モーター依存的遺伝子発現を引き起こすために十分なプ
ロモーター要素を含んでいてもよい。
【0009】本願において「細胞分化促進因子」とは、
組織、例えば腹腔内脂肪、における前駆脂肪細胞から成
熟脂肪細胞への分化誘導を促進する蛋白質因子を意味す
る。また「腹腔内脂肪」とは、腹腔内の腹直筋、外・内
腹斜筋、腹横筋、腰方形筋、大腰筋および錐体の内側に
存在する脂肪を意味する。さらに「腹腔内脂肪細胞」と
は、腹腔内脂肪に存在する細胞を意味する。
【0010】このような細胞分化促進因子のうち、配列
番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列を有する細胞
分化促進因子は、ヒト、マウス又はラット由来のKKL
F(KLF15:GenBank Accession N
o.BAA88561,NP075673又はBAA7
8378)として知られている。
【0011】ここでKLF(Kruppel-like factors)と
は、DNA結合能力を有する転写因子の一種であって、当
該因子は発生・分化において重要な役割を担っている。
KLFは、Cys2/His2 zinc fingerモチーフを有する転
写因子であり、そのファミリーは現在までにEKLF(KLF
1:Mol. Cell. Biol. 13, 2776-2786 (1993))、LKLF(KL
F2:Mol. Cell. Biol. 15 (11), 5957-5965 (1995))、B
KLF及びGKLF/EZF(KLF3及びKLF4:J. Biol. Chem. 271
(33), 20009-20017 (1996))、IKLF/BTEB2(KLF5:Nuclei
c Acids Res. 27 (5), 1263-1270 (1999))、Zf9/CPBP(K
LF6:J. Am. Soc.Nephrol. 12 (4), 726-735 (2001))、
UKLF(KLF7:Development 128 (7), 1147-1158 (200
1))、BKLF3(KLF8:Nucleic Acids Res. 28 (9), 1955-1
962 (2000))、BTEB1(KLF9:Mol. Cell. Biol. 19 (1),
194-204 (1999))、TIEG1/EGRα及びTIEG2/FKLF(KLF10及
びKLF11:Mol. Cell. Biol. 19 (5), 3571-3579 (199
9))、AP2rep及びFKLF2/RFLAT(KLF12及びKLF13:Blood.
2000 Jun 1;95(11):3578-84)、KLF14(KLF14:Genomics
70 (1), 93-101 (2000))、KKLF(KLF15:Mol Cell Biol.
2000 20(19):7319-31)の15種類が発見されている。K
LFファミリーの特徴は、Cys2/His2 zinc fingerモチ
ーフを3個有し、C末端側のKLFファミリー間の相同性
が高いことにある。KLFファミリーの共通のDNA認識
配列は「GT-box」、「CACCC element」と呼ばれるDNA m
otifである。KLFファミリーは共通のDNA配列に結合
し、同じ器官・組織に複数のKLFファミリーが発現し
ているにも関わらず、個々のKLFの生理作用は大きく異
なっている。(Nucleic Acids Res.27(15),2991-3000(19
99))。従来、例えば、KKLFについては、肝臓、腎臓
及び心臓等の脂肪組織以外の器官・組織で発現している
ことが確認されているだけであり、さらに、その生理作
用に関する知見は何ら存在していなかった。
【0012】本願において「ストリンジェントな条件下
にハイブリダイズするDNA」とは、以下に示すDNA
をいう。すなわち、(1)高イオン濃度下[例えば、6
XSSC(900mMの塩化ナトリウムおよび90mM
のクエン酸ナトリウムを含有する)等が挙げられる。]
に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることによ
りDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオ
ン濃度下[例えば、0.1X SSC(15mMの塩化
ナトリウムおよび1.5mMのクエン酸ナトリウムを含
有する)等が用いられる。]に、65℃の温度条件で3
0分間洗浄した後でも当該ハイブリッドが維持されうる
DNAをいう。
【0013】本発明プロモーターが含むDNAとして
は、例えば、配列番号20の塩基番号1番から3195
番で示される塩基配列からなるDNA、配列番号23の
塩基番号1番から3463番で示される塩基配列からな
るDNA、配列番号23の塩基番号1737番から34
63番で示される塩基配列からなるDNA、配列番号2
3の塩基番号3040番から3463番で示される塩基
配列からなるDNA等のDNAや、前記のいずれかのD
NAの塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列からなりかつ配列
番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列を有する細胞
分化促進因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力
を有するDNA、前記のいずれかのDNAの塩基配列か
らなるDNAとストリンジェントな条件下にハイブリダ
イズしかつ配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配
列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝子の転写
を制御する能力を有するDNA等を挙げることができ
る。
【0014】本発明プロモーターの調製方法としては、
例えば、化学合成法、PCR、ハイブリダイゼーション
法等が挙げられる。化学合成法を用いて調製する場合、
DNA自動合成機、例えばDNA合成機モデル380A (ABI
社製)等を用いることができる。次に、PCRを用いて
本発明プロモーターを調製する方法について説明する。
鋳型とするゲノムライブラリーは、例えば、「Mole
cular Cloning:A Laborator
y Manual 2nd edition」(198
9)、Cold Spring Harbor Lab
oratoryPress等に記載されている方法に準
じてヒト、マウス等の哺乳動物の組織から調製すること
ができる。また、ヒトゲノムDNA(クローンテック
製)等の市販のゲノムDNAや、ヒトゲノムウォーカー
キット(クローンテック製)等の市販ゲノムライブラリ
ーを用いることができる。次いで、増幅させるプロモー
ターに対応したプライマー、例えば配列番号20で示さ
れる塩基配列からなるDNAを含む本発明プロモーター
を調製する場合であれば、例えば配列番号18で示され
る塩基配列からなるプライマーと、配列番号19で示さ
れる塩基配列からなるプライマーとを用いてPCRを行
う。尚、前記プライマーは、配列番号1で示される塩基
配列に基づいて適宜設計することができ、また、その
5’末端側に、制限酵素認識配列等を付加してもよい。
前記のようにして増幅されたDNAは、「Molecu
lar Cloning:A Laboratory
Manual 2nd edition」(198
9), Cold Spring Harbor La
boratory Press、「Current P
rotocols In Molecular Bio
logy」(1987), John Wiley &
Sons,Inc.ISBN0−471−50338
−X等に記載される通常の方法に準じてベクターにクロ
ーニングすることができる。具体的には例えばInvi
trogen製のTAクローニングキットに含まれるプ
ラスミドベクターやStratagene製のpBlu
escriptIIなどのプラスミドベクターを用いて
クローニングすることができる。クローニングされたD
NAの塩基配列は、F.Sanger,S.Nickl
en,A.R.Coulson著、Proceedin
gs of National Academy of
Science U.S.A.(1977),74,
5463−5467等に記載されるダイデオキシターミ
ネーティング法などにより分析することができる。
【0015】次に、ハイブリダイゼーション法を用いて
本発明プロモーターを調製する方法について説明する。
まず、プローブに用いるDNAを標識する。プローブに
用いるDNAとしては、調製しようとするプロモーター
の塩基配列の少なくとも一部を有するDNA、例えば、
配列番号20の塩基番号1番から3195番で示される
塩基配列もしくはその連続した一部の塩基配列からなる
DNAであってその鎖長が20塩基以上160塩基以下
であるDNA、前記DNAの塩基配列において1個もし
くは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基
配列からなるDNA、前記DNAとストリンジェントな
条件下にハイブリダイズするDNA等を挙げることがで
きる。具体的には、配列番号20の塩基番号3001番
から3100番で示される塩基配列からなるDNA、配
列番号20の塩基番号2501番から2600番で示さ
れる塩基配列からなるDNA、配列番号20の塩基番号
2001番から2100番で示される塩基配列からなる
DNA、配列番号23の塩基番号3001番から310
0番で示される塩基配列からなるDNA、配列番号23
の塩基番号2501番から2600番で示される塩基配
列からなるDNA、配列番号23の塩基番号2001番
から2100番で示される塩基配列からなるDNA等を
挙げることができる。プローブに用いる前記DNAは、
例えば、化学合成法、PCR、ハイブリダイゼーション
法等、「本発明プロモーターの調製方法」として前述し
た通常のDNAの調製方法によって得ることができる。
なお、プローブに用いる前記DNAは、それ自身が配
列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列を有する細
胞分化促進因子をコードする遺伝子の転写を制御する能
力を有していても良い。プローブに用いる前記DNAを
放射性同位元素により標識するには、例えば、ベーリン
ガー製、宝酒造製のRandom Labelling
Kit等を用いることができ、通常のPCR反応組成
中のdCTPを[α−32P]dCTPに替えて、プロー
ブに用いる前記DNAを鋳型にしてPCR反応を行うこ
とにより、標識を行うこともできる。また、プローブに
用いるDNAを蛍光色素で標識する場合には例えば、E
CL Direct Nucleic Acid La
belling and Ditection Sys
tem(AmershamPharmacia Bio
tech製)等を用いることができる。プローブをハイ
ブリダイズさせるDNAライブラリーとしては、例え
ば、ラットなどのげっ歯類等の動物由来のゲノムDNA
ライブラリー等を使用することができる。当該DNAラ
イブラリーには、市販のゲノムDNAライブラリーを用
いることもできるし、また「Molecular Cl
oning:A Laboratory Manual
2nd edition」(1989),Cold
Spring Harbor Laboratory
Pressや「CurrentProtocols I
n Molecular Biology」(198
7),John Wiley & Sons,Inc.
ISBN0−471−50338−X等に記載される通
常のライブラリー作製法に従い、例えば、Strata
gene製のλ FIX II、λ EMBL3、λ
EMBL4、λDASH II等のλベクターを用い、
Gigapack packagingExtract
s(Stratagene製)等をin vitroパ
ッケージングに用いてゲノムDNAライブラリーを作製
し、これを用いることもできる。
【0016】ハイブリダイゼーション方法としては、コ
ロニーハイブリダイゼーションやプラークハイブリダイ
ゼーションをあげることができ、ライブラリーの作製に
用いられたベクターの種類に応じて方法を選択するとよ
い。例えば、使用されるライブラリーがプラスミドベク
ターで構築されたライブラリーである場合には、コロニ
ーハイブリダイゼーションを行うことができる。具体的
にはまず、ライブラリーのDNAを宿主微生物に導入し
て形質転換細胞を取得し、得られた形質転換細胞を希釈
して寒天培地にまき、コロニーが現れるまで37℃で培
養を行う。また、使用されるライブラリーがファージベ
クターで構築されたライブラリーである場合には、プラ
ークハイブリダイゼーションを行うことができる。具体
的にはまず、宿主微生物とライブラリーのファージを感
染可能な条件下で混合した後さらに軟寒天培地と混合
し、これを寒天培地上にまく。その後プラークが現れる
まで37℃で培養を行う。より具体的には、例えば、M
olecular Cloning 2nd edit
ion(J.Sambrook, E.F.Frisc
h, T.Maniatis著、Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press
1989年)2.60から2.65等に記載されてい
る方法に準じて、NZY寒天培地に寒天培地1mm2
り0.1〜1.0pfuの密度で、約9.0×105
fuのファージライブラリーを広げ、37℃で6〜10
時間培養する。
【0017】次いで、前記のいずれのハイブリダイゼー
ション法を用いた場合も、前述の培養を行った寒天培地
の表面にメンブレンフィルターをのせ、プラスミドを保
有する形質転換細胞やファージを当該メンブレンフィル
ターに転写する。このメンブレンフィルターをアルカリ
処理した後、中和処理し、次いで、DNAを当該フィル
ターに固定する処理を行う。より具体的には例えば、プ
ラークハイブリダイゼーションの場合には、クローニン
グとシークエンス:植物バイオテクノロジー実験マニュ
アル(渡辺、杉浦編集、農村文化社1989年)等に記
載の通常の方法に準じて、前記寒天培地の上にニトロセ
ルロースフィルター又はナイロンフィルター等、例え
ば、Hybond−N(Amersham Phar
maciaBiotech製)を置き、約1分間静置し
てファージ粒子をメンブレンフィルターに吸着させる。
次に、当該フィルターをアルカリ溶液(1.5M塩化ナ
トリウム、0.5N水酸化ナトリウム)に約3分間浸し
てファージ粒子を溶解させてファージDNAをフィルタ
ー上に溶出させた後、中和溶液(1.5M塩化ナトリウ
ム、0.5Mトリス塩酸、pH7.5)に約5分間浸す
処理を行う。当該フィルターを洗浄溶液(300mM塩
化ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、200m
Mトリス塩酸)で約5分間洗った後、例えば、約80℃
で約90分間ベーキングすることによりファージDNA
をフィルターに固定する。このように調製されたフィル
ターと、前記プローブとを用いてハイブリダイゼーショ
ンを行う。ハイブリダイゼーションを行う際の試薬及び
温度条件は、例えば、D.M.Glover編「DNA
cloning, a practical app
roach」 IRL PRESS(1985) IS
BN 0−947946−18−7、クローニングとシ
ークエンス:植物バイオテクノロジー実験マニュアル
(渡辺、杉浦編集、農村文化社1989年)、または、
MolecularCloning 2nd edit
ion(J.Sambrook,E.F.Frisc
h,T.Maniatis著、Cold Spring
Harbor Laboratory Press、
1989年)等の記載の方法に準じて行うことができ
る。例えば、450〜900mMの塩化ナトリウム、4
5〜90mMのクエン酸ナトリウムを含み、ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0%(W/V)
の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μ
g/mLの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フ
ィコール、ポリビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.
2%(W/V)の濃度で含んでいてもよいプレハイブリ
ダイゼーション溶液、好ましくは、900mMの塩化ナ
トリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1%(W/
V)のSDSおよび100μg/mLの変性Calf−
thymus DNAを含むプレハイブリダイゼーショ
ン溶液を、前記のようにして作製したフィルター1cm
2当り50〜200μLの割合で準備し、当該溶液に前
記フィルターを浸して42〜68℃で1〜4時間、好ま
しくは、45℃で2時間保温する。次いで、例えば、4
50〜900mMの塩化ナトリウム、45〜90mMの
クエン酸ナトリウムを含み、SDSを0.1〜1.0%
(W/V)の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0
〜200μg/mLの濃度で含み、場合によってはアル
ブミン、フィコール、ポリビニルピロリドン等をそれぞ
れ0〜0.2%(W/V)の濃度で含んでいてもよいハ
イブリダイゼーション溶液、好ましくは、900mMの
塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1%
(W/V)のSDSおよび100μg/mLの変性Ca
lf−thymus DNAを含むハイブリダイゼーシ
ョン溶液と、前述の方法で調製して得られたプローブ
(フィルター1cm2当り1.0×104〜2.0×10
6cpm相当量)とを混合した溶液をフィルター1cm2
当り50〜200μLの割合で準備し、当該溶液にフィ
ルターを浸し42〜68℃で4〜20時間、好ましく
は、45℃で16時間保温しハイブリダイゼーション反
応を行う。当該ハイブリダイゼーション反応後、フィル
ターを取り出し、15〜300mMの塩化ナトリウム、
1.5〜30mMのクエン酸ナトリウム、および0.1
〜1.0%(W/V)のSDS等を含む42〜68℃の
洗浄溶液等、好ましくは、300mMの塩化ナトリウ
ム、30mMのクエン酸ナトリウム、および1%(W/
V)のSDSを含む55℃の洗浄溶液で、10〜60分
間のフィルター洗浄を1〜4回、好ましくは15分間の
洗浄を2回行う。さらに、フィルターを2×SSC溶液
(300mM塩化ナトリウム、および30mMクエン酸
ナトリウムを含む。)で軽くすすいだのち乾燥させる。
このフィルターを、例えば、オートラジオグラフィーな
どに供してフィルター上のプローブの位置を検出するこ
とにより、用いたプローブとハイブリダイズするDNA
のフィルター上の位置を検出する。検出されたDNAの
フィルター上の位置に相当するクローンをもとの寒天培
地上で特定しこれを釣菌することにより、当該DNAを
有するクローンを単離することができる。具体的には例
えば、フィルターをイメージングプレート(富士フィル
ム)に4時間露光させ、次いで当該プレートをBAS2
000(富士フィルム)を用いて解析し、シグナルを検
出する。フィルターの作製に用いた寒天培地のうち、シ
グナルが検出された位置に相当する部分を約5mm角に
くり抜き、これを約500μLのSMバッファー(50
mMトリス−塩酸pH7.5、0.1M塩化ナトリウ
ム、7mM硫酸マグネシウム、および0.01%(W/
V)ゼラチンを含む。)に2〜16時間、好ましくは3
時間浸してファージ粒子を溶出させる。得られたファー
ジ粒子溶出液をMolecular Cloning
2nd edition(J.Sambrook,E.
F.Frisch,T.Maniatis著、Cold
Spring Harbor Laboratory
Press、1989年)2.60から2.65に記
載の方法に準じて寒天培地に広げ、37℃で6〜10時
間培養する。この寒天培地を用いて前述の方法と同様の
方法でファージDNAをフィルターに固定し、このフィ
ルターと前述のプローブを用いてハイブリダイゼーショ
ンを行う。フィルターの作製に用いた寒天培地のうち
の、シグナルが検出された位置に相当する部分からファ
ージ粒子を溶出し、これを寒天培地に広げ、前述の方法
と同様にフィルターを作製し、ハイブリダイゼーション
を行う。このようなファージクローンの特定と純化を繰
り返すことにより、用いたプローブとハイブリダイズす
る塩基配列からなるDNAを含むファージクローンが得
られる。前述のようなハイブリダイゼーションによるス
クリーニングを行うことにより得られたクローンの保有
するDNAは、DNA調製や解析が容易なプラスミドベ
クター、例えば市販のpUC18、pUC19、pBL
UESCRIPT KS+、pBLUESCRIPT
KS− 等にサブクローニングして、プラスミドDNA
を調製し、F.Sanger,S.Nicklen,
A.R.Coulson著、Proceedings
of National Academy of Sc
ience U.S.A.(1977),74,546
3−5467等に記載されるダイデオキシターミネーテ
ィング法を用いてその塩基配列を決定することができ
る。塩基配列分析に用いる試料の調製は、例えば、Mo
lecular Cloning 2nd editi
on(J.Sambrook,E.F.Frisch,
T.Maniatis著、Cold Spring H
arbor Laboratory Press、19
89年)13.15等に記載されているプライマーエク
ステンション法に準じて行うことができる。また、ファ
ージクローンをMolecular Cloning
2nd edition(J.Sambrook,E.
F.Frisch,T.Maniatis著、Cold
Spring Harbor Laboratory
Press、1989年)2.60から2.65等に
記載の方法に準じてNZYM液体培地で増幅し、ファー
ジ液を調製して、これから例えば、Lambda−TR
APPLUS DNA Isolation Kit
(Clontech製)等を用いてファージクローンD
NAを抽出し、当該DNAを鋳型として、例えば、前述
のプライマーエクステンション法により塩基配列分析用
の試料を調製し、塩基配列を分析することもできる。こ
のようにして得られるDNAの配列番号1、2又は3で
示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコー
ドする遺伝子の転写を制御する能力を後述のようにして
確認することもできる。尚、本願において「転写を制御
する能力」とは、例えば、プロモーターの下流に位置す
る遺伝子の転写を開始させる活性等を意味する(以下、
プロモーター活性と記すこともある。)。
【0018】本発明プロモーターは、配列番号20の塩
基番号1番から3195番で示される塩基配列からなる
DNAを含むプロモーター等に変異を導入することによ
って作製しても良い。具体的には、例えば、A.Gre
ener,M.Callahan、Strategie
s(1994)7,32−34等に記載される方法を用
いてランダムに変異を導入することによって取得するこ
とができ、、W.Kramer,et al.、Nuc
leic Acids Research(1984)
12,9441もしくはW.Kramer,H.J.F
rits、Methods in Enzymolog
y(1987)154,350等に記載のギャップド・
デュープレックス(gapped duplex)法、
またはT.A.Kunkel、Proc. of Na
tl. Acad. Sci.U.S.A.(198
5)82,488もしくはT.A.Kunkel,et
al.、Methods in Enzymology
(1987)154,367等に記載のクンケル(Ku
nkel)法を用いて部位特異的に変異を導入すること
によって取得することができる。あるいは、配列番号2
0の塩基番号1番から3195番で示される塩基配列か
らなるDNAを含むプロモーター等のうち1ヶ所ないし
数カ所の部分塩基配列を、他のプロモーターのDNAの
一部と入れ換えたキメラDNAを作製することによって
取得することができ、例えば、S.Henikoff,
et al.、Gene(1984)28,351、
C.Yanisch−Perron, et al.、
Gene(1985)33,103等に記載された方法
を用いることができる。
【0019】前記の種々の方法で調製される本発明プロ
モーターを、通常の方法、例えば、「田村隆明著(羊土
社刊)、新転写制御のメカニズム(2000年)」33
〜40頁、「野村慎太郎、渡辺俊樹監修著(秀潤社
刊)、脱アイソトープ実験プロトコール(1998年)」等
に記載された方法に準じて、プロモーター活性を維持し
たまま、その一部分の塩基を欠失させて得られる(即
ち、適当な制限酵素を用いて切り出すことにより調製さ
れる)DNAも本発明プロモーターとして使用すること
ができる。得られたDNAの配列番号1、2又は3で示
されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコード
する遺伝子の転写を制御する能力は後述する方法により
確認することができる。
【0020】本発明プラスミドの調製において、本発明
プロモーターを挿入するためのプラスミドとしては、所
望の細胞内で機能可能なプラスミドであれば良く、当該
プラスミドが導入された細胞を選択するためのマーカー
遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマ
イシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等)を含ん
でいてもよい。また、前記プラスミドにおいて、本発明
プロモーターおよび所望の遺伝子がプラスミド上で機能
可能な形で連結されるような位置、例えば当該プロモー
ターを挿入する部位の下流に遺伝子挿入部位がさらに有
ると、所望の遺伝子を細胞内で発現させるためのプラス
ミドの構築等に好ましく利用できる。ここで遺伝子挿入
部位とは、例えば、遺伝子工学的手法で通常用いられる
制限酵素が特異的に認識切断可能な塩基配列であり、本
発明プロモーターを有するプラスミド上に唯一存在する
種類の制限酵素認識配列が好ましい。当該プラスミドと
して具体的には、例えば、pUC系プラスミド[pUC
118,pUC119(宝酒造製)など]、pSC10
1系プラスミド、Ti−プラスミド[pBI101,p
BI121(Clontech製)など]、pBR32
2プラスミド(Boehringer Mannhei
m製)、pcDNA3プラスミド(Invitroge
n製)等が挙げられる。本発明プロモーターの前記プラ
スミドへの挿入は、通常の方法、例えば「Molecu
lar Cloning:A Laboratory
Manual2nd edition」(1989),
Cold Spring Harbor Labora
tory Press、「Current Proto
cols In Molecular Biolog
y」(1987),John Wiley & Son
s,Inc.ISBN0−471−50338−X等に
記載される方法に準じて行うことができる。
【0021】また、例えば本発明プラスミドのうち本発
明プロモーターの制御下にルシフェラーゼ遺伝子を含む
プラスミドは、当該プラスミド中の本発明プロモーター
のプロモーター活性を測定する場合に好ましく利用する
ことができ、ルシフェラーゼ遺伝子を含む市販のプラス
ミド、例えば、pGL3−basic(Promega
製)、PicaGene Basic Vector
(東洋インキ製)等のプラスミドを使って作製すること
ができる。具体的には、pGL3−basicの遺伝子
挿入部位に通常の方法により本発明プロモーターを機能
可能な形で挿入することにより、本発明プロモーターの
制御下にルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドを作製
することができる。
【0022】前記の本発明プロモーター又は本発明プラ
スミドが導入されてなる本発明形質転換細胞の調製方法
について以下に説明する。本発明プロモーター又は本発
明プラスミドを導入する宿主細胞としては、大腸菌、酵
母、植物細胞、動物細胞等の細胞を挙げることができ、
本発明プロモーター又は本発明プラスミドが細胞内で増
幅可能な形態を保てる細胞であればよい。好ましくは動
物細胞、特に好ましくは腹腔内脂肪細胞を挙げることが
できる。本発明プロモーター又は本発明プラスミドの宿
主細胞への導入法としては、細胞に応じた導入方法を適
用することができ、例えば動物細胞にはりん酸カルシウ
ム法、電気導入法、DEAEデキストラン法、ミセル形
成法などを適用することができる。具体的には例えば、
りん酸カルシウム法としては、Grimm,S. et
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA,93,10923−10927等に記載の方法を
挙げることができ、電気導入法およびDEAEデキスト
ラン法としては、Ting,A.T. et al.,
EMBO J.,15,6189−6196等に記載の
方法を挙げることができ、ミセル形成法としては、Ha
wkins,C.J. et al.,Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,93,13786−
13790等に記載の方法を挙げることができる。ミセ
ル形成法としては例えば、リポフェクトアミン(Gib
coBRL製)やフュージーン(Boehringer
Mannheim製)等の市販の試薬を使用すること
が可能である。
【0023】本発明は、本発明プロモーターを機能可能
な形で連結されてなるレポーター遺伝子を含有しかつ脂
肪蓄積非誘導条件下において配列番号1、2又は3で示
されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子を実質的
に発現しない細胞に被験物質を接触させる方法を提供し
ている。即ち、脂肪蓄積調節能力を有する物質の探索方
法であって、(1)本発明プロモーターを機能可能な形
で連結されてなるレポーター遺伝子を含有しかつ脂肪蓄
積非誘導条件下において配列番号1、2又は3で示され
るアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子を実質的に発
現しない細胞に、脂肪蓄積非誘導条件下又は脂肪蓄積誘
導条件下、被験物質を接触させる第一工程、及び、
(2)前記第一工程後に、レポーター遺伝子の発現量を
モニターする第二工程、及び、(3)前記第二工程によ
りモニターされた発現量の変化に基づき前記物質の脂肪
蓄積調節能力を評価する第三工程、及び、(4)前記第
三工程で評価された脂肪蓄積調節能力に基づき脂肪蓄積
調節能力を有する物質を選抜する第四工程、を有するこ
とを特徴とする探索方法(即ち、本発明探索方法)であ
る。当該探索方法は、いわゆるレポータージーンアッセ
イを用いる、脂肪蓄積調節能力を有する物質の探索方法
である。
【0024】使用される細胞としては、哺乳動物細胞を
宿主とする本発明形質転換細胞が好ましく、哺乳動物の
腹腔内脂肪細胞を宿主とする本発明形質転換細胞が特に
好ましい。前記形質転換細胞は、以下のようにして調製
することができる。まず本発明プロモーターを、グルク
ロニダーゼ(GUS)、ルシフェラーゼ、クロラムフェニ
コールトランスアセチラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダ
ーゼ及びグリーン蛍光蛋白質(GFP)等のレポーター遺
伝子(その発現を解析することができる遺伝子)に機能
可能な形で連結することにより、本発明プロモーターを
機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子を調製
する。ここで「機能可能な形で連結する」とは、ある遺
伝子と一つまたはそれ以上の調節配列とが、適した外来
性のシグナル又は因子が調節配列に結合した時に遺伝子
発現が可能となるような様式で連結することを意味す
る。次に、本発明プロモーターを機能可能な形で連結さ
れてなるレポーター遺伝子を通常の遺伝子工学的手法を
用いて、当該レポーター遺伝子を導入する細胞において
使用可能なベクターに挿入することにより、プラスミド
を作製する。次いで、前記プラスミドを細胞へ導入す
る。細胞への導入法としては、例えば、リン酸カルシウ
ム法、電気導入法、DEAEデキストラン法、ミセル形
成法等を挙げることができる。リン酸カルシウム法とし
てはGrimm, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
93, 10923-10927等に記載される方法、電気導入法及び
DEAEデキストラン法としてはTing, A. T. et al.,E
MBO J., 15, 6189-6196等に記載される方法、ミセル形
成法としてはHawkins, C. J. et al., Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 93, 13786-13790等に記載される方法を挙
げることができる。ミセル形成法を用いる場合には、リ
ポフェクトアミン(ギブコ製)やフュージーン(ベーリ
ンガー製)等の市販の試薬を利用するとよい。
【0025】前記プラスミドの導入処理を施した細胞
を、例えば、当該ベクターに予め含まれる選抜マーカー
遺伝子を利用し、当該選択マーカー遺伝子に応じた選抜
条件の培地で培養することにより、形質転換細胞を選抜
することができる。また、前記形質転換細胞は、後述す
る形質転換非ヒト動物の組織から通常の方法により調製
してもよい。
【0026】上記の第一工程において、本発明プロモー
ターを機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子
を含有しかつ脂肪蓄積非誘導条件下において配列番号
1、2又は3で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化
促進因子を実質的に発現しない細胞と接触させる被験物
質の濃度は、通常約0.1μM〜約100μMであれば
よく、約1μM〜約50μMが好ましく、約1μM〜約
10μMがより好ましい。当該細胞と被験物質とを接触
させる時間は、通常、約1時間以上5日程度であり、数
時間から4日程度が好ましい。好ましくは、18時間以
上60時間程度であり、より好ましくは24時間から4
0時間程度が挙げられる。当該細胞と被験物質との接触
は、当該細胞が成育可能な条件で培養しながら行えばよ
い。例えば、哺乳動物細胞を宿主とする本発明形質転換
細胞の場合、適宜ウシ胎児血清等の哺乳動物由来の血清
を添加したD−MEM、OPTI−MEM、RPMI1
640培地(Gibco−BRL製)等の市販の培地中
で培養できる。培養は、通常約30℃〜約40℃、約2
%(V/V)〜10%(V/V)二酸化炭素存在下で実
施すればよく、約35℃〜約37℃、約4%(V/V)
〜約6%(V/V)二酸化炭素存在下で実施するのがよ
り好ましい。被験物質と接触させる際の当該細胞の細胞
数は、例えば24ウェルプレートを用いる場合、通常約
1×105個/ウェル〜約1×106個/ウェルであれば
よく、約5×105個/ウェル〜約8×105個/ウェル
が好ましい。
【0027】上記の探索方法において、「レポーター遺
伝子の発現量をモニターする」方法としては、前記形質
転換細胞中におけるレポーター遺伝子の発現量を時間経
過に沿って連続的に又は不連続に測定できる方法であれ
ばどのような方法であってもよい。例えば、レポーター
遺伝子として酵素遺伝子を用いる場合には当該酵素の活
性測定を利用し、またレポーター遺伝子の発現産物、即
ち当該遺伝子に対応するmRNAもしくは当該遺伝子に
対応する蛋白質を検出する方法(具体的にはノザンブロ
ッティング、ウェスタンブロッティング等)等を利用す
ればよい。
【0028】レポーター遺伝子として酵素遺伝子を用い
る場合における当該酵素の活性測定を利用する方法にお
いて、使用され得るレポーター遺伝子としては、例え
ば、ルシフェラーゼ遺伝子、GFP(Green Fl
uorescent Protein)、クロラムフェ
ニコールアセチルトランスフェラーゼ、βガラクトシダ
ーゼ等、発現生成した蛋白質の活性の測定が容易である
ものを好ましくあげることができる。レポーター遺伝子
としてはルシフェラーゼ遺伝子を用いる場合には次のよ
うにすればよい。、(1)例えば本発明プロモーターの
制御下にルシフェラーゼ遺伝子を含む本発明プラスミド
を導入された本発明形質転換細胞を数日間培養後、当該
細胞の抽出物を得る。(2)当該抽出物をルシフェリン
およびATPと反応させて化学発光させ、その発光強度
を測定することによりプロモーター活性を検出できる。
この際、ピッカジーンデュアルキット(東洋インキ製)
等の市販のルシフェラーゼ反応検出キットを用いること
ができる。
【0029】前記のようにして、前記細胞と被験物質と
の接触および前記細胞における本発明プロモーターのプ
ロモーター活性の測定を行い、当該プロモーター活性の
上昇または低下が検出された場合、当該被験物質を、当
該プロモーターに作用し当該プロモーター活性を制御す
る物質として選抜することができる。当該物質は、本発
明プロモーターの活性を制御し得ることから、本発明プ
ロモーターの制御下にある遺伝子の細胞内での発現を制
御することができる。よって、当該物質は、例えば当該
遺伝子の翻訳産物の発現過多もしくは発現過少に起因す
る疾患のための医薬として有用である。また、本発明プ
ロモーターの制御下に連結した所望のDNA、例えば腹
腔内脂肪との関連が推定されるDNA等の腹腔内脂肪細
胞における作用や脂肪蓄積への影響を検討する際の転写
調節剤として利用することもできる。
【0030】より具体的な例示として、例えば、発現抑
制剤のスクリーニングの場合には、前記形質転換細胞を
インシュリン、デキサメサゾン、3−イソブチル−1−
メチル−キサンチン、プロスタグランジンJ2活性を有す
る物質などの分化誘導物質等を一種以上添加された培地
下での培養により脂肪蓄積を誘発した後、被験化合物を
前記培地に添加することにより、対照群と比較してレポ
ーター遺伝子の発現量が10%以上、好ましくは30%
以上、更に好ましくは50%以上、最も好ましくは10
0%減少するような変化が認められた化合物を選択す
る。一方、発現促進剤のスクリーニングの場合には、得
られる形質転換細胞あるいは一過性に導入した細胞を被
験化合物を培地に添加することにより、対照群と比較し
てレポーター遺伝子の発現量が10%以上、好ましくは
30%以上、更に好ましくは50%以上、最も好ましく
は100%増加するような変化が認められた化合物を選
択する。
【0031】もちろん、細胞分化促進因子と被験物質と
の両者を接触させた後の細胞における、本発明プロモー
ターを機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子
の発現量(以下、測定値1と記す。)を、当該細胞分化
促進因子を接触させ、かつ被験物質を接触させなかった
後の細胞における前記発現量(以下、測定値2と記
す。)と比較することによって、当該被験物質の脂肪蓄
積調節能力を評価してもよい。この場合、脂肪蓄積調節
能力を、前記測定値を用いて、下記の式に従って脂肪蓄
積調節率として求めるとよい。 脂肪蓄積調節率(%)={(測定値2−測定値1)/測
定値2}×100 被験物質の脂肪蓄積調節能力を表わす脂肪蓄積調節率
が、統計学的に有意な値を示す物質、具体的に好ましく
は、例えば、30%以上を示す物質、より好ましくは5
0%以上を示す物質を、脂肪蓄積調節能力を有する物質
として選抜する。尚、当該物質は、脂肪蓄積調節能力を
有する限り、低分子化合物のみならず、ポリヌクレオチ
ド、蛋白質又はペプチド等のいかなる物質でも適用可能
である。
【0032】さらに上記の探索方法では、被験物質とし
て異なる2種以上の物質を各々独立して用いた区におけ
るレポーター遺伝子の発現量の変化を比較することによ
り得られる差異に基づき前記物質の脂肪蓄積調節能力を
評価してもよい。このようにして評価された脂肪蓄積調
節能力に基づき脂肪蓄積調節能力を有する物質を選抜す
ることもできる。
【0033】上記の探索方法において、被験物質として
異なる2種以上の物質を各々独立して用いた区における
レポーター遺伝子の発現量の変化を比較することにより
得られる差異に基づき前記物質の脂肪蓄積調節能力を評
価してもよい。このようにして評価された脂肪蓄積調節
能力に基づき脂肪蓄積調節能力を有する物質を選抜する
こともできる。さらにまた、前記異なる2種以上の物質
のうち、少なくとも一つの物質が脂肪蓄積調節能力を有
さない物質(例えば、溶媒、バックグランドとなる試験
系溶液等であってもよい。)とすることで、他方の被験
物質が有する脂肪蓄積調節能力を評価してもよいし、ま
た前記異なる2種以上の物質のうち、少なくとも一つの
物質が有する脂肪蓄積調節能力を基準としながら他方の
被験物質が有する脂肪蓄積調節能力を評価してもよい。
このような探索方法により選抜された物質またはその薬
学的に許容される塩は、それらを有効成分として含み、
当該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化され
てなることを特徴とする脂肪蓄積調節剤として利用して
もよい。
【0034】次に、本発明プロモーターと結合する物質
の選抜方法について以下の説明する。本発明プロモータ
ーと結合する物質の選抜方法は、本発明プロモーターと
被験物質とを接触させる第一工程、及び、前記第一工程
後に、当該プロモーターと被験物質との複合体生成の有
無を調べる第二工程を含む。本発明プロモーターと被験
物質とを接触させる第一工程に使用されるプロモーター
は、本発明プロモーターを、例えば市販のDNA標識キ
ットを用い、ラジオアイソトープ若しくは蛍光色素化合
物で標識して用いると、当該プロモーターと被験物質と
の複合体の検出が容易になる点で好ましい。当該プロモ
ーターを放射性同位元素により標識するには、例えば、
市販のRandom Labelling Kit等を
用いることができ、通常のPCR反応組成中のdCTP
を[α−32P]dCTPに替えて、当該DNAを鋳型に
してPCR反応を行うことにより、標識を行うこともで
きる。また、当該DNAを蛍光色素で標識する場合には
例えば、ECL Direct Nucleic Ac
id Labelling and Detectio
n System等を用いることができる。当該プロモ
ーターと被験物質とを、約4℃〜約37℃、好ましくは
約20℃〜約30℃で、約5分間〜約60分間、好まし
くは約10分間〜約30分間適当なバッファー中、例え
ばトリス、Hepes、MES等のバッファー中、好ま
しくはHepesバッファー中で接触させる。被験物質
の濃度は通常約0.1μM〜約1,000μMであれば
よく、1μM〜100μMが好ましい。当該DNAの量
は通常約1fmol〜約10fmolであればよく、2
fmol〜7fmolが好ましい。
【0035】当該プロモーターと被験物質との複合体生
成の有無を調べる方法としては、ゲルシフト法、フット
プリント法、BIACORE法等を挙げることができ
る。被験物質が比較的高分子量の化合物(例えばタンパ
ク質、DNA等)の場合、ゲルシフト法、フットプリン
ト法等を用いるとよい。被験物質が比較的低分子量の化
合物の場合、BIACORE法、例えば「永田和宏・半
田宏共著 生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法
−BIACOREを中心に− シュプリンガー・フェア
ラーク東京株式会社」記載の方法を用いるとよい。例え
ば、ゲルシフト法の場合、先ず当該DNAと被験物質混
合液を、通常の方法でポリアクリルアミドゲル電気泳動
に供する。電気泳動後のポリアクリルアミドゲルを乾燥
した後、例えば、オートラジオグラフィーなどに供して
ゲル上の当該DNAの位置を検出することにより、当該
DNAと被験物質が結合しているかどうか調べることが
出来る。具体的には例えば、乾燥したゲルをイメージン
グプレートに約1時間〜約1晩、より好ましくは6〜8
時間感光し、BAS2000で画像イメージを取得す
る。被験物質が当該プロモーターと結合した場合、プロ
モーター−被験物質複合体の移動度が遊離のプロモータ
ーより小さくなり、画像イメージ上のバンドのシフトが
起こる。バンドのシフトが検出された場合の被験物質
を、本発明プロモーターと結合する物質として選抜する
ことが出来る。当該結合物質は、本発明プロモーターに
結合できることから、本発明プロモーターのプロモータ
ー活性を制御し得る。さらに、本発明プロモーターの制
御下にある遺伝子の細胞内での発現を制御し得る。よっ
て、当該物質は、当該遺伝子の翻訳産物の発現過多もし
くは発現過少に起因する疾患のための医薬として有用で
ある。また、本発明プロモーターの制御下に連結した所
望のDNA、例えば腹腔内脂肪との関連が推定されるD
NA等の腹腔内脂肪細胞における作用や脂肪蓄積への影
響を検討する際の転写調節剤として利用することもでき
る。
【0036】本発明精製方法について以下の説明する。
本発明精製方法は、本発明プロモーターと試料とを接触
させて、当該プロモーターと当該試料中に含有される当
該プロモーターと結合する物質との複合体を生成させる
第一工程、及び、前記第一工程後、生成させた複合体か
ら当該結合物質を単離する第二工程を含む。本発明プロ
モーターと被験物質とを接触させる際には、通常、当該
プロモーターを担体に結合させた形態で被験物質との接
触を行うと、当該プロモーターもしくは当該プロモータ
ーと結合物質との複合体を容易に回収できる点で好まし
い。当該プロモーターを結合させる担体の種類は特に限
定されないが、例えば、市販のアフィニティークロマト
グラフィー用担体、好ましくは臭化シアン活性化セファ
ロース4B(Amersham Pharmacia
Biotech製)等を使用することができる。当該プ
ロモーターを担体に結合させる場合には、当該プロモー
ターを直接担体に結合させる方法と、スペーサーを介し
て結合させる方法がある。結合させる際の条件は、例え
ば、当該プロモーターと臭化シアン活性化セファロース
4Bを混合し、約4℃〜約10℃で1晩1000rpm
で撹拌し、当該プロモーターをセファロース上に固定す
る。ついで、未反応の臭化シアンの活性基を無くすため
に、アミノ基を持つ化合物を含んだバッファー、例え
ば、1Mグリシンを含む炭酸水素ナトリウム溶液中で、
例えば約4℃〜約10℃で1晩放置する。得られたゲル
は、通常のバッチ法により被験物質と接触させてもよ
く、また、そのゲルを市販のクロマトグラフ管に充填す
ることで、本発明プロモーターと結合する物質用アフィ
ニティーカラムを作製し、通常のカラムクロマトグラフ
ィー法により被験物質と接触させてもよい。
【0037】例えば、カラムクロマトグラフィー法で接
触・単離を行う場合、前記した試料をアフィニティーカ
ラムに供し当該プロモーターとプロモーター結合物質の
複合体を形成せしめた後、担体の洗浄、結合物質の溶出
を通常の方法で行うことで、結合物質を単離することが
できる。具体的には、まず試料をロードし、次いで、ロ
ードするときと同組成のバッファーで洗浄し、複合体形
成しなかった試料中成分を除去する。その後、バッファ
ーに含まれる塩濃度を上昇させるグラジエントを行い本
発明プロモーターと結合する物質を溶出することによっ
て、本発明プロモーターと結合する物質を単離すること
ができる。溶出に使われる前記の塩は、例えば塩化ナト
リウム、塩化カリウム、硫安等を挙げることができる。
本発明精製方法によって、本発明プロモーターのプロモ
ーター活性を制御する物質の選抜方法によって選抜され
る物質又は本発明プロモーターと結合する物質の選抜方
法によって選抜される物質を精製することができる。
【0038】本願に記載される脂肪蓄積促進剤(I)
(以下、本蓄積促進剤(I)と記すこともある。)は、
脂肪細胞における脂肪蓄積促進(特に前駆脂肪細胞から
成熟脂肪細胞への分化誘導)のために使用される。本蓄
積促進剤(I)において用いられる核酸によりコードさ
れる細胞分化促進因子とは、下記のいずれかのアミノ酸
配列を有する蛋白質である(以下、本蛋白質と記すこと
もある。)。 <アミノ酸配列> (a)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列; (b)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列に
おいて、1もしくは複数のアミノ酸が欠失、付加もしく
は置換されたアミノ酸配列であり、かつ脂肪蓄積を促進
する能力を有する蛋白質のアミノ酸配列; (c)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列と
80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であり、
かつ脂肪蓄積を促進する能力を有する蛋白質のアミノ酸
配列; (d)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列を
コードする塩基配列を有するDNAと80%以上の配列
同一性を有する塩基配列を有するDNAによりコードさ
れるアミノ酸配列であり、かつ脂肪蓄積を促進する能力
を有する蛋白質のアミノ酸配列; (e)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列を
コードする塩基配列を有するDNAと、ストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードさ
れるアミノ酸配列であり、かつ脂肪蓄積を促進する能力
を有する蛋白質のアミノ酸配列(以下、上記のアミノ酸
配列(a)〜(e)を総じてアミノ酸配列(I)と記す
こともある。) ここで、前記(b)にある「アミノ酸が欠失、付加もし
くは置換」や前記(c)にある「80%以上の配列同一
性」及び(d)にある「80%以上の配列同一性」に
は、例えば、配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸
配列を有する蛋白質が細胞内で受けるプロセシング、当
該蛋白質が由来する生物の種差、個体差、器官、組織間
の差異等により天然に生じる変異や、人為的なアミノ酸
の変異(例えば、部位特異的変異導入法や突然変異処理
等によって、天然の蛋白質をコードするDNAに変異を
導入し発現させることにより作出された蛋白質が有する
アミノ酸配列中に存在するアミノ酸の変異)等が含まれ
る。
【0039】前記(b)にある「アミノ酸が欠失、付加
もしくは置換」(以下、総じてアミノ酸の改変と記すこ
ともある。)を人為的に行う場合の手法としては、例え
ば、配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列をコ
ードするDNAに対して慣用の部位特異的変異導入を施
し、その後このDNAを常法により発現させる手法が挙げ
られる。ここで部位特異的変異導入法としては、例え
ば、アンバー変異を利用する方法(ギャップド・デュプ
レックス法、Nucleic Acids Res.,12,9441-9456(198
4))、変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法等
が挙げられる。
【0040】前記で改変されるアミノ酸の数について
は、少なくとも1残基、具体的には1若しくは数個(こ
こで「数個」とは、2〜約10個程度である。)、又は
それ以上である。かかる改変の数は、脂肪蓄積を促進す
る能力を見出すことのできる範囲であれば良い。
【0041】また前記欠失、付加又は置換のうち、特に
アミノ酸の置換に係る改変が好ましい。当該置換は、疎
水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似し
た性質を有するアミノ酸への置換がより好ましい。この
ような置換としては、例えば、グリシン、アラニン;
バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン
酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリ
ン、スレオニン;リジン、アルギニン;フェニルア
ラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
【0042】本願に記載される「配列同一性」とは、2
つのDNA又は2つの蛋白質間の配列の同一性及び相同
性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の全
領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2
つの配列を比較することにより決定される。ここで、比
較対象のDNA又は蛋白質は、2つの配列の最適なアラ
インメントにおいて、付加又は欠失(例えばギャップ
等)を有していてもよい。このような配列同一性に関し
ては、例えば、Vector NTIを用いて、ClustalWアルゴリ
ズム(Nucleic Acid Res.,22(22):4673-4680(1994)を利
用してアラインメントを作成することにより算出するこ
とができる。尚、配列同一性は、配列解析ソフト、具体
的にはVector NTI、GENETYX-MACや公共のデータベース
で提供される解析ツールを用いて測定される。前記公共
データベースは、例えば、ホームページアドレスhttp:/
/www.ddbj.nig.ac.jpにおいて、一般的に利用可能であ
る。
【0043】本願に記載される配列同一性は、例えば、
アミノ酸配列基準の場合には80%以上であることが好
ましく、また塩基配列基準の場合には80%以上である
ことが好ましい。もちろん上記条件を満たす限りにおい
て、例えば、配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸
配列のうち、第52番から第130番までのアミノ配列
における配列同一性が実質的にほぼ100%であり、第
1番から第51番までのアミノ配列における配列同一性
が50%以上であるような配列同一性であってもよい。
【0044】前記(e)にある「ストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする」に関して、ここで使用され
るハイブリダイゼーションは、前述にように、例えば、
Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュ
ラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd editi
on)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー
発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)等に記
載される通常の方法に準じて行うことができる。また
「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、6×SSC
(1.5M NaCl、0.15M クエン酸三ナトリウムを
含む溶液を10×SSCとする)を含む溶液中で45℃に
てハイブリッドを形成させた後、2×SSCで50℃にて洗
浄するような条件(Molecular Biology, John Wiley &
Sons, N. Y.(1989), 6.3.1-6.3.6)等を挙げることがで
きる。洗浄ステップにおける塩濃度は、例えば、2×SS
Cで50℃の条件(低ストリンジェンシーな条件)から
0.2×SSCで50℃までの条件(高ストリンジェンシ
ーな条件)から選択することができる。洗浄ステップに
おける温度は、例えば、室温(低ストリンジェンシーな
条件)から65℃(高ストリンジェンシーな条件)から
選択することができる。また、塩濃度と温度の両方を変
えることもできる。
【0045】このような蛋白質は、以下のように探索す
ることができる。例えば、まず(1)前駆脂肪細胞に、
被験蛋白質を接触させる第一工程、及び(2)前記第一
工程後に、脂肪蓄積量を測定する第二工程を有する方法
により脂肪蓄積量を分析する。この際に、被験蛋白質と
して異なる2種以上の蛋白質を各々独立して用いた区に
おける脂肪蓄積量(第一の蓄積量、第二の蓄積量)を比
較することにより差異を調べる。その結果、得られる差
異(第一の蓄積量と第二の蓄積量との差)に基づき前記
蛋白質の脂肪蓄積を促進する能力を評価する。このよう
にして評価された脂肪蓄積を促進する能力を有する蛋白
質を選抜することにより探索することができる。もちろ
ん、上記第一工程における被験蛋白質を接触させる代わ
りに、被験蛋白質をコードする遺伝子を前記脂肪細胞に
導入し、そして上記第二工程における脂肪蓄積量を分析
する代わりに、後述の脂肪細胞分化のマーカー(例え
ば、aP2等)を利用したレポーター遺伝子の発現量をモ
ニターすることで脂肪蓄積を促進する能力を評価するこ
とにより、脂肪蓄積を促進する能力を有する蛋白質を探
索してもよい。
【0046】上記の方法において、前記異なる2種以上
の蛋白質のうち、少なくとも一つの蛋白質が脂肪蓄積を
促進する能力を有さない蛋白質とすることで、他方の被
験蛋白質が有する脂肪蓄積を促進する能力を評価しても
よいし、また前記異なる2種以上の蛋白質のうち、少な
くとも一つの蛋白質が有する脂肪蓄積を促進する能力を
基準としながら他方の被験蛋白質が有する脂肪蓄積を促
進する能力を評価してもよい。
【0047】本蛋白質は、SDS-PAGEでの分子量として約
4万以上約5万以下の分子量であることが好ましく、特
に約4.3以上約4.5以下程度の分子量が適してい
る。
【0048】本蛋白質の調製方法(本蛋白質をコードす
る遺伝子の調製方法を含む)について以下に説明する。
まず、本蛋白質をコードする遺伝子(以下、本遺伝子と
記すこともある。)、例えば、(a)配列番号1、2又
は3で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有
するDNA; (b)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列に
おいて、1もしくは複数のアミノ酸が欠失、付加もしく
は置換されたアミノ酸配列であり、かつ脂肪蓄積を促進
する能力を有する蛋白質のアミノ酸配列をコードする塩
基配列を有するDNA; (c)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列と
80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコード
する塩基配列を有するDNAであり、かつ脂肪蓄積を促
進する能力を有する蛋白質のアミノ酸配列をコードする
塩基配列を有するDNA; (d)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列を
コードする塩基配列を有するDNAと80%以上の配列
同一性を有する塩基配列を有するDNAであり、かつ脂
肪蓄積を促進する能力を有する蛋白質のアミノ酸配列を
コードする塩基配列を有するDNA; (e)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列を
コードする塩基配列を有するDNAと、ストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズするDNAであり、かつ脂
肪蓄積を促進する能力を有する蛋白質のアミノ酸配列を
コードする塩基配列を有するDNA 等を、通常の遺伝子工学的方法(例えば、Sambrook J.,
Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニ
ング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コール
ド スプリング ハーバー ラボラトリー発行(Cold S
pring Harbor Laboratory press)等に記載されている
方法)に準じて取得する。次いで、得られた本遺伝子を
用いることにより、通常の遺伝子工学的方法に準じて本
蛋白質を製造・取得する。このようにして本蛋白質を調
製することができる。
【0049】具体的には、まず、ヒト、マウス又はラッ
ト等の組織、細胞やこれらに由来する培養細胞などから
RNAを調製する。例えば、ラット腹腔内脂肪細胞等を
塩酸グアニジンやグアニジンチオシアネート等の強力な
蛋白質変性剤を含む溶液中で粉砕し、さらに当該粉砕物
にフェノール、クロロホルム等を加えることにより蛋白
質を変性させる。変性蛋白質を遠心分離等により除去し
た後、回収された上清画分から塩酸グアニジン/フェノ
ール法、SDS−フェノール法、グアニジンチオシアネ
ート/CsCl法等の方法により全RNAを抽出する。
なお、これらの方法に基づいた市販の試薬としては、例
えばISOGEN(ニッポンジーン製)、トリゾル試薬(Gi
bco BRL)等がある。
【0050】得られた全RNAを鋳型としてオリゴdT
プライマーをRNAのポリA配列にアニールさせ、逆転
写酵素を作用させることにより一本鎖cDNAを合成す
る。次いで、当該一本鎖cDNAを鋳型とし、かつ本蛋
白質のアミノ酸配列をコードする塩基配列(例えば、配
列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列をコードす
る塩基配列)に基づいて設計されたオリゴヌクレオチド
をプライマーとして用いてポリメラーゼチェイン反応
(以下、PCRと記す。)を行うことにより、本遺伝子
を増幅し、取得することができる。
【0051】また、上記の一本鎖cDNAを鋳型として
DNAポリメラーゼを作用させることにより二本鎖のc
DNAを合成する。得られた二本鎖cDNAを、例えば
プラスミドpUC118やファージλgt10などのベクターに挿
入することによりcDNAライブラリーを作製する。こ
のようにして得られるcDNAライブラリーや市販のc
DNAライブラリーから、例えば、かつ本蛋白質のアミ
ノ酸配列をコードする塩基配列(例えば、配列番号1、
2又は3で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配
列)の部分塩基配列を有するDNAをプローブとして用
いるハイブリダイゼーション法や、かつ本蛋白質のアミ
ノ酸配列をコードする塩基配列(例えば、配列番号1、
2又は3で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配
列)に基づいて設計されたオリゴヌクレオチドをプライ
マーとして用いるPCRにより、本遺伝子を取得するこ
ともできる。因みに、配列番号1、2又は3で示される
アミノ酸配列をコードする塩基配列のより具体的な例と
しては、配列番号11、14又は6で示される塩基配列
(Gen Bank Accession No. AB029254, NM023184又はAB0
20759)等をあげることができる。
【0052】PCRに用いるプライマーとしては、例え
ば、約20bpから約50bp程度の長さでかつGまたはC塩基の
割合が約40%から約60%程度の塩基配列を、上記のような
本蛋白質をコードする既知の塩基配列から選択し、当該
塩基配列に基いてオリゴヌクレオチドを設計し、合成す
るとよい。具体的には、例えば、ヒト由来の本遺伝子を
取得するには、フォワードプライマーとして配列番号9
で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用い
ることができ、リバースプライマーとして配列番号10
で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用い
ることができる。得られた本遺伝子の塩基配列は、Maxa
m Gilbert法 (例えば、Maxam,A.M & W.Gilbert, Proc.N
atl.Acad.Sci.USA, 74, 560, 1977 等に記載される)やS
anger法(例えばSanger,F. & A.R.Coulson, J.Mol.Bio
l., 94, 441, 1975、Sanger,F, & Nicklen and A.R.Cou
lson., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 74, 5463, 1977等に
記載される)により確認することができる。このように
して、脂肪蓄積促進(特に前駆脂肪細胞から成熟脂肪細
胞への分化誘導)のために使用される本蓄積抑制剤
(I)の有効成分となる細胞分化促進因子をコードする
核酸を調製することができる。
【0053】本遺伝子は、例えば、J.Sambrook,E.F.Fri
sch,T.Maniatis著;モレキュラークローニング第2版
(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリ
ングハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Labo
ratory)発行、1989年等記載の遺伝子工学的方法に
準じてベクターにクローニングすることができる。
【0054】ベクターとしては、具体的には、大腸菌を
宿主細胞とする場合には、例えばプラスミドpUC119(宝
酒造(株)製)や、ファージミドpBluescriptII(ストラ
タジーン社製)等をあげることができる。出芽酵母を宿
主細胞とする場合には、プラスミドpACT2(Clontech社
製)などをあげることができる。また、哺乳類動物細胞
を宿主細胞とする場合には、pRC/RSV、pRC/CMV(Invitro
gen社製)等のプラスミド、ウシパピローマウイルスプラ
スミドpBPV(アマシャムファルマシア社製)、EBウイルス
プラスミドpCEP4(Invitrogen社製)等のウイルス由来の
自律複製起点を含むベクター、ワクシニアウイルス等の
ウイルスなどをあげることができる。昆虫類動物細胞
(以下、昆虫細胞と記す。)を宿主細胞とする場合に
は、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスをあげることが
できる。
【0055】本遺伝子の上流に、宿主細胞で機能可能な
プロモーターを機能可能な形で結合させ、これを上述の
ようなベクターに組み込むことにより、本遺伝子を宿主
細胞で発現させることの可能な発現ベクターを構築する
ことができる。ここで、「機能可能な形で結合させる」
とは、本遺伝子が宿主細胞に導入された際に、宿主細胞
においてプロモーターの制御下に発現されるように、当
該プロモーターと本遺伝子とを結合させることを意味す
る。宿主細胞で機能可能なプロモーターとしては、例え
ば、宿主細胞が大腸菌である場合には、大腸菌のラクト
ースオペロンのプロモーター(lacP)、トリプトファン
オペロンのプロモーター(trpP)、アルギニンオペロンの
プロモーター(argP)、ガラクトースオペロンのプロモー
ター(galP)、tacプロモーターもしくはtrcプロモーター
等の大腸菌内で機能可能な合成プロモーター、T7プロ
モーター、T3プロモーター、λファージのプロモータ
ー(λ-pL、λ-pR)等をあげることができる。また、宿主
細胞が動物細胞や分裂酵母である場合には、例えば、ラ
ウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウ
イルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス(SV40)の
初期もしくは後期プロモーター、マウス乳頭腫ウイルス
(MMTV)プロモーター等をあげることができる。宿主細胞
が出芽酵母である場合には、ADH1プロモーター(尚、AD
H1プロモーターは、例えばADH1プロモーター及び同ター
ミネーターを保持する酵母発現ベクターpAAH5 〔Washin
gton Research Fundation から入手可能、Ammerer ら、
Methodin Enzymology、101 part(p.192-201)〕から通
常の遺伝子工学的方法により調製することができる。AD
H1プロモーターは、Washington Research Fundationの
米国特許出願第299,733 に含まれており、米国におい
て、工業的、商業目的で使用する場合は、権利者からの
権利許諾を必要とする。)などをあげることができる。
【0056】一般的には、宿主細胞で機能可能なプロモ
ーターと本遺伝子とが機能可能な形で接続されてなるD
NAを、宿主細胞で利用可能なベクターに組込んで、こ
れを宿主細胞に導入する。宿主細胞において機能可能な
プロモーターをあらかじめ保有するベクターを使用する
場合には、ベクター保有のプロモーターと本遺伝子とが
機能可能な形で結合するように、当該プロモーターの下
流に本遺伝子を挿入すればよい。例えば、前述のプラス
ミドpRC/RSV,pRC/CMV等は、動物細胞で機能可能なプロ
モーターの下流にクローニング部位が設けられており、
当該クローニング部位に本遺伝子を挿入し動物細胞へ導
入することにより、本遺伝子を発現させることができ
る。また、前述の酵母用プラスミドpACT2はADH1プロモ
ーターを有しており、当該プラスミドまたはその誘導体
のADH1プロモーターの下流に本遺伝子を挿入すれば、本
遺伝子を例えばCG1945(Clontech社製)等の出芽酵母内で
発現させることが可能な発現ベクターが構築できる。マ
ーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ネオ
マイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性付与遺伝子など)
を含むベクターを用いると、本遺伝子が導入された形質
転換体を当該マーカー遺伝子の表現型等を指標にして選
択する際に便利である。さらなる高発現を導くことが必
要な場合には、本蛋白質をコードする遺伝子の上流にリ
ボゾーム結合領域を連結してもよい。用いられるリボゾ
ーム結合領域としては、Guarente L.ら(Cell 20, p54
3)や谷口ら(Genetics of Industrial Microorganism
s, p202, 講談社)による報告に記載されたものを挙げ
ることができる。
【0057】本遺伝子が組み込まれたベクター(以下、
本ベクターと記すこともある。)を宿主細胞へ導入する
方法としては、宿主細胞に応じた通常の導入方法を適用
することができる。例えば、大腸菌を宿主細胞とする場
合には、「モレキュラー・クローニング」(J.Sambrook
ら、コールド・スプリング・ハーバー、1989年)等
に記載される塩化カルシウム法やエレクトロポレーショ
ン法等の通常の方法を用いることにより本ベクターを宿
主細胞へ導入することができる。また、哺乳類動物細胞
または昆虫細胞を宿主細胞とする場合には、例えば、リ
ン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポ
レーション法またはリポフェクション法等の一般的な遺
伝子導入法により前記細胞に本ベクターを導入すること
ができる。酵母菌を宿主細胞とする場合には、例えば、
リチウム法を基にしたYeast transformation kit(Clont
ech社製)などを用いて導入することができる。
【0058】本ベクターが導入された形質転換体を選抜
するには、例えば、本ベクターと同時に下記のようなマ
ーカー遺伝子を宿主細胞に導入し、導入されたマーカー
遺伝子の性質に応じた方法で本ベクターが導入された宿
主細胞を培養すればよい。例えば、当該マーカー遺伝子
が、宿主細胞に致死活性を示す選抜薬剤に対する薬剤耐
性を付与する遺伝子(薬剤耐性付与遺伝子)である場合
には、当該薬剤を添加した培地を用いて、本ベクターが
導入された宿主細胞を培養すれば良い。薬剤耐性付与遺
伝子と選抜薬剤との組み合わせとしては、例えば、ネオ
マイシン耐性付与遺伝子とネオマイシンとの組み合わ
せ、ハイグロマイシン耐性付与遺伝子とハイグロマイシ
ンとの組み合わせ、ブラストサイジンS耐性付与遺伝子
とブラストサイジンSとの組み合わせ等をあげることが
できる。また、当該マーカー遺伝子が宿主細胞の栄養要
求性を相補する遺伝子である場合には、当該栄養素を含
まない最少培地を用いて、本ベクターが導入された細胞
を培養すればよい。上述のようにして得られた本ベクタ
ーが導入された形質転換体(以下、本形質転換体と記す
こともある。)を培養することにより本遺伝子にコード
される本蛋白質を産生させることができる。
【0059】例えば、本形質転換体が微生物である場合
には、形質転換体は、通常、一般微生物における培養に
使用される炭素源や窒素源、有機ないし無機塩等を適宜
含む各種の培地を用いて培養される。培地のpHは約6
〜約8程度が一般的である。培養は、一般微生物におけ
る通常の方法に準じて行い、固体培養、液体培養(試験
管振とう式培養、往復式振とう培養、ジャーファーメン
ター(Jar Fermenter)培養、タンク培養等)などが可
能である。培養温度は、微生物が生育する範囲で適宜変
更できるが、例えば、約15℃〜約40℃の培養温度で
培養するのが一般的である。培養時間は、種々の培養条
件によって異なるが、通常約1〜約5日間である。温度
シフト型やIPTG誘導型等の誘導型の発現ベクターを用い
た場合には誘導時間は1日以内が望ましく、通常数時間
程度である。
【0060】また、本形質転換体が哺乳類や昆虫類等の
動物細胞である場合には、形質転換体は、通常、一般の
培養細胞における培養に使用される培地を用いて培養す
ることができる。本形質転換体の選択に選抜薬剤を用い
た場合には、当該選抜薬剤の存在下に培養するのが望ま
しい。哺乳類動物細胞の場合には、例えば、終濃度が10
%となるようFBSが添加されたD−MEM培地(ニッスイ
社製等)を用い、37℃、5%CO2存在下等の条件下で
数日毎に新しい培養液に交換しながら培養すればよい。
細胞がコンフルエントになるまで増殖したら、例えば
0.25(w/v)%程度のトリプシンPBS溶液を加えて個々
の細胞に分散させ、得られた細胞の懸濁液を数倍に希釈
して新しいぺトリディッシュに播種し継代を続ける。昆
虫類動物細胞の場合も同様に、例えば10(v/v)%FBSおよ
び2(w/v)%Yeastlateを含むGrace'smedium等の昆虫細胞
用培地を用いて約25℃〜約35℃の培養温度で培養す
ればよい。
【0061】本形質転換体を培養することにより産生さ
れた本蛋白質は、蛋白質の通常の単離、精製の方法を適
宜組み合わせて回収することができる。例えば、培養終
了後、本形質転換体の細胞を遠心分離等で集め、必要に
応じて、集められた当該細胞を適宜バッファーに懸濁し
た後、ポリトロン、超音波処理、ダウンスホモジナイザ
ー等で破砕する。得られた破砕液から、遠心分離、メン
ブレンフィルターろ過等により不溶物を除去して無細胞
抽出液を調製し、これをイオン交換,疎水,ゲルろ過、
アフィニティ等の各種クロマトグラフィーに供すること
により、本蛋白質を精製することができる。この際、本
蛋白質をコードする塩基配列を含む約20塩基から約2
00塩基程度の長さのオリゴヌクレオチドをプローブと
したDNA結合アッセイなどにより、本蛋白質を含む画分
を見分けることもできる。また、本蛋白質を、そのN末
端側やC末端側に、例えば6〜10個のヒスチジンが並
んだアミノ酸配列が融合された形で発現させると、金属
キレート樹脂を用いたキレートクロマトグラフィーによ
って1段階で精製が可能となる。このようにして、本蓄
積促進剤(I)において用いられる核酸によりコードさ
れる細胞分化促進因子を調製することができる。
【0062】当該細胞分化促進因子は、これを特異的に
認識する抗体の調製において抗原として用いることがで
き、また当該細胞分化促進因子のリガンド探索において
リガンドの特異的吸着を行わせるための支持体に固定化
させるアフィニティークロマトグラフィー用蛋白質とし
て用いることもできる。
【0063】本蓄積促進剤(I)の有効成分となる、本
蛋白質をコードする核酸(即ち、本遺伝子)は、前述の
如く調製すればよいが、例えば、当該核酸を含有する組
換えベクター又は組換えウイルス等の形態で使用される
こともある。このような形態では、例えば、レトロウイ
ルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連性
ベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、SV40ベ
クター、ポリオーマウイルスベクター、乳頭腫ウイルス
ベクター、ピコルナウイルスベクター及びワクシニアウ
イルスベクター等のウイルスベクターをあげることがで
きる。さらに、アデノウイルスベクターを使用する場合
には、例えばQUANTUM社製のAdEasy Ki
tを用い、本遺伝子をTransfer Vector
のマルチクローニングサイトに組み込み、得られた組換
えベクターを直線化した後に、pAdEasy vec
torと共に大腸菌にトランスフォームし、相同組換え
体DNAをヒト293A細胞に組み込むことにより、本
遺伝子を含有する組換えウイルスを産生させ、これを回
収し、使用することもできる。
【0064】また、ヒトサイトメガウイルスのプロモー
ター領域を有するプラスミドDNA等のような非ウイル
ス系のベクターを用いることもできる。本遺伝子を線維
化組織部位に直接注入する場合のように、非ウイルスベ
クターを用いて本遺伝子を局所的に送達するシステムに
おいては、プラスミドDNAの使用は極めて有益であ
る。体外に取り出された細胞に発現ベクターを導入して
体内に戻す方法、すなわち、ex vivo法を使え
ば、あらゆる既知の導入方法が利用可能である。例え
ば、a)直接注入、b)リポソームを介する形質導入、
c)リン酸カルシウム法・エレクトロポレーション法・
DEAE−デキストラン法による細胞トランスフェクシ
ョン、d)ポリブレンを介した送達、e)プロトプラス
ト融合、f)マイクロインジェクション、g)ポリリシ
ンを使った形質導入などによって、非ウイルスベクター
を導入することができる。
【0065】本蓄積促進剤(I)は、その有効量を非経
口的にヒト等の哺乳動物に対し投与することができる。
例えば、非経口的に投与する方法としては、例えば、上
述のような注射(皮下、静脈内等)等を挙げることがで
きる。前記の適当な投与剤型は薬学的に許容される、例
えば、水溶性溶剤、非水溶性溶剤、緩衝剤、溶解補助
剤、等張剤、安定剤等の担体に本遺伝子(ベクター型も
しくはウィルス型、又はプラスミド型の本遺伝子の形態
を含む)を配合することにより製造することができる。
必要に応じて、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤等の補助剤を
添加してもよい。また、非経口的に投与する場合には、
本蓄積促進剤(I)を溶液等の通常の液剤の形態で使用
することができる。
【0066】投与量は、投与される哺乳動物の年令、性
別、体重、疾患の程度、本脂肪蓄積抑制剤の種類、投与
形態等によって異なるが、通常は、患者細胞において本
蛋白質が細胞内で有効に働くような濃度レベルと等し
い、本蛋白質の細胞内レベルをもたらす有効成分量を投
与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または
数回に分けて投与することができる。本蓄積促進剤
(I)の適用可能な疾患としては、脂肪過少蓄積又は脂
肪蓄積障害(例えば、ファットレス症、脂肪萎縮症)等
をあげることができる。
【0067】本願には、哺乳動物細胞に、本蛋白質をコ
ードする外来遺伝子を、当該外来遺伝子が前記細胞で発
現する位置に置かれるように提供する工程を有すること
を特徴とする哺乳動物における脂肪蓄積促進方法[本蓄
積促進方法(I)]も記載されている。
【0068】哺乳動物細胞としては、ヒト、サル、マウ
ス、ラット、ハムスター等の哺乳動物由来の細胞を挙げ
ることができる。当該細胞は、組織から分離された細胞
や、同一の機能・形態を持つ集団を形成している細胞
や、前記哺乳動物の体内にある細胞であってもよい。
【0069】従って、哺乳動物がヒトである場合には、
一般にいう遺伝子治療が施されたヒトから各種実験に使
用されるような株化細胞までを意味し、また哺乳動物が
非ヒト動物である場合には、一般にいう遺伝子治療が施
された非ヒト動物から各種実験に使用されるようなモデ
ル動物や株化細胞までを意味する。後者の場合には、ラ
ット、マウス等を好ましい動物種として挙げることがで
きる。
【0070】本蛋白質をコードする外来遺伝子の調製方
法は、前述の「本蛋白質の調製方法(本蛋白質をコード
する遺伝子の調製方法を含む)」において説明されたも
のと同等な方法に準じて調製すればよい。
【0071】このように調製された外来遺伝子を用いて
後述のように形質転換細胞を調製することにより、当該
外来遺伝子が哺乳動物細胞で発現する位置に置かれるよ
うに提供された形質転換細胞を得ることができる。
【0072】本蓄積促進方法(I)において「発現する
位置に置かれた」とは、DNA分子が、その塩基配列の
転写及び翻訳を指向する(即ち、例えば、本蛋白質又は
そのRNA分子の産生を促進するような)DNA配列と
隣接した位置に置かれていることを意味する。
【0073】本蛋白質の遺伝子の発現レベルは、本蛋白
質の遺伝子が導入されていない細胞と比較して脂肪蓄積
を促進するために十分である量であればよい。この場
合、本蛋白質をコードする外来遺伝子は、本蛋白質の全
体又は一部をコードする外来遺伝子であってもよい。
【0074】上記の脂肪蓄積促進方法において、本蛋白
質をコードする外来遺伝子がゲノムに組み込まれた形質
転換細胞を作製することにより脂肪蓄積を促進してもよ
い。
【0075】上記の脂肪蓄積促進方法において、本蛋白
質をコードする外来遺伝子を哺乳動物細胞に導入するた
めに用いられる遺伝子構築物(以下、本遺伝子構築物と
記載することもある。)及び遺伝子移入到達手段として
は、当該外来遺伝子が導入される哺乳動物細胞に対して
親和性を有する、レトロウイルスベクター、アデノウイ
ルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター又はその他
のウイルスベクターを用いるとよい。例えば、ミラー(M
iller),Human Gene Therapy 15〜14,1990;フリードマ
ン(Friedman),Science 244:1275〜1281,1989;エグリ
ティス(Eglitis)およびアンダーソン(Anderson),BioTe
chniques 6:608〜614,1988;トルストシェフ(Tolstoshe
v)およびアンダーソン(Anderson),current opinion in
Biotechnology 1;55〜61,1990;シャープ(Sharp),The
Lancet 337:1277〜1278,1991;コルネッタ(Cornetta)
ら、Nucleic Acid Research and Molecular Biology 3
6:311〜322,1987;アンダーソン(Anderson),Science 2
2-:401〜409,1984;モーン(Moen),Blood Cells 17:407
〜416,1991;ミラー(Miller)ら、Biotechniques 7:980
〜990,1989;Le Gai La Salleら、Science 259:988〜99
0,1993;およびジョンソン(Johnson),Chest 107:77S〜
83S,1995等に記載される公知のベクターをあげること
ができる。ローゼンバーグ(Rosenberg)ら、N.Engl.
J.Med 323:370,1990;アンダーソン(Anderson)ら、米
国特許第5,399,346号等に記載されるレトロウイルスベ
クターは特に開発が進んでおり、臨床の場でもすでに使
用されている。例えば、当該細胞が動物細胞である場合
には、SV40ウイルスプロモーター、サイトメガロウ
イルスプロモーター(CMVプロモーター)、Raus Sar
coma Virusプロモーター(RSVプロモーター)、βア
クチン遺伝子プロモーター、aP2遺伝子プロモーター
等が挙げられる。尚、このようなプロモーターをマルチ
クローニング部位の上流に含む市販のベクターを利用し
てもよい。
【0076】当該外来遺伝子は、本蛋白質の遺伝子を構
成的に発現させるようなプロモーターの制御下に置かれ
ていてもよい。また、当該外来遺伝子は、本蛋白質の遺
伝子の発現を環境刺激により調節するようなプロモータ
ーの制御下に置かれていてもよい。例えば、外来遺伝子
は、組織特異的もしくは細胞型特異的なプロモーター、
又は化学的信号もしくは薬物等の外来性の信号もしくは
薬物の導入により活性化されるプロモーターを用いて発
現させてもよい。
【0077】また、非ウイルス的手法も用いることがで
きる。例えば、フェルグナー(Felgner)ら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 84:7413,1987;オノ(Ono)ら、Neuro
sci.Lett.117:259,1990;ブライアム(Brigham)ら、A
m.J.Med.Sci.298:278,1989;シュタウビンガー(Sta
ubinger)ら、Meth.Enz.101:512,1983)、アシアロソ
ヌコイド・ポリリジン抱合(ウー(Wu)ら、J.Biol.Che
m.263:14621,1988;ウー(Wu)ら、J.Biol.Chem.264:
16985,1989等に記載されるリポフェクション、ウォル
フ(Wolff)ら、Science 247:1465,1990等に記載される
マイクロインジェクション、リン酸カルシウム法、DEAE
デキストラン法、エレクトロポレーション法及びプロト
プラスト融合法、リポソーム法等があげられれる。
【0078】上記の適用手段のいずれについても、本遺
伝子構築物は、脂肪過少蓄積又は脂肪蓄積障害が予想さ
れる部位に対して適用される(例えば、注入によって)
ことがよいが、脂肪過少蓄積又は脂肪蓄積障害等の現象
が予想される部位の近傍の組織又は脂肪過少蓄積又は脂
肪蓄積障害が起こると予想される細胞に供給される血管
に対してそれを適用してもよい。
【0079】本遺伝子構築物において、本蛋白質の遺伝
子( cDNA)の発現は、任意の適したプロモーターによ
り指向させることができ(例えば、ヒト・サイトメガロ
ウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)又はメ
タロチオネインのプロモーター等)、任意の適切な哺乳
動物調節要素によって調節することもできる。例えば、
必要に応じて、本蛋白質の遺伝子を発現させるために、
神経細胞、T細胞又はB細胞における遺伝子の発現を優先
的に指向することが知られるエンハンサーを用いてもよ
い。当該エンハンサーには、その発現が組織又は細胞に
特異的であると特徴づけられたものを無制限に含む。ま
た、本蛋白質の遺伝子(ゲノム)のクローンを遺伝子構
築物として用いる場合(例えば、上記の本蛋白質の遺伝
子( cDNA)とのハイブリダイゼーションにより単離さ
れた本蛋白質の遺伝子(ゲノム)のクローン)には、コ
グネイト調節配列、必要に応じて、上記の任意のプロモ
ーター又は調節要素を含む異種供給源に由来する調節配
列を介して調節することもできる。
【0080】上記の脂肪蓄積促進方法を遺伝子治療の手
段として応用する場合には、本蛋白質の遺伝子(mRNA)
の細胞内への直接投与によって実施される。用いられる
mRNAは、いかなる標準的手法により作製及び単離された
ものであってもよいが、高効率プロモーター(例えば、
ヒトサイトメガロウィルスプロモーター)の制御下にあ
る本蛋白質の遺伝子( cDNA)を用いるインビボ転写に
よって最も容易に産生させることができる。本蛋白質の
遺伝子(mRNA)の細胞内への投与は、上記の直接的な核
酸投与の方法のいずれによっても実施することができ
る。
【0081】上記の脂肪蓄積促進方法は、患者の罹患細
胞に対する正常な遺伝子の移植という遺伝子治療の手段
として応用することもできる。当該手段では、患者にと
って外因性又は内因性のいずれかである培養可能な細胞
に対して正常な本蛋白質の遺伝子をトランスフェクショ
ンする。次いで、トランスフェクションされた細胞を血
清学的に標的組織に対して注入する。
【0082】理想的には、あらゆる遺伝子治療の手法に
よる本蛋白質の産生は、少なくとも非罹患細胞における
正常な本蛋白質の細胞内レベルと等しい、本蛋白質の細
胞内レベルをもたらす。
【0083】因みに、上記の脂肪蓄積促進方法とは異な
る方法として、脂肪過少蓄積又は脂肪蓄積障害が起こる
と予測される部位に(例えば、注射によって)直接、又
は、(例えば、従来からの組み換え蛋白質投与法によっ
て)全身に、本蛋白質を投与することもできる。例え
ば、本蛋白質の投与量は、各患者の体格及び健康状態
等、多くの要因に依存するが、通常、一日当たり0.1 mg
から100 mgであり、本蛋白質は薬学的に許容される処方
剤にして投与する。
【0084】以下に、一例として、哺乳動物が形質転換
マウスである場合の本蓄積促進方法(I)についてより
詳細に説明する。
【0085】形質転換マウスの作製における本遺伝子の
導入法としては、例えば、マイクロインジェクション
法、レトロウイルスを用いる方法、胚性未分化細胞(E
S細胞)を用いる方法等を挙げることができる。このう
ち、マイクロインジェクション法が最も汎用されてい
る。マイクロインジェクション法とは、マイクロマニピ
ュレーターを用いて、顕微鏡下で受精卵の前核内部に外
来遺伝子を含んだ溶液を注入する方法である。
【0086】まず、本遺伝子を受精卵に注入する。その
際、遺伝子を高い確率で染色体へ組込むためには、本遺
伝子の単離に用いたベクター領域を可能な限り除去する
こと、mRNAの不安定化に寄与するAUに富む領域を
除くこと、直鎖状にすることが好ましい。また、本遺伝
子に対してイントロンを予め挿入しておくことが好まし
く、当該イントロンとしては、例えば、β−グロビンイ
ントロン等を挙げることができる。
【0087】受精卵は、目的に応じた系統のマウスから
採取する。近交系のC57BL/6マウスやC3Hマウ
ス、あるいはC57BL/6マウスと他系統のマウスと
の交雑系(例えば、(C57BL/6×DBA/2)F
1等)、非近交系のICRマウスが挙げられる。受精卵
は、通常、妊馬血清ゴナドトロピンとヒト絨毛性ゴナド
トロピンとの両者の腹腔内投与により過剰排卵を誘発さ
せた雌マウスと雄マウスとを交尾させた後、前記雌マウ
スから採取する。尚、採取した受精卵は培養用ドロップ
に入れ、CO2ガスインキュベーターで培養・維持する
ことにより、本遺伝子の注入操作まで保管することがで
きる。
【0088】本遺伝子の注入はマイクロマニピュレータ
ーをセットした倒立顕微鏡下で行なう。用いられる受精
卵としては、雄性前核が雌性前核より大きくなる頃から
両前核が融合するまでの発達段階にあるものを用いると
よい。まず受精卵を固定し、当該受精卵の雄性前核内に
本遺伝子を含有するDNA溶液を注入する。当該DNA
溶液は必要に応じて複合体として調製する。複合体形成
に用いられる物質としては、リポソーム、リン酸カルシ
ウム、レトロウイルス等を挙げることができる。DNA
溶液の注入は雄性前核が膨らむことにより確認できる。
DNA注入量としては、例えば、約200〜約3,00
0コピーの本遺伝子を含む量を挙げることができる。
【0089】このようにして、本遺伝子が注入された受
精卵は胚盤胞になるまで前記と同様にして培養した後、
仮親の子宮に移植する。好ましくは本遺伝子の注入操作
後ただちに仮親の卵管に移植するとよい。仮親として
は、精管切断手術を施した雄マウスと交尾させて偽妊娠
状態にしたICR雌マウスを用いるとよい。具体的に
は、まず当該ICR雌マウス背側の腎臓付近の皮膚と筋
層を切開して卵巣・卵管・子宮を引き出し、卵巣膜を破
いて卵管口を探し出す。次いで本遺伝子の注入操作後に
生き残った受精卵を当該卵管口から移入し、卵巣・卵管
・子宮を腹腔内に戻した後、筋層を縫合し、皮膚をクリ
ップでとめる。約20日後に仔が生まれる。
【0090】得られた仔の体組織の一部、例えば尾の一
部、を切り取り、当該部位から抽出されたDNAのサザ
ンブロッティング等により本遺伝子の存在有無を確認す
る。このようにして、本遺伝子が非ヒト動物に導入され
たことを確認できる。あるいは他の方法、例えばPCR
などの確認方法を利用してもよい。
【0091】このようにして構築された形質転換非ヒト
動物を動物の体内にある細胞として後述のような本探索
方法に利用する場合において、当該形質転換非ヒト動物
への被験物質の投与は、通常の方法を用いればよい。例
えば、被験物質を飼料や飲水に混合する方法や、直接投
与する方法(例えば静脈内投与や、筋肉内、皮内、皮下
もしくは腹腔内投与)が挙げられる。また、必要に応じ
て、被験物質を投与する前に予備飼育を行ってもよい。
投与量および投与期間は、動物の種類、週齢、採用され
る投与方法等により適宜選択することができるが、例え
ば、げっし類動物等の非ヒト動物に対する腹腔内投与の
場合には、約0.1mg/kg−体重/日〜約10mg
/kg−体重/日、げっし類動物等の非ヒト動物に対す
る経口投与の場合には、約1mg/kg−体重/日〜約
100mg/kg−体重/日の被験物質を2〜4週間程
度投与すればよい。
【0092】本蓄積促進方法(I)のうち、アミノ酸配
列(I)を有する細胞分化促進因子依存的脂肪蓄積促進
経路の負の調節因子が前記細胞外に存在する条件下にお
いて、前記外来遺伝子を提供することもできる。このよ
うな場合には、例えば、脂肪蓄積促進経路の負の調節因
子が細胞外に、下記のような脂肪過少蓄積に起因する疾
患と診断されうる哺乳動物の体内(例えば、ファットレ
ス又は脂肪萎縮症に羅患していると診断されうる哺乳動
物の体内)における当該因子の存在量と同等な量存在す
るような条件であることが好ましい。
【0093】ここで、アミノ酸配列(I)を有する細胞
分化促進因子依存的脂肪蓄積促進経路の負の調節因子と
は、アミノ酸配列(I)を有する細胞分化促進因子(即
ち、本蛋白質)に依存的な脂肪蓄積促進経路を抑制させ
るように作用する物質を意味し、細胞が有する当該細胞
分化促進因子の働き(即ち、前駆脂肪細胞から成熟脂肪
細胞への分化誘導)を介した脂肪合成機構による細胞内
での脂肪蓄積を、抑制させる物質を挙げることができ
る。
【0094】上記の負の調節因子としては、例えば、前
記細胞分化促進因子のアンチセンス核酸や前記細胞分化
促進因子と特異的に結合する抗体等を挙げることができ
る。このような物質は、前記細胞分化促進因子を不活性
化させることにより、細胞内での脂肪蓄積を抑制させ
る。
【0095】本願には、脂肪過少蓄積又は脂肪蓄積障害
に起因する疾患と診断されうる哺乳動物の体内にある細
胞、例えば、ファットレス症又は脂肪萎縮症に羅患して
いると診断されうる哺乳動物の体内にある細胞に、本蛋
白質を導入する工程を有することを特徴とする脂肪蓄積
促進方法も記載されている。
【0096】ここで「本蛋白質を導入する」とは、本蛋
白質を哺乳動物の体内にある細胞内に存在させるような
処理を行なうことを意味し、例えば、前述のような本蓄
積促進剤(I)の形態にして直接的に投与してもよい
し、また前述のような本蓄積促進方法(I)の形態にて
間接的に投与してもよい。尚、この場合には、例えば、
本蛋白質が細胞内で有効に働くような濃度レベルと等し
い、本蛋白質の細胞内レベルをもたらすように導入すれ
ばよい。
【0097】本願には、前駆脂肪細胞に本蛋白質を導入
する工程を有することを特徴とする前駆脂肪細胞から成
熟脂肪細胞への分化誘導方法[本分化誘導方法]も記載
されている。
【0098】また本願には、脂肪蓄積非誘導条件下にお
いてアミノ酸配列(I)を有する細胞分化促進因子(即
ち、本蛋白質)を実質的に発現しない細胞に、前記細胞
分化促進因子依存的脂肪蓄積促進経路の正又は負の調節
因子を投与する工程を有することを特徴とする脂肪蓄積
制御方法[本蓄積制御方法]も記載されている。
【0099】「脂肪蓄積非誘導条件下において本蛋白質
を実質的に発現しない細胞」(以下、本細胞とも記載す
ることもある。)とは、本蛋白質に応答性の細胞分化誘
導由来の変化を生じる細胞であって、脂肪蓄積非誘導条
件下では本蛋白質を実質的に発現しないが、脂肪蓄積誘
導条件下では本蛋白質を実質的に発現するように変化を
生じる細胞を意味する。具体的には、前駆脂肪細胞を挙
げることができる。ここで「実質的に発現しない」と
は、例えば、通常のノーザンハイブリダイゼーション方
法等によってmRNAの存在を検出できないような場合
を意味するものであって、核酸の増幅方法等の特殊な方
法を組み合わせて高感度でmRNAの存在を検出する場
合を意味するものではない。
【0100】用いられる細胞が本細胞であることを確認
するには、脂肪蓄積誘導刺激により生じる、本蛋白質に
応答性の細胞分化誘導由来の変化を観察又は測定すれば
よい。このほかの確認方法としては、例えば、前駆脂肪
細胞に特異的に発現しているマーカー遺伝子(例えばPr
ef1(preadipocyte factor-1) 医学のあゆみ 184
(6)p.513,(1998)参照)の発現をRTPCR等により検出
する方法をあげることができる。
【0101】本細胞は、動物の組織(例えば腹腔内脂肪
等の組織)由来の細胞(例えば、腹腔内脂肪等の細胞)
である。前記動物としては、例えば哺乳動物等を挙げる
ことができ、さらに具体的にはヒト、サル、マウス、ラ
ット、ハムスターなどを挙げることができる。
【0102】本細胞のより具体的な例としては、例え
ば、ラット腹腔内脂肪細胞や3T3L1細胞等の株化細
胞を挙げることができる。
【0103】本細胞は、基本的には下記と同様な方法に
準じて調製すればよい。まず、動物から腹腔内脂肪組織
を摘出する。摘出された腹腔内脂肪組織を細断した後、
これを、例えばコラゲナーゼ等の組織分解性酵素で消化
することにより細胞懸濁液を得る。得られた細胞懸濁液
を、例えばShillabeer G. et al., International Jour
nal of Obesity 20, S77-S83等に記載される方法に準じ
て、具体的には、遠心分離等によって分画された沈殿を
回収することにより、前駆脂肪細胞に富む画分を調製す
る。
【0104】「前記細胞分化促進因子依存的脂肪蓄積促
進経路の正又は負の調節因子」(以下、本調節因子とも
記載することもある。)とは、本蛋白質が関与する脂肪
蓄積促進経路を正又は負に調節する因子を意味する。即
ち、本蛋白質が有する脂肪蓄積促進活性(又は分化誘導
活性)を向上又は低下させる物質を意味するものであ
る。このような物質は、例えば、本蛋白質が有する脂肪
蓄積促進活性により、対照群に比較して当該調節因子投
与群において、例えば、蛋白質又はRNAレベルでの本
蛋白質の発現量を増加又は低下させるような物質であれ
ば特に制限されるものではない。
【0105】ここで、「正の調節因子」を投与すると
は、本蛋白質が有する脂肪蓄積促進活性を向上させる物
質を有効量だけ投与することを意味する。尚、このよう
な物質は、本蛋白質の細胞内での発現レベルを高め、そ
れによって本蛋白質が有する脂肪蓄積促進活性を引き出
す治療薬の有効成分として有用な物質であって、脂肪蓄
積促進方法において利用される。
【0106】逆に「負の調節因子」を投与するとは、本
蛋白質が有する脂肪蓄積促進活性を低下させる物質を有
効量だけ投与することを意味する。尚、このような物質
は、本蛋白質の細胞内での発現レベルを低下させ、それ
によって本蛋白質が有する脂肪蓄積促進活性を抑制する
治療薬の有効成分として有用な物質であって、脂肪蓄積
抑制方法において利用される。
【0107】本細胞に本調節因子を投与するには、例え
ば、経口的または非経口的に本細胞に対し本調節因子の
有効量を与えればよい。この場合、本細胞は、動物の組
織から分離された細胞であってもよいし、また同一の機
能・形態を持つ集団を形成している細胞、さらには動物
の体内にある細胞であってもよい。ここで「非経口的」
とは、本調節因子を直接的に投与する場合だけではな
く、例えば、本調節因子をコードする外来遺伝子を本細
胞で発現する位置に置かれるように提供することによ
り、本調節因子を間接的に投与する場合も含むものであ
る。
【0108】上記の「本蛋白質が有する脂肪蓄積促進活
性を低下させる物質」は、本蛋白質が有する脂肪蓄積促
進活性を低下させる能力を有する限り、例えば、低分子
化合物、ポリヌクレオチド、蛋白質又はペプチド等のい
かなる物質であってもよい。より具体的には、例えば、
(a)本蛋白質の脂肪蓄積促進活性を低下させる低分子
化合物、(b)本蛋白質のアンチセンス核酸、(c)本
蛋白質と特異的に結合する抗体等を挙げることができ
る。
【0109】(a)本蛋白質の脂肪蓄積促進活性を低下
させる低分子化合物に関して:本蛋白質の脂肪蓄積促進
活性を低下させる低分子化合物は、例えば、脂肪蓄積調
節能力を有する物質として下記の方法によって探索する
ことが可能である。即ち、脂肪蓄積調節能力を有する物
質の探索方法であって、(1)脂肪蓄積非誘導条件下に
おいてアミノ酸配列(I)を有する細胞分化促進因子
(即ち、本蛋白質)を実質的に発現しない細胞(即ち、
本細胞)に、脂肪蓄積非誘導条件下又は脂肪蓄積誘導条
件下、被験物質を接触させる第一工程、及び、(2)前
記第一工程後に、前記細胞分化促進因子又はその遺伝子
の発現量をモニターする第二工程、及び(3)前記第二
工程によりモニターされた発現量の変化に基づき前記物
質の脂肪蓄積調節能力を評価する第三工程、及び(4)
前記第三工程で評価された脂肪蓄積調節能力に基づき脂
肪蓄積調節能力を有する物質を選抜する第四工程、を有
することを特徴とする探索方法[本探索方法(I)]で
ある。尚、上記の探索方法では、被験物質の存在下にお
ける脂肪蓄積非誘導条件又は脂肪蓄積誘導条件と、被験
物質の非存在下における脂肪蓄積非誘導条件又は脂肪蓄
積誘導条件とを同一条件下で比較するとよい。
【0110】第一工程において、本細胞に被験物質を接
触させる条件が「脂肪蓄積非誘導条件下」であるとは、
本細胞が外部刺激を受けることがないような環境条件下
又は本細胞が外部刺激を受けてもその応答現象として当
該細胞内に脂肪が蓄積されないような環境条件下を意味
する。例えば、本細胞が動物の組織から分離された前駆
脂肪細胞である場合には、当該細胞の通常の継代培養条
件下を意味し、また本細胞が動物の体内に存在する場合
には、当該動物が後述の脂肪蓄積誘導条件下に存在する
ことなく、通常の飼育又は生活条件下で存在することを
意味する。
【0111】一方、第一工程において、本細胞に被験物
質を接触させる条件が「脂肪蓄積誘導条件下」であると
は、本細胞が外部刺激を受けることによりその応答現象
として当該細胞内に脂肪が蓄積されるような環境条件下
を意味する。例えば、本細胞が動物の組織から分離され
た前駆脂肪細胞である場合には、インシュリン、デキサ
メサゾン、3−イソブチル−1−メチル−キサンチン、
プロスタグランジンJ2活性を有する物質等の分化誘導物
質が一種以上添加された培地にて本細胞を培養するよう
な処理条件下等を意味する。具体的には、Wu Z. et a
l., Genes & Dev.9, 2350-2363(1992)等に記載された
方法に準じて行えばよい。ここで、プロスタグランジン
2活性を有する物質とは、前駆脂肪細胞に接触させた
場合に、当該前駆脂肪細胞を成熟脂肪細胞に分化させる
能力がプロスタグランジンJ2と同程度である物質を意
味し、例えば、プロスタグランジンJ2、15−デオキ
シ−Δ12,14−プロスタグランジンJ2等を挙げることが
できる。分化誘導物質の培地への添加濃度は、分化誘導
物質に応じて適宜選択すればよいが、例えば、インシュ
リンの場合には、約0.1μM〜約10μM、デキサメ
サゾンの場合には、約0.1μM〜約2μM、3−イソ
ブチル−1−メチル−キサンチンの場合には、約0.1
mM〜約5mM、プロスタグランジンJ2の場合には、
通常約5μM〜約25μM、15−デオキシ−Δ12,14
−プロスタグランジンJ2の場合には、通常約1μM〜
約10μMで良い。また本細胞が動物の体内に存在する
場合には、当該動物が脂肪蓄積誘導条件下に存在するこ
とを意味し、例えば、高脂肪食負荷や脂肪蓄積障害に起
因する任意の疾患の発病下等を意味する。
【0112】第二工程において、細胞分化促進因子又は
その遺伝子の「発現量」とは、蛋白質又はRNAレベル
での発現量を意味する。もちろん、これら発現量に相関
関係を有する指標値を前記発現量の代わりに利用しても
よく、本発明ではこの場合も上記「発現量」の中に含ん
で解釈されるものである。上記の発現量は、例えば、リ
アルタイム−ポリメラーゼチェイン反応(以下、RT-
PCRという。)やノーザンハイブリダイゼーション
法、DNAチップを用いた方法、二次元電気泳動法、免
疫化学的な検出法(例えば、ELISAN、ウェスタンブロッ
ト、RIA)等の方法によって増減等をモニターすればよ
い。また当該発現量は、例えば、公知の脂肪細胞分化マ
ーカーであるaP2の発現量、AP−2をコードする遺
伝子の発現調節領域を機能可能な形で連結されてなるレ
ポーター遺伝子の発現量等の上記「発現量」に相関関係
を有する指標値を代わりにモニターしてもよい。尚、こ
こで使われる「発現調節領域」及び「機能可能な形で連
結(する)」とは、後述において説明される「発現調節
領域」及び「機能可能な形で連結(する)」と同様な意
味である。
【0113】さらにまた、インサイチューハイブリダイ
ゼーションも、本蛋白質又はその遺伝子の発現量の増減
をモニターするために用いることができる。当該インサ
イチューハイブリダイゼーション法は、特異的に標識化
された核酸プローブと、個々の細胞または組織中の細胞
RNAとのハイブリダイゼーションに基づく。従って、こ
れにより、完全な組織の内部のmRNAの同定が可能とな
る。この方法では、本蛋白質の遺伝子の特定の部分に対
応するオリゴヌクレオチド又はクローニングしたヌクレ
オチド(RNAまたはDNA)の断片を、例えば、特定な組織
内の特異的mRNA種を検出するために用いる。この方法で
は、ラットに麻酔を施し、低温PBSによる経心臓的潅流
を行った後、ホルムアルデヒド溶液を用いて潅流する。
続いて、脂肪またはその他の組織を摘出し、液体窒素中
にて凍結させ、その微小薄層切片を作成する。切片をス
ライドグラス上に置き、プロテイナーゼK中にてインキ
ュベートする。DEP、水、およびエタノールで洗浄した
後、スライドグラスをプレハイブリダイゼーション緩衝
液中にてインキュベートする。プライマーに対応した放
射性プローブをニックトランスレーション(nick trans
lation)によって作製し、切片化した脂肪組織とともに
インキュベートする。インキュベートおよび自然乾燥の
後、標識された領域をオートラジオグラフィーによって
可視化した。組織試料中の暗点は、プローブが蛋白質が
発現したことを示す本蛋白質のmRNAとハイブリッドを形
成したことを意味する。
【0114】第二工程において、本蛋白質又はその遺伝
子の発現量をモニターする方法としては、例えば、以下
の方法があげられる。本蛋白質の遺伝子(mRNA)を発現
している細胞の培養液に種々の濃度の被験物質を添加す
る。続いて、例えば、本蛋白質の遺伝子(cDNA)又はそ
の断片(cDNAもしくはRNAの断片)をハイブリダイゼー
ションプローブとして用いるノーザンブロット分析によ
り、本蛋白質の遺伝子(mRNA)の発現量を測定する。そ
の他のすべての条件(例えば、細胞の種類及び培養条
件)を同一にして、被験物質の存在下における本蛋白質
の遺伝子の発現量を、被験物質の非存在下における本蛋
白質の遺伝子の発現量と比較する。
【0115】またノーザンブロット分析の代わりに、本
蛋白質に特異的な抗体を用いるウェスタンブロット分析
又は免疫沈降分析等の通常の蛋白質検出法(翻訳のレベ
ルでの方法)を用いることにより、本蛋白質の発現量を
測定する。
【0116】本探索方法のうち、第一工程において、本
細胞に被験物質を接触させる条件が脂肪蓄積非誘導条件
であって、かつ、第三工程でいう発現量の変化が前記細
胞分化促進因子又はその遺伝子の発現量の増加である場
合には、脂肪蓄積促進能力を有する物質を探索すること
が可能である。
【0117】また、本探索方法のうち、第一工程におい
て、本細胞に被験物質を接触させる条件が脂肪蓄積誘導
条件であって、かつ、第三工程でいう発現量の変化が前
記細胞分化促進因子又はその遺伝子の発現量の減少であ
る場合には、脂肪蓄積抑制能力を有する物質を探索する
ことが可能である。
【0118】このような本探索方法により選抜された物
質またはその薬学的に許容される塩は、それらを有効成
分として含み、当該有効成分が薬学的に許容される担体
中に製剤化されてなることを特徴とする脂肪蓄積調節剤
として利用することもできる。
【0119】さらに上記の本探索方法以外の方法とし
て、例えば、本遺伝子の発現調節領域を機能可能な形で
連結されてなるレポーター遺伝子を含有しかつ脂肪蓄積
非誘導条件下において本蛋白質を実質的に発現しない細
胞に被験物質を接触させる方法を用いてもよい。即ち、
脂肪蓄積調節能力を有する物質の探索方法であって、
(1)アミノ酸配列(I)を有する細胞分化促進因子を
コードする遺伝子の発現調節領域を機能可能な形で連結
されてなるレポーター遺伝子を含有しかつ脂肪蓄積非誘
導条件下において前記細胞分化促進因子を発現しない細
胞(以下、本形質転換細胞と記すこともある。)に、脂
肪蓄積非誘導条件下又は脂肪蓄積誘導条件下、被験物質
を接触させる第一工程、及び、(2)前記第一工程後
に、レポーター遺伝子の発現量をモニターする第二工
程、及び(3)前記第二工程によりモニターされた発現
量の変化に基づき前記物質の脂肪蓄積調節能力を評価す
る第三工程、及び(4)前記第三工程で評価された脂肪
蓄積調節能力に基づき脂肪蓄積調節能力を有する物質を
選抜する第四工程、を有することを特徴とする探索方法
[本探索方法(II)]であってもよい。当該探索方法
は、いわゆるレポータージーンアッセイを用いる、脂肪
蓄積調節能力を有する物質の探索方法である。
【0120】当該工程において、本形質転換細胞と接触
させる被験物質の濃度は、通常、約0.1μM〜約10
μMであればよく、1μM〜10μMが好ましい。本形
質転換細胞と被験物質とを接触させる時間は、通常、1
8時間以上60時間程度であり、好ましくは24時間か
ら40時間程度が挙げられる。
【0121】前記本形質転換細胞は、以下のようにして
調製することができる。まず本蛋白質をコードする遺伝
子の発現調節領域を、必要に応じて例えば、(i)5’-
レース法(5'-RACE法)(例えば、5’full Race Core K
it(宝酒造社製)等を用いて実施されうる)、オリゴキ
ャップ法、S1プライマーマッピング等の通常の方法によ
り、5’末端を決定するステップ;(ii)Genome Walke
r Kit(クローンテック社製)等を用いて5’-上流領域を
取得し、得られた上流領域について、プロモーター活性
を測定するステップ;を含む手法等により発現調節領域
を同定した後、通常の遺伝子工学的手法に従って切り出
し、切り出された発現調節領域を、グルクロニダーゼ
(GUS)、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールトラ
ンスアセチラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ及びグ
リーン蛍光蛋白質(GFP)等のレポーター遺伝子(その
発現を解析することができる遺伝子)に機能可能な形で
連結することにより、本蛋白質をコードする遺伝子の発
現調節領域を機能可能な形で連結されてなるレポーター
遺伝子を調製する。ここで「機能可能な形で連結する」
とは、ある遺伝子と一つまたはそれ以上の調節配列と
が、適した外来性のシグナル又は因子が調節配列に結合
した時に遺伝子発現が可能となるような様式で連結する
ことを意味する。また「発現調節領域」とは、細胞型特
異的もしくは組織特異的な制御を受けるプロモーター要
素、又は外来性のシグナルもしくは因子(例えば、転写
活性化蛋白質)によって誘導されるプロモーター依存的
遺伝子発現を引き起こすために十分なプロモーター要素
を含み、かつ転写を促すために必要な配列を意味する。
尚、このような要素は、本来の遺伝子の5’または3’
領域のいずれに位置させればよい。次に、本蛋白質をコ
ードする遺伝子の発現調節領域を機能可能な形で連結さ
れてなるレポーター遺伝子を通常の遺伝子工学的手法を
用いて、当該レポーター遺伝子を導入する細胞において
使用可能なベクターに挿入することにより、プラスミド
を作製する。次いで、前記プラスミドを細胞へ導入す
る。細胞への導入法としては、例えば、リン酸カルシウ
ム法、電気導入法、DEAEデキストラン法、ミセル形
成法等を挙げることができる。リン酸カルシウム法とし
てはGrimm, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
93, 10923-10927等に記載される方法、電気導入法及び
DEAEデキストラン法としてはTing, A. T. et al.,
EMBO J., 15, 6189-6196等に記載される方法、ミセル形
成法としてはHawkins, C. J. et al., Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 93, 13786-13790等に記載される方法を挙
げることができる。ミセル形成法を用いる場合には、リ
ポフェクトアミン(ギブコ製)やフュージーン(ベーリ
ンガー製)等の市販の試薬を利用するとよい。
【0122】前記プラスミドの導入処理を施した細胞
を、例えば、当該ベクターに予め含まれる選抜マーカー
遺伝子を利用し、当該選択マーカー遺伝子に応じた選抜
条件の培地で培養することにより、本形質転換細胞(本
遺伝子が一過性に導入された細胞)を選抜することがで
きる。さらに選抜を続けて、本遺伝子が染色体に導入さ
れてなる安定形質転換体となった本形質転換細胞を取得
してもよい。導入された本遺伝子が細胞中に存在する染
色体上に組込まれたことを確認するには、当該細胞のゲ
ノムDNAを通常の遺伝子工学的方法に準じて調製し、
本遺伝子の部分塩基配列を有するDNAをプライマーと
して用いるPCRや、本遺伝子の部分塩基配列を有する
DNAをプローブとして用いるサザンハイブリダイゼー
ション等の方法を利用して、ゲノムDNA中の本遺伝子
の存在を検出・確認すればよい。また、本形質転換細胞
は、後述する形質転換非ヒト動物の組織から通常の方法
により調製してもよい。このような探索方法により選抜
された物質またはその薬学的に許容される塩は、それら
を有効成分として含み、当該有効成分が薬学的に許容さ
れる担体中に製剤化されてなることを特徴とする脂肪蓄
積調節剤として利用してもよい。
【0123】上記の探索方法において、「レポーター遺
伝子の発現量をモニターする」方法としては、本形質転
換細胞中におけるレポーター遺伝子の発現量を時間経過
に沿って連続的に又は不連続に測定できる方法であれば
どのような方法であってもよいが、例えば、発現抑制剤
のスクリーニングの場合には、本形質転換細胞をインシ
ュリン、デキサメサゾン、3−イソブチル−1−メチル
−キサンチン、プロスタグランジンJ2活性を有する物質
などの分化誘導物質等を一種以上添加された培地下での
培養により脂肪蓄積を誘発した後、被験化合物を前記培
地に添加することにより、対照群と比較してレポーター
遺伝子の発現量が10%以上、好ましくは30%以上、
更に好ましくは50%以上、最も好ましくは100%減
少するような変化が認められた化合物を選択する。一
方、発現促進剤のスクリーニングの場合には、得られる
形質転換細胞あるいは一過性に導入した細胞を被験化合
物を培地に添加することにより、対照群と比較してレポ
ーター遺伝子の発現量が10%以上、好ましくは30%
以上、更に好ましくは50%以上、最も好ましくは10
0%増加するような変化が認められた化合物を選択す
る。例えば、レポーター遺伝子がルシフェラーゼ遺伝子
である場合には、ルシフェラーゼアッセイ試薬(プロガ
メ社)等の市販品を利用すればよい。もちろん、細胞分
化促進因子と被験物質との両者を接触させた後の細胞に
おける(1)本蛋白質又はその遺伝子の発現量、あるい
は(2)本蛋白質をコードする遺伝子の発現調節領域を
機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子の発現
量(以下、測定値1と記す。)を、本蛋白質を接触さ
せ、かつ被験物質を接触させなかった後の細胞における
前記発現量(以下、測定値2と記す。)と比較すること
によって、当該被験物質の脂肪蓄積調節能力を評価して
もよい。この場合、脂肪蓄積調節能力を、前記測定値を
用いて、下記の式に従って脂肪蓄積調節率として求める
とよい。 脂肪蓄積調節率(%)={(測定値2−測定値1)/測
定値2}×100 被験物質の脂肪蓄積調節能力を表わす脂肪蓄積調節率
が、統計学的に有意な値を示す物質、具体的に好ましく
は、例えば、30%以上を示す物質、より好ましくは5
0%以上を示す物質を、脂肪蓄積調節能力を有する物質
として選抜する。尚、当該物質は、脂肪蓄積調節能力を
有する限り、低分子化合物のみならず、ポリヌクレオチ
ド、蛋白質又はペプチド等のいかなる物質でも適用可能
である。
【0124】さらに上記の探索方法では、被験物質とし
て異なる2種以上の物質を各々独立して用いた区におけ
るレポーター遺伝子の発現量の変化を比較することによ
り得られる差異に基づき前記物質の脂肪蓄積調節能力を
評価してもよい。このようにして評価された脂肪蓄積調
節能力に基づき脂肪蓄積調節能力を有する物質を選抜す
ることもできる。
【0125】上記の探索方法において、被験物質として
異なる2種以上の物質を各々独立して用いた区における
レポーター遺伝子の発現量の変化を比較することにより
得られる差異に基づき前記物質の脂肪蓄積調節能力を評
価してもよい。このようにして評価された脂肪蓄積調節
能力に基づき脂肪蓄積調節能力を有する物質を選抜する
こともできる。さらにまた、前記異なる2種以上の物質
のうち、少なくとも一つの物質が脂肪蓄積調節能力を有
さない物質(例えば、溶媒、バックグランドとなる試験
系溶液等であってもよい。)とすることで、他方の被験
物質が有する脂肪蓄積調節能力を評価してもよいし、ま
た前記異なる2種以上の物質のうち、少なくとも一つの
物質が有する脂肪蓄積調節能力を基準としながら他方の
被験物質が有する脂肪蓄積調節能力を評価してもよい。
【0126】(b)本蛋白質のアンチセンス核酸に関し
て:本蛋白質のアンチセンス核酸は、本蛋白質の遺伝子
が有する塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する核
酸であって、細胞の中で当該核酸と本蛋白質の遺伝子
(特にmRNA)との間にハイブリッドが形成されるこ
とによって、本蛋白質の遺伝子の発現を塩基配列特異的
に抑制する。従って、本蛋白質依存的脂肪蓄積経路の負
の調節因子として機能する。
【0127】上記のハイブリッド形成されたRNA二本鎖
は、プロセッシング/輸送/翻訳、及び/又は、標的と
なった本蛋白質のmRNAの安定化を妨げる。上記の脂肪蓄
積制御方法において、本細胞に本蛋白質のアンチセンス
核酸を投与するには、本細胞中にアンチセンス核酸を注
入したり、又は本細胞にアンチセンス核酸発現ベクター
をトランスフェクションさせる等、種々の方法を用いれ
ばよい。アンチセンス効果は、本蛋白質の発現量、本蛋
白質の脂肪蓄積促進活性測定、又は本蛋白質のmRNAの発
現量等の変化に基づいて容易に判断することができる。
【0128】このような探索方法により選抜された物質
またはその薬学的に許容される塩は、それらを有効成分
として含み、当該有効成分が薬学的に許容される担体中
に製剤化されてなることを特徴とする脂肪蓄積調節剤と
して利用してもよい。尚、上記の脂肪蓄積制御方法に
は、関連するもう一つの面において、アンチセンス核酸
を発現する形質転換動物の場合も含まれる。このような
場合は、上記の脂肪蓄積制御方法を遺伝子治療の手段と
して応用する場合であり、本蛋白質の遺伝子のアンチセ
ンスmRNAの細胞内への直接投与によって実施される。用
いられるアンチセンスmRNAは、いかなる標準的手法によ
り作製及び単離されたものであってもよいが、高効率プ
ロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウィルスプロモ
ーター)の制御下にある本蛋白質の遺伝子( cDNA)に
相補する塩基配列からなるDNAを用いるインビボ転写
によって最も容易に産生させることができる。本蛋白質
の遺伝子のアンチセンスmRNAの細胞内への投与は、前述
の直接的な核酸投与の方法のいずれによっても実施する
ことができる。
【0129】(c)本蛋白質と特異的に結合する抗体に
関して:本蛋白質と特異的に結合する抗体は、例えば、
脂肪蓄積調節能力を有する物質として下記の方法によっ
て探索することが可能である。ここで「特異的に結合す
る」とは、本蛋白質を認識して結合するが、自然の状態
では本蛋白質を含む生物試料等の試料中のその他の分子
は実質的に認識せず結合もしない抗体を意味する。
【0130】以下、具体例を述べる。まず、本蛋白質の
(候補)抗体を調製する。
【0131】(1)抗原の調製 前記の方法で調製される本蛋白質を抗原として用いるこ
とができるが、例えば、本蛋白質のアミノ酸配列のうち
特有な部分アミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを高分子
量化する方法、または当該抗原性ペプチドを直接的また
はスペーサーを介して間接的に高分子量担体分子に結合
した複合体を得る方法等により抗原を作製することもで
きる。これらの方法は、それ自身では低分子量で抗原性
が低い、すなわち不完全抗原である抗原性ペプチドを、
高分子量化することで完全抗原化する方法である。
【0132】抗原性ペプチドの選抜方法は、例えば、抗
ペプチド抗体実験プロトコール(大海忍、辻村邦夫、稲
垣昌樹著、秀潤社刊、1994年発行)に記載される蛋
白質中のエピトープ予測法を用いて行うことができる。
通常、10〜20個のアミノ酸からなるペプチドを抗原
性ペプチドとして選抜する。選抜された抗原性ペプチド
は、抗ペプチド抗体実験プロトコール(大海忍、辻村邦
夫、稲垣昌樹著、秀潤社刊、1994年発行)に記載さ
れた通常の合成及び精製方法に準じて調製すればよく、
さらに必要に応じて高速液体クロマトグラフィー等の通
常の方法により純度の高いものにすることができる。
【0133】抗原性ペプチドを高分子量化する方法とし
ては、例えば、Tamらの考案したMAP(Multiple anti
gen peptide)法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, p5
409)を挙げることができる。
【0134】抗原性ペプチドを直接的にまたはスペーサ
ーを介して間接的に高分子量担体分子に結合した複合体
を得る方法において使用される高分子量担体分子は、抗
原性ペプチド及びこれらにスペーサーが結合した化合物
(以下、両者をまとめて不完全抗原と記す。)との結合
反応に利用可能な反応基を有し、かつ当該不完全抗原に
結合されることにより免疫原性を獲得し得るか、または
既に存在する免疫原性を高められ得る巨大分子化合物で
あればよい。
【0135】(2)哺乳動物の免疫感作化工程および
(候補)抗体取得 (1)に記載される方法により調製した抗原を用いて、
例えば、J. Assoc. Off. Anal. Chem. 70, 1025-1027等
に記載されるNewsome W. H.らによる通常の免疫感作の
方法に従い、例えば、マウス、ハムスター、モルモッ
ト、ニワトリ、ラット、ウサギ、イヌ等の哺乳動物を免
疫する。抗原は、1回または複数回投与すればよい。
【0136】抗原は、例えば、約7ないし約30日、特
に約12ないし約16日間隔で、3または4回の投与等
が好ましい。投与量は1回につき、例えば、抗原約0.
05から2mg程度を目安とする。投与方法は、皮下投
与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与
等を選択することができる。好ましくは静脈内、腹膜腔
内もしくは皮下投与を挙げることができ、特に好ましく
は皮下注射と腹膜腔内注射との組合せが挙げられる。
【0137】そして、上記の哺乳動物を0.5ないし4
ケ月間処置せずに放置した後、当該哺乳動物の血液を耳
静脈等から少量サンプリングし、抗体価を測定する。抗
体価が上昇したら、状況に応じて抗原の投与を適当回数
実施する。例えば100μgないし1mgの抗原の投与
量で1回ないし5回の投与が行われる。最後の投与の1
ないし2ケ月間後に免疫感作した哺乳動物から通常の方
法により血液を採取して、当該血液を、例えば遠心分
離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを
用いることによる沈澱、ゲルろ過クロマトグラフィー、
イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマト
グラフィー等のクロマトグラフィー等の通常の方法によ
って分離、精製することにより、ポリクローナル抗血清
を調製する。このようにして本蛋白質の(候補)抗体を
得ることができる。
【0138】また、上記の免疫感作した哺乳動物から免
疫適格B細胞を単離し、当該免疫適格B細胞を、連続的
に細胞分裂し得る腫瘍細胞と融合し、生成する融合細胞
を単離する。所望の抗体を産生する融合細胞を選択し、
クローン化し、当該融合細胞からモノクローナル抗体を
調製することにより、本蛋白質の抗体を得ることも可能
である。以下にこのような(候補)抗体の取得方法につ
いて詳述する。
【0139】モノクローナル抗体を産生する融合細胞の
作製は通常の方法、例えば、ハイブリドーマテクニック
ス(コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発
行(Cold Spring Harbor Laboratory press)又は細胞
組織化学(山下ら,日本組織細胞化学学会編,198
6)等に記載される方法により行うことができる。免疫
動物としては、マウス、ラット、ハムスター等の哺乳動
物を用いることができる。通常マウスが最も汎用され、
Balb/cマウス、その他の系(strain)のマウスを
用いることができる。この際、十分な量の抗原刺激を受
けたリンパ球が形成されるように、免疫計画および抗原
の濃度を選べばよい。例えばマウス1匹に50から2m
gの抗原を2週間間隔で腹腔に3回免疫する。必要に応
じてさらに50から2mgを静脈に投与してもよい。最
終免疫の数日後に細胞融合のための脾臓を摘出する。
【0140】前記のように免疫した哺乳動物の個体から
脾臓を無菌的に摘出し、当該組織から細胞懸濁液状態の
脾臓細胞を調製する。当該脾臓細胞(抗体産生細胞)を
適当な骨髄腫細胞と、適当な融合促進剤の存在下で細胞
融合させる。骨髄腫細胞としては免疫動物と同種の哺乳
動物に由来するものが望ましいが、ラット、ハムスター
等の脾臓細胞とマウスの骨髄腫細胞とを融合させること
もできる。好ましい融合の比率は約20:1〜約2:1
の範囲である。約108個の脾臓細胞について0.5〜
1.5mlの融合促進剤の使用が適当である。好ましい
融合促進剤としては、例えば平均分子量1000〜40
00ポリエチレングリコールを使用できるが、この分野
で知られている他の融合促進剤、例えばセンダイウイル
ス(別名HVJ)を用いることもできる。また、融合促
進剤を使用せずに電気ショックを用いる方法により細胞
融合を行ってもよい。
【0141】融合細胞は、未融合の脾臓細胞、未融合の
骨髄腫細胞および融合細胞の混合物を、未融合の骨髄腫
細胞が生育できない選択培地で希釈し、未融合の細胞を
死滅させるのに十分な時間(約1時間)培養することに
より選択する。培地は薬剤抵抗性(例えば8−アザグア
ニン抵抗性)かつ未融合の骨髄腫細胞が生育できない選
択培地(例えばHAT培地)が使用される。当該選択培
地中では未融合の骨髄腫細胞は死滅する。また、未融合
の脾臓細胞は非腫瘍性細胞なので、ある一定期間(例え
ば1週間)後に死滅する。これに対して、融合細胞は親
骨髄腫細胞の腫瘍性と、親脾臓細胞の性質を併せ持つた
め、選択培地中で生育できる。
【0142】得られた融合細胞についてスクリーニング
を行い、本蛋白質と特異的に結合するモノクローナル抗
体を産生する融合細胞を選択する。スクリーニング方法
としては、得られた抗体の特異性について、多くの検体
を簡単、迅速に、感度よく検出できる方法であればよ
く、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)法、酵素
標識抗体測定法(Enzyme Linked Immunosorbent Assa
y;ELISA)、マイクロウエスタンブロッティング
等が挙げられる。酵素標識抗体測定法としては、さらに
具体的には、ストレプトアビジンとビオチンを利用した
方法、二抗体サンドイッチ法等が挙げられる。選択され
た融合細胞を適当な方法(例えば限界希釈法)でクロー
ン化した後、モノクローナル抗体を得る。融合細胞を一
定期間、適当な培地で培養することにより、その培養上
清からモノクローナル抗体を得ることができる。また、
融合細胞を免疫動物の腹腔内に注射し、一定時間後の当
該免疫動物の血液および腹水からモノクローナル抗体を
得ることもできる。
【0143】次に抗体クラスの決定・確認を行う。抗体
クラスは、通常の方法、例えばアイソタイピングキット
(アマシャムファルマシア製)を用いて添付のプロトコ
ールに基づき決定・確認することができる。さらに、抗
体クラスに適した方法で、抗体を精製する。モノクロー
ナル抗体はもともと特異性、抗体価ともに高いので、融
合細胞を無血清培地で培養し、培養上清を濃縮、硫酸ア
ンモニウムによる塩析行うことによって免疫グロブリン
画分を調製すれば簡便に純度の高い抗体を得ることがで
きる。抗体クラスがIgMの場合には、ゲル濾過により
夾雑する非特異的IgGを除くことができる。また、市
販のHiTrap IgMカラム(アマシャムファルマ
シア製)を用いて、添付のプロトコールに基づき精製し
てもよい。一方、IgGクラスの抗体の場合には、プロ
テインA又はプロテインG(アマシャムファルマシア
製)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより
精製が可能である。他の方法としては、抗原結合担体に
よるアフィニティークロマトグラフィーや種々の担体
(例えば陰イオン交換体、陽イオン交換体、ハイドロキ
シアパタイト、シリカ)を用いた高速液体クロマトグラ
フィーを挙げることができる。
【0144】上記のようにして調製された(候補)抗体
が本蛋白質に結合しかつ脂肪蓄積抑制能力を有し得る抗
体[いわゆる中和抗体:「中和抗体」とは、本細胞分化
促進因子のあらゆる生物活性、特に本細胞分化促進因子
の脂肪蓄積促進(特に前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞へ
の分化誘導)能力を低下させる抗体を意味する。]であ
ることは、例えば、ウェスタンブロット解析(厳密な意
味では結合能力の確認であるが、ここで結合能力が確認
できるような物質であれば、本細胞分化促進因子の脂肪
蓄積促進(特に前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化
誘導)能力を低下させる抗体である、即ち中和抗体であ
る、ことが一般的である。)や以下のような方法を利用
して調べることができる。まず、(1)脂肪蓄積非誘導
条件下において本細胞分化促進因子を実質的に発現しな
い細胞の無細胞抽出液に、脂肪蓄積誘導開始と同時に、
被験物質を接触させ(第一工程)、次いで、(2)前記
第一工程後に、本細胞分化促進因子の遺伝子の発現量及
び本細胞における脂肪蓄積量をモニターし(第二工
程)、次いで、(3)前記第二工程によりモニターされ
た遺伝子の発現量(前記細胞分化促進因子の遺伝子の発
現量の増加)と前記細胞における脂肪蓄積量との両者の
変化に基づき前記物質の脂肪蓄積調節能力を評価し(第
三工程)、次いで、(4)前記第三工程で評価された脂
肪蓄積調節能力に基づき脂肪蓄積調節能力を有する物質
を選抜すればよい(第四工程)。この場合、当該発現量
が増加であって、かつ、前記細胞における脂肪蓄積量が
減少していれば、当該被験物質が中和抗体であると確認
することができる。
【0145】このような中和抗体又はその薬学的に許容
される塩は、それらを有効成分として含み、当該有効成
分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなること
を特徴とする脂肪蓄積調節剤として利用することもでき
る。
【0146】本探索方法により選抜される物質またはそ
の薬学的に許容される塩を有効成分とする脂肪蓄積調節
剤は、前述の脂肪蓄積促進剤(I)の説明と同様に、そ
の有効量を経口的または非経口的にヒト等の哺乳動物に
対し投与することができる。例えば、経口的に投与する
場合には、本脂肪蓄積調節剤は錠剤、カプセル剤、シロ
ップ剤、懸濁液等の通常の形態で使用することができ
る。また、非経口的に投与する場合には、本脂肪蓄積調
節剤を溶液、乳剤、懸濁液等の通常の液剤の形態で使用
することができる。前記形態の本脂肪蓄積調節剤を非経
口的に投与する方法としては、例えば注射する方法、坐
剤の形で直腸に投与する方法等を挙げることができる。
【0147】前記の適当な投与剤型は許容される通常の
担体、賦型剤、結合剤、安定剤、希釈剤等に本探索方法
により選抜される物質またはその薬学的に許容される塩
を配合することにより製造することができる。また注射
剤型で用いる場合には、許容される緩衝剤、溶解補助
剤、等張剤等を添加することもできる。
【0148】投与量は、投与される哺乳動物の年令、性
別、体重、疾患の程度、本脂肪蓄積調節剤の種類、投与
形態等によって異なるが、通常は経口の場合には成人で
1日あたり有効成分量として約1mg〜約2g、好まし
くは有効成分量として約5mg〜約1gを投与すればよ
く、注射の場合には成人で有効成分量として約0.1m
g〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日
の投与量を1回または数回に分けて投与することができ
る。
【0149】本脂肪蓄積調節剤の適用可能な疾患として
は、脂肪過少蓄積、脂肪過剰蓄積又は脂肪蓄積障害に起
因する任意の疾患を治療するために用いることができ
る。例えば、ファットレス症、脂肪萎縮症、肥満(特に
有害レベルの脂肪蓄積を有する患者の場合)等の疾患を
あげることができる。
【0150】さらに、本発明は、本蛋白質をコードする
遺伝子(DNA又はRNA)のアンチセンス鎖の全部又
は一部よりなる、脂肪蓄積障害を伴う疾患の診断用プロ
ーブ及び当該プローブを含有してなる脂肪蓄積障害を伴
う疾患の診断薬をも提供するものである。例えば、病理
切片に対して本蛋白質の遺伝子のIn situハイブリダイ
ゼーションを行うことにより、脂肪蓄積障害を伴う疾患
の有無や進行具合を検出することができる。脂肪過剰蓄
積に係る診断の場合には、好ましくは発現量が2倍に増
強されることによってなされ、より好ましくは、発現量
が少なくとも10倍に増強されることによってなされる。
ここで診断用プローブとしては、本蛋白質をコードする
遺伝子(DNA、RNA、cDNA)のアンチセンス鎖
の全部又は一部であり、プローブとして成立する程度の
長さ(少なくとも20ベース以上)を有するものであれ
ば特に制限されるものではない。当該プローブを診断薬
の有効成分とするためには、プローブが分解されないよ
うな適当なバッファー類や滅菌水に溶解することが好ま
しい。また、In situハイブリダイゼーションの方法と
しては、例えば、J. Neurobiol. 29, 1-17 (1996)に記
載の手法が挙げられる。また、In situ PCRの方法を利
用することも可能である。前記診断においては、プロー
ブのみならず、本蛋白質に対する抗体を使用することが
でき、この場合には、免疫染色法により脂肪蓄積を伴う
疾患の有無や進行具合を検出することができる(Dev. B
iol. 170, 207-222 (1995); J. Neurobiol. 29, 1-17
(1996)参照)。使用される抗体は、例えば、Antibodie
s; A Laboratory Manual, Lane, H, D. ら編、Cold Spr
ing Harber Lboratory Press 出版NewYork 1989等に記
載の方法により容易に作製される。
【0151】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0152】実施例1 (本発明ヒトKKLFプロモー
ターのクローニング) Human Genomic DNA(CLONTEC
H社)1μL、配列番号18で示される塩基配列からな
るプライマー20pmol、配列番号19で示される塩
基配列からなるプライマー 20pmol、Ex−ta
q(宝酒造社)1μL、Ex−taq添付のバッファー
5μL及びdNTP 4μLを含む50μLの反応液
を調製し、PCRを行った。当該PCRでは、まず94
℃で30秒間、次いで65℃で30秒間、更に72℃で
3分間からなる保温サイクルが40回繰り返された。P
CRにより増幅されたPCR産物を、アガロースゲル電
気泳動することにより、約3kbpの大きさのDNAを
回収した。回収されたDNAをQIAEX II Ge
l Extraction Kit(QIAGEN社)
を用いて精製した。精製されたDNAを水20μLに溶
解し、そのうち1μLとpT7−Blue(宝酒造社)
とを混合し当該混合物をライゲーションキットver.
1(宝酒造社)を用いて16℃で1時間のライゲーショ
ン反応に供した。このようにして得られたライゲーショ
ン反応液20μLとE.coliJM109株コンピテ
ントセル(東洋紡社)とを用いて、E.coliJM1
09形質転換細胞を得た。当該形質転換細胞を50μg
/mLアンピシリン含有LB培地100mLで培養して
得られた培養菌体からQIAGEN PlasmidM
axi kit(QIAGEN社)を用いて本発明ヒト
KKLFプロモーターの塩基配列を含む組換えベクター
を精製・単離した。
【0153】実施例2 (本発明ヒトKKLFプロモー
ターの塩基配列の決定) 実施例1で精製・単離された、本発明ヒトKKLFプロ
モーターの塩基配列を含む組換えベクターを鋳型とし
て、Thermo Sequenase IIダイ・タ
ーミネーターキット(Amersham Pharma
cia Biotech社)及びABI373DNA配
列読み取り装置(PE AppliedBiosyst
ems社)を用いて、サンガーの方法 〔F.Sang
er,S.Nicklen,A.R.Coulson
著、Proceedings ofNational
Academy of Science U.S.A.
(1977), 74, 5463−5467〕によ
り、本発明ヒトKKLFプロモーターの塩基配列を決定
した。決定された塩基配列を配列番号20に示す。
【0154】実施例3 (本発明ヒトKKLFプロモー
ター及びルシフェラーゼレポーター遺伝子を含有するプ
ラスミドの構築) 実施例1で精製・単離された、本発明ヒトKKLFプロ
モーターの塩基配列を含む組換えベクター5μgを、S
acI及びNaeI各5Uを用いて70μLの反応液中
で37℃で1時間消化した。一方、pGL3−prom
oter(Promega社) 5μgをSacI及び
SmaI各5Uを用いて70μLの反応液中で37℃で
1時間消化した。両者の消化反応液をそれぞれ別々にア
ガロースゲル電気泳動に供することにより、DNA断片
を回収した。回収されたDNA断片をQIAEXII G
el Extraction Kitを用いて精製し
た。精製されたDNA断片をそれぞれ水20μLに溶解
し、この溶解液各1μLとライゲーションキットve
r.1に含まれるA液16μLとB液2μLとを混合し
た。当該混合物を16℃で1時間のライゲーション反応
に供した。このようにして得られたライゲーション反応
液20μLとE.coliJM109株コンピテントセ
ルとを用いて、E.coliJM109形質転換細胞を
得た。当該形質転換細胞を50μg/mLアンピシリン
含有LB培地100mLで培養して得られた培養菌体か
らQIAGEN Plasmid Maxi kitを
用いて本発明ヒトKKLFプロモーターの下流(3’
側)にルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む組換え発
現ベクター(以下、phKKLFpと記す。)を精製・
単離した。
【0155】実施例4 (本発明ヒトKKLFプロモー
ターが有する転写開始能力の測定) ヒト脂肪細胞(東洋紡社)を24ウエルプレート(住友
ベークライト社)に1ウエル当たり7.5×10細胞
ずつまき込む。この脂肪細胞を、10%ウシ胎児血清
(Gibco−BRL社。以下、FBSと記す。)及
び、200μMアスコルビン酸(和光純薬工業(株)
社)が添加されたD−MEM培地(高グルコース、Gi
bco−BRL社)を用い、37℃、5%二酸化炭素下
で一晩培養する。次いで、phKKLFp 1μgと、
シーパンジールシフェラーゼ遺伝子を含むベクターpR
L−TK(Promega社)0.2μgとを混合し、
これにOPTI−MEM(Gibco−BRL社)97
μL及びフュージーン3μLを添加、混合し、これを2
4ウエルプレート1ウエル当たりのトランスフェクショ
ン用DNA液とする。このトランスフェクション用DN
A液を前記の脂肪細胞に添加し、これをさらにニ晩培養
した。培養された脂肪細胞を回収し、これをD−PBS
で1回洗浄した後、ピッカジーンデュアルキット付属の
5倍濃細胞溶解剤が水で5倍希釈された液を、24ウエ
ルプレートに1ウエル当たり100μLずつ添加する。
これを室温で15分間放置することにより細胞溶解液を
得る。当該細胞溶解液をピペットを用いてエッペンドル
フチューブに移し、遠心分離(10,000rpm、1
分間、室温)することにより上澄み液を得る。得られる
上澄み液のうち20μLを、上記キット付属のホタルル
シフェラーゼ用発光基質液100μLに添加し、30秒
間の発光量をルミノメーター(TURNER社、TD−
20e)で定量した。測定された値をホタルルシフェラ
ーゼ活性測定値(測定値A)とする。次いで、前記の上
澄み液とホタルルシフェラーゼ発光基質液との混合液に
前記キット付属のシーパンジールシフェラーゼ用発光基
質液100μLを添加し、30秒間の発光量をルミノメ
ーターで定量する。測定された値をシーパンジールシフ
ェラーゼ活性測定値(測定値B)とする。上記の測定値
Aを上記の測定値Bで割った値(A/B値)を算出した
後、各脂肪細胞におけるA/B値を対照におけるA/B
値で割って、各脂肪細胞における相対ルシフェラーゼ活
性(相対値)を算出する。尚、ここで「対照」とは、組
換えプラスミドphKKLFp1の代わりにpGL3−
promoterのみを同様な方法によりトランスフェ
クションして得られた対照脂肪細胞を意味する。
【0156】実施例5 (本発明マウスKKLFプロモ
ーターのクローニング) Mouse Genomic DNA(CLONTEC
H社)1μL、配列番号21で示される塩基配列からな
るプライマー20pmol、配列番号22で示される塩
基配列からなるプライマー 20pmol、Ex−ta
q 1μL、Ex−taq添付のバッファー 5μL及
びdNTP 4μLを含む50μLの反応液を調製し、
PCRを行った。当該PCRでは、まず94℃で30秒
間、次いで65℃で30秒間、更に72℃で3分間から
なる保温サイクルが40回繰り返された。PCRにより
増幅されたPCR産物を、アガロースゲル電気泳動する
ことにより、約3kbpの大きさのDNAを回収した。
回収されたDNAをQIAEX II Gel Ext
raction Kitを用いて精製した。精製された
DNAを水20μLに溶解し、そのうち1μLとpT7
−Blueとを混合し当該混合物をライゲーションキッ
トver.1を用いて16℃で1時間のライゲーション
反応に供した。このようにして得られたライゲーション
反応液20μLとE.coliJM109株コンピテン
トセルとを用いて、E.coliJM109形質転換細
胞を得た。当該形質転換細胞を50μg/mLアンピシ
リン含有LB培地100mLで培養して得られた培養菌
体からQIAGEN Plasmid Maxi ki
tを用いて本発明マウスKKLFプロモーターの塩基配
列を含む組換えベクターを精製・単離した。
【0157】実施例6 (本発明マウスKKLFプロモ
ーターの塩基配列の決定) 実施例5で精製・単離された、本発明マウスKKLFプ
ロモーターの塩基配列を含む組換えベクターを鋳型とし
て、Thermo Sequenase IIダイ・タ
ーミネーターキット(Amersham Pharma
cia Biotech社)及びABI373DNA配
列読み取り装置(PE Applied Biosystems社)を用い
て、サンガーの方法〔F.Sanger,S.Nicklen,A.R.Coulson
著、Proceedings of National Academy of Science U.
S.A.(1977), 74, 5463-5467〕により、本発明マウスK
KLFプロモーターの塩基配列を決定した。決定された
塩基配列を配列番号23に示す。
【0158】実施例7 (本発明マウスKKLFプロモ
ーター及びルシフェラーゼレポーター遺伝子を含有する
プラスミドの構築) 実施例5で精製・単離された、本発明マウスKKLFプ
ロモーターの塩基配列を含む組換えベクター5μgを、
EcoRV及びAviII各5Uを用いて70μLの反
応液中で37℃で1時間消化した。一方、pGL3−p
romoter(Promega社) 5μgをSmaIを用
いて70μLの反応液中で37℃で1時間消化した。両
者の消化反応液をそれぞれ別々にアガロースゲル電気泳
動に供することにより、DNA断片を回収した。回収さ
れたDNA断片をQIAEXIIGel Extract
ion Kitを用いて精製した。精製されたDNA断
片をそれぞれ水20μLに溶解し、この溶解液各1μL
とライゲーションキットver.1に含まれるA液16
μLとB液2μLとを混合した。当該混合物を16℃で
1時間のライゲーション反応に供した。このようにして
得られたライゲーション反応液20μLとE.coli
JM109株コンピテントセルとを用いて、E.col
iJM109形質転換細胞を得た。当該形質転換細胞を
50μg/mLアンピシリン含有LB培地100mLで
培養して得られた培養菌体からQIAGEN Plas
mid Maxi kitを用いて配列番号2で示され
る塩基配列における塩基番号1から塩基番号3463ま
での塩基配列からなる本発明マウスKKLFプロモータ
ーの下流(3’側)にルシフェラーゼレポーター遺伝子
を含む組換え発現ベクター(以下、pmKKLFp1と
記す。)を精製・単離した。また、実施例5で精製・単
離された、本発明マウスKKLFプロモーターの塩基配
列を含む組換えベクターがSacI及びAviIIで切
断されることにより得られたDNA断片をpGL3−p
romoterのSacI及びSmaIサイトに導入す
ること以外は上記と同様な方法に準じて、配列番号2で
示される塩基配列における塩基番号1737から塩基番
号3463までの塩基配列からなる本発明マウスKKL
Fプロモーターの下流(3’側)にルシフェラーゼレポ
ーター遺伝子を含む組換え発現ベクター(以下、pmK
KLFp2と記す。)を取得した。さらにまた、実施例
5で精製・単離された、本発明マウスKKLFプロモー
ターの塩基配列を含む組換えベクターがKpnI及びA
viIIで切断されることにより得られたDNA断片を
pGL3−promoterのKpnI及びSmaIサ
イトに導入すること以外は上記と同様な方法に準じて、
配列番号2で示される塩基配列における塩基番号304
0から塩基番号3463までの塩基配列からなる本発明
マウスKKLFプロモーターの下流(3’側)にルシフ
ェラーゼレポーター遺伝子を含む組換え発現ベクター
(以下、pmKKLFp3と記す。)を取得した。
【0159】実施例8 (本発明マウスKKLFプロモ
ーターが有する転写開始能力の測定) 293細胞(宝酒造社)を24ウエルプレート(住友ベー
クライト社)に1ウエル当たり7.5×10細胞ずつ
まき込んだ。この細胞を、10%ウシ胎児血清(Gib
co−BRL社。以下、FCSと記す。)が添加された
D−MEM培地(高グルコース、Gibco−BRL
社)を用い、37℃、5%二酸化炭素下で一晩培養し
た。翌日、D−MEM培地に培地交換を行った。続い
て、pmKKLFp1 0.5μgと、シーパンジール
シフェラーゼ遺伝子を含むベクターpRL−TK 0.
1μgとを混合し、これにOPTI−MEM(Gibc
o−BRL社) 100μL及びリポフェクトアミン
(Gibco−BRL社)4μLを添加、混合した後、
この混合物を30分間室温で放置した。これを24ウエ
ルプレート1ウエル当たりのトランスフェクション用D
NA液とする。このトランスフェクション用DNA液を
前記の細胞に添加し、これをさらに6時間培養した。6
時間後培地を10%FCSを含む新鮮なD−MEM培地
に交換し、更に2日間培養した。2日後、培養された細
胞を回収し、これをD−PBSで1回洗浄した後、デュ
アルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Pr
omega社)付属の細胞溶解剤を、24ウエルプレー
トに1ウエル当たり100μLずつ添加した。これを室
温で15分間放置することにより細胞溶解液を得た。当
該細胞溶解液をピペットを用いてエッペンドルフチュー
ブに移し、遠心分離(10,000rpm、1分間、室
温)することにより上澄み液を得た。得られた上澄み液
を、上記キット付属のホタルルシフェラーゼ用発光基質
液100μLに添加し、1秒間の発光量を1251ルミ
ノメーター(サーモラボシステムズ社)で定量した。測
定された値をホタルルシフェラーゼ活性測定値(測定値
A)とする。次いで、前記の上澄み液とホタルルシフェ
ラーゼ発光基質液との混合液に前記キット付属のシーパ
ンジールシフェラーゼ用発光基質液100μLを添加
し、1秒間の発光量をルミノメーターで定量する。測定
された値をシーパンジールシフェラーゼ活性測定値(測
定値B)とする。上記の測定値Aを上記の測定値Bで割
った値(A/B値)を算出した後、各細胞におけるA/
B値を対照におけるA/B値で割って、各細胞における
相対ルシフェラーゼ活性(相対値)を算出した。尚、こ
こで「対照」とは、組換えプラスミドpmKKLFp1
の代わりにpGL3−promoterを同様な方法に
よりトランスフェクションして得られた対照細胞を意味
する。次いでpmKKLFp2、pmKKLFp3の転
写開始能力も上記と同様な方法により測定した。得られ
た結果を図1に示す。図1から、前記3種類の本発明マ
ウスKKLFプロモーターが転写開始能力を有すること
が確認された。
【0160】実施例9 (マウスKKLFの転写開始点
の決定) (プライマーのラベル化)配列番号24で示されるプラ
イマー 100pmol、[γ−32P]ATP(Am
ersham Pharmacia Biotech
社) 3μL、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造
社) 1μL及び当該酵素付属のバッファー1μLを含
む10μLの反応液を調製した。調製された反応液を3
7℃で10分間保温した後、90℃で2分間加熱した。
続いて、当該反応液に90μLの蒸留水を加えた後、こ
れを10mMトリス塩酸及び1mMEDTAで平衡化さ
れたProbeQuant G−50 Micro C
olumns(Amersham Pharmacia
Biotech社)に供し、遠心分離(室温、1,2
00rpm、1分)することにより、ラベル化プライマ
ーを溶出させた。得られた溶出液の放射活性をシンチレ
ーターで測定した。 (プライマー伸長法)3T3−L1細胞より調製された
tRNA 10μgと上記の方法で得られた30,00
0cpmの放射活性を有するラベル化プライマー溶液を
混合した後、これをエタノール沈殿した。風乾後、得ら
れた沈殿物を30μLのハイブリダイゼーション溶液
(66%脱イオン化ホルムアミド、20mMトリス塩酸
pH8.0、400mMNaCl、0.1%SDS、
1mMEDTA)に溶解した。次いで得られた溶解液を
85℃、10分間加熱した後、55℃で一晩保温した。
翌日、これをエタノール沈殿した後、得られた沈殿物に
蒸留水 8μL及びAMVReverse Trans
criptase(Promega社)添付のバッファ
ー 1μL、AMV Reverse Transcr
iptase 1μLを加えた。この混合液を、42
℃、1時間保温した。当該混合液をフェノール抽出、エ
タノール沈殿した後、得られた沈殿物を6%アクリルア
ミドゲル電気泳動で2時間分析した。同時に、分子量マ
ーカーとしてプライマーのラベル化と同様な方法でラベ
ル化されたφX174/HinfI digest(ニ
ッポンジーン社)も電気泳動した。アクリルアミドゲル
を乾燥した後、これをイメージングプレート(富士フィ
ルム社)に露光し、BAS2000(富士フィルム社)
で画像解析した。解析画像(図2)からマウスKKLF
の転写開始点は配列番号23の塩基番号3338番目で
あることが確認された。
【0161】実施例10 (本発明ヒトKKLFプロモ
ーターのプロモーター活性を制御する物質の選抜) 実施例4に記載される方法を用いて、phKKLFpが
トランスフェクションされた脂肪細胞を96ウエルプレ
ートに1ウエル当たり1×10細胞ずつまき込む。次
いで、被験物質の1μM DMSO溶液をウエルプレー
トに1ウエル当たり0.5μLずつ添加し、これを一晩
培養する。同時に、対照として、被験物質の1μM D
MSO溶液の代わりにDMSO 0.5μLを添加し、
これを同様に培養する。実施例8に記載される方法を用
いてホタルルシフェラーゼ活性測定値(測定値A)とシ
ーパンジールシフェラーゼ活性測定値(測定値B)との
測定を行う。次いで、測定値Aを測定値Bで割った値
(A/B値)を算出した後、各脂肪細胞におけるA/B
値を対照におけるA/B値で割って、各細胞の相対ルシ
フェラーゼ活性(相対値)を算出する。この相対ルシフ
ェラーゼ活性(相対値)が1より大きい場合の被験物質
を、正の転写調節能力を有する物質として選抜する。逆
に、この相対ルシフェラーゼ活性(相対値)が1より小
さい場合の被験物質を、負の転写調節能力を有する物質
として選抜する。
【0162】実施例11 (本発明ヒトKKLFプロモ
ーターに結合する物質の選抜) 実施例3に記載されるphKKLFp 5μgを、Sa
cI及びXhoI各10Uを用いて20μLの反応液中
で37℃で1時間消化する。この消化反応液をアガロー
スゲル電気泳動に供することにより、DNA断片を回収
する。回収されたDNA断片をQIAEXII Gel
Extraction Kitを用いて精製する。精製
されたDNA断片1μg、[α−32P]dCTP(A
mersham Pharmacia Biotech
社) 5μL、非標識ヌクレオチド(dATP,dTT
P,dGTP)(宝酒造社)各1μL、10×klen
owBuffer(宝酒造社) 2μL及びkleno
w酵素(宝酒造社) 1μLを混合する。これを蒸留水
で合計20μLとする混合液を、37℃で1時間放置す
ることにより、標識DNA断片を反応系内に形成させ
る。このように調製された反応液を、反応系内に存在す
る未反応[α−32P]dCTP と標識DNA断片と
を分離するために、10mMトリス塩酸及び1mMED
TA(以後TE溶液と表記する。)で平衡化されたPr
obeQuant G−50 Micro Colum
nsに供した後、遠心分離(室温、1,200rpm、
1分)により、標識DNA断片を溶出させる。得られた
溶出液の放射活性をシンチレーターで測定し、10
pm/μLになるようTE溶液で希釈して標識DNA断
片溶液を調製する。次いで、5×バインディングバッフ
ァー(50mM Hepes−水酸化カリウム(pH
7.8)、250mM 塩化カリウム、5mM EDT
A(pH8.0)、25mM 塩化マグネシウム、50
%グリセロール、25mM ジチオスレイトール、3.
5mM PMSF、10μg/mL Aprotini
n、10μg/mL Pepstatin、10μg/
mL Leupeptin及び5mM sodium
orthovanadateを含有する。)5μL、2
μg/μL polydIdC 1.5μL、10μM
被験物質5μL及び標識DNA断片溶液 2μLを混合
し、これを蒸留水で合計25μLにする。混合液を室温
で30分間放置した後、これをポリアクリルアミドゲル
電気泳動に供する。電気泳動後、ゲルをゲル板よりはが
して、ワットマン3MMろ紙上にて80℃、1時間真空
ポンプにより減圧乾燥した。これをイメージングプレー
トに2時間感光させた後、BAS2000で画像イメー
ジを取得する。被験物質が標識DNA断片と結合し、D
NAと被験物質とからなる複合体が形成された結果、ゲ
ル上での移動度が遊離のDNA断片より小さくなり、画
像イメージ上のバンドのシフトが検出された場合の被験
物質を本発明プロモーターに結合する物質(即ち、結合
物質)として選抜する。
【0163】実施例12 (本発明ヒトKKLFプロモ
ーターに結合する物質の取得方法) (1)本発明ヒトKKLFプロモーターに結合する物質
を精製するためのアフィニティーカラム(結合物質用ア
フィニティーカラム)の作製 実施例3に記載されるphKKLFp 200μgを、
SacI及びXhoI各50Uを用いて200μLの反
応液中で37℃で1時間消化する。この消化反応液をア
ガロースゲル電気泳動に供することにより、約180b
p付近に存在するDNA断片を回収した。回収されたD
NA断片をQIAEXII Gel Extractio
n Kitを用いて精製する。精製されたDNA断片4
4mgと、2mLの臭化シアン活性化セファロース4B
とを混合し、4℃で一晩1,000rpmで撹拌しなが
ら、当該DNA断片をセファロース上に固定する。次い
で、未反応の臭化シアンの活性基を無くすために、前記
混合物に1Mグリシンを含む炭酸水素ナトリウム溶液
(pH9.5) 20mLを添加し、これを4℃で一晩
放置する。このようにして得られたゲルを、10×30
0mmクロマトグラフ管(イワキガラス社)に充填する
ことにより、結合物質用アフィニティーカラムを作製す
る。
【0164】(2)被験物質の調製 ヒトの脂肪細胞を50cmフラスコ(イワキガラス
社)40枚に1フラスコ当たり4.5×10個の細胞
ずつをまき込む。この脂肪細胞を、10%FBSが添加
されたD−MEM培地(高グルコース)を用い、37
℃、5%二酸化炭素下で二晩培養する。培養後、上記フ
ラスコから培地を除去した後、15mLのリン酸緩衝液
でフラスコの器壁を1回洗浄した。洗浄後のフラスコに
トリプシン−EDTA溶液(0.05%トリプシン、
0.53mM EDTAを含む。Gibco社)1mL
〜2mLを細胞が浸るように添加し、37℃で5分放置
する。これに、FBS含有培地を上記のトリプシン−E
DTA溶液の約10倍量添加することにより、細胞懸濁
液を得る。得られる細胞懸濁液を遠心分離(室温、1,
300rpm、5分間)した後、上清を除去する。残っ
た細胞沈殿を15mLのリン酸緩衝液(pH7.5)に
懸濁して得られる懸濁液を遠心分離(室温、1,300
rpm、5分間)した後、上清を除去する。残った細胞
沈殿を氷冷した10mM Hepes−水酸化カリウム
(pH7.8) 、10mM 塩化カリウム及び0.1
mM EDTA (pH8.0)溶液(以下、バッファ
ーAと記す。)10mLに懸濁する。得られる懸濁液を
10分間氷上で冷却した後、遠心分離(4℃、1,30
0rpm、5分間)する。上清を除去した後、残った細
胞沈殿を30mlのバッファーAで懸濁する。得られる
懸濁液をダウンスホモジナイザーペッスルB(Whea
ton社)を用いて氷上で冷却しながら細胞を完全に破
砕する。得られた細胞破砕液を遠心分離(4℃、1,3
00rpm、5分間)した後、上清を除去する。残った
沈殿を50mM Hepes−KOH(pH7.8)
、420mM 塩化カリウム、0.1mM EDTA
(pH8.0) 、5mM 塩化マグネシウム及び2
%グリセロール溶液(以下、バッファーBと記す。)2
mLに懸濁する。得られる懸濁液を、4℃で30分間ロ
ーテーターにて穏やかに回転させた後、遠心分離(4
℃、24,000g、30分間)する。上清を回収し、
回収される上清に蒸留水を加えることにより5倍に希釈
された液を被験物質として調製することが出来る。
【0165】(3)単離・回収の工程 上記の被験物質を、上記(1)で作製される結合物質用
アフィニティーカラムに供する。さらに、当該カラムを
洗浄するために、5倍に希釈されたバッファーB 10
mLを供する。その後、バッファーB中の塩化カリウム
の濃度を1Mまで上昇させるグラジエント溶出を行うこ
とにより、当該カラムから結合物質を溶出させる。溶出
液を回収した後、当該溶出液から結合物質を回収する。
【0166】参考例1 (ラット由来の腹腔内脂肪細胞
培養液の調製) WO-00/44754公報記載の方法で調製されたラット腹腔内
脂肪細胞を6ウエルプレート(住友ベークライト社製)
に1ウエル当たり3.0×105細胞になるように添加した。
各ウェルに、10%ウシ胎児血清(Gibco-BRL社製。以
下、10%FBSと記す。)及び200μMアスコルビン酸(和
光純薬工業社製)が添加されたD-MEM培地(高グルコー
ス、Gibco-BRL社製)(以下、FBS含有培地と記す。)を
添加した後、この状態で当該細胞を37℃、5%二酸化炭
素下で2日間培養した。
【0167】参考例2 (totalRNAの調製) 参考例1で得られた細胞培養液を含む各ウエルから培地
を除いた後、各ウエルにTRIZOL Reagent(Gibco-BRL社
製)を1ウェル当たり0.5mL加えて細胞を溶解した。得ら
れた細胞溶解液を15mL遠心チューブ(IWAKI社製)に集
め、これに0.6mLクロロホルム(関東化学社製)を添加
した。この混合溶液を15秒間上下に激しく攪拌した後、
5分間室温で静置した。次いで、当該混合溶液を4℃、
9,000rpm、10分間遠心分離した後、水層を新しい15mL遠
心チューブに回収した。回収された水層に、3mL 2-プロ
パノール(関東化学社製)を添加した後、この混合溶液
を混和した。その後、室温で10分間静置した。次いで当
該混合溶液を4℃、8,000rpm、10分間遠心分離後、上清
を除去しペレットを得た。得られたペレットを、0.1mL
のDEPC処理滅菌蒸留水(和光純薬工業社製)で溶解し
た。得られた溶解液に、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)
添付の350μL RLT buffer (10μL β−メルカプトエタ
ノール/mL RLT buffer) を添加し、この混合溶液を混和
した。更に、当該混合溶液に250μL エタノール(関東化
学社製)を添加し、これを混和した。当該混和液をRNeas
y Mini Kit添付のRNeasy Spin Columnにアプライし、当
該カラムを室温、10,000rpm、15秒間遠心分離した。遠
心分離後、当該カラムからの溶出液を再度同じRNeasy S
pin Columnにアプライし、当該カラムを室温、10,000rp
m、15秒間遠心分離した。遠心分離後、当該カラムから
の溶出液を捨て、次いで当該カラムにエタノールで4倍
希釈したRNeasy Mini Kit添付のRPE bufferを500μLア
プライし、当該カラムを室温、10,000rpm、15秒間遠心
分離した。遠心分離後、当該カラムからの溶出液を捨
て、再度当該カラムにエタノールで希釈したRPE buffer
を500μLアプライし、当該カラムを室温、14,000rpm、2
分間遠心分離した。その後、カラムを新しいエッペンド
ルフチューブに移してRNeasy Mini Kit添付の蒸留水を5
0μL添加し、これを1分間室温で静置した。静置後、当
該チューブを室温、10,000rpm、1分間遠心分離によって
カラムからRNAを溶出させることにより、total RNA
を得た。
【0168】参考例3 (cDNAの調製) 参考例2で調製されたtotal RNA 10μg、T7-(dT)24プラ
イマー(Amersham社製)100pmolを含む11μLの混合液を、
70℃、10分間加熱後、氷上で冷却した。冷却後、当該混
合液に、SuperScript Choice System for cDNA Synthes
is(Gibco-BRL社製)に含まれる5×First Strand cDNA Bu
ffer 4uL、当該キットに含まれる0.1MDTT 2μL及び当該
キットに含まれる10mM dNTP Mix 1μLを添加し、この混
合液を42℃、2分間加熱した。更に、当該混合液に、当
該キットに含まれるSuper ScriptII RT 2μL(400U)を添
加し、この混合液を42℃、1時間加熱後、氷上で冷却し
た。冷却後、当該混合液にDEPC処理滅菌蒸留水91μL、
当該キットに含まれる5×Second Strand Reaction Buff
er 30μL、10mM dNTP Mix 3μL、当該キットに含まれる
E. coli DNA Ligase 1μL(10U)、当該キットに含まれ
るE. coli DNA Polymerase I 4μL(40U)及び当該キット
に含まれるE. coli RNaseH 1μL(2U)を添加し、この混
合液を16℃、2時間反応させた。次いで、当該混合液に
当該キットに含まれるT4 DNA Polymerase 2μL(10U)を
加え、この混合液を16℃、5分間反応させた後、当該混
合液に0.5M EDTA 10μLを添加した。次いで、この混合
液にフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール溶
液(ニッポンジーン社製)162μLを添加し、混合した。
当該混合液を、予め室温、14,000rpm、30秒間遠心分離
しておいたPhase Lock Gel Light(エッペンドルフ社製)
に移し、これを室温、14,000rpm、2分間遠心分離した。
遠心分離後、145μLの水層をエッペンドルフチューブに
回収した。回収された水層に、7.5M酢酸アンモニウム溶
液72.5μL及びエタノール362.5μLを加え混合した後、
この混合液を4℃、14,000rpm、20分間遠心分離した。遠
心分離後、上清を捨て、DNAペレットを得た。その後、D
NAペレットに80%エタノール0.5mLを添加した。この混合
液を4℃、14,000rpm、5分間遠心分離した後、上清を捨
て、DNAペレットを再び得た。得られたDNAペレット
に再度80%エタノール0.5mLを添加した。この混合液を4
℃、14,000rpm、5分間遠心分離した後、上清を捨て、D
NAペレットを得た。得られたDNAペレットを乾燥さ
せた後、DEPC処理滅菌蒸留水12μLに溶解することによ
り、cDNA溶液を得た。
【0169】参考例4 (ラット由来の本遺伝子のクロ
ーニング) PCRを行なう参考例3で得られたcDNA溶液1μL、配列
番号4で示された塩基配列からなるプライマー1 20pmo
l、配列番号5で示される塩基配列からなるプライマー2
20pmol、TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ(宝酒造社)2U、
TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ添付のバッファー 5μL及び
TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ添付のdNTP mixture(2.5m
M)4μLを含む50μLの反応液を調製した。PCRは、まず9
4℃で30秒間、次いで60℃で30秒間、更に72℃で1分間か
らなる保温サイクルを50回繰り返し、最後に72℃で5分
間保温する条件にて行われた。PCR後、アガロース電
気泳動で約1.2kbpを示すPCR産物を回収した。次いで回
収されたPCR産物をpT7-Blue vector(Novagen社)にサ
ブクローニングした後、当該プラスミドでE.coliJM109
株コンピテントセル(東洋紡社)を形質転換した。形質
転換された細胞を50μg/mLアンピシリン含有LB培地100m
Lで培養することにより得られる培養菌体からQIAGEN Pl
asmid Maxi kit(QIAGEN社)を用いて分離・精製すること
により、ラット由来の本遺伝子(rKKLF)を含むプラス
ミドを得た。
【0170】参考例5 (ラット由来の本遺伝子(rKKL
F)の塩基配列の決定) 参考例4で得られたPCR産物(約1.2kbp)を含むプラス
ミドを鋳型として、Thermo Sequenase IIダイ・ターミ
ネーターキット(Amersham Pharmacia Biotech社)及び
ABI373DNA配列読み取り装置(PE Applied Biosystems
社)を用いて、サンガーの方法〔F.Sanger,S.Nicklen,
A.R.Coulson著、Proceedings of National Academy of
Science U.S.A.(1977), 74, 5463-5467〕により、配列
番号6で示される塩基配列からなるラット由来の本遺伝
子の塩基配列を決定した。
【0171】参考例6 (pSRα-pUCの構築) pcDL-SRα296(Molecular and Cellular Biology (1988)
8.(1).466-472)5μg、pUC118(宝酒造社)をAfl III 5
U、Sca I 5Uを用いて70μLの反応液中で37℃で1時間消
化した。得られた消化物をそれぞれアガロースゲル電気
泳動に供して、pcDL-SRα296の場合には3kbpのバンド
を、pUC118の場合には1kbpのバンドを切り出した。切り
出されたDNAをQIAEXII Gel Extraction Kit(QIAGEN
社)を用いて精製した。精製されたpcDL-SRα296、pUC1
18の消化物をそれぞれ水20μlに溶解した。溶解された
各消化物1μLを混合した後、ライゲーションキットver.
1(宝酒造社)を用いて16℃で1時間ライゲーション反応
した。反応後、当該ライゲーション反応液20μL及びE.c
oliJM109株コンピテントセルを用いた通常の方法によ
り、E.coliJM109形質転換細胞を得た。形質転換された
細胞を50μg/mLアンピシリン含有LB培地100mLで培養す
ることにより得られる培養菌体からQIAGEN Plasmid Max
i kitを用いて分離・精製することにより、pSRα-pUCを
得た。
【0172】参考例7 (ラット由来の本遺伝子の活性
測定) (7−1)哺乳動物発現用ベクター構築 参考例4で得られたラット由来の本遺伝子を含むプラス
ミド5μgをEcoT22I 5Uを用いて70μLの反応液中で37℃
で1時間消化した。一方、pSRα-pUC 5μgをPstI 5Uを
用いて70μLの反応液中で37℃で1時間消化した後、得
られた消化物はBAP10Uを用いて脱リン酸化処理された。
上記の両酵素反応物をそれぞれアガロースゲル電気泳動
に供して、目的とするDNAを切り出した。切り出された
DNAをQIAEXIIGel Extraction Kit(QIAGEN社)を用
いて精製した。精製されたラット由来の本遺伝子断片、
pSRα-pUCの消化物をそれぞれ水20μlに溶解した。ラッ
ト由来の本遺伝子断片1μLとpSRα-pUC消化物の水溶液
1μLとを混合した後、ライゲーションキットver.1(宝
酒造社)を用いて16℃で1時間ライゲーション反応し
た。反応後、当該ライゲーション反応液20μL及びE.col
iJM109株コンピテントセルを用いた通常の方法により、
E.coliJM109形質転換細胞を得た。形質転換された細胞
を50μg/mLアンピシリン含有LB培地100mLで培養するこ
とにより得られる培養菌体からQIAGEN Plasmid Maxi ki
tを用いて分離・精製することにより、ラット由来の本
遺伝子 をSRαプロモーターの制御下に置いたプラスミ
ドrKKLF/pSRαを得た。 (7−2)pGL3-aP2の構築 マウスゲノムライブラリー(CLONTECH社)1μL、配列番号
7で示される塩基配列からなるプライマー3 20pmol、配
列番号8で示される塩基配列からなるプライマー4 20p
mol、TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ(宝酒造社)2U、TaKa
Ra Ex-Taqポリメラーゼ添付のバッファー 5μL及びTaKa
Ra Ex-Taqポリメラーゼ添付のdNTP mixture(2.5mM)4
μLを含む50μLの反応液を調製した。PCRは、まず94℃
で30秒間、次いで50℃で30秒間、更に72℃で1分間から
なる保温サイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間
保温する条件にて行われた。PCR後、アガロース電気
泳動で約0.5kbpを示すPCR産物を回収した。次いで回収
されたPCR産物をKpnI、XhoIで消化した後、消化物を
pBluescriptII SK(-)へサブクローニングした。尚、サ
ブクローニングされたDNAは、その塩基配列を通常の
方法に準じて調べることにより確認された。その後、pG
L3-promoter(Promega社)のKpnI、XhoIにサブクローニン
グした後、当該プラスミドでE.coliJM109株コンピテン
トセル(東洋紡社)を形質転換した。形質転換された細
胞を50μg/mLアンピシリン含有LB培地100mLで培養する
ことにより得られる培養菌体からQIAGEN Plasmid Maxi
kit(QIAGEN社)を用いて分離・精製することにより、マ
ウスaP2遺伝子のプロモーター配列を含むレポータープ
ラスミドpGL3-aP2を得た。 (7−3)aP2プロモーターへの影響測定 WO-00/44754公報記載の方法で調製されたラット腹腔内
脂肪細胞を24ウエルプレート(住友ベークライト社)に
1ウエル当たり7.5×104細胞になるように添加した各ウ
ェルに、FBS及び200μMアスコルビン酸(和光純薬工
業(株)社)が添加されたD-MEM培地(高グルコース、G
ibco-BRL社)を添加した後、この状態で当該細胞を37
℃、5%二酸化炭素下で一晩培養した。次いで、pGL3-aP
2 0.5μgとシーパンジールシフェラーゼ遺伝子を含んだ
ベクターpRL-null(Promega社)0.2μgとrKKLF/pSRα
0.1又は0.5又は1.0μgとを混合した混合物に、D-MEM(G
ibco-BRL社)97μL及びフュージーン(ベーリンガー・マ
ンハイム社)3μLを添加し、これを混合した。当該混合
液を24ウエルプレート1ウエル分のトランスフェクショ
ン用DNA液とした。このDNA液を前記の培養された細胞に
添加した後、さらに当該細胞を2日間培養した。培養
後、当該細胞が有するホタル・ルシフェラーゼ活性及び
シーパンジー・ルシフェラーゼ活性をピッカジーンデュ
アルキットによって測定した。即ち、当該細胞をD-PBS
で1回洗浄後、当該キットに付属する5倍濃細胞溶解剤が
水で5倍希釈された液を24ウエルプレート1ウエル当たり
100μLずつ添加し、これを室温で15分間放置することに
より細胞溶解液を得た。得られた細胞溶解液をピペット
を用いてエッペンドルフチューブに移し、これを遠心分
離(10,000rpm、1分間、室温)することにより上澄み液
を得た。得られた上澄み液のうち20μLをキットに付属
するホタルルシフェラーゼ発光基質液100μLに添加し
た。そして、当該溶液について30秒間の発光量をルミノ
メーター(TURNER社、TD-20e)で定量して得られた値を
ホタルルシフェラーゼ活性測定値(測定値A)とした。
次いで、上澄み液とホタルルシフェラーゼ発光基質液と
の混合液に前記キット付属のシーパンジールシフェラー
ゼ用発光基質液100μLを添加し、当該溶液について30秒
間の発光量をルミノメーターで定量して得られた値を、
シーパンジールシフェラーゼ活性測定値(測定値B)と
した。測定値Aを測定値Bで割った値(A/B値)を算出し
た後、各細胞のA/B値を対照細胞のA/B値で割って、各細
胞の相対ルシフェラーゼ活性(相対値)を算出した。こ
こで対照細胞とは、rKKLF/pSRα(ラット由来の本遺伝
子をSRαプロモーターの制御下に置いたプラスミド)の
代わりにpSRα-pUC(対照:ラット由来の本遺伝子を含
まない、SRαプロモーター含有プラスミド)を同様の方
法で、トランスフェクションした細胞を意味する。その
結果を図3(A)に示す。一方、pGL3-aP2(マウスのaP
2遺伝子のプロモーター配列を含むレポータープラスミ
ド)の代わりに、pGL3-promoter(対照:マウスのaP2遺
伝子のプロモーター配列を含まないレポータープラスミ
ド)をトランスフェクトする以外には上記の試験方法と
同様な方法で試験を実施した結果を図3(B)に示す。
図3から明らかなように、哺乳動物の脂肪細胞内におい
て、本遺伝子が転写され、そして本蛋白質が発現される
ことにより、脂肪細胞分化のマーカーであるaP2を利
用したレポーター遺伝子の発現量が増加しており、これ
は本蛋白質(又は本遺伝子)が脂肪蓄積を促進する能力
(前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化誘導能力)を
有することを示している。
【0173】参考例8 (ヒト由来の本遺伝子のクロー
ニング) Human Adipocyte Marathon-Ready cDNA (CLONTECH社)1
μL、配列番号9で示される塩基配列からなるプライマ
ー5 20pmol、配列番号10で示される塩基配列からなる
プライマー6 20pmol、TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ(宝
酒造社)2U、TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ添付のバッフ
ァー 5μL及びTaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ添付のdNTP m
ixture(2.5mM)4μLを含む50μLの反応液を調製した。
PCRは、まず94℃で30秒間、次いで65℃で30秒間、更に7
2℃で2分間からなる保温サイクルを50回繰り返し、最後
に72℃で5分間保温する条件にて行われた。PCR後、
アガロース電気泳動で約1.2kbpを示すPCR産物を回収し
た。回収されたPCR産物をpT7-Blue vector(Novagen社)
にサブクローニングした後、当該プラスミドでE.coliJM
109株コンピテントセル(東洋紡社)を形質転換した。
形質転換された細胞を50μg/mLアンピシリン含有LB培地
100mLで培養することにより得られる培養菌体からQIAGE
N Plasmid Maxi kit(QIAGEN社)を用いて分離・精製する
ことにより、ヒト由来の本遺伝子(hKKLF)の塩基配列
を含むプラスミドを得た。
【0174】参考例9 (ヒト由来の本遺伝子(hKKL
F)の塩基配列の決定) 参考例8で得られたPCR産物(約1.2kbp)を含むプラス
ミドを鋳型として、Thermo Sequenase IIダイ・ターミ
ネーターキット(Amersham Pharmacia Biotech社)及び
ABI373DNA配列読み取り装置(PE Applied Biosystems
社)を用いて、サンガーの方法〔F.Sanger,S.Nicklen,
A.R.Coulson著、Proceedings of National Academy of
Science U.S.A.(1977), 74, 5463-5467〕により、配列
番号11で示される塩基配列からなるヒト由来の本遺伝
子の塩基配列を決定した。
【0175】参考例10 (ヒト由来の本遺伝子の活性
測定) (10−1)哺乳動物発現用ベクター構築 参考例9で得られたヒト由来の本遺伝子を含むプラスミ
ド5μgをEcoT22I 5Uを用いて70μLの反応液中で37℃で
1時間消化した。一方、pSRα-pUC 5μgをPstI 5Uを用
いて70μLの反応液中で37℃で1時間消化した後、得ら
れた消化物はBAP10Uを用いて脱リン酸化処理された。上
記の両酵素反応物をそれぞれアガロースゲル電気泳動に
供して、目的とするDNAを切り出した。切り出されたD
NAをQIAEXII Gel Extraction Kit(QIAGEN社)を用い
て精製した。精製されたヒト由来の本遺伝子断片、pSR
α-pUCの消化物をそれぞれ水20μlに溶解した。ヒト由
来の本遺伝子断片1μLとpSRα-pUC消化物の水溶液1μL
とを混合した後、ライゲーションキットver.1(宝酒造
社)を用いて16℃で1時間ライゲーション反応した。反
応後、当該ライゲーション反応液20μL及びE.coliJM109
株コンピテントセルを用いた通常の方法により、E.coli
JM109形質転換細胞を得た。当該形質転換された細胞を5
0μg/mLアンピシリン含有LB培地100mLで培養することに
より得られる培養菌体からQIAGEN Plasmid Maxi kitを
用いて分離・精製することにより、ヒト由来の本遺伝子
をSRαプロモーターの制御下に置いたプラスミドhKKLF
/pSRαを得た。 (10−2)aP2プロモーターへの影響測定 WO-00/44754公報記載の方法で調製されたラット腹腔内
脂肪細胞を24ウエルプレート(住友ベークライト社)に
1ウエル当たり7.5×104細胞になるように添加した。各
ウェルに、FBS及び200μMアスコルビン酸(和光純薬
工業(株)社)が添加されたD-MEM培地(高グルコー
ス、Gibco-BRL社)を添加した後、この状態で当該細胞
を37℃、5%二酸化炭素下で一晩培養した。次いで、pGL
3-aP2 0.5μgとシーパンジールシフェラーゼ遺伝子を含
んだベクターpRL-null(Promega社)0.2μgとhKKLF/pSR
α 0.1又は0.5μgとを混合した混合物に、OPTI-MEM(Gi
bco-BRL社)97μLおよびフュージーン(ベーリンガー・
マンハイム社)3μLを添加し、これを混合した。当該混
合液を24ウエルプレート1ウエル分のトランスフェクシ
ョン用DNA液とした。このDNA液を前記の培養された細胞
に添加した後、さらに当該細胞を2日間培養した。培養
後、当該細胞が有するホタル・ルシフェラーゼ活性及び
シーパンジー・ルシフェラーゼ活性をピッカジーンデュ
アルキットによって測定した。即ち、当該細胞をD-PBS
で1回洗浄後、当該キットに付属する5倍濃細胞溶解剤が
水で5倍希釈された液を24ウエルプレート1ウエル当たり
100μLずつ添加し、これを室温で15分間放置することに
より細胞溶解液を得た。得られた細胞溶解液をピペット
を用いてエッペンドルフチューブに移し、これを遠心分
離(10,000rpm、1分間、室温)することにより上澄み液
を得た。得られた上澄み液のうち20μLをキットに付属
するホタルルシフェラーゼ発光基質液100μLに添加し
た。そして当該溶液について30秒間の発光量をルミノメ
ーター(TURNER社、TD-20e)で定量して得られた値をホ
タルルシフェラーゼ活性測定値(測定値A)とした。次
いで、上澄み液とホタルルシフェラーゼ発光基質液との
混合液に前記キット付属のシーパンジールシフェラーゼ
用発光基質液100μLを添加し、当該溶液について30秒間
の発光量をルミノメーターで定量して得られた値を、シ
ーパンジールシフェラーゼ活性測定値(測定値B)とし
た。測定値Aを測定値Bで割った値(A/B値)を算出した
後、各細胞のA/B値を対照細胞のA/B値で割って、各細胞
の相対ルシフェラーゼ活性(相対値)を算出した。ここ
で対照細胞とは、hKKLF/pSRα(ヒト由来の本遺伝子をS
Rαプロモーターの制御下に置いたプラスミド)の代わ
りにpSRα-pUC(対照:ヒト由来の本遺伝子を含まな
い、SRαプロモーター含有プラスミド)を同様の方法
で、トランスフェクションした細胞を意味する。その結
果を図4(A)に示す。また、pGL3-aP2(マウスのaP2
遺伝子のプロモーター配列を含むレポータープラスミ
ド)の代わりにpGL3-promoter(対照:マウスのaP2遺伝
子のプロモーター配列を含まないレポータープラスミ
ド)をトランスフェクトする以外には上記の試験方法と
同様な方法で試験を実施した結果を図4(B)に示す。
図4から明らかなように、哺乳動物の脂肪細胞内におい
て、本遺伝子が転写され、そして本蛋白質が発現される
ことにより、脂肪細胞分化のマーカーであるaP2を利
用したレポーター遺伝子の発現量が増加しており、これ
は本蛋白質(又は本遺伝子)が脂肪蓄積を促進する能力
(前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化誘導能力)を
有することを示している。
【0176】参考例11 (マウス由来の本遺伝子のク
ローニング) Mouse Normal Adipose cDNA (BioChain社)1μL、配列番
号12で示される塩基配列からなるプライマー7 20pmo
l、配列番号13で示される塩基配列からなるプライマ
ー8 20pmol、TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ(宝酒造社)2
U、TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ添付のバッファー 5μL
及びTaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ添付のdNTPmixture(2.
5mM)4μLを含む50μLの反応液を調製した。PCRは、ま
ず94℃で30秒間、次いで65℃で30秒間、更に72℃で2分
間からなる保温サイクルを50回繰り返し、最後に72℃で
5分間保温する条件にて行われた。PCR後、アガロー
ス電気泳動で約1.2kbpを示すPCR産物を回収した。回収
されたPCR産物をpT7-Blue vector(Novagen社)にサブク
ローニングした後、当該プラスミドでE.coliJM109株コ
ンピテントセル(東洋紡社)を形質転換した。形質転換
された細胞を50μg/mLアンピシリン含有LB培地100mLで
培養することにより得られる培養菌体からQIAGENPlasmi
d Maxi kit(QIAGEN社)を用いて分離・精製することによ
り、マウス由来の本遺伝子(mKKLF)の塩基配列を含む
プラスミドを得た。
【0177】参考例12 (マウス由来の本遺伝子の塩
基配列の決定) 参考例11で得られたPCR産物(約1.2kbp)を含むプラ
スミドを鋳型として、Thermo Sequenase IIダイ・ター
ミネーターキット(Amersham Pharmacia Biotech社)及
びABI373DNA配列読み取り装置(PE Applied Biosystems
社)を用いて、サンガーの方法〔F.Sanger,S.Nicklen,
A.R.Coulson著、Proceedings of NationalAcademy of S
cience U.S.A.(1977), 74, 5463-5467〕により、配列番
号14で示される塩基配列からなるマウス由来の本遺伝
子(mKKLF)の塩基配列を決定した。
【0178】参考例13 (マウス由来の本遺伝子の活
性測定) (13−1)哺乳動物発現用ベクター構築 参考例12で得られたマウス由来の本遺伝子を含むプラ
スミド5μgをEcoT22I5Uを用いて70μLの反応液中で37℃
で1時間消化する。一方、pSRα-pUC 5μgをPstI 5Uを
用いて70μLの反応液中で37℃で1時間消化した後、得
られた消化物はBAP 10Uを用いて脱リン酸化処理され
る。上記の両酵素反応物をそれぞれアガロースゲル電気
泳動に供して、目的とするDNAを切り出した。切り出さ
れたDNAをQIAEXII Gel Extraction Kit(QIAGEN社)
を用いて精製する。精製されるマウス由来の本遺伝子断
片、pSRα-pUCの消化物をそれぞれ水20μlに溶解した。
マウス由来の本遺伝子断片1μLとpSRα-pUC消化物の水
溶液1μLとを混合した後、ライゲーションキットver.1
(宝酒造社)を用いて16℃で1時間ライゲーション反応
する。反応後、当該ライゲーション反応液20μL及びE.c
oliJM109株コンピテントセルを用いた通常の方法によ
り、E.coliJM109形質転換細胞を得る。形質転換される
細胞を50μg/mLアンピシリン含有LB培地100mLで培養す
ることにより得られる培養菌体からQIAGEN Plasmid Max
i kitを用いて分離・精製することにより、マウス由来
の本遺伝子 をSRαプロモーターの制御下に置いたプラ
スミドmKKLF/pSRαが得られる。
【0179】(13−2)aP2プロモーターへの影響測
定 WO-00/44754公報記載の方法で調製されたラット腹腔内
脂肪細胞を24ウエルプレート(住友ベークライト社)に
1ウエル当たり7.5×104細胞になるように添加した。各
ウェルに、FBS及び200μMアスコルビン酸(和光純薬
工業(株)社)が添加されたD-MEM培地(高グルコー
ス、Gibco-BRL社)を添加した後、この状態で当該細胞
を37℃、5%二酸化炭素下で一晩培養する。次いで、pGL
3-aP2 0.5μgとシーパンジールシフェラーゼ遺伝子を含
んだベクターpRL-null(Promega社)0.2μgとmKKLF/pSR
α 0.5μgとを混合した混合物に、これにOPTI-MEM(Gib
co-BRL社)97μLおよびフュージーン(ベーリンガー・マ
ンハイム社)3μLを添加し、これを混合した。当該混合
液を24ウエルプレート1ウエル分のトランスフェクショ
ン用DNA液とする。このDNA液を前記の培養された細胞に
添加した後、さらに2日間培養した。培養後、当該細胞
が有するホタル・ルシフェラーゼ活性及びシーパンジー
・ルシフェラーゼ活性をピッカジーンデュアルキットに
よって測定する。即ち、当該細胞をD-PBSで1回洗浄後、
当該キットに付属する5倍濃細胞溶解剤が水で5倍希釈さ
れた液を24ウエルプレート1ウエル当たり100μLずつ添
加し、これを室温で15分間放置することにより細胞溶解
液を得る。得られる細胞溶解液をピペットを用いてエッ
ペンドルフチューブに移し、これを遠心分離(10,000rp
m、1分間、室温)することにより上澄み液が得られる。
得られる上澄み液のうち20μLをキットに付属するホタ
ルルシフェラーゼ発光基質液100μLに添加した。そして
当該溶液について30秒間の発光量をルミノメーター(TU
RNER社、TD-20e)で定量して得られた値をホタルルシフ
ェラーゼ活性測定値(測定値A)とする。次いで、上澄
み液とホタルルシフェラーゼ発光基質液との混合液に前
記キット付属のシーパンジールシフェラーゼ用発光基質
液100μLを添加し、当該溶液について30秒間の発光量を
ルミノメーターで定量して得られた値を、シーパンジー
ルシフェラーゼ活性測定値(測定値B)とする。測定値A
を測定値Bで割った値(A/B値)を算出した後、各細胞の
A/B値を対照細胞のA/B値で割って、各細胞の相対ルシフ
ェラーゼ活性(相対値)を算出する。ここで対照細胞と
は、mKKLF/pSRα(マウス由来の本遺伝子をSRαプロモ
ーターの制御下に置いたプラスミド)の代わりに pSRα
-pUC(対照:マウス由来の本遺伝子を含まない、SRαプ
ロモーター含有プラスミド)を同様の方法で、トランス
フェクションした細胞を意味する。また、pGL3-aP2(マ
ウスのP2遺伝子のプロモーター配列を含むレポータープ
ラスミド)の代わりにpGL3-promoter(対照:マウスのP
2遺伝子のプロモーター配列を含まないレポータープラ
スミド)をトランスフェクトする以外には上記の試験方
法と同様な方法で試験を実施する。この結果から、哺乳
動物の脂肪細胞内において、本遺伝子が転写され、そし
て本蛋白質が発現されることにより、脂肪細胞分化のマ
ーカーであるaP2を利用したレポーター遺伝子の発現
量が増加すれば、これは本蛋白質(又は本遺伝子)が脂
肪蓄積を促進する能力(前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞
への分化誘導能力)を有することを示すことになる。
【0180】参考例14 (被験化合物のルシフェラー
ゼアッセイ) 参考例10に記載された方法を用いて、hKKLF/pSRα及
びpGL3-aP2がトランスフェクションされた細胞を96ウエ
ルプレートに1ウエル当たり1×104細胞になるように添
加する。次いで、被験物質の1μM DMSO溶液0.5μLを添
加した後、この状態で当該細胞を一晩培養する。同時
に、対照細胞として、被験物質の1μM DMSO溶液の代わ
りにDMSO溶液0.5μLを添加すること以外は上記と同様な
方法で細胞を培養する。培養された各細胞について、参
考例10に記載された方法を用いてホタルルシフェラー
ゼ活性(測定値A)とシーパンジールシフェラーゼ活性
(測定値B)の測定を行う。次いで、測定された値に基
づき測定値Aを測定値Bで割った値(A/B値)を算出した
後、各細胞のA/B値を対照細胞のA/B値で割って、各細胞
の相対ルシフェラーゼ活性(相対値)を算出する。この
相対ルシフェラーゼ活性(相対値)が1より大きい場合
の被験物質を、本細胞分化因子依存的脂肪蓄積促進経路
の正の調節因子として選抜することができる。逆に、こ
の相対ルシフェラーゼ活性(相対値)が1より小さい場
合の被験物質を、本細胞分化因子依存的脂肪蓄積促進経
路の正の調節因子として選抜することができる。
【0181】参考例15 (ヒト由来の本遺伝子発現脂
肪細胞を使った化合物のスクリーニング) レトロウイルス感染法(M. Onishi et al. Experimenta
l Hematology 24:324-329 (1996))、電気導入法(A. T
ing et al. EMBO J. 15: 6189-6196)、リン酸カルシウ
ム法(S. Grimm et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 9
3:10923-10927)等の通常の方法でhKKLF/pSRαが発現導
入された3T3-L1細胞(脂肪細胞)を、1〜2×105
胞/mlになるようにFBS含有培地を加えて希釈す
る。当該希釈液を96ウエルプレート(接着細胞培養
用。岩城硝子製)に1ウエル当り100μlずつ分注
し、5%CO2存在下、37℃にて2〜3日間培養す
る。96ウエルプレートの各ウエルから培地を除き、被
験物質1μMを含むDMSO溶液0.5μlが添加され
たFBS含有培地100μlを各ウエルに添加して、5
%CO2存在下、37℃で培養する操作を繰り返し5〜
6日間培養した後、96ウエルプレートの各ウエルから
培地を除き、イソプロピルアルコール60μlを添加す
る。室温で5分間放置後、イソプロピルアルコールで抽
出されたトリグリセライド量(μg/ウエル)をトリグ
リセライド−テストワコー(和光純薬工業(株)製)で
測定する(以下、測定値1と記す。)。一方、供試化合
物無添加区については、被験物質を添加しないこと以外
は同様の操作を行い、得られる細胞内のトリグリセライ
ド量を測定する(以下、測定値2と記す。)。これらの
測定値から、下記の式に従って、供試化合物による脂肪
蓄積率を算出する。 脂肪蓄積率(%)=(測定値1/測定値2)×100 この脂肪蓄積率が100より大きい場合の被験物質を、本
細胞分化因子依存的脂肪蓄積促進経路の正の調節因子と
して選抜することができる。逆に、この脂肪蓄積率が10
0より小さい場合の被験物質を、本細胞分化因子依存的
脂肪蓄積促進経路の負の調節因子として選抜することが
できる。
【0182】参考例16 (脂肪蓄積調節能力を有する
物質の探索方法) 参考例1で得られた腹腔内脂肪細胞培養液中の細胞数を
1.4×105細胞/mlになるようにFBS含有培地
を加えて希釈する。当該希釈液を96ウエルプレート
(接着細胞培養用。岩城硝子社製)に1ウェルあたり1
00μlずつ分注し、5%CO2存在下、37℃にて培
養する。2〜3日後、96ウエルプレートの各ウェルか
ら培地を除き、10μg/mlインシュリン(シグマ社
製)、0.25μMデキサメサゾン[和光純薬工業
(株)]、0.5mM 3−イソブチル−1−メチル−
キサンチン(シグマ社製)および5μM 15−デオキ
シ−Δ12 ,14−プロスタグランジンJ2(Cayman社
製)を含むFBS含有培地100μlを各ウェルに添加
して5%CO2存在下、37℃にて2日間培養する。次
いで、96ウエルプレートの各ウエルから培地を除き、
10μg/mlインシュリンおよび5μM 15−デオ
キシ−Δ12,14−プロスタグランジンJ2を含むFBS含
有培地100μlを各ウェルに添加して5%CO2存在
下、37℃にて2日間培養する。次いで96ウエルプレ
ートの各ウェルの培地を除き、10μg/mlインシュ
リン、5μM 15−デオキシ−Δ12,14−プロスタグ
ランジンJ2、被験物質50μM(被験物質添加区の場
合)もしくは0μM(被験物質無添加区の場合)、およ
び0.5%ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと記
す。)(和光純薬工業製)を含むFBS含有培地100
μlを各ウェルに添加して5%CO2存在下、37℃に
て2日間培養する。被験物質添加区および被験物質無添
加区の細胞から参考例2に記載される方法と同様な方法
によりtotalRNAを調製する。さらに参考例3に記載され
る方法と同様な方法によりcDNAを調製する。調製され
たcDNAを鋳型として、下記の条件にてPCRを行う
ことにより増幅されたDNAを定量する。PCR条件と
しては、cDNA1μL、配列番号16で示される塩基配
列からなるプライマー1 20pmol、配列番号17
で示される塩基配列からなるプライマー2 20pmo
l、SYBR Green PCR Reagents
PCR(ABI社) 25μLを含む50μLの反応液を調
製し、当該反応液およびABI7700(ABI社)を用
いて、50℃2分間、95℃10分間、以後40サイク
ル、95℃15秒、60℃1分間である反応条件を用い
る。rKKLF遺伝子断片の増幅量から、被験物質添加
区の細胞内でのrKKLF遺伝子の発現量(発現量1)
および被験物質無添加区の細胞内でのrKKLF遺伝子
の発現量(発現量2)をモニターする。発現量1の発現
量2に対する比をモニターされた発現量の変化として、
当該比に基づき前記被験物質の脂肪蓄積調節能力を評価
する。例えば、当該比が1より大きい場合には、前記被
験物質が脂肪蓄積促進能力を有すると判断される。一
方、当該比が1より小さい場合には、前記被験物質が脂
肪蓄積抑制能力を有すると判断される。
【0183】参考例17 (形質転換非ヒト動物の作
製:形質転換マウスの作製) (17−1)導入遺伝子断片の調製 参考例11で調製されたマウスKKLF遺伝子を、マウスa
P2プロモーター領域(約5.4kb)を有するプラス
ミド(Shimomura, I. et al., Genes & Developmemt, 1
2, 3182(1998))に挿入することにより、プラスミド
pBlueSK/maP2pro/mKKLF/polyA
を得る。得られたpBlueSK/maP2pro/m
KKLF/polyAをHindIII及びNotIで消化
することにより、マウスaP2プロモーター領域、マウ
ス由来の本遺伝子及びSV40EポリAを含む断片(約
7.1kb)を約5μg取得する(以下、本導入遺伝子
と記す。)。本導入遺伝子を10mMトリス−塩酸(p
H8.5)、1mM EDTA・2Na(pH8.5)
で0.1μg/μlとなるように調製することで本導入
遺伝子調製液を得る。
【0184】(17−2)受精卵の採取 C57BL/6J系の雌性及び雄性のマウス(8週齢以
上)を用い、5単位の妊馬血清性ゴナドトロピンとヒト
繊毛性ゴナドトロピンとの両者の腹腔内投与により過剰
排卵を惹起し、体外受精によって前核期受精卵を得る。
当該受精卵は、卵丘細胞などを除去するために、mWM
培地(5.14g/L NaCl、0.36g/L K
Cl、0.16g/L KH2PO4、0.53g/L
乳酸Ca・5H2O、0.29g/L MgSO4/7H
2O、0.19g/L NaHCO3、37mg/L E
DTA/2Na、1g/L グルコース、3.7ml/
L 乳酸Na、35mg/L ピルビン酸Na、3g/
L ウシ血清アルブミン、80mg/L ペニシリン、
50mg/L ストレプトマイシン、5mg/Lフェノ
ールレッド)で洗浄する。
【0185】(17−3)受精卵への本導入遺伝子の注
入 マイクロインジェクションシステムは、マイクロマニピ
ュレーター装置(ライカ製)とホフマン倒立型顕微鏡
(ツァイス製)から構成される。前項(17−1)に記
載される本導入遺伝子調製液を約500〜約1000コ
ピー/μlに調製し、13,000rpm×3分間遠心
分離することにより得られた上清を導入本遺伝子溶液と
する。マイクロマニピュレーターのインジェクションチ
ャンバー内で、前項(17−2)に記載される受精卵を
支持ピペットで固定し、注入用ピペットに入れた前記の
本導入遺伝子調製液を雄性前核に約2μl注入する。注
入後、mWM培地で5%CO2存在下、37℃で12〜
16時間培養する。2細胞期に発生した胚を仮親の卵管
に移植する。
【0186】(17−4)受精卵の仮親への移植 前項(17−3)に記載される胚を、予め、移植用に準
備した同系の偽妊娠状態の雌性マウスの左右の卵管に1
匹あたり20〜25個注入する。
【0187】(17−5)形質転換マウスの選抜 受精卵を移植した雌マウスから、約3週間後に仔を得
る。仔が6週齢程度になったら尾の一部を切り取って染
色体DNAを抽出し、抽出されたDNA中に本導入遺伝
子由来の断片が存在するかについてPCR法により調べ
る。染色体DNAは通常の方法(例えば、Sambrook J.,
Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニ
ング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コール
ド スプリング ハーバー ラボラトリー発行(Cold S
pring Harbor Laboratory press)等に記載されている
方法)により抽出する。得られた染色体DNA5ngを
鋳型として、配列番号15と配列番号5に示される塩基
配列からなるDNA各10pmolをプライマーとし
て、ExTaqポリメラーゼ2.5ユニット(宝酒造
製)を用いて、94℃で2分間、58℃で2分間、72
℃で2分間の保温を1サイクルとしてこれを1サイク
ル、次に94℃で1分間、58℃で1分間、72℃で1
分間の保温を1サイクルとしてこれを55サイクル、最
後に72℃で5分間保温の条件でPCR反応を行う。当
該反応により得られるPCR反応産物をアガロースゲル
電気泳動に供する。目的断片が確認された個体を、染色
体中に本導入遺伝子が挿入された形質転換マウス(以
下、本形質転換マウスと記す。)であると判断する。
【0188】(17−6)本導入遺伝子コピー数の解析 次に、本形質転換マウスにおける本導入遺伝子のコピー
数について、通常のサザンブロッティング法(例えば、
Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュ
ラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd editi
on)、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー発
行(Cold Spring Harbor Laboratorypress)等に記載さ
れている方法)により調べる。前項(17−1)で得ら
れたプラスミドpBlueSK/maP2pro/mK
KLF/polyAを BamHIで消化する。得られ
る約0.7Kbの断片を市販の放射能標識キット(Ra
ndom Prime Labeling Kit、ベ
ーリンガーマンハイム製)を用いて添付のプロトコール
に従って32P標識し、検出プローブとして使用する(以
下、本検出プローブと記す。)。本検出プローブは10
0℃で10分加熱した後に急冷して使用する。前項(1
7−5)に記載される方法に従って抽出した染色体DN
AをEcoRI、BamHI、HindIIIなどの制
限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動する。電気泳
動後のゲルを1.5M NaCl、0.15M クエン
酸三ナトリウムを含む溶液(以下、10×SSCと記
す。)で洗浄した後、市販のナイロンメンブランHyb
ond−N(アマシャムファルマシア製)にキャピラリ
ー法でブロッティングする。当該メンブランをポリエチ
レン袋に入れ、変性サケ精子DNAを100μg/ml
となるように添加したDIG EASY Hyb溶液
(ベーリンガーマンハイム製)を加えて、50℃で2時
間保温する。袋内の溶液を除去し、新たに、変性サケ精
子DNAを100μg/mlとなるように添加したDI
G EASY Hyb溶液2〜3mlを注入する。さら
に、本検出プローブ1ml以下を添加し、50℃で約1
5時間保温する。保温後、メンブランを取り出して、
0.1%ラウリル硫酸ナトリウム(以下、SDSと記
す。)を含む、10×SSCを5倍に希釈した溶液中で
室温下15分間保温する。メンブランを取り出し、新た
な10×SSCを5倍に希釈した溶液中で保温する操作
をさらに1〜2回繰り返す。さらに、0.1%SDSを
含む、10×SSCを100倍に希釈した溶液中で、5
0〜68℃、30分間保温する。メンブランを取り出
し、余分な水分を除去した後、イメージングプレート
(BAS3−2040。富士フィルム製)を露光させ
る。露光後のイメージングプレートをイメージアナライ
ザー(フジフィルム製)で分析し、メンブラン上のシグ
ナルを検出する。本導入遺伝子を導入しないマウス(以
下、本野生型マウスと記す。)の染色体DNAを用いる
こと以外は前記と同様にサザンブロッティング法を行
い、メンブレン上のシグナルを検出する。本形質転換マ
ウスと本野生型マウスのシグナルを比較し、本形質転換
マウスにのみ検出されるシグナルの強度から、本遺伝子
の導入コピー数の多少を評価する。
【0189】参考例18 (形質転換非ヒト動物を用い
た本探索方法(I)及び当該動物を用いた脂肪蓄積制御
方法) 参考例17に記載される方法により構築された形質転換
マウス(雄性)10匹を1群とする。これに、被験物質
のポリエチレングリコール溶液を、被験物質純分で10
〜30mg/kg−体重/日になるように、4週間経口
投与する。4週間後に屠殺して腸間膜脂肪組織の重量を
測定する。得られた測定値を体重100gあたりに補正
し、この補正値を各個体の腸間膜脂肪組織の重量とし、
各群の平均値を算出する(以下、測定値3と記す。)。
尚、被験物質無添加区では、ポリエチレングリコールの
みを経口投与する以外は前記と同様な試験を行なうこと
により、腸間膜脂肪組織の重量を測定し、得られた測定
値に基づき被験物質無添加区の、体重100gあたりの
腸間膜脂肪組織重量の平均値を算出する(以下、測定値
4と記す。)。これらの測定値から下記の式に従って、
被験物質による脂肪蓄積制御率を算出する。 脂肪蓄積制御率(%)={(測定値4−測定値3)/測
定値4}×100 この場合において、統計上有効な正の値であれば、当該
被験物質を脂肪蓄積促進活性を低下させる物質として探
索することができる。
【0190】参考例19 肥満動物への本遺伝子アンチ
センス核酸の投与 肥満動物への本遺伝子アンチセンス核酸の投与はアデノ
ウイルスにより行うことができる。アデノウイルスの作
製はAdenovirus Expression Kit(宝酒造社)により
行う。 (19−1) コスミドベクターへの本遺伝子アンチセ
ンス核酸の挿入 参考例11で調製されたマウスKKLF遺伝子のアンチセン
ス鎖をコスミドベクターpAxCAwt(宝酒造社)のSwaI部
位に挿入し、pAxCAwt-mKKLFASを得る。得られたpAxCAw
t-mKKLFASをλパッケージングキットGigapackXL(Stra
tagene社)を用いてインビトロパッケージングを行い大
腸菌DH5αに感染させる。感染させた大腸菌を、50ml 5
0μg/mlアンピシリン含有LB培地で培養し、Lambda DNA
purification Kit(東洋紡社)によりコスミドDNAを大
量調製する。 (19−2) 組換えアデノウイルスの作製 293細胞(宝酒造社)を10%FCS添加D-MEM培地(宝酒造
社)で37℃、5%二酸化炭素下で培養する。(19−1)
で調製されたpAxCAwt-mKKLFAS 8μgと制限酵素処理
済みDNA-TPC(宝酒造)5μlとを混合し、当該混合物を
用いてリン酸カルシウム法にて293細胞にコトランスフ
ェクションを行う。当該細胞をそのまま18時間培養後、
培地を10%FCS添加D-MEM培地(宝酒造社)と交換し、さ
らに12時間培養する。培養終了後、後細胞をディッシュ
から剥がすことにより、回収された細胞懸濁液と293細
胞を混ぜてさらに10%FCS添加D-MEM培地(宝酒造社)に
て培養をつづけ、293細胞が完全に死滅した時点で培養
液をドライアイスにて急凍する。凍結融解6回後、5000r
pm 5分間遠心することにより得られた上清を1次組換え
アデノウイルス液(AxCAwt-mKKLFAS)として保存す
る。 (19−3) 組換えアデノウイルスの確認および力価
測定 293細胞(宝酒造社)に(19−2)で調製された1次組
換えウイルス液を10μl加え、これに5%FCS添加D-MEM
培地(宝酒造社)を加えた後、当該混合物を37℃、5%二
酸化炭素下で1時間培養する。さらに当該混合物に5%FCS
添加D-MEM培地(宝酒造社)を加えた後、これを37℃、5
%二酸化炭素下で培養する。3日間培養後、ウィルス感染
させた293細胞(宝酒造社)の培養液を回収し、これを
ドライアイスにて急凍する。凍結融解6回後、5000rpm
5分間遠心することにより得られた上清を2次組換えア
デノウイルス液として保存する。一方、前記操作により
同時に得られた沈殿(細胞)も回収し、ドライアイスに
て急凍する。回収された細胞に10xTNE(500mM トリス
ー塩酸(pH=7.5)、1M NaCl、100mM EDTA)40μl及び
proteinaseK(20mg/ml)4μl、滅菌蒸留水356μlを加え、
当該混合液をVoltexでよく懸濁した。得られた懸濁物
に、10%SDS 4μlを加え、これを50℃で1時間保温す
る。その後、フェノール/クロロホルム/イソアミルア
ルコール(ニッポンジーン社)処理後、エタノール沈殿
を行い、得られたDNAペレットを風乾させた後、20μ
g/ml RNaseA(ニッポンジーン社)を含む滅菌蒸留水50
μlに溶解することにより、組換えアデノウイルスDNA溶
液を得る。得られた組換えアデノウイルスDNA溶液をXho
I 5U(宝酒造社)にて切断し、目的の断片(0.48Kbp)を
確認する。続いてこの組換えアデノウイルスDNAを前記
操作を繰り返すことにより継代培養する。このようにし
てし、高力価組換えウィルスを作製する。力価の測定は
既存の方法(特開平7-298877)により測定する。 (19−4) 肥満動物へのアンチセンス核酸の投与 肥満動物である10週齢の雄性のKKAyマウス(日本ク
レア)に対して、アデノウイルス投与量1x109(1群10
匹)の割合になるように、(19−3)により作製され
た組換えアデノウィルスを生理食塩水で希釈することに
より調製された水溶剤を、マウス1匹当たり0.2mlずつシ
リンジを用いて尾静脈より投与する。投与4週間後に被
験肥満動物であるKKAyマウスを屠殺して腸間膜脂肪組
織の重量を測定する。得られた測定値を体重100gあ
たりに補正し、この補正値を各個体の腸間膜脂肪組織の
重量とし、各群の平均値を算出する(以下、測定値5と
記す。)。尚、対照群として、前記組換えアデノウィル
ス(AxCAwt-mKKLFAS)の代わりにコントロールウィルス
(AxCAwt)を投与した群についても同様に腸間膜脂肪組
織の重量を測定し、得られた測定値に基づき対照群につ
いても前記同様な腸間膜脂肪組織重量の平均値を算出す
る(以下、測定値6と記す。)。これらの測定値から下
記の式に従って、KKLFアンチセンス核酸の投与による脂
肪蓄積制御率を算出する。 脂肪蓄積制御率(%)={(測定値6−測定値5)/測
定値6}×100 当該脂肪蓄積制御率が統計学上有効である正の値である
ことを確認することにより当該供試アンチセンス核酸が
脂肪蓄積抑制効果を有することがわかる。
【0191】参考例20 (ラット由来の本遺伝子を含
有するレトロウイルスベクターの作製) (20−1) ラット由来の本遺伝子(rKKLF)を
含有するpWZLblastの構築) 参考例4で得られたラット由来の本遺伝子(rKKL
F)を含むプラスミド5μgをEcoT22I 5Uを
用いて70μLの反応液中で37℃で1時間消化した。
一方、pcDNA3.1Zeo(+)(インビトロジェ
ン社) 5μgをPstI 5Uを用いて70μLの反
応液中で37℃で1時間消化した後、得られた消化物は
BAP 10Uを用いて脱リン酸化処理された。上記の
両酵素反応物をそれぞれアガロースゲル電気泳動に供し
て、目的とするDNAを切り出した。切り出されたDN
AをQIAEXII Gel Extraction
Kit(QIAGEN社)を用いて精製した。精製され
たDNA、即ちラット由来の本遺伝子(rKKLF)の
DNA断片及びpcDNA3.1Zeo(+)消化物を
それぞれ水20μlに溶解した。ラット由来の本遺伝子
(rKKLF)のDNA断片の水溶液1μLとpcDN
A3.1Zeo(+)消化物の水溶液1μLとを混合し
た後、これをライゲーションキットver.1(宝酒造
社)を用いて16℃で1時間ライゲーション反応した。
反応後、当該ライゲーション反応液20μL及びE.c
oliJM109株コンピテントセルを用いた通常の方
法により、E.coliJM109形質転換細胞を得
た。得られたE.coliJM109形質転換細胞を5
0μg/mLアンピシリン含有LB培地100mLで培
養することにより得られる培養菌体からQIAGEN
Plasmid Maxikitを用いて分離・精製す
ることにより、pcDNA3.1Z(+)−rKKLF
を得た。続いて、pcDNA3.1Z(+)−rKKL
F5μgをPmeI 5Uを用いて70μLの反応液中
で37℃で1時間消化した。一方、pWZLblast
5μgをSnaBI 5Uを用いて70μLの反応液中
で37℃で1時間消化した後、得られた消化物はBAP
10Uを用いて脱リン酸化処理された。上記の両酵素
反応物をそれぞれアガロースゲル電気泳動に供して、目
的とするDNAを切り出した。切り出されたDNAをQ
IAEXII Gel Extraction Kit
(QIAGEN社)を用いて精製した。精製されたDN
A、即ちラット由来の本遺伝子(rKKLF)のDNA
断片及びpWZLblast消化物をそれぞれ水20μ
lに溶解した。ラット由来の本遺伝子(rKKLF)の
DNA断片の水溶液1μLとpWZLblast消化物
の水溶液1μLとを混合した後、これをライゲーション
キットver.1(宝酒造社)を用いて16℃で1時間
ライゲーション反応した。反応後、当該ライゲーション
反応液20μL及びE.coliJM109株コンピテ
ントセルを用いた通常の方法により、E.coliJM
109形質転換細胞を得た。得られたE.coliJM
109形質転換細胞を50μg/mLアンピシリン含有
LB培地100mLで培養することにより得られる培養
菌体からQIAGEN Plasmid Maxi k
itを用いて分離・精製することにより、pWZLbl
ast−rKKLFを得た。 (20−2) ラット由来の本遺伝子のレトロウイルス
溶液の作製 293細胞(宝酒造)をFalcon3002培養皿
(ファルコン社)に一皿あたり2.0×106細胞ずつ
播種した。10%(W/V)ウシ胎児血清(Gibco
−BRL製、以下、FCSと記すこともある。)が添加
されたD−MEM培地(高グルコース、Gibco−B
RL製)を用い、37℃で5%(V/V)二酸化炭素存
在下一晩培養した。次いで、FuGENE6(ベーリン
ガーマンハイム社)6μLとD−MEM培地100μL
とを混合し、これを5分間放置した。5分間後、当該混合
物に上記(20−1)で得られたpWZLblast−
rKKLF 3μgを混合し、これを15分間放置し
た。15分間後、当該混合物をFalcon3002培
養皿1枚分のトランスフェクション用DNA液として、
当該DNA液を前記293細胞に添加し、さらに2晩培
養した後、上清を回収した。回収された上清を0.45
μmフィルターを用いて濾過することにより、ラット由
来の本遺伝子(rKKLF)のレトロウイルス溶液を得
た。 (20−3) ラット由来の本遺伝子のレトロウイルス
による感染 2.0×106細胞のNIH−3T3細胞(大日本製薬
社)細胞をFalcon3002培養皿(ファルコン
社)で、上記(20−2)で得られたラット由来の本遺
伝子(rKKLF)のレトロウイルス溶液1mLと8μ
g/mLのポリブレン(シグマ社)と10%FCSとを
含むD−MEM培地中で37℃、12時間培養した。1
2時間後に培地を除き、5mlのリン酸緩衝液で上記培
養皿を1回洗浄した後、当該培養皿にトリプシン−エチ
レンジアミン四酢酸四ナトリウム(以下、EDTA・4
Naと記す。)溶液(0.05%トリプシン、0.53
mMEDTA・4Naを含む。GIBCO製)1mlを
細胞が浸るように添加し、これを37℃で5分間放置し
た。5分間後、これに、10%FCS含有D−MEM培
地を9mL添加することにより、細胞懸濁液を得た。得
られた細胞懸濁液1mLをFalcon3002培養皿
に播種し、10μg/mLのブラスチシジンS塩酸塩
(フナコシ社)と10%FCSとを含有するD−MEM
培地中で培養することにより、ラット由来の本遺伝子
(rKKLF)が導入されたNIH−3T3細胞の選抜
を開始した。2日毎に培地交換しながら1週間培養を継
続し、生存した細胞をラット由来の本遺伝子(rKKL
F)が導入されたNIH−3T3細胞とした。
【0192】参考例21 ラット由来の本遺伝子の活性
測定(その2) ラット由来の本遺伝子(rKKLF)が導入されたNI
H−3T3細胞を2×105細胞/mlとし、これを2
4穴プレート(岩城硝子社)に1ウエルあたり500μ
lずつ分注した。5%CO2存在下、37℃で1日間培
養した後、24穴プレートの各ウェルから培地を除き、
10μg/mlインシュリン(シグマ社)、0.25μ
Mデキサメサゾン[和光純薬工業(株)]、0.5mM
3−イソブチル−1−メチル−キサンチン(シグマ
社)及び0.1μM ピオグリタゾン[和光純薬工業
(株)]を含む10%FCS含有D−MEM培地500
μlを各ウェルに添加して5%CO2存在下、37℃で
培地交換を2日おきに行いながら6日間培養した。6日
間後、24穴プレートの各ウェルから培地を除き、10
%FCS含有D−MEM培地を各ウェルに添加して更に
4日間培養した。4日間後、オイルレッド O[Suda
n II、和光純薬工業(株)]を用いて細胞内の脂肪
を染色した。即ち、まず、上記のように培養された細胞
培養液の入った各ウェルに直接、0.075%オイルレ
ッド O染色液/60%リン酸トリエチル溶液30μl
を添加した。室温で30分間放置後、オイルレッド O
染色液を含む培地を除き、20%リン酸トリエチル水溶
液100μlを各ウェルに添加した。添加後に20%リ
ン酸トリエチル水溶液を各ウェルから除き、新たに同水
溶液100μlを各ウェルに添加した。また対照として
NIH−3T3細胞についても上記と同様な方法により
培養した後、細胞内の脂肪を染色した。両細胞の染色後
の写真を図5に示した。図5から明らかなように、ラッ
ト由来の本遺伝子(rKKLF)が導入されたNIH−
3T3細胞では明らかに前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞
へと分化しており、これは本遺伝子が脂肪蓄積を促進す
る能力を有することを示している。
【0193】参考例22 ラット由来の本遺伝子(又は
本蛋白質)によるPPARγ遺伝子の発現誘導の確認試
験 (22−1) NIH−3T3細胞、及び、ラット由来
の本遺伝子(rKKLF)が導入されたNIH−3T3
細胞からのRNA調製 参考例21記載の方法で、6穴プレート(岩城硝子社)
を用いて培養された、ラット由来の本遺伝子(rKKL
F)が導入されたNIH−3T3細胞の細胞培養液から
培地を除き、TRIZOL Reagent(Gibc
o−BRL社製)を各ウェルに1ウェル当たり0.5m
Lずつ添加して、細胞を溶解した。得られた細胞溶解液
(6穴プレート1枚分)を15mL遠心チューブ(IW
AKI社製)に集め、これに0.6mLのクロロホルム
(関東化学社製)を添加し、当該混合物を15秒間上下
に激しく攪拌した後、5分間室温で静置した。次いで、
当該混合物を遠心分離(4℃、9,000rpm、10
分間)した後、水層を新しい15mL遠心チューブに回
収した。回収された水層に、3mLの2−プロパノール
(関東化学社製)を添加し、これを転倒混和した後、室
温で10分間静置した。当該混合物を遠心分離(4℃、
8,000rpm、10分間)した後、上清を除去して
ペレットを得た。得られたペレットを、0.1mLのD
EPC処理滅菌蒸留水(和光純薬工業社製)で溶解し
た。溶解後、これにRNeasy Mini Kit
(QIAGEN社製)添付の350uL RLT bu
ffer (10μL β−メルカプトエタノール/m
L RLT buffer)を添加し、当該混合物を混
和した。更に、当該混合物に250μLのエタノール
(関東化学社製)を添加し、これを混和した。当該混和
物をRNeasyMini Kit添付のRNeasy
Spin Columnに供し、これを遠心分離(室
温、10,000rpm、15秒間)した。遠心分離
後、得られた溶出液を再度同じRNeasy Spin
Columnに供し、遠心分離(室温、10,000
rpm、15秒間)した。遠心分離後、得られた溶出液
を捨てた。次いで前記のカラムに、エタノールで4倍希
釈されたRNeasy Mini Kit添付のRPE
buffer500μLを供し、これを遠心分離(室
温、10,000rpm、15秒間)した。遠心分離
後、得られた溶出液を捨てた。次いで当該カラムに、エ
タノールで4倍希釈されたRPE buffer500
μLを供し、遠心分離(室温、14,000rpm、2
分間)した。このようにして得られたカラムを新しいエ
ッペンドルフチューブに移してRNeasyMini
Kit添付の蒸留水50μLを添加し、これを1分間室
温で静置した。静置後、当該カラムから遠心分離(室
温、10,000rpm、1分間)によりRNAを溶出
させ、これを回収することによりRNAを得た。また対
照としてNIH−3T3細胞についても、上記と同様な
方法により、RNAを得た。 (22−2) RNAを鋳型としたcDNA調製 (22−1)で得られたRNA5μg及びAMV Re
verse Transcriptase 1st s
trand cDNA SynthesisKit(L
IFE SCIENCES社)付属のpd(T)12−
18 0.5μLを含む17μLの水溶液を70℃、1
0分間加熱した後、氷上で5分間冷却した。次いで、こ
れに上記キット付属の5×reaction buff
er5μL、上記キット付属の0.25M DTT溶液
1μL、上記キット付属のRNasin 1μL及び
上記キット付属のAMV−RT 1μLを添加した後、
得られた混合物を41℃で45分間加熱することにより
cDNA合成を行い、cDNA含有溶液を得た。 (22−3) 定量的RT−PCR NIH−3T3細胞及びラット由来の本遺伝子(rKK
LF)が導入されたNIH−3T3細胞における、マウ
ス由来のPPARγ遺伝子を有するmRNAの発現量を
以下の方法で定量した。上記(22−2)で得られたc
DNA含有溶液が200倍希釈された液(cDNA希釈
液) 1μL、SYBR Green Master
Mix 25μL、配列番号25で示される塩基配列か
らなるプライマー 20pmol及び配列番号26で示
される塩基配列からなるプライマー 20pmolから
なる50μLの反応液(反応液A)を調製した。次に、
内部標準としてマウス36B4遺伝子(mRNA)の発
現量を測定するために、上記のcDNA希釈液 1μ
L、SYBR Green Master Mix 2
5μL、配列番号27で示される塩基配列からなるプラ
イマー 20pmol及び配列番号28で示される塩基
配列からなるプライマー 20pmolからなる50μ
Lの反応液(反応液B)を調製した。PCRは、ABI
7700(PE systems)を用いて実施され
た。まず各反応液を50℃で2分間、次いで95℃で1
0分間保温した。その後、95℃で15秒間、60℃で
1分間の保温サイクルを40回繰り返した。当該PCR
により増幅されたPCR産物を定量することにより、各
細胞における、マウス由来のPPARγ遺伝子を有する
mRNAの発現量を測定した。反応液Aを用いた場合に
おける発現量を測定値A、反応液Bを用いた場合におけ
る発現量を測定値Bとした。次に、内部標準による補正
を行った。マウス36B4遺伝子(mRNA)の発現量
は各細胞においてほぼ一定であることが知られている。
そこで、測定値Aを測定値Bで割った値(A/B値)を
算出することにより、各細胞におけるマウス由来のPP
ARγ遺伝子を有するmRNAの補正発現量を得た。そ
の結果を図6に示した。図中の縦軸は、ラット由来の本
遺伝子(rKKLF)が導入されたNIH−3T3細胞
における発現量を、NIH−3T3細胞における発現量
を1とする場合での相対値である。得られた相対値はマ
ウス由来の本遺伝子(rKKLF)(又は本蛋白質)が
脂肪細胞分化のマスターレギュレーターであるPPAR
γ遺伝子を発現誘導する能力を有することを示してい
る。
【0194】
【発明の効果】本発明により、配列番号1、2又は3で
示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコー
ドする遺伝子の転写を制御する能力を有するDNA等が
提供となり、当該DNA等は、脂肪蓄積促進又は抑制
剤、脂肪蓄積促進又は抑制方法、前駆脂肪細胞から成熟
脂肪細胞への分化誘導又は抑制方法、脂肪蓄積調節能力
を有する物質の探索方法等の研究・開発に極めて有用で
ある。 [配列表フリーテキスト] 配列番号4 PCRのために設計されたプライマー 配列番号5 PCRのために設計されたプライマー 配列番号7 PCRのために設計されたプライマー 配列番号8 PCRのために設計されたプライマー 配列番号9 PCRのために設計されたプライマー 配列番号10 PCRのために設計されたプライマー 配列番号12 PCRのために設計されたプライマー 配列番号13 PCRのために設計されたプライマー 配列番号15 PCRのために設計されたプライマー 配列番号16 PCRのために設計されたプライマー 配列番号17 PCRのために設計されたプライマー 配列番号18 PCRのために設計されたプライマー 配列番号19 PCRのために設計されたプライマー 配列番号21 PCRのために設計されたプライマー 配列番号22 PCRのために設計されたプライマー 配列番号24 PCRのために設計されたプライマー 配列番号25 PCRのために設計されたプライマー 配列番号26 PCRのために設計されたプライマー 配列番号27 PCRのために設計されたプライマー 配列番号28 PCRのために設計されたプライマー
【0195】
【配列表】 <110> SUMITOMO CHEMICAL COMPANY, LIMITED <120> A fat promotion agent comprising a polynucleotide encoding cell differentiation promotion factor KKLF <130> P154645 <150> JP 2001-288719 <151> 2001-09-21 <160> 28 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 416 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Met Val Asp His Leu Leu Pro Val Asp Glu Asn Phe Ser Ser Pro Lys 1 5 10 15 Cys Pro Val Gly Tyr Leu Gly Asp Arg Leu Val Gly Arg Arg Ala Tyr 20 25 30 His Met Leu Pro Ser Pro Val Ser Glu Asp Asp Ser Asp Ala Ser Ser 35 40 45 Pro Cys Ser Cys Ser Ser Pro Asp Ser Gln Ala Leu Cys Ser Cys Tyr 50 55 60 Gly Gly Gly Leu Gly Thr Glu Ser Gln Asp Ser Ile Leu Asp Phe Leu 65 70 75 80 Leu Ser Gln Ala Thr Leu Gly Ser Gly Gly Gly Ser Gly Ser Ser Ile 85 90 95 Gly Ala Ser Ser Gly Pro Val Ala Trp Gly Pro Trp Arg Arg Ala Ala 100 105 110 Ala Pro Val Lys Gly Glu His Phe Cys Leu Pro Glu Phe Pro Leu Gly 115 120 125 Asp Pro Asp Asp Val Pro Arg Pro Phe Gln Pro Thr Leu Glu Glu Ile 130 135 140 Glu Glu Phe Leu Glu Glu Asn Met Glu Pro Gly Val Lys Glu Val Pro 145 150 155 160 Glu Gly Asn Ser Lys Asp Leu Asp Ala Cys Ser Gln Leu Ser Ala Gly 165 170 175 Pro His Lys Ser His Leu His Pro Gly Ser Ser Gly Arg Glu Arg Cys 180 185 190 Ser Pro Pro Pro Gly Gly Ala Ser Ala Gly Gly Ala Gln Gly Pro Gly 195 200 205 Gly Gly Pro Thr Pro Asp Gly Pro Ile Pro Val Leu Leu Gln Ile Gln 210 215 220 Pro Val Pro Val Lys Gln Glu Ser Gly Thr Gly Pro Ala Ser Pro Gly 225 230 235 240 Gln Ala Pro Glu Asn Val Lys Val Ala Gln Leu Leu Val Asn Ile Gln 245 250 255 Gly Gln Thr Phe Ala Leu Val Pro Gln Val Val Pro Ser Ser Asn Leu 260 265 270 Asn Leu Pro Ser Lys Phe Val Arg Ile Ala Pro Val Pro Ile Ala Ala 275 280 285 Lys Pro Val Gly Ser Gly Pro Leu Gly Pro Gly Pro Ala Gly Leu Leu 290 295 300 Met Gly Gln Lys Phe Pro Lys Asn Pro Ala Ala Glu Leu Ile Lys Met 305 310 315 320 His Lys Cys Thr Phe Pro Gly Cys Ser Lys Met Tyr Thr Lys Ser Ser 325 330 335 His Leu Lys Ala His Leu Arg Arg His Thr Gly Glu Lys Pro Phe Ala 340 345 350 Cys Thr Trp Pro Gly Cys Gly Trp Arg Phe Ser Arg Ser Asp Glu Leu 355 360 365 Ser Arg His Arg Arg Ser His Ser Gly Val Lys Pro Tyr Gln Cys Pro 370 375 380 Val Cys Glu Lys Lys Phe Ala Arg Ser Asp His Leu Ser Lys His Ile 385 390 395 400 Lys Val His Arg Phe Pro Arg Ser Ser Arg Ser Val Arg Ser Val Asn 405 410 415 <210> 2 <211> 415 <212> PRT <213> Mus musculus <400> 2 Met Val Asp His Leu Leu Pro Val Asp Glu Thr Phe Ser Ser Pro Lys 1 5 10 15 Cys Ser Val Gly Tyr Leu Gly Asp Arg Leu Ala Ser Arg Gln Pro Tyr 20 25 30 His Met Leu Pro Ser Pro Ile Ser Glu Asp Asp Ser Asp Val Ser Ser 35 40 45 Pro Cys Ser Cys Ala Ser Pro Asp Ser Gln Ala Phe Cys Ser Cys Tyr 50 55 60 Ser Ala Gly Pro Gly Pro Glu Ala Gln Gly Ser Ile Leu Asp Phe Leu 65 70 75 80 Leu Ser Arg Ala Thr Leu Gly Ser Gly Gly Gly Ser Gly Gly Ile Gly 85 90 95 Asp Ser Ser Gly Pro Val Thr Trp Gly Ser Trp Arg Arg Ala Ser Val 100 105 110 Pro Val Lys Glu Glu His Phe Cys Phe Pro Glu Phe Leu Ser Gly Asp 115 120 125 Thr Asp Asp Val Ser Arg Pro Phe Gln Pro Thr Leu Glu Glu Ile Glu 130 135 140 Glu Phe Leu Glu Glu Asn Met Glu Ala Glu Val Lys Glu Ala Pro Glu 145 150 155 160 Asn Gly Ser Arg Asp Leu Glu Thr Cys Ser Gln Leu Ser Ala Gly Ser 165 170 175 His Arg Ser His Leu His Pro Glu Ser Ala Gly Arg Glu Arg Cys Thr 180 185 190 Pro Pro Pro Gly Gly Thr Ser Gly Gly Gly Ala Gln Ser Ala Gly Glu 195 200 205 Gly Pro Ala His Asp Gly Pro Val Pro Val Leu Leu Gln Ile Gln Pro 210 215 220 Val Ala Val Lys Gln Glu Ala Gly Thr Gly Pro Ala Ser Pro Gly Gln 225 230 235 240 Ala Pro Glu Ser Val Lys Val Ala Gln Leu Leu Val Asn Ile Gln Gly 245 250 255 Gln Thr Phe Ala Leu Leu Pro Gln Val Val Pro Ser Ser Asn Leu Asn 260 265 270 Leu Pro Ser Lys Phe Val Arg Ile Ala Pro Val Pro Ile Ala Ala Lys 275 280 285 Pro Ile Gly Ser Gly Ser Leu Gly Pro Gly Pro Ala Gly Leu Leu Val 290 295 300 Gly Gln Lys Phe Pro Lys Asn Pro Ala Ala Glu Leu Leu Lys Met His 305 310 315 320 Lys Cys Thr Phe Pro Gly Cys Ser Lys Met Tyr Thr Lys Ser Ser His 325 330 335 Leu Lys Ala His Leu Arg Arg His Thr Gly Glu Lys Pro Phe Ala Cys 340 345 350 Thr Trp Pro Gly Cys Gly Trp Arg Phe Ser Arg Ser Asp Glu Leu Ser 355 360 365 Arg His Arg Arg Ser His Ser Gly Val Lys Pro Tyr Gln Cys Pro Val 370 375 380 Cys Glu Lys Lys Phe Ala Arg Ser Asp His Leu Ser Lys His Ile Lys 385 390 395 400 Val His Arg Phe Pro Arg Ser Ser Arg Ala Val Arg Ala Ile Asn 405 410 415 <210> 3 <211> 415 <212> PRT <213> Rat norvegicus <400> 3 Met Val Asp His Leu Leu Pro Val Asp Glu Thr Phe Ser Ser Pro Lys 1 5 10 15 Cys Pro Val Gly Tyr Leu Gly Asp Arg Leu Ala Ser Arg Gln Pro Tyr 20 25 30 His Met Leu Pro Ser Pro Ile Ser Glu Asp Asp Ser Asp Val Ser Ser 35 40 45 Pro Cys Ser Cys Ala Ser Pro Asp Ser Gln Ala Phe Cys Ser Cys Tyr 50 55 60 Ser Ala Gly Pro Gly Pro Glu Ala Gln Gly Ser Ile Leu Asp Phe Leu 65 70 75 80 Leu Ser Arg Ala Thr Leu Gly Ser Gly Gly Ala Ser Gly Gly Val Gly 85 90 95 Asp Gly Ser Gly Pro Val Thr Trp Gly Ser Trp Arg Arg Ala Ser Val 100 105 110 Pro Val Lys Glu Glu His Leu Cys Phe Pro Glu Phe Leu Ser Gly Asp 115 120 125 Pro Asp Asp Val Ser Arg Pro Phe Gln Pro Thr Leu Glu Glu Ile Glu 130 135 140 Glu Phe Leu Glu Glu Asn Met Glu Ala Glu Val Lys Glu Ala Pro Glu 145 150 155 160 Ser Ser Ser Arg Glu Leu Glu Ala Cys Ser Gln Leu Ser Ala Gly Ser 165 170 175 His Arg Ser His Leu His Pro Glu Ser Gly Gly Arg Glu Cys Arg Ile 180 185 190 Pro Pro Pro Gly Gly Thr Ser Gly Gly Gly Thr Gln Gly Ala Gly Glu 195 200 205 Gly Ser Ala His Asp Gly Pro Met Pro Val Leu Leu Gln Ile Gln Pro 210 215 220 Val Ala Val Lys Gln Glu Ala Gly Ala Gly Pro Ala Ser Pro Gly Gln 225 230 235 240 Ala Pro Glu Ser Val Lys Val Ala Gln Leu Leu Val Asn Ile Gln Gly 245 250 255 Gln Thr Phe Ala Leu Leu Pro Gln Val Val Pro Ser Ser Asn Leu Asn 260 265 270 Leu Ser Ser Lys Phe Val Arg Ile Ala Pro Val Pro Ile Ala Ala Lys 275 280 285 Pro Ile Gly Ser Gly Ser Leu Gly Pro Gly Pro Ala Gly Leu Leu Val 290 295 300 Gly Gln Lys Phe Pro Lys Asn Pro Ala Ala Glu Leu Leu Lys Met His 305 310 315 320 Lys Cys Thr Phe Pro Gly Cys Ser Lys Met Tyr Thr Lys Ser Ser His 325 330 335 Leu Lys Ala His Leu Arg Arg His Thr Gly Glu Lys Pro Phe Ala Cys 340 345 350 Thr Trp Pro Gly Cys Gly Trp Arg Phe Ser Arg Ser Asp Glu Leu Ser 355 360 365 Arg His Arg Arg Ser His Ser Gly Val Lys Pro Tyr Gln Cys Pro Val 370 375 380 Cys Glu Lys Lys Phe Ala Arg Ser Asp His Leu Ser Lys His Ile Lys 385 390 395 400 Val His Arg Phe Pro Arg Ser Ser Arg Ala Val Arg Ala Ile Asn 405 410 415 <210> 4 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 4 ccaatgcatc atggtggacc acttgcttcc 30 <210> 5 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 5 ggcatgcatt gcgctcagtt gatggcgcgt 30 <210> 6 <211> 1272 <212> DNA <213> Rat norvegicus <220> <221> CDS <222> (11)..(1258) <400> 6 ccaatgcatc atg gtg gac cac ttg ctt cca gtg gac gag acc ttc tcg 49 Met Val Asp His Leu Leu Pro Val Asp Glu Thr Phe Ser 1 5 10 tca ccg aaa tgc cca gtg gga tac ctg gga gat agg ctg gcc agc cgg 97 Ser Pro Lys Cys Pro Val Gly Tyr Leu Gly Asp Arg Leu Ala Ser Arg 15 20 25 cag cca tac cac atg ttg ccc tcg ccc atc tcc gag gat gac agc gat 145 Gln Pro Tyr His Met Leu Pro Ser Pro Ile Ser Glu Asp Asp Ser Asp 30 35 40 45 gtc tcc agc ccc tgc tct tgt gcc agc cct gac tcg caa gcc ttc tgt 193 Val Ser Ser Pro Cys Ser Cys Ala Ser Pro Asp Ser Gln Ala Phe Cys 50 55 60 tcc tgc tac agt gca ggt ccg ggc cct gag gcc cag ggc agc atc ttg 241 Ser Cys Tyr Ser Ala Gly Pro Gly Pro Glu Ala Gln Gly Ser Ile Leu 65 70 75 gat ttc ctc cta tcc cgg gcc aca ctg ggc agt ggt ggt gcc agt gga 289 Asp Phe Leu Leu Ser Arg Ala Thr Leu Gly Ser Gly Gly Ala Ser Gly 80 85 90 ggt gtc gga gat ggc agt ggc cct gtg acc tgg gga tcg tgg agg aga 337 Gly Val Gly Asp Gly Ser Gly Pro Val Thr Trp Gly Ser Trp Arg Arg 95 100 105 gcc tct gtg cct gtg aag gag gaa cat ctt tgc ttc cct gaa ttt ctg 385 Ala Ser Val Pro Val Lys Glu Glu His Leu Cys Phe Pro Glu Phe Leu 110 115 120 125 tca ggg gac cct gat gat gtc tcc agg ccc ttc cag cct acc ctg gag 433 Ser Gly Asp Pro Asp Asp Val Ser Arg Pro Phe Gln Pro Thr Leu Glu 130 135 140 gag att gaa gaa ttc ttg gaa gag aac atg gag gct gag gtc aag gag 481 Glu Ile Glu Glu Phe Leu Glu Glu Asn Met Glu Ala Glu Val Lys Glu 145 150 155 gcc cca gag agc agc agc agg gaa ctg gaa gcc tgt agc cag ctc tca 529 Ala Pro Glu Ser Ser Ser Arg Glu Leu Glu Ala Cys Ser Gln Leu Ser 160 165 170 gct ggg tca cac cgg agc cac ctc cat cca gag tcc ggt ggg aga gag 577 Ala Gly Ser His Arg Ser His Leu His Pro Glu Ser Gly Gly Arg Glu 175 180 185 tgc cgt atc cca cca cca ggt ggc acc agt ggg ggt ggt acc caa ggt 625 Cys Arg Ile Pro Pro Pro Gly Gly Thr Ser Gly Gly Gly Thr Gln Gly 190 195 200 205 gca ggt gag ggg tca gct cat gat ggc ccc atg ccg gtg cta ctg cag 673 Ala Gly Glu Gly Ser Ala His Asp Gly Pro Met Pro Val Leu Leu Gln 210 215 220 atc cag cct gtt gct gtg aag cag gaa gca ggt gca ggg cca gcc tcc 721 Ile Gln Pro Val Ala Val Lys Gln Glu Ala Gly Ala Gly Pro Ala Ser 225 230 235 cca ggg cag gcc ccg gag agc gtc aag gtc gcc cag ctt ctg gtc aac 769 Pro Gly Gln Ala Pro Glu Ser Val Lys Val Ala Gln Leu Leu Val Asn 240 245 250 atc cag ggg cag acc ttt gca ctc ctg cct caa gtg gta cca tcc tcc 817 Ile Gln Gly Gln Thr Phe Ala Leu Leu Pro Gln Val Val Pro Ser Ser 255 260 265 aac ttg aac ctg tcc tca aag ttt gtg cga att gcg cct gtg ccc att 865 Asn Leu Asn Leu Ser Ser Lys Phe Val Arg Ile Ala Pro Val Pro Ile 270 275 280 285 gcc gcc aaa cct att ggc tca gga tcc cta ggg ccc ggc cct gct ggt 913 Ala Ala Lys Pro Ile Gly Ser Gly Ser Leu Gly Pro Gly Pro Ala Gly 290 295 300 ctc ctt gtg ggc cag aag ttc ccc aag aac cca gca gca gaa ctt ctc 961 Leu Leu Val Gly Gln Lys Phe Pro Lys Asn Pro Ala Ala Glu Leu Leu 305 310 315 aaa atg cac aaa tgc act ttc cca ggc tgc agc aag atg tac acc aag 1009 Lys Met His Lys Cys Thr Phe Pro Gly Cys Ser Lys Met Tyr Thr Lys 320 325 330 agc agc cac ctc aag gcc cac ctg cgc cgg cac aca ggc gag aag ccc 1057 Ser Ser His Leu Lys Ala His Leu Arg Arg His Thr Gly Glu Lys Pro 335 340 345 ttt gcc tgc acc tgg ccg ggc tgc ggc tgg agg ttt tca cgc tca gat 1105 Phe Ala Cys Thr Trp Pro Gly Cys Gly Trp Arg Phe Ser Arg Ser Asp 350 355 360 365 gag ttg tca cgg cac cga cga tct cac tcg ggt gtg aag ccg tac cag 1153 Glu Leu Ser Arg His Arg Arg Ser His Ser Gly Val Lys Pro Tyr Gln 370 375 380 tgt ccc gta tgc gag aag aaa ttc gcg cgg agt gac cac ctc tcc aaa 1201 Cys Pro Val Cys Glu Lys Lys Phe Ala Arg Ser Asp His Leu Ser Lys 385 390 395 cac atc aag gtg cat cgc ttc cca cga agc agc cgc gca gta cgc gcc 1249 His Ile Lys Val His Arg Phe Pro Arg Ser Ser Arg Ala Val Arg Ala 400 405 410 atc aac tga gcgcaatgca tgcc 1272 Ile Asn 415 <210> 7 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 7 caaggtacca gcaggaatca ggtagc 26 <210> 8 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 8 actctcgaga aggaagaacc agggg 25 <210> 9 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 9 atgcatggtg gaccacttac ttcca 25 <210> 10 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> 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Gly Ser Ser 80 85 90 95 att ggg gcc agc agt ggc ccc gtg gcc tgg ggg ccc tgg cga agg gca 337 Ile Gly Ala Ser Ser Gly Pro Val Ala Trp Gly Pro Trp Arg Arg Ala 100 105 110 gcg gcc cct gtg aag ggg gag cat ttc tgc ttg ccc gag ttt cct ttg 385 Ala Ala Pro Val Lys Gly Glu His Phe Cys Leu Pro Glu Phe Pro Leu 115 120 125 ggt gat cct gat gac gtc cca cgg ccc ttc cag cct acc ctg gag gag 433 Gly Asp Pro Asp Asp Val Pro Arg Pro Phe Gln Pro Thr Leu Glu Glu 130 135 140 att gaa gag ttt ctg gag gag aac atg gag cct gga gtc aag gag gtc 481 Ile Glu Glu Phe Leu Glu Glu Asn Met Glu Pro Gly Val Lys Glu Val 145 150 155 cct gag ggc aac agc aag gac ttg gat gcc tgc agc cag ctc tca gct 529 Pro Glu Gly Asn Ser Lys Asp Leu Asp Ala Cys Ser Gln Leu Ser Ala 160 165 170 175 ggg cca cac aag agc cac ctc cat cct ggg tcc agc ggg aga gag cgc 577 Gly Pro His Lys Ser His Leu His Pro Gly Ser Ser Gly Arg Glu Arg 180 185 190 tgt tcc cct cca cca ggt ggt gcc agt gca gga ggt gcc cag ggc cca 625 Cys Ser Pro Pro Pro Gly Gly Ala Ser Ala Gly Gly Ala Gln Gly Pro 195 200 205 ggt ggg ggc ccc acg cct gat ggc ccc atc cca gtg ttg ctg cag atc 673 Gly Gly Gly Pro Thr Pro Asp Gly Pro Ile Pro Val Leu Leu Gln Ile 210 215 220 cag ccc gtg cct gtg aag cag gaa tcg ggc aca ggg cct gcc tcc cct 721 Gln Pro Val Pro Val Lys Gln Glu Ser Gly Thr Gly Pro Ala Ser Pro 225 230 235 ggg caa gcc cca gag aat gtc aag gtt gcc cag ctc ctg gtc aac atc 769 Gly Gln Ala Pro Glu Asn Val Lys Val Ala Gln Leu Leu Val Asn Ile 240 245 250 255 cag ggg cag acc ttc gca ctc gtg ccc cag gtg gta ccc tcc tcc aac 817 Gln Gly Gln Thr Phe Ala Leu Val Pro Gln Val Val Pro Ser Ser Asn 260 265 270 ttg aac ctg ccc tcc aag ttt gtg cgc att gcc cct gtg ccc att gcc 865 Leu Asn Leu Pro Ser Lys Phe Val Arg Ile Ala Pro Val Pro Ile Ala 275 280 285 gcc aag cct gtt gga tcg gga ccc ctg ggg cct ggc cct gcc ggt ctc 913 Ala Lys Pro Val Gly Ser Gly Pro Leu Gly Pro Gly Pro Ala Gly Leu 290 295 300 ctc atg ggc cag aag ttc ccc aag aac cca gcc gca gaa ctc atc aaa 961 Leu Met Gly Gln Lys Phe Pro Lys Asn Pro Ala Ala Glu Leu Ile Lys 305 310 315 atg cac aaa tgt act ttc cct ggc tgc agc aag atg tac acc aaa agc 1009 Met His Lys Cys Thr Phe Pro Gly Cys Ser Lys Met Tyr Thr Lys Ser 320 325 330 335 agc cac ctc aag gcc cac ctg cgc cgg cac acg ggt gag aag ccc ttc 1057 Ser His Leu Lys Ala His Leu Arg Arg His Thr Gly Glu Lys Pro Phe 340 345 350 gcc tgc acc tgg cca ggc tgc ggc tgg agg ttc tcg cgc tct gac gag 1105 Ala Cys Thr Trp Pro Gly Cys Gly Trp Arg Phe Ser Arg Ser Asp Glu 355 360 365 ctg tcg cgg cac agg cgc tcg cat tca ggt gtg aag ccg tac cag tgt 1153 Leu Ser Arg His Arg Arg Ser His Ser Gly Val Lys Pro Tyr Gln Cys 370 375 380 cct gtg tgc gag aag aag ttc gcg cgg agc gac cac ctt tcc aag cac 1201 Pro Val Cys Glu Lys Lys Phe Ala Arg Ser Asp His Leu Ser Lys His 385 390 395 atc aag gtg cac cgc ttc ccg cgg agc agc cgc tcc gtg cgt tcc gtg 1249 Ile Lys Val His Arg Phe Pro Arg Ser Ser Arg Ser Val Arg Ser Val 400 405 410 415 aac tga tgcat 1260 Asn <210> 12 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 12 ggagtccagt caccacaggc tcgg 24 <210> 13 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 13 ctgggtacgg ctggctatgg ct 22 <210> 14 <211> 1837 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <221> CDS <222> (35)..(1282) <400> 14 ggagtccagt caccacaggc tcggccaggc cagc atg gtg gac cac ctg ctt cca 55 Met Val Asp His Leu Leu Pro 1 5 gtg gac gag acc ttc tcg tca ccg aaa tgc tca gtg ggt tac cta ggg 103 Val Asp Glu Thr Phe Ser Ser Pro Lys Cys Ser Val Gly Tyr Leu Gly 10 15 20 gac agg ctg gcc agc cgg cag cca tac cac atg ttg ccc tcg ccc atc 151 Asp Arg Leu Ala Ser Arg Gln Pro Tyr His Met Leu Pro Ser Pro Ile 25 30 35 tcg gag gat gac agc gat gtc tcc agc ccc tgc tct tgt gcc agc cct 199 Ser Glu Asp Asp Ser Asp Val Ser Ser Pro Cys Ser Cys Ala Ser Pro 40 45 50 55 gac tcg caa gcc ttc tgt tcc tgc tac agt gcg ggt cca ggc cct gag 247 Asp Ser Gln Ala Phe Cys Ser Cys Tyr Ser Ala Gly Pro Gly Pro Glu 60 65 70 gcc cag ggc agc atc ttg gat ttc ctc ctg tcc cgg gcc aca ctg ggc 295 Ala Gln Gly Ser Ile Leu Asp Phe Leu Leu Ser Arg Ala Thr Leu Gly 75 80 85 agt ggt ggt ggc agt gga ggt att gga gat agc agt ggc cct gtg acc 343 Ser Gly Gly Gly Ser Gly Gly Ile Gly Asp Ser Ser Gly Pro Val Thr 90 95 100 tgg gga tca tgg agg aga gcc tct gtg cct gtg aag gag gaa cat ttc 391 Trp Gly Ser Trp Arg Arg Ala Ser Val Pro Val Lys Glu Glu His Phe 105 110 115 tgc ttc cct gaa ttt ctg tca ggg gac act gat gac gtc tcc agg ccc 439 Cys Phe Pro Glu Phe Leu Ser Gly Asp Thr Asp Asp Val Ser Arg Pro 120 125 130 135 ttc cag cct acc ctg gag gag att gaa gaa ttc ctg gaa gag aac atg 487 Phe Gln Pro Thr Leu Glu Glu Ile Glu Glu Phe Leu Glu Glu Asn Met 140 145 150 gag gct gag gtc aag gag gcc cca gag aac ggt agc agg gac ctg gag 535 Glu Ala Glu Val Lys Glu Ala Pro Glu Asn Gly Ser Arg Asp Leu Glu 155 160 165 acc tgt agc cag ctc tca gct ggg tca cac cgg agc cac ctt cat cca 583 Thr Cys Ser Gln Leu Ser Ala Gly Ser His Arg Ser His Leu His Pro 170 175 180 gag tct gct ggg aga gag cgc tgt acc cca cca cca ggt ggc acg agt 631 Glu Ser Ala Gly Arg Glu Arg Cys Thr Pro Pro Pro Gly Gly Thr Ser 185 190 195 ggg ggt ggt gcc caa agt gca ggt gag ggg cca gca cat gat ggc ccc 679 Gly Gly Gly Ala Gln Ser Ala Gly Glu Gly Pro Ala His Asp Gly Pro 200 205 210 215 gtg ccg gtg cta ctg cag atc cag cct gtt gct gtg aag cag gag gca 727 Val Pro Val Leu Leu Gln Ile Gln Pro Val Ala Val Lys Gln Glu Ala 220 225 230 ggt aca ggg cca gcc tcc cca ggg cag gcc cca gag agc gtc aag gtc 775 Gly Thr Gly Pro Ala Ser Pro Gly Gln Ala Pro Glu Ser Val Lys Val 235 240 245 gcc cag ctt cta gtc aac atc cag ggg cag acc ttt gca ctc ctg cct 823 Ala Gln Leu Leu Val Asn Ile Gln Gly Gln Thr Phe Ala Leu Leu Pro 250 255 260 caa gtg gta cca tcc tcc aac ttg aac ctg ccc tca aag ttt gtg cga 871 Gln Val Val Pro Ser Ser Asn Leu Asn Leu Pro Ser Lys Phe Val Arg 265 270 275 att gcg cct gtg ccc att gcc gcc aaa cct att ggc tca gga tcc cta 919 Ile Ala Pro Val Pro Ile Ala Ala Lys Pro Ile Gly Ser Gly Ser Leu 280 285 290 295 ggg ccc ggc cct gct ggc ctc ctt gtg ggc cag aag ttt ccc aag aac 967 Gly Pro Gly Pro Ala Gly Leu Leu Val Gly Gln Lys Phe Pro Lys Asn 300 305 310 cca gca gca gaa ctt ctc aaa atg cac aaa tgc act ttc cca ggc tgc 1015 Pro Ala Ala Glu Leu Leu Lys Met His Lys Cys Thr Phe Pro Gly Cys 315 320 325 agc aag atg tac acc aag agc agc cac ctc aag gcc cac ctg cgt cgg 1063 Ser Lys Met Tyr Thr Lys Ser Ser His Leu Lys Ala His Leu Arg Arg 330 335 340 cac aca ggc gag aag ccc ttt gcc tgc acc tgg cca ggc tgc ggc tgg 1111 His Thr Gly Glu Lys Pro Phe Ala Cys Thr Trp Pro Gly Cys Gly Trp 345 350 355 agg ttt tcc cgc tca gat gag ttg tca agg cac cgg cga tct cac tcg 1159 Arg Phe Ser Arg Ser Asp Glu Leu Ser Arg His Arg Arg Ser His Ser 360 365 370 375 ggt gtg aag ccg tac cag tgt ccc gtg tgc gag aag aaa ttc gcg cgg 1207 Gly Val Lys Pro Tyr Gln Cys Pro Val Cys Glu Lys Lys Phe Ala Arg 380 385 390 agt gac cac ctc tcc aaa cac atc aaa gtg cat cgc ttc cca cga agc 1255 Ser Asp His Leu Ser Lys His Ile Lys Val His Arg Phe Pro Arg Ser 395 400 405 agc cgc gca gta cgc gcc atc aac tga gcgcagtggc cgcccttccc 1302 Ser Arg Ala Val Arg Ala Ile Asn 410 415 tcccccagct ccacgttttg tttttaaatg caataactta ttgcctcttt tcagaaggat 1362 gtgacaatat taccagcccc ctcccccttc tgaatcttag gaggtatgac ccagagccac 1422 catggctgcc tttctgggga agacctagag tccctatggt ccctgggggc tggttccccg 1482 gtggcccagg tggcccaggc aggcctgtgc ccttgtgcct ttgtgccttc ctgccagctg 1542 gaagcagtgt ttgggggccc ttgccctctt cccactgggc tccctacctg ggccaaagtc 1602 aacatcattg ctggggaaga agtgttttgg ctgtgtcaaa atagtagctc ccagaggaag 1662 caagccatgc tgggaaaaag gaagtgggtc aaaaaagcgt agggctgcac tgtgatgtga 1722 ggaccgccat atgcaagagg cctttgaggg tccaggagga tggccaccct cgctctaggc 1782 cgtaatgcat gtgcttaaat gcaagacaaa tggagccata gccagccgta cccag 1837 <210> 15 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 15 ctccacaatg aggcaaatcc at 22 <210> 16 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 16 ctcaccctcc tccagacgcc aacct 25 <210> 17 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 17 tctaagtcag actgggaggc gctag 25 <210> 18 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 18 ccctctgacc ccagcaccac actgatgtgt cc 32 <210> 19 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 19 acctccttgc ttcccacctc tcg 23 <210> 20 <211> 3195 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 20 ccctctgacc ccagcaccac actgatgtgt ccatggacca ggggaagctg gagctctcat 60 cccacctcag cccctgctgc ttctggatcc tccgggcagg ggtatacctg gggctttgcc 120 aatgctcaga gccaggggca gaggctctca gggcagaggc tctcaggact cagcccttct 180 ctgtgtcttc ttggaccacc aggtccccag gtccctgggc tgatgttcct caaagctagg 240 tgtgctcagg gctggggggc tgggggtggg gacaacactg gtcatgagag aggagtgggc 300 cctcatctga gtcgcctggt gtcagaacag acctgacctc ttgtctacac agcaccaggg 360 gtctgcttgg tggggaaacg gtccagccca gcctgaggaa cctcctgcag catgtttttc 420 ctggcccctg ggcaccagca gcccttctgc ctgcctattc cctagcctcc agctcaaaac 480 cacttcctga gcccagaatg ggtaggatct cttcagcacc ccagccctta gaggaagagg 540 tggtgagaag gtaagggact ctggccagag acccttgaag catggctggg gacaggggag 600 ctgagagtag ggggaattgt tgcttcccac ctgggaaggg tgaggagaag tcagtcactg 660 tgggaggtca cagggcttga tggccacagt gggccctttg tgcacagacc attgagccac 720 tgaatggggc cctcaaaatg cttcctggaa gagggcaggc tgggctcaga cccccgggca 780 ggcatgagct agtggggagg ctggaagtct caggtatgtg tgtggaacag gggatgagga 840 caagattggt ggctacagta ctgtggaaga gagcaccaga ccttgaagag cttctccaaa 900 gatcccatat ccattggcag ctttactggg gcaagaagaa aatctcattt cctcaacatg 960 tttcagaagt gttctaggtt ctggggatac agcagtgaat aaaaaaatac aagtccatgc 1020 tcttaaggag cttgtctcct gataggagag acaggcaaga aacaaatcaa taaataatat 1080 aaagatcagg atcatgaagc aaaataaaca gaggccagga aactgagggc agcagatgtg 1140 ctgttttaga cgggatgggt gaggaaggtg tctgggataa ggtggcatct gagcagagac 1200 ctgagtatgc gatggagcaa tccatgcagc tgtttagggg gaaacaagag acaatagaag 1260 aacgtttccc tgaacgaaga aagacttgag tttccagatt aaaaggatac accaagcata 1320 gagtagtaac aatgaaaaca gaaggaggct agagtcagac atatcctggt aaaatgtgtg 1380 aaattcaagc atggagaaag atcactccaa aaaggcacca ggcccaaatg gttttatagg 1440 caaggtcata caatatttaa ccaatataat ttatatcctt ccaaggccct tttctatact 1500 tgattatgta gaagtaggga aggaattgct ttggaagaaa agaaacttag agattttcac 1560 tgctatgaag ataaatcttt actgtctttg gtcatctgtt ttgaagagca ccacctgact 1620 ttgttctctc ctttctgcca aggaatctca atgatagatt ctccccacta tattgaggga 1680 gcttttctcc ttagatatgg tttggggtaa atgctgtacc tagctgtagg gcattaaaga 1740 ttgtggtgaa aacttgggct ttacttactc tgagtgagtt gggagctgct ggaagcttct 1800 gaacccagaa gggacctgat ctgactcagg ttttaacagg accatcttgg ctgttctcca 1860 gtttctagcc agtggggcct cctccctgtg tgctgaaggt gctaacgatg tgtctttgct 1920 tccaagcttt ttctgacctt ttgctgcagc tttcaccaag gagatgggag gcactagact 1980 gagagtatgt gaggagtgaa gaccgagggc gggcagggca gatggagaag tgctgtggct 2040 atgcccaatc cagacctgca ctgagacaaa atgaggaata caggcctcta tctcttctct 2100 tatgaaaatg gacaaattcc actgttctgc ccaggctagc cagggctgct gtaatgccag 2160 agtggtcatt ccaacttctg tgaactagaa agcctctcac catcctcaac acaaatgtcc 2220 ttaaagccct ctggcaacgc attggtttgg ctcctagtgg cagcagcagc tgaatccctg 2280 gcactgacct ggtgcacagt gtccccagat ccctggtcaa gcaagcctag acctatagca 2340 ttccagagag cctggaaagg gtatggttaa aaattcctgt tctagcaatg tcttcaagaa 2400 gaagcaggag aaaatgctcc ccacctccca gtgccaggag gggagaggaa ggaagctcag 2460 taggacagct ctgcacaggt ggcctggggg tgtctgcaag atgacctggc tctacctctc 2520 tacctgctcc ttcccagctg tggggctggg gagggctggt gccctctctg agtcggtttc 2580 ttcatctgta aagtgcttgg ctgaggatcc agctggagtg tggattaaag ggcacagcag 2640 ggtgcctagc accgtcagcc cacgtgtttt tcttgggcaa gccactctga gccttactct 2700 tcctgtctct aagcgggaac ccaaatgcga gccagggttg ctgcggacta aagcagtcta 2760 cgaacgcttt tgtagactgc gaagcattgt ttggtcttca gaaaggtgcc ccagagacaa 2820 ggtgtcattg gtttcaggtg gggggggggg ggggccggtc agcaaacctc cttagtcctg 2880 gagggcaggg tggcagcgca gagcgcgcgc aatttccgga gggtaactga ttgtcctgct 2940 gaaagcccaa taccgtattt atccaaaaat acgtccttct aggcaagtga tttatctgac 3000 actcagcggg ggacagagct gcttgtaccg cgctggggat gaaggtgggg acgtgggcca 3060 gaccgggcca gacaggctcc ccagcgcttc ccgctcaatc acgcagactg cactttgggg 3120 cgatctcaga gcttttctta agtcttcagg ccagtctcac gttctcacct tgggaaccga 3180 gctttagaag ccggc 3195 <210> 21 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 21 gatatctggt aggaaaaata tcaaccccca 30 <210> 22 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 22 tgcgcacgtg agacgggttc tagaatccac 30 <210> 23 <211> 3463 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 23 gatatctggt aggaaaaata tcaaccccca cccccaaaag gacccagtac cagatggttt 60 tacaggcaaa gcctatttac tcaaataatt tatattcatt ttatttcttt taaaatgcaa 120 tctaagtctt tgtattagaa ggatatttaa aattaaaata tatgaggcta gaaagatggc 180 tcagagttta aaagcattgg ctattcttgc agaggaccta gcttcgattc ccagcaccca 240 cctcccaacc atctgtaact tcagttccaa ggatctgaac gctcctttct ggcctcttcc 300 agcactgcat acgtggggtg cacctaaaga acactcacac acataaataa atggaaatat 360 tttttaaatt aagcttttaa aaatgagaac acaattagac cctggtgtgt tttgagcact 420 ctggaagcat tgtgagttca agaccagcct gggatccaca gcaatgcttt gtttcaaaca 480 aacaaacaaa caacaaaaac ctgcaaatgt acagaaatac aaatccctcg ggtaccaaaa 540 tattgttcta gacatttaca aggctcccag agactaggca ttcaatgcta gcatttcttt 600 ggacagatgg ctttttctgg gatgtttctg ctgctgatat ttctgccccc actgaggcct 660 cccttgaaga gttcctactg tgttacagct ctgaggggaa aggtatcctg ggagttggaa 720 gctttagaac gccacaaagt cacaccacac aacaaacctc gaacaacaga tttattggga 780 aagatgcagg agggtagcta cctctgcctg ggtgagaaag aatcggcaaa aatactgagc 840 ggagggcagg ctttgtacag tgtttcttgt gagtgaagct ttctagagtg tcctgggatt 900 agaggcattt tgtggcctga ccttgggcat ttttattata tagggtgggg cttggcctct 960 cttcctacct caagggactg gaaatgccag ccaccagcgt tagagacgtc ttggggtcca 1020 ggcctagcca cttgtgcatc aaagagctta cacctaccac ctggttttct tttcctcctc 1080 tttagtaaga gtggaaatgt agcacaaggg agagtctgcc ttgcaagtcg gatgccctgg 1140 tgcctagcta tgactgaaaa acagtgcata agtccttcct gctacactgg gttgtttttc 1200 tgtctagatg gtgggaaatg agtgtgttgc tgctcatggg agccttcagg tggtcaggat 1260 cgagtgccct cttccctcag tcaacaggaa tgccttgcac tgaggctgat cctggccctg 1320 gagtgtgatg cacatgcaga ggtatctagg ctatggtggg agctaaagct ggcttaggat 1380 ttatatgact gctgtctgag aatgcatgga tgatcagacc ttgctggtga agcagagagg 1440 gagcacagca gacatgaagg caaactctgg aaggttctgt gggagttttt atgcttctta 1500 caagaaaatt gttctgattt ccccaggaac caactatctc ctgtttaggg ggtaagtccc 1560 tggaagccta tttaattctt ttctctgtgt gtggtgtgag catgcatgtt tgtatatgtg 1620 ggcacacatc atatgtggat atatgcatgt ggaagcctga agctaagatt tggtgactct 1680 tcccacctct ctccactaaa ttcatcaagg cagggtctct tgccaaaccc agagctcaca 1740 gatttcagct ggtccagcgg gcagcttgct ctaggaatcc tgcctcctct gccctctgtg 1800 tcctaaaatt acagacagct tcaagaccta cctgaccttt acatgatgct ggggatgcaa 1860 attctagtcc tgggctggga acacatagaa atttctgcta tgccacttac attctccgta 1920 ggagacaaga gtttacagaa taaaataaaa acttctaata cattagaaaa tagtaagtct 1980 ccagaactgt taaactggat aggaaaatgg ggggtggggg atgcagcagg gagcaggggg 2040 caaatgcagg ctcccttgaa gatgccactt gagtgaagga gggagccatg ggaatgttgg 2100 gaagggaatc atactcagac aaacagcatg tacaaaggtc ctgagcttgc gcctggcagg 2160 ttaacctgag aaagagaggt catggaacaa agggacccaa aagagactga ggaaggctga 2220 gagaatgggg ttatatatac ttcctgtgag tgagctggga gccctgggaa ggttctgaag 2280 caaggatgcc taatgtgact caggtttagg cagaatgtcc taggttggcc atggcttcta 2340 gacagctggg gcatcttccc tgtggactga ggccgctcag ctacactgtt gctttcaagc 2400 ttctgatctt tgactgcact tctccctggg ggtgggagac attggacaga cagagtgtga 2460 ggaatgcaga gcccagggta ggcagggcta tggagaagtg tgctggccca gcctgaccct 2520 gccctccctt gacaagatag gatcaatcaa ctttatggac tagccaaccc cacctgctct 2580 gcgtgctagc cctggctagc tattcactgg ctgtagaata ctggggaaga ctcagactgg 2640 gcctatgatc aatcagaacg ttgatgacca tcttgtgcta agcacagact ccttccgtgc 2700 tctggctaag actcagttta actgctggat catgggcact cacctggaga atcctcagat 2760 ccttatttaa gggatctggc taaaaatcct ggccccaaca gggacggctt ggagaagcaa 2820 ggggaaaggc tggccacctc gcagtgtcag gtaggaagcg ccaggaagga aggtctgtcc 2880 aaatgtcctg ggtattaaga agcaggggaa agacaagaca gacctggctg tgcctggccc 2940 tctatctgct tggctaagaa ggcccacgct cgctctcagc gggttttttc acgccgcccg 3000 ggtttgaagc caggcagtgt aggctaaagt gcacagcagg gtacccagca ctctctgctc 3060 acgtgttttc ttgggcttca ctttcctcat taaaccggtg caaaagctgt ctatgatggc 3120 ttgggactgc aatctggaac tccctctgca gatcagaagc accctgcagt ctttggggag 3180 gtgccgccac tggtggtggt cagcaaacct ccgcagtttg tcagtcgcag aagtctaggg 3240 tagcgcagtg agcgtccatt cccgtgagta accatgaccg ctggaggaaa gaccagatgt 3300 atttttacaa ttggtccctt tagacacggt ccctactaga tcgggccttg ttaggaatgc 3360 ggagggggtt gcagggacga ttccgctccc gaggtcccac gtggtctgca cttcgggact 3420 ctgcgggctt tcagtggatt ctagaacccg tctcacgtgc gca 3463 <210> 24 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 24 cgctctccgg tctcttcgtg 20 <210> 25 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 25 gaacgtgaag cccatcgagg ac 22 <210> 26 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 26 ctggagcacc ttggcgaaca 20 <210> 27 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 27 ggccctgcac tctcgctttc 20 <210> 28 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer for PCR <400> 28 tgccaggacg cgcttgt 17
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明マウスKKLFプロモーターが
有する転写開始能力を測定した結果を示す図である。横
軸は使用された本発明プロモーター、縦軸は転写開始能
力の指標となる相対ルシフェラーゼ活性(倍)値であ
る。尚、対照はpGL3−promoterである。
【図2】図2は、マウスKKLF遺伝子の転写開始点を
プライマー伸長法により決定する際に得られた解析画像
を示す図である。横軸はRNA量を表し、縦軸はDNA
分子量サイズを表す。右欄に記載される矢印は配列番号
24で示されるプライマーを用いて逆転写反応を行った
時の逆転写産物を表しており、当該産物の分子量サイズ
が167bpであるという結果からマウスKKLF遺伝
子の転写開始点は配列番号23の塩基番号3338番目
であることが確認される。
【図3】図3は、ラットKKLFの活性測定の結果を示
す図である。具体的には、図3(A)はaP2プロモータ
ーを含むレポータープラスミドに対するラットKKLF
の活性化能を測定した結果を示し、図3(B)はaP2プ
ロモーターを含まないレポータープラスミドに対するラ
ットKKLFの活性化能を測定した結果を示している。
【図4】図4は、ヒトKKLFの活性測定の結果を示す
図である。具体的には、図4(A)はaP2プロモーター
を含むレポータープラスミドに対するヒトKKLFの活
性化能を測定した結果を示し、図4(B)はaP2プロモ
ーターを含まないレポータープラスミドに対するヒトK
KLFの活性化能を測定した結果を示している。
【図5】図5はrKKLFの活性測定の結果を示す図であ
る。具体的には、図5における左図はラット由来の本遺
伝子(rKKLF)が導入されたNIH−3T3細胞内
の脂肪を染色した結果を示し、右図はNIH−3T3細
胞(対照)内の脂肪を染色した結果を示している。当該
図から明らかなように、ラット由来の本遺伝子(rKK
LF)が導入されたNIH−3T3細胞では明らかに前
駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞へと分化しており、これは
本遺伝子が脂肪蓄積を促進する能力を有することを示し
ている。
【図6】図6はNIH−3T3細胞及びラット由来の本
遺伝子(rKKLF)が導入されたNIH−3T3細胞
における、マウス由来のPPARγ遺伝子を有するmR
NAの発現量を測定するための定量的RT−PCRの結
果を示す図である。図中の縦軸は、ラット由来の本遺伝
子(rKKLF)が導入されたNIH−3T3細胞にお
ける発現量を、NIH−3T3細胞における発現量を1
とする場合での相対値である。マウス36B4遺伝子
(mRNA)の発現量(測定値B)は各細胞においてほ
ぼ一定であることが知られているために、当該発現量
(測定値B)は内部標準による補正に利用された。具体
的には、測定値Aを測定値Bで割った値(A/B値)を
算出することにより、各細胞におけるマウス由来のPP
ARγ遺伝子を有するmRNAの補正発現量を得た。上
記の相対値はマウス由来の本遺伝子(rKKLF)(又
は本蛋白質)が脂肪細胞分化のマスターレギュレーター
であるPPARγ遺伝子を発現誘導する能力を有するこ
とを示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/21 1/21 C12Q 1/02 5/10 A61K 45/00 C12Q 1/02 C12N 15/00 ZNAA // A61K 45/00 5/00 A (72)発明者 松木 泰 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友製 薬株式会社内 (72)発明者 井口 晴久 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友製 薬株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA04 DA06 EA04 GA11 4B063 QA01 QA05 QA18 QQ08 QQ22 QQ42 QR12 QR77 QS25 QS36 QX02 4B065 AA26X AA91X AA91Y AA93X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA27 CA44 CA46 4C084 AA16 NA14 ZA662 ZA702 ZC312

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(1)〜(6)のいずれかに記載さ
    れるDNAを含むことを特徴とするプロモーター。 (1)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
    される塩基配列からなるDNA (2)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
    される塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
    失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ配
    列番号1で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進
    因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有する
    DNA (3)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
    される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
    件下にハイブリダイズし、かつ配列番号1で示されるア
    ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
    子の転写を制御する能力を有するDNA (4)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
    される塩基配列からなるDNA (5)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
    される塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
    失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ配
    列番号2で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進
    因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有する
    DNA (6)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
    される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
    件下にハイブリダイズし、かつ配列番号2で示されるア
    ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
    子の転写を制御する能力を有するDNA
  2. 【請求項2】配列番号20の塩基番号1番から3195
    番で示される塩基配列からなるDNAを含むことを特徴
    とするプロモーター。
  3. 【請求項3】配列番号23の塩基番号1番から3463
    番で示される塩基配列からなるDNAを含むことを特徴
    とするプロモーター。
  4. 【請求項4】請求項1記載のプロモーターを含有するこ
    とを特徴とするプラスミド。
  5. 【請求項5】請求項1記載のプロモーターを含有し、か
    つ当該プロモーターの下流(3’側)に当該プロモータ
    ーによって転写が制御されるDNAを含有することを特
    徴とするプラスミド。
  6. 【請求項6】請求項1記載のプロモーター又は請求項4
    記載のプラスミドが導入されてなる形質転換細胞。
  7. 【請求項7】脂肪蓄積調節能力を有する物質の探索方法
    であって、(1)請求項1記載のプロモーターを機能可
    能な形で連結されてなるレポーター遺伝子を含有しかつ
    脂肪蓄積非誘導条件下において配列番号1、2又は3で
    示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子を実質
    的に発現しない細胞に、脂肪蓄積非誘導条件下又は脂肪
    蓄積誘導条件下、被験物質を接触させる第一工程、及
    び、(2)前記第一工程後に、レポーター遺伝子の発現
    量をモニターする第二工程、及び(3)前記第二工程に
    よりモニターされた発現量の変化に基づき前記物質の脂
    肪蓄積調節能力を評価する第三工程、及び(4)前記第
    三工程で評価された脂肪蓄積調節能力に基づき脂肪蓄積
    調節能力を有する物質を選抜する第四工程、を有するこ
    とを特徴とする探索方法。
  8. 【請求項8】物質が有する転写調節能力を評価する方法
    であって、(1)請求項1記載のプロモーターを機能可
    能な形で連結されてなるレポーター遺伝子を含有しかつ
    脂肪蓄積非誘導条件下において配列番号1、2又は3で
    示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進因子を実質
    的に発現しない細胞に、脂肪蓄積非誘導条件下又は脂肪
    蓄積誘導条件下、被験物質を接触させる第一工程、及
    び、(2)前記第一工程後に、レポーター遺伝子の発現
    量をモニターする第二工程、及び、(3)前記第二工程
    によりモニターされた発現量の変化に基づき前記物質の
    転写調節能力を評価する第三工程、を有することを特徴
    とする評価方法。
  9. 【請求項9】請求項1記載のプロモーターと結合する物
    質の選抜方法であって、(1)請求項1記載のプロモー
    ターと被験物質とを接触させる第一工程、及び(2)前
    記第一工程後に、当該プロモーターと被験物質との複合
    体生成の有無を調べる第二工程、を有することを特徴と
    する選抜方法。
  10. 【請求項10】請求項1記載のプロモーターと結合する
    物質の精製方法であって、(1)請求項1記載のプロモ
    ーターと試料とを接触させて、当該プロモーターと当該
    試料中に含有される当該プロモーターと結合する物質と
    の複合体を生成させる第一工程、及び、(2)前記第一
    工程後、生成させた複合体から当該結合物質を単離する
    第二工程、を有することを特徴とする精製方法。
  11. 【請求項11】プロモーターとしての、以下の(1)〜
    (6)のいずれかに記載されるDNAの使用。 (1)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
    される塩基配列からなるDNA (2)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
    される塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
    失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ配
    列番号1で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進
    因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有する
    DNA (3)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
    される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
    件下にハイブリダイズし、かつ配列番号1で示されるア
    ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
    子の転写を制御する能力を有するDNA (4)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
    される塩基配列からなるDNA (5)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
    される塩基配列において1個もしくは複数個の塩基が欠
    失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ配
    列番号2で示されるアミノ酸配列を有する細胞分化促進
    因子をコードする遺伝子の転写を制御する能力を有する
    DNA (6)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
    される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
    件下にハイブリダイズし、かつ配列番号2で示されるア
    ミノ酸配列を有する細胞分化促進因子をコードする遺伝
    子の転写を制御する能力を有するDNA
  12. 【請求項12】プロモーターとしての、以下の(1)〜
    (2)のいずれかに記載されるDNAの使用。 (1)配列番号20の塩基番号1番から3195番で示
    される塩基配列からなるDNA (2)配列番号23の塩基番号1番から3463番で示
    される塩基配列からなるDNA
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